Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

そもそも、「初めから」「基本的に」、共謀罪は間違っている

2017-04-30 | Weblog
いろんな人に尋ねられても、私も、わからない。

そもそも、「初めから」も「基本的に」も、変わらない、ということしか、わからない。
日本語のできない総理大臣ではあるが、日本語問題にさえなっていない。

犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案を審議する1月26日の衆院法務委員会で、安倍晋三首相が答弁で使った「そもそも」。
過去3回廃案になった共謀罪法案より適用対象を厳しくしたと訴える首相が、「今回は『そもそも』犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」と述べた。
それに対して、民進党の山尾志桜里氏が「『そもそも』発言を前提とすれば、オウム真理教はそもそもは宗教法人だから(処罰の)対象外か」と尋ねた。

これに対し、首相は「山尾氏は『初めから』という理解しかないと思っているかもしれないが、辞書で念のために調べたら『基本的に』という意味もある」と主張。
「オウム真理教はある段階において一変した。『最初から』でなければ捜査の対象にならないという考え方そのものが大きな間違いであり、いわば『基本的に』変わったかどうかということにおいて、『そもそも』という表現を使った」と述べた。

これに対し、山尾氏は「詭弁を弄して必死にごまかしている。わかっていれば辞書で調べる必要がない」と指摘した。

首相がどの辞書から引用したのか定かではない。ただ、「そもそも」の意味について、『広辞苑』(岩波書店)は「元来」、『日本語大辞典』(講談社)は「最初から」、『大辞林』(三省堂)は「最初」、『日本国語大辞典』(小学館)は「はじめ」と説明しており、「基本的に」とする記述はないとされている(朝日新聞より)。
これについては、「Weblio類語辞書」の類語の欄に「基本的に」と書かれていることがわかっている。
安倍首相はネットで検索して、最初に出てきた辞書を使って「そもそも」の意味を調べたのではないかという指摘がある。

いやいや。

今回の法案は適用対象をテロ組織などの「組織的犯罪集団」と規定している、とされている。
「対象となる団体をテロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々や正当な活動を行っている団体がテロ等準備罪の適用対象となることはありません」(安倍晋三 首相)

犯罪を犯すことを目的としている集団でなければ対象にしないと言っているのであれば、オウム真理教はそもそもは宗教法人だから、
初めからであろうと、基本的にであろうと、(処罰の)対象外の団体であったのは、どうあっても、変わらないであろうよ。
処罰の対象外であれば、疑惑を持って事前に捜査する必要も、ないことになる。

安倍首相の「今回は『そもそも』犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」というのはぜんぜん嘘で、
「初めからであろうと、基本的にであろうと、犯罪を犯すことを目的としている集団でなくても、(捜査の)対象になることはある」。
つまり、「過去の法案との違いは全然ないから、安倍首相の言っていることは間違っている」ということしか、認識できない。

ここにきて、

28日午後の衆院法務委員会で、盛山正仁法務副大臣は、民進党の逢坂誠二氏への答弁で、同日午前に一般人は捜査対象にならないと答弁した根拠について、
「何らかの嫌疑がある段階で一般の人ではないと考える」
と言っている。

初めからであろうと、基本的にであろうと、そもそも「一般の人」だった人たちも、「何らかの嫌疑」を受けた段階で、
「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団」だったことに「変化する」。
だから同じことだ、と言っているのだ。

盛山氏は「一般の人とは言えないのではないか」と繰り返したが、「初めからであろうと、基本的にであろうと」、「嫌疑をかけられた瞬間に」「犯罪を犯すことを目的としている集団」でなかったとしても、「『そもそも』犯罪を犯すことを目的としている集団」であったのだ、と、
「集団の性質自体が違ったものであったことに変えられてしまう」から、
「対象になることはある」と言わざるを得ない。

「何らかの嫌疑」を受けるためには捜査の対象になっていないはずはないのだから、もう話が違っている。
そして、「何らかの嫌疑」を受けた段階では、それは「嫌疑」だけなのだから、「シロ」の可能性もあるはずだ。民進党の井出庸生氏が言うように、「無罪推定の原則と真っ向から対立する」。

権力側が「嫌疑」を持てば、自動的に「『そもそも』犯罪を犯すことを目的としている集団」と見做されることになる。
捜査する側に立ったとしても、ただの同義反復である。

事前に捜査の「対象」になることは変わらないのであれば、「内心の自由」を侵害しかねない。
これまでの共謀罪と何ら変わることはない。

安倍晋三首相は「一般の人が処罰の対象にならないことをより明確にし、これまでに示された不安や懸念を払拭できる成案がまとまった」として、捜査機関による乱用の懸念を否定したが、それは大嘘であった。

この法案は恒常的な監視が前提である。捜査の乱用により、この国を監視社会にしてしまう法律だと、受け止めざるを得ないのである。

閣議決定以前には、「成案ができましたときに、しっかりとご説明をしていきます」と言っていた金田勝年法相だが、相変わらず自分の力では何も喋ることができない。
今月28日の衆院法務委員会では、「共謀罪」の成立に必要な「準備行為」の判断基準について、
花見を例に挙げ、「桜並木の下を歩く行為」は「外形上区別がつかず、内心を処罰されることにつながる」と指摘する野党側に答え、
「携帯品や外形的事情で区別される」と判断基準の一つに言及した法務省・林真琴刑事局長に続いて、さらに詳しい説明を求められた。
そこで金田法相曰く、

「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」。

これが国会答弁なのか?!
共産党の藤野保史氏も呆れ果てたのか、「双眼鏡を持ってバードウォッチングする場合はどうなるのか。まったく区別にならない」と述べ、基準の「いい加減さ」を批判した。
まあこの答弁さえ、金田法相は、後ろの席のスキンヘッドの官僚から言われた通りに喋っているだけなのかもしれないのだが。

ふだん私の持ち歩いている物を見れば、「一般の人」には見えないだろう。舞台監督氏の所持品なんて、もう、たいへんである。まあ、そりゃ、シロウトじゃないんだから。

そもそも、「初めから」「基本的に」、安倍政権は間違っている。







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「ミサイル発射に伴う民間電鉄の運転見合わせ」は、共謀罪を議会で通過させるための「危険の宣伝」

2017-04-29 | Weblog
韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が本日午前5時半頃に西部の平安南道の北倉(プクチャン)周辺から弾道ミサイル1発を発射、失敗したと推定されると明らかにしたという。発射数分後に空中で爆発したとみられている。
原子力空母カール・ビンソンの朝鮮半島への派遣など北朝鮮を威嚇するトランプ米政権への対抗措置であろうが、6回目の核実験などの大型の軍事挑発は見送っており、米国との全面的な衝突を避ける思惑も透けてみえている。

しかし東京メトロは、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの情報を受け、安全確認のため午前6時7分から約10分間、全線で運転を見合わせたという。北陸新幹線も午前6時10分ごろから約10分間、上越妙高―金沢で「安全確認のため」運転を見合わせたらしい。東武鉄道も同じ時間帯に、メトロに乗り入れている東武東上線などで運転を取りやめたという。
東西線などでは車掌により「北朝鮮がミサイルを発射した影響で運転を見合わせています」という車内放送があったという。

こうした北朝鮮の軍事実験は、過去にも、あった。しかし、今、なぜ。
いかほどの「危険」があるのか。「ミサイル発射に伴う民間電鉄の運転見合わせ」は、初めてではないか。
他の電鉄はどうしてそうしないのか。すべきことをしないのなら非難されて当然ではないのか。
そもそも地下鉄を止めるくらいなら、どんな早朝でも空襲警報でも流して、全国民を「安全なところ」に誘導したらどうだ。
あるいは「Jアラート」で全国の携帯電話を鳴らすとか。

http://www.kokuminhogo.go.jp/img/siren.mp3
https://www.youtube.com/watch?v=drIN9e99bJc&feature=youtu.be

こうした情報が誰を利するか。
鉄道会社が当局から指導を受けたかどうかは知らない。たんなる「自粛」かもしれない。
しかし結果として、こうしたニュースは、安倍政権の新共謀罪を議会で通過させるための、「危険の宣伝」であり、ゴールデンウィーク中の5月2日にも衆院法務委員会を行うような拙速な動きを誤魔化すためのものである。
そして、本来なら内閣総辞職して当然な失言騒動や森友学園問題なとで紛糾する騒動の目眩ましである。

安部総理や岸田外務大臣など多くの政権幹部が、このゴールデンウィークに外遊。北朝鮮の危機など本気で思っていないのは間違いない。
米追随以外には外交努力の気配さえない。
なのに民間がこうして「危機の宣伝」に追随するわけだ。
で、自然災害と同じように「危機があるから備えましょう」として、かえってこの国を防衛的にも窮地に陥れる可能性の強い法案を正当化しようとしている。

憲法で決して二度と戦争をしないと決めた国が、内部の問題として、本当に危ないところに突入しようとしている。
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「てぃだぬふぁ」の二人が来る。

2017-04-29 | Weblog
石嶺と楚南 が来る。
というべきか。
かおりさん、有香子さんが来る。
と言ったほうがいいのか。

去年に会ってから、めまぐるしくいろいろなことが起きた。
まだまだ始まったばかり。

昨秋の燐光群『天使も嘘をつく』、非戦を選ぶ演劇人の会のリーディングにいらしてくださった方には、説明するまでもないお二人だが、二人揃って東京で会うのは初めてだ。
「てぃだぬふぁ」は、このお二人の他にも、頼もしく優しいメンバーたちがいる。
みんなにも会いたいし、会わせたいが、なかなか宮古島に行くことはできないだろうから、ともあれ、お時間の許す限り、皆さま、是非、いらしてください。

あす、鶴見。


沖縄・南西諸島を標的にするな  宮古島市議・石嶺 かおりさん、楚南 有香子さんを囲んで (4/30横浜)

●内容
1部 「島の子の平和な未来をつくる-陸上自衛隊ミサイル新基地建設反対の闘い」
石嶺 かおりさん(宮古島市議/てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会〔共同代表〕)
楚南 有香子さん(てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会〔共同代表〕)

2部 すべての闘いを結んで安倍政権を打倒しよう
2017ZENKOを成功させよう!南西諸島への自衛隊配備撤回/沖縄基地建設反対/戦争政策反対/南スーダンから自衛隊即時撤退/共謀罪反対/原発再稼働と被ばくを許さない/ 長時間労働と残業代ゼロの「働き方改革」反対/軍事費を社会保障へ/格差貧困をなくそう

●プロフィール
▷ 石嶺 かおりさん
・2008年 宮古上布を学ぶため宮古島に移住。織物のお店「染織工房timpab」を開業。
・2015年6月 陸自配備に反対するママたちを中心に「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」を結成。共同代表。
・2017年1月 宮古島市議会議員補欠選挙で当選。
・5歳と3歳の男の子、1歳の女の子の母。

▷ 楚南 有香子さん
・「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の共同代表。
・石嶺かおりさん後援会の事務局長。
・兼業農家・学童職員。
1.南西諸島への自衛隊の配備

安倍首相は中国、朝鮮の脅威論と排外主義を利用しながら、沖縄の辺野古、高江、伊江島などの基地機能の強化、そして南西諸島の軍事要塞化を狙っている。与那国島には、与那国駐屯地が2016年3月に開設され、すでに沿岸監視部隊160人が配備された。沖縄が本土に復帰して初めての自衛隊基地の新設。だが自衛隊はこれから石垣・宮古・本島・奄美に次々とミサイル部隊を展開していく。南西諸島は急速に中国を睨む「軍事要塞」に変えられようとしている。

2.自衛隊の配備は島民を守るため?

防衛省の計画によると、宮古島のゴルフ場「千代田カントリークラブ」に宮古島駐屯地を建設し、700~800人規模の警備部隊や地対艦・地対空ミサイル部隊、隊庁舎、隊員と家族向けの宿舎、車両整備工場、倉庫、福利厚生施設、グラウンドなどを整備する。

海洋進出を進める中国を警戒し、島嶼部の防衛力を強化しようとしている。しかし沖縄戦の教訓は「軍隊は住民を守らない」だった。ミサイル部隊が配備されると逆に軍事目標として狙われる可能性が高まり、島が戦闘にまきこまれる。「平和な島に基地はいらない」それが多くの南西諸島に住む人々の願いだ。

3.「オスプレイ・改憲阻止緊急署名」「共謀罪反対署名」で安倍の戦争政策を止めよう

安倍政権は市民監視・戦争国家づくりをさらに進めるため、秘密保護法、戦争法、盗聴法に続き「共謀罪」の成立を狙っている。安倍政権の戦争国家づくりを止めていかなければいけない。政府はマスコミを使い真実を隠し、諦めを植え付けようとする。

安倍政権の戦争政策を止めるため「オスプレイ・改憲阻止緊急署名」を街頭で集めているZENKOさんが主催。


●日時
≪横浜≫
【日時】4月30日(日)14時30分~
【場所】鶴見駅前ホール(加瀬貸し会議室)
アクセス:JR京浜東北線「鶴見」駅より徒歩1分
京急線「京急鶴見」駅より徒歩7分
*第二竹内ビル4階(TSUTAYAが1階にある)
【連絡先】西岡(090-3970-8772)/青島(090-4207-9449)

●料金
※料金は 前売500円、当日700円

●主催 2017 ZENKO in東京 実行委員会
https://www.facebook.com/events/279603265798719/
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「危険地報道を考えるジャーナリストの会」による【安田純平さん解放のための日本政府へのアピール】

2017-04-28 | Weblog
シリア内戦が始まって6年。イラク北部モスルでも戦闘・攻防が激化、南スーダンでは陸上自衛隊のPKO活動からの撤退。
そうした紛争・戦争地域に、日本から足を運んで伝えるジャーナリストの一人、安田純平さんがシリアで拘束されてから、まもなく二年。
メディアから安田さんの消息や安否に関する報道は途絶えている。

そんな中、「危険地報道を考えるジャーナリストの会」が、【安田純平さん解放のための日本政府へのアピール】を出した。(2017年4月15日)
ゆえあって、あまり世間に拡散されていないようだが、備忘の意味も兼ねて掲載する。

以下、本文。
 
2015年6月にジャーナリストの安田純平さんがシリアの北部でヌスラ戦線(現・シリア征服戦線)と見られる武装組織に拘束されて2年が経とうとしています。16年5月に、「助けてください これが最後のチャンスです」と日本語の紙を掲げる安田さんの画像がネットで公開されて以来、新たな情報もありません。
 安田さんと同時期にヌスラ戦線に拘束されたスペイン人ジャーナリスト3人が16年5月に無事解放され、同年9月には約1年前から拘束されていたドイツ人女性ジャーナリストも解放されました。それぞれスペイン政府、ドイツ政府が解放のために動いたとも報じられています。
 安田さんの画像が出た日の会見で菅義偉官房長官は「邦人の安全確保は政府の最も重要な責務」と公言しました。しかし、安田さんの解放について、政府が積極的に動いている様子が見えません。
 15年1月にジャーナリストの後藤健二さんが「イスラム国」(IS)に拘束され、殺害された事件で、日本政府は「テロリストとは交渉しない」という姿勢を押し通し、解放につながる有効で実質的な交渉ができませんでした。当時はアメリカ政府も日本政府と同様の立場でしたが、15年6月に方針を変更し、「人質の安全と無事に帰還させることが最優先」とし、人質の家族が解放のために身代金を支払うことを認め、政府が家族を支援するためにテロ組織と連絡をとるという新たな対応策を打ち出しました。
 米国は方針を変更する前も、自国民の保護に積極的に動いていることが知られています。2014年8月、アメリカ人ジャーナリストがヌスラ戦線に2年間拘束された後、解放された時、カタール政府が仲介したことが分かりました。当時のケリー国務長官は「2年間、政府は解放を実現するために、力になってくれる者たち、その手段を持つ者たちに緊急の援助を求め、20ヵ国以上の国々と連絡をとった」と明らかにしました。
 安田さんを解放するためには、シリア征服戦線(ヌスラ戦線)と関係の深い「第三国」の協力が不可欠です。それには日本政府の働きかけによる政府レベルの交渉が求められます。
 4月4日にアサド政権軍によって化学兵器が使われ、多くの民間人の犠牲者が出たシリア北西部のイドリブ県は、安田さんが拘束されたとされる場所です。4月7日、アメリカによるシリア攻撃によって、シリアをめぐる情勢はさらに悪化することが予想されます。現地の住民の安全とともに、安田さんの安否も気遣われます。救出を急がなければなりません。
 情報が少ない中、安田さんのご家族には不安、焦り、疲労が募っていることは想像に難くありません。安田さんの一日も早い帰国が実現するよう日本政府が中東諸国や欧米と連携しつつ、最大限の努力をするよう求めます。
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井の頭線「テロ警戒態勢強化中」

2017-04-27 | Weblog
これは、京王井の頭線の車内掲示モニターパネルである。
「テロ警戒態勢強化中」「爆破テロ事件の未然防止と事件発生への備えを強化しています」
ごくごく当たり前のように表示されている。
ここしばらくずっとこの表示は出ている。

われらが京王電鉄に文句をつけようというつもりはない。
しかし……。
違和感がないのだろうか。

この日本で「テロ」が起きるとしたら、どういう理由で、誰が起こすのか。
「警戒態勢」を「強化」しなければならなくなったとしたら、どういう状況下なのか。
「爆破テロ事件」と特定しているということは、世界中でいま起きている多くの「爆破テロ事件」と同種なのか、違うのか。

「未然防止」、「事件発生への備え」を「強化」する前に、「なぜそうなってしまったか」を考えなくていいのか。


昨日、アメリカのトランプ大統領は上院議員をホワイトハウスに集めて「北朝鮮の脅威」を確認したという。

9日午前、アメリカ軍が行ったシリアへの攻撃の報を受けて、安倍総理大臣はトランプ大統領と電話で会談した。約45分にわたってシリアについて、また北朝鮮について率直な意見交換を行ったという。安倍首相曰く「私からは、トランプ大統領がまさに同盟国、そしてあるいは世界の平和と安全のために強いコミットメントをしていくことに対して高く評価を致しました」「そしてまた、北朝鮮については、(中略)日米が協力して対応していくことが重要であるということ。緊密に連携をしていくことが大変重要であるということ。また、日米韓の結束が重要であるということについて完全に一致を致しました」という。

その前に、日本維新の会の橋下徹前大阪市長は首都ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、日米同盟強化に向けて日本国民の意識を変えるため「米国に強力な外圧をかけてもらいたい」と述べている。「いまの日本の自衛力、軍事力は非常におそまつ。その原因は憲法9条による平和教育だ」「外圧がなければ防衛費拡大や日本の軍事的貢献の拡大は難しい」として、トランプ大統領に「『在日米軍の撤退』を言えば日本人は大慌てだ」と呼びかけたという。

安倍首相は一昨年、安全保障法制の関連11法案が閣議決定されたことを受けて、「一定の条件を満たせば、集団的自衛権の行使が可能になると規定されているが、アメリカの戦争に巻き込まれることは、絶対にあり得ない」「“戦争法案”は無責任なレッテル張り」と否定した過去があるにも関わらず、橋下元市長が言うように、巻き込まれるどころか、今や露骨に、自分からアメリカに寄り添っている。当時は「日米同盟が完全に機能することを世界に発信することによって、抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく」と説明していたはずなのだが。


「テロ」「爆破テロ事件」は、人間がすることだ。その動機は何か。
なぜそれを考えようとしないのか。
わが国の「外交政策放棄」の病が、国民にも浸透している。

諸外国同様の理由で、わが国でもそういうことが起きるなら、理由は何か。「米国の強力な外圧」のせいかどうかは知らない。「結束」がかたいのかどうかも関係ない。少なくともアメリカが行う「世界の平和と安全のために行う強いコミットメント」への「擦り寄り」「応援」「関与」が招いたことだ。

「テロ」「爆破テロ事件」は、自然災害ではない。
「警戒態勢強化」や「未然防止」「事件発生への備え」で、防止しきれるはずのものではない。
しかし、錯覚を与えるための「工作」は、こうして私たちの日常の中で、堂々と行われている。
「ひどいことが起きなければいいのにね」「そう簡単には起きないよ」という浅い認識だけに届くよう、仕向けられている。
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「オキナワだったから良かった」

2017-04-26 | Weblog
今村雅弘復興相は25日、東京都内のパーティーで講演し、東日本大震災の被害を巡りこう述べた。

「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。首都圏に近かったりすると莫大な、甚大な被害があった」。

あれ、ソラミミかな。

いずれどこぞの大臣が、いつか某国が沖縄の基地をミサイルで攻撃したら、こう言うのだろうか。

「まだオキナワで、ずっとあっちの方だったから良かった。本州に近かったりすると莫大な、甚大な被害があった」。

じっさい、政府資料の「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A 」では、「北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、日本に飛来する場合」として、「例えば、平成28年2月7日に北朝鮮西岸の東倉里(トンチャンリ)付 近から発射された弾道ミサイルは、約10分後に、発射場所から 約1,600km離れた沖縄県先島諸島上空を通過しています。 」と答えている。

4月24日、安倍総理はアメリカのドナルド・トランプ大統領と電話会談した。
「北朝鮮情勢について突っ込んだ意見交換を行いました。いまだに危険な挑発行動を繰り返す北朝鮮に、強く自制を求めていくことで完全に一致いたしました。昨日からカールビンソン空母打撃群と海上自衛隊の共同訓練が始まりましたが、引き続き米国と緊密に連携し、高度な警戒監視体制を維持し、そして我が国として毅然として対応してまいります。」

日経新聞までが、「米政府は北朝鮮が六回目の核実験に踏み切った場合、軍事攻撃も辞さない構えを見せている。」と煽る。

共同訓練とはいっても、先方からすれば挑発以外の何物でもない。朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は「朝鮮半島で核戦争を起こそうとする宣戦布告も同然だ」と反発している。

とはいえ、現状では何らかのじっさいの攻撃に結びつくものでないだろうが、日本政府はこの騒ぎによって、森友学園のことだの、共謀罪強行の議会のずさんさだのが隠せるという判断を持っているのだろう。

だが、少しずつこの歪つなカムフラージュが現実になりつつある。
首相官邸のホームページ【お知らせ】では、こうある。

「弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合、どうすればいいでしょうか? こちらでは、ミサイルが落下する可能性がある場合にとるべき行動を、ご紹介しています。是非ご覧ください」。

沖縄県のホームページにも、こうある。

「北朝鮮により弾道ミサイルが発射された場合で、日本に飛来する可能性があるときは、関係する地域の住民に対して全国瞬時警報システム(Jアラート)を使用して情報伝達することとしておりますが、この度、昨今の情勢を踏まえ、問い合わせが多く寄せられている、弾道ミサイルが落下する可能性がある場合に国民がとるべき行動について、お知らせいたします」。

本気なのか。
沖縄本島に、いや、ミサイル配備計画を受け入れ標的になることに抗おうとしている、宮古や石垣や与那国に行って、言ってみるがいい。

警報システムが鳴って、実際、どこに隠れろというのか。
できる限り頑丈な建物?
地下街?
物陰?
地面に伏せろ?
窓から離れろ?
窓のない部屋に移動しろ?
口と鼻をハンカチで覆え?
風上へ避難しろ?
換気扇や窓を閉め、目張りをして室内を密封しろ?

笑わせないでほしい。

25日、米軍普天間飛行場の辺野古移設で、埋め立て工事の第1段階となる護岸工事が着手された。クレーンを出して大がかりそうな割に、まだちょちょっと石ころを投入しただけだ。

こんな杜撰な外交をしている以上、日本政府がきっと、完成したとたんにミサイルを撃ち込まれることになると想定しているのだろう。

一昨年、山本太郎議員が、川内原発にミサイルが撃ち込まれた場合の防災計画について国会で質問しているが、当時の大庭誠司・内閣官房内閣審議官は、「事態が発生してから対策を考える」という回答だった。
きっと彼らの世界では、原発にミサイル攻撃を受けたときにも、「換気扇や窓を閉め、目張りをして室内を密封」が有効なのだろう。

高林敏之氏が指摘するように、わが国は、朝鮮「国連軍後方司令部」と「国連軍」利用可能施設が置かれ、朝鮮戦争停戦体制が崩壊すれば直ちに攻撃対象となりうる立場である。

現政権はもちろんそれを忘れておらず、この国へのミサイル攻撃を現実のものとして熱望し、「ほうらやっぱり戦争になっただろう」と勝ち誇りたいということか。

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どこかレトロ

2017-04-25 | Weblog
『くじらの墓標 2017』NHKプレミアムステージ放送告知用宣材データが届いた。
局内のデジタル掲示板に掲載されるらしい。
ほぼ共通のデザインでハガキ等も作っているはずだ。

デザインは、テレビのプロの皆さんがまとめたものである。
写真の組み合わせ方は、どこかレトロで、七十年代の映画みたいである。
鴨川てんしと、なぜか宗像祥子が、「昭和」の佇まいのせいなのか。
芝居のイメージやトーンを打ち出す方向ではなく、受け取る人が「何だろう」とひっかかった方がいいという考え方に基づくという。
視聴者の関心が高まるのであれば、ありがたいことだ。

放映予定は以下の通り。
5/7(日)深夜0:00~2:11
NHK-BSプレミアム

終了した深夜 2:11の後は、長塚圭史演出の『鼬(いたち)』の再放送をやるという。4:16まで。

燐光群では『阿部定と睦夫』『だるまさんがころんだ』もずいぶん放送していない。再放送の機会はなかなかないとは思うが。
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山城博治さんと「共謀罪」

2017-04-24 | Weblog
山城博治さんと語る会に参加。
新宿西口反戦意思表示・有志の主催だから、新宿。
博治さんの他に、三上智恵監督、福島瑞穂さん、元自衛隊員の井筒高雄さんも飛び入り、鈴木耕さんが司会。

昨年は例年より沖縄本島に行けなかったし、辺野古にも一度寄っただけ、博治さん拘束中も何もできなかった。東京でも支援集会などに出たりはしたが、申し訳ないことだった。
山城博治さんへの五ヶ月の拘束は、「共謀罪」の先取りともいうべき弾圧だ(福島さんは「予行演習じゃないか」とも)。じっさい、「共謀罪」についての話が多かった。

拘置されていて、自殺の恐れがあるとして差し入れを禁じられていた靴下だが、体調に問題のある博治さんに靴下なしの寒さに耐えろというのは、あからさまな弾圧である。そこでこの会を主催した大木晴子さんが「短い靴下」を思いつき、差し入れが実現した。博治さんの拘置所の番号は「39」。その靴下を洗濯するにあたって、ボールペンでその数字を書かなければならない。ところが靴下が黒いとボールペンの字が読めない。灰色の靴下じゃないと駄目だった、という秘話が紹介された。他にもいろいろと聞いた。拘置所内での人権無視は、治安維持法の時代から何も変わっていないのだ。

鈴木耕さんは「マガジン9」をはじめた人だから憲法9条についてはもちろんだが、憲法全体を見て、政府が憲法95条(一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。)に反していることを、あらためて指摘。現政権のやっていることこそ、憲法違反なのだ。

博治さんは、話をしただけで弾圧できるような法案を通させないことはもちろんだが、既に「共謀」「共犯」という言葉は使われており、4種類の罪状を順繰りに出してきて拘留を引き延ばすことじたい、「共謀罪」の求めることが沖縄で先行事例として既に行われている、と語った。「山城と一緒にいる者」「山城に拍手を送った者」は現行法では逮捕できないが、いずれはそれもあるということをちらつかせているのだ、とも指摘。
沖縄で基地反対抗争をする者に対しての「反日」「金もらってる」といったレッテル貼り、ヘイトもそうだが、ちゃんと議論をしないで圧殺しようとしているわけで、そのためにこそ共謀罪を用意しようとしている、ということだ。
工事をさせないためにトラックの前に座り込むことを、「相談しただけで逮捕できる」ということになれば、運動は壊滅させられてしまう。
準備行為の前に「捜査」になってしまうのでは、運動の萎縮は避けられない。
井筒さんの話では自衛隊が配備されるところには必ず思想調査班「情報保全隊」というものが必ずあり、基地周辺の住民の調査をし、基本的に反対運動の現場に紛れ込ますのが原則論だという。
「共謀罪」に問われることを唯一逃れる方法は「自首」ということで、仲間割れを作り出そうとしている。
博治さんは、「今のままではこの国は持たない」と、絞り出すように語った。

辺野古の埋め立てが今週から始まろうとしていると報道されているが、まだまだ外側の段階である。実際の埋め立てに必要な手続きはまだ終わっていない。報道自体が萎縮を狙う政権に加担しているような構図であり、辺野古の座り込みの人数も減っている現実があり、それぞれが自分にできる支援について、改めて考えなければならないと思う。

井筒さんの話では、今回南スーダンに派兵された隊員の家族たちに対しても緘口令が敷かれているという。コープ・生協への出入りが禁止されているという頓珍漢な話にも聞いた。
PTSDは本来兵士のものだが、周辺も含めれば多くの人たちがスポイルされていく現実がある。

戦争を起こさないために先制攻撃することができるようにしておくなどというのは、全く理屈に合わない議論だ。
テロを起こさないためには、敵を作らないことが一番だ。
とにかく戦争を避ける。しないと決める。憲法にもそう書かれている。

二次会も大盛況。考えてみれば博治さんと居酒屋に来たのは初めてである。
うるま市の選挙結果はまだ出ていなかったが、辺野古の工事開始の話にも、気持ちの乱れる夜だった。

とにかく博治さんがお元気そうで、何よりである。
裁判事案に関わるところへの立入を禁じられている今、逆に全国で話をして回っていくことになっているようだ。石垣島、宮古島にも、三上監督の上映会と共に巡るという。
博治さんに出会ったのは七年前、高江であの語りと瞬時に走るダイナミックさに感嘆したが、あらためて沖縄の現場での姿を見たいと思う。
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『私にとっての憲法』。

2017-04-23 | Weblog
『私にとっての憲法』刊行。

53人による、いま必要な、憲法談義。他の執筆陣は本が届くまでよくわかっていなかったのだが、なるほどな顔ぶれ。あらゆる立場から語られ、示唆に富んだ意見が多い。
「理念は現実を凌駕すべき」という坂本龍一さん、永井愛さんは自主規制について。「押しつけ」論は無効、変えるべきは社会、「憲法は使うもの(保坂展人)」と続く、編集の組立ても巧みだ。宗教、家族、ジェンダー、システム、天皇制、戦争、9条の世界的意義、そもそも憲法の成り立ちについて。内田樹氏の「自然物としての憲法」、SFと憲法という小谷真理さんの視点が興味深い、
まだ全部を熟読はできていないが、「(護憲をゴールにしないためには)答えは出ている」と締めくくる高遠菜穗子さんの力強さがひときわ目立つ。ドメスティックな(日本本土の)問題と錯覚して内向きに見ていてはいけない、ということなのだろう。
「戦後民主主義」を正当に評価すべきという立場はほとんど皆に共通しているし、あらためてそういう本なのだなと思う。
誰かがこの顔ぶれを「共謀罪施行後に真っ先に盗聴される人たち」と言っていたことについては、本当にそうなってもらっては困るのだが。


以下、情報。

『私にとっての憲法』

施行から70年.私たちはこの憲法をどれだけ使いこなし,その理念を自らのものにすることができたのか.自身の憲法体験から,憲法を「活かす」ためのヒント,現在の憲法論議への提言まで.さまざまなジャンルの53人がさまざまな視点から憲法を語った、53人の憲法論。

【執筆者】赤川次郎 池内了 石田雄 井戸正枝 伊東光晴 色川大吉 打越さく良 内田樹 大田堯 岡田憲治 岡野八代 尾辻かな子 親川志奈子 鹿島徹 片山善博 北原みのり 久保利英明 熊谷晋一郎 久米宏 黒澤いつき 小谷真理 坂手洋二 坂本龍一 佐藤直子 佐藤芳之 島薗進 笙野頼子 白井聡 鈴木邦男 想田和弘 高遠菜穂子 竹下景子 田中美津 永井愛 仲里効 西谷修 西原春夫 西山太吉 仁藤夢乃 丹羽宇一郎 浜矩子 原寿雄 PANTA 半藤一利 比嘉慂 平野啓一郎 藤原辰史 保坂展人 保阪正康 松元ヒロ 山口智美 山﨑拓 米倉明

岩波書店編集部 編  1,700 円+税

画像はPANTAさん経由で山口智美さんTwitterより拝借させていただきます。
https://twitter.com/yamtom
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憲法記念日に憲法集会です。

2017-04-22 | Weblog
施行70年 いいね!日本国憲法―平和といのちと人権を!5.3憲法集会

http://kenpou2017.jp/information/0503/

日時:2017年5月3日(水・休)11時30分~
場所:有明防災公園(東京臨海広域防災公園)
りんかい線「国際展示場駅」徒歩4分 / ゆりかもめ「有明駅」徒歩2分

主催:5.3憲法集会実行委員会

集会内容: ※変更・追加がありますので、ご確認をお願いします。

11時30分~ ブース・イベント広場:
親子憲法ひろば/出店ブース/ミニSL

12時~ プレコンサート:
ユキヒロ/佐々木祐滋
【みんなでつくるステージ企画】「HEIWAの鐘」をユキヒロと一緒に歌おう

13時~ 集会: ※司会:橋本美香(制服向上委員会)
政党あいさつ:民進党、共産党、社民党、自由党、沖縄の風(予定) スピーチ:(五十音順)
池内了(名古屋大学名誉教授、世界平和アピール7人委員会)
/伊藤真(弁護士、伊藤塾塾長)
/植野妙実子(中央大学教授・憲法学)
/落合恵子(作家)
/坂手洋二(劇作家、演出家、燐光群主宰、日本劇作家協会前会長)
/ピーコ(ファッション評論家、シャンソン歌手)
/山田火砂子(映画監督)
特別ゲスト:李泰鎬(朴槿恵退陣緊急国民行動、参与連帯政策委員長)

14時45分~ クロージングコンサート:
制服向上委員会/中川五郎/PANTA
パレード: ※調整中
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『くじらの墓標 2017』NHK-BS「プレミアムステージ」放送。5月7日深夜。

2017-04-20 | Weblog
情報解禁ということで。

今年3月に吉祥寺シアターで上演した『くじらの墓標 2017』が、NHK-BS「プレミアムステージ」で放送されます。

日時は、5/8(月)0:00~2:11【7日深夜】です。
7日の日曜日の夜に夜更かしをお薦めということです。

NHK-BSでは、クジラ関係では、かつて国際交流基金と燐光群が組んで、インドネシアを中心とした国際合作『南洋くじら部隊』も、放送しています。
燐光群作品の放映は、教育テレビでやってくれた『屋根裏』以来になるのかな。とすると、十年ぶりってことか。

このブログ記事の写真撮影は、姫田蘭さん。
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ヤルタのチェーホフ像

2017-04-17 | Weblog
チェーホフが晩年の最後の5年間を過ごしたクリミアの保養地、ヤルタ。写真は、その地で現在博物館になっている「チェーホフの家」の表に置かれた、チェーホフ像である。
このヤルタで、「桜の園」「三人姉妹」は書かれた。
チェーホフは「ワーニャ伯父さん」初演をとても観たがっていたが、医師たちはチェーホフをヤルタから出さなかった。そこで、スタニスラフスキー率いるモスクワ芸術座がクリミアを訪れ、セヴァストポリ、ヤルタで公演したという。
そのヤルタの劇場は現在「チェーホフ劇場」と名付けられている。

そこで毎年「チェーホフ・フェスティバル」が開催され、私たち燐光群も2013年に『屋根裏』で参加した。オープニング作品として迎えられた。若干日程に余裕のあった、このヤルタの日々は忘れられない。毎日が、ヨーロッパとロシアの関係を知るためのワークショップのようだった。すぐにバスには乗り馴れたし、観光客は行かないような市場に通って、いろいろなものを食べたのも懐かしい。

その後クリミア半島は、「ウクライナ」から「ロシア」に、移った。 いろいろと思いはあるが、私が行ったときにも、ヤルタじたいは既に7割近い住人はロシア系であり、「ほとんどロシア」だった。

チェーホフの青春時代を描く青年座『わが兄の弟』を観て、いろいろなことを考えさせられた。
客席に作者のマキノノゾミさんがいて、途中休憩時に「きのう共謀罪のことで赤旗の取材を受けたよ」と言う。確かに共謀罪に繋がるような思想統制の話も出てくる。いい台詞もいっぱいある。ロマンチスト・マキノ本領発揮である。
演出の宮田慶子さんとのコンビは、ある意味「鉄板」なのだろう。
美術はもっと光を当てるところを増やした方がいい気はした。暗闇がバックで馴染むシーンは冒頭とラストだけである。
私は俳優諸氏の声を楽しんだ。とりわけ津田さん。
作劇的には、私はもう一度「チェーホフ的」に多くの人が出ているシーンがないと終われない気がしたが、これは趣味の問題なのだろう。
チェーホフに興味がある人は、大きな関心を持って見られるはず。

久しぶりの紀伊國屋ホール。
三浦洋一版の『熱海殺人事件』つかこうへい事務所を観たのが最初だ。あれからもう四十年なのである。
私が唯一ここで演出したのが『上演されなかった三人姉妹』。まさにチェーホフ世界の現在形。同作の海外公演の計画が頓挫したのが、悔しい思い出である。
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シリア内戦取材・報道の現在/安田純平氏の拘束から2年

2017-04-16 | Weblog
「くじらの墓標」公演が終わり、新年度になってから、四月馬鹿を楽しむ気力もない大馬鹿加減だし、花見もしないでいるうちに、非戦リーディングもあり、岡山行き、会議等、慌ただしくいろいろなことが起き、もう今月も折り返してしまった。花見はしなかったが、異常気象のためか、咲いている時期は長かったのではないか。少しでも目を楽しませてくれてありがとうと思う。

昨日は、危険地報道報告会≪シリア内戦取材・報道の現在/安田純平氏の拘束から2年≫。

シリア内戦は今年で6年目だという。他にも、イラク北部モスルでの戦闘・攻防が激化。
南スーダンでは陸上自衛隊のPKO活動からの撤退が報じられたが、別段事態が沈静化したからということではない。安倍政権のビビリであり、日本のドメスティックな政治の都合からだけだ。

フリージャーナリストの安田純平さんがシリアで拘束されて、まもなく2年。
最初のうち関係者は安田さんの安全のために、あえてメディアに情報を出さないようにしていたが、事態があからさまになってから後、安田さんの消息や安否に関する報道は途絶え、人びとの意識の中から、ほとんど忘れ去られようとしているかのようだ。本当に、安否の最新情報に関しては、この数カ月ぐらいが特に何も無いのだという。

この会を主催した「危険地報道を考えるジャーナリストの会」の世話人は、土井敏邦、川上泰徳、石丸次郎、綿井健陽、五十嵐浩司、高橋弘司の各氏。
ホームページは以下から入れます。

http://www.kikenchisyuzai.org/page/2/

「シリア内戦で経験した危険地取材の教訓」は、桜木武史氏の報告。フリージャーナリストの桜木氏は、シリア内戦の始まりから5回にわたる現地取材をもとに『シリア 戦場からの声 内戦2012-2015』を著し、2016年度「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」を受賞しているが、「人間を愛すること」を中心とすると公言する、その何とも優しい人柄にほだされる。現場で負傷したりしながら、運転手の仕事で資金を蓄えてはまた現地に向かう日々を繰り返しているという。
シリア反体制支配地域で戦争報道を担う市民ジャーナリストたちの活動も紹介される。本当に、現地に暮らし、自分たちも撃たれ、倒れながらの取材。
TBS外信部記者・秌場(あきば)聖治氏によるシリア・アサド政権下の取材現場の報告もあった。
みんな立場は違うが、紛争・戦争地域に身を置いて真実を伝えようとするジャーナリストたちだ。

そして、「危険地報道を考えるジャーナリストの会」から、安田純平氏救出のためのアピールが出された。読み上げる土井さんの真情にうたれる。
しかし、この日はアピールを出したものの、アピールを出すことはおろか今日の会の開催じたいにも賛否両論があって、と、会の最初に説明があった。それはもちろん内外の政治状況をにらんでのことである。誰もシリアに取材に行くなと公言して憚らない日本政府の機嫌を損ねないようにということなのかもしれない。
安田さんの安全のために何が最善なのかは、わからない。迷い、惑いながら、しかし皆、じっとしてはいられないのだ。

2004年4月14日、安田純平さんが、私たちの支援していた渡辺修孝さんとともに拘束されたときは、広河隆一さんたちとすぐに緊急集会を開くことにしたが、数日で解放され帰国したので、なんとその日時での集会が「帰国報告集会」になった。
いまはまったく事情が違うのだ。

本当に、安田さんには無事でいてほしい。
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震災演劇連絡センター できました

2017-04-14 | Weblog
念願の「震災演劇連絡センター」、できました。

震災関連の演劇の情報ステーションであり、駆け込み寺です。

ニューヨークのジェイムズ八重樫さんを中心に立ち上げてくれた「震災〜SHINSAI Theater for Japan」と連携して日本でもいろいろな動きをしましたが、このセンターの設立を提唱して二年余、ようやく実現したのです。

ホームページもまだ開いたばかりで文はほとんどありませんが、とりあえず震災関連作品である4戯曲を読むことはできます。

劇作家協会東北支部長・くらもちひろゆきさんの文を記します。



『震災を演劇で遺す』 くらもちひろゆき

 震災演劇連絡センターのホームページができた。手始めにアップしてあるのは数本の震災戯曲。これからさらにコンテンツを充実させていくつもりである。
 このホームページを作成する原資は、東日本大震災翌年の3月11日にアメリカ全土で開催された「震災〜SHINSAI Theater for Japan」で、全米から集められた寄付金である。
 これまでも、東北の演劇人が集まるイベントに使わせてもらっていたが、この善意とつながりを、できる限り長く有効に活用するために、震災演劇連絡センターを設立し、情報の収集と発信をしていこうというわけだ。
 ここまで来るのに震災から6年が経っているが、これからも震災戯曲は現れるだろう。昨年は熊本でも地震があった。何しろマグニチュード6以上の地震は、日本が世界の20パーセントを占めるのだそうだ。善し悪しは置いといて、これからも震災戯曲は書かれる。それを遺そうと思うのだ。


http://shinsai-engeki.com
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日本を守る気もないくせに「飛行場が小さすぎる」。辺野古移設ナンセンスが証明された。

2017-04-14 | Weblog
11日夜、在日アメリカ軍が北朝鮮のミサイル迎撃のため、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の部隊を普天間と嘉手納に展開したという。

で。
別な話みたいだが、韓国で、原発の重大事故で、最も大きな被害が予想されるのは、原発事故の当事国である韓国ではなく、日本ということだ。

つまり。
韓国南東部、釜山市の海沿いにある古里(コリ)原発を攻撃すれば、日本の西日本の機能は壊滅する。
日本政府も去年8月から出し続けている「破壊措置命令」に基づいて首都圏を警戒するため、防衛省の市ケ谷基地や習志野、入間の部隊などにPAC3を配備しているわけだが、韓国の原発を狙うミサイルを国境を越えて抑止するわけにもゆかず、まあ全く無駄ということだ。韓国軍の防衛に期待する以外の手はない。

そして。
政府機関を監視する米政府監査院(GAO)がこのほど発表した米海兵隊のアジア太平洋地域の再編に関する報告書で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移転計画に関し、移転先の滑走路が「特定の飛行機には短すぎる」と指摘されているという。
GAOは「国防総省は必要な作戦の要件を満たさないことになる」として、同県内で代替の滑走路を探すよう求めているんだとか。

なんじゃそりゃ。
いったいどれだけ長い間、「普天間移設問題」が続いていると思っているのか。

GAOは、現行の普天間飛行場の滑走路(約2700メートル)はオスプレイのような回転翼がついた航空機や、災害時の国連の緊急対応など様々な用途で使われていると説明している。そのうえで、辺野古に建設される予定の滑走路は「同様の作戦の要件を十分に満たさない」と指摘したんだそうな。
米軍キャンプ・シュワブのある辺野古沿岸部への移転計画では、2本の約1770メートルのV字の滑走路が造られる予定だが、それではお気に召さないのだという。

今それを言うか。
日本を守る気も、手立てもないくせに、「飛行場が小さすぎる」。
「代替の滑走路」が不十分だからさらに「代替の滑走路」が必要だと?

あっさりと、「辺野古移設」のナンセンスが証明された。

てことだよね。
そんなんでいいのか。ほんとに。

やめよう。工事を中止しよう。

少なくとも話しあおう。五十年後、百年後の人たちが納得しないよ。


写真は沖縄・高江です。去年9月。



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