Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

都知事選「一本化」ファシズムに大義なし

2014-01-16 | Weblog
選挙は候補者を選ぶものだ。
都知事選を「脱原発」で進めたいという人たちの「一本化」への言動が目にあまる。

「反原発」を掲げる細川護熙元総理が、全面支援を表明している小泉純一郎元総理とツーショットで出馬会見を行った。「ウルトラ兄弟が並んだみたいで頼もしい」などという下らない感想も見た。うんざりだ。
その前後から騒がしいのが、「脱原発」の主張が重なる日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児氏に「出たら脱原発票が割れるから出るな」という動きだ。

小泉元総理は「原発ゼロは首相が決断すればできる」「安倍晋三首相が反原発を言えば、首相として盤石になるのに」などと発言してきた。
小泉元総理の動きは「古巣」自民党への配慮はまるでない戦闘モード、息子の小泉進次郎内閣府政務官もは都知事選で自民党都連が推薦する舛添要一元厚生労働相について「自民党を除名された方を支援することも、除名された方が支援を受けることも、私にはよく分からない」「(舛添氏は)自民党本部の支援(推薦)ではない」として、間接的に父親のバックアップをしている。親子で「自民党をぶっ壊す」のも、どうぞご自由に、である。
これに対し、安倍首相は外遊先のエチオピアで「東京が原発なしにやっていける姿を見せるという。さまざまなアイデアを出していくのは素晴らしいことだ」と誤魔化し、原子力発電を重要なベース電源とする日本の「エネルギー基本計画」を見直す可能性をも示唆したという。
舛添元厚生労働相も自身が原発推進派と決め付けられるのを怖れてか「私も脱原発を言い続けている。理解できない」と言い訳したが、つい最近も「もんじゅ」稼動を推進する発言をしていたはずである。
すべての候補が「脱原発」なら論争にならないわけで、まことにけっこうだが、そんなこと誰も信じないだろう。

そして昨日の産経新聞によれば、東京都知事選への出馬を表明した細川護煕元首相の「脱原発」に関する「公約案」が「判明」。
東京都が原発に依存しない「省エネ都市」を宣言した上で、都が大株主の東京電力に対し、研究が進んでいる太陽光・風力発電に加え、木くずなどを利用したバイオマス発電を中心とした「再生可能エネルギー基地」の建設を要求することが柱だという。海洋の波力などの活用も調査対象とし、再生可能エネルギーを都が発電業者から直接買い付けることにも言及する見通し。細川陣営幹部は「都内で必要とする電力は都内で供給する『地産地消』が最終目標だ」としている。
そこまではまだわかる。
ところが肝腎の原発については、「即時ゼロ」ではなく、「徐々に依存度を減らす方針だ」という。
また、「再生可能エネルギーの利用が本格化するまでは、電力需要に応えるため石油や石炭などの化石燃料への依存を続けざるを得ない。このため、東電柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働については、反対を明確に打ち出すかどうか慎重に検討している」のだそうだ。
細川元首相のどこが「脱原発」だ。
「脱原発」の人たちは一本化する人を間違えているんじゃないのか。

15日、弁護士やジャーナリストらで作る都内の市民団体が、脱原発候補の統一が必要だとして、宇都宮・細川両氏氏に一本化に向けた話し合いを求める文書を送ったという。
「脱原発票が割れ、共倒れしたら意味がない」「脱原発を明確に掲げる候補が2人いては原発推進候補を利することになる。危惧して協議を申し入れた」「小泉純一郎元首相と細川氏が組んだなら、勝てる」「もう敗北はできない」。
宇都宮氏はこれに対して「オープンな環境で討論し、有権者に判断していただきたい」と回答したことを公表。「細川氏がどのような脱原発政策を表明されるのか、具体的内容はいまだ不明」と指摘した。

かと思うと朝日新聞が、「23日告示の東京都知事選で、細川元首相の立候補表明をうけ、脱原発の主張が重なる宇都宮陣営が揺れている。立候補取りやめを求める声が寄せられ、陣営内からも一本化を求める声が出ているためだ」との記事を出した。
宇都宮氏を支援する共産党の志位和夫委員長は「都政を福祉と暮らし優先に転換する点や憲法、消費税問題などで政策が全て一致するとは思えない」「(細川氏が首相を辞任する原因となった佐川急便からの借金問題について)都知事を目指すからには説明責任が問われる」と述べ、一本化に反対する考えを示した。
一本化の肝が「脱原発」だけなら、細川元総理が宇都宮氏支援に回れば良かったという声も聞かれる。しかし細川陣営内では宇都宮氏への評価が低いという。「票を分かつよりも合流した方がイメージ的にマイナスだ」という声さえあるらしい。
社民党は宇都宮氏支持から細川元総理に流れた。多くの人たちの宇都宮氏バッシングは共産党への攻撃でもあるようだ。だが、共産党は宇都宮氏への、一支援団体であるに過ぎない。
昨年末から、宇都宮氏バッシングのさまざまな情報も飛び交っている。だがほとんどが、よく見て聞けば、宇都宮氏本人に問題があるという確証は、ないようだ。

私が言いたいのは原則だけだ。
「脱原発」で勝てる候補なら誰でもいい、というのは、間違っている。ましてやその「脱原発」がまやかしである可能性が強いなら。
コメント
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