Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

空砲ではなく、実弾しか選択の余地のない世界

2016-05-29 | Weblog
陸上自衛隊第7師団を基幹とした南スーダン国連平和維持活動(PKO)第10次派遣隊の第1陣・約130人が、今月22日、新千歳空港を出発。続いて北部方面各直轄部隊や要員も含んだ総勢約350人が定期便やチャーター便で続々と南スーダンの首都ジュバへ向かった。約6カ月間、道路補修・施設整備などに従事し、年末までに帰国の予定という。
正当防衛などに限っていた武器使用基準を緩和し、武装集団に襲われた国連要員らを自衛隊員が急行して助ける「駆け付け警護」や宿営地の共同防衛が可能になるとした、3月の「安全保障関連法」施行後、初のPKOとなる。ただし今回の派兵は「駆け付け警護」などの新任務には当たらず、それは陸上自衛隊第5普通科連隊(青森市)を中心とする11次隊以降に先送りされている。
そんな最中、十勝管内鹿追町の陸上自衛隊然別演習場で23日、事故が発生した。トラックで物資を輸送中に敵から襲撃を受け、応戦するという想定で、トラックの援護役7人と敵役2人が計79発の実弾を発射、隊員2人が負傷した。
明らかに手に持った感触や射撃したときの手応えが違う「実弾」と「空包」を取り違え、79発も撃ち続けてしまうということが起こり得るのか。陸自のOBや現役隊員からは「ありえない」という声も上がっている。
実弾と空包は部隊内の弾薬庫の別の場所で、それぞれ鍵をかけて厳重に保管されており、実弾は使い終わった後も全て数え、足りなければ数百人単位で捜索するくらい管理は厳密だという。空包も内部に火薬が入っているが、弾頭を詰めておらず、発射時には光や発射音を伴うだけで、一定の距離を保てば、実弾と異なり殺傷能力はないという。
実弾や空包を使う場合には申請書が必要で、弾薬庫からの受け渡しには幹部ら複数人が立ち会い、訓練直前に部隊の責任者が隊員に配ることになっており、今回は、全て実弾が手渡されたとみられているらしいが、ほんとうに幹部も含めて誰ひとり、実弾であることに気づかなかったのだろうか。
「うがった見方かも知れないが、本人たちは気づいていて、皆で示し合わせて、今回の派兵に対する異議を呈するとか、杜撰さを内部告発するという意図があったのではないか」という推理を披露する人が、身近にいた。
それを聞いても、いくら何でもまさかとは思うのだが…………。
知己の自衛隊OBによると、やはり「作為的ではなく、組織が機能保全に陥っているということではないか」という反応だった。「派兵自体は自民党政権下で決定したわけではないし、意義を呈する意図があったとしても、その対象が何なのかがわからない」という。
真相は藪の中である。

現在のこの日本という国に、武装した相手と渡り合う「兵士」の自覚を持てと言われ順応できる者がいるのだろうか、という問いも出てくる。もちろん「自衛隊」は軍隊か否かという問いは半ば抽象論であって、内部では徹底して「兵士」としての教育を受ける。しかし防衛大の卒業生の二割以上が自衛隊への任官を拒否するようになったという報道もある。
そんな中、防衛省は、海上自衛隊の人員も予算も不足していることなどから、民間の船会社の乗組員を予備自衛官補として採用する制度の導入を目論んでいたらしい。民間のフェリーを自衛隊の物資や隊員の輸送手段として活用しようとする準備が進んでいたのだ。予備自衛官補とは、一定の期間、訓練を受けると、武力攻撃などの有事の際に召集される予備自衛官になることができるという制度だが、それが半強制的であることはいうまでもない。これは「有事法制」以外の何物でもない。憲法が改悪され「緊急事態条項」が導入されれば、「任意」の判断の余地は認められず、なし崩しに命令に従うことになってしまうだろうからだ。
貨物船やフェリーの乗組員などで作る「全日本海員組合」は、反対の意を表している。

空砲が消え、実弾しか選択の余地のない世界がもうそこまで来ている。
こうした動きをマスコミはもっともっと報じるべきだし、反対意見が存在することも取り上げてもらわないと困るのだ。
ましてや自衛隊の中に反対意見があっても言えない状況があるとしたら、今からそれを掬い上げていく必要がある。
そもそも自衛隊内ではしばしば問題が起きている。潜水艦内で上官の暴力を原因とした自殺未遂事件を海自が公表していないとか、航空自衛隊で過労自殺があり、妻ら4人が大津地裁で国を相手取って提訴していたり、といった事件が知られている。
今年度の自衛隊の殉職者は27人と大増加となっている。演習ではなく、武装した相手と対峙することになれば、危機は増大する。「覚悟の上」ということになるのかもしれないが、やむにやまれず、どこにも相談できず、ということもあるかもしれない。
そんな時に、自衛隊から外部への相談の場としては、「自衛官人権ホットライン」がある。
http://8701.teacup.com/hotlines/bbs
http://gi-heisi.doorblog.jp

写真は沖縄・斎場御嶽(せーふぁうたき)近く。少し先から久高島が見える。
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若手演出家コンクール2016 募集中! 締切は6/30

2016-05-27 | Weblog
「日本演出者協会」が毎年開催している「若手演出家コンクール」の募集が始まっている。本選は来年3月だが、募集は6月に締め切るので、気になっていた方、推薦したい方がある向きは、早めにご応募ください。
私は毎年3月はなんらかの仕事があるので、なかなかコンクールの現場に行けず、公開の最終審査会の審査員をしたのは第一回の時のみである。後はアフタートークに出たことがあるくらいか。
売り出し中の劇団が揃って競い合うので、活気のあるイベントである。
二次審査は審査員が全国の上演会場やけいこ場に馳せ参じるのが、独自のコンセプトである。
ご存じない方もあるかもしれないので、あらためてご紹介しておく。

……………………………………

若手演出家コンクール2016 募集開始! 募集期間:5/1~6/30

◇応募資格◇
自分を若手 (新人)と思う演出者
※最終審査期間参加可能であること

◇応募方法◇
以下のものを一式、日本演出者協会事務所へ送付してください。
*添付に不備がある場合は、その時点で審査対象外となりますのでご注意ください。

1 演出家の演出プロフィール
※これまでの演劇歴を記載した書面。

2今までに演出した1作品公演の映像資料同じ映像内容のDVD素材・3点をご提出ください。
※応募は1作品のみとなります。
※映像資料DVDの注意点…DVD素材での再生機限定などにて、再生不備が多発しております。
(マスターVHS1本送付可能)再生不能資料発生時には審査対象外となります。ご注意ください。
※映像内容が途中までの録画や、音声が入っていない(聞こえない)等、
再生不能な映像資料の場合審査対象外となりますのでご注意ください。

3提出映像作品の上演台本とその他上演資料を各2部
(映像資料のチラシやパンフレット)

4 氏名(読み仮名・演出家・芸名があればそちらも記載)、
郵便番号、 住所、 電話番号、 FAX、 携帯電話、e-mailアドレス(携帯/PC)
※連絡先に関しては確実に連絡がとれるものをご記載ください。

5 第2次審査へ通過時の対象公演内容(期間・場所など)

◇賞◇
日本演出者協会より最優秀演出家賞1名には賞金50万円
最優秀演出家による記念公演<2018年3月予定>
(優秀賞の4名には10万円)
最終公開審査では、観客投票による観客賞もあります。
文化庁委託事業「平成28年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」

【主催】文化庁 一般社団法人日本演出者協会
【制作】一般社団法人日本演出者協会
【協力】本多劇場グループ

■若手演出家コンクール 応募資料送付先
一般社団法人 日本演出者協会
若手演出家コンクール担当三村宛

【お問い合わせ先】
一般社団法人日本演出者協会
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-30芸能花伝舎3F
TEL:03-5909-3074/FAX:03-5909-3075
E-mail : j_d_a_info@yahoo.co.jp

※詳細については、日本演出者協会にお問い合わせください。

http://jda.jp/contest01.html
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サミット前夜、日米首脳会談を利用する者たち

2016-05-26 | Weblog
つい先程、25日夜、オバマ米大統領と安倍晋三首相による日米首脳会談が行われた。沖縄県うるま市の二十歳の会社員の女性が米軍属により強姦、殺害、死体遺棄された事件を受け、当初見込んでいた26日午前の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前に、会談を前倒ししたわけである。「沖縄で米軍基地への反感が高まっている現状を踏まえ、オバマ大統領来日直後に首脳レベルで迅速に対応する必要があると判断した」ということらしい。サミット、6月5日の沖縄県議会選挙、夏の参院選挙が控える中で、この件による反米軍基地、反政府の意識の広がりを、まずはなんとか「収束」させたことにしたい、それにはもってこいの機会だという、安倍政権の皮算用であろう。
会談後のオバマ大統領と安倍総理大臣の共同会見。安倍首相は「ほとんどこの問題を話していた」と、のっけから日米首脳会談はその話題ばかりだったということを強調したが、映像を見る限り、二人が意見を一致させた様子には見えず、長い会見の間、両者の視線は常に合うことはなく、最後の握手も一瞬で形式的だった。その一瞬を日本メディアは一面に載せるのであろう。握手の後に顔を背けるオバマ大統領のスピードの速さには、誰もが気づくはずだ。
安倍総理は待ってましたと言わんばかりに事件について正義漢ぶった強気な物言いをし、「卑劣きわまりない犯罪に憤り」「実効的な再発防止」「今回の事件で失われた信頼を回復していくのは困難だが克服していこうと一致」。そして「日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していく」という。しかし「地位協定のあるべき姿を不断に追求していく」って、どういう日本語だ。犯人を日本で裁き、罪を償わせるのは、本来、当然のことである。これは現実を誤魔化している。日本での犯罪について日本の司法制度で裁かれるべきなのは、「そうでなければならない」という種類のことだ。
そもそも訴追されるような事態が起きている理由そのものが、日米地位協定にもあるのだということがわかっていない。日米地位協定があることから作られた米軍関係者の傲慢と無責任、沖縄本島住民への差別の意識、そうした原因そのものを断つべきなのだ。沖縄の人たちに限らず、日米関係やこの事件を詳しく知った者は誰でも、地位協定の存在自体がおかしいと言っているのだ。不平等な取り決め自体を変えない前提で、いったいどんな「改善」を目指すというのだ。
安倍首相はもともと23日の参院決算委員会で、沖縄県の翁長雄志知事が求めた日米地位協定の見直しに関し「相手があることだ。実質的に改善を積み重ねてきたところだ」と逃げていた。地位協定を変えることそのものには消極的なくせに、「あるべき姿」など、見えているはずがない。
安倍首相は続いて「広島訪問を歓迎」と言い、「核兵器を使用した唯一の国のリーダー」が「唯一の被爆国」の「哀悼の意を捧げることは意義深い」としたが、米国側に謝罪を求める気はないようだ。「日米が手を携えて」と言うが、安倍は経済のことを言うだけだ。
オバマは概ね安倍発言を険しい顔で聞いていたが、歓迎への感謝、力強い世界成長、世界平和、TPPのことなどを挙げ、「日米同盟は非常に重要な礎」「二カ国の同盟は平和、安全保障を強化」「沖縄で起きた悲惨な事件について心の底からのお悔やみと哀悼の意を示した」と言う。
そして、安倍首相同様に「日米地位協定は日本の訴追を妨げるものではない」「日本の司法制度の下できちんとした捜査ができることを確保し協力する」というが、本当に、そんなことは当たり前であるに過ぎない。実際には犯罪を犯した米兵は基地内に逃げ込みさえすれば、本国に移動してしまえば勝ち。「重大犯罪」での起訴を受けない限り、逃げおおせることができるのだ。「訴追させてやる」と恩着せがましく言われること自体が、どうかしている。
「北朝鮮の脅威に対して抑止力を高め防衛能力を強化したい」「気候変動問題でも話しあった」というから、沖縄の事件の話ばかりしていたみたいな安倍発言とは矛盾するが、そんなことはたいしたことではない。
プレスからの質問は日米1社ずつ。
日本からはNHK。「1995年の少女暴行事件から地位協定の改善を重ねてきたはずだが」と、珍しくいい切っ先の質問で始まったが、最初だけだった。
安倍首相はまたも「強い憤り」「被害者の恐怖と無念さ」「身勝手で卑劣きわまりない加害者に対して日本の法律に則り厳正な捜査を行う」と高飛車な感じで強気で言うが、この人が沖縄に寄り添った気持ちで発言しているわけではないことは明白なので、寒々しさだけが残る。「捜査に協力するとお約束」云々と下手になったりしつつ、「再発防止策を求めた」と人任せのように言う。「日米地位協定については一つ一つ目に見える改善をし結果を積み上げて参ります」と言うが、「改善」と言うたび、「日米地位協定」を変えはしないという「結論」のみが、繰り返し積み上げられることになるのは前述の通り。
続けて、とってつけたように「沖縄の皆さんが強い不安を感じておられます」「沖縄の皆さんの安全安心を確保できるよう徹底して策を講じる」というが、沖縄で沸き上がっているのは「不安」ではない。「怒り」である。
「日本国民の命と財産を守るのは総理大臣である私の責任であります。その責任を果たすため」というが、微塵のリアリティも感じられない。少なくともその「日本国民」に「沖縄」が入っているようには響かない。
シカゴトリビューン紙の記者は、オバマ大統領に向けてビンラディン殺害のこと、ドローン使用のことなどを問い、安倍首相には一つだけ「大統領の広島訪問」に対して「首相は真珠湾を訪問する意志はあるでしょうか」と問いかけた。
オバマ大統領は沖縄について「強調したいのはアメリカは米国民による暴力的な犯罪にショックを受けている」「言い訳のできないものであり再発防止に努めたい」とし、「さまざまな手続を見直して」というが、今回の容疑者が退役軍人とはいえ軍属であり現役の兵士ではないことからだろう(軍関係者は「彼は一民間人だ」と言い出したりしている)、「日米地位協定が、日本の法体系のもとでの完全な捜査や司法に必要な措置を何ら妨げてはいないと指摘しておきたい」とし、具体的に「日米地位協定」に手をつける気はないことを明言、ただただ「日米地位協定は訴追を妨げるものではない」と繰り返した。本当に「日米地位協定」を自明のこととする確認のために今回の事件が使われているように見えてしまう。
オバマ大統領にしてみれば、明日からの首脳会議の前に、面倒な件は片付けておきたかった、というところではないのか。
安倍首相は「真珠湾を訪問する意志はあるでしょうか」という問題の前に、国際問題についてなど聞かれてもいないのにオバマ大統領の言い分をなぞった発言を得々とし、真珠湾訪問についてはぼかし、ハワイを訪問するつもりはないとし、これまでも米軍の犠牲者に哀悼の意を表してきた、と誤魔化した。
ともかく、問題の核心である日米地位協定や米軍基地問題については、突っ込んだ議論になるはずもなく、安倍首相のために上っ面だけの強気のパフォーマンスの場を提供したことにしかならない。安倍はオバマと並んで威勢の良さそうなことを言う姿を見せたかっただけだ。
今回の事件と米軍基地駐留問題を別な問題と切り分けした印象を演出し、選挙に向けて自分のたちの立場を有利にするために、この場を使おうという魂胆だったのだ。
一言も言及されなかった普天間基地移転問題。「辺野古移設ありき」が揺るがないことを、結果的に確認させ、とにかく「事件」と切り離してしまおうとしているのだ。
今回のうるま市の事件の被害者の女性は名護出身だ。この悲惨な事件があっても、被害者の故郷に米軍基地が新設されてしまう計画が、両国首脳の会談の中で問われもしないということの無惨さに想像が及んでいる者は、あのような「政治」の場には、いないのか。

私は、事件の詳細が明らかになり、二十歳の女性が受けた状況を改めて想起し、怒りと、米軍基地撤退がこの二十年間に何も進展していないという現実への虚しさ悔しさといった感情が、新たに湧いた。
この日米首脳会談後会見での安倍首相の強気の物言いは、今回の悲惨な事件を、結果的に政治利用しようとしたものである。この欺瞞を許してはならないし、ジャーナリズムに関わる方々には、こうした経緯をどう扱うかによって自らの自立とアイデンティティーが問われていることを、忘れないでいただきたいと思う。

写真は、これも先月の、沖縄・高江。県道沿い。米軍北部演習場との境界を示す杭が立つ。
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サミット期間中「リスクを減らしたい」福島第一原発作業休止。ではオリンピックのときは?

2016-05-24 | Weblog
半月のあいだ日本にいなかったのだが、その間に違和感のあったニュースの一つが、東京電力が「なるべくリスクを減らしたいので、伊勢志摩サミット中、福島第一原発の作業を休止する」というニュースだった。
汚染水処理やパトロールなどは継続するが、原子炉建屋付近での大型クレーンを使った作業や汚染水保管タンクの建設など大部分の作業は停止。東京電力は「要人が集まるサミットの期間中、なるべくリスクを減らしたいと当社の判断で決めた」とし、「テロ対策」として、不審者の侵入やトラブルを念頭に「作業が少なければ異変に気付きやすい」と休止の理由を説明したという。
東電は「余計なニュースが起きないようにということで、国からの要請はない」と説明しているが、「汚染水漏えいなどで政府に恥をかかせるわけにはいかない」という配慮があるのではとの見方も出ているそうだ。そもそもそうした判断に、国からの圧力がないはずがないとも推測されるが、逆にいえば、安倍首相がオリンピック誘致の演説で言った「アンダーコントロール」を、東電が否定したとも言えるわけだから、理屈としては、日本政府こそが「アンダーコントロールできているんだから稼動しなさい」と言うべきなのかもしれない。
まあ、矛盾だらけの、ぐじゃぐじゃである。
私は東京五輪・パラリンピック開催自体に反対する者だが、もしも強行された場合、その期間中も、作業自粛にならなければおかしいことになる。かなり長い期間になる。作業休止期間中は休業補償は出ないケースが多いらしい。働く人たちの生活にも影響する。
そして、今現在、そもそもサミットの期間中でない「ふだん」は、リスクがあっていいというのだろうか。
オバマ政権で科学技術政策を担当するホルドレン大統領補佐官が、五年前の東京電力福島第1原発事故の直後、放出された放射性物質の影響で、最悪の場合、東京での被ばく放射線量が「数週間で100ミリシーベルトかそれを超える」恐れがあるとの予測値を他の米高官らに示していたことが最近わかったという。海外からの日本への「不信」は、原発事故のはじめから存在しており、「日本へ行く」ことのリスクは海外の人間の方が強く意識している。
先月の熊本地震の際、余震が長く続く間も川内原発を停止させなかったのに、サミットではあっさり「なるべくリスクを減らしたいから止めます」と言ってしまうのである。免震重要棟が未だ設置されておらず直下に活断層が存在する疑いがある川内原発が地震に晒されることに、リスクはないのか。
稼動している原発そのものも危険であるが、休止していたところで、地震があれば燃料の存在自体が危険である。核燃料は冷やし続けなくてはならない。日本中が「危機」の温床なのである。
今後、東京五輪・パラリンピックについて、原発・放射能リスクが強く指摘されていくことは想像できるが、それ以前に、
2020年夏のオリンピックの東京への招致に関連して、日本側が国際オリンピック委員会(IOC)委員側・国際陸上競技連盟に協賛金を支払ったことが、露見している。
フランスの検察当局は、誘致に関わる会社の口座に2013年、2回にわたって、東京オリンピック招致の名目で日本の銀行の口座から合わせておよそ2億2000万円が送金されたことを把握しているという。オリンピック開催地の選定を巡っても、贈収賄などの疑いで捜査中だというのだ。東京五輪・パラリンピック招致委員会の理事長だった日本オリンピック委員会(JOC)竹田恒和会長は「当時の事務局で招致を勝ち取るには必要な額」として送金したことを明らかにしている。イギリスのガーディアン紙は「東京が選出された過程に深刻な疑義がわき上がった」としている。悪質と認められれば、オリンピック開催地の権利を剥奪される可能性もあるということだ。しかし代替地はあるのか。
報道だけ見ていると、まして海外にいて考えると、日本でオリンピックを行うという計画に、リアリティをほとんど感じられない。そもそもオリンピックというものが自分が子供の頃に感じたような夢や広がりのあるものでなくなっているということだろう。
そして日本に帰るということは、他国から見れば、わざわざ「リスクのある場所」に戻るということだ。しかし私たちは基本的にそこに生きている。
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“最悪のタイミング”という言い方の非道さ

2016-05-21 | Weblog
行方不明だった沖縄県うるま市の20歳の女性が遺体で発見された件は、元米軍海兵隊で現在米軍属の容疑者が逮捕されているわけだが、これはどう考えても沖縄への米軍駐留そのものが原因である。怒りと哀しみが抑えられない。被害者が生まれたのがかつての小学生の少女への暴行事件が起きたあの1995年であるという事実に、悔しさが倍増する。普天間基地はとうに返還されているはずではなかったのか。
在日米軍の兵士や軍属の法的地位を定めた日米地位協定で、米軍関係者による「強姦(ごうかん)」が起訴前の身柄引き渡しの対象とされているにもかかわらず、1996年以降に摘発された米兵たちの8割以上が逮捕されず、不拘束で事件処理されている現実。「殺人」「強姦(女性暴行)」に限って起訴前の身柄引き渡しが可能となった95年の運用改善は徹底されていない。そして凶悪事件の一部を公表せず、不拘束で事件処理してきたことの蓄積が、こうした犯罪の再発を招いていることは否定できないはずだ。

普天間基地移設問題や参院選・オバマ広島訪問を控えていることから与党・政府関係者が“最悪のタイミング”と言ったことの非道さに説明がいるだろうか。報道のタイミングを政府の顔色をうかがって判断しようとしていたらしいヤマトのマスコミも、信じがたいひどさである。
とはいえ、米軍普天間飛行場の移設先については昨秋モンデール氏が「われわれは沖縄とは言っていない」「基地をどこに配置するのかを決めるのは日本政府」と明言していたように、もはや日本の「国内問題」の要素が重い。アメリカを悪者にするだけで与党・政府関係者が責任回避的に振る舞うことも許してはならない。

日本に二週間強いなかっただけだから、いちいち、ああ、日本だ、とまでは思わないが、やはり、涼しさには助かるのと、ハノイ同様に信号無視しそうな自分においおいと突っ込みながら歩かなきゃならないくらいではある。
やることが多くてにっちもさっちもである。思いがけない面倒なこともあったりして、うんざりもしている。

写真は、ハイフォン・オペラハウスのスタッフルームにて。ノートパソコンがある限りどこでも仕事机になってしまう現実。
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帰国。

2016-05-20 | Weblog
というわけで、先ほど夜の羽田空港から帰国。
ノイバイ国際空港での出発前の集合写真。レ・カインさんとグエンさんが見送りに来てくれた。
演出助手の山田真実だけが卒業式に出られなかった子みたいに別枠になっているのは、前夜の打ち上げではしゃぎすぎたことと関係があるが、無事に一緒に帰国していることはお伝えしておく。写真内別枠に編集したのは音響・勝見くんのあっという間のワザであった。
日本・バンコク間は五時間、機内で映画を一本くらいは観たって許されるだろう。行きは『白鯨とのたたかい』、帰路は『JOY』。
日本は涼しい。静かだ。バイクを気にせず歩ける。というか、信号など関係なく走るバイクたちの浪を潜って道を横断する妙技を極めつつあったのだが、それは日本に帰ってきてしまうとまったく無駄な能力なのだった。
帰国するまでは曖昧にしていたこととか、やることが山積。
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『野鴨中毒』2016年ベトナム終了

2016-05-19 | Weblog
ベトナムでの十五日間、最終日は帰還の日。
写真は初日を前にして、舞台前での、記者会見。

今回、マスコミ等の取材もおびただしかった。
最後の夜はベトナム青年劇場さん主催のお疲れ会だったが、途中で抜けて、レ・カインさんと通訳のグエンさんと、テレビショーに出演。マスコミ攻勢はベトナム青年劇場史上最大数だったといい、テレビは既に数え切れない数に出ているが、このテレビショーも半ばいいかげんにしろよという勘違いくんのしろもので、テレビが過剰に盛んになっている当地で、マスコミ問題がいろいろ起きていることはよくわかった。さいきん蓮実重彦さんが何かの受賞インタビューでとんちんかんな記者に文句を言ったのが日本では話題になっていたようだが、その気持ちがわかった気がする。終えて、グエンさんも憤慨していたので、近くのカフェでクールダウン。
お疲れ会は一気飲みを繰り返したりの大盛り上がりだったが、私らが抜けた後に泥酔者続出だった模様。まあ、最後の夜だからいいのだ。

お別れといっても、6名のベトナムメンバーとは、来月またヨーロッパツアーで会える。そういう別れは、さみしくなくていい。
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ハイフォン公演終了

2016-05-18 | Weblog
江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場 日越国際協働制作『野鴨中毒』上演のハイフォン・オペラハウス劇場は、ほんとうに街の中心にあり、非常に大きな広場が前にある。
この町は道の幅も広い。ごみごみしていて散歩もままならぬハノイとはずいぶん違う。道の幅が広いから名古屋なのか。
この国では選挙が迫っている。社会主義の国であるということはどういうことなのか、いろいろ考える。

公演は無事終了。劇場撤収後、レ・カインさん、ビンさん、グエンさんと露店で夜食。本当に気持ちが打ち解けたかんじで話せるなあと思ったら、ベトナム滞在はあと一日なのだ。

通訳のトンさんが世界自然遺産であるハロン湾を見ることを薦めてくれる。ハイフォンからの方が近いのだ。奇岩といっていい、二千近い島が乱立する海だという。しかし帰路の行程の中には組み込めず。必ずまたこの地に来る、という気持ちにはなった。



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『野鴨中毒』ハイフォン・オペラハウス公演まもなく開幕

2016-05-17 | Weblog
江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場 日越国際協働制作『野鴨中毒』ハイフォン・オペラハウス公演、まもなく開幕である。

ハイフォンは、ハノイから百キロの港町。ベトナム北部第二の都市、日本で言えば横浜か神戸か。名古屋っぽいと言う人もいる。
フランスの植民地だった時代にはヨーロッパとの窓口であり、今も港町として、造船業でも流通でも栄えている。市場界隈は延々と続く露店も凄い。店というか、見える場所には笊や籠に物を載せて並べているだけだったりするのが、ほとんど。
今朝は明かりづくりの朝9時の小屋入り以前に、五時台に早起きして(目が醒めてしまうのだ)、ドックや船着き場、水上生活者のエリア、市場に至る水辺を回ってみた。物書きの端くれとしては、半月の演劇漬けの日々の中に、そういう時間も一度くらいはあっていいだろう。と言いつつ、まだ書けぬ次回作の構想ばかりが頭の中をぐるぐる巡るのだが!!
水辺の風景は、やはり川を辿って海に至るルートをよく走った少年時代を思い出してしまう。

ハイフォン・オペラハウス劇場は、街のど真ん中。
100年以上前に建てられた、歴史的建造物。フランスから持ち込まれた内装で、パリ・オペラ座の一回り小さい版のようである。客席天井には、シャガールじゃないが、絵画とシャンデリア。
そうした空間との馴染みに、時間をかけすぎず、場当たり終了。いろいろ思いがけぬことも起きるが、しっかりしたチーム。ちゃくちゃくと課題を片付ける。
ただいま開場。後は開演を待つのみ。

物心ついたときに「ベトナム」という場所については、「ベトナム戦争」という概念を通して知ることばかりだった。
今こうして、その、アメリカと闘った「北ベトナム」の地で、演劇人たちと協働している。こういう日が来ることを十代の私は想像していなかったはずである。
過去からものを考えることもできるが、今からまた新たに別な枠組みで考えればいいとという自由もある。当たり前のことだが、そんなことを思う。

…………

原作:イプセン
脚本・演出:坂手洋二
人形美術・衣裳:寺門孝之
音楽・生演奏:太田惠資
出演:十二代目結城孫三郎、レ・カイン、グエン・タイン・ビン(ベトナム青年劇場) ほか

舞台美術:島次郎
照明:齋藤茂男
音響:島猛
舞台監督:森下紀彦

<ベトナム青年劇場スタッフ>
Dang Minh Tuan(舞台美術・舞台監督)
Nguyen Anh Tuan(音響)
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ベトナムのガジュマル ハノイ公演終了 ハイフォンへ

2016-05-16 | Weblog
『野鴨中毒』ハノイ公演、終了。十七日のハイフォン・オペラハウスでの公演に向けて。移動。

ハノイ・ベトナム青年劇場での公演は、タッパもある劇場の闇の深さを味方につけることもできて、万が一、人形と人間の混在に最初は茫然として見守っていた観客がいたとしても、途中からぐいぐい惹きつけられ、良い集中で終えられたはずだと思う。とにかく、ベトナムでは過去に見たことのない上演であったということだ。国民女優と呼ばれているだけのことはあるレ・カインさんのパワーも全開で、リアルな内容が明確に伝わる一方、劇全体の美しさが一種の陶酔の状態を生んでいた。

合間に、レ・カインさんの案内で、歴史博物館へ。いろいろ考えさせられる。こういうときには同時に別な創作の構想もむくむく湧いてきたりする。
その表で、沖縄のガジュマルにくらべると曲がりくねっていないようだが、この細かい枝の密集はガジュマルなのだろう、大樹。レ・カインさんと共に照明の斎藤さん、演出助手山田そん、舞監助手神永さんと、その下で、記念写真。

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『野鴨中毒』ハノイ公演開幕と、ベトナム戦争地下司令室で「Phutoma」と記された普天間

2016-05-14 | Weblog
むやみやたらな数の取材攻勢の中、『野鴨中毒』ベトナム初日の公演が始まった。600席、全ステージ関係者も全員ぶんの席が確保できない盛況。高校生百人くらいの団体が騒がしかったが、やがて静まった。観客の集中力は終盤に向けて高かったし、それが次第に増していった。出演者・人形使い諸氏も見事に走りきった。レ・カインさんの、ホームグラウンド・ベトナムでの、水を得たようないきいきとした演技が、全体を牽引してくれた。ベトナムを代表する女優と言われているのは伊達ではない。孫三郎・千恵・レ・カイン三つ巴の見せ場への集中は高かった。、
もともと重いイプセン。すーっと浸透していかなければ、ある意味、難解な劇と受け取られても仕方がないかもしれない作品だが、その危惧が払拭された。非常にクリアな空気の中で上演を終えた。幸い各界関係者の評判も上々のようである。ベトナムのヴァイオリン界の第一人者が太田恵資さんの演奏を絶賛してくれていたというのも、嬉しい。
6月のシビウ演劇祭まで続く過程の途中なので、たいへんなことはいろいろあるが、よかった。まずは安堵。

この一週間、宿と劇場の間の五ブロックほどを往復するだけで、ほとんど観光らしいことをしていなかった私たちを、通訳のトンさんが、短い時間だが、ハノイ唯一の世界遺産・タンロン皇城に連れて行ってくれる。1010年から1804年までベトナム王朝の本拠地だったこともあってのユネスコ世界遺産登録だが、史跡としては整備途中。敷地内にはベトナム戦争時には北ベトナム軍の司令室として使用されたD-67という地下シェルターが残されている。この辺りはいろいろな国の大使館が密集していて、ベトナム戦争時代も空爆を免れており、そこに司令室を作るのはまあ頭がいいというか判断としては当然のことなのかもしれない。
その地下作戦会議室の、メインの机のそばに、全世界の米軍基地の位置が記された大きな一覧地図が貼られてある。闘う相手の居場所を認識するためだから、当然だろう。
その日本列島の部分にも幾つもマーキングがあり、そして沖縄本島のところに「Naha」(軍港)と、「Phutoma」と記された、つまり米海兵隊普天間基地の表記が、ひときわ目立っている。
私の大叔父がかつて在沖米軍基地の労働者で、ベトナム戦争時に普天間基地で働いていたことは、まだこちらに来て話していない。私が『普天間』という戯曲(未来社)を書いているのを知っている人はいるかもしれないが。
私が二週間前に三日だけ滞在していた高江のある沖縄本島北部は、ベトナム戦争に送り出される海兵隊員の訓練場だった。ベトナムに模した村を映画のセットのように仕立てて、米兵たちは攻撃の訓練を繰り返した。その谷間の村こそが、映画「標的の村」でそのタイトル通りの存在として今も扱われていることが描かれた、高江なのだ。
沖縄は、ベトナムを攻撃する米軍を送り出した場所として、ベトナムで認識されていることは知っていた。その北ベトナム軍総本山で本物の「敵」の居場所として扱われていた存在であったことの証拠である「Phutoma」の文字を見て、あらためて、これが現実の世界であることを、強く認識した。

写真は、ベトナム青年劇場入口。(撮影・太田恵資)
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蜷川さんの訃報、日本から

2016-05-13 | Weblog
蜷川さんの訃報、日本から「第一報です」と、届く。ハノイ青年劇場『野鴨中毒』ゲネプロ開始直前のことだった。
ご病気のことはわかっていたが、やはり、残念である、という思いが強く迫ってきた。もう一度お会いできるような気がしていたのに。
1984年だと思う。自分が劇団を旗揚げした直後に、花園神社の野外劇版『王女メディア』を観た。力強く、華やかだった。シンプルな方向の蜷川さんのいい面が一番出ていた。劇団を旗揚げしたばかりで貧乏な私は花園神社の樹に登って遠くから『王女メディア』を観た。訃報を聞いてその時の印象が一瞬熱く甦った。私が蜷川さんと仕事したのは『エレンディラ』だが、私の潜在意識にあの体験があったのだと思う。『エレンディラ』のメイン・コンセプトを思いついたのも、十一年前燐光群のアメリカツアー唯一の空き日にニューヨークのセントラルパークを一日中歩き回っていたとき、ハドソン河の水面の照り返しが目に入ったときだった。『エレンディラ』は設定がそうである通り、野外劇であるべきだったのだ。一日そんなことを考えていた。
新しい世代の人にはわかってもらえないことと思うが、花園神社の『王女メディア』は、ある意味、「新劇」「アングラ」「商業演劇」の垣根が明確に壊れたことを示した事件でもあった。『王女メディア』を「ただ観」したことは後に中根公夫プロデューサーに謝罪した。

昨日は朝9時からマスコミ対応で小屋入りしていたが、一夜明けて初日の今日は俳優・人形遣い諸氏に休んでいただく意味もあって(もちろんスタッフにも!)、遅い入りとなった。昨夜は宿舎に戻ってなりゆきで日本側ほぼ全スタッフが缶ビール等片手に屋上に集まった。ハノイの夜景を背に、風がよく抜けた。スタッフの皆さんは、音楽の太田さんが蜷川さん監督の映画『嗤う伊右衛門』の音楽に加わっていたくらいで、私以外は蜷川さんと接点がなく、その話題は出なかったが、個人的には演劇の仲間たちと過ごすのが相応しい夜だった。
蜷川さんのご冥福をお祈りいたします。

『野鴨中毒』、まもなくベトナム初日の幕が開く。

………………

江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場
日越国際協働制作『野鴨中毒』

原作:イプセン
脚本・演出:坂手洋二
人形美術・衣裳:寺門孝之
音楽・生演奏:太田惠資
出演:十二代目結城孫三郎、レ・カイン、グエン・タイン・ビン(ベトナム青年劇場) ほか

舞台美術:島次郎
照明:齋藤茂男
音響:島猛
舞台監督:森下紀彦

<ベトナム青年劇場スタッフ>
Dang Minh Tuan(舞台美術・舞台監督)
Nguyen Anh Tuan(音響)

国境や文化の境界を越えて、結城座+坂手洋二がイプセン最高傑作『野鴨』に挑む!

日本の古典文化のひとつ「江戸糸あやつり人形」を継承する結城座と、ベトナム青年劇場との国際協働制作による人形芝居。12代目結城孫三郎はじめ人形遣いたちが寺門孝之デザインの人形をあやつり、ベトナムの国民的大女優であるレ・カインと競演します。演出に現代演劇の旗手・燐光群主宰の坂手洋二を迎え、アジアの芸術力を結集し、イプセンの戯曲『野鴨』を再構築していきます。様々な要素が融合した今まで見たこともない舞台にご期待ください。


○ハノイ公演 

於 : ベトナム青年劇場

5月13日(金)20:00開演
5月14日(土)20:00開演
5月15日(日)15:00開演


http://www.youkiza.jp/sp/vietnam/
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「武器、爆弾を劇場に持ち込まないでください」

2016-05-11 | Weblog
『野鴨中毒』ハノイ公演は明後日から。
ベトナム青年劇場の公演なので、「いつもの場内アナウンス」を流していいかと聞かれる。
聞いても意味はわからないから、一応日本語訳を見せてくれと頼む。

「こんばんは。ベトナム青年劇場の規則を守るために、以下のことをお願いします。
 武器、爆弾などの危険なものを劇場に持ち込まないでください。
 服装は丁寧に着て、飲食は禁止される。
 ビデオ・カメラの撮影は禁止される。
 チケットに書いてあるお席にお座りください。
 十二歳以下の方は入場をご遠慮ください。」

ということである。

のっけの「武器、爆弾などの危険なものを劇場に持ち込まないでください。」というのは、さすがにベトナムの人にも違和感があるらしいが、劇場が開場した37年前以来の決まり事で、必ず流しているのだという。
「芝居がつまらなかったらそういうものを投げられるということだね」というジョークに通訳のグエンさんは大笑いだが、国際的緊張というか、世界の動きに敏感なこの街の人たちにとっては、「残しておいていいフレーズ」なのである。
私は『上演されなかった「三人姉妹」』という劇場が兵士たちに占拠される劇を作ったことがあるが、劇場という公共の場所は、脆いものではある。

昨夕から照明づくり。本日午前に終えて、場当たり。合間にベトナムメンバーのワークショップ。
写真は、明かり造り中。演出助手の山田真実が明かりに当たる係で、照明用の人形と共に立っている。

『野鴨中毒』ハノイ公演詳細は以下の通り。続く、ハイフォン・オペラハウスでの公演は17日。
………………

江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場
日越国際協働制作『野鴨中毒』

原作:イプセン
脚本・演出:坂手洋二
人形美術・衣裳:寺門孝之
音楽・生演奏:太田惠資
出演:十二代目結城孫三郎、レ・カイン、グエン・タイン・ビン(ベトナム青年劇場) ほか

舞台美術:島次郎
照明:齋藤茂男
音響:島猛
舞台監督:森下紀彦

<ベトナム青年劇場スタッフ>
Dang Minh Tuan(舞台美術・舞台監督)
Nguyen Anh Tuan(音響)

国境や文化の境界を越えて、結城座+坂手洋二がイプセン最高傑作『野鴨』に挑む!

日本の古典文化のひとつ「江戸糸あやつり人形」を継承する結城座と、ベトナム青年劇場との国際協働制作による人形芝居。12代目結城孫三郎はじめ人形遣いたちが寺門孝之デザインの人形をあやつり、ベトナムの国民的大女優であるレ・カインと競演します。演出に現代演劇の旗手・燐光群主宰の坂手洋二を迎え、アジアの芸術力を結集し、イプセンの戯曲『野鴨』を再構築していきます。様々な要素が融合した今まで見たこともない舞台にご期待ください。


○ハノイ公演 

於 : ベトナム青年劇場

5月13日(金)20:00開演
5月14日(土)20:00開演
5月15日(日)15:00開演


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『野鴨中毒』 ベトナム作業の日々

2016-05-10 | Weblog
ハノイに来て、五日。
昨日は稽古はなく仕込みのみ。ベトナムメンバーのワークショップはしている。
美術のトゥアン氏が島次郎氏デザインの円形の床を地がすりに描いた。見事である。日本側スタッフと共に色調を微調整。照明が決まったところで最終的な仕上げとなるはず。
今日は照明作業中心の日。

『野鴨中毒』は、江戸糸あやつり人形結城座 × ベトナム青年劇場 日越国際協働制作なのだが、この「国際協働」は、具体的にはベトナム・日本のスタッフ・キャストが「協働作業」をするということである。ベトナム青年劇場のスタッフは日本に来て一ヶ月一緒に作業したが、今度は私たちがベトナム青年劇場の懐に入って、共にいろいろなことをしているのである。
「ベトナム青年劇場流」は、いろいろある。それらは公共劇団=公共劇場の長い歴史の中で築いてきたものである。「ベトナム青年劇場流」と日本の交流は、私たちの後に、劇団四季、神奈川芸術劇場(KAAT)との共同作業へと続いていく企画である。
劇場の表の、縦4メートル超の、大看板、もう1種類。よく見るといろいろ工夫がしてある。他にも横型の別なデザインの大看板もある。美術のトゥアン氏は凝り性なのである。



『野鴨中毒』ハノイ公演詳細は以下の通り
………………

江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場
日越国際協働制作『野鴨中毒』

原作:イプセン
脚本・演出:坂手洋二
人形美術・衣裳:寺門孝之
音楽・生演奏:太田惠資
出演:十二代目結城孫三郎、レ・カイン、グエン・タイン・ビン(ベトナム青年劇場) ほか

舞台美術:島次郎
照明:齋藤茂男
音響:島猛
舞台監督:森下紀彦

<ベトナム青年劇場スタッフ>
Dang Minh Tuan(舞台美術・舞台監督)
Nguyen Anh Tuan(音響)

国境や文化の境界を越えて、結城座+坂手洋二がイプセン最高傑作『野鴨』に挑む!

日本の古典文化のひとつ「江戸糸あやつり人形」を継承する結城座と、ベトナム青年劇場との国際協働制作による人形芝居。12代目結城孫三郎はじめ人形遣いたちが寺門孝之デザインの人形をあやつり、ベトナムの国民的大女優であるレ・カインと競演します。演出に現代演劇の旗手・燐光群主宰の坂手洋二を迎え、アジアの芸術力を結集し、イプセンの戯曲『野鴨』を再構築していきます。様々な要素が融合した今まで見たこともない舞台にご期待ください。


○ハノイ公演 

於 : ベトナム青年劇場

5月13日(金)20:00開演
5月14日(土)20:00開演
5月15日(日)15:00開演


http://www.youkiza.jp/sp/vietnam/
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〈『楽屋』フェスティバル〉あす10日 千秋楽

2016-05-09 | Weblog
御陰様で好評開催中の〈『楽屋』フェスティバル〉も、いよいよ明日、千秋楽。

18時から〈獣神〉さん、
20時から〈燐光群アトリエの会〉による上演。
その後、このフェスティバルの総合コーディネーー・南谷朝子らによる特別ライブがあります!

★ライブ
出演:南谷朝子(Vo,Ag)
   きたぞのまゆみ(key)
   ながはら元(パーカッション)
入場料 : 1,000円

これまで誰も見たことのない『楽屋』という作品に特化した〈フェスティバル〉のフィナーレ、ぜひぜひお見逃しなく!

写真は、今回のフェスティバルを中心的に回した、樋尾麻衣子。
ホラーではありません。お化けの役ですが。
特殊メイクの腕前はプロ級となっています。仕事あったらください、とのことです。

http://rinkogun.com/index.html

…………

燐光群アトリエの会
『楽屋』フェスティバル
楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~
木冬社上演台本より
作○清水邦夫
2016年4月27日(水)~5月10日(火) 梅ヶ丘BOX
18団体による『楽屋』の競演!

清水邦夫作『楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき~』
1977年に初演されて以来、日本で最も多く上演されてきたこの名作を、愛し寿ぐフェスティバルを開催します!
木冬社出身の南谷朝子さんの協力のもと、18団体が入れ替わり立ち替わり、次々と登場。
音響・照明・セット、ほぼ共通のステージング。
今回この企画に賛同し、数多くの魅力的な顔ぶれが集まりました。
14日間、計61ステージ。2時間おきの連続上演。
こんな演劇祭は、史上初です!
まさに百花繚乱。花咲き乱れるあまたの『楽屋』をお楽しみ下さい。
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