人生山あり旅あり休みあり♪

山登りと旅行の雑記帳です。

白神山地赤石川(3日目)

2018年08月12日 | 東北地方の沢
(コースタイム)
泊り沢出合(5:30)~水枯地点(10:30)~林道終点(11:30)~白神山地案内所(15:00)

朝起きると青空が広がり昨日よりもさらに天気が良い。
赤石川の沢登りも今日が最終日。
今日は泊り沢を遡行し、二ッ森の登山口である945m地点まで登る行程だ。

泊り沢の出合いは釜を持ったプチゴルジュ。


ここから先は両岸が狭まってV字谷の様相となる。




これまでの河原歩きから一転、小滝が続くようになる。








しばらく行くと突然巨大な滝が現れる。


25m滝だ。

これはさすがに登れないので、左岸のルンゼから高巻く。
下から見ると傾斜もなく簡単に巻けると思いロープを出さずに行ったところ、途中で行き詰まり結局ロープを出すことに。

ルンゼを20mほど登ったところから左にトラバースして尾根を乗っ越し沢に戻った。


ルートファインディングをミスってこの滝の高巻きに1時間も要してしまった。

25m滝の次は樋状の15m滝。


ここは右側を快適に登っていける。


この滝の上はナメ滝となっておりきれいな景観をなしている。


ここから先は困難な滝もなくぐんぐん高度を上げていく。

やがて740mの二俣となり、二ッ森の登山口へ続く尾根をめざし右俣に入る。


水涸れ地点で水を汲んで最後の詰めに入る。


ここから先分岐点がたくさん出てくるものの、できるだけ二ッ森登山口から離れないように分岐を進んでいく。
最後のちょっとした急登を登ると登山口へと続く尾根にひょっこり出た。


ここから登山口のある945m地点に向けて藪を漕いで行く。
ところどころに作業用なのかトラロープが付けられていて、そのトラロープを頼って尾根を登る。
藪はそれほど濃くはなく30分ほどで945m地点に到着した。


目の前にアスファルト舗装された青秋林道の終点が見え、ここで赤石川の遡行が終了したことを知る。




白神山地にどっぷりと浸り、酒を呑み、星を見て、楽しい楽しい3日間だった。
天気にも恵まれ本当に素晴らしい沢登りだった。

最後にみんなで記念撮影。


充実の表情。
一緒に遡行してくれたみなさんに感謝です。

しかし、沢登りはまだ終わっていない。
実はここから青秋林道の起点となるビジターセンターまで地獄の15㎞の林道歩きが待っているのだ。

本来は、ここから自分が八森駅までランニングで走って、五能線で東能代駅まで移動した後、レンタカーを借りて、再び二ッ森登山口にみなさんを迎えに行くという計画だった。
ところが、出発当日にふと気になってビジターセンターに道路状況を確認したところ、青秋林道の途中が崩壊し、現在工事中なので通行止めになっているとか。

むむむ、これまでHPを見ていたけどそんなこと書いてなかったぞ。
電話で応対してくれた人いわく、「HPを更新するのを忘れていました」とか。。。
いや~、それはないでしょ、と思いつつもこればかりはどうしようもない。
もう中止にはできないのでみなさんに歩いていただくことになったのだった。
入渓地点側の林道についてはダートのため2度ほど電話をして道路状況を確認していたのだが、二ッ森の道路については完全に確認を怠っていた。

ただ、今日中にレンタカーを借りるためには、最寄りの八森駅15:45発の五能線が最終電車になる。
現在の時刻11時半。
私とUくんで先発して先に駅まで歩くことにした。

白神山地に別れを告げ青秋林道をひたすら歩く。


途中途中で見える白神の峰々が素晴らしい。


遠くには日本海まで見渡せ山奥にいることを実感する。
と同時に、この山奥から抜けてあの日本海まで歩かなくてはならないのである。

幸い木陰の中を歩く時間が長く体力的にはそれほど消耗せずに歩くことができた。

途中崩壊箇所を確認しつつ通行止めゲートを通過し3時間半かけてビジターセンターに到着した。


ここから駅まではあと3㎞、タクシーを呼ぶことも考えたけど、あと3㎞だったら十分間に合いそうなので、ビジターセンターに荷物を置かせてもらい空身で歩くことにした。

歩き始めて数分後、後ろから来た軽トラックのおじいちゃんに声をかけられる。
なんと駅までだったら荷台に乗って行けとのこと。

最後の最後に最高のフィナーレが待っていた。
白神山地の神様もなかなかやるじゃあないか。
東北の人たちの優しさに触れた瞬間だった。

八森駅までおじいちゃんに乗せてもらい電車を待つ。


目の前には日本海が広がり素晴らしいロケーション。


田舎感がハンパない。

駅の待合室にいたおばさんが電話をかけていたんだけど、声がでかいもんだから否応なく会話が耳に入ってくる。

会話の一部だけど、

今日は息子と孫?が帰省で帰ってくるっぺ、仏壇のお供え物やお小遣いを用意しといてけろ。

という内容だった。

東北なまりでほっこりする会話だった。

乗り鉄であれば必ず乗るであろう五能線に乗って東能代駅へ。


ちょうど盆の時期と重なり、同時に到着した奥羽本線から帰省と思われる人たちがたくさん降りてきて駅は大混雑だった。

予約していたレンタカーを借りて再びビジターセンターへ。

ニシさん、Nさんと無事合流し、赤石川の沢登りは終了となった。

この後、お楽しみの不老不死温泉に行こうと思っていたんだけど、営業時間が終了していたため、ウェスパ椿山で温泉に入る。

この温泉も眼下に海が広がる半露天風呂からの展望がすばらしかった。

夜は道の駅深浦で下山祝い。


充実した沢登りができた満足感と楽しい仲間とおいしいお酒を呑んで最高の宴会となった。

翌朝は念願の不老不死温泉へ。


朝一番で行ったおかげで最初は貸し切りの露天風呂を満喫。


目の前に海が広がり解放感は抜群。
天気も良く、締めくくりも最高だった。

この後赤石川の林道起点まで移動して車を無事回収。
弘前駅前でレンタカーを返して埼玉まで650kmをひた走り無事に山行を終えることができた。

赤石川は想像していた通り素晴らしい沢だった。
記録を探してみると、途中の尾根を乗っ越して赤石川の中間部のみを遡行している記録はあるけど、林道起点から二ッ森登山口まで遡行している記録はなかなか見つからなかった。
これは、沢までのアプローチとその後の車の回収に時間がかかることが原因だと思われる。
ただ、それを差し引いても行く価値のある沢だと思う。
おかげで人が入らず、静かな沢歩きが楽しめるのだけど。

またいつの日か白神山地の沢に遊びに行きたいと思う。

白神山地赤石川(2日目)

2018年08月11日 | 東北地方の沢
(コースタイム)
滝川出合(6:50)~魚止の滝(11:40)~泊り沢出合(13:30)

宴会後河原で寝ていたところ、夜半に突然雨が降り始めタープに移動。
ただ、朝起きることには雨も止んで青空が広がっていた。

2日目は滝川から泊り沢の出合までの行程。

今日も広い河原を渡渉しながら進んでいく。






出合いに滝のあるヤナダケ沢出合い


今日も沢の水は美しく、悠々とイワナが泳いでいるのが丸見え。










左岸にノロノ沢が出合うと小滝が出てきてちょっとしたゴルジュとなる。






これまでずっと河原歩きだったところにゴルジュが出てきてちょっとうれしい。

ゴルジュを抜けて、左岸から出合う滝ヶ嵓沢やヨネジャの沢を見つつ進んでいく。






それにしても、支流の沢の名前がおもしろい。
おそらくマタギがつけたんだろうけど、そのネーミングセンスが素晴らしい。
こういった沢の名前の由来に思いを馳せるのも沢登りの楽しみの一つだ。

ヨネジャの沢を過ぎてしばらく行くと、目の前に突然大きな滝が現れる。


これが魚止めの滝だ。

それにしても立派な滝だ。
広い河原歩きが続く中で突然の大滝の登場にみな大興奮。

滝を登る前にみんなで記念撮影。


ここはロープを出して滝の左側をUくんがトップで登る。




滝を越えると小滝が続き、右岸から石の小屋場の沢が出合う。


ちなみに魚止めの滝を越えてもまだまだ魚影は濃い。
“魚止め”という名は過去のものなのかもしれない。

石の小屋場の沢から少し行くと今日のビバーク地の泊り沢出合いに到着した。

出合いの両岸にビバーク適地があり、河原に近い左岸にタープを張った。

今日も天気が良く、満点の星空のもと白神山地の懐に抱かれ盛大な宴会を楽しんだ。

白神山地赤石川(1日目)

2018年08月10日 | 東北地方の沢
(コースタイム)
乱岩沢橋駐車スペース(8:00)~取水ダム(10:00)~滝川出合(13:50)


念願の白神山地、赤石川に沢登りに行ってきました。

赤石川は学生時代に読んだ日本百名谷の一つに挙げられていて、昔からいつか行きたいと思っていた憧れの名溪。
これまで2度計画したもののいずれも天気が悪くて中止に。
3度目の正直でようやく行くことができました。


今回のメンバーは山仲間のニシさん、Uくん、Nさん。
東川口を12時に出発、東北道をひた走り大鰐弘前ICに20時到着。
インター近くのマックスバリューで入山祝いの宴会グッズを購入し、津軽白神湖の近くの駐車スペース泊。
明日からの入渓を祝してみんなで乾杯。


憧れの赤石川に入渓できることへのワクワク感でテンションが上がる。

翌朝は県道28号を走って赤石ダムへと至る林道の起点へ。
本来であれば、日本海側の深浦町岩崎からタクシーで入渓したいところだったけど、林道が一部崩壊のため修復作業中ということで通行止め。
やむなく弘前側から入ることになった。

アクアグリーンビレッジANMONから先のダートを50分ほど走りスタート地点に到着。




ここに車を置いて赤石ダムまでは林道歩きだ。

ちなみに、白神山地は世界遺産のため、核心地域に入る場合は森林管理署に入山届を出さなければならない。
出さなくてもばれないでしょ、と思いきや、10年前に追良瀬川に沢登りに行ったときは、沢の中で監視員に遭い入山届の提出状況を確認された。
なので、白神山地に沢登りに行く際には必ず手続きをしましょう。

赤石ダムまでは単調な林道歩き。


2時間ほど歩くと林道は終点となり赤石ダムに到着する。




よくまぁこんな山奥にダムを造ったもんだと感心するのと同時に、果たしてこのダムは必要なのだろうか?という疑問も湧いてくる。

ここで入渓準備を整え赤石川に降り立つ。




赤石ダムからは左岸に明瞭な巻道がついていて、その巻道に沿って歩いていく。
ところどころトラロープもついている。

しばらく行くと巻道も終わりとなり、いよいよ赤石川の遡行が始まる。




赤石川自体は困難な滝や厳しい渡渉があるわけではなく、その多くは河原歩きだ。
しかし、アプローチに手間がかかることからか入渓者は少なく人臭さがない。
また、手つかずのブナの原生林を五感で感じながらの遡行はそれだけで気分は最高だ。








こういった山奥の人の気配が少ない沢を登るのは気持ちがいい。

落ち口に滝のある岩淵沢出合い。




休憩をとりつつゆっくりと遡る。


そこかしこでイワナが弾丸のように泳ぎ回り白神山地はイワナの天国だ。

しばらく行くと赤褐色の大岩壁が見えてきた。


高さ30mはあるだろうか。
でも壁はもろくて登れそうにはなかった。

ここを過ぎると今日のビバーク地点の滝川出合いに到着した。


滝川出合の右岸にビバーク適地があり、そこにタープを張る。


ふとブナの木を見上げると謎の装置が木に付けられていた。


世界遺産の核心地域なだけに、不正がないか監視しているのか??
ちょっと気味が悪いけど気にしないことにした。

夜は皆で担ぎ上げたお酒で乾杯。
遠い北の山奥で宴会を楽しみつつ夜は更けていった。