大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

小説学校時代 18『屋上』

2020-06-19 06:16:48 | エッセー

 18

『屋上』     

 

 

 ラノベやアニメで屋上がよく出てきます。

 

 お昼ご飯を食べたり、友だちと語らったり、時にはカレやカノジョの告白の舞台になったりします。

 ラブライブや続編のラブライブ!サンシャイン!!では、ミューズやアクアのレッスン場になっていました。

 学園物を描くには欠くべからざるロケーションです。

 

 でも。じっさい、学校の屋上と言うのはどうなんでしょう?

 

 屋上に通じる階段は大抵閉鎖されてはいませんか?

 青空天井で突き抜けているように思えますが、学校の生活空間からは切り離された、ほとんど死角と言って場所で、不慮の事故が起こったり、問題行動が起こったりしないために、日ごろは鍵が掛けられているのではと思います。

 屋上への階段そのものを最上階から上を鉄格子などで閉鎖している学校も多いでしょう。

 学校と言うのは弱い立場に立たされるもので、いったん事故や事件が起こると悪さをした生徒たちよりも学校が糾弾されます。生徒たちも、あまり屋上を使おうという発想がないのか、昔の高校生ほど屋上の開放感に魅力を感じないのか「屋上を使わせろ!」という声は上がりません。

 この屋上に目を付けた部活がいくつかあります。

 

 ダンス部

 近年、高校の部活はダンス部と軽音の人気が高いようです、他に伝統的なパフォーマンス系ではブラバンも入るでしょう。

 ダンス部は盛んなところだと部員が百人前後になります。

 百人が自由に踊れるところは、学校と言えどそうはありません。

 グラウンドは運動部に優先的な使用権があり、他の部活が専有的に利用することはできません。

 ボールが飛んできたりの危険もあるし、他の部活の騒音もあって集中することが難しい。体育館のフロアも同じ理由で、特別な大会前などに体育科や運動部を拝み倒して数時間使うのがやっとです。

 

 演劇部

 マイナーな部活なので、普段は人の意識にも上らないのだけれど、屋上を使用した方がいい部活であります。

 コンクールなどで使うステージは学校の舞台の倍くらいの広さがあります(とくに奥行き)。

 芝居は、本番と同じ広さを確保してやらないとうまくいきません。

 考えても分かると思うのですが、野球部やサッカー部がテニスコートほどの広さしかないところで練習していて、本番にちゃんとしたプレイができるわけがありません。

 ところが、演劇部自身が「え、そうなんだ?」というところがあって、狭い教室や間尺が合わない視聴覚室でやってしまい、本番の舞台で「タイミングが合わない」「とちってしまった」ということが多いように思うのですが、どうでしょう。

 

 屋上は、章を改めて続きを書きたいと思います。

 

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あたしのあした・27『ギャラクシースペシャル』

2020-06-19 06:00:27 | ノベル2

・27
『ギャラクシースペシャル』
      

 

 

 それは超特大のキャンピングカーだった。

「えーー、こんなの持ってきたの!?」

 呼んだ智満子自身が驚いた。

 ドッヒャーーーーーーーー!!

 あたしらは、バカみたいに大口開けて驚くだけだ。

「バスは車検中で、これしかなかったんです。御辛抱ください、お嬢様」
 運転席から下りてきたのは横田家の女執事の手島さんだ。あいかわらずの執事コスが板についている。
「普通じゃないとは思ってたけど、智満子んっちって……」
 ネッチがポツリと言って、みんなのため息が続いた。
「アハ、アハハハ、あたしんちブルジョアだから……家はね、家だよ、あたしは普通なんだから、アハハ」
 智満子の苦しい謙遜は、ちっとも嫌味じゃないんだけど、みんなは素直に圧倒されている。
 智満子は偉そうにはするけども、自分ちがブルジョアであることで傘に着ようとは思っていない。こないだ家まで行った時に強く感じたことだ。
「あたし、大型免許持ってないから、こんなの運転できないわよ!」
 萌恵ちゃん先生が、聞かれたわけでもないのにブンブン首を振る。
「大丈夫です、明日からのタヒチアンダンスも、この手島が運転いたしますから」
 シレっと手島さんが言う。

 で、連休の初日、あたしたちは超デラックス大型キャンピングカーに乗って滋賀県の会場を目指している。

 キャンピングカーは、智満子のお父さんが客寄せのために買ったもので全長が16メートルで重さ30トンという戦車並みのガタイだ。
 なんと二階建てで、一階には、豪華なリビングとキッチンやバストイレが完備されている。二階部分はサロンと大きなスィートがあって、サロンの部分はボタン一つで十二人が泊まれるベッドルームに早変わり、一階と合わせると二十人が宿泊可能だ。

「チョー恥ずかしい……」

 智満子は助手席で悶々としていたが手島さんに促されて、最初のインターチェンジでキャビンに戻って来た。
「智満子だって、このキャンピングカーは初めてだったんだよね」
 あたしは智満子をフォローした。
「う、うん。ほんとはお客さんの送迎用のバスのつもりだったんだけどね。こんなのが来るなんて思いもしなかった(^_^;)」
「正確にはキャンピングトレーラーって言うんだよね」
 ネッチがスマホで検索し始めた。
「え、どう違うの?」
 ノエが興味津々。
「えと……牽引する運転部分とキャビンの部分に分かれているのがトレーラーだって……ギャラクシースペシャルって言うらしい……ノエチン、あんたの座ってるソファーだけで三百万円だって」
「ヒエーーーー!」
 ネッチが、みんなが座っているところの値段を言っていくと、そのたびに奇声があがっていく。智満子一人真っ赤な顔をしている。
「あーーなるほど。お客さんに少しでもゴージャスなひとときを過ごしてもらおうってことで会社の備品として買ったんだそーよ。重役さんたちは忙しいんで誰も乗ったことがないんだって」

 ――みなさん、富士山がとてもきれいに見えますよ。二階のサロンに上がってみてください――

 車内放送で手島さんの声がした。

 うっわーーーー!

 サロンに上がるとみんなの声が揃った。
 めったに見られない快晴の空に初冠雪の富士山が、ビックリするような近さでそびえている。
 やっぱ、富士山はゴージャスな山だ。
「富士山は日本人みんなのものなんだよね。昔は特別な人しか登れなかったけど、今は誰でも登れる……思うんだけどさ、智満子のお父さんて、そういう富士山みたいなものになればいいと思って、このキャンピングトレーラーだったけ? 買ったんだと思う。素敵だと思うわよ、智満子さん」
 自然な感想が口をついて出てきた。
 そんなつもりはなかったんだけど、壺にハマるフォローになってしまって、ひとしきりみんな頷いた。

「ありがとう……恵」

 蚊の鳴くような声だったけど、智満子は、しっかり応えてくれた。

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プレリュード・4《豚の星に願いを……》

2020-06-19 05:47:28 | 小説3

・4
《豚の星に願いを……》    



 

 女の子は放っておくと一週間で豚になる。

 一年の保健の時間に、先生に言われて「なに言うとんねん」と思った。
 わたしは、それまで、ずっと標準体重以下でいた。そういう体質だと思っていた。
 
 それが、プレリュードの前半も終わらないうちに、二キロも増えた!

「当たり前や。毎日遅まで寝て起きて、一日三食が四食になって、どこか出かけては食べてばっかり。そらソクラテスでも豚になる」

 亮介(アニキ)は容赦がない。ボーっとしてるだけの大学生だと思っていたけど、ツイート一回分の言葉だけで、わたしの心をえぐる。

 よおおおおおおおおし!!

 一念発起! ジョギングを始めることにした。

 わたしは、形から入るタイプの人間だ。久々の登校日の帰り、ABCマートでジョギングシューズを買うことにした。
 目的を持った行動は人を生き生きさせてくれる。
「お、奈菜、なんかええことでもあるんか?」
 スマホで、ジョギングシューズのあれこれ電車の中で調べていたら、横に担任の北村先生が座ってきた。
 正直たよりない担任だけど、話しはしやすい先生だ。というか、口から生まれてきたような先生で、授業も余談や脱線が多くて、担当科目の日本史は江戸時代までしかいかなかった。
「誰にも聞いてもらえへんで、さきさきいく授業より、歴史の本質を分かってもらえるような授業がええねん」
「ハハ、そうですね」
 賛成してるわけじゃないけど、目的を持ったわたしは機嫌よく返事した。わたしも適当に返事するのは得意だし、師弟で調子のいい話しをながら電車は鶴橋へ。時間調整で、三分ほど止まってると、見るからにアラブ人らしいニイチャンが、メモをお客さんに見せながら英語で聞いている。みんなわからへんいう身振りでシカトしていく。

 アラブのニイチャンが、とうとう前まできた。

「エクスキューズ」だけは分かったけど、あとは全然分からない。
「難波に行こうと思っています。行き先を案内してあげてください」
 知り合いの日本人が書いたんやろ、きれいな字のメモを見せてた。
 この電車は大阪線だから、次の上六が終点。難波へ行こうと思ったら、終点の上六で降りて、トコトコ歩いて地下に潜って、ちょっと複雑。アラブのニイチャンにはややこしいだろう。難波は、同じプラットホームの向こう側の電車に乗ったら、そのまま終点の難波につく。
「カム ウイズ ミー」
 先生はそれだけ言うと、ホームの反対側に。アラブのニイチャンは地獄に仏いう顔であとを着いていった。
「ディスホーム バーンフォー ナンバ ユーテイクネクストトレイン。 ネクストステイション イズ ウエロク エンド ネクスト ニッポンバシ エンド ネクストステイション イズ ナンバ ユーシー?」
「Yes I see verry thankyou!」

 で、めでたく北村先生の中学生並の英語で話しは通じた。偉いもんだと思った。

 人間が行動を起こすいうのは、こういうことかと感心。

 わたしも豚との決別に思いを新たにした!

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