飯豊連峰は今から10年前、雪の降りしきる年末年始に縦走した思い出の山。
そのときは6日間かけて縦走したのだった。
6日間のうちほとんどが吹雪だったのであまり景色は見られなかったものの、最終日に奇跡的に天候が回復しそのとき見たたおやかな稜線が今でも頭に残っていた。
(そのときの記録)
飯豊連峰といえばやっぱり夏でしょ!
ということで行ってきました。
今回の計画はゆっくり縦走するのではなく、大石ダムから弥平四郎登山口まで1日で縦走する計画(通常登る川入登山口は先日の豪雨で県道が崩壊し当面通行禁止のため弥平四郎に変更)。
コースはこれ↓
これをやるには大石ダムから弥平四郎に車を移動させなければならない。
後輩のとだに声がけしたところ二つ返事で引き受けてくれた。感謝!
大石ダムに22時半に到着しすぐに就寝、1時半起床。
すぐに準備をして車止めゲートまで移動。
ここでとだと別れる。弥平四郎登山口で会おう!!
最初は3kmの林道が続く。
暗闇の中2人でおしゃべりしながら走る。
この林道は本当に暗いし獣の音とか聞こえて不気味、1人だったらかなり怖い。
途中何度も巨大なくもの巣にひっかかる。
なんか関東のくもと違って粘着力が強力で体にまとわりつく。
出発から50分ほどで1号橋に到着。
そこから20分で杁差岳の登山口に到着。
ちょっと休憩をしてこの行程最大の登りに突入。
杁差岳までの登りは標高350mから標高1,636mまで1,300mを登らないといけない。
ヘッテンをつけながらひたすら山頂を目指す。
朝焼けを迎える。
ふーむ、晴れそうにないなぁ。。
千本峰付近を登るおっくん。
まだまだ登りは続く。
前杁差岳付近からガスの中に突入。
そして6時半に杁差岳山頂に到着。
大石ダムを出発して4時間、ここまでは本当にきつかった。
杁差岳からすぐ下ったところに避難小屋があるのでそこで休憩。
ガスと風が強くてテンションが下がる。
晴れるとお花畑とたおやかな稜線がずっと望めるのにぃ~。
避難小屋を出発して次の目的地、頼母木山避難小屋へ向かう。
きれいな花がたくさん咲いていてステキ。
途中8人の中高年パーティーとすれ違う。
あんな風に年を取りたいな、と思いつつひたすら進む。
8時、頼母木山避難小屋に到着。
小屋の管理人に、大石ダムから杁差岳までの登山道の状況を何度も確認される。
登山客に「ほら、大丈夫でしょ。だめなのは西俣川のルートですから」と話していた。
どうも大石ダムからのルートが崩壊しているという話が広まっているみたい。
この小屋ではジュースやビールなども売っている。
そして、ここで電波が入りとだからメールが。
さすがソフト○ンク、ここにきてつながりやすさNo1の実力を発揮!
どうやら三国山避難小屋に到着した模様。早いな!
(ちなみにこの後下山して街中に出るまで電波は入らなかった…。やはり実力どおりだ。)
とだの連絡を受けて元気が出た。
次は門内小屋へと向かう。
地神北峰、ずっとガスの中。
直射日光よりこっちの方が体力を消耗されないからいいでしょ!と二人で負け惜しみをつぶやきながらひたすら進む。
9時20分、門内小屋到着。
この付近で少し雨が降り出す。
小屋で休憩していると飯豊山荘から登ってきたという登山客としばし会話。
この人、装備を見てみると雨具を持ってない。
そういえばさっきすれ違った人も雨具を着てなくてずぶ濡れ状態だったな。
いやいや危ないでしょ。。
次は梅花皮小屋に向けて出発。
これなんて読むかわかるかな?
正解はかいらぎ小屋。山の名前って不思議な名前が多いよね。
ここから先は雨が降ってきてさらにテンションが下がる。
雨粒はそんなに大きくないんだけど、風がものすごく強いので体感温度はかなり低い。
おっくんと危なくなったら最悪飯豊山荘に下ろうと話しつつ進む。
北股岳到着。
まだまだ元気!
そして10時10分、梅花皮小屋到着。
ここではたくさんの登山客でごったがえしていた。
御西小屋から来たというステキなご夫婦と会話。
ここから先も風が強くて天気悪いよとのこと。
ここまできたら引き返す場所もないので進むしかない。
御西小屋に向けて出発。
確かに稜線に出ると雨風強し。
ただ、風は常に日本海側から吹き付けてくるので、尾根の東側に入るとほとんど風がない。
そしてガスっているけどお花畑はステキ!
この稜線では雪渓もかなり残っていた。
御手洗ノ池に到着。
御西小屋まであとちょっと。
御西小屋到着~。
ここもたくさんの登山客が。
女子大山岳部?と思われる女の子3人グループがいて、聞いてみると5日間の行程で弥平四郎から飯豊山荘に行くそうな。
全力でそちらに参加したかったけど、なんだこいつらという冷たい視線を感じすぐに小屋を出る。
そりゃそうだ。。
ちなみに小屋の管理人と話したところここ一週間はほとんどガスっていて晴れてないみたい。
下界は晴れていても飯豊山はなかなか晴れないのかぁ。
晴れた飯豊山を見てみたい!
ここからは大日岳に行く予定だったけどこの天気と時間も押しているのでショートカットして飯豊山へ向かう。
ここから飯豊山への道は緩やかでかなり登りやすい。
晴れていたら最高と思われるトレイルを進む。
花も咲いていて本当にきれい。
飯豊山への最後登り。
山頂が見えた!
そしてようやく飯豊本山到着!!
いや~ここまで本当に長かった。
そしてこのときのために用意した、とっておきのシャツを披露。
まさにIIDEトレイルジャーニー!
風が強くて寒いので休むまもなく出発。
飯豊本山小屋方面のガスが一瞬切れて稜線が見えた。
飯豊本山小屋到着。
ここでは小屋の管理人からいろいろとお話を受ける。
・どこから来たの?
・大石ダムからです。
・何時間かかった。
・12時間くらいです。
・そりゃ遅いな、もっと早いやつは大日岳を往復して13時間で来てたよ。走ってきたんだろ?
・ほとんど走ってません。
まぁ、そりゃ早い人はうちらの他にたくさんいるでしょ。
それにタイムは目指していないし、楽しむことが目的だから。
その他にも、「そういう登山は無謀って言うんだよ。そういう輩がいるから事故が耐えないんだよな。これからどこに下るんだ?弥平四郎か、まぁ4時間で下れないと遅いな。」
と、なぜか今度は煽ってくる。
2人とも大人なので、そういうことは十分承知した上でやってます、今後も気をつけて登山しますよと笑顔で話して本山小屋を出発したのだった。
本山小屋から下山していくにつれてガスの中を抜け出してきた。
大又沢方面の雪渓を望む。
飯豊本山方面はガスの中。
途中御秘所と呼ばれる岩場もあってテクニカル。
草履塚に登ると遠くに切合小屋が見えてきた。
まだまだ遠い。
草履塚からの下りは雪渓を通過。
そして切合小屋到着。
切合小屋から三国小屋までもけっこうアップダウンや岩場もあってスピードが出ない。
三国小屋までの最後の登り。
三国小屋に17時30分着。
ここから弥平四郎登山口まで約5km
日の入りが18時半なのでこの時点で夜間走行を覚悟。
時間がないのでちょっと水分補給をしてまもなく出発。
ここからが本当の核心だった。
出発して10分ほどで雷が鳴り出しいきなりの土砂降り。
すぐに止むのかと思いきやなかなか止まない。
それどころか強くなる一方。
しかも、下りが急でかなり気を使う。
稜線から外れて樹林帯に入ると今度は日が暮れて土砂降り&ヘッテン下山。
全身ずぶ濡れ状態で何とか最後の力を振り絞る。
最後の登山口には17時40分に到着予定だったので予定時間を1時間半ほど過ぎている。
とだが心配して電波のあるところに移動してしまっていないかかなり心配になる。
そしてようやくようやく弥平四郎登山口に到着。
そして駐車場に向かうととだが車の中で待っていてくれた。
いや~このときの安堵感は言葉には表せないほどだった。
飯豊トレイルジャーニー完走です。
充実度300%のトレイルでした。
ただ、飯豊連峰最高峰の大日岳には登っていないので「全山」ではなく主脈縦走にしておきます。
ちなみに、このあとおっくんが軽度の低体温症の症状が。
初期の症状だったので着替えてしばらくしたらおさまったものの、あの状態があと1時間続いたらかなり危険な状況だったかもしれない。
本当に無事に到着してよかった。
P.S
今回の山行では一緒に走ったおっくんに多大なるご迷惑とご心配をおかけしたこと深くお詫びします。
通常のトレイルランの大会と違って安全管理はすべて自己責任。
当然その分の緊張感が疲労となって蓄積されていたように思う。
それと全行程が登山道なので通常のトレイルとは異なり走れる部分はかなり少ない。
その点も事前に十分説明していなかったことも大反省。
でもこの長大な尾根を一緒に完走できたことは一生の思い出です!
今度はゆっくり縦走しよう!!
<コースタイム>
大石ダム先車止めゲート(2:30)-1号橋(3:10)-杁差岳登山口(3:30)-千本峰(5:20)-杁差岳(6:25)-杁差岳避難小屋(6:30)-休憩20分-(6:50)-大石山(7:35)-頼母木山避難小屋(8:00)-休憩10分-(8:10)-地神山頂(8:50)-門内小屋(9:20)-休憩10分-(9:30)-北股岳(10:15)-梅花皮小屋(10:30)-休憩10分-(10:40)-御手洗ノ池(12:20)-休憩10分-(12:30)-御西岳避難小屋(13:15)-休憩10分-(13:25)-飯豊本山山頂(14:20)-本山小屋(14:40)-切合小屋(16:10)-三国小屋(17:30)-弥平四郎登山口(19:30)