Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

内心は落ち着かない日

2012-09-30 | Weblog
粛々と仕事。普天間の座り込み、基地閉鎖状況を気にしつつ。……昼前、横浜へ。TPAM in Yokohama(www.tpam.or.jp)トーク・セッション「表現の自由をめぐって」。中根公夫さんと、三時間半、語り尽くす。田村光男さん、眞野純さん、シアターアーツの柾木編集長、PAW一宮さん、解体社の清水さんらも来てくれる。過去のこと、難解なことも多い題材。40歳以下の世代にとってはとくに、予備知識というか共有要素を理解していないとついていけないかもしれないが、濃く、切実かつ重要な内容を、若い人たちが熱心に聞いてくれて嬉しい。前半だけ、後半だけの人もいたが、のべで言うと主催者が用意した座席はほぼ埋まった。民度が高いぞ、横浜! ……夜は座高円寺地下に移動、劇作家協会〈月いちリーディング〉。このシリーズの命名者は私である。「いち」が平仮名なのがミソである。一ヶ月に一回というだけのことだが。今日の作品は、私の研修課での生徒でもある嶽本あゆ美・作『太平洋食堂』。ゲストは成井 豊 ・ 中津留章仁、コーディネイター・石原 燃、ファシリテイター・長谷基弘。燐光群からは猪熊恒和 、鴨川てんし 、川中健次郎、杉山英之 が出演。円城寺あやがト書きを読む。とりあえず好評に一安心の作者獄本だが、書き換えるための課題は多いぞ。盛況で何より。
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普天間を思いつつ

2012-09-29 | Weblog
資料を読み、書類をまとめる。ブロットの組み直し。事務。粛々と仕事。……普天間の座り込み、基地閉鎖状況を気にしつつ。高江からも普天間基地に駆けつけている人がいる。24時間の座り込みの覚悟で、睨み合い、小突きあい、怒鳴りあう中、野嵩ゲートに続いて大山ゲートも閉鎖に持ち込んだようだ。普天間基地内に出入りできないので、2004年8月の沖縄国際大学へり墜落事故の後ずっと使われていなかった佐真下ゲートを開門したが、その佐真下ゲートも封鎖。私が『普天間』で取材した仲宗根さんご一家が住まわれているのはこの表だ。かくして普天間基地すべてのゲートを閉鎖させた。戦後の米軍統治から現在にいたるまで、住民の力で基地を包囲できたのは初めて。沖縄の新しい歴史が開かれた。哀しいのは、住民と向き合う警察官も沖縄県民だということだ。何度も封鎖が破られ、機動隊にもみくちゃにされ、三人の住民が負傷、2人は肋骨にひびが入り、1人は脳しんとうで救急搬送されたという。午後7時過ぎ、抗議集会は大山ゲートの封鎖を解き、この日の行動を終えた。台風接近のため警察とのにらみ合いを続行するのは難しいと判断したのである。オスプレイ配備は週明けの1日に予定されている。……黙っていられない。じっとしていられない。でも仕事はしなくてはいけないので、そうした情報を聞きつつ、いったん、九十年代後半を中心にずっと仕事場にしていた近所(自宅じたいは移っているが、私の引っ越しは近くから近くへばかりなのである)のファミレスへ。禁煙席(今は喫煙席になっている)の端のコンセントに電源を挿すことのできた私のかつての「指定席」に。『天皇と接吻』も『海の沸点』も大半はここで書いた。通信はできない場所。腹を据えて仕事するが、携帯はつながるので気が散る面もあり。……今はコンセントに電源はさせない。それにしても、コンセントをお客に使わせないこの偏狭さは、何なのか。世界各国のカフェ等で、コンセントがあるのに使わせないなんてことは、まず、ない。このファミレスも、十年くらい前の改装以降、コンセントに蓋がされてしまった。豪徳寺のチェーン店のコーヒーショップでも、その頃、コンセントを使ったら、若い店員に叱られた。電気泥棒だとでも思っているのか。コンセントを提供するチェーン店もないわけではないが、この国特有のそういうよくわからない「ルール」への従属が、国を滅ぼすのだ。……帰宅、落ち着かない。息子と今後の進路について話。……フェイスブックで宣伝してくれと担当者に言われて、TPAM in Yokohama(www.tpam.or.jp)の関連イベントであるトーク・セッションの情報をシェアする。中根公夫さんが、今の状況と六十年代を貫いて語り尽くす「表現の自由をめぐって」。29日午後1時より開催。ヨコハマ創造都市センター(YCC)三階(詳細はこちらから→http://www.parc-jc.org/)。私も七十年代からの変遷と今について語らねばならないようだ。しかし、こんな地味な企画に、皆さん来てくれるのかしら。
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人形劇の日

2012-09-28 | Weblog
オスプレイ普天間配備に対抗する沖縄の皆さんのゲート閉鎖へのたたかいの模様を中継動画でパソコンモニターの画面の端に置きつつ、仕事。沖縄は28日が焦点だと思われているが、オスプレイじたいは台風の影響で移動は先延ばし。……夕方に町屋ムーブへ、『3分間の女の一生』の人形劇部分も担当した秋葉ヨリエが手掛ける現代人形劇グラシオブルオでの初の本公演「邪馬台国のチサとオト~夜明け」ゲネプロへ。幾つかコメントする。日本ではあまり他にないジャンルの人形劇、磨きあげてゆくには時間がかかるだろうけれど、続けて可能性を拓いてほしい。……夜は江戸糸あやつり人形・結城座「ミス・タナカ」。天野天街演出と結城座のカップリングは、やる方はたいへんだっただろうが、予想通りの充実。途中台詞が聞き取りにくかったり、停滞する部分もあるが、孫三郎さんもいきいきとしている。江戸糸あやつり人形というジャンルに少年王者館テイストが炸裂しているのだ。女形の役を女性が演じるという仕掛けの面白さも生きた。作者のジョン・ロメリル氏はオーストラリア劇作家協会の会長だった。1999年から斎藤憐さん、オーブリー・メロー氏らと中心になってアジア・コラボレーション合作〈ランドマイン・プロジェクト〉を進めてくれた人だ。彼が全体統括の立場で私の『じらいくじら』をエンディングにすると決めた。制作母体の一つだったメルボルンの撤退で企画じたいは頓挫したが、そこから『だるまさんがころんだ』がうまれたし、『じらいくじら』はついに今年上演したのだと伝える。ジョンはどこか憐さんに似ているが、それは本人には言わない。二人で憐さんを偲ぶ。天野氏とも四半世紀以上のつきあいだ。八十年代半ば、彼が演出した新宿ニューモダンアートのストリップで私が看板を描いて以来なのである。平井航さん、高橋淳一さんとも話す。というわけで、夕方からは人形劇の日だった。……そして渋谷へ。「非戦を選ぶ演劇人の会」の来年3月の企画について、小一時間、話。
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「島々」の国という自覚

2012-09-27 | Weblog
防衛省は米軍岩国基地で試験飛行を実施している新型輸送機MV22オスプレイについて、普天間飛行場への配備が早ければ28日になると関係自治体に一方的通告。県知事始め自治体長らの要請も、10万人の県民大会の意思表示も踏みにじる暴挙。95年の少女暴行事件以来の沖縄での運動とSACO合意等の折衝、決して全てが好転してきたわけではないにせよ長い年月を掛けて積み重ねてきた展開が、結局行き着く先はここなのか。このままではすまない。国家の強制に抗う沖縄は、本気だ。どうして日本じゅうが正しく関心を寄せないのか。28日は、沖縄と日本にとって、決定的な分岐点になるだろう。それがどこに向かうかだ。……ヤマトは日本という国を「単一の民族・言語・社会観」で括ろうとしてきた。九州・四国・北海道も、橋やトンネルで繋ぐことで「本州化」することをよしとしてきた。そうした本州主義=単一の「島国根性」志向を脱却し、自分たちの国が「島々」によって成り立っていることを、今こそ痛感すべきである。そうした自覚さえなく、特定の島について「領土」を主張することじたい、傲慢でしかない。……原子力規制委員会が、毎週開く委員会終了後の記者会見について、「特定の主義主張を持つ機関の機関紙」を排除し、フリーランス記者についても「どういった雑誌に、どういった記事を書いているかを見て、特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただいています」と「検閲」する方針を明らかに。悪評高き田中俊一委員長は「地に落ちた原子力安全行政に対する信頼を回復する」ため「透明性を確保する」「報道機関への発表を積極的に行うことで、委員会としてのメッセージを分かりやすく伝える」方針というが、まったく矛盾しているし、表現の自由を奪うものだ。「赤旗」を政党機関紙というなら、産経グループは特定保守派の紐付きであろう。原子力行政に批判的なメディア発信者の恣意的排除は、許されることではない。……自民党新総裁に安倍晋三元首相が選出される。韓国等が言うように彼が「極右」かどうかは見極めなければならないだろうし、次の選挙で自民党と維新が躍進するようなら、平和憲法は風前の灯である。この人は、なぜ以前に政権を放り出したかについて、いまだに納得のゆく説明ができていない。……仕事はしているが、魂はまだ犬島の浜に置いてきてしまっているようだ。なかなか捗らない。
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逃げも隠れもできない立ち位置

2012-09-26 | Weblog
岩国基地に「一時駐機」中の新型輸送機MV22オスプレイは「試験飛行」を3日連続で実施。住宅地上空を飛行、低空で周回、離着陸を何回も繰り返した。明らかに「日米合同委員会の合意」に反する飛行があったと推察される。日米合意の安全確保策では、移動の際は可能な限り水上を飛行することになっているが、岩国市由宇町と同県周防大島町の住民から「住宅地の上空をオスプレイが通過した」との目撃があった。安全確保策では他に、垂直離着陸を行う「ヘリコプターモード」での飛行を原則として米軍の施設・区域内に限っているが、二十三日には区域外の広島湾などでオスプレイがヘリモードで飛行する様子が目撃されている。基地北側の堤防から30回近い「違反」を確認した報告もある。なのに米軍に何も言えない日本政府。「違反」はすぐに「常態化」する。沖縄はずっとその試練に耐えてきたのだ。……台湾の漁船団と巡視船、計約50隻が尖閣諸島魚釣島沖に領海侵入、退去を求め30隻を超える巡視船艇を出動させた海上保安庁と台湾の巡視船が放水で応酬、一時緊迫した状況となったという。「日米安保」があることは、こうした事態に何も関係がないし、関係があってもいけないのだが、この国では「オスプレイが来れば、尖閣を守ってくれる」という論調がまことしやかに横行している。無知にも程がある。……宮城康博氏が指摘するように、沖縄県知事のみならず、県議会及び全市町村首長と議会がオスプレイ配備に反対している現状で、日本政府が勝手に「安全宣言」して普天間へオスプレイが飛来し配備されるのは「強行」以外の何ものでもない。こうして岩国で先んじて「強行」の実例が示されたことの重みを、日本政府は沖縄の人たちほどに重く受け取っていない。いまや沖縄県下全自治体がオスプレイ配備反対決議をしている。保守系の仲井真知事でさえ「(安全宣言の)中身は『人間が失敗しやすい飛行機である』と言っているだけで、何でこれが安全か、論理の飛躍がいろいろある」と言い、そもそも7月1日に「強行なら全基地閉鎖しかない」と言っている。それを無視した形でほんとうに強行配備されてしまえば、沖縄から「自治」はなくなる。宮城氏が言うように「主権者の一人一人の一票で選ばれた議会議員は、その存在をかけ、最前線に立ち、逮捕されなければならない」というところまで、切迫した事態なのである。「全基地閉鎖」、この知事の言葉を、額面通りに受け止めたい。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代さんは「逮捕されても生活に影響のない65歳から75歳」を中心に、行動に打って出る準備をしはじめているという。オスプレイ配備阻止行動の普天間基地ゲート前連続座りこみが、9月26日(水)から 無期限で始まる。ほんとうに正念場になってしまった。このたたかいが成就することを祈る。そして、反オスプレイの人達に、普天間を封じ込めることも大事だが、オスプレイパッド工事が強行され、夜明け前から工事強行をくい止めるため少人数の人たちが身体を張っている高江についても、同様に抗議してほしい。……などと言っても、自分が仕事に首を絞められて東京を離れられないことが、苦しくてたまらない。……こうして米軍の軍事戦略下にあるこの国で、自民党は「徴兵制導入」の検討を明確に打ち出した。参院選を視野に、離反した保守層を呼び戻す狙いというが、陸上自衛隊と米軍のキャンプ・ハンセン共同使用訓練急増に見られるように、昨今のアメリカの日本軽視に堪えきれず、憲法改悪なども含めて軍事的な繋がりを打ち出し、「なんとか見捨てないでほしい」と擦り寄ろうとしているのである。……大阪市の橋下市長は、従軍慰安婦に関する橋下氏の発言の撤回や謝罪を求めている元慰安婦の女性と「お会いしたい」と言ったらしい。「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」「証拠があるなら韓国の皆さんに出してもらいたい」などと発言している者が、どの面下げて会うつもりか知らないが、「慰安婦の方の意見にもしっかり耳を傾けないといけない」と言いつつ、「証拠がなかったら事実を認めることはできない」という主張を変えていないという。元慰安婦の女性は「謝罪したいというならともかく、話を聞こうというだけなら面会する必要はない」と話したというが、「維新の党」の支持率急低下に見られるように、こうした、人の心を踏みにじるごまかしのパフォーマンスも、もう通用しなくなっている。二年前の大阪府知事時代、当時の鳩山首相が招集した知事会で「普天間の米軍ヘリ部隊を関西に呼んでもいい」と発言していたはずが、最近は「普天間の移設先の基地は辺野古に置かなければならない、自分が沖縄に行って話したい。防衛のためには必要」とまったく無責任に意見を変えている。海兵隊の機能と現状さえ理解できていないこの男が沖縄に行って、どういう反応が返ってくると思っているのか。あまりにも愚かだ。……帰京して、思いの外、疲れていることを痛感。自宅に戻っても、南谷朝子の主題歌と太田惠資ヴァイオリンの旋律が頭の中をぐるぐる巡っている。『内海のクジラ』の余韻はなかなか消えることがない。……写真の、コンクリに貼ってある黒いビニールテープは、犬島西ノ谷湾岸に於ける『内海のクジラ』の「舞台」の、センター場ミリ。この後に私自身が立って、場当たりとリハーサルの間、俳優たちにセンター位置を示していたのである。劇場でもたまにそういうことはあるが、中央に立つ演出家は、出演者たちにとって、咄嗟の目印に、最適なのである。作品に責任を取る立場としては、逃げも隠れもできない立ち位置であるともいえる。もちろん本番には私はそこにはいないのだが。
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観客が目を瞑るとき

2012-09-25 | Weblog
すべてが終って、何もない浜辺に戻った。私たちも犬島を離れる。
……『内海のクジラ』には、観客に目を瞑ってもらうよう促すシーンがある。
多くの、おそらく八割以上の観客が、じっさいに目を瞑ってくれた。東京から観に来てくれた伊藤裕作さんが、「そりゃ瞑るよ」と言ってくれた。
ありがたいことである。

旅人 ……私は海を怖れますが、それは海を知っているからです。
歌歌い ホンモノの海を知らないんじゃなかったの?
旅人 私が産まれる前の記憶です。
歌歌い 物覚えいいんだね。
旅人 聞こえています。クジラが私を呼ぶ声も。
歌歌い どこから呼んでいる。
旅人 闇の奥。
歌歌い 闇の奥の、そのまた奥から呼ばわる声。
旅人 闇の奥の、また奥の、その向こうに辿り着くには。
歌歌い 辿り着くには。
旅人 闇の力が必要です。
島の女2 闇の。
島の女4 闇の。
島の女3 闇の力。
歌歌い 闇の力。
旅人 海底と宇宙は似ています。……昼間の海中は意外と明るい。しかし深海の底深く沈めば、ましてや夜ならば、その漆黒は、夜空より深い。
歌歌い (歌う)深海に宇宙を発見せり。
旅人 闇の力が引き寄せる。
歌歌い (歌う)いつかそんな夢を見た。
旅人 夢じゃありません。
歌歌い (歌う)夢は正夢、醒めぬなら。
旅人 私は呼ばれてきたのです、その海底の闇のクジラに。
歌歌い (歌う)導く先に闇クジラ。
島の女1 (目を瞑り)会ってみたい、闇クジラ。
島の女2 (目を瞑り)耳を澄ませて、闇クジラ。
島の女3 (目を瞑り)触れてこそ知る、闇クジラ。
歌歌い (歌う)そうやって目を閉じ、深い海の闇の底に旅立て。
島の女4 あなたも。
島の女1 あなたも。
島の女2 あなたも。
歌歌い 目をつむってもらう?
旅人 どうか。
島の女3 目を閉じて。
島の女4 どうか。
旅人 どうか。
島の女2 目を閉じて。
島の女3 立ち会われる皆さんも。
歌歌い (歌う)皆さん、目を閉じてください。

        人々、口々に「目を閉じてください」と語りかける。
        この場に立ち会う者たち全員に、目を閉じさせる。
        放送の声も……。

放送 皆さん。目を閉じて下さい。目を閉じるのです。
旅人 ……闇はそこにあります。この昼日中、灼きつく太陽の下、闇を手に入れる方法は、それだけです。
歌歌い (歌う)目を閉じて。私を信じて。
島の女1 目を閉じれば、
島の女2 瞼の裏には、
島の女3 深き海に沈みこむ、渦巻く残像。
旅人 瞼の裏のその映像が消えた時、あなたは真の闇の中にいます。
島の女4 闇。
島の女1 暗闇。
島の女2 真の闇。
歌歌い (歌う)……夜の暗闇は、ほんとうの闇じゃない。
旅人 何も見えない、純然たる暗黒は、自然界にはありません。
島の女3 太陽の届かぬ深い海にこそ、ほんとうの闇がある。
島の女1 あなたは潜行しています、夜のしじまに沈みきった、海底(うなぞこ)を。
島の女4 何も見えないけれど、水の中を滑っている。
島の女2 闇。
島の女3 暗闇。
旅人 どこに向かっているのでしょう。
歌歌い (歌う)行き先は知れずとも、導かれる。
島の女1 誰かが呼んでいます。
島の女4 あなたを求める声。
島の女2 誘う心。
旅人 この身の奥に届く信号。
歌歌い (歌う)あなたはもう、迷うことはない。

そして、クジラが現れるのである。
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『内海のクジラ』終了

2012-09-24 | Weblog
朝一番の船で島を離れる矢内原さんを港まで見送り。彼女は犬島での写真をフェイスブックに多くアップしてくれている。さて、開演前は陽差しも強く暑かったが、途中に風が吹き始め、曇り、涼しくなる。二日間の公演が終わる。遠方からのお客様も多く、ありがたい。久しぶりに会う方々も多かったが、私は自分の自覚以上に日焼けしているようだ。バラシも終わる。日没までに滞りなく全工程が無事に終了。おつかれさまである。写真はラスト近く。去りゆく船と見送る人達。演奏する太田さん。
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『内海のクジラ』開幕

2012-09-23 | Weblog
朝5時に目が醒めてしまう。朝食後、一休みして、海岸の現場へ。陽差しが強く暑い。昨日までとの違いは、風がないこと。灼熱の下での観劇は俳優にとっても観客にとっても酷であるはずだ。ダンスの稽古。合唱部分の補足録音。少し風が出てきた。安堵。……昼食は牛丼の予定だったが、賄いを担当してくださっているNさんの旦那さんの友人が釣ってこられたアジが差し入れされ、鰺茶漬けがメインとなる。うまい。本番前なのにみんなたくさん食べる。たくさん食べているのを見ると大丈夫だという気がするのは、なぜだろう。……開演の午後1時半、用意した座席は埋まり、石垣斜面にじかに座る席、立ち見席も増やす。水嵩は理想的。開演、冒頭では補助的に部分的に拾うマイクが電波の関係で時折りぶれてしまったり、最初のうちは俳優陣に若干の緊張が見られたが、しだいに物語が立ち上がり始める。曇天になり、芝居は見やすい。いろいろなところでお客が反応するのが面白い。犬島ネタ部分はやはりうける。島の人達も明確に年長者に聞いていなかったこともあるらしく、「自分の島のことなのに細かい年数とかはちゃんと認識してこなかった」といって、後で台本をほしいと言ってくる方もいる。複数の俳優たちが浜辺に打ち上げられたクジラを演じるのだが、白っぽい服装の彼らが砂の上に横たわると、トンビが大勢やって来て、宙を舞い始める。動かない存在を見ると、餌かも知れないと思うのだろうか。トンビの参加は劇中としての効果も抜群。……終演。とにかくこの「海の劇場」を、お客さんは楽しんで下さったようだ。客席には知人友人関係者、多数。いちいち書ききれない。ありがたいことだ。予想外だったのは、お馴染みキャメロン・スティールが字幕を担当しているドキュメンタリー映画『選挙』『演劇1・2』等の想田和弘監督が今、牛窓に住んでいるということで、観に来られたこと。……矢内原さんとの対談の収録。……夕食後は、海辺で、森下紀彦舞監発案の花火大会。のどかである。終えてもまだ8時。……パソコンに向かうが、一時間半ほどして、激しい雨。現場の音響機材などはシートで覆ってあるが、やはり海の天気は油断ならない。これまで雨が降らなかったのが不思議なくらいだ。雨は二十分くらいで、やむ。本番中に雨が降ったらという可能性についても何度か話し合ったが、ともかく腹を据えていこう。……写真は、俳優たちのウォーミングアップ。
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『内海のクジラ』いよいよ初日

2012-09-22 | Weblog
朝早くから書類仕事。八時過ぎから海岸へ。潮の干満に合わせて、波打ち際が初日と同じ位置になる十二時二十分から一度目の通し。確認等を終えて、夕方五時から、島の皆さんにも観ていただく、二度目というか、最後の通し。どんどん日が暮れていく中での上演。犬島ネタも満載なので、たいへん受ける。島のMさんが動力船を操縦してくださったのだが、沖から近づいてきて芝居に参加していることがわかった時点で、客席は湧く。「(この島の名前は犬島なのだが)最近は猫の方が多い」も、うける。ラスト近く。俳優だけで漕ぐ船がずいぶん沖まで行ってしまったと思ったら、夕刻はやはり潮に流され気味なのである。本番は日中なので心配ないが。夜も踊りと歌の練習、確認等で十時まで。……熊本出身の太田さんと小一時間、焼酎を飲む。……帽子をしているので顔はそうでもないが、腕などずいぶん日焼けしたので、湯船を避け、水シャワー。

http://www.artfarm.or.jp/25th/detail/kuzira.html
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海の劇場、着々と

2012-09-21 | Weblog
犬島二日め。午前中にいろいろ固める。劇中の船の移動も確認。昼食の賄いは天ぷらうどん。矢内原美邦どん登場、いきなりお茶とうどんつゆ(関西のだしは色が薄い)を間違える。みんな食欲旺盛。午後から場当たり。なかなか進まないが着々と。夕刻、太田惠資さん登場。バイオリンの音色が夕闇に響く。おでんの夕食を挟みつつ、終盤は夜間になるが何とか終える。日暮れ後の風景も素晴らしく、夜の公演もしたくなる。……合間に諸々の事務仕事、作らねばならない書類も複数あり。各方面の渡世も挟みつつ。ネットを拾えるのは海縁りのホットスポット一ヵ所だけ、しかもルーターがないとどうしようもないので、諸法面にご迷惑をかける。だがそれだけ非接続ゆえの自由名状態(?)であるともいえる。……課題も多く残すが、いろんなことが決まってくる。明日が正念場だ。……島といっても、奄美・沖縄の南島群と瀬戸内諸島はずいぶん違う。あたりまえのことだが、自分の想像以上に「内海」という概念が立ち上がってくる。
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海という「借景」!

2012-09-20 | Weblog
犬島入り。搬入。並行して潮の満ち干の時間を確認して演技エリア、イントレ、楽屋、オペ場所等の確定。微妙な時間差で姿の変わる自然の舞台! 石切場の中に初めて入る。どんどん仕事をする。風が強くて凌ぎやすい。夜は暗い。架設照明で一部作業を続ける。夜の海も魅惑がある。浜辺には蟹が歩く。宿舎は「犬島自然の家」。今日は上演チームで貸し切り状態である。……自分のメールをGメールで見られるようにして、借りたスマートフォンでメールだけは見られる環境としていたが、その後、島にある種の3G回線のルーターが使えるごく狭いホットスポットを発見。そんなに頻繁ではないがPCも覗けることがわかる。で、仕込中の写真を貼ります。
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岡山入り

2012-09-19 | Weblog
飛行機移動で岡山へ。本行寺での一般参加者をまじえた稽古。お寺を稽古に使わせていただくのは恐縮である。午後しばらくは、雨。夜に出発して合流するはずだった音響内海は新幹線が大雨で運休、翌日出発となる。これから数日、自然とのたたかいを前に、身を引き締める。……最近巷を賑わせている「NHKスペシャル シリーズ東日本大震災 ~ 追跡 復興予算 19兆円」の情報によれば、大額の復興予算が「目的外使用」されているらしい。うち、国民が負担する増税分は10・5兆円という。所得税の納税額に2・1%上乗せされ、来年度から25年間払い続けなければならない。内訳は、被災地雇用は二の次に、岐阜のコンタクトメーカーの設備投資とか、刑務所の受刑者ががれき撤去等の技術を習得して復興需要に応える予算とか、社会不安に乗じて過激派が増えるとしてテロ対策・分析のための災害地期における治安確保調査基盤強化とか、外務省による「日本へのイメージ改善のため」のアジアや北米地域の青少年交流とした旅行(年間1万人、10日の日程で被災地は2日間、後の8日は大阪・京都・神戸の観光)の招待に72億円とか、利用者の安全確保のための国立競技場補修費とか、8年前から着工している「台風・大雨」対策の沖縄・国頭村の海沿い国道1・4キロ工事に「地震対策」を名目に付けて予算7億円のうち5億円を復興予算から出しているとか、捕鯨村のある牡鹿半島が被災したからといって反捕鯨団体対策関連費にとか、被災そのものに関係のない項目ばかりが並んでいたそうで、とんでもない。そもそも被災地のためにした募金はどう使われているのだ。各自治体はちゃんと被災者の手に渡るようにしてくれているのか。私は関わった募金関係はとにかく具体的な中身と相手のわかる団体にと働き掛けてきたが、そうでなかったら今以上のむなしさを味わっていただろう。この「復興予算」は各省庁の要求をそのまま積み上げたのか。私事だが、正直、劇団というのはお金で苦労する場所だ。お金を払って観に来ていただくのも助成金をいただくのも、たいへんだ。こんな数字を聞くと、むなしくなる。……日米両政府は19日の合同委員会でオスプレイの運用ルールに合意する予定で「安全性は十分に確認された」「特段の問題はなく、他の航空機と比べて危険と考える根拠は見いだし得ない」として「飛行運用を開始させる」と、「安全宣言」するという。垂直離着陸モードでの飛行を原則として米軍施設・区域内に限定、回転翼を前傾させる「転換モード」の時間を可能な限り短くするとか、米軍施設・区域への進入・出発経路はできる限り人口密集地域の上空を避けるとか、移動も「可能な限り水上を飛行する」など条件を付けている。まず米軍岩国基地での試験飛行を認め、週内にも同県下関市沖の日本海で開始される見通し。合意原案によると、夜間飛行訓練については、普天間飛行場周辺の人口密集地に配慮しシミュレーターの使用などで「影響を最小限にする」、「低空飛行訓練の高度は地上500フィート(約150メートル)以上」という。そんなの信用できるはずがない。すでにルールなど破られまくっているのが沖縄の現実だからだ。……岡山市街地に一泊後、犬島入りとなる。23日講演終了後に犬島を離れるまでの間、ブログは書き込めなくなる可能性が高い。
http://www.artfarm.or.jp/25th/detail/kuzira.html
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「外海」の危険度

2012-09-18 | Weblog
ここ数日、終始、在宅時には参考資料に目を通していて、睡眠不足。……保険の効く整骨院にまた行く。矯正できるものは矯正したい。土砂降りに遭遇。……最後の通し稽古。ここ数日は見学者あり。東京では上演しないので、考えてみれば、身内や関係者にもっと声を掛けるべきだったが、そのゆとりがなかった。稽古場もそそこまで広くはない。島猛見解ではこの劇は座高円寺1にぴったりのものではあるという、それもなるほどと思うが、今は日中の砂浜で海をバックに上演することしか考えられないのだ。いずれにしてもいろいろなところへツアーできそうだ。海外にもどうかというのは大西孝洋案。……衣裳についての勘違いを発見。たいへんだが最後まであきらめず交換することに。……ついに壊れたのでリュックを買う。修理も諦めていないのだが出発までに時間がない。……反日デモが沸騰する中国から漁船千隻が「自国の漁場」として尖閣諸島を目指して出発したという。日本政府はどう対応するつもりか。「外海」に対して「内海」は平和だとつくづく思うが、この劇は「内海」にさえ迫る危機についても描いている。……出発の前日はいつも落ち着かないが、ほんとうに落ち着かない。
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船も用意した

2012-09-17 | Weblog
四人乗りボートを二艘用意。あと一度の通し稽古と荷積みを終えたら、いよいよ海に向かうのだ。現地でも別な船を用意してもらう。しかし、じっさいの海で劇を上演するというのは、なかなかないことだと一瞬思ったものの、考えてみれば、横浜ボートシアターさんは、ずっと船の上で芝居をされていたのだった。……太田惠資さんの演奏と合わせた稽古。南谷朝子による劇中歌とあいまって、音楽劇としての膨らみが、留まるところを知らない。……中国でいろいろな反日活動が起きている。中国側のやり方もどうかと思うが、歴史認識の問題としては、日本政府がいろいろなことを誤魔化してきたツケである。なにより戦争責任問題をないがしろにしてきたツケである。昭和天皇に戦争責任を取らせなかったことに代表される矛盾は、いつか堆積して日本を苦しめることになると予言していたが、その通りになってしまった。東京裁判にある意味で欺瞞があるとしても、それは言い訳にならない。ドイツと違って、日本では「戦争」は、「歴史上のこと」とは言えなくなっている。そしてそれは、アメリカに追随してきた「戦後」を疑わず、経済発展をおのれの力と過信して安住し、自立した国家たりえていなかったことのツケである。なさけない。
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「嘘」だと思っていない?

2012-09-16 | Weblog
枝野経済産業相は東日本大震災後に工事を中断した青森県大間原子力発電所と中国電力島根原発号機の建設再開・稼働を容認するという。震災後初めての原発建設である。運転期間40年のこれまでの原則に従えば、新たな原発は2050年代まで稼働できることになる。2030年代に原発の稼働をゼロにする目標は反古にされた。「設置許可の出ている原発は変更しない」、つまり「原発の新増設とは見なさない」というのだ。どう考えても「原発ゼロ」は「嘘」だ。「嘘」が横行する世の中、今の子供たちは「嘘をついていい」を「世の中の常識」と受けとめて成長していくことになる。……日常や仕事の中で、明かな「嘘」に対応しなければならないことが複数ある。困惑させられるのは、時々その人が、自分が嘘をついているという自覚がないか、認識があっても多くの場合は曖昧にそれを本人にとって自然なことと受け止めているらしいことだ。枝野はどちらだ。……稽古場に、本番音響オペの内海常葉登場。東京の稽古もあと二日。……消化しなければならない要件多し。犬島でのネット環境はかなり厳しいらしい。「今のうち」のことも多い。……近所のファミレスで打合せ三時間、深夜に帰宅。
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