Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「修復不能原発が至近にある暮らし」に馴れない

2014-01-12 | Weblog
東日本大震災から三度目の正月となったわけだが、「修復不能原発が至近にある暮らし」に「馴らされてはいけない」と、あらためて思う必要はなかった。年明けの頃、不穏な情報が飛びかったのである。
海外メディアによると、ロシア大統領府が「12月31日に福島第一原発の地下で核爆発が起きているので要注意」という政府令をロシア政府国務大臣らに発令、非常事態として福島原発に関する全ての情報を最重要指定とする事態があったという。ロシア側の根拠としては、「12月31日に福島第一原発の地下で核爆発が起きた」ことが挙げられていたらしい。テヘラン経由の情報なんていうのもあった。
東京電力の発表では、福島第1原発で汚染水約300トンが漏れた汚染水貯留タンク近くの観測用井戸で昨年12月28日の汚染水からは放射性物質のトリチウムが一リットルあたり2万ベクレル検出されていたが、翌29日に採取した水からは、1リットル当たり34万ベクレルと上昇。31日には20倍以上の45万ベクレルに達した。さらに30日から1月4日に採取された水は同37万~45万ベクレルで推移している。
東電自身は「一部海外メディアにおいて、「福島第一原子力発電所3号機で湯気が発生し、放射性物質が放出されて危機的な状況にある」、「12月31日に福島第一原子力発電所の地下において核爆発が2回発生した」との報道がされておりますが、そのような事実はなく、プラントの状況に変化はありません」としている。
湯気らしきものの原因は、「シールドプラグの下部に滞留していた雨水などの湿分」という。
地下水観測孔におけるトリチウム値上昇については、「過去にタンクから漏えいした汚染水が周辺土壌に染み込んでいること」「年末に一時的に地下水汲み上げ量を減少させたこと」の影響としている。今回の高濃度トリチウム検出が特別なことではないことを証明するためか、「観測孔においては、過去にも同程度のトリチウムが検出されており、2013年10月17日には過去最高となる790,000Bq/Lが検出されております」とも発表しているのだが、それだっていまだに理由がわからないわけだろうから、慰められる(?)わけでもなく、ただただ呆れてしまう。
「核爆発」の根拠とされた2013年12月31日に起きた地震についても、「震源は茨城県北部であり、福島第一原子力発電所ではない」、だから一部報道にある「12月31日に地下核爆発によるマグニチュード5.1および3.6の揺れを観測」は誤り、としている。
いずれにせよ、特定秘密保護法で「原子力に関することは軍事に関すること」と日本政府が判断したら、そうした情報は国内では不可能になるやもしれぬ。ロシアからでもイランからでも、情報はどんどん出していただきたい。

東電福一原発では、汚染水対策の新たな処理設備「ALPS」の根幹設備で、取り除いた放射性物質の保管容器を運ぶクレーンが故障し、汚染水の処理が中断されていたこともわかっている。
また、東電が、福一原発の港湾内の海水と地下水に含まれる放射性ストロンチウムの計測値を半年分公表していなかったこともわかった。他のデータとつじつまが合わず、原因の究明ができていなかったためであり、「隠す意図はなかった」というが、釈明にも何にもなっていない。
さらに、東電が、汚染水タンクから発生するエックス線の影響を軽視し、対策を講じないままタンクを増設し続けていることもわかった。国が昨年8月に認可原発敷地境界の線量「年1ミリ・シーベルト未満にする」に対し、年末の段階で、一部で年8ミリ・シーベルトの水準を超えたという。
東電福一原発関連については、情報は小出しにされているが、とにかく修復の見込みに関しては、どうにも八方塞がりのようである。福島1~4号機の廃炉費用に東電はこれまで9579億円を投じているというが、今後も被害は無限大に広がり続け、費用も底なしにかかっていくことだろう。

そんな中、福島県は、2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせた事前合宿の県内誘致や記念行事に対応するため、今月中にも庁内にも「東京オリンピック・パラリンピック関連事業推進本部」を新設するという。
確かに、東京五輪は、「東日本大震災と東電福1原発事故からの復興貢献」を開催目標の一つに掲げている。
県は市町村や東京五輪の組織委員会などと連携し、関連事業の県内誘致活動を本格化させる方針で、「本県復興の姿を効果的に発信できる体制を整える」というが、「復興の姿」を発信することは、ほんとうに可能なのだろうか。

二月の東京都知事選挙に関しても、2020年の東京五輪・パラリンピックの「夢」とは裏腹に、福1原発事故との関わりは、避けて通れない大きな問題である。
「反原発」を謳い細川護煕元首相が小泉パパの支援を出て出馬という話だが、「東京オリンピック特需を当て込んでいる」とも見えるわけで、ほんとうは担ぎたくないマスゾエを出す鷹揚な自民党も水面下で手を結んでいる出来レースではないかと疑う向きもあるだろう。いずれにしても「脱原発」支持者たちは、ただその一転を謳っているからといって、彼らに簡単に騙されてしまうものなのだろうか。

安倍首相の「原発セールス」で、売り込んだ原発の放射性廃棄物の最終処分は日本が全部引き受けることになっていることや、海外で日本の売った原発が事故を起こした場合にその費用はすべて日本国民の税金から支払う約束になっていることも、ようやく皆が気づき始めている。
放射性廃棄物を回収することは、軍事利用の可能性のあるプルトニウムを取引先の国に残さないためという対外的な言い訳もあるようだが、決して「原発セールス」で日本は少しでも核燃料を手放すことができるというわけではないのだ。原発事故のリスクを日本がしょいこむことによってしか、「原発ビジネス」は成立しがたくなっている。

個人的には、「反原発」「脱原発」を掲げる人たちには、今現在、既に存在している放射性廃棄物・核燃料を、どう処分するつもりかということについても、明確に答えていただきたいと思う。
答は「今はわからないが」でもいい。少なくともそのことを考えているべきである。この問題は、強靱な国際協力の中でしか解決しないような気がするが、その端緒を付けることでも、いい。
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