Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

中澤日菜子『おまめごとの島』

2015-04-30 | Weblog
中澤日菜子さんのデビュー作『お父さんと伊藤さん』(小説現代長編新人賞受賞作)に続く、小説単行本第二弾『おまめごとの島』(講談社)を、ようやく読む。二月頃に届いていたがなかなか時間がなかったのだ。
前作の好評を受けての書き下ろし。安定した筆致といえるだろう。着眼点の良さに加えて、一種のダークなファンタジーを隠れた持ち味としている中澤さんが、それを日常の中にしのばせることによって、着実に個性を発揮している。戯曲ではリアルとファンタジーとの噛み合わせ方に苦労していたこともあったように思うが、いま小説で選んでいる「生活世界」というキャンバスの中で、地の文の登場人物の意識の中に無理なく配置する方法を見つけたのだ。「不器用に生きる超イケメン」など、じっさいに俳優が演じるのでないからこその、想像の世界での楽しさがある。もちろん映像化されてもこの設定は生きるだろう。
タイトルの由来にもなっている、小豆島が舞台。ずいぶん行っていないからよく憶えていない。子供の時にしか行っていないのだから当たり前か。「坂手」という名前の港があるのであらためて行ってみたいと最近何度か思っていたところだった。「坂手」という地名は別な県にもあるのだがそこにも行ったことはない。そちらも海の町で、海との関わりには出自の由来もあるらしいのだが、その話はまた別な機会に。


前作『お父さんと伊藤さん』の感想は、以下。
『お父さんと伊藤さん』と劇作家協会研修課
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/21c2a370e02a981f2f7b1b49ae6ec05d


中澤日菜子『おまめごとの島』内容紹介は以下の通り。

恋と結婚を諦めたアラフォー女性 家庭から逃げたいアラサー主婦 過去をひた隠す30代イケメン 不器用な大人たちが小豆島という大きなおうちで巻き起こす笑いと深い感動にあふれた「絆」物語。
親友を頼り、東京から小豆島へやってきた内向的30代イケメン・秋彦。島内のホテルで仕事を始めるが、恋も結婚も諦めたアラフォー女性・言問子と、家庭から逃げ出したいアラサー主婦・真奈美の間で、彼を巡りイザコザ発生。さらに東京育ちの美少女の出現で波瀾万丈の予感!? 平穏に生活していた島の人々を巻き込んで、島へ逃げるしかなかった秋彦の内面が明らかになっていく……。「家族」って何だろう いちばん大事なものって何だろう。
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石川武志「ユージン・スミスとミナマタ」

2015-04-27 | Weblog
もう終わってしまったが、石川武志写真展「ユージン・スミスとミナマタ」がギャラリー EM 西麻布で開催されていた。
八十年代後半、仕事で関わっていた石川さんには、「東京ゴミ袋」ポスター・チラシで作品を使わせていただき、「カムアウト」ではポスター用の写真撮影もお願いした。何年か前、二十年ぶりくらいにかつての職場同窓会(?)で再会。なんとなく親交が復活したのは嬉しいことだ。
石川さんがユージン・スミスのもとで働いていた時期があることは聞いていたが、水俣でこれだけの共同作業をされていたことは、このテーマの石川さんの写真集が出るまで、きちんとわかっていなかった。
それにしても素晴らしい写真ばかりである。被写体との共感。時代を切り取る鋭さ。
石川さんとユージン・スミスの「出会い」も、ありそうでなかなかないことだと思う。
石川さんとの共通の友人というかかつての職場の先輩西やんが「先日、石川さんの写真展に参りましたが、新しい発見がありました。ユージン・スミスと坂手くんが似ているのです」というメールをくださって驚愕したが、石川さんと出会った頃のユージン・スミス氏と現在の私は同年齢なのだ。
写真展会場にあった昔の「LIFE」誌などさまざまな当時の媒体を見て、一種タイムトラベルしたかんじだった。
ユージン・スミス氏が「従軍カメラマン」として日本の敗戦への過程、その「戦場」の多くに立ち会った事実も、あらためていろいろと考えさせられた。
写真展チラシ写真をアップしようとしたがpdfでできなかったのでその中の写真だけをアップ。お許しあれ。
写真展は終わったけれど写真集「MINAMATA NOTE 1971-2012 私とユージン・スミスと水俣 」(千倉書房)は入手できます。
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この国の「防衛」

2015-04-25 | Weblog
「戦争立法」を主に構成する新法(1本)と改定法(10本を一括)の全容が24日、明らかになったという。
過去の自衛隊の海外派兵法制の「制約」を根こそぎにしてしまおうという乱暴きわまりない「改悪」である。
首相官邸屋上に飛来した小型無人機「ドローン」さえ対処できないこの国の「防衛」が、他国に出かけていって戦争ごっこをしようとしている愚かな児戯を、何とか止めなければならない。
「ドローン」容疑者はプログにしっかり書き込んでいたのに政府は対応できなかったわけで、何ともお粗末な「諜報能力」である。
いま官邸の屋上を警護員が歩いている映像を見たが、ばかばかしてくて呆れてしまう。空から飛んでくるものを、歩いて守るのか?
「自衛隊法改定案」では不服従の隊員に「命令違反」の罰則を設ける方針らしいが、そんなことを先走って考える前に、身の程を知るべきであろう。
こんな国の「防衛」に、誰にも命をかけさせられまい。


以下、「赤旗」からの抜粋。

すべてが海外での軍事活動
対テロ・ゲリラ戦想定
 「安全保障法制」の名で示された11本の法制は、すべて自衛隊が海外で参戦し、軍事支援するための法制です。憲法9条のもと禁じられてきた「海外での武力行使」に公然と踏み出す、戦後日本の大転換です。
 武力攻撃事態法に、集団的自衛権行使の根拠を創設。安倍首相自身が、遠くペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷掃海に固執しています。集団的自衛権の行使は、機雷掃海を含め武力行使そのもの、文字通りの戦争です。
 派兵恒久法(国際平和支援法)は、米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵するもの。周辺事態法改定による「重要影響事態安全確保法」も「日本の安全確保」が名目なのに、「周辺」という事実上の地理的制限を取り払い、地球の裏側まで米軍支援に出ます。
 支援活動の地域でも内容でも、「非戦闘地域」などの従来の制限を撤廃。危険な「戦闘地域」で、米軍への弾薬の輸送・提供などを行います。米軍の武力行使と「一体化」を深め、現場では隊員の危険が増大します。
 国際平和協力法(国連PKO法)の「改定」の重大さが「条文案」によって改めて鮮明になりました。アフガニスタンやイラクなどの紛争地で、「安全確保(治安維持)」の名目で対テロ、ゲリラ戦が想定されます。
●武器使用
 「条文案」では、防護を必要とする住民らの生命、財産に対する危害の防止・抑止、「その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、警護」として警護任務を規定しています。さらに「駆けつけ警護」として、国連の平和維持活動等に従事する者の生命・身体に不測の侵害や危難が生じた場合、「緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護」を規定しました。
 これらの任務遂行のための武器使用を新たに容認し、「(自衛隊の)業務を妨害する行為を排除」、「保護しようとする活動関係者の生命、身体を防護」するなどの目的で武器使用を認めています。
 外敵からの攻撃を想定し、それを排除する任務を規定して、武器使用を認めており、まさに戦闘任務です。しかも「特定区域の保安」という広範囲の警護任務では相当な人数と装備が必要です。
 アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)では、ドイツ軍など多くの国が戦死者を出しています。こうした活動に本格的に乗り出すことは極めて危険です。
●矛盾重大
 「条文案」では「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」(国際平和支援法)と書かざるをえませんでしたが、従来の「戦闘地域」に派兵することとしているのですから白々しいにもほどがあります。そのうえ、長年「許されない」とされてきた集団的自衛権の行使では9条が真っ向から破壊されようとしています。後方支援や治安維持活動でも、事実上の武力行使に踏みこんでおり、解釈改憲の矛盾がはらまれています。
過去の派兵法の制約突破
80時間で11法案一気に
 これだけ広範でさまざまな経緯から制定されてきた法律群を、今回は「あらゆる事態に切れ目ない対応を可能にする」との口実で一括で提出・審議し、今国会ですべて成立させる方針を安倍晋三首相はかねてから強調してきました。
 与党からは「(審議は)八十数時間で十分間に合う」(佐藤勉・自民党国対委員長、14日の記者会見)との発言が出ています。しかし、一連の海外派兵法の過去の審議時間と比べても、およそ考えられません。(表)
 PKO法の場合、90年に提出した当初の法案は衆院で70時間余りの審議の結果、一度廃案に。再提出後も3回の国会で審議し、衆参通算で約263時間かけています。
 武力攻撃事態法を中心とする有事法制についても、国民保護法制などを含む全体でみると4回の国会にわたり、通算で計229時間審議しています。
●米以外も
 内容面でみても今回の「戦争立法」は、歴代政府が一貫して許されないとしてきた集団的自衛権の行使(海外での武力行使)に道を開くだけでなく、これまでの派兵法にあった「戦闘地域に行かない」との制約も撤廃します。武器使用権限の拡大により自衛官が「海外で殺し、殺される」場面に直面するのは不可避で、憲法9条の制約の下でつくられてきた過去の海外派兵法制の「歯止め」さえ突き破る代物です。
 関連法のすべてからは、自衛隊の活動範囲の地理的な制約が消され、連携相手国も米軍以外の他国軍まで一気に拡大される内容が浮かび上がります。
 一括審議どころか、国会提出そのものが許されない違憲立法であり、ただちに作業を中止すべきです。

自衛隊法改定案 自公に政府提示
 政府は「戦争立法」による海外派兵任務の急拡大に備え、上官の命令に自衛官が従わなかった場合などに対して国外犯処罰規定を整備する方針を固めました。24日までに自衛隊法の改定原案を自民、公明両党の協議会に提示しました。
 原案によると、(1)上官の命令に対し多数で共同して反抗した者や部隊の不法指揮をした者(119条)(2)集団的自衛権行使の出動命令時に上官の命令に反抗・不服従の者(122条)――に国外犯処罰を適用。刑罰の重さは示されていませんが、現行自衛隊法では(1)に3年以下の懲役または禁錮、(2)に7年以下の懲役または禁錮を定めています。ただ、現行法が適用されるのはあくまで日本国内に限ります。
 国外犯処罰規定とは、その犯罪が行われた外国で裁かれない場合に日本の法律で裁くもの。海外派兵をそもそも想定していない自衛隊法に国外犯処罰規定は基本的になく、刑法についても殺人や傷害などの重大犯罪の国外犯を定めているだけです。
 政府原案は集団的自衛権行使や他国軍支援などによる海外任務の増加を前提に、重大犯罪でない命令不服従などに刑罰を科すことで、海外で部隊規律を徹底させる狙いがあります。
 陸上自衛隊のイラク派兵時(2004~06年)には、自衛官が誤って人を殺した場合(業務上過失致死傷)の処罰規定がないことが国会でも問題となりました。そのため政府は当時、懲戒などの行政処分で対応する考えを示していました。(04年2月6日、参院イラク特別委)
 「戦争立法」の整備によって、任務遂行型の武器使用が解禁されます。不服従や反抗に刑罰が科されることで、現場自衛官が上官の命令と、誤射や危険な任務遂行の恐怖に板ばさみになる事態も予想されます。
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劇作家協会会報 ト書き 54号 できました

2015-04-23 | Weblog
劇作家協会会報 ト書き 54号 できました。
最近は年鑑+特集号という感じの出し方になってしまっていたが、堂々62ページの厚みの手応え。広報部・事務局の労作である。
それにしてもよくぞ出し続けてきたものだと思う。54号。

内容は豊かである。

表紙は風間サチコさんの版画『人外交差点』。
巻頭言は瀬戸山美咲。
渡辺えりによるインタビュー「劇作の力」は、第18回鶴屋南北戯曲賞を受賞した桑原裕子さんが登場。
第20回劇作家協会新人戯曲賞も6ページ。角ひろみさんの受賞の言葉、選考経過、選評。
藤田傳氏、津上忠氏、深津篤史氏の追悼記事。
「震災&東北支部」の特集、私とくらもちひろゆき、篠原久美子による記事。
支部報告や各地からの記事は、北海道:齋藤雅彰、東海:長谷川彩、関西:横山拓也、中国:武田宜裕、沖縄:謝名元慶福、神奈川:松田伸子、千葉:大川義行、東京:久保田邦明、東京:吉永仁郎、愛知:久川徳明、大阪:棚瀬美幸と、多彩。
「セリフにしてみよう!」今回のお題は「タバコ」。村野玲子、南参、松村武、マキノノゾミ、園田英樹、西史夏。
言論表現委員会の座談会は、読み応えがあると思います。青井陽治、釘本光、坂手洋二、永井愛、ふじたあさや、マキノノゾミ、福井健策、くまがいマキが出席。
この間、協会がだしてきた「集団的自衛権行使を認める閣議決定に抗議し撤回を求める緊急アピール」「「集団的自衛権の行使容認に反対する決議」について」「ろくでなし子さんの逮捕、起訴に対する抗議声明」といった声明・アピールも再掲。
「連載 高校演劇の創り手たちは、新井繁さんの登場。(インタビュアー:工藤千夏)
劇作家往復書簡は、加賀屋淳之介+大信ペリカン。
中村獅童さんの連載エッセイ。
各種の報告。

読みたい方は劇作家協会にお問いあわせください。


日本劇作家協会
Japan Playwrights Association
------------------------
〒166-0002
東京都杉並区高円寺北2-29-14-501
TEL: 03-5373-6923
FAX: 03-5364-9205
http://www.jpwa.org/main/
MAIL: office@jpwa.jp
Facebookページ: https://www.facebook.com/JapanPlaywrightsAssociation
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三田での山川方夫作品朗読

2015-04-21 | Weblog
先週、三田文学新人賞授賞式、三田文学会懇親会で、燐光群の杉山英之と秋定史枝が、山川方夫の小説「待っている女」「メリイ・クリスマス」を朗読した。満席、補助椅子も限界の数ぎりぎりの盛況。まあ、はらはらしたが、評判も良く、安堵した。
この会では三年前に『宇宙みそ汁』を西山水木さんに朗読してもらったのだが、その時の評判が良く、今回もということになったのだ。
山川方夫作品については、私は「その一年」を、「青空のある限り」というタイトルで戯曲化した。アトリエダンカンと関西テレビの制作。1996年に栗山民也演出・TOKIOの長瀬くん主演で上演している。センチュリーハイアットの「ミステリアスナイト」というイベントの仕事で数年間ご一緒した故・谷啓さんに、高校生時代に茅ヶ崎の米軍キャンプでジャズを演奏した話を改めて取材して聞いたのを思い出す。あの芝居ももう二十年近く前になるのか。ヒロイン役だった中川安奈さん、猪熊恒和と一緒に日系二世のMP役をやった松本きょうじさんも亡くなられた。本当に時間の過ぎゆく速さに驚かされる。
34歳で亡くなった山川方夫という作家の文体、「第三の新人」世代の三十代の感性、言葉へのこだわりに触れて、「昭和」の変遷にも思いを馳せる。
久しぶりの慶應大学。学生時代に大学に真面目に通っていなかった気がする身としては、三田の風景の中を歩くのがどうも面映ゆい。
この日は事前に三田文学総会があり、その後に巽孝之氏と6月開催の「世界メルヴィル学会」についても相談。世界中から百人を超えるメルヴィル研究者が結集するのだ。『白鯨』はアメリカにとっては聖書に次いで読まれている書物。私は『バートルビー』について基調講演をする。
来年再来年のこともいろいろと調整しなければならない。
いろんなことが同時進行だ。
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タイムトンネルのような岡山駅地下連絡通路

2015-04-19 | Weblog
先週木曜日は岡山。
午前中は市役所で市民会館建て替え地についての会議。市長さんも最後まで同席していた。やはり岡山の文化にとっては重要問題である。
会議後もいろいろ打ち合わせて、大急ぎで走り、できたばかりのイオンシネマで、岡山を舞台にした青春映画『でーれーガールズ』を観る。「映画の冒険」店主吉富真一さんはじめ各氏に勧められていたのだ。岡山の文化にとっては重要な映画の一つであろう。既に一日一回の上映になっていたが満席。市長さんが八百屋店主役で出ている。知った顔も風景も、ちらほら。岡山を知らぬ人たちには奉還町がメインの商店街と思われてしまうだろうというより、表町商店街の存在がなかったことにされているかのようなところが大胆すぎる。あれこれ、まさにご当地映画。……岡山弁は決してきれいな言葉ではない。語尾がだらしない。素っ気ない。つっけんどんである。しつこい。正直、岡山弁女子がかわいらしく見えるということは一部からはなかなか困難と評されているのだが、足立梨花の岡山弁を見聞きする限り、まあ必ずしもそんなことはないのだと思うし、いろいろと麗しい女子岡山弁の記憶も甦ってきた。根岸季衣さんが先生役なのは驚いたが、自然な岡山弁だった。山陽女子校の制服は全国的にも高ランクだったのだろうか。……なんせホリプロ制作でもあり、全篇に山口百恵が流れているというのは、そこは否応なしに気分が高揚するので、卑怯というか、圧倒的にずるいのである。
その後テレビと新聞の取材を、転々と。熱心な記者諸氏がいることは、頼もしく、ありがたい。
夜の取材を終え、『でーれーガールズ』にも出てくる大昔からある岡山駅の西口と東口を結ぶ異様に天井の低い地下連絡通路(写真)を通って西口へ。これは新宿西口の京王線の息苦しい地下通路とはまったくニュアンスが違うのである。
吉富さん、小川孝雄さん、上野和也さん、満田康弘さん、赤松章子さん、景山 圭祐さんらと一献。ありがたい。いろいろ込み入った話も挟みつつ、久しぶりにリラックスできた夜となる。永年お世話になっている「ウルガ」にも寄ってご挨拶。
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浜田山駅前に「屋根裏」登場

2015-04-19 | Weblog
浜田山駅前に「Attic」という店ができていた。バーである。
「Attic」つまり「屋根裏」である。偵察しないわけにはいかない。
入ってみるとカウンターとテープル二つ。ちゃんと埋まっていた。
去年の暮れからできていたらしい。もともとは花屋二階にあるこじんまりしたイタ飯屋だった。
バーとしてはノーチャージなのが嬉しい。
なんで「屋根裏」なのかというと、上階にあるということなのだろう「雰囲気が屋根裏って感じでしょう」と、マスター氏。
自転車通勤が主な私はなかなか立ち寄れないとは思うが、近くにできた「屋根裏」。これも御縁。準常連くらいにはなれるといいのだが。
さっそく『屋根裏』公演のチラシを預かってもらった。
下北沢のライブハウス「屋根裏」は3月末日に閉じてしまったが、ご近所の「屋根裏」が入れ替わりにできた。何かの因縁だろう。

『屋根裏』公演情報は以下の通り。
http://rinkogun.com/
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Snow after Cherry blossom

2015-04-11 | Weblog
『クイズショウ』本番中に正味3日間ベトナムに行き消耗した件は記した。いろいろあったが、かの国で、ライムがすぐれた調味料であることは確認した。
田村光男さんを送る会のことも記した。終電後に着いて朝までだった。
劇団ミーティング。必要に応じて何度もしなければならない。
年度内に行うことになった劇作家協会研修課の授業を二つ。
ぎりぎりに決まった年度末最後の日曜日の朝、劇作家協会の年に一度の重要な理事会・運営委員会。曜日を間違えかけて難儀した。この回のたび、また一年が経ったのだと思う。
そんな中、場所が遠すぎて行けず、やむなくお断りする要件も出てきた。
四月。前々から必要だと主張していた舞台芸術団体同志が集まる会議が、芸団協の呼びかけで実現。
一昨年に続いて、岡山市からの依頼に応える要件。
また血縁者の手術のことで岡山に終電で行き翌々朝に帰京するも、仕事が山積みでその日は身動きできぬ状態に。
年度末と新年度開始、いろいろな仕事が追ってくる。三田文学の総会で劇団員が朗読をすることにもなった。来年再来年の準備も山積。
『屋根裏』国内外計九箇所公演の準備も、抜き差しならぬめまぐるしさ。そのツアー期間中の梅ヶ丘BOX貸し出しの件も。
六月のメルヴィル学会発表の準備。他、原稿も山積み。
就活中の人間の作文も指導。
『屋根裏』の後の夏の公演の詳細も固めてゆく。いろいろな方々との連絡。

そのための準備会議等も含めてバタバタしつつも、五日、〈非戦を選ぶ演劇人の会 主催 この国を「戦争のできる国」にさせないために リレー講演と意見交流会〉。早野透さんが朝日に書いてくれたように、本当に登壇者はどの方もみんないい話をしてくれた。充実していた。こういう、いろいろな現場の人たちが集う集会を昔にはずいぶんやっていたはずなのだが。私も何度となく企画し、司会した。主に八十年代後半だ。必要な場だった。今もそうなのだ。明らかに。
高遠菜穂子さんは今まで会ったどの時よりも緊張の面持ちだった。志葉玲さん、安田菜津紀さん、ジャーナリストの皆さんも、あらためて決意を問われる時代になったのだ。パスポートを取り上げられた新潟の杉本さんのことも話に出る。
本当に現実は逼迫している。
馬奈木厳太郎さん(福島生業訴訟弁護団)の語る福島の現実。
明日の自由を守る若手弁護士の会、「のじれん」(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)の室田大樹さんの報告の重さ。八十年代後半の山谷の運動と連携した活動のことを思い出す。
『標的の村』の監督・三上智恵さんの、最新作『戦場ぬ止み』仕上げの仕事を抱えながらの、沖縄の現実の引き受け方の、開陳。
現実の重さ。耐えることしかできない時代の閉塞を感じさせられる中、土肥信雄元三鷹高校校長の明るさに救われた。東京都教育委員会が出した「職員会議での挙手・裁決による教職員の意向確認の禁止」通達(2006年)に対し当時の都立高校長でただひとり批判し、都立三鷹高校を追われ、その撤回を求めたが最高裁の上告棄却されたばかり、そんな現実にもひるまず、ユーモアと懐の深さで場をふっくらとさせてくださった。在校生三学年の生徒全員の名前を憶えている校長なんて彼の他にいただろうか。
保坂展人世田谷区長も、こういう人が首長であるべきだという、さすがの筋の遠し方を示した。この日の世田谷区長選に向けた候補者討論会では対抗馬の自民党候補者が瀬戸際でキャンセル、開催中止とのこと。なんじゃそりゃ。
高江から出稼ぎ中の石原岳さんの、現実の引き受け方。
会いたいと思っていた〈SASPL-特定秘密保護法に反対する学生有志の会〉の、元山仁士郎さん、ゆんたくるーの真鍋百合香さんら若世代の、しっかりとした眼差し。
パネラー最後は劇作家協会でもお世話になっている我らが福井健策弁護士が、びしっと話をまとめてくれた。
そして何より、この日の空気をこれまでにないものにしてくれたのは、ろくでなし子さんの登壇であった。……一人で話すのでなく話し相手がいたほうがいいということだったので、司会進行の私が事前に彼女と楽屋で打ち合わせをしたが、ここで私はほとんど初めて「まんこ」という言葉を口にした。もちろん壇上でも。それがろくでなし子さんのキーワードであるからだ。その後も含めてこの言葉、私はまだ今でも十回くらいしか口にしたことはないはずだが、まあこれからの人生ではもう平気であろう。もちろん、私の生まれ育った地方ではその言い方をしないのであるが。……今週4月15日、ついに、ろくでなし子さんの裁判が始まる。

リレー講演開催の翌日から『屋根裏』稽古開始。座内オーディション残り。その日の夜、座高円寺の新年度レパートリー発表の記者会見に参加。これもまた、一年の経過を感じさせる行事。流山児祥氏と久しぶりに話す。
その翌日は稽古の後、来日中のベトナム国立劇場のビンさんにお目にかかる。その後の夜、家族の記念日も祝う。
さらに翌朝はベトナムの劇作家Giao su Xoayさんが梅ヶ丘BOXを訪ねてくださる。若くインテリで威勢がいい。『屋根裏』のセットの裏も表も見て、いろいろ刺激を受けてくれたようだ。
稽古との狭間に、また別な来客、某公立劇場についての話し合い。
稽古の後に新国立劇場『ウインズロゥ・ボーイ』を観る。十年前に自分が演出した戯曲を観る不思議。今回の演出・鈴木裕美さんに言われた通り、ほんとに懐かしかった。裕美さんは私が演出したときのプロデューサーでもあるのだ。もちろん芝居そのものの方向性は違う。自分のところ以外の芝居を観るのはものすごく久しぶり。
その後も毎日、とにかく稽古。打ち合わせ。一人で居ても雑務消化に励むのみの日々。このブログも久しく記せず。眠い。

花見には行けず。桜の木の下を慌ただしく通り過ぎるだけ。

桜が散った後に雪が降る春の朝。なんという不思議。
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『屋根裏』8度目の再演

2015-04-10 | Weblog
シビウ国際演劇祭正式招待も含めた4度目のヨーロッパツアーに先立ち、東京・国内で『屋根裏』を上演します。
東京は梅ヶ丘BOXだけで8度目の再演となります。
5月2日(土)~11日(月) 梅ヶ丘BOX

[国内ツアー]
【岡山】 5月15日(金)~17日(日) 岡山県天神山文化プラザ
【松山】 5月19日(火)・20日(水) シアターねこ
【大阪】 5月22日(金)~24日(日) ウイングフィールド
【名古屋】 5月26日(火)・27日(水) 七ツ寺共同スタジオ
【新潟】5月29日(金)~31日(日) 新潟古町えんとつシアター
[ヨーロッパツアー]
6月 シビウ(シビウ国際演劇祭正式招待)・ブカレスト 他
詳細は順次公開いたします。

………………………………

『屋根裏』
作・演出○坂手洋二

5月2日(土)~11日(月)
梅ヶ丘BOX

これは発明なんだ
今も誰かがあの屋根裏に立て籠もっている
そう考えただけでもう一日生きてみようかと思うことができる
そういう発明なんだ  

世界一小さな舞台空間から発信する「超演劇」。演劇を再生させる圧倒的「事件」。
読売文学賞・紀伊國屋演劇賞・読売演劇大賞[最優秀演出家賞]受賞

東京・ニューヨーク・パリ・ローマ・ウィーン・フランクフルト・ブカレスト・ピッツバーグ・マイアミ・グルノーブル・ソウル・シドニー・ミラノ・マニラ・ジャカルタ等、国内外で絶賛を浴びてきた作品の「オリジナル版」、シビウ国際演劇祭から正式招待を受け本年6月、四度目のヨーロッパ・ツアー。
批評性、ユーモアと驚きに溢れる衝撃の舞台を、ぜひ体験して下さい。


円城寺あや 中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和
이주원(イ・ジュウォン) 東谷英人 杉山英之 武山尚史
松岡洋子 樋尾麻衣子 田中結佳 宗像祥子 宇原智茂 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
美術○じょん万次郎
舞台監督○大川裕
衣裳○大野典子
美術協力○加藤ちか
舞台協力○森下紀彦
音響○じょん万次郎 内海常葉
音響協力○島猛(ステージオフィス)
宣伝意匠○川名潤(Pri Graphics inc.)
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
進行助手○長谷川千紗 川崎理沙 
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○大西孝洋 古元道広 桐畑理佳 福田陽子 鈴木陽介 根兵さやか 秋定史枝 齋藤宏晃 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 秋葉ヨリエ 
協力○浅井企画 DULL-COLORED POP 

5月2日(土)~11日(月)
梅ヶ丘BOX

2 土   19:00
3 日   19:00
4 月 14:00
5 火   19:00
6 水 14:00
7 木   19:00
8 金   19:00
9 土 14:00/19:00
10 日 14:00
11 月 14:00

受付開始時より整理券を発行いたします。
前売り券をお持ちの方、ご予約の方が先のご入場となります。←この文章追加されています。元の情報には無かった。
受付開始○開演の40分前 開場○開演の20分前

【日時指定自由席】 整理番号付・人数限定
前売開始○4月12日(日)
一般前売3300円 ペア前売6000円 当日3600円 U-25(25歳以下)2500円 高校生以
下2500円
※U-25・高校生以下は劇団への電話・メール予約のみ(観劇の前日まで)。
要証明書提示。   
ご予約順に番号をお取りする整理番号付チケットです。開場時に番号順にお入り頂きます。

ご予約・お問合せ○燐光群/(有)グッドフェローズ TEL 03-3426-6294
ticket-rinkogun@ee.alles.or.jp
①<お名前/電話番号/希望日時/チケットの種類と枚数>をお伝え下さい。こちらからのお返事を以てご予約とさせて頂きます。
②当日受付で代金と引き替えでチケットをお渡しします。
※キャンセル・日時変更はできません。
開演直前・直後は(一時的に)ご入場を制限させて頂く場合がございます。
未就学児のご入場はご遠慮下さい。

梅ヶ丘BOX
新宿より小田急線[区間準急][各停]で14分
梅ヶ丘駅下車 北口・南口徒歩1分
世田谷区梅丘1-24-14フリート梅丘B1F

燐光群(ロゴで)
世田谷区梅丘1-24-14 フリート梅丘202


発売中!  『坂手洋二  屋根裏/みみず』950円(税込) 早川書房


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雨で花見を諦めたら今夕、北沢タウンホール〈この国を「戦争のできる国」にさせないために〉へ!

2015-04-05 | Weblog
今年1月、一般社団法人日本劇作家協会は、ろくでなし子さんの逮捕、起訴に対する抗議声明を出した。
協会内の言論表現委員会がこの件から一気に活性化した。(会報「ト書き」の言論表現委員会座談会にもご期待ください)

今日は、〈非戦を選ぶ演劇人の会 主催 この国を「戦争のできる国」にさせないために リレー講演と意見交流会〉で、ろくでなし子さんとお話しすることになった。
写真は、「ワイセツって何ですか? (「自称芸術家」と呼ばれた私)」、 ろくでなし子さんの出たばかりの新刊です。本日会場ではまだ販売できませんが、今週書店にてお求めください。

雨模様で花見を諦めた方も、ぜひぜひ今夕、北沢タウンホールへ!

日時:2015年4月5日(日)19:00(21:30終了予定)
会場:東京・北沢タウンホール
会場:東京都世田谷区北沢2-8-18 北沢タウンホール2F
会場:◎小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」南口徒歩4分
入場料:500円(資料代)

▼出演予定者(順不同)
保坂展人(東京都世田谷区長)
馬奈木厳太郎(福島生業訴訟弁護団)
志葉玲(フリージャーナリスト
高遠菜穂子(イラク支援ボランティア)
土肥信雄(元都立三鷹高校校長)
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
石原岳(高江 ヘリパッドいらない住民の会)
元山仁士郎(SASPL-特定秘密保護法に反対する学生有志の会)
真鍋百合香(ゆんたくるー)
ろくでなし子(漫画家・美術家)
加藤慶二(明日の自由を守る若手弁護士の会)
青龍美和子(同)
のじれん(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)
福井健策(弁護士・ニューヨーク州弁護士)
三上智恵(予定・『標的の村』映画監督)

進行: 坂手洋二

▼主催(問い合わせ先)
非戦を選ぶ演劇人の会
TEL:070-5457-2003
E-mail:info「@」hisen-engeki.com
※迷惑メール対策のため「@」の前後の「 」外してお送り下さい。
HP http://hisen-engeki.com/
公式フェイスブック:https://www.facebook.com/HisenEngeki
公式ツイッター: https://twitter.com/hisenn_enngeki

      ……………………

ろくでなし子さんの逮捕、起訴に対する抗議声明

 わたしたちは、ろくでなし子さんの二度にわたる逮捕、勾留、起訴について、これを不当として、抗議します。

 わたしたちは、同じ表現者の立場から、今回の件に関して、警察権力の手法に深い危惧の念を抱いています。みずからの身体と性について、女性自身が主体的に表現できる場を創造してきたろくでなし子さんが、二度にわたって逮捕、勾留される必要はなかったと考えるからです。
 警察権力の恣意的な判断に基づいて、ひとつの表現が「わいせつ」であるとされて、逮捕、勾留、起訴に至り、そのために、ひとりの表現者が、その生活や表現活動に重大な傷を負わされることは、自由にものを創造し、発言する、すべての表現者に対する弾圧に他なりません。
「表現の自由」を根本におく憲法と民主主義のもとで、あってはならないことです。
 芸術性など性的刺激を緩和させる要素を勘案し、表現全体の評価を重視した最高裁の最近の基準に照らしても、本件は大いに疑問です。

 わたしたちは、ろくでなし子さんの表現活動が、これ以上不当に妨害されることのないよう求め、この度の警察による行為に対して、強く抗議を表明します。


2015年1月19日 
 
一般社団法人 日本劇作家協会

http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20150119
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おくる

2015-04-01 | Weblog
田村光男さん旅立ちの会『魂呼ばり』というイベントがあった。3月27日(金)。18時から翌朝まで。
昨年11月21日旅立たれた、ステーションの代表取締役・田村光男氏の活躍は、演劇よりも音楽・舞踊のほうにひろがっていたが、私もかれこれ二十数年前からお世話になっていた。田中泯さんをヨーロッパに紹介したのは彼だ。燐光群は1990年代に『神々の国の首都』をヨーロッパに展開していただいた。
ご葬儀は、近親の方々のみで執り行われたが、彼のプロジェクトに深くかかわってきた人たちがライブハウスでお別れの会を催した。
私はベトナム行きの日程と予定が重なっていた不良発起人であったが、ベトナム行きの予定が動いて、帰国した日に自分の本番を終えた後、もはや丸ノ内線終電がなくなり、新宿からタクシーを飛ばして駆けつけた。
さすがにもう終わっていると思ったら、鬼太鼓座の人達のハードな太鼓の連打に圧倒された。それがフィナーレだったようだ。
夜明けまでいろいろな話に花が咲いた。
事務局長の任を担われたのが、横道文司さん。巻上公一さんも、まだいた。梅津和時さんとも話した。このためにニューヨークから来てくれた中馬芳子さん、相棒のボニーとも久しぶりの再会。
思い出は走馬燈のようだ。深夜のスピーチで喋ったことをいまここで記すのにちょっと違和感があり、今日の稿は閉じる。
ただ一つ確かなのは、田村さんが亡くなったという気がまったくしないということだ。

詩人の渡辺洋さんの訃報にも打ちのめされた。『宇宙みそ汁』のアフタートークに来てくださったのは三年前。直截な言葉を怖がらずに使う勇気のある詩人だった。

人をおくるということ。
私はまだここにいるけれど、繋がっている。

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