Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

前川前文部科学事務次官ではない。首相補佐官と安倍首相こそ証言する義務がある。

2017-05-30 | Weblog
これまた朝日新聞の「スプーク」なのだろう。
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画について、前川喜平・前文部科学事務次官が朝日新聞の取材に対し、昨年9~10月に、国土交通省住宅局長などを経て第2次安倍政権発足直後に首相補佐官に就いた和泉洋人・首相補佐官と、首相官邸で複数回面会し、「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」「獣医学部新設を早く認めるよう求める趣旨だった」などと言われた、と証言したという。
周知の通り、前川氏は、加計学園の獣医学部新設について、文科省が内閣府から「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えられたと記された文書について、菅官房長官が言うように「怪文書」ではなく、「担当の専門教育課から報告を受けた際に受け取った文書に間違いない」と明言していた。
この時期は、前川氏が和泉氏と面会した時期と重なっており、「国家戦略特区での獣医学部新設について、内閣府と文科省の担当者間で協議が続いており、農林水産省などから新設に必要とされる獣医師の需給見通しが示されないとして、文科省が慎重姿勢をとっていた時期にあたる」わけだ。
まさに「昨年9月上旬から10月中旬」に前川氏は、「首相官邸の補佐官室に複数回呼ばれ、いずれも和泉氏と2人きりで面会した。」「和泉氏から、獣医学部の新設を認める規制改革を早く進めるように、という趣旨のことを言われた。『加計学園』という具体名は出なかったと記憶しているが、加計学園の件であると受けとめた」「このときに和泉氏から『総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う』と言われたことをはっきり覚えている」というわけだ。
この面会で前川氏は和泉氏に明確な返答をせず、「大臣(松野博一文科相)に直接伝える必要はないと思い、面会の趣旨だけを担当の専門教育課に伝えた」と説明しているという。
昨年10月中旬の再度の面会では、「『早く進めてほしい』という内容だった。タイムリミットということで焦っていたのではないかと思う」。その日のうちに、事務次官室で専門教育課の職員に対して面会の内容を伝えたという。
朝日新聞は和泉氏にこの件について文書で質問したが、和泉氏側は「記録が残っておらず、確認できません」「具体的な指示を受けたことはありません」と文書で答えたという。これは明らかな隠蔽である。明言できないところが、「もしもの時のこと」を考えていることの証明であるかもしれない。そして、もしもの時のために「(首相の)指示を受けていない」と言っても、その役職での言動に責任を持つなら、首相が関与していないことは考えられない。
また文科省専門教育課は、前川氏の証言について「承知していない。記憶にない」としている。組織ぐるみの誤魔化しの疑いがある。

前川前文部科学事務次官ではない。和泉首相補佐官と安倍首相こそ、喚問されるべきである。というか、もしも「潔白を証明したい」のなら、彼らこそが証言する義務がある。逃げも隠れもできない。そうしなければならないのである。

テレビに多数出演する、安部首相との濃密な関係が知られているジャーナリスト・山口敬之氏にレイプされたと主張する女性・詩織さん(28)が、5月29日、山口氏が不起訴となったことを受け、検察審査会に不服申立をしたと発表、弁護士を伴い、東京・霞が関の司法クラブで記者会見した。
勇気のある女性だ。多くの人が彼女の求める真実の追求と、正当な法的対応の請求を支持するだろう。
安部昭恵・首相夫人は、この山口氏のセカンドレイプ的自己弁護発言に「いいね!」を押しているという。
もみ消した連中を白日の下にさらさねばならない。

「報道」を侮ってきた首相本人とその周辺も、もう、ごまかしおおせようとする時期は、終わった。
「自称ジャーナリズム」となれ合うのではなく、真摯に真実を語る意志があるなら、もう、逃げてはいられないはずだ。

そして、安倍首相は、自分自身の言葉が真実であり信頼に足るものであることを証明するためには、自分自身が口にした約束通り「辞める」ことを実行に移さねばなるまい。

そして、当然、国連から疑義を持たれている共謀罪審議は、止めなければならない。「国連の総意」は、いずれまとまるだろう。
「北朝鮮のミサイル」「テロの脅威」では、ごまかせない。

これで動かなければ、もうこの国に健全さは何一つない。

野党の皆さん、しかしあなた方は本気なのですか。
解散総選挙になったときに対応できるだけの準備ができているのですか?


写真は、岡山・瀬戸内市の虹。
できれば人間は美しいものだけを見ていたいはずだが、そうもいかない現実である。
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さようなら、木下優子さん

2017-05-29 | Weblog
木下優子先生が亡くなられました。
ガンで闘病されていたことはご本人から伝えられた方もおられたと思います。連絡が取れなくなったという声が多かったのですが、親戚のご実家のある長野で療養されていたのです。
ご存じない方が多いということで、やはり関係の皆様にはお伝えしておいた方がいいだろうと思い、記します。
2016年10月31日、享年47歳でした。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

木下優子先生は、日本大学医学部附属板橋病院の外来医長、専門は東洋医学科、漢方を中心とした緩和ケアでは第一人者でした。
2015年夏。信州の講演先で吐血され、信州大学へ救急搬送されたそうです。
胃がんとわかり、一年余りの闘病生活でした。

この春、東京に戻られた御母様とやっとお話できました。
優子さんの娘さんは幼稚園年長組です。私が育てられる間はがんばります、と御母様はおっしゃっています。この春からは祖母と孫の二人暮らしということです。

木下先生は、燐光群の「主治医」を名乗り、劇団周辺の人たちの健康面について、さまざまにフォローして下さいました。
私が俳優座に書き下ろした緩和ケアについての劇『スペース・ターミナル・ケア』(演出・栗山民也)では、取材のみならず、俳優やスタッフに、惜しみなくレクチャー・指導をして下さいました。
医学界での公開講座・ワークショップ等に、演劇人を登用して下さいました。
永井愛さんの父・永井潔さんの、お亡くなりになる前の入院についても、尽力して下さいました。
いつも明るく、行動的な方でした。
「ハンドパワー」の持ち主でした。
勤務するがん病棟には児童の患者もいて、幼い死に心を痛めることも多かったようです。

思い出すことは多いのですが、本当に残念です。

本当に、ありがとうございました。


写真は、今月、ラマレラの、日没直後の「月の出」。満月の夜。
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マンタの干物 ラマレラ

2017-05-27 | Weblog
ラマレラではこのように干してあります。
写真は、海に面した銛撃ちラマファのサンガの親戚宅。豚を飼っているエリアの先の海に突き出た突端。
ある意味、絶景。
昨日、稽古後、焼いて、裂いて、皆でいただきました。
ヤスリのように堅くぎざぎざの皮の部分も焼くと柔らかくなる。
マンタ特有の微かなアンモニア臭も焼くと気にならない。
海の恵みでした。
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『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』終演後の特別企画! 深津作品リーディング等

2017-05-26 | Weblog
燐光群次回公演・深津篤史作『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』。
チラシの裏側のご紹介がまだでした。
山田賢一さんによる心のこもったイラストのある表面も御覧ください。http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/fe4a0c84a8b0c8f22945a6eb9aba5c33


裏面の中の新しい情報は、【終演後の特別企画!】である、深津作品のリーディングです。
それぞれの回で、終演後にそのままご覧頂けます。

S (スペシャル・リーディング) 9日(日)・11日(火)・16日(日)
いずれも『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』アダルト・バージョンとなります(出演者は本公演とは異なります)。
他の回と料金が異なります。

R (ショートリーディング) 8日(土)・12日(水)・14日(金)・15日(土)
深津篤史戯曲のショート・リーディング(短編あるいは抜粋)。予定作『四季一会』『月灯の瞬き』『カラカラ』他。

T (アフタートーク) 次のゲストと坂手洋二が出演
10日(月)土田英生(劇作家・演出家 MONO代表) 
13日(木)宮田慶子(演出家 新国立劇場演劇芸術監督)

<両リーディング出演予定者>
中山マリ 円城寺あや 都築香弥子 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 樋尾麻衣子 秋定史枝 小野寺ずる  他
※作品により変わります。

ショート・リーディングとアフタートークは、別の回をご覧になる方でも、そのチケットをお持ちか、予約されていれば、ご入場頂けます。
スペシャル・リーディングも、同条件でさらに500円を当日劇場でお支払い頂ければ、ご覧頂けます。

詳細は追って発表します。タイムテーブル、詳細等は、決定した部分は随時更新します。

http://rinkogun.com/wangansen.html

………………………………


深津篤史作・坂手洋二演出『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』

「深津演劇祭」参加。

7/6(木)〜19(水)ザ・スズナリ。


○出演者

杉山英之 東谷英人 荻野貴継 橘麦 高野ゆらこ
武山尚史 山村秀勝 宗像祥子 田中結佳
和田光沙 高木愛香 中瀬良衣

出演者は回によって一部、異なります。詳細は追って劇団HP等で発表します。



【深津篤史】
桃園会を主宰。関西演劇の耽美・不条理派の中軸を担う劇作家・演出家として活躍。『うちやまつり』で第42回岸田國士戯曲賞を受賞、『動員挿話』等で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞するなど高い評価を得ながら、2014年に46歳で亡くなる。

【深津演劇祭~深津篤史コレクション舞台編~】 (右のバナーからお入り下さい)
2016年9月から2018年3月まで、10を越える団体により、深津戯曲を上演するフェスティバル。関西を中心に開催される。燐光群は本作によって、東京から唯一、参加する。

【深津篤史コレクション(戯曲集)】 http://fukatsu-collection.info
全3巻・1300ページに及ぶ待望の作品集。代表作、戯曲賞受賞作から小品、掌編集、外部書き下ろし作品、遺作など厳選した20作品を収録。また、識者による寄稿や鼎談、深津が書いた多くの文章や詳細な年譜なども収め、深津篤史の才能に触れる決定版。



深津氏との出会いを、振り返る。
1997年、深津篤史は燐光群のアトリエである梅ヶ丘BOXにて、中国のノーベル文学賞作家・高行健作『逃亡』を演出(龍の会・世界初演)。これが深津の東京デビューであり、他者の戯曲の演出に取り組む初めての体験であった。その直後、坂手洋二は「劇作家協会新人戯曲賞」の二次審査で深津作『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』に出会い、「こんなけったいなもの書く奴だったんか!」とぼやきつつ、強く推す。
1998年、深津は燐光群アトリエ公演『ロウチ氏の死と復活』(トマス・キルロイ作)のチラシを見て、山田賢一によるイラストに惚れ込む。橋渡しされ、以後、山田が桃園会・深津作品の宣材のイラストを描くようになる。
1999年、燐光群主催による梅ヶ丘BOX「ウィークエンド・ワークショップ」講師を、深津が務める。
2004年、開館した精華小劇場の[オープニング事業]を、桃園会『熱帯夜/うちやまつり』と燐光群『ときはなたれて』の連続公演で飾る。
2006年、桃園会の江口恵美が、燐光群『スタッフ・ハプンズ』『チェックポイント黒点島』に出演。

詳細は追って発表いたします。

タイムテーブル等はこちらをご覧ください。



http://rinkogun.com/wangansen.html
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週刊文春に過去を暴かれる

2017-05-25 | Weblog
稽古場に来ていない劇団のNからメール。
「週刊文春に載ってますよ。2ページです。坂手さん過去を暴かれています」

買ってみると、その通りだった。

水道橋博士の連載である。
ひやひやさせないでほしい。
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共謀罪にストップがかかった以上、日本政府は「抗議」ではなく、国際社会と対話すべきである

2017-05-25 | Weblog
私が先のブログに挙げた内容がそのまま、国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏の反論と重なった。
同氏は、日本政府の対応を「中身のないただの怒り」「内容は本質的な反論になっておらず、プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と批判。「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ」と言う。
同氏によれば、「新法案では、犯罪を立証するため国民への監視を強化する必要がある場合に、適切にプライバシーを保護するための新たな特定の条文や措置が盛り込まれていない」ということだが、新たな特定の条文や措置が盛り込まれたとしても、この法案を通していいと私は思わない。
ともあれ、国連の批判に答えられない以上、共謀罪は撤回すべきだ。

衆議院本会議で採決前でもこの書簡が取り上げられたというが、この書簡に対し「すぐさま抗議の文書を送った」とする日本政府の対応は、恥ずべきものだ。
ケナタッチ氏は「私が送った書簡や日本政府からの回答を含め、すべて人権理事会に報告する」と語っているそうだから、日本政府は国連とやり取りする必要がある。
「国際的な条約を締結するために必要」と称していた「共謀罪」が、その「国際社会」に否定されているのである。
ここで話し合いを持とうとしないことは、「共謀罪」の目的が別にあることを日本政府自らが露見させているのである。
共謀罪にストップがかかった以上、「対話」しか道はないはずだ。
本当に自分が正しいと思っているのなら、どんなに時間をかけても相手を説得しようとする構えをなぜ持たない。間違っているのは日本政府の側だからそれができない。後ろめたいから急いでいるのだ。

「テロ対策」が「人権尊重」に勝るとは、国際社会は考えないのである。

そもそも日本政府の言う「テロ」とは何のことを示しているのか。
この国の過去のどの出来事を「国際的なテロ」と言っているのか。
安倍首相のもはや逃げ場のないスキャンダル・加計学園問題(「総理の意向」文書を前川前文科事務次官が「文書ほ本物」と証言)を、鋭く追求する朝日新聞だが、「朝日新聞は言論テロ」というFacebook投稿に、安倍首相自身が「いいね!」を押したという話が伝わってきている。もうこれは日本語ができないというレベルを超えて、無茶苦茶である。

まあそもそもこの間の共謀罪(テロ等準備罪)に関する国会審議自体が目茶苦茶なのである。

そこで、金沢市在住の小原美由紀さんによる国会審議中継の細かいディティールまで記した「書き起こし」を活用した、「国会審議を音読してみませんか?」という運動が始まっている。

金沢では路上で行われたようだ。
↓http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20170518/CK2017051802000034.html

この後、福岡や埼玉で行われるようだ。

小原美由紀さんの「国会審議 書き起こし」は、以下のサイトで見られます。

https://aocl.jimdo.com/国会審議書き起こし/


………………………………………


以下、それにまつわる情報です。



共謀罪って?テロ等準備罪って?ちょっと不安だけど、難しくてよくわからないし・・・
そんな時にできるアクションを集めてみました。

1)国会書き起こしを音読してみよう!

国会議員になりきって、実際の審議のやりとりを音読してみませんか?

このサイトでは、実際の国会審議の書き起こしを載せていますので、これを使って法務大臣や議員の言葉を声に出して「演じて」みると、かなり新鮮!立場の違い、言葉の選び方、何を考えての発言なのか、そして国会の「空気感」もリアルに思えてきます。
知人や友人を集めて、大臣役、議員役などを交代でやるのも面白いですし、お家でもイベントでも街頭でも出来る手軽さがウケて、「やってみました!」「企画しています!」との声が全国からも続々届いているそうです(マスコミ報道の一部はこちら)。
クイズをやってみたり、弁護士さんなど法律の専門家の方を招いての解説をセットにしたイベントにしたり、国会中継を見る会とセットにしたり、いろいろな形で開催されているようです。演劇人の方たちが「演じてみた!」との声も。

・ひとりで→書き起こしを、発言の内容、発言者の立場や考え方に注意しながら音読してみる
・知人や友人と→お家やカフェなどで、役割を決めて「演じて」みる。 イベントや街頭などで「演じてみる」。

https://aocl.jimdo.com/アクション/

「共謀罪(テロ等準備罪)法案」が、国会で審議されています。

プライバシー侵害の危険とか、いろいろ言われているけれど、どうなんだろう?なんだか色々おかしい気がするけれど・・何がおかしいかもよくわからない・・そう思っていらっしゃる方へのご提案です。

2人でも3人でも5人でも、集まって「山尾さん」とか「金田法務大臣」とか「安倍首相」になりきって、実際の国会審議の書き起こしを音読してみませんか?

国会では、実際にどんなことがどんな言葉で話されているかな?
この法案、本当にこんなに急いで通す必要があるのかな?
テロ対策のためというけど、ほんとかな?
オリンピックのためというけど、ほんとかな?
成立すると、私たちに、未来の子どもたちに、どういう影響があるのかな?
実際に国会で審議されたリアルな内容を、声に出してみると、実に様々なことがわかってきます。
議員の発言の意味、言葉の選び方、声のトーン、どんな心理で言葉を発しているかなど、会議録を読むだけではわからないことが見えてきます。

オンドクは、独りでもお友達と一緒でも、できます。
お家やカフェでもできます。もちろんイベントでもできます。

ぜひ一度やってみませんか?

https://believe-j.jimdo.com
 
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国連書簡の否定はこの国の孤立への道

2017-05-23 | Weblog
人権状況などを調査・監視する国連特別報告者で「プライバシー権」を担当するジョセフ・カナタチ氏が、18日付で安倍首相に書簡を送った。
共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と指摘するものだ。
「法案の成立を急いでいるため、十分に公の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」としている。

菅義偉官房長官は22日午前の会見で、国連特別報告者が書簡を安倍首相に送ったことについて、「不適切なものであり、強く抗議を行っている」と述べたという。

菅官房長官は「特別報告者という立場は独立した個人の資格で人権状況の調査報告を行う立場であり、国連の立場を反映するものではない」というが、「国連人権理事会の特別報告者」という役職の立場の対応で、カナタチ氏は「個人の資格」でものを言っているわけではない。

菅官房長官はこの書簡に対し「政府や外務省が直接説明する機会のないまま、公開書簡の形で一方的に発出した」というが、安倍首相に送ったものを公開するのは、形式としてはたんに公正を期しただけであろうし、公開すべきだと判断したからそうしたのだ。そもそもこうした判断を招いた日本政府のやり方に問題があるのだ。

菅官房長や外務省が「強く抗議を行った」というが、それがどのような形でなされたかを国民としては知る権利がある。日本が国連に対してさらなる失態を晒しているかも知れないからだ。
ケナタッチ氏は、法案について評価し、質問を行っているのであり、見解や説明を求めている。批判のための批判をしているわけではない。
菅氏が「プライバシーの権利や表現の自由などを不当に制約する恣意的運用がなされるということはまったく当たらない」と「正当な抗議」をしたというなら、その「まったく当たらない」ことを証明する内容をぜひ国民にも示していただきたい。

政府は、本23日にも衆議院で法案を採決する構えのようだが、まず国連からの質問に答えるべきだとする識者が多いのは当然である。国連を説得してから出直すべきである。

菅官房長官は、「法案は187の国と地域が締結する(テロ対応の)条約の締結に必要な国内法整備だ」と、マスコミには相変わらず無内容な反論を展開しているが、これについてはカナタチ氏の言を待つまでもなく、国内で既に論理破綻が指摘されている。

京大の髙山佳奈子教授は「この法案は実はテロ以外にしか適用されない。テロ対策の法律は2014年までに整備が終わっているので、テロ以外のものしか残っていない。テロ対策にはまったく役に立たない内容ということが、国民にほとんど知られないまま強行採決されようとしているのが問題」と、あらためてテレビ番組で語った。
まったく「必要」ではないのだ。
この簡単な事実が、多くの人に共有されていないことが問題だ。

写真は、去年9月の高江N1ゲート前テント。
政府は、米軍基地建設に反対・阻止のための直接行動が、「新共謀罪」の対象になると明言した。
山城博治さんの拘留はその前倒しの「暴挙」だ。

アムネスティも山城さんの拘留を人権侵害と認定していたが、今回、国連まで蹴飛ばして、この国の暴走は留まることを知らない。

国連書簡の否定は、この国の、世界からの孤立への道への一步だ。「共謀罪」問題以上に、この国の姿勢自体が問題といえるのだ。
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トビウオは本当に海面を飛ぶのだ と 最近の雑念

2017-05-21 | Weblog
ラマレラでは何度かトビウオを食べた。

クジラ漁に出て、海面を跳ねるトビウオを何度も見た。
20年ほど前、初めてこの海に来て以来、ずっとだ。
トビウオは夜を中心とした網漁でも獲れるが、イルカや歯クジラたちがトビウオの群を襲い、たまたま残ってしまった死骸が浮かんでいるのを我ら漁船がいただくこともある。
干物、焼物で、何度かラマレラでもトビウオをいただいた。

トビウオは味としてはアジに近いという意見もあるが、サンマに近いという人もいる。
私にとっては、トビウオはトビウオだ。

なんにしても、あの見事な跳躍だ。
トビウオ!

俺は自分が馬鹿じゃないかと思うことも多いのだが、仕事で行った大分駅構内のcoop系スーパーでトビウオの刺身が三百円台で売られていることに興奮し、買って食べてしまった。
東京に戻って今日スーパーで焼き物用のトビウオを半額割引で売っているのを見つけてしまい、買ってしまった。
まだ気持ちはラマレラに残っているのだ。
馬鹿なのだ。


馬鹿ついでに思いついたことを幾つか。


あと二日で市場に出る予定の「ブラックニッカ クロスオーバー」は、私のような素人の酒飲みにとっては、かなりいいものだ。わかりやすい味なのだ。値段はブラックニッカより高いがスーパーオオゼキでは公表されている売値より八百円ほど安いらしい。
日本のウイスキーがおいしいと、嬉しい。
私が20年前、サントリー「山崎」の宣伝に出ていたことを知る人は、もはや少ない。


馬鹿ついでに思いついたこと、あと少し。

今月はほとんど東京にいないが、春からここのところ、若い世代の芝居を幾つか見た。
大勢が出ている芝居が多い。
切符を売るために大勢出しているとしか思えない。
せっかく大勢出るから、というだけの戦略は、見えない。
むしろ大勢出ていることを頼りにしているかのようだ。
なめるなよ、と思う。

昨日も某若手芝居で、本当に腹が立った。
四千二百円を取るだけのことができているとマジで思っているのか?

新しい世代を応援する気持ちは誰よりも強い私だが、悩ましいです。
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法相不信任案否決は国会の存在じたいを否定する愚挙

2017-05-19 | Weblog
もう具体的に説明するのも嫌なのだが、「共謀罪」というか「テロ等準備罪」の組織犯罪処罰法改正案を巡る金田勝年法相の答弁は、本当にひどすぎる。
まったく責任を果たせていないし、きちんと説明ができた試しもなく、国民を愚弄するものである。
民進党など野党4党が提出した不信任決議案は与党らの反対多数で否決された。
本来は与党側が自浄すべき問題である。

これはもう民主主義の根幹を揺るがす、「国会否定」だ。
なぜみんなそんなに平静なのだ。他人事のような顔をしているのか。
未来の人々はこの時代に生きた人たちを軽蔑するだろう。

「共謀罪」の国会通過を許してはならない。

「森友」「加計」でもう安倍首相の「疑惑」は、逃げられないところまで来ている。
なぜここで止められないのか。

「嘘」も「本当」と言い続ける人がいれば、聞くしかないのか。
おかしな判断、不条理な決定を覆すことはできないと、シラけていていいのか。


異常なことが当たり前になっても平気だという現象が多すぎる。
先日、郵便局で、「アフラック」という一外資保険企業がそこに乗り入れ、郵便局マークとアフラックの文字がしばしば並列されていることに、あらためて違和感を感じた。「アフラック」に恨みはない。同社のアヒルのキャラクターが好きだという人がいてもだからどうしろということはない。しかし他の保険会社はなぜ黙っているのだろう。不思議で仕方がない。
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クジラが捕れたらしい!

2017-05-18 | Weblog
私も小島曠太郎さんもラマレラを離れた昨日、クジラが二頭獲れたそうです。
5月にクジラ漁が解禁されてから初めてのことのようです。
クジラの潮吹きが発見される「バレオ」は私が到着した6日にもあったようですが、銛が抜けて失敗でした。その後も見つかったのがナガスクジラだったり(ラマレラでは基本的にヒゲクジラを捕らないことになっているようです)、で、漁師たちはなかなかイカンパウス(マッコウクジラ)とは邂逅できずにいたのです。
何はともあれ、めでたい。
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国会は憲法を守ろう

2017-05-17 | Weblog
共謀罪も安保法制も明確な憲法違反。
ゴリ押しは通してはならない。
国会は憲法を守ろう。

安倍首相が自衛隊について憲法に書き込もうと言いだしたのは、共謀罪を通すにあたって、憲法を軽んじてみせる目的である。

加計学園の新証拠、天皇の孫の婚約準備、等が一面を飾る今日の朝刊。
憲法の危機なのだ。
それどころじゃないだろう。
それを情報戦略、印象操作と批判するのもよし。

しかし、情報や印象の問題と考えてしまうことじたいがおかしくはないか。
憲法違反は憲法違反である。
選挙の時の無責任さだけではない。
これでは流されてしまうことを望んでいるのは国民自身ということになる。

沖縄の反基地闘争が共謀罪の当座の標的である。
「謀議」でなく行為後ではもう厳しい抑えつけをされている。
そのことについて話さえできなくなる、という社会に持っていきたいのだろう。
憲法を守るのと同時に、「反基地闘争」の正当性がもっと浸透しないと、まさにそのことを守るという敏感さと必然で論理が回っていかない。

「共謀罪」の時代はどこか遠い未来ではない。
いま。ここにある。

はたして日本に野党は存在するのか。
それを証明するのは今である。
何ができるか、数の論理が、云々は、問題ではない。
歴史に恥ずべき国会のひどさを、本気で是正してほしい。
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アミラ・ハス氏 来日支援のお願い “パレスチナ”と“オキナワ”がもつ普遍性

2017-05-16 | Weblog
土井敏邦さんからの連絡です。

パレスチナ占領50年の今年9月、占領地報道の第一人者として世界に知られるジャーナリスト、アミラ・ハス氏来日のための支援のお願いを、お伝えします。

“パレスチナ”と“オキナワ”がもつ普遍性を伝え合う機会です。

   沖縄の状況を伝えると、ハス氏は「沖縄を取材したい」と自ら申し出ました。
   “オキナワ”に“パレスチナ占領”と通じる普遍的なテーマを見出したからです。


この国で安倍政権の悪法成立のゴリ押しが認められてしまい、もしもイスラエルと日本がハス氏の活動を「テロ」認定すれば、このような支援依頼情報拡散じたいが、「共謀罪」に問われることになるのでしょうか。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


パレスチナ占領地報道の第一人者

イスラエル人ジャーナリスト/アミラ・ハス氏 来日

支援のお願い


 パレスチナ占領50年の今年9月、占領地報道の第一人者として世界に知られるイスラエル人ジャーナリスト、アミラ・ハス氏が来日します。

 ハス氏はイスラエルの有力紙『ハアレツ』の占領地特派員として、1993年のオスロ合意直後からガザ地区やヨルダン川西岸地区に定住し、
イスラエル人でありながら、現地からに占領の実態を伝え続けてきました。その記事はイスラエル内外で大きな反響を呼び、
「国際ギレルモ・カノ世界報道自由賞」「アンナ・リンド人権賞」「国境なき報道者賞」など、数々の国際賞を受賞しました。

その一方、一部の国民からは「祖国への裏切り者」と呼ばれて脅迫に晒され、ハス氏が歯に衣着せず批判する
パレスチナ自治政府やハマス政権からは追放や脅迫を受けてきました。


     ◆なぜ、いま、アミラ・ハス氏を日本に招へいするのか?


 パレスチナ問題は、日本人にとってほんとうに「遠い問題」でしょうか。
 人権と尊厳が踏みにじられて続ける現場、それは日本にも存在します。

沖縄の状況を伝えると、ハス氏は「沖縄を取材したい」と自ら申し出ました。
“オキナワ”に“パレスチナ占領”と通じる普遍的なテーマを見出したからです。

来日するハス氏はまず沖縄を3日間にわたって取材します。占領50年の“パレスチナ”と、
戦後70年も米軍に支配される“オキナワ”との接点を探る旅です。

またアメリカ人として沖縄での自国の“加害”をドキュメンタリー映画「うりずんの雨」に描いたジャン・ユンカーマンと対談し、
自国の“加害”を伝えることの意味、“パレスチナ”と“オキナワ”がもつ普遍性を伝え合います。

また、ホロコースト生存者の両親をもつハス氏は、ホロコーストと並んで歴史的な惨劇の地である広島を訪れ、
“ホロコースト”と“ヒロシマ”の接点を取材します。

十数万の住民が原発事故で故郷を追われた“フクシマ”は、
1948年のナクバ(大災厄)や1967年の第三次中東戦争で故郷を追われたパレスチナ人と重なります。

イスラエル人ジャーナリスト、アミラ・ハス氏の来日は、その視点を通して私たち日本人が
「日本の中の“パレスチナ問題”」を発見していく絶好の機会となるはずです。


【略歴】
 1956年、イスラエル生まれ。両親はホロコーストの生存者。有力紙『ハアレツ』の占領地特派員として1993年からガザ地区に、
97年からはヨルダン川西岸のラマラ市に住んで、現地から報道し続けているジャーナリスト。代表作は『Drinking the Sea(ガザの海水を飲んで)』、
日本語への訳書は『パレスチナから報告します』(An Israeli Journalist in a Occupied land by Amira Hass/2005年・筑摩書房)


【紹介記事】
  『パレスチナから報告します』解説・インタビュー(土井敏邦)
   http://www.doi-toshikuni.net/j/column/200502-amira.html



     ◆来日のための支援のお願い

 アミラ・ハス氏の来日と滞在のために、
180万円の費用が必要です。
ご支援いただけないでしょうか。

① 郵便振り込み
〈振り込み先〉
   「郵便振り込み」00280-0-95978
   「土井敏邦 パレスチナ・記録の会」
    ※必ず「アミラ・ハス来日支援」とご記入ください。

  個人は一口5000円、団体は一口10,000円ですが、何口でも結構です。
 

② 「クラウド・ファンディング」での支援
(https://camp-fire.jp/projects/view/27853)





       【東京・報告会】

〈期日〉2017年9月17日(日)/18日(月・祝日)(予定)

〈場所〉東京大学・経済学部研究科棟 第一教室
     (文京区本郷7-3-1)(最寄り駅 「丸の内線」本郷三丁目)

〈内容〉 
 (1日目)「占領 50年のパレスチナとイスラエル」
・ ドキュメンタリー映画「ヘブロン―50年目の占領」上映
          (土井敏邦監督・最新作)

・ アミラ・ハス氏講演
1. 私のパレスチナ・イスラエル取材
2. “占領”とは何か―イスラエル側、パレスチナ側の両サイドから
3. 国際社会は“パレスチナ占領”とどう向き合うべきか

・ パレスチナ研究者たちとの対談


  (2日目)「パレスチナと日本」
1. 映画「うりずんの雨」(ジャン・ユンカーマン監督作品)(一部分)
(沖縄と米軍との関係の歴史と、自国の加害の現実を描いたアメリカ人
映画監督のドキュメンタリー映画)

2. 森住卓氏(フォトジャーナリスト)の辺野古・高江報告

3. アミラ・ハス氏とジャン・ユンカーマン氏との対談(司会・土井敏邦)
(パレスチナと沖縄の接点/自国の“加害”をなぜ、どう伝えるか)


   【他のイベント】

1) ハス氏の沖縄(辺野古・高江など)取材(3日間)
沖縄・講演/記者会見

2) 京都・講演(京都大学)

3) 広島平和記念館・訪問/被曝者との対話/講演

4) 福島訪問(被災地/仮設住宅)

5) 日本人ジャーナリストたちとの対話集会

6) 記者会見(日本記者クラブ)

〔以上は、現時点(2017年5月)の予定です。今後、ハス氏のスケジュールや登壇予定者の都合により、日程や内容の変更の可能性もあります〕

〔パレスチナ・イスラエルでの緊急事態(武力衝突・蜂起・要人の死去など)の場合は、
占領地特派員であるハス氏の来日が延期になる場合もあります。ご了承ください。〕


【主催:アミラ・ハス氏来日実行委員会】
  土井敏邦(代表・ジャーナリスト)
  臼杵陽 (日本女子大学教授)
  長沢栄治(東京大学教授)
  岡真理 (京都大学教授)
  金井創 (沖縄キリスト教学院平和研究所)
  小島浩介(公立高校教諭)
  鈴木啓之(「土井敏邦・パレスチナ記録の会」スタッフ)
  白川優子(国境なき医師団)
  土井幸美(公立小学校教諭)

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17年ぶりの島

2017-05-15 | Weblog
とにかく17年ぶりのラマレラ。
あの頃私はまだ三十代だったのだな。

この海の青さ。
深い海が湾に迫っているから、クジラが近づくのだ。

17年前の5月11日は、三頭のマッコウクジラ(コタクラマ)が捕れた、奇跡の日だった。
あれは本当に滅多にないことだったのだな。

世界唯一の伝統捕鯨村。
日本から二日半かかるが、やはり惹きつける魅力がある。
でも往復五日+滞在一週間の旅は、いろいろやりくりしても、なかなかできることではない。

いろいろ書きたいこともあるが、なかなか言葉にならない。

昨日は劇作家協会の平和な会議、総会。
滅多に会えない人、新しい人もいるので懇親会にも出るが、永井愛さんと話しているうちに、私たちにはやらなければならないことが山のようにあるのだという思いが膨らんできて、二人とも帰宅。
というか、日本の現状が、ひどすぎるのだ。
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17年ぶりのラマレラ。

2017-05-14 | Weblog
17年ぶりのラマレラ。
行ってきました。
ちょうど5月から、マッコウクジラの漁期。
連日クジラ船に乗りました。
マンタはいっぱい捕れましたが、まだ今月クジラは捕れず。
前回のように一度にクジラ三頭というようなわけにはいきませんでした。
何ヶ月も捕れないときもあるのです。

いろいろな変化。
懐かしい人々。
これからの世界がどうなってゆくかを、あらためて考えました。

小島曠太郎さんにすっかりお世話になりました。
名ラマファ・サンガとも再会。

朝に帰国。
さて、今日はこれから劇作家協会の会議、総会。
皆さん総会にはなるべく出てくださいね。その後、懇親会もあるようです。
コメント (1)
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「私日本人でよかった」と思うのは自由。日の丸をどうするかも自由。

2017-05-13 | Weblog
「私日本人でよかった」と書かれた、日の丸をバックにした女性のポスターが、話題になっているようだ。京都のあちこちに貼ってあったという。どこかで見たような気もしてくる。
女性が目を閉じて微笑を浮かべ、どうやら肩から上は着衣していない。なんでそういうデザインにしたいのかはわからない。
起用されたモデルが、日本人ではなく中国人ではないかということも話題になったようだ。

下の方に「誇りを胸に日の丸を掲げよう」と、標語のようなサブコピーがある。
国旗掲揚を呼びかけているということか。
このポスターは、平成23年に、神社本庁が作ったものらしい。6万枚という。
神社担当者が、「昔は祝日に多くの家庭で国旗を掲揚していたが、今は少なくなっている。日本の伝統と文化を尊重する意味で、祝日に国旗を掲げることを啓発しようと作った」と説明したとする記事も読んだが、この国が日の丸を掲げるようになったのはそんなに昔ではない。そういうものが伝統やら文化やらだというのは、明治以降から第二次世界大戦までの、つまりは軍国の時代のこの国の制度を「この国本来のものである」と印象付けようとする、保守的な動きと同じである。

「私は日本人であることに誇りを持っているが日の丸の掲揚は強制されるべきではない」と考える人だって、いるだろう。
「国旗を掲揚しよう」とわざわざポスター作って呼びかけるなんて、あまり他の国ではないのではないか。
国家主義勢力に近い宗教関係者がやっているならなおさらだ。
国旗は他の国との差別化や記号として使われるだけでもよく、愛着を持つ人は自然と持つだろう。
それに違和感を持つ者にはそれなりの理由があるだろうし、理由がなくたって強制されたくないだろうし、強制されるから嫌いになることだってある。
そうして「押しつける」ことが安倍政権が学校教育に取り入れようとしている「道徳」同様に、気味の悪いものに思われるわけである。

私は、「日本人でよかった」と、わざわざ言わなくてはいけないと考えていることじたいに、そもそも問題があるように思う。
他の人が「日本人でよかった」と思わないでいるなら、それはおかしい、そう思うべきだ、と押しつけているように思われる、ということだ。

そして明らかに「I Love(♡) New York」とは違う。
「好き」とは言っていない。
土地や国と人間が、対等でない。
「日本人でよかった」は、国籍や土地の名前ではなく、「日本人」という、ある概念が存在し、そのメンバーシップの中に生まれ落ちたことを喜ぼう、という、何か、思い込みの強さがある。
「日本人」というものに依存している。
依存心がある。
何もしなくても価値のあるもの、ほうっておいてもみんながいいと言ってくれるもの、そういう自動的な価値のあるものとして「日本」「日本人」を位置づけたいらしいのだ。
それは裏返せば、自己同一性の強要である。

そんなに不安なのか、と思う。
不安な人は、他の人を縛りたがる。
日の丸・君が代にまつわる、こういう言説・表現は、そうしたことの証明のようにに思われて仕方がない。

「私日本人でよかった」と思うのは、自由。日の丸をどうするかも、自由。自由な中で人間が選ぶ。

あるいは、もしも周りを見渡して「日本人でよかった」と思える日本でなければ、つまり、過ちが多ければ、日本の方を変えればいいのだ。
愛国心というものは、そういう過程に耐えられるという感情の種類である方が、自然だと私は思う。
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