Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「演劇大学 in 石川」、松任で開催。

2015-08-31 | Weblog
これは私が数年間使用していたウエストバッグ。
ファスナー部分がいかれたので破棄処分することにしたが、ここしばらく日中はずっと稽古場か劇場にいたので、新しいものを買いに行く暇がない。
石川県白山市松任のホームセンターでついに新しいものを購入した。さらば「Golden Bear」ブランドのウエストバッグ君。

なぜ松任か。日本演出者協会の「演劇大学 in 石川」の講座のため滞在していたのだ。
金沢ではない。三駅隣の松任である。四日間松任から外に出ていない。二日目こそ昼間の時間帯に少し余裕があって書き物仕事の合間に買い物に行くこともできたが、多い日は一日12時間ぶっ通しの講座で、ただただ石川県の皆さんと演劇を通して交流していた。
十二万とも三十五万人ともいわれる史上最大の国会前デモにも参加できなかった。

講座は四日間にわたって「戯曲+演出」を指導するというもので、二人の「劇作兼演出家」を指導、彼らの短編戯曲を推敲して修正し、作者が演出する発表会上演も面倒を見る、という恐ろしい企画である。演出者協会の企画だが劇作の仕事が多くを占める。
指導する二人のうち一人は、高校生である。上演も、地元の高校生四人のチーム。
もう一人は五十過ぎの地元演劇人、社会派と言われている人らしい。

高校生チームはなかなか台本がまとまらないので三日目の午前から一気に本人と一緒に手を入れ、「君がやりたかったのはこういうことだろう」というやり方で、大なたを振るって直す。と言うか、一から仕組み直す。見事に治療に成功し、もともとの目標より遥か高みに至る。私はほとんどブラックジャックである(川村毅氏の新作は『ドラマドクター』というタイトルだが、きっと演劇版「ブラックジャック」なのだろうと勝手に予想している)。もちろん作者本人の演劇に対する情熱あってのことで、けなげな高二・高三の出演生徒たちの熱演もあって、発表会では、観客ほぼ全員、涙なしではいられない感動ものの出来映えとなる。みんながんばった。
女子高校生たちがオオカミの扮装をするのだが、オオカミ衣裳の下の手足が素肌のみで、一瞬何も着けていないように勘違いする輩もいたという。そういう不純なことではいけない。私が仕組んだみたいではないか。いや、仕組んでいたとしてもだ。うむ。
五十過ぎの社会派氏のほうは、もとのテキストをなるべく少ない修正ですむように意味づけを明確にし、なんとか現場の方向性を打ち出す。イプセン『民衆の敵』のように始まるが、本人は読んだことがないという。ともあれ「喜劇」と考えればいいのだ。
十二年前の私の金沢市民芸術村でのワークショップの受講生で五年ぶりに芝居をするというA君が中心の役を担って熱演、現場も楽しくなってきてもう大丈夫と思っていたら、私が高校生を見ている間の彼らの自主稽古で社会派氏が暴走、改悪を重ねてガラガラと崩壊。呆れつつ発表会寸前に、手直しする。なんとか間に合う。本人も自分のあやまちにすぐに気づく。体験としては無駄ではない。そしてA君との再会は喜ばしい。彼はこれから演劇復帰するだろう。
それにしても現場で演出家の指導をするというのは一体どういう作業なのだろう、と思いつつ、それをやる。

金沢演劇界のリーダー、二十年来お世話になってきている黒田百合さんのお膳立てでもあり、とにかく真面目に仕事する。
自分の本番をすっぽかしての石川行きだったが、この日程しか無理だったのだ。
ほとほと疲れきるが、幸い評判はよかった。がんぱらなければできなかったことをがんばって成し遂げられたのだから、参加した人たちは胸を張っていい。

別な講座を流山児祥氏が担当していたので、毎晩少しは飲みに行くことにはなるが、松任ではノドグロの顔は見ず。こんなに店のない町というのは、すがすがしくて、いい。それにしても五十を過ぎてからよくあることだが、とにかく毎朝早く目がさめてしまって、いけない。

そんなわけでようやく帰京、久しぶりに『バートルビーズ』にご対面となる。
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観劇前に『バートルビー』を読んでおきたい皆さまに。そして「 I would prefer not to 」和訳について。

2015-08-29 | Weblog
当日パンフレットにも記したように、燐光群新作『バートルビーズ』は、観劇前に、原作にあたる『バートルビー』を既に読んでいても、じゅうぶんにお楽しみいただけます。
かといって、読んでおかなければならない、ということでもありません。
ただ、事前に読んでおいたほうがいい、という意見もあります。(Corich舞台芸術で満点をくださったハンドルネーム・ハンダラさんも「原作は、読んで置いた方が良い」とのこと)
ともあれ、事前に読んでおきたい皆さまに、『バートルビー』の出版されている状況をお知らせします。

インターネットで検索すれば、原文「Bartleby, the Scrivener: A Story of Wall-street」Herman Melville」が、いくつかヒットして、読めます。

翻訳出版されていて現在手に入れやすいのは、
ハーマン・メルヴィル 『代書人バートルビー バベルの図書館9』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス編、酒本雅之訳、 国書刊行会、1988年
ハーマン・メルヴィル 『幽霊船 他一篇』 坂下昇訳、岩波文庫、1983年
ハーマン・メルヴィル 『書写人バートルビー』 柴田元幸訳、『モンキービジネス 2008 Spring vol.1』所収、ヴィレッジブックス、2008年
ジョルジョ・アガンベン 『バートルビー 偶然性について』 高桑和巳訳、月曜社、2005年 これには高桑訳の「バートルビー」全文および同論考「バートルビーの謎」が併録されています。
まだ発売されていない近刊に、光文社古典新訳文庫『書記バートルビー/ベニート・セレーノ』(メルヴィル/牧野有通・訳)があります。

「書写人バートルビー ―― ウォール街の物語 」ハーマン・メルヴィル 訳 柴田元幸
「バートルビー」ハーマン・メルヴィル 訳 留守晴夫
以上2点の和訳も、インターネットで読めます。

さて。

『バートルビー』の決め台詞というべき「 I would prefer not to 」は、英語で言えば実はごく短く、一息で言ってしまえる長さである。
日本語ではどうしても、長めの訳になってしまう。
『バートルビーズ』では、幾つかの言い方を併用している。
「日本人的な曖昧さ」を表現しているということかもしれないし、タイトルが複数形であるように、「バートルビー」が一人ではないので、登場人物の数だけ違う言い方が出てくる、ということかもしれない。
同じ人物でも違う言い方をすることがある。
一つの言い方に限定しなかった根拠は、他にもいろいろある。
それはまあ、観ていただいてご判断いただきたいと思う。

そして。

他にも、入手しづらいので上には挙げていないが、多くの翻訳者たちが『バートルビー』を訳している。
その皆さんが「 I would prefer not to 」をどう訳しているかだけ、以下に紹介したいと思う。わかるものは翻訳年も記した。(山田真実さんが調べてくれました)

柴田 元幸 「そうしない方が好ましいのです」2013
酒本 雅之 「せずにすめばありがたいのですが」1988
坂下 昇 「僕、そうしないほうがいいのですが」1979
高桑 和巳 「しないほうがいいのです」2005
留守 晴夫 「その気になれません。/その気になれないのです」
杉浦 銀策 「その気になれないのですが」1983
木村 榮一  「せずにすめばありがたいのですが」 2008
土岐 恒二 「あまり気が進みません」1979
原 光 「やりたくないのですが」1995
田中 西二郎 「気が進みません」1966
阿部 知二 「ごめんこうむりましょう」1961
北川 悌二 「「行きたくはありません」1960
寺田 建比古 「いたしたくございません」1972
林 哲也 「したくありません」1948


写真は、『バートルビーズ』で、原作世界の法律事務所長(鴨川てんし)と、バートルビー的人間である現代日本の若い娘(宗像祥子)が交錯する一瞬。


……………………

『バートルビーズ』
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/0a9790c0e840b5d41f25e7528c90e4c0


劇団HP
http://rinkogun.com/
詳細はこちら
http://rinkogun.com/Bartlebies.html
オンラインチケットの連絡先
http://rinkogun.com/Ticket.html
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Justine Wiesinger による『Bartlebies バートルビーズ』英文評

2015-08-28 | Weblog
日本の「3.11以後」の表現を中心に研究をしているJustine Wiesingerさん による『バートルビーズ』英文評が出ました。
ネットの winfailjapan に掲載された「 Bartlebies – Rinkogun – Sakate Yoji 」である。

https://winfailjapan.wordpress.com/2015/08/27/bartlebies-rinkogun-sakate-yoji/

非常に長く本格的な批評で、読み応えがある。(どなたか和訳してほしいところであるが)
最後には私の誕生日が「3.11」であること、彼女と私の誕生日が三日違いであることにも触れられていて、面白い。
日本では今のところ「必見である」で終わる岡町高弥さんの短い紹介文(http://uzumarishiro.web.fc2.com/2013/page/voice.html)くらいなので、英文でのこの迅速な対応は嬉しい。

写真は、劇中登場する6女子の、ドアとの絡み。
ドアの使い方は、割とストイックである。ニューヨークの Yoshiko Chuma さんがアイルランドのカンパニーで作ったドアを使用するダンスの傑作を12年前にダブリンで観ているので、おいそれと同じようなことはできないのだ。自分とは関係ない諸事情で果たせなかったが、あの頃、私がアイルランド・リムリックの劇場でダンスの振付をする話が進行中だったのだ。

『バートルビーズ』
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/0a9790c0e840b5d41f25e7528c90e4c0


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『バートルビーズ』開幕

2015-08-27 | Weblog
『バートルビーズ』公演、始まっています。
ザ・スズナリの過去に例のない劇場の使い方は、じっさいに来てみないとわからないと思います。
池澤夏樹さん、巽孝之さん、サミュエル・メリッサさんとの、開幕に合わせたアフタートークも終わりました。
9月9日まで上演ししています。(9月2日のみ休演)

写真は、『バートルビー』原作の世界を展開する場面。
鴨川てんし演ずる法律事務所長と、劇を進行するミューズ〈バートルビーズ〉たち。
金髪の女性が中山マリ、時計回りに、都築香弥子、樋尾麻衣子、秋定史枝、松岡洋子、円城寺あや。小説の世界を体現するこの6人が大活躍して、『バートルビー』世界を現代日本に再生します。あんなことやそんなことやどんなことでもやります。本当に大活躍、いつも以上に肉体を酷使しています。
未見の方はお楽しみに。
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『子どものうつがわかる本 わが子の心、見えていますか?』

2015-08-27 | Weblog
『子どものうつがわかる本 わが子の心、見えていますか?』
なんとも恐ろしい題名の本だが、現在を映し出す一冊になっている。
私の古い知り合いである藤本仁さんが、丹誠込めてつくった。
7月に発売されたばかり。
じつは、新作『バートルビーズ』を書くに当たって、多くのことが符合していったことに驚いた。これはご覧頂ければ、わかると思う。
お子さんのいらっしゃる方も、そうでない方も、一読をおすすめする。


内容紹介
子ども特有のうつのサインの見分け方や、回復効果が高いとされる認知行動療法の詳細などを紹介。「子どものうつは発達障害から発することが多い」「親の叱責はうつを重くしてしまう」「薬物療法はなるべく避けたほうがいい」「世界的に効果が証明されているのは認知行動療法である」実態と治療に関する最新情報を盛りこんだ“わかりやすく役立つ”一冊!

目次は
第1章 子どものうつに気づこう(現状1―子どものうつはいまや世界の常識
現状2―小・中学生の約13%がうつ傾向にある ほか)
第2章 うつの要因を知っておこう(概要―うつの要因は複数の因子のかけ算
身心1―子どものうつの多くは発達障害からくる ほか)
第3章 うつからの回復をめざそう(相談―子どもがうつかもと思ったら相談相手を探す
診断―病院か心理相談施設で診てもらう ほか)
第4章 認知行動療法を受けてみよう(基本1―認知と行動を健全に変える認知行動療法 基本2―信頼関係を築き相談面接を進める ほか)
第5章 家族も予防・回復に協力しよう(心得1―親の意識改革が子どものうつを予防する
心得2―子どもがうつになったら親は言動に留意する ほか)

また別な内容紹介
腹痛、イライラ、寝坊❺B子どものうつは言葉ではなく体調と行動にあらわれる。「うつのサイン」に早く気づいてしっかりと治す本
小学生の12~13人に1人、中学生にいたっては4人に1人が高い「うつ」状態にある時代。しかし子どもが自ら「自分はうつかもしれない」と気づき、それを周囲に言葉で説明することはほとんどないため、子どもにうつがあることを知らない大人も数多くいます。また、子どものうつはほおっておくと、摂食障害や社会不安・脅迫との依存、大人になってからの高い再発率、自殺願望の高まり等を引き起こす可能性があります。本書では、東京大学大学院の自身の研究室内に「子どもと若者のウツ」相談窓口を開設し、「認知行動療法」という方法で悩める多くの親子を救ってきた下山晴彦教授が、実際の相談実例を紹介しながら、子どものうつの定義、年齢・男女によって違う子どものうつ独自のサインについて、SOSにできるだけ早く気づいて、本人はもちろん家族も子どもと向き合って、時間をかけてしっかりと回復をめざしていく必要があることを解説します。


下山 晴彦 【監修】 主婦の友社 【編】  
出版社 主婦の友社 
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バートルビーズを募集しております(福島県双葉郡広野町高野病院)八月三十一日必着

2015-08-26 | Weblog
職員募集! 八月三十一日必着!
燐光群最新作『バートルビーズ』に登場する「事務局長」のモデルである福島県双葉郡広野町高野病院の高野己保事務長「じむちょー」さんから、求人案内です!
高野「じむちょー」は初日の公演を観てくださいました!

○事務部管理職候補
請求事務・施設基準等事務・人事労働管理・採用面接等・施設設備管理業務・一般経理業務
病院勤務10年以上で、上記業務経験者 就職説明会等への出張可能な方(遠方への運転あり・宿泊の場合もあり)
自社通勤・残業可能な方 1年ごとの更新制

○管理職秘書
秘書検定2級以上・ワードエクセル検定2級以上・ビジネス文書検定2級以上・ファイリングシステムデザイナー2級以上
秘書として勤務5年以上で、上記資格保有者(資格については応相談)
就職説明会等への出張可能な方(遠方への運転あり・宿泊の場合もあり)
自社通勤・残業可能な方 三ヶ月ごとの更新制

応募方法 履歴書、職務経験書、自己ピーアール文(400字) 履歴書に希望年収・条件等を明記の上、八月三十一日必着で郵送下さい
希望年収・条件等は相談の上決定します ※事前問い合わせはご遠慮下さい

医療法人社団養高会 高野病院
〒979-0402 福島県双葉郡広野町大字下北迫字東町214番地
TEL:0240-27-2901 FAX:0240-27-2286
takanohp@cyber.ocn.ne.jp
http://takano-hosp.jp/

「管理職と秘書のほうは、今日も先週から引き続きだしています。田舎ではハードルたかっと言われています。でも…それでも応募しようと思う人は、採用しようと思っています。ちょっとくらい資格要件が足りなくても、やりたい!という人のほうを望んでいます」とのことです。上記の内容は新聞の折り込み広告での告知と同じです。

モデルになっているご本人が、燐光群『バートルビーズ』で言及されているような「じむちょー」の「お手伝い」「記録係」「留守番」「秘書」そして分身たる「影武者」を求めているという次第です!
「じむちょー」からは「まるでバートルビーですよね。あまりの偶然に台本を読ませていただいた時に驚いてしまいました」とのことです。
現実と演劇がこんなに交錯した例が今までにあっただろうか、と思います。
もちろん就職した人は「バートルビー」の主人公のように労務拒否はしてはいけませんよ!

看護師 (正職員・パート)・准看護師 (正職員)も募集しています。
詳細はhttp://takano-hosp.jp/staffをご覧下さい

演劇と医療という接点で、積極的に関心を持たれる方が一人でもいらっしゃれば、ほんとうに嬉しいです。

都会の方でも、身一つですぐに働けるようにアパート(家具・家電・生活用品すべて付)を用意してあります。送迎もしますので、車がなくても大丈夫です。
3食(朝100円・昼・夜150円)美味しい給食提供します。年2回の帰省手当、夏休み4日冬3日、お誕生日休暇もあります。委細面談でお願いします。看護師は准看護師でも大丈夫です。
とのことです。
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「バートルビーズ」初日。

2015-08-24 | Weblog
本日、「バートルビーズ」初日。劇場で配布するパンフレットの文章をそのまま転載します。
8月25日(火)夜7時、池澤夏樹さんとのアフタートークの回は、前売完売です。他の回は増席しましたのでまだ余裕があります。

写真は、文中で触れている、「バートルビー」を起源とする短編モノローグ劇「T病院事務局長の証言」Samuel Malissaによる英訳が掲載される予定の雑誌〈Leviathan: A Journal of Melville Studies〉前号の表紙。

…………………………


「バートルビー」という小説に出会ったのがいつなのか、正確には思い出せないのだが、構想三十五年、ということにしておこう。
見開きの左側のページに英文、右側に設問と注釈、という形だったと思う。受験問題集か大学の英語教材の、長文問題か例文として出会ったはずである。
とにかく奇妙な文章だった。
抜粋されていたのは、冒頭か、所長が繰り返しバートルビーに仕事を頼むが拒まれるところだったか。あるいはラストシーンだったか。教科書なら、その全部だったかもしれない。
あるいはそうした三つのパートが、それぞれ違う問題集や教科書に掲載され、別々に出会ったのかもしれない。
「決まり台詞」である「I would prefer not to. 」じたいについても、出題されていたような気がする。

「バートルビー」が出版されたのは1853年。日本は江戸時代である。舞台はアメリカ・ニューヨークだが、まだジャズが生まれてもいない。
語り手はウォール街の一角で法律事務所を営む年配の所長。ターキーとニッパーズという渾名の二人の部下と、ジンジャーナットと呼ばれる雑用係の少年を雇っている。衡平法裁判所主事となり、仕事が増えてきたため新たに代書人を雇い入れることにした。新たな代書人バートルビーは、物腰も柔らかく品はいいが、どこか生気に欠けている青年。当初は能率良く筆耕をこなしていたが、あるとき所長の呼びかけで点検のための口述を頼まれると、「できれば私、そうしないほうがいいのですが」と言って、再三の頼みを拒む。やがては代書も含めた一切の仕事を温和な口調で断り続けながら、事務所に居座り続ける。解雇を言い渡されても事務所から出ようとせず、万策尽きた所長はついに彼を置いて事務所を移転させるが、残ったバートルビーはその場所を動かない。家主から苦情が来たため以前の事務所を訪れた所長は、新たな仕事を紹介し、個人的に家に引き取ろうと申し出るが、断わられる。バートルビーはついに警察によって「墓場」(市立刑務所)に送られる。そこでも彼は頑として態度を変えず、食事を拒み、所長が差し入れをしても受け付けない。再び面会に来た所長は、彼が冷たい庭石を枕にして息絶えているのを見つける。所長は風の噂で、バートルビーがもともとは郵便局の配達不能便(デッドレターズ)を取り扱う部署で働いていたという話を聞く。物語は「ああ、バートルビー! ああ、人間!」という言葉で締めくくられる。
ふだんと違ってあらすじを記すことに何の躊躇もないのは、この物語の謎があらすじによって解明されることも、小説としての魅力がすり減ることも、まったくありえないからである。

「バートルビー」を劇化すると決めるには、これだけの時間がかかった。
というか、燐光群が『白鯨』を上演して以来、「メルヴィル繋がり」として親しくさせていただいている巽孝之さん、大和田俊之さんの御陰である。
今年6月、アジアで初めて開催された「第10回国際メルヴィル会議」で、四つの基調講演の一つとして、「バートルビー」を起源とする短編モノローグ劇「T病院事務局長の証言」を、私自身が朗読した。たいへん手応えはあったし、Samuel Malissaによる英訳が、雑誌〈Leviathan: A Journal of Melville Studies〉に掲載されることになっている。

「T病院」は、唯一バートルビーを気にかけた人間である「所長」を、福島県双葉郡広野町の高野病院の事務長をモデルとした人物に置き換えた。このような創作をお許し下さった高野己保事務長に、心から感謝する。

そして1983年、大学四年でありながら就職活動もしないでいた私がアルバイトをしていた新橋界隈の事務所が、「バートルビー」の舞台にとてもよく似ていた。いや、そうではなく、たんに私の妄想の中で両者が近づいていったのかもしれない。ともあれ、当時私の感じていた虚無感のようなものと「バートルビー」との、意識下の連携がある。
1983年は、燐光群が創設された年でもある。

……………………………………


『バートルビーズ』
~ハーマン・メルヴィル『バートルビー』より~ 

作・演出○坂手洋二

アメリカの国民作家ハーマン・メルヴィルの『白鯨』と並ぶもう一つの代表作、『バートルビー』(Bartleby 1853)の、新展開。

できれば私たち、そうしないほうがいいのですが。
逃避か、拒否か、怠惰か、絶望か。彼の選択には、いかなる言葉もあてはまらない。
永遠の謎を湛えた人物像が、混沌の現代日本のどこかに佇み、あなたが気づくのを待っている。

8月24日(月)~9月9日(水)

平日19:00/日曜日14:00
但し26日(水)・9月5日(土)・8日(火)14:00の部あり
29日(土)・9月9日(水)14:00の部のみ
9月2日(水)休演

会場 = 下北沢ザ・スズナリ

一般前売3,300円 ペア前売6,000円 当日3,600円
U-25(25歳以下)/ 大学・専門学生 2,500円 
高校生以下1,500円
※学生、U-25は、前日までに電話またはメールでご予約の上、
当日受付にて要証明書提示。


円城寺あや  
都築香弥子
中山マリ 
鴨川てんし 
川中健次郎 
猪熊恒和 
大西孝洋  
杉山英之 
武山尚史 
樋尾麻衣子
松岡洋子 
田中結佳 
宗像祥子 
長谷川千紗 
秋定史枝 
川崎理沙 
宇原智茂 
根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○久寿田義晴
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
擬闘○佐藤正行
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
衣裳協力○小林巨和
舞台協力○森下紀彦
演出助手○山田真実
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 桐畑理佳 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ

★ゲストと坂手洋二によるアフタートークも開催されます

8月25日(火)19:00の部 池澤夏樹(詩人・評論家・作家)
8月26日(水)19:00の部 巽孝之(慶應義塾大学文学部教授、日本アメリカ文学会第15代会長)・Samuel Malissa(イエール大学東アジア学科大学院博士課程)
9月7日(月)19:00の部  大和田俊之(慶應義塾大学教授)
※本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


『バートルビーズ』
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/0a9790c0e840b5d41f25e7528c90e4c0


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詳細はこちら
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オンラインチケットの連絡先
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「原子力 明るい未来のエネルギー」

2015-08-23 | Weblog
双葉町が町内にある原子力PRの看板を撤去することを決めた。
「原子力 明るい未来のエネルギー」という、有名なアーチである。
町域の大半は帰還困難区域で、除染もはぼ手付かずのままであり、先が見通せない中、帰還を諦める町民が増えているという。
小学生のころ、この標語を考案したのが、大沼勇治さんである。
彼はこのPRの看板を撤去に反対し、「原発推進の歴史や事故の記憶を消すことになる」と訴えている。
「標語の考案者じゃなければ、黙っていた。でも、標語の誤りを訂正できるのは作った自分しかいない。看板は原発とともに歩んだ双葉の歴史を象徴するものとして残すべきだ」という発言が、いろいろな媒体で記事になっている。
大沼さんは原発事故後、標語を作った張本人としての責任を感じ、講演やインターネットで「脱原発」を訴えてきた。双葉町に一時帰宅するたび、この看板の前に立ち、一部の言葉を他の言葉に、例えば「原子力」を「脱原発」に、置き換えた写真を撮るパフォーマンスでも知られている。
一度は原発のおかげで豊かになったはずの町が、原発事故を境に一変した。
大沼さんも原発事故の後には、テレビに映された自分が考えた標語に、「恥ずかしく忌わしい」と感じ、「原発推進は間違っていた」と確信したという。
「町や国、東電は撤去したいのだろうが、過ちが忘れられてしまう。歴史の否定は町そのものの否定につながる。過去の失敗から学ぶことはたくさんある」。
看板撤去に提示された費用は四百十万円。さらに増額されるという。大沼さんの撤去反対を受けて町は看板を倉庫に保管することを提唱しているが、この場所にあってこそ存在意義がある、と私も思う。倉庫にしまい込んで隠蔽されてしまうことも避けたいのだ。

私は1月、立入禁止地区を訪れ、初めてこのアーチの前に立った。その時に撮影したのがこの写真である。
新作『バートルビーズ』には、このアーチをモデルとした場面が登場する。
大沼さんにも台本を読んでいただき、了承していただいた。心より感謝します。
十九世紀のアメリカを舞台にした小説から触発された劇に、なぜこのアーチが登場するのか。
それはぜひ劇場でご確認下さい。
そしてこのアーチを舞台美術としてどのように表現するのか、ご覧いただきたい。
おそらくこれは演劇史上初の、恐ろしくシンプルな仕掛けである。

『バートルビーズ』
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/0a9790c0e840b5d41f25e7528c90e4c0
……………………………………

『バートルビーズ』
~ハーマン・メルヴィル『バートルビー』より~ 

作・演出○坂手洋二

アメリカの国民作家ハーマン・メルヴィルの『白鯨』と並ぶもう一つの代表作、『バートルビー』(Bartleby 1853)の、新展開。

できれば私たち、そうしないほうがいいのですが。
逃避か、拒否か、怠惰か、絶望か。彼の選択には、いかなる言葉もあてはまらない。
永遠の謎を湛えた人物像が、混沌の現代日本のどこかに佇み、あなたが気づくのを待っている。

8月24日(月)~9月9日(水)

平日19:00/日曜日14:00
但し26日(水)・9月5日(土)・8日(火)14:00の部あり
29日(土)・9月9日(水)14:00の部のみ
9月2日(水)休演

会場 = 下北沢ザ・スズナリ

一般前売3,300円 ペア前売6,000円 当日3,600円
U-25(25歳以下)/ 大学・専門学生 2,500円 
高校生以下1,500円
※学生、U-25は、前日までに電話またはメールでご予約の上、
当日受付にて要証明書提示。


円城寺あや  
都築香弥子
中山マリ 
鴨川てんし 
川中健次郎 
猪熊恒和 
大西孝洋  
杉山英之 
武山尚史 
樋尾麻衣子
松岡洋子 
田中結佳 
宗像祥子 
長谷川千紗 
秋定史枝 
川崎理沙 
宇原智茂 
根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○久寿田義晴
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
擬闘○佐藤正行
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
衣裳協力○小林巨和
舞台協力○森下紀彦
演出助手○山田真実
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 桐畑理佳 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ

★ゲストと坂手洋二によるアフタートークも開催されます

8月25日(火)19:00の部 池澤夏樹(詩人・評論家・作家)
8月26日(水)19:00の部 巽孝之(慶應義塾大学文学部教授、日本アメリカ文学会第15代会長)・Samuel Malissa(イエール大学東アジア学科大学院博士課程)
9月7日(月)19:00の部  大和田俊之(慶應義塾大学教授)
※本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


劇団HP
http://rinkogun.com/
詳細はこちら
http://rinkogun.com/Bartlebies.html
オンラインチケットの連絡先
http://rinkogun.com/Ticket.html
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『福島原発22キロ 高野病院 奮戦記 がんばってるね! じむちょー』

2015-08-21 | Weblog
燐光群最新作『バートルビーズ』。今日は、場当たりです。

写真は、『福島原発22キロ 高野病院 奮戦記 がんばってるね! じむちょー』。
東京新聞編集委員 井上能行著 1,512円 (本体価格1,400円)

本の解説は、以下の通り。
福島県広野町にある高野病院。最も深刻なレベル7と評価された東京電力福島第一原発の事故後、原発30キロ圏内の病院では唯一、患者を受け入れ続け、地域医療の拠点としての役割を担ってきた。事故による多忙と混乱、退避せずの判断、入院患者移送の苦労、看護師不足の悩み、行政・東電との丁々発止などを、当時のブログやメールの文章を交え、ユーモアを失わずに奮闘してきた女性事務長からの聞き語りでつづる。著者は東京新聞・中日新聞福島特別支局に駐在する編集委員。

昨日記しましたように、『バートルビーズ』には「T病院事務局長」が登場します。
もちろんこの「T病院」のモデルになっているのが、福島県双葉郡広野町にある「高野病院」というわけです。

24日の『バートルビーズ』初日には、「じむちょー」こと高野己保さんと、福島原発訴訟弁護団事務局長の馬奈木厳太郎さんが、観に来てくださることになった。

『バートルビーズ』の参考文献の一つにも挙げさせていただいている、この『福島原発22キロ 高野病院 奮戦記 がんばってるね! じむちょー』を、ザ・スズナリ『バートルビーズ』公演会場で販売します。
観劇に合わせて、お求め下さい。

『バートルビーズ』
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/1

……………………………………

『バートルビーズ』
~ハーマン・メルヴィル『バートルビー』より~ 

作・演出○坂手洋二

アメリカの国民作家ハーマン・メルヴィルの『白鯨』と並ぶもう一つの代表作、『バートルビー』(Bartleby 1853)の、新展開。

できれば私たち、そうしないほうがいいのですが。
逃避か、拒否か、怠惰か、絶望か。彼の選択には、いかなる言葉もあてはまらない。
永遠の謎を湛えた人物像が、混沌の現代日本のどこかに佇み、あなたが気づくのを待っている。

8月24日(月)~9月9日(水)

平日19:00/日曜日14:00
但し26日(水)・9月5日(土)・8日(火)14:00の部あり
29日(土)・9月9日(水)14:00の部のみ
9月2日(水)休演

会場 = 下北沢ザ・スズナリ

一般前売3,300円 ペア前売6,000円 当日3,600円
U-25(25歳以下)/ 大学・専門学生 2,500円 
高校生以下1,500円
※学生、U-25は、前日までに電話またはメールでご予約の上、
当日受付にて要証明書提示。


円城寺あや  
都築香弥子
中山マリ 
鴨川てんし 
川中健次郎 
猪熊恒和 
大西孝洋  
杉山英之 
武山尚史 
樋尾麻衣子
松岡洋子 
田中結佳 
宗像祥子 
長谷川千紗 
秋定史枝 
川崎理沙 
宇原智茂 
根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○久寿田義晴
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
擬闘○佐藤正行
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
衣裳協力○小林巨和
舞台協力○森下紀彦
演出助手○山田真実
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 桐畑理佳 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ

★ゲストと坂手洋二によるアフタートークも開催されます

8月25日(火)19:00の部 池澤夏樹(詩人・評論家・作家)
8月26日(水)19:00の部 巽孝之(慶應義塾大学文学部教授、日本アメリカ文学会第15代会長)・Samuel Malissa(イエール大学東アジア学科大学院博士課程)
9月7日(月)19:00の部  大和田俊之(慶應義塾大学教授)
※本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


劇団HP
http://rinkogun.com/
詳細はこちら
http://rinkogun.com/Bartlebies.html
オンラインチケットの連絡先
http://rinkogun.com/Ticket.html
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バートルビー 福島にあらわる

2015-08-20 | Weblog
燐光群最新作『バートルビーズ』。劇場入りしました。絶賛仕込み中です。

それにしても今までザ・スズナリでは見たことのない状態になっています。ほんとうに、我ながら、呆れています。
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/1

写真は、小道具担当アッキー作成による、ニセ「バートルビー」文庫本。
翻訳者の名前が「坂手洋三」になっているのがご愛敬。

この文庫本を持つのが、「T病院事務局長」役の大西孝洋。
この「T病院」のモデルになっているのが、福島県双葉郡広野町にある「高野病院」。
福島第一原発から22キロの場所にある。海岸近く、丘の上の白い建物である。私は1月にお邪魔した。
じっさいの事務長=「じむちょー」は、高野己保さん。
東日本大震災時、この病院には、百七人の入院患者がいた。病院は震災でも窓ガラス一枚割れず、津波の影響もなかったという。
原発事故後、広野町が避難指示を出したが、高野英男院長は「動かせない患者」三十七人と看護師十人らと共に病院に残る選択をした。
転院で患者を死なせずにすみ、三十キロ圏内で唯一の病院と話題になった。
取材を断っていたが、人手不足が厳しく、苦境を訴えるため、マスコミに出た時期があるので、ご存じの方も多いだろう。
高野病院の皆さんの奮闘は今も続いている。
24日の『バートルビーズ』初日には、高野己保さんと、福島原発訴訟弁護団事務局長の馬奈木厳太郎さんが、観に来てくださることになった。再会が楽しみである。
福島のアクティヴな演劇人にして英語教師である佐藤茂紀さんが、私が「バートルビー」をやると聞いて、「「デッドレターズ」ですね。そうか! 僕も「デッドレターズ」を芝居にします!」と興奮していた。考えてみれば、なにしろ「バートルビー」は英語教材としても一定の出題率を誇る小説なのだ。こんな奇妙な小説をなぜ、とも思うのだが。
「バートルビー」世界と日本・福島の現実がどう関わってくるか、ぜひご覧いただければと思います。


……………………………………

『バートルビーズ』
~ハーマン・メルヴィル『バートルビー』より~ 

作・演出○坂手洋二

アメリカの国民作家ハーマン・メルヴィルの『白鯨』と並ぶもう一つの代表作、『バートルビー』(Bartleby 1853)の、新展開。

できれば私たち、そうしないほうがいいのですが。
逃避か、拒否か、怠惰か、絶望か。彼の選択には、いかなる言葉もあてはまらない。
永遠の謎を湛えた人物像が、混沌の現代日本のどこかに佇み、あなたが気づくのを待っている。

8月24日(月)~9月9日(水)

平日19:00/日曜日14:00
但し26日(水)・9月5日(土)・8日(火)14:00の部あり
29日(土)・9月9日(水)14:00の部のみ
9月2日(水)休演

会場 = 下北沢ザ・スズナリ

一般前売3,300円 ペア前売6,000円 当日3,600円
U-25(25歳以下)/ 大学・専門学生 2,500円 
高校生以下1,500円
※学生、U-25は、前日までに電話またはメールでご予約の上、
当日受付にて要証明書提示。


円城寺あや  
都築香弥子
中山マリ 
鴨川てんし 
川中健次郎 
猪熊恒和 
大西孝洋  
杉山英之 
武山尚史 
樋尾麻衣子
松岡洋子 
田中結佳 
宗像祥子 
長谷川千紗 
秋定史枝 
川崎理沙 
宇原智茂 
根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○久寿田義晴
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
擬闘○佐藤正行
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
衣裳協力○小林巨和
舞台協力○森下紀彦
演出助手○山田真実
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 桐畑理佳 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ

★ゲストと坂手洋二によるアフタートークも開催されます

8月25日(火)19:00の部 池澤夏樹(詩人・評論家・作家)
8月26日(水)19:00の部 巽孝之(慶應義塾大学文学部教授、日本アメリカ文学会第15代会長)・Samuel Malissa(イエール大学東アジア学科大学院博士課程)
9月7日(月)19:00の部  大和田俊之(慶應義塾大学教授)
※本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


劇団HP
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詳細はこちら
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『バートルビーズ』稽古佳境

2015-08-18 | Weblog
燐光群最新作『バートルビーズ』。
本夕、初の衣裳つき通し稽古を行う予定です。

「Bartleby」が「Bartlebies」と複数形になっているのは、どういうことか。まあそれは、見ると一目瞭然なのですが、まだ秘密です。
演劇としては、かなり未知の領域に入っています。やるのです、それを。
舞台美術も、おそらく演劇史上初の試みがあります。入場しただけで唖然とすること請け合いです。いつものスズナリと決定的に違います。

部分的に英訳され、アメリカの雑誌に掲載されることになりそうです(詳細はお待ちください)。世界中の「バートルビアン」が首を長くして待っています。詳しくはまたお伝えします。

8月25日(火)夜7時、池澤夏樹さんとのアフタートークの回は、ぎりぎりまで増席したものの、あと数席で売り切れになります。

詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/1

イラストは、三田晴代さんによる.チラシ裏の別バージョン。

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『バートルビーズ』
~ハーマン・メルヴィル『バートルビー』より~ 

作・演出○坂手洋二

アメリカの国民作家ハーマン・メルヴィルの『白鯨』と並ぶもう一つの代表作、『バートルビー』(Bartleby 1853)の、新展開。

できれば私たち、そうしないほうがいいのですが。
逃避か、拒否か、怠惰か、絶望か。彼の選択には、いかなる言葉もあてはまらない。
永遠の謎を湛えた人物像が、混沌の現代日本のどこかに佇み、あなたが気づくのを待っている。

8月24日(月)~9月9日(水)

平日19:00/日曜日14:00
但し26日(水)・9月5日(土)・8日(火)14:00の部あり
29日(土)・9月9日(水)14:00の部のみ
9月2日(水)休演

会場 = 下北沢ザ・スズナリ

一般前売3,300円 ペア前売6,000円 当日3,600円
U-25(25歳以下)/ 大学・専門学生 2,500円 
高校生以下1,500円
※学生、U-25は、前日までに電話またはメールでご予約の上、
当日受付にて要証明書提示。


円城寺あや  
都築香弥子
中山マリ 
鴨川てんし 
川中健次郎 
猪熊恒和 
大西孝洋  
杉山英之 
武山尚史 
樋尾麻衣子
松岡洋子 
田中結佳 
宗像祥子 
長谷川千紗 
秋定史枝 
川崎理沙 
宇原智茂 
根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○久寿田義晴
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
擬闘○佐藤正行
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
衣裳協力○小林巨和
舞台協力○森下紀彦
演出助手○山田真実
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 桐畑理佳 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ

★ゲストと坂手洋二によるアフタートークも開催されます

8月25日(火)19:00の部 池澤夏樹(詩人・評論家・作家)
8月26日(水)19:00の部 巽孝之(慶應義塾大学文学部教授、日本アメリカ文学会第15代会長)・Samuel Malissa(イエール大学東アジア学科大学院博士課程)
9月7日(月)19:00の部  大和田俊之(慶應義塾大学教授)
※本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


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慶應義塾有志の会による 安全保障関連法案の廃案要請

2015-08-15 | Weblog
慶應義塾有志の会による、「慶應義塾有志の会による安全保障関連法案の廃案要請」が公開されました。
有志の会は、2015年8月15日現在、206名。

…………………………


慶應義塾有志の会による
安全保障関連法案の廃案要請

私たちは、今般の政府与党による安全保障関連法案の内容およびその審議の過程に対して強い懸念を表明し、法案の廃案を求めます。              


 現在の自公連立政権は2014年7月に憲法の解釈変更によって集団的自衛権行使を容認し、それに基づいて第二次世界大戦終結後70年にあたる本年5月、安全保障関連法案を国会に提出しました。この間、同法案に対しては、圧倒的多数の憲法学者と歴代の内閣法制局長官が憲法違反だと考え、一般の声も多くの調査で半数が法案に反対し、賛成は3割以下に留まっています。

 その声を無視して、与党が7月16日に衆議院で安全保障関連法案を強引に可決したことは「多数決の専制」です。これまでの国会での審議における政府側答弁は説明の体をなしておらず、現政権が法の支配を軽んじていることがますます明らかになってきています。この政権下で国会に提出されているかたちでの安全保障関連法案が成立すれば、国家権力を牽制する立憲主義そのものが破壊され、憲法の条文の意味がなくなってしまうことを私たちは強く憂慮します。

 もとより、集団的自衛権、それと区別される「集団安全保障」、さらに安全保障政策一般について現実的な議論を進めることは重要なことでありましょう。しかし、法の支配を捨て、憲法の空文化をもたらすかたちで議論と法整備を進めるのであれば、それは事実上の独裁と呼ばざるをえない事態となります。この国の安全保障政策は、立憲主義を尊重する政府のもとで進められねばなりません。

 立憲主義を尊重しない政府のもとでは、言論の自由、表現の自由、報道の自由、そして「学問の自由」がいっそう抑圧されていく可能性を憂慮せざるをえません。それはすでに、報道や言論に対する政府の介入をはじめ、人文社会科学系研究教育機関への改廃要請という形で表われ始めています。このままではやがて、日本国憲法第23条が保障する「学問の自由」そのものの抑圧をも導き、多くの学者研究者が批判能力を殺がれ自主規制を余儀なくされ、学生たちは自由な研究の成果を受け継ぐことができなくなるでしょう。

 慶應義塾の創立者、福澤諭吉が『学問のすゝめ』で説いたのはべつだん象牙の塔に限られた学問の可能性ではなく、あらゆる人々に向かって開かれた知的可能性と自由独立精神そのものです。福澤は、庶民ひとりひとりが学問することによって、その精神をおおらかに発展させるような社会教育を目指していました。そこでは、学問はいかなる権力からも権威からも自由です。一方で、福澤の思想が近代日本に与えた影響のネガティブな側面や、また慶應義塾も日本の帝国主義・軍国主義の時局下で迎合を余儀なくされた事実の真摯な検証や厳しい評価の必要性を忘れてはなりませんが、そのためにも学問の自由は決定的に重要です。学問的発展を閉ざした国家と社会には、未来は永遠に訪れません。

 真の安全保障は、国内外を問わず学問の自由を推進することによってこそ成立します。学問と言論の自由を圧殺することから生まれるものは、不信感と憎しみしかありません。ところが 現在、歴史を忘却し真実を歪曲してやまない現政府は、この暴挙と呼ぶべき法案によって学問の自由を、幸福の追求の権利を、ひいては国民の生命をも危険にさらそうとしています。

だからこそ、慶應義塾における教育と研究に誇りをもつ有志一同は、ここに今般の安全保障関連法案が間違いなくもたらす立憲主義と学問の自由の危機を憂慮し、その一刻も早い廃案を強く希望します。

 2015年8月15日

慶應義塾有志の会


http://keioyushi.wix.com/keiostandsup
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「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について

2015-08-11 | Weblog
「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について
という自衛隊の内部資料とされるものを、共産党の小池晃政策委員長が入手し、11日の参院平和安全法制特別委員会に提出した。

小池氏。
「新ガイドラインは集団的自衛権行使、米国などに対する武力攻撃への共同対処を明記するとともに、アジア太平洋地域およびこれを超えたグローバルな協力を打ち出して、地球規模で自衛隊が米軍に協力をし、従来の戦闘地域にまで行って軍事支援をすることをうたっている。これは、日米安保条約の実質的な改訂であって、地球規模の軍事同盟への根本的転換だと思います。こういう大転換を、国会での法案審議が行われてもいないのにアメリカに誓約してきた。これは日本の独立と主権をないがしろにする異常な対米従属の姿勢だというふうに言わざるをえません。」
「説明文書の中にこうあります。「ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと、平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中ではこれらが区別されることなく記載されている」と。これね、本当に率直に書かれているんですね。大臣。法案が成立しなければ実施できない内容を、国会で議論もしないうちに日米合意し発表したことになる。そういうことですね。」

中谷大臣。
「また、あの、提示の資料につきましては、あの、少なくとも防衛省といたしまして、これまで公表した資料にあるとは、あの、承知をしておりません。」

小池氏。
「こういう、ガイドラインと法案の関係を示す重大な文書ですよ、これ。根幹問題ですよ。それを大臣が知らないってこと自体が私はこれ大問題だと思うんですよ。~まだ国会で審議の真っ最中ですよ。それを受けた今後の方向性を、統幕がね、議論しているというわけですよ。大臣ね、統合幕僚監部がすでに、新ガイドライン・法案を受けた今後の方向性の検討に入っていることをご存知でしたか。」

中谷大臣。
「はい。あの、この安保法案につきましては、国会の審議が第一でございますし、また法案が成立した後ですね、これはあの検討を始めるべきものでございます。」

小池氏。
「いま大臣は法案が成立してから検討すべきものだと仰った。だとすれば、統幕でこういう検討していたのは大問題じゃないですか。これをどうされるんですか。」
「~運用面の調整を実施する、軍軍間の、軍軍間の調整所が設置される(と記されている)。軍軍間って何ですか。自衛隊と米軍ですか。自衛隊いつから軍になったんですか。」
「~これすべて、法案の成立を前提とした、克明な自衛隊の部隊の編成の計画まで含めて出されているじゃないですか。こんなことはね、戦前の軍部の独走ですよ。こんなことは絶対許されない。こんなものが出たままで議論なんかできないじゃないですか、この法案の。この法案撤回するしかないですよ。これもうちょっと止めていただきたい。はっきりさせていかないとこれ以上議論できない。」

議会はこれで散会。
明日以降はどうなるか。

法案成立前に自衛隊が新法成立を前提に基本計画を変更していた動きを、防衛大臣も防衛省も知らなかったとすれば、大問題。
内閣総辞職が当然であろう。

中谷防衛相はいったん「承知していない」としながら、「同じ表題の資料は存在します」と答弁。しかし、「細部まで特定するには多少時間がかかる」として審議を中断。
資料の存在を認める一方で具体的な内容の確認を避けたが、これはまさに「特定秘密」として扱っているつもりだったということもありうる。こうして秘密文書を誰かがリークしない限り「国民には何が秘密かさえわからない」という、国民無視の「秘密」の横行ということになる。

昨日、日本劇作家協会は、「安全保障関連法案」「集団的自衛権行使を認める閣議決定」の撤回を求めるアピールを出した。
その前文ではまだ法案成立後の可能性として記した「先制攻撃をも含む外国軍との一体化」が、進められていたわけだ。
安倍首相は今年4月、安全保障関連法案を国会に提出する前に、米議会で「夏までの成立」を勝手に約束してしまっていたが、今日露見した文書によれば「ガイドライン、平和安全法案を受けた今後の方向性」は「8月に法案成立」とあり、法案成立を前提とした、具体的な自衛隊の部隊の編制まで書かれていた。
憲法9条の専守防衛では否定される「実力をもって阻止する攻撃」を可能とする体勢を、日米間では既に具体的な案として、推進していた。
「防衛大臣も防衛省も知らなかった」とすれば、まさに「 外交や、文民的な意見の表出を突き詰めることによって戦争への道を阻む」方策が、門前払いされていたことになる。
いずれにせよ、新安保法制後の世界では、戦争を阻止するための「言論と「表現の自由」を行使する機会」や、国会論議や国民意見の入る余地など、想定されていないことが露呈した。

そしてネットに配信されている「NHKニュース」では、「小池氏は、「法案の成立を前提に、部隊の編成計画まで出ており、絶対許されず法案を撤回すべきだ。これ以上議論できない」と主張して納得せず、質疑が中断しました。このあと理事懇談会が開かれ、与党側は、審議を続けるよう求めましたが、野党側は、「まず、この資料が事実かどうか明らかにすべきだ」などとして折り合わず、委員会は質疑が再開されないまま散会しました。」と締めくくっているが、どうみても「小池氏のせい」で「質疑が中断し、再開されないまま散会した」という書き方に見える。ずいぶん偏った報道である。

同じ日に、鹿児島県の川内原発1号機再稼働。午後11時には核分裂反応が安定的に持続する「臨界」に達した。14日に発電と送電を開始予定。
国内の全ての原発が停止した「原発ゼロ」状態は一年十一ヶ月ぶりに終わった。ただただ虚しい。

「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について
という文書の一部は、以下で読める。
http://www.jcp.or.jp/web_download/data/20150810183700620.pdf
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日本劇作家協会 「安全保障関連法案」「集団的自衛権行使を認める閣議決定」の撤回を求めるアピール

2015-08-11 | Weblog

厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしですか。

 国民的関心の高い「集団的自衛権」ですが、政府案では、先制攻撃をも含む外国軍との一体化を否定せず、憲法9条の専守防衛では否定される「実力をもって阻止する攻撃」を認めています。
 「戦争を止めるには別な戦争が必要である」ことを前提とする考え方は、 外交や、文民的な意見の表出を突き詰めることによって戦争への道を阻むこと、つまり戦争の危機に向けて、言論と「表現の自由」を行使する機会を大幅に奪う可能性があります。
 安倍首相は今年4月、安全保障関連法案を国会に提出する前に、米議会で「夏までの成立」を約束しました。国会論議や国民意見を拒否する行動であり、 手続き的にも言論と表現の自由が尊重されない状況です。
 私たちは表現者として、国民議論を無視する趨勢を阻止する必要を感じ、また、広く観客も含めた演劇に関わる皆さんの理解を求め、以下のアピールを提出することにしました。

      …………………………………………


「安全保障関連法案」「集団的自衛権行使を認める閣議決定」の撤回を求めるアピール

 日本劇作家協会は、昨年7月14日、「集団的自衛権行使を認める閣議決定に抗議し、撤回を求める緊急アピール」を発表しました。
 その末尾で私たちは「この閣議決定に基づく全ての法案提出にも反対します」と表明しました。
 実際、今年7月16日に衆議院で強行採決された「国際平和支援法案」「平和安全整備法案」からなる安全保障関連法11法案は、ほぼすべての憲法学者が違憲と指摘するものです。

 また、2013年に強行採決された「特定秘密保護法」では、国民の知る権利が担保されておらず、政府が「何が秘密なのかを永遠に秘密にできる」内容であり、憲法違反が仮にあっても、それを指摘することすら困難となります。

 過去の議論を無視した憲法の否定や、国民への説明の軽視は、私たち劇作家がよって立つ「言葉」の力を踏みにじることに他なりません。表現者・言論人の取材活動と表現活動を支えるのは、憲法の根本原理たる市民的自由です。
 私たちは表現者として、このたびの強行採決に反対し、一括法案の廃案と、あらためて「集団的自衛権の行使を認める閣議決定」及び「特定秘密保護法」の撤回を求めます。


2015年8月11日 
 
一般社団法人 日本劇作家協会 

 *表現や言論の各団体にこのアピールへの賛同を広く呼びかけています。

http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20150811
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「長崎平和宣言」と現政権の距離

2015-08-10 | Weblog
長崎に原爆が投下されてから70年、平和祈念式典が同市平和公園で開かれた。過去最多の75カ国から大使らが出席したという。
田上富久長崎市長による「長崎平和宣言」は、極めて正当なものである。
この中で、参院で審議中の安全保障関連法案について、言及している。
「現在、国会では、国の安全保障のあり方を決める法案の審議が行われています。70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、いま揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯な審議を行うことを求めます。」
それに対して安倍晋三首相は会見で「(安全保障関連法案は)戦争を未然に防ぐためのもので、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくために必要不可欠なものだ」という。
だが、「私たち日本人は、誰ひとりとして戦争など望んでいない」と言い訳しても、それが「戦争を防ぐためには別な戦争をすることになっても仕方がない」という考えに基づいたものである以上、「平和」を優先するものではないことは明らかだ。
安倍首相は「外交を通じて平和を守っていくことが重要なのは言うまでもない。今後とも積極的な平和外交を進めていく」というが、安倍政権の「外交」ほど危険きわまりないものはない。
そして6日の広島平和記念式典の挨拶で「非核三原則」に言及しなかったと指摘されたことに対応したのだろう、「世界で唯一の戦争被爆国として、非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない世界の実現に向けて、国際社会の核軍縮の取組を主導していく決意を新たにした」とは言っている。
しかし、5年に1度開催される核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議について、本年度4~5月の会議では、被爆70年の節目に開催されたにも関わらず、最終合意には至らなかった。
その主たる原因は、中東地域で唯一の非加盟国であるイスラエルがIAEAの査察受け入れを拒み、アラブ連盟が要求するイスラエルの核拡散防止条約(NPT)への加盟を求める決議案がアメリカ・日本等の反対により否決されていることなどが大きい。
本当に「唯一の被爆国」として核軍縮を求めていくなら、国連総会に新たな核兵器廃絶決議案を提出するとか、国際会議を広島・長崎で開催するとか、安倍首相が演説で自慢げに語った抽象的で見栄えのいいことばかりではだめだ。
安倍首相のいう「平和外交」はアメリカの属国化を強めるだけである。「日本をめぐる安保環境が厳しさを増している」「万が一への備えを怠ってはいけない」と言うなら、まず日本がアメリカとは違う国であることを明白にさせていくべきである。
アメリカの属国として盲従するのではなく、「唯一の被爆国」として、イスラエルの核保有を断念させるべきだ。そうしたかっちりとした態度も示せずに言う「核軍縮」など、国際的な信用を得られるわけがない。

中谷元防衛相は5日午前の参院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案に基づく他国軍への後方支援で、自衛隊が弾薬として「核兵器を運ぶ可能性」について「法文上は排除していない」との認識を示した。後方支援活動として核兵器を搭載した戦闘機や原子力潜水艦への給油活動ができることも認めた。外務大臣は「今、承知しました」などと、いい加減きわまりない対応をした。
防衛相は「非核三原則もあり、あり得ない」と言い訳はしたが、非核三原則は、核兵器を「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」が基本であり、「海外での活動は関係ない」という詭弁に持ち込む可能性がゼロであるとは言えない。
アメリカから原爆を落とされた国が、アメリカの核兵器を運ぶことができるよう法整備しようとしている。
そして、そもそも「核兵器も弾薬だから運ぶことは有り得る」と言ってしまうなら、核兵器に特化した不拡散条約の存在意義を、まったく無視していることになるではないか。
横畠裕介・内閣法制局長官からは、「憲法上、核兵器を保有してはならないということではない、とこれまで答弁しております」という暴言が飛び出した。
なぜもっと問題にされないのか。
安倍首相にとって「核兵器廃絶」は国際社会で正当に述べることの出来る数少ない「正論」である。だがそれが表面的で空疎なものでしかないことは、とうに露見している。
安倍首相の口にする「唯一の被爆国」という物言いは、被曝した人たちを冒涜するものに聞こえる。
そうでないというなら、「国の安全保障を核抑止力に頼らない方法を検討してください。アメリカ、日本、韓国、中国など多くの国の研究者が提案しているように、北東アジア非核兵器地帯の設立によって、それは可能です。未来を見据え、「核の傘」から「非核の傘」への転換について、ぜひ検討してください。」という田上市長の言葉に、安倍首相は誠実に応えているはずだからだ。


「長崎平和宣言」本文は以下の通り。

…………………………

平成27年 長崎平和宣言

 昭和20年8月9日午前11時2分、一発の原子爆弾により、長崎の街は一瞬で廃墟と化しました。
 大量の放射線が人々の体をつらぬき、想像を絶する熱線と爆風が街を襲いました。24万人の市民のうち、7万4千人が亡くなり、7万5千人が傷つきました。70年は草木も生えない、といわれた廃墟の浦上の丘は今、こうして緑に囲まれています。しかし、放射線に体を蝕まれ、後障害に苦しみ続けている被爆者は、あの日のことを1日たりとも忘れることはできません。

 原子爆弾は戦争の中で生まれました。そして、戦争の中で使われました。
 原子爆弾の凄まじい破壊力を身をもって知った被爆者は、核兵器は存在してはならない、そして二度と戦争をしてはならないと深く、強く、心に刻みました。日本国憲法における平和の理念は、こうした辛く厳しい経験と戦争の反省のなかから生まれ、戦後、我が国は平和国家としての道を歩んできました。長崎にとっても、日本にとっても、戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点です。
 今、戦後に生まれた世代が国民の多くを占めるようになり、戦争の記憶が私たちの社会から急速に失われつつあります。長崎や広島の被爆体験だけでなく、東京をはじめ多くの街を破壊した空襲、沖縄戦、そしてアジアの多くの人々を苦しめた悲惨な戦争の記憶を忘れてはなりません。
 70年を経た今、私たちに必要なことは、その記憶を語り継いでいくことです。
 原爆や戦争を体験した日本そして世界の皆さん、記憶を風化させないためにも、その経験を語ってください。
 若い世代の皆さん、過去の話だと切り捨てずに、未来のあなたの身に起こるかもしれない話だからこそ伝えようとする、平和への思いをしっかりと受け止めてください。「私だったらどうするだろう」と想像してみてください。そして、「平和のために、私にできることは何だろう」と考えてみてください。若い世代の皆さんは、国境を越えて新しい関係を築いていく力を持っています。
 世界の皆さん、戦争と核兵器のない世界を実現するための最も大きな力は私たち一人ひとりの中にあります。戦争の話に耳を傾け、核兵器廃絶の署名に賛同し、原爆展に足を運ぶといった一人ひとりの活動も、集まれば大きな力になります。長崎では、被爆二世、三世をはじめ、次の世代が思いを受け継ぎ、動き始めています。
 私たち一人ひとりの力こそが、戦争と核兵器のない世界を実現する最大の力です。市民社会の力は、政府を動かし、世界を動かす力なのです。

 今年5月、核不拡散条約(NPT)再検討会議は、最終文書を採択できないまま閉幕しました。しかし、最終文書案には、核兵器を禁止しようとする国々の努力により、核軍縮について一歩踏み込んだ内容も盛り込むことができました。
 NPT加盟国の首脳に訴えます。
 今回の再検討会議を決して無駄にしないでください。国連総会などあらゆる機会に、核兵器禁止条約など法的枠組みを議論する努力を続けてください。
 また、会議では被爆地訪問の重要性が、多くの国々に共有されました。
 改めて、長崎から呼びかけます。
 オバマ大統領、そして核保有国をはじめ各国首脳の皆さん、世界中の皆さん、70年前、原子雲の下で何があったのか、長崎や広島を訪れて確かめてください。被爆者が、単なる被害者としてではなく、「人類の一員」として、今も懸命に伝えようとしていることを感じとってください。
 日本政府に訴えます。
 国の安全保障を核抑止力に頼らない方法を検討してください。アメリカ、日本、韓国、中国など多くの国の研究者が提案しているように、北東アジア非核兵器地帯の設立によって、それは可能です。未来を見据え、「核の傘」から「非核の傘」への転換について、ぜひ検討してください。

 この夏、長崎では世界の122の国や地域の子どもたちが、平和について考え、話し合う、「世界こども平和会議」を開きました。
 11月には、長崎で初めての「パグウォッシュ会議世界大会」が開かれます。核兵器の恐ろしさを知ったアインシュタインの訴えから始まったこの会議には、世界の科学者が集まり、核兵器の問題を語り合い、平和のメッセージを長崎から世界に発信します。
 「ピース・フロム・ナガサキ」。平和は長崎から。私たちはこの言葉を大切に守りながら、平和の種を蒔き続けます。
また、東日本大震災から4年が過ぎても、原発事故の影響で苦しんでいる福島の皆さんを、長崎はこれからも応援し続けます。

 現在、国会では、国の安全保障のあり方を決める法案の審議が行われています。70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、いま揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯な審議を行うことを求めます。
 被爆者の平均年齢は今年80歳を超えました。日本政府には、国の責任において、被爆者の実態に即した援護の充実と被爆体験者が生きているうちの被爆地域拡大を強く要望します。
 原子爆弾により亡くなられた方々に追悼の意を捧げ、私たち長崎市民は広島とともに、核兵器のない世界と平和の実現に向けて、全力を尽くし続けることを、ここに宣言します。
                
2015年(平成27年)8月9日
長崎市長  田上 富久

で、
以下のアドレスで末尾の「賛同」ボタンを押せば誰でも賛同できる。

http://nagasakipeace.jp/japanese/peace/appeal.html

長崎平和宣言に賛同される方は、「賛同」ボタンをクリックしてください。
(長崎平和宣言の賛同者数を調査しております)ということである。
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