Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

長野出張

2019-04-30 | Weblog

長野出張の日々、続いている。昨日はとくに午前中二件、上田から松本に移って4件、打ち合わせやら確認やら。

この仕事以外のことで連絡しなければならないところが多々あるのだが、なかなか難しい。考えをまとめてからでないと連絡できないところもあり、申し訳ない。

松本では、かつての松本演劇フェスティバルのリーダー・堀内さんと再会、懐かしい日々を思い出す。日下部先生ら高校演劇の皆さんともお話しできた。

松本でこれまで何度公演をしたのか思い出せない。松本市民芸術館実験劇場では『いとこ同志』初演・再演、松本演劇フェスティバルで『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』『神々の国の首都』、ピカデリーで『CVR』『ララミー・プロジェクト』、松本市民芸術館小ホール『屋根裏』『民衆の敵』等々。

そして長野市に移動。

 

信州なので蕎麦も食べたが、写真は「松本ブラック」。ブラックラーメンは富山だけではなかったのだ。

 

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週刊朝日「悠仁さまの机に刃物、【思想犯】を重点捜査  内部事情に詳しい者の犯行か?」

2019-04-29 | Weblog

週刊朝日に「悠仁さまの机に刃物、思想犯を重点捜査  内部事情に詳しい者の犯行か?」との記事があるという。

 

某辞書によれば、【思想犯】とは、

① 確信犯の一。思想上の主義主張の相違による犯罪。

② もと治安維持法に触れる犯罪の通称。また,その犯罪者。

だそうだ。

 

4月26日、秋篠宮家の長男の通う中学校で、彼の机などに包丁が置かれていたことがわかったのだという。

捜査に乗り出しているのは、警視庁捜査一課だという。警視庁捜査関係者の言葉として「平成から令和へ、改元直前の犯行ということで、ほぼ間違いなく、思想犯。包丁を置くという行為が、秋篠宮殿下に対する脅しのメッセージだろう」とされている。


そして気になるのは、「思想犯であれば、逮捕しても発表されない可能性もあるという」という記述である。

かつての昭和→平成「改元」は、昭和天皇の死によって起きたことであるため、日本中がお弔いモードになり、「歌舞音曲」のような表現について「自粛」を強要されることが事前に想像された。私も含めて多くの思想信条と表現の自由を求める表現者が、あらかじめ表現の「自粛」に反対する態度を表明し、その考えに基づいた行動をとった。「思想上の主義主張の相違による犯罪」とされるなら、かつてそうした行動をとった者たちは「思想犯」予備軍とされるのだろう。

多くの人が週間朝日の記事に違和感を抱くのは、そのような「思想上の主義主張の相違」があること自体に対して「犯罪性」を認める方向に、同誌が与しているように感じられるからである。

「治安維持法」の時代ではない、と思う方々も多いのだろうが、この間、秘密保護法や「共謀罪」が、この国で確実に成立してしまっているのは事実である。

 

2016年に成立した改正通信傍受法が61日に施行されるのを前に、警察庁は25日、実施に関する通信傍受規則を改正している。共同通信によれば、専用機器を用いて各警察本部で電話の傍受ができるようになる。NTTなどの通信事業者の立ち会いは不要。特殊詐欺など組織犯罪捜査への活用が飛躍的に伸びるとみられる。適正捜査を担保するため「傍受指導官」を新設した。

通信傍受法は立法時、乱用やプライバシー侵害への懸念から反対があった。今後は傍受件数の大幅な増加が見込まれるが、担当者は「通信データは暗号化され、傍受指導官も客観的立場でチェックする」としている。現行の通信傍受は数少ない事業者の施設で実施しているため、各警察本部が順番待ちの状態で、迅速性に課題があったとされている。

警察庁によると、専用機器はパソコン型の「特定電子計算機」。通信事業者と専用回線で結ばれた警察本部の室内で使用。傍受内容は暗号化されたデータで送信され、同計算機で暗号化される前の状態に復元する。これまではリアルタイムの傍受に限られていたが、録音も可能となる。

同計算機は警察本部ではなく、警察庁の地方機関である管区警察局や各県の情報通信部で保管。捜査員は傍受のたび、裁判官の令状に基づいて機器を借りることになる。今年61日時点で全国に141台あり、年度内にさらに47台増やす予定。

傍受指導官は適正な事件捜査を指導する刑事総務課などに所属する警部以上の中から指名。事件ごとに指導官1人を配置して傍受現場に立ち会わせ、客観性や適正さをチェックする。

法務省によると、18年に警察は12事件の捜査で携帯電話の通話を傍受し、計82人を逮捕した。00年の通信傍受法施行以降の適用は計145事件、逮捕者は計857人という。

 

これはもう、誰もが捜査の対象になるということだ。

私が昔の「反自粛」の仲間と電話で「今度の天皇代替わりでも何かしなきゃね」と話し、冗談ででも「計画」をぶちあげようものなら、あっという間に包囲される可能性がある。

いつか見た青い空、だ。

つまり、週刊朝日が言うように、「思想犯であれば、逮捕しても発表されない可能性もあるという」ということであれば、私が冤罪で逮捕されても、「思想犯」であるが故の、「秘密保全」の考え方が適用され、そのことが公開されないということになるわけだ。従って、もしもの場合、私は、広く社会に逮捕の現実を知ってもらうこともできず、そのことへの反対世論は起こらず、法的に対抗したとしてもその事実は社会の表には出してもらえず、闇に葬られていくことになるのである。

私と連絡が取れなくなったら、そういう可能性があることを、お考えください。

 

 

 


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犀の夜

2019-04-28 | Weblog

ええ、そうです。信州上田にいます。八月の上田での劇作家大会の準備。サントミューゼでの長谷基弘ワークショップにも立ち会う。

世間はゴールデンウィークらしいですが、上田の夜はいつになく賑やかだそうです。

夜八時を回って、劇作家大会の会場の一つとなる、劇場とゲストハウス等が合体している素敵な施設「犀の角」で、「4人の犀による、夜の祭り。『犀の夜 ACT.11』」に、途中から参加。超満員。これまでで最大の客入りだという。

「ただひとりでステージに立つ者を4人集める犀の夜。 犀の角で1年以上継続的に開催しているソロパフォーマーによるすべての個人に捧げるイベント。 今回は朗読、語り、弾き語り、非言語ミュージカルの4人が各々30分のステージを繰り広げます。 「犀の生誕祭」で好評だったオープンマイクもレギュラー化。1組5分のオープンマイクを22:30まで、時間の許す限り行います。」とのこと。

池田シンさんの弾き語りと、姫凛子(ひめりんご)さん(写真)の「非言語ミュージカル」に、間に合う。

上田では、劇団活動はあまり盛んではないが、すぐれたタレントはいろいろいらっしゃるのだと思う。

そして偶然、下北沢の町おこしというか、今後のために活動していて、上田に引っ越していた浅輪剛博さんに、再会。

昼間にも、上田でこんなに大勢いろいろな人に会えるのかと驚くくらい、多くの再会があった。

 

犀の角、犀の夜。犀といえばイヨネスコの戯曲を思い出す。梅ヶ丘で日本語版を上演したことがある。

「犀」は、まあ、ストーリー的には、ほぼゾンビものと同じなのだが。

 

犀の角の店内には、犀のモニュメントが幾つも置かれている。素敵な空間である。

 

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映画『作兵衛さんと日本を掘る』

2019-04-27 | Weblog

熊谷博子監督の新作『作兵衛さんと日本を掘る』。

2011年5月25日、筑豊炭田の元炭坑夫の描いた記録画と日記697点が、日本初のユネスコ世界記憶遺産になった。 

作者の山本作兵衛さん(1892-1984)は、福岡県の筑豊炭田で、幼い頃から働いた。専門的な絵の教育は一度も受けていないという。「1964年の東京オリンピックの喧騒を遠くに感じていた労働者の見た風景は、 2020年、変わっているのだろうか?」と、映画は、提起する。

石炭から石油へというエネルギー革命で、国策により炭鉱が次々と消えていく。そして原子力発電へ。いつ崩れるかもしれない炭鉱での命がけの作業は、現在の原発労働、廃炉さえ叶わぬ「現状維持」のための被曝の現実に繋がる。

 

とても不思議な鑑賞体験。示唆に富む。

多くの場合は違和感を生むドローンの撮影を、「時差」を埋めるための装置として、機能させている。とにかく作り手の苦心が伝わってくる。

 

黒田京子(作曲・ピアノ)・喜多直毅(ヴァイオリン)による音楽が、素晴らしく、美しい。ヴァイオリンの旋律が、耳に残る。

 

来月末、ポレポレ東中野等で公開。

https://www.sakubeisan.com

 

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米軍に代わって 沖縄防衛局が警告

2019-04-26 | Weblog

今月3日夜、米海兵隊が、高江でオスプレイの着陸帯工事に反対する、住民の会がゲート前に建てていたテント等全てを、強制撤去した。

住民の会は新たにテント等を建て、抗議活動を継続していたが、引き続き、今度は「沖縄防衛局」が、25日午後5時までに撤去を求める警告文の表示物を設置していた。

徹夜で張り番をしているメンバーもいる中、その時刻を過ぎ日付も変わったが、強制排除の動きは出ていないという。

 

25日、屋良朝博さんが衆議院に初登院。沖縄の意志がここ数回の投票で確実に確かめられている以上、国の側がそれを受け入れるのが筋。屋良さんの活躍に期待。辺野古も高江も基地はいらない。

 

 
写真は二年前の高江。
 
 

高江テントを米軍・防衛局が撤去

https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/814dc397fe5520b7c67b706e8165a7c6

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〈劇作家協会新人戯曲賞〉今年の締切は、7月1日 これまでより一ヶ月早くなります

2019-04-24 | Weblog

劇作家協会新人戯曲賞 今年の締切は、一ヶ月早まりました。ご注意ください。

第25回劇作家協会新人戯曲賞の受付期間は、6月1日(土)〜7月1日(月) です。

いや、例年と同じと勘違いする人が多くなってしまい、応募数が減るのではないかと心配しております。拡散よろしくお願いいたします。

 

演劇界の未来を担う才能の道を拓くことを期し、1995年に生まれた劇作家協会新人戯曲賞。1次審査から最終審査まで、審査員はすべて劇作家。劇作家が運営し、劇作家が選ぶ戯曲賞です。

最終審査会を一般公開で行なうことと、最終審査員が応募者の希望の集計により選ばれることが、この賞の大きな特色です。

今回の審査会は、2019年12月15日(日)に座・高円寺(東京都杉並区)で開催の予定。

また、例年5~6本の最終候補作を全文収録した『優秀新人戯曲集』(ブロンズ新社)を刊行しています。(写真は前年度の戯曲集)

下記の要項をご確認のうえ、ぜひご応募ください。  

 

応募受付期間    2019年6月1日(土)〜7月1日(月・消印有効)   

応募資格   不問(自らを新人と思う者)

応募規定    1人 1作品  2018年8月1日から2019年6月30日までに、日本語で書かれた作品で、書籍あるいは雑誌に未発表のもの(上演していても可)   同作品の、同時期の他の賞との重複応募は不可  また、過去に他の賞の佳作以上を受賞した作品は、手直しをしていても不可  原作のあるものの脚色は不可  また、他の戯曲・小説・映画などの一部を使用する場合は、作品名を明記し、著作権処理が必要な場合は応募者の責任で行なうこと  

原稿形式・必要記載事項・応募上の注意

1.表紙(2部)    ・作品タイトルと作者名を記載  

2.あらすじ(2部)    ・800字~2000字程度 (*あらすじにも作品タイトルと作者名を付記すること)  

3.戯曲(2部)    ・ワープロの場合は、片面印刷でA4用紙に800~1600字詰め(原稿用紙への印刷は不可)    ・手書きの場合は、400字詰め原稿用紙使用    ・枚数は、400字詰め原稿用紙に換算して250枚程度を上限とする    ・ページ番号をつける  

4.別紙(1部)    ・住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・電話番号・メールアドレスを記載  ・希望する審査員(劇作家協会員に限る)3名を記す。

上記を1~3を1部ずつ順に重ね、ダブルクリップまたは紐でとめたものを、必ず2部送付  別紙は1部のみ

応募書類(原稿を含む)の返却には応じかねるので注意のこと  

最終審査員   劇作家協会会員7名  応募者の希望を集計し、上位7名を最終選考会の審査員とする  (審査員の記載は、最終審査員を決めるためのものであり、希望する劇作家が応募作を読むという意味ではありません)

賞   劇作家協会新人戯曲賞1編   正賞=時計 副賞=賞金50万円 (他の最終候補作者にも記念品贈呈)  

著作権   応募者に帰属  

詳細は → http://www.jpwa.org/main/activity/drama-award/guidance

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原発事故は「進行中」である

2019-04-23 | Weblog

この国に生きている者の多くが、原発事故が「進行中」であることを意識しない日が多くなっていないだろうか。

関西・九州・四国の電力3社の川内(鹿児島県)、玄海(佐賀県)、高浜、大飯、美浜 (いずれも福井県)、伊方(愛媛県)など再稼働した原発が、新規制基準で義務づけられている原発のテロ対策施設の建設が設置期限 に間に合わないため、停止を迫られる可能性があると聞いた。テロ対策施設は、航空機の意図的な衝突の際などに遠隔で原子炉を制御するものだという。当初の設置期限は新基準の施行から5年だったが、2015年、再稼働に向けた原発本体の工事計画の審査を終えてから5年以内に設置する条件が定められた。

なぜ攻撃されるのか。そこに原発があるからだ。原発を攻撃すればこの国の機能の大きな部分を止められるからだ。そこにいる労働者の抱えるリスクは大きい。そもそも管理不全が多い原発で、次なる震災の被害があったとき、事故が起きる可能性は高い。

事故にせよ、攻撃を受けるにせよ、被ばくせざるを得ない労働者たちがそこにいる。

 

解決などほど遠い「原発事故」、アンダーコントロールに置かれず冷却作業を止められない福島第一原発では、トリチウムなど高濃度の放射性物質を含む汚染水が発生し続けている。 

漁業の本格操業を求める漁師たちの反対を押し切って、日本政府は、そのトリチウム水を海に流す、海洋放出という「処分方法」を検討しているという。

風評被害も実際の汚染も重なって、不安定な未来の見通しにも苦しめられている労働者と市民がそこにいる。

 

そこから離れたところに生きている人たちは、「自分の直接関わることではない」と無関心なのだろうか。

そんな人たちが沖縄の辺野古反対を選び続ける県民の意識に、応えられるはずはない。

 

この国の人間たちは被爆が進行中で解決策がないというこの現実を、忘れてしまったのだろうか。

いつ戦争してもいいという国に向けてより大きく旋回している目の前の出来事の持つ意味を、認識できないでいるのだろうか。

 

(備忘録として進行中のことを記す)

 
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憲法をワイルドに扱ってもらいたくない

2019-04-22 | Weblog

自民党の萩生田幹事長代行はネット番組【虎ノ門ニュース】に出演、憲法改正などを話し合う国会の憲法審査会について、元号が令和になった後に「少しワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければならない」などと発言。

萩生田氏は野党の反発で国会の憲法審査会が開かれないことを「国民の権利を奪う」と言うが、「国民の権利を奪う憲法改悪」を進めようとしている者が何を言うのか、と思う。

憲法9条に対しても無根拠に「これだけ時代が変わっていると不具合」という。

野党が反発するのは当然。

番組のアナウンサーも、拉致被害者を取り戻せないのが憲法のせいだとか、とんちんかんなことを言っている。

DHC提供による番組には、沖縄に対するデマを拡散した【ニュース女子】というひどいものもあった。

「ワイルド」という言葉が不適切なのは当然だが、萩生田氏はおそらく自民党内でも突き上げられており、その焦りから発したことだろう。

「ワイルド」は、野生であり、未開であること。文字通り「荒々しく」という意味だが、国民主権を保障する憲法を荒々しく扱ってはならないのは、当然のことである。

要は、自民党の方々が、やはり憲法というものが何のためにあるかがわかっていないらしい、ということである。

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2019-04-21 | Weblog

タケノコと新じゃが。

一瞬いろいろなことを忘れる。

 

保坂展人さんの最終演説を見届けた後、経堂のKで。

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辺野古を思う、世田谷の日

2019-04-20 | Weblog

三月下旬、自分の劇団の本番中であったが、「琉劇王」審査員のため沖縄に行く機会があり、一日だけ前倒しにして辺野古での米軍新基地建設反対の応援に行った。最初は埋め立て⽤土砂の搬出拠点となっている安和の琉球セメントゲート前の抗議に行くつもりだったが、この日は辺野古行きではない通常の営業ということだったので、抗議活動はなし。辺野古のゲートで座り込みに参加した。

辺野古では大浦湾の潮の流れを遮断し、海の自然を壊滅的に破壊するK8 護岸の工事が進んでいる。全長250メートルの半分以上を完成させられてしまった。止めなければ。

明日は各地で、さまざまな投票の日。沖縄。屋良朝博さんは選挙活動の写真を見るたびに、顔つきが精悍になっている。当選後はデニー知事と共に、画期的な策を講じてほしい。

 

辺野古のことを思う、世田谷の日。私は杉並区民だが、誘われるまま、保坂展人さんの最終演説には行こうかと。一首長がやれることは、とことんなさったと思う。三期目ではそれを全国スタンダードになる強度を、と思う。

世田谷といえば、上川あやさんは一昨日、『九月、東京の路上で』にも登場する烏山の朝鮮人虐殺が行われた現場である「大橋場跡」での演説で、「昨春、日本で初めて世田谷区で民族・国籍差別禁止する条例が成立しその検討に深く関わった」と報告、「この場所、関東大震災時の流言飛語で朝鮮人が自警団に襲われ犠牲になった場所。差別ない社会づくりを改めて誓いました」とのこと。


いろいろなことが繋がっている。いや、繋いで、少しでもよい結果を、と思う。


 

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最近のお奨め映画は『希望の灯り』

2019-04-18 | Weblog

最近のお奨め映画はと問われたら、『希望の灯り』と答えるだろう。といってもここしばらく、ほとんど映画を観てはいないのであるが。ただ昨今、「作られすぎているもの」がちょっと嫌になっていて。そりゃハリウッド的な映画は手間もカネもかけシナリオの練り直しもちゃんとしている。観やすい。だが、それだけのように思われてしまうのだ。『希望の灯り』は、べつにたいした出来事が起きなくても、観客としてその空間にいることが喜ばしい、という、正しいヨーロッパ映画のあり方の一つの王道に、まっしぐらな作品なのである。

トーマス・ステューバー監督は私より二十歳も若いのだ。やれやれ。この一本で、彼がフィンランドの監督アキ・カウリスマキが好きだということがよくわかる。もちろんカウリスマキの熟練に対して彼はとても青臭いのだが、それがまたいいのだ。

舞台のライブチヒは、もともと東ドイツで、学究都市でもある。ライブチヒ名物はじゃがいもスープである。確か冷製。……落ち着いた良い町だ。映画ではカウリスマキ・マニアの監督だからのためか、どこか北欧の町のようにも見える。ライブチヒは日本に来た演出家ペーター・ゲスナーの出身地でもある。2001年に、私もこの地で公演したことがある。岸田戯曲賞を戴いた『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』の再々演で、柄本明さんに主役の「パパ」をやってもらった。まあこの劇は構造としてはリア王なのである。初演と再演で私がやった役は大西孝洋にやってもらった。こっちはリア王で言えばエドガーか。物語的な主人公はゴミ清掃員の猪熊恒和。道化役に位置していたのは謎の執事然としていた川中健次郎か。ヒロインは島田歌穂さん。ポーランドとドイツを巡るツアーだった。ワルシャワの会場はロマン・ポランスキーが芸術監督だったことがあるという劇場で、彼の代の時に備えつけられたという出鱈目にはっつけているようにも見える膨大な反響板が印象的だった。『ブレスレス』は廣木隆一監督と作ろうとしていた映画の企画でもあった。こちらは頓挫した。

映画『希望の灯り』の舞台は、巨大なスーパーマーケットである。ほぼそこから出ない。巨大なスーパーマーケットだけが舞台の映画と言えば、一九七十年代後半のジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』なのだが、もちろん関連はない。しかし、資本主義のもの悲しさをしみじみ感じさせるところは共通している。

冷戦が終わり東西が統合されてトラック運転手としての自負を持った男たちがスーパー勤めをさせられているという状況は、私が八十年代、バブル前の時期にディスプレイ会社のN社のバイト頭をしていたとき、この会社が二十年近く前の大阪万博の時に人をいっぱい入れすぎてそのオジサン社員たちを持て余していた、というあの構図と、どこか類似しているように思われるのだった。

主人公のフランツ・ロゴフスキは岡田利規のヨーロッパ製作の劇にも出ているというが、魅力的だ。そしてヒロインのザンドラ・ヒュラーがどうにも羊屋白玉そっくりに見えて困った。で、職場の先輩ペーター・クルトは、やはりカウリスマキ映画の顔をしているし。

せりふが極めて少ないことも好感が持てる『希望の灯り』。観たのは、ちょっと気になることがあったからなのだったが、その件はほぼ忘れて、久しぶりにヨーロッパらしい映画を観ることができた、ということで満足している。

 

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島次郎さんとの仕事 結城座 + ベトナム青年劇場『野鴨中毒』

2019-04-18 | Weblog

前回のプログで、島次郎さんとの仕事で、唯一、海外公演もしたのが、燐光群『カウラの班長会議』である、と書いた私は、馬鹿である。

島次郎さんとの仕事で、たった三年前に海外公演をしたのが、 結城座 + ベトナム青年劇場『野鴨中毒』である。

東京公演の後、ベトナム・ヨーロッパをツアーで巡ったではないか!

写真は、公演したルーマニア・シビウ演劇祭の準備中。島さんのデザインした床のデザインがよく見えるカット。

国際合作である上に、伝統人形劇と生身の俳優のコラボレーションであった。ヒロインのレ・カインさんは、「ベトナムの吉永小百合」と呼ばれる重鎮俳優であった。

『野鴨中毒』は、〈現代能楽集イプセン〉の中の一篇を長編に作り直したものだ。

 

島さんの美術も見られる写真も含めた当時のブログは以下で見られます。他にもありますが、とりあえず。

 

記者会見だけど、島さんの美術がよくわかる写真https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/f4ec7e55a80f2bbbefcaeea2c39c44f4 

人間と人形、島さんの美術の関係が際立っている写真は、こちらhttps://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/4bcaf68fb82f0cfde52e0875ad9e8798

人形と俳優と床の美術のカップリングhttps://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/b56785e168e3fd506a6aff4451b4e101

https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/97ead4a78f4392627c640f253d737830

ハノイでの上演は大劇場だったhttps://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/35f7f646abe3d5ea53490748936336e0 

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島次郎さんとの仕事 『カウラの班長会議』

2019-04-16 | Weblog

島次郎さんとの仕事で、唯一、海外公演もしたのが、燐光群『カウラの班長会議』である。

初演は、2013年3月8日(金)~24日(日) 下北沢ザ・スズナリ

翌2014年、「Side A」バージョンとして作り直し、7月10日(木) 〜 20日(日) 下北沢ザ・スズナリ、7月23日(水) 神戸アートビレッジセンタ−、7月25日(金) ウィルあいち(愛知県女性総合センター)を経て、オーストラリア・ツアーを敢行した。

1944年、8月5日。第二次世界大戦中のオーストラリア・ニューサウスウェールズ州・カウラの連合軍捕虜収容所から、捕虜になった日本兵545名が脱走した、実際に起きた事件を元にしている。日本兵たちは、選挙によって選ばれた代表による「班長会議」で、計画を実行するか否かの多数決投票を行った。この無謀な事件はオーストラリアでは「戦争の狂気」をもっともあらわした事件だとして、誰もが知っているし、子供たちにも教育されている。もちろん、戦時下、極限の選択を迫られた兵士たちには、日本人特有の葛藤がある。この劇は、この事件の「70周年」のイベントの一環として、現地カウラでも上演され、大きな話題となった。

セットは、その捕虜収容所である。正確には、それを再現した、現在の映画スタジオである。

島次郎氏特有の「屋根」こそないが、柱と、屋根部分の骨組みは、存在する。

海外ツアーでは、いささか簡略化せねばならず、その相談も詳細に行った。

最初にカウラに行ったのは、2005年、私がオーストラリア国立演劇大学(NIDA)の卒業公演演出のため、シドニーに長期滞在したときだ。カウラの風景を体感したところから、この仕事は始まっている。

基本はリアリズムなのだが、結果として、抽象性を帯びている。島さんの仕事と、ドラマトゥルギーが、噛み合ったのだ。

思い出深い公演である。

 

オーストラリア・ツアー(2014)

[カウラ]  8月1日(金)・2日(土) Cowra Civic Centre(カウラ日本兵捕虜脱走事件70周年記念オープニング・ハイライト)

[キャンベラ] 8月6日(水)・7日(木)  The Street Theatre 

[シドニー] 8月10日(日)  NIDA Parade Theatres

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桜の季節が長いと言われても

2019-04-15 | Weblog

「なんだか今年は桜が長かった」という人が割と多くいる。きっとそうなのだろう。いろいろ移動が多くて一箇所にいなかった私にはぴんとこないが、言われてみると長かった気もする。それよりも暖かくなったり寒くなったりの気候の変化が多く、まわりはけっこう風邪をひく人がいた。まあ、花粉症と風邪の区別もつかない輩もいるらしいのだが。

かなりバタバタと動き回っていたが、ここしばらくは移動よりも籠もってすることが多い感じだ。というか半ばそうし始めているのだが、籠もったからといってそのぶん捗るわけではない。ものによっては、ちゃんと関係したものを読まないと進められないこともあり、少しやっては、そのたび止まる。仕方ない。

今日はネット会議というものにも参加してみたが、何度目かのはずなのに、音声がちゃんとしなくてしばらく聞くのみだったり、片付いていない部屋の中を見られたくなくてカメラを上向きにさせてもらったりで、慣れていないのがバレバレである。

桜といえば、安倍首相はなんだか桜を見る会みたいな園遊会を催したらしいが、自分がトランプ大統領と勝手に約束して105機も追加爆買いを決めたF35戦闘機の、その既に買ってある三沢基地所属機が、4月9日に墜落事故を起こした。買うだけで1機117億円だが、米政府監査院が未解決の欠陥966件を指摘している代物だという。脱出にも問題があってか、その後の情報はどうなのだろう。操縦していた隊員の安否が気になるなら、園遊会などやっている場合ではないのではないかと思うが。

玉城デニー沖縄県知事と屋良朝博参議院議員候補は、デニーバンドとトークのショーを企画していたが、前日に沖縄・北谷で起こった米軍人の女性殺害のニュースを受け、急遽バンド演奏は無し、トークのみ、という開催になったという。その方が筋が通っている。

「戦争のできるフツーの国」にしようとしてきた安倍首相にとっては、一自衛隊員の安否など、取るに足りないのであろう。なんにしても、F35を買わないと決めたドイツに対して、日本政府の自立心のなさが情けない。

 

写真は上旬、岡山の桜。

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島次郎さんとの仕事 『BUG』

2019-04-14 | Weblog

島次郎さんとの幾つかの仕事を思い出す。

2009年初演の『BUG』は、アメリカの田舎のモーテルの一室が舞台である。

ある意味、リアリズムである。私と島さんが組むときはどちらかというと抽象が多いような気がするのだが、この劇はガチガチの本物感を重視している。人の官能や皮膚感覚に訴えさせる内容なので、当然なのだ。俳優の裸体が重要な意味を持つ劇でもある。

それがあるシーンだけ、変調する。驚くほどの異様な空間になる。極めて短い時間で変化し、同様に瞬時にして元に戻る。これはかなり観客を驚かせた。こういう「仕掛け」を相談するときに目を輝かせる島さんも、いた。

この『BUG』で、島次郎さんは、読売演劇大賞 優秀スタッフ賞を得ている。

作者トレイシー・レッツは、『八月の家族たち』『殺し屋ジョー』等で知られるが、最初に日本に紹介したのは、私たちである。レッツ作品の中でも、私が『BUG』に惹かれるのは、極めてシンプルであるにもかかわらず、圧倒的に構造が優れていて、人間存在の根源を問う作品だからである。日本初演の数年前、私はオフ・ブロードウェイ版を制作の古元道広と観て、これを日本でやろうとすぐに決意したのだった。というか、我々がやるべき仕事だと確信したのだった。

 

燐光群公演 『BUG』

トレイシー・レッツ 上演台本・演出坂手洋二

 <東京>2009年9月18日(金)〜9月30日(月)下北沢ザ・スズナリ

<大阪>2009年10月2日(金)〜4日 (日) 精華小劇場 [精華小劇場5周年記念事業「越境する表現者たち」関連企画]

<伊丹>2009年10月7日(水)名古屋市西文化小劇場

 

 CAST >

アグネス・ホワイト・・・・・西山水木
R・C(ロニー)・・・・・・宮島千栄
ピーター・エヴァンス・・・・大西孝洋
ジェリー・ゴス・・・・・・・猪熊恒和
スウィート博士・・・・・・・川中健次郎
ピッツァ・ボーイ・・・・・・武山尚史/西川大輔/杉山英之

 

 STAFF >

美術島次郎

美術助手松村あや

照明竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 

音響島猛(ステージオフィス)

音響操作徳久礼子(ステージオフィス)

衣裳宮本宣子 

衣裳助手山下和美・白畑茂美

舞台監督高橋淳一

下訳秋葉ヨリエ

演出助手清水弥生 

宣伝意匠高崎勝也 

特殊メイク協力坂田有希子

制作古元道広・近藤順子・永坂悠

 

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