Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

憲法破りの「銃弾提供」を忘れてはならない

2014-01-06 | Weblog
昨年12月28日、政権発足1年に合わせた安倍晋三首相の靖国神社参拝だが、このニュースのために、かすんでしまった事実がある。
数日遡る昨年暮れ23日、日本政府は南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊の銃弾1万発を、国連経由で韓国軍に無償譲渡すると決め、銃弾が同日深夜に現地の韓国軍に届いたことだ。
「PKO協力法」に基づく措置というが、銃弾のような殺傷能力のある武器の他国軍への供与は初めてであり、菅義偉官房長官は「武器輸出三原則の例外」としたが、まったく不可解であり、認めがたい。
菅官房長官は理由として「緊急の必要性・人道性が極めて高い」としたが、一刻を争う情勢ではなかったし、どうして韓国政府が適切な装備を持たせずに行かせたのかが理解できない。そもそも専門家の情報提供によれば、一万発は数分で撃ち終わる中途半端に少なすぎる量だということだった。
1947年、平和憲法の採択で日本が戦争を放棄して以来、他国に銃弾を提供するのは初めてのことである。
首相の靖国参拝も問題だが、私は、平和憲法と武器輸出三原則が破られ、骨抜きにされ、それがいつの間にか「前例」となってしまうことをこそ、怖れる。

別なニュースで隠されがちなこととしては、「東電福1原発の情報」もそうだ。
タンクから汚染水が漏れていた状況は何も解決に向かっていないが、漏えいタンクから約20メートル北側にある井戸の放射性トリチウム(三重水素)濃度が、昨年末から大きく変動しているという。昨年暮れ29日に、たった一日で約10倍の33万ベクレルに急上昇したという。その後も高濃度が続いているようだ。
こうした数値の動きにもはや国民が鈍感になっている面もあるのだろうが、これから更に、深刻な事態こそが隠されていくのではないかと危惧する。
昨年12月に成立した特定秘密保護法は、施行されたら最後、どのような対象にどのように適用されたかさえ、隠されてしまうかもしれないからだ。

この特定秘密保護法に対して、14道県の41市町村議会で撤廃や凍結を求める意見書が可決されている。撤廃までは求めていないが反対を表明したものなどを含めると、17都道県68議会に上るという。こうした動きが、頼りだ。
だが、このような決議や、法律、裁判の結果が無視され、政治家が平気で自分の公約を破るのが当然になっている現在、こうした批判に対しても、政府は無視するだけだろう。

テレビから流れる安倍首相の発言を聞いていると、相変わらず、あまりにも空疎だ。「謙虚」「真摯」「決意」「丁寧」といったコトバが、ほとんど意味を失っていく。コトバが軽んじられ、約束が平気で破られる。ここに既に「民主主義の死」がある。それにしても、自国特有の言語の「死」を招いて平気な愛国心って、なんだ?

多くのところで冬休み・正月休暇は日曜日で終わり、今日から仕事も学校も本格再開のはず。年が明ければ魔法のようにリフレッシュ、リニューアルされていたりすることは、何もない。私たちはそれでも流されないように耐えなければならない。
こんな日本の惨状は世界中に報道されている。見当違いのものもあるが、日本国内よりも冷静で公正な情報も多い。「外圧」を頼りにするのは複雑な思いもあるが、とにかく味方がいることを忘れずにはいたい。
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