人生山あり旅あり休みあり♪

山登りと旅行の雑記帳です。

白神山地赤石川(3日目)

2018年08月12日 | 東北地方の沢
(コースタイム)
泊り沢出合(5:30)~水枯地点(10:30)~林道終点(11:30)~白神山地案内所(15:00)

朝起きると青空が広がり昨日よりもさらに天気が良い。
赤石川の沢登りも今日が最終日。
今日は泊り沢を遡行し、二ッ森の登山口である945m地点まで登る行程だ。

泊り沢の出合いは釜を持ったプチゴルジュ。


ここから先は両岸が狭まってV字谷の様相となる。




これまでの河原歩きから一転、小滝が続くようになる。








しばらく行くと突然巨大な滝が現れる。


25m滝だ。

これはさすがに登れないので、左岸のルンゼから高巻く。
下から見ると傾斜もなく簡単に巻けると思いロープを出さずに行ったところ、途中で行き詰まり結局ロープを出すことに。

ルンゼを20mほど登ったところから左にトラバースして尾根を乗っ越し沢に戻った。


ルートファインディングをミスってこの滝の高巻きに1時間も要してしまった。

25m滝の次は樋状の15m滝。


ここは右側を快適に登っていける。


この滝の上はナメ滝となっておりきれいな景観をなしている。


ここから先は困難な滝もなくぐんぐん高度を上げていく。

やがて740mの二俣となり、二ッ森の登山口へ続く尾根をめざし右俣に入る。


水涸れ地点で水を汲んで最後の詰めに入る。


ここから先分岐点がたくさん出てくるものの、できるだけ二ッ森登山口から離れないように分岐を進んでいく。
最後のちょっとした急登を登ると登山口へと続く尾根にひょっこり出た。


ここから登山口のある945m地点に向けて藪を漕いで行く。
ところどころに作業用なのかトラロープが付けられていて、そのトラロープを頼って尾根を登る。
藪はそれほど濃くはなく30分ほどで945m地点に到着した。


目の前にアスファルト舗装された青秋林道の終点が見え、ここで赤石川の遡行が終了したことを知る。




白神山地にどっぷりと浸り、酒を呑み、星を見て、楽しい楽しい3日間だった。
天気にも恵まれ本当に素晴らしい沢登りだった。

最後にみんなで記念撮影。


充実の表情。
一緒に遡行してくれたみなさんに感謝です。

しかし、沢登りはまだ終わっていない。
実はここから青秋林道の起点となるビジターセンターまで地獄の15㎞の林道歩きが待っているのだ。

本来は、ここから自分が八森駅までランニングで走って、五能線で東能代駅まで移動した後、レンタカーを借りて、再び二ッ森登山口にみなさんを迎えに行くという計画だった。
ところが、出発当日にふと気になってビジターセンターに道路状況を確認したところ、青秋林道の途中が崩壊し、現在工事中なので通行止めになっているとか。

むむむ、これまでHPを見ていたけどそんなこと書いてなかったぞ。
電話で応対してくれた人いわく、「HPを更新するのを忘れていました」とか。。。
いや~、それはないでしょ、と思いつつもこればかりはどうしようもない。
もう中止にはできないのでみなさんに歩いていただくことになったのだった。
入渓地点側の林道についてはダートのため2度ほど電話をして道路状況を確認していたのだが、二ッ森の道路については完全に確認を怠っていた。

ただ、今日中にレンタカーを借りるためには、最寄りの八森駅15:45発の五能線が最終電車になる。
現在の時刻11時半。
私とUくんで先発して先に駅まで歩くことにした。

白神山地に別れを告げ青秋林道をひたすら歩く。


途中途中で見える白神の峰々が素晴らしい。


遠くには日本海まで見渡せ山奥にいることを実感する。
と同時に、この山奥から抜けてあの日本海まで歩かなくてはならないのである。

幸い木陰の中を歩く時間が長く体力的にはそれほど消耗せずに歩くことができた。

途中崩壊箇所を確認しつつ通行止めゲートを通過し3時間半かけてビジターセンターに到着した。


ここから駅まではあと3㎞、タクシーを呼ぶことも考えたけど、あと3㎞だったら十分間に合いそうなので、ビジターセンターに荷物を置かせてもらい空身で歩くことにした。

歩き始めて数分後、後ろから来た軽トラックのおじいちゃんに声をかけられる。
なんと駅までだったら荷台に乗って行けとのこと。

最後の最後に最高のフィナーレが待っていた。
白神山地の神様もなかなかやるじゃあないか。
東北の人たちの優しさに触れた瞬間だった。

八森駅までおじいちゃんに乗せてもらい電車を待つ。


目の前には日本海が広がり素晴らしいロケーション。


田舎感がハンパない。

駅の待合室にいたおばさんが電話をかけていたんだけど、声がでかいもんだから否応なく会話が耳に入ってくる。

会話の一部だけど、

今日は息子と孫?が帰省で帰ってくるっぺ、仏壇のお供え物やお小遣いを用意しといてけろ。

という内容だった。

東北なまりでほっこりする会話だった。

乗り鉄であれば必ず乗るであろう五能線に乗って東能代駅へ。


ちょうど盆の時期と重なり、同時に到着した奥羽本線から帰省と思われる人たちがたくさん降りてきて駅は大混雑だった。

予約していたレンタカーを借りて再びビジターセンターへ。

ニシさん、Nさんと無事合流し、赤石川の沢登りは終了となった。

この後、お楽しみの不老不死温泉に行こうと思っていたんだけど、営業時間が終了していたため、ウェスパ椿山で温泉に入る。

この温泉も眼下に海が広がる半露天風呂からの展望がすばらしかった。

夜は道の駅深浦で下山祝い。


充実した沢登りができた満足感と楽しい仲間とおいしいお酒を呑んで最高の宴会となった。

翌朝は念願の不老不死温泉へ。


朝一番で行ったおかげで最初は貸し切りの露天風呂を満喫。


目の前に海が広がり解放感は抜群。
天気も良く、締めくくりも最高だった。

この後赤石川の林道起点まで移動して車を無事回収。
弘前駅前でレンタカーを返して埼玉まで650kmをひた走り無事に山行を終えることができた。

赤石川は想像していた通り素晴らしい沢だった。
記録を探してみると、途中の尾根を乗っ越して赤石川の中間部のみを遡行している記録はあるけど、林道起点から二ッ森登山口まで遡行している記録はなかなか見つからなかった。
これは、沢までのアプローチとその後の車の回収に時間がかかることが原因だと思われる。
ただ、それを差し引いても行く価値のある沢だと思う。
おかげで人が入らず、静かな沢歩きが楽しめるのだけど。

またいつの日か白神山地の沢に遊びに行きたいと思う。

白神山地赤石川(2日目)

2018年08月11日 | 東北地方の沢
(コースタイム)
滝川出合(6:50)~魚止の滝(11:40)~泊り沢出合(13:30)

宴会後河原で寝ていたところ、夜半に突然雨が降り始めタープに移動。
ただ、朝起きることには雨も止んで青空が広がっていた。

2日目は滝川から泊り沢の出合までの行程。

今日も広い河原を渡渉しながら進んでいく。






出合いに滝のあるヤナダケ沢出合い


今日も沢の水は美しく、悠々とイワナが泳いでいるのが丸見え。










左岸にノロノ沢が出合うと小滝が出てきてちょっとしたゴルジュとなる。






これまでずっと河原歩きだったところにゴルジュが出てきてちょっとうれしい。

ゴルジュを抜けて、左岸から出合う滝ヶ嵓沢やヨネジャの沢を見つつ進んでいく。






それにしても、支流の沢の名前がおもしろい。
おそらくマタギがつけたんだろうけど、そのネーミングセンスが素晴らしい。
こういった沢の名前の由来に思いを馳せるのも沢登りの楽しみの一つだ。

ヨネジャの沢を過ぎてしばらく行くと、目の前に突然大きな滝が現れる。


これが魚止めの滝だ。

それにしても立派な滝だ。
広い河原歩きが続く中で突然の大滝の登場にみな大興奮。

滝を登る前にみんなで記念撮影。


ここはロープを出して滝の左側をUくんがトップで登る。




滝を越えると小滝が続き、右岸から石の小屋場の沢が出合う。


ちなみに魚止めの滝を越えてもまだまだ魚影は濃い。
“魚止め”という名は過去のものなのかもしれない。

石の小屋場の沢から少し行くと今日のビバーク地の泊り沢出合いに到着した。

出合いの両岸にビバーク適地があり、河原に近い左岸にタープを張った。

今日も天気が良く、満点の星空のもと白神山地の懐に抱かれ盛大な宴会を楽しんだ。

白神山地赤石川(1日目)

2018年08月10日 | 東北地方の沢
(コースタイム)
乱岩沢橋駐車スペース(8:00)~取水ダム(10:00)~滝川出合(13:50)


念願の白神山地、赤石川に沢登りに行ってきました。

赤石川は学生時代に読んだ日本百名谷の一つに挙げられていて、昔からいつか行きたいと思っていた憧れの名溪。
これまで2度計画したもののいずれも天気が悪くて中止に。
3度目の正直でようやく行くことができました。


今回のメンバーは山仲間のニシさん、Uくん、Nさん。
東川口を12時に出発、東北道をひた走り大鰐弘前ICに20時到着。
インター近くのマックスバリューで入山祝いの宴会グッズを購入し、津軽白神湖の近くの駐車スペース泊。
明日からの入渓を祝してみんなで乾杯。


憧れの赤石川に入渓できることへのワクワク感でテンションが上がる。

翌朝は県道28号を走って赤石ダムへと至る林道の起点へ。
本来であれば、日本海側の深浦町岩崎からタクシーで入渓したいところだったけど、林道が一部崩壊のため修復作業中ということで通行止め。
やむなく弘前側から入ることになった。

アクアグリーンビレッジANMONから先のダートを50分ほど走りスタート地点に到着。




ここに車を置いて赤石ダムまでは林道歩きだ。

ちなみに、白神山地は世界遺産のため、核心地域に入る場合は森林管理署に入山届を出さなければならない。
出さなくてもばれないでしょ、と思いきや、10年前に追良瀬川に沢登りに行ったときは、沢の中で監視員に遭い入山届の提出状況を確認された。
なので、白神山地に沢登りに行く際には必ず手続きをしましょう。

赤石ダムまでは単調な林道歩き。


2時間ほど歩くと林道は終点となり赤石ダムに到着する。




よくまぁこんな山奥にダムを造ったもんだと感心するのと同時に、果たしてこのダムは必要なのだろうか?という疑問も湧いてくる。

ここで入渓準備を整え赤石川に降り立つ。




赤石ダムからは左岸に明瞭な巻道がついていて、その巻道に沿って歩いていく。
ところどころトラロープもついている。

しばらく行くと巻道も終わりとなり、いよいよ赤石川の遡行が始まる。




赤石川自体は困難な滝や厳しい渡渉があるわけではなく、その多くは河原歩きだ。
しかし、アプローチに手間がかかることからか入渓者は少なく人臭さがない。
また、手つかずのブナの原生林を五感で感じながらの遡行はそれだけで気分は最高だ。








こういった山奥の人の気配が少ない沢を登るのは気持ちがいい。

落ち口に滝のある岩淵沢出合い。




休憩をとりつつゆっくりと遡る。


そこかしこでイワナが弾丸のように泳ぎ回り白神山地はイワナの天国だ。

しばらく行くと赤褐色の大岩壁が見えてきた。


高さ30mはあるだろうか。
でも壁はもろくて登れそうにはなかった。

ここを過ぎると今日のビバーク地点の滝川出合いに到着した。


滝川出合の右岸にビバーク適地があり、そこにタープを張る。


ふとブナの木を見上げると謎の装置が木に付けられていた。


世界遺産の核心地域なだけに、不正がないか監視しているのか??
ちょっと気味が悪いけど気にしないことにした。

夜は皆で担ぎ上げたお酒で乾杯。
遠い北の山奥で宴会を楽しみつつ夜は更けていった。

石筵川沢登り

2018年05月20日 | 東北地方の沢
山仲間のニシさん、昭和山岳会のTさん、Sさん夫妻の5人で今シーズン最初の沢登りに行ってきました。

場所は安達太良山を水源とする石筵川。
安達太良山には夏と冬に計3回登ったことがあるけど、ここに沢登りのできる沢があるなんて知らなかった。
安達太良山に違うアプローチで登れることに行く前からワクワク感でいっぱい。

石筵川は安達太良山の南西面を流れる沢。
入渓は磐梯熱海ICから30分ほどのところにあるふれあい牧場先の登山口。


ここでSさん夫妻と合流し出発準備。
今回は沢中一泊の行程でゆっくりと登る計画。

登山口から銚子ヶ滝へと続く道を下って行き入渓地点へ。


ここから遡行開始。


前日までの天気予報では雨マークだったのが来てみると天気は晴れ。
上空では強風が吹き荒れているものの沢の中は平穏。
難しいところもなく新緑の中、快適に遡行していく。


しばらく行くとこの沢最初で最後の核心10m2段滝。


1段目が悪いのでロープを出して通過。

2段目は水流の右側を登る。


この滝を超えると長いナメが現れる。






とってもきれい。

思っていた以上にステキな沢だ。

この先も休憩を交えながら登って行き、1,200m付近でビバーク。

テント設営後、焚火を囲みながらTさんが釣ったイワナと途中で採取した山菜などで宴会。


しかし、夜になるにつれて気温が低下。

焚火をしているものの、あまりの寒さにコップを持つ手が震えるほどに。
焚火宴会はお開きにしてテントに移動して再び宴会開始。

Sさん夫妻の楽しいお話を聞きながら10時ごろ就寝。

翌朝起きてテントから顔出すと、白いものがちらほら。
まさかの雪!?と思ったら、本当に雪が降っていた。

ほんの少しだったけど、沢登りで初めて雪が降るのを目撃した。

朝ごはんを食べて7時出発。

幸いにも、出発のころには雪も止み青空が見えてきた。


石筵川はこの後も難しいところはなく適度な滝を越えながら遡行していく。


10m幅広滝。




1,380地点の二俣。


ここは左俣の本流を行く。

段々と標高を上げていくと安達太良山の山頂が見えてきた。


山頂にはものすごい数の人。

安達太良山ってこんなに人気の山だったっけ。

途中からは雪渓も出てきて歩きやすい。




雪渓の上を歩くニシさん。




かっこいい。

最後のツメを登り




このまま藪漕ぎもなく安達太良山へと続く稜線にひょっこり出た。

稜線からは大展望。

遠くには雪をかぶった飯豊連峰の姿が。


あぁ、また飯豊に行きたいぜ。

眼下には火山口。


登ってきた石筵川源頭部。


天気はほぼ快晴で素晴らしい景色を堪能。

せっかくなのでみんなで山頂で記念撮影。


楽しい沢登りでした。

少し休憩して下山開始。

当初は安達太良山山頂を経由して下山することも考えていたけど、こちらのルートだと船明神山ルートと比べると1時間半近く余計にかかることに。

皆さんの意見で船明神山ルートで下山することに決定。
ちょっと残念。

この後は登山口までひたすら下山。

新緑の中、春ゼミの鳴き声を聞きながら歩くのは気持ちがいい。

最後は牧場に出て駐車場到着。


昨日は我々の車しかなかったのに今日は10台近くの車が止まっていた。
みんな安達太良山登山者なのかな、さすが日本百名山。

今シーズン最初の沢登りは最高のスタートだった。

8月に白神山地に行くので、それまでにもう1本は沢に行っておきたいな。

八久和川中俣沢(4日目)

2016年08月13日 | 東北地方の沢
夜半、いびきのハーモニーで目が覚めてしまい、眠ろうにも眠れない。

夜風に当たろうと思って外に出たところものすごい数の星空。
時間は2時、月も沈んだようでまさに満天の星空。

これはピークに行ったらさらに星が見えるんじゃない!?と思い立ち、小屋から15分ほどのところにある三方境まで行ってみることにした。

ヘッテンを付けてせっせと登り三方境に到着。
そこには想像以上の星空が待っていた。

近くの岩の上に寝っころがり星を眺める。
山が深く街の明かりが届かないせいかものすごい数の星。
もちろん天の川も丸見え。
さらに流星群が来ているわけでもないのに流れ星がヒュンヒュン見える。
最高に贅沢な時間。

30分ほど星を眺めてまったり過ごす。
この景色を写真に撮れないのが残念。

風が出てきて寒くなってきたので小屋に戻って寝ることにした。

そんなこんなで朝を迎え、


朝飯を食って出発準備。

出発前に小屋前で記念撮影。


これから以東岳を越えて泡滝ダムまで下ります。

天気は快晴でこれ以上ないという天気。
これから向かう以東岳。


向かって右手には遠く月山が望める。


左手には日本海と村上市街も見渡せる。


すばらしい稜線漫歩のトレイルだ。
朝日連峰は縦走するだけでも最高のルートです。

そして登山道脇は高山植物が咲き乱れている。








以東岳へと続く登山道。






あぁ〜、気持ち良すぎ!

大朝日岳へと続く稜線をバックに最後の登りを歩くU君。


以東岳到着。


山頂からは360度の大展望。

こちらはこれから下る大鳥池。


幻の怪魚、タキタロウ伝説の残るロマンあふれる池だ。

以東岳山頂から庄内交通に電話してタクシーの配車完了。

ここからは下山パワー全開で一気に下る。

大鳥池を通過し、


さらに下ってゴール地点の泡滝ダムに到着した。


タクシーもすでに待機していてくれて、八久和ダムまですぐに移動して車を無事回収。
泡滝ダムから八久和ダムまで9,240円だった。

車の回収が夕方になったら翌日に帰ろうと思っていたけど、まだ12時半。
今日中に帰れそうなので、そのまま帰ることにした。
この後、西川町の温泉に入って、寒河江市内のとんかつ屋でたらふく飯を食べて高速を飛ばして関東に帰りました。

(総括)
久々に5級の沢に来たけど、やはり5級だけあって内容の濃い沢登りだった。
今回は天気、水量、水温ともに条件に恵まれたので、グレードとしては少し下がったかもしれないけど、それでも泳ぎ、徒渉、滝の登攀、高巻きのルートファインディングと総合力が試される沢だった。
今回は2人で足並み揃えて進めたのでロープワークの時間ロスも比較的少なく予定通り3泊4日で抜けることができた。
ロープを出すか出さないかでかなり時間は変わってくると思う。
今回はお互いの都合で3泊4日の行程にしたけど、時間があるなら4泊5日でゆっくり遡行した方が楽しいと思います。
思い描いていた通り、八久和川は超オススメの沢の1つです!

(コースタイム)
狐穴小屋(6:20)〜以東岳(8:00)〜大鳥池(9:30)〜泡滝ダム(11:30)

八久和川中俣沢(3日目)

2016年08月12日 | 東北地方の沢
なんだかんだでヤブ蚊の集団に襲われ続け、4時に起きて焚き火を起こす。

今日は一気に狐穴小屋まで抜ける日。
準備を整えて6時半出発。

出発してすぐに岩屋沢の出合を過ぎる。


ここは天狗角力取山へと続く登山道が通っていて、貴重なエスケープルート。

平凡な河原を過ぎてゴルジュに入るとすぐにオツボ沢出合。


オツボ沢は豪快な2段の滝で出合っていて、この先もゴルジュが続く。

水線沿いに泳いで突破。


続くゴルジュも泳ぐ。


ゴルジュの出口にある滝は右岸から簡単に越えられた。


この後も小さなゴルジュをいくつか泳いで通過して、




コマス滝。


ゴルジュの奥にあるので見えないけど、これは登れないよなぁ。

少し戻ったところのウシ沢から高巻く。


コマス滝を抜けるとビバークできそうな河原が出てきて、


しばらく行くと呂滝。


呂滝は登れないので右岸から高巻く。


高巻いた後に出合う湯ノ沢の先にある滝。


ここは泳いで取り付いて登れそうな気もしたけど、湯ノ沢から巻くことにした。

滝上からの景色。


このあたりからはかなり開けてきて、太陽に反射した沢がものすごくきれい。






西俣沢の出合を過ぎて、


東俣沢との出合。


ここから中俣沢の遡行が始まる。

中俣沢に入ると滝の連続。








ぐんぐん高度を上げていく。

中俣沢に入って最初に出てくる大きい滝がこの12m滝。


直登は難しそうなので左岸の壁から高巻く。
高度感もあり、結構いやらしいのでロープを出して通過。


適度な滝を登って行くと8m滝。


ここも直登はできないと判断し、少し戻ったところの沢筋から巻く。
出だしと上部のトラバースが悪いので2Pロープを出し沢に戻る。
この滝の高巻きで40分ほどかかってしまった。

この先も3〜5mくらいの直登できる滝が次々出てくる。






適度な滝を越えて5m滝。


この滝自体は登れるのだが、この先の15mの滝は登れないので少し戻ったところの斜面から大高巻き。

高巻き途中から見た15m滝。


確かにあれは登れない。

ここの高巻きも尾根を越えるまでのトラバースが悪くてロープを出す。
逆層スラブの草付きがツルツルに滑ってかなり怖かった。
たぶんもっと上から巻けば簡単だったと思う。
尾根を越えて沢に戻ると1時間以上も時間を費やしてしまった。
ここはルートファインディングの差が出るところだ。

沢に戻った時点で時間は16時。
この先進むか途中でビバークするかU君と相談。
ここでビバークするくらいなら小屋まで行きましょう!
ということで、頑張って小屋まで行くことにした。

少し進むと、上部の連瀑帯が遠くに見えてきた。


なんかすごい角度で滝が上に続いてるけど、登れるのか!?ちょっと不安になる。

連瀑帯に突入。


この滝は登れないので右の草付きから一気に全部巻く。


この滝は右から空身で登って越える。


見た目以上に悪くて怖かった。

振り返れば越えてきた八久和の谷が良く見える。


そして連瀑帯最後の滝。


この滝を越えると核心は終了。
一気に源頭の雰囲気となる。


稜線の草原に反射する夕陽がとてもきれい。


藪漕ぎのない草原の詰めを上がっていくと、




ひょっこり狐穴小屋の前に出た。


長かった八久和川の遡行が終わった瞬間。
U君とガッチリ握手をしてこれまでの労をねぎらう。

小屋前からはちょうど夕陽が沈む瞬間を拝めた。


狐穴小屋はお盆ということだけあって、超満員。
小屋の外で寝ることも覚悟したが、小屋の管理人さんがうまくスペースを作ってくれて、小屋で寝ることができた。
感謝。

小屋前のベンチで、残っていたつまみや食料を大量に消費してプチ打ち上げ。

遡行が終わった満足感に浸りながら眠りについた。

(コースタイム)
岩屋沢出合手前(6:30)〜オツボ沢出合(7:00)〜呂滝(8:50)〜中俣沢出合(10:30)〜15m滝大高巻き(14:10)〜高巻き終了(15:30)〜連瀑帯入口(16:10)〜狐穴小屋(18:30)

八久和川中俣沢(2日目)

2016年08月11日 | 東北地方の沢
夜半、シュラフの入り口も閉めて完全防備をしたはずが、数匹のヤブ蚊がシュラフ内に侵入し格闘。
早めに起きて焚き火を起こす。

今日はカクネ沢出合から岩屋沢までの行程。
テン場から上流方面に藪を漕ぎつつ沢筋から本流に戻る。

栃ノ木沢までは川幅の広い河原が続く。




最高の開放感。
天気も快晴でジャブジャブ進んでいく。

途中、熊さんの足跡を発見。


隣にはできたてほやほやのウンチも発見。
これにはさすがに2人でビビり、大声で叫んで存在をアピール。
こんなところで熊に遭遇したくない。

長沢、芝倉沢を通過し、この先も泳ぎ、胸までの徒渉を繰り返しながら進んでいく。




栃ノ木沢手前のビバーク適地。


薪もたくさんあってなかなかの立地。

この後も泳ぎや徒渉が続くが、エメラルドグリーンの水がきれいすぎるのと、上部に雪渓がないせいか水温が高くて気持ちいい。






小国沢出合。


プールになっていて水の色が美しい。

小国沢から先、開放感のあるゴルジュをいくつか抜け、




大岩壁を右手に見つつ進んでいくと


茶畑沢、戸立沢出合。


ここの出合は立派な滝が目印。


この先すぐのところにある大ハグラ滝。


滝というほどのものではなくいつの間にか越えていた。

大ハグラ滝の先にある大きな淵を持ったゴルジュ。


上から見たゴルジュ内部。


透明すぎて深さが分からない。

岩伝いには途中までしか行けないので泳ぐ。
ザックを背負っていったら水流が強くて戻されてしまったので、再度空身で突破。

ザックとU君をロープで引っ張る。


この先もきれいなゴルジュが続くが難なく通過。




平七沢出合到着。


時間も14時を過ぎていたので、この辺りでビバークしようと思ったけど明日の行程を考えもう少し進むことに。


30分ほど歩いたところにある岩屋沢手前の左岸にステキなビバーク適地を見つけて、ここで泊まることにした。

タープをセットして釣りに行こうと思っていたら、なんと上流から人が歩いてきた。

話を聞くと天狗角力取山から登山道を使って釣りをしに来たみたい。
岩屋沢出合にベースを張って3日間釣りをするとか。
確かに天狗角力取山に抜ける登山道がこの先にあるんだけど、実際に下ってくる人がいると思わなかったのでビックリした。

そんなこんなで釣りを始めたのは4時過ぎ。
釣り師の方の話だと今年は上部に雪渓がなくて水温が高いからイワナが水面まで上がってこないらしい。
支流の方が釣れるよ、という話なので岩屋まで行って釣り開始。
昨日のような入れ食い状態ではなく、1時間で1匹しか釣れなかった。

貴重な1匹を今日は刺身にしていただく。




山の恵みに感謝です。

この後も盛大な焚き火で、U君の持ってきた厚切りベーコンやチーズやソーセージやらを焼きながら酒を飲みつつ夜は更けていった。


(コースタイム)
カクネ沢出合(7:00)〜茶畑沢出合(10:30)〜平七沢出合(14:20)〜岩屋沢出合手前(15:00)

八久和川中俣沢(1日目)

2016年08月10日 | 東北地方の沢
憧れの名渓、八久和川に行ってきました。
八久和川は朝日連峰の三方境を源頭に八久和ダムまで約23kmの流程を誇る長大な沢。
今は絶版になってしまった"関東周辺の沢"でこの沢の記録を見て以来、いつか遡行してやるぞー、と思っていた。
今回、山の後輩のU君を誘ったところ、ぜひ行きましょう!ということでお互い休みを調整して行くことができました。

東川口駅を19時半出発、八久和ダムに2時到着。
高安沢手前の駐車スペースで仮眠。

朝5時起床7時出発。


車は高安沢の少し先まで入ることができた。

天気は晴れ。
事前の天気予報だとここ一週間は天気が安定しているということなので、雨の心配はなし。

スタート地点からしばらく登山道が続くものの、藪が生い茂ってる。
朝露で歩くこと数分でびしょ濡れ。
自分はすでに沢履なので問題なかったけど、U君は登山靴だったので履き替えるはめに。

1時間ほどでムカゲ沢の出合に到着。


この先フタマツ沢まで踏み跡が付いてるらしいけど、途中で踏み跡は消えて藪漕ぎに。
かなり高い位置まで巻いているのと、アブの襲撃に嫌気がさして途中で沢に降りることにした。

ちょっと崖になっていたので懸垂で沢に降りる。


フタマツ沢までの踏み跡は顕著なはずなんだけど、どこで間違えたんだろう。。

でもようやく沢歩きができる喜びの方が大きい。
いよいよ八久和川の遡行が始まる。


いきなり泳ぎが出てきてこの先のワクワク感がハンパない。

序盤から泳ぎ、スクラム徒渉、ヘツリと沢の要素満載の遡行が続く。








11時半にフタマツ沢出合に到着。


この先もゴルジュを泳いだりヘツッたりしながら進む。








14時にカクネ沢出合に到着。


今日は、もう少し先の芝倉沢まで行きたかったけど、釣りをしたかったのでここまでとする。

カクネ沢に入ってすぐの左岸台地にビバーク適地があったのでそこで泊まることにした。
ちなみにここは森の中で水場は遠いし虫の数もすごくて、河原でビバークしなかったことをちょっと後悔した。
天気が安定しているなら河原のビバークをオススメします。

タープを張って寝床完成。

今日の食料を調達するため釣り開始。
カクネ沢を少し登ったところで釣りを始めたら、あれよあれよと1時間で4匹も釣れてしまった。


思わずドヤ顔。


2人で食べる分だけあれば十分なので釣りはこれで終了。

テン場に持ち帰って、塩焼きと唐揚げと骨酒のフルコースで山の恵みを堪能した。






初日から最高のスタートです。

(コースタイム)
高安沢駐車スペース(7:00)〜ムカゲ沢(8:40)〜フタマツ沢(11:45)〜カクネ沢(14:20)

桃洞沢~赤水沢下降

2015年09月22日 | 東北地方の沢
前々から気になっていた桃洞沢に行ってきた。
桃洞沢は秋田県の森吉山塊にあるひたすらナメが続くという天国のような沢。

週末にフルマラソンがあるから行くかどうか迷っていたけど、天気予報を見ると降水確率なんと0%!!
ここ最近雨続きで全然晴れなかったし、このチャンスを逃すと一生行けないかもしれない。
行って後悔するのと行かないで後悔するの、これは行くしかないでしょ!

ということで当日朝5時出発。
行きは高速で松尾八幡平インターから下道。
しかし!
なんと太平湖へと続く途中の県道が崩落のため80kmも迂回させられるハメに…
気合の爆走で7時45分にクマゲラ保護センターの駐車場に到着。


ちょっと遅れてしまったけど、今日の行程は短いので焦らず出発。

出発地点のクマゲラ保護センターは営業していないみたい。


ここから桃洞沢と赤水沢との分岐点までノロ川沿いに2.1km。


途中のトロ場ではイワナが悠々と泳いでいる。
しかしここは遊漁禁止なのだ。


てくてく歩いて20分で分岐点。

ここから少し歩くと桃洞横滝。


桃洞横滝は幅広の滝でここからすでにナメが続いていて、期待に胸が膨らむ。

この少し先から入渓。


ナメを遡って、


滝の音が聞こえてきたなぁと思ったら突然目の前に巨大な滝。


これがかの有名な桃洞滝だ。

この滝は沢屋の間ではちょっとしたシンボル的な滝?なのだ。
というのも、今や絶版になってしまった吉川栄一著「ヤマケイ入門&ガイド 沢登り」の中でこのように紹介されているからだ。

「ひとりでも女性がいたら、男は慎重に言葉を選び、この滝をほめねばならない。
桃洞滝は巨大な女性◯器そのものなのである。カミ様もけっこうやるもんだ。」

学生の時この本を読んで、よくまぁ沢登りの本にこんなお下劣なこと書くなぁと思ってたけど、見て納得。
まさにそれなのだ。

ちなみにこの滝までは登山道が整備されていて簡単に行くことができる。
今日も何人か滝見見物に来ていたので写真を撮ってもらった。


さっそく滝を登る。

左岸から簡単に登れる。
記録にある通り滝にステップが切られていたけど使わなくても登れる。
滝上からの眺め。


滝を越えるとひたすらナメ、ナメ、ナメ!






まさに天国。



どこまで行ってもナメが続く。




というよりナメではないところがない。

この滝は左岸から。


いよいよ源頭部。


要所の分岐にはご丁寧に赤テープが付いていて迷うことはない。




せっかくなので赤テープを全部回収しようと思ったけど多すぎてやめた。
沢登りはフートファインティングも一つの楽しみなのでこういうことはやめてほしい。

ということで迷うことなく赤水沢の源頭部へ。


赤テープなくても踏み跡がはっきりしているので問題ない。

赤水沢も源頭部からナメ。
まるで舗装された道路のよう。


本流に合流。


ここまで約2時間半。
ここでおにぎりを食べつつ小休止。


天気も良くて最高の気分だ。

ここから先もひたすらナメ。






いくつか小滝も出てくるがロープなしで下れるし、要所要所にはボルトが打たれているので懸垂下降の支点も問題ない。






これが2段10m滝。


問題なく下れる。

そして核心の兎滝。


記録だと左岸を懸垂しているようだが、見渡してみるとそれほど傾斜もなくアクアステルスなら問題なく下れそう。

ということで左岸の滝の中段まで下って、そこから右岸にトラバースして下ったら難なく下りれた。

赤水沢のハイライトはここで終了。
結局ロープは1度も使わなかった。

この後もひたすら続くきれいなナメを歩いて、








赤水峠へと続く沢に合流。

そこから40分ほどで桃洞沢との合流地点に着いた。




ここで小休止。
今回はマッサマンカレーとプレーンおにぎりを用意してきたので一緒に混ぜて食べたら、タイカレー風になってすごいおいしかった。


今度また試してみよう。

ここからは来た道をてくてく歩いて駐車場に戻った。

桃洞沢は人がたくさん入っている分秘境感は感じられないけど、すごくきれいで素晴らしい沢だった。
紅葉の時季に行ったらさらにきれいなんだろうな。


帰りは森吉山荘の温泉に立ち寄る。


入浴後休憩室で休んでいたら地元のおばちゃんたちが話していた。
東北の方言マニアとしてはこのチャンスを逃すまいと会話を聞いていたが、本場の秋田弁はすさまじく、会話の1%も理解できなかった。
同じ日本人なのにまるで違う言葉だな。
でも、こういうローカル感がたまらなく好きだ。

(コースタイム)
クマゲラ保護センター(8:10)~桃洞滝(8:55)~赤水沢源頭(10:25)~赤水沢本流(10:40)~兎滝(11:05)~赤水沢桃洞沢分岐(12:20)~休憩(15)~クマゲラ保護センター(13:00)

葛根田川~明通沢(2日目)

2015年08月17日 | 東北地方の沢
朝、某大学ワンゲル部が3時ごろからガサゴソ動いていたので起きてしまった。

寝付けなかったので焚き火を起こしてまったりする。

ワンゲル部は5時前に出発していった、早すぎでしょ。

準備を整えて6時出発。
今日は前回遡行した北ノ又沢左俣から八瀬森山荘に抜けるのではなく、右俣からそのまま大白森を抜けて明通沢から最短ルートで下降する。

テン場からすぐに二俣。


ここから右俣に入る。。

すると、すぐに大滝。


ここは右岸から高巻く。
踏み跡がなくてけっこう藪漕ぎ。

あとで記録を見てみると右側から直登している記録があった。

でも空身で登ったりと結構大変そうなので自信のある人はどうぞ。
途中でプロテクションが取れなさそうなのでかなり怖そう。

高巻きから降りたところで5mほどの滝。


ここは倒木を利用して右から登る。

この先はキレイなナメや小滝が続く。






右岸からのキレイなスラブ滝。


この滝を過ぎると5mほどのナメ滝。


そして15mほどの滝。


傾斜はないけど念のためロープを出す。




左側を快適に登れる。

この先も登れる小滝やナメが続く。










そして源頭となり藪に入る。


なるべく藪漕ぎにならないように沢筋を進んで行き、少しの藪漕ぎで湿原に出た。


これが大白森なのかな。
なんかもっとでかい湿原をイメージしてたんだけど。

現在地にイマイチ自信がないので、一旦登山道に抜けることにした。

しかし、ここからの藪漕ぎがひどかった。
登山道にすぐ出るかと思ったけど、背丈以上のネマガリタケに悪戦苦闘。
地形図を見ると直線距離で100mもないはずなんだけどなかなか登山道に着かない。

コンパスで方角を確かめながら藪漕ぎすること50分。
ようやく登山道に到着。


いや~疲れたわ。。

少し休憩して明通沢の降り口まで移動。


高度計で1300m地点から藪に突入し、30分ほどで沢筋に。

ひたすら下っていくと沢筋も発達してきて水量が増えてきた。

明通沢は本流に合流するまでに4回ほど懸垂。




15mくらいの滝の懸垂もあった。


本流に合流。


あとは難しいところもなくキレイなナメ床の沢を下っていく。




やがて橋に突き当たり、ここからは廃道をひたすら歩いて地熱発電所の駐車スペースへと戻った。


このあと雫石プリンスホテルで風呂に入って、岩手大学生御用達の激盛りの店で飯を食って夏休みが終わった。



今回の反省点は葛根田川は超有名な沢なので右俣も簡単だろうと勝手に思っていたこと。
事前に何も調べないで地形図だけで行ったら滝はけっこう出てくるしルートファインディングも渋くて藪漕ぎたくさんしちゃったしでなかなか厳しい山行になってしまった。
ちゃんと調べていたらもうちょっと余裕をもって行けたかも。
初心者のシゲタには藪漕ぎでかなり苦労させてしまって申し訳なかった。
これに懲りずにまた沢に行ってほしいな。

東北まで遊びに来てくれた後輩に感謝!