大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ラストスタンド』

2013-04-27 18:19:20 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評 
『ラストスタンド』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです


 うん、そんなに酷くはなかったですね。

 なんせアメリカでBOX OFFICE 1週間で圏外、しかも全米で1000万稼いだかすら怪しい。転けた……どころやない作品、覚悟して見に行ったらまぁ 見られる映画でした。アメリカじゃ 州知事末期の人気の落ち目が映画にも響いたって事でしょうかねぇ……まぁある意味中途半端ではありました。製作費がかかっているやら安上がりなんやらようわからん作りだし、悪党がシュワちゃん相手には小振り過ぎるし、思うにB級扱いされない体裁だけは整えて 本格復帰前のトレーニングって所でしょう。公開まだ未定ですけどターミネーター新作に登場は決定していますし、元々 スタローンみたいに自ら企画を建てる人じゃないんで、誰かに使ってもらわなきゃ出番が無い。シュワちゃんが演技出来ない事をよおく理解した上で持ち味を生かせる作品が必要、過去デビュー以来40本弱 内主演32本でヒット作品8本…当たり確率25%ってのは やっぱり大物…なんでしょうねぇ〓


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『藁の盾/アイアンマン3』

2013-04-26 21:25:15 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『藁の盾/アイアンマン3』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです


☆藁の盾

 とりあえず褒めておきます。 

 三池崇史にしては抑制の効いた画面です。程ほどにサスペンスも利いています……まぁ こんな所。

 細かい指摘ですが、三池崇史は殴る蹴る刃物を振り回す……までの監督やね、作品にチャカ持ち込むなら、銃器専門の監督(出来りゃアメリカ人の)を雇った方が宜しいようで……。
 まず、ピストル訓練で 大沢たかおが照準を定めるのに片目を瞑っている……有り得ない、最近 漸くライフル照準で スコープに目をくっつけるのが無くなってきたのに…信じられん。松嶋菜々子は両目開いているが上体が後ろに傾き過ぎ、それと発射後の反動が嘘っぱち、通常スピードならまだしも わざわざスローモーションにするから…あ~~あ チョンバレ。
 前からフルスロットルで突っ込んで来るタンクローリーに9ミリ弾で何をしたい訳? ケツが滑り落ちそうでしたわいな。タンクの中身がニトログリセリンって……ほんであの程度の爆発ですか…ホ~〓〓  犯人護送中に邪魔される話は色々ありまっさかい まぁ パクリやとは申しませんが、原作は読んで無いんで置いとくとして、映画を見る限り“S,W,A,T,”と“ガントレット”をミックスして 日本的ネットリ感でまとめた作品です。
 それでもええんですが、5人の護衛警官の描き方が表面的過ぎる、犯人/藤原もコントラストが効いていないし、賞金をかける山崎も薄っぺらい。この部分が本作の肝! ここの手抜きは致命的、嗚呼。
 三池崇史の「これまで日本に無かった映画を~」って意気込みは理解するが、アメリカ映画の形だけを真似てもアキマヘン。
 まず、作品から銃器を除きましょう、殴る蹴る斬るが三池崇史の限界だと、まず本人が自覚していただきたい……ナンマンダブ~〓

☆アイアンマン3

 アイアンマンシリーズの中ではダントツの面白さと規模、相変わらずストーリーが破綻してるのは……なんせ原作が古いアメコミですから見過ごしてあげましょう。そこんとこ御納得いただければ、あとはジェットコースタームービーに成っとります。まぁ、ストーリーを追っかけても仕方ないので……ああっと、本編が終わっても席を立たずに最後まで座ってて下さい、ボーナス有りです(ちょっと微妙ですがね)
 それにしても、日本配給元がまたまた騙しをやっとりまんなぁ、なぁにが「さらば アイアンマン」なんですかねぇ、来年か再来年にアベンジャーズ2が決まっとりますし、本作が大コケせんかぎりアイアンマン4どころか5だって有り得ます。マーベル(て事は ディズニーですが)は次のアベンジャーズに向け 本作に続いてマイティ・ソー/キャプテンアメリカの続編、新しいヒーロー(といっても昔のマーベルヒーローですがね)物をガンガン作るようで……いつか来た道でんなぁ。
 それより 今回気になったのは、クリストファー・ノーラン(インセプション/バットマンのリ・ブート/古くはメメントの監督)の“MAN OF STEAL”あのスーパーマンのリ・ブートです。予告編を見ているだけで雰囲気有ります。
 もう一つ、ジョニー・デップの“ローン・レンジャー”が少しずつ顔を見せ始めてます。ジョニーはレンジャーじゃなく、インディアンのトント役…なぁんていって 判って貰えるのは60代以上のジェネレーションだぜ キモサベ〓 こいつも面白そう ハオ インディアン嘘つかない


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高校ライトノベル・『河東 けい という名女優』

2013-04-25 05:33:48 | エッセー

『河東 けいという名女優・その一』
 

 これは、昨年秋(1912)に書いた『大いなるもの』を加筆したものです

 書こうと思って、一つは半年が、もう一つは二年がたってしまった。

 わたしは、思い立ったら、すぐに文章にしてネットで流してしまい、時に批判をうける。
 その、わたしが書けなかった。

 で、思い直した。不細工でも書けないということを書いてみれば、書けないことをネガにして、読む人にポジにしてもらえ、ある程度通じるかもしれない。

 人間というものは、あまりに大きなものを目にすると描写ができないものである。
 たとえば、ビルの陰をまわったら、目の前に大きな黒い壁の前に出てしまった。あまりに唐突で、それが何であるか、しばらく分からなかった。やがて、それが巨大な船であると教えられた。タラップを上がり、船上に上がったが、船内は迷路のようになっており、デッキに出てみて、なんとか船らしいことが分かった。
 これは、幼稚園のときの実体験である。幼稚園に帰り、その船の絵を描くことになったが、幼いわたしの頭の中で、それは船のカタチをしておらず。最初の印象の巨大な黒い壁を正直に描き、先生や仲間からは「?」であった。

 人にも大きさがあることは、頭では分かっていたが、現実に会って、その大きさのあまりに書けないことは、この二回が最初であった。

 この春に、長年の友人の紹介で、関西でも指折りの大女優さんに会うことができた。関西芸術座の『河東 けい』さんである。
 若い頃に、この人の舞台を観た。『奇跡の人』で、ヘレンケラーの家庭教師サリバン先生をお演りになり、それ以来、わたしは、この女優さんのファンであった。
 この人は親の反対を押し切り女優になった。
 今時の親ならば、こう言う。
「なにを夢みたいなことを言って。将来の保障なんかないじゃないか」と反対する。
 この人の親は、こう言った。
「河原乞食にするためにここまで育てたんじゃない!」で、勘当(親子の縁を切る)されてしまった。

 この人が女優になったのは、終戦直後で、世間の演劇人に対する認識は、おおむねこのようであった。「アカ」という非難のしかたもあり、その言い回しは、わたしが若い頃にはまだ存在していた。
 こういうことは予想していたので、さほど驚かない。

「わたし、女優志望じゃなかったの」
 
 この言葉に面食らった。わたしは、この四十年間、この人は女優であると思っていた。それも頭に「大」のつくそれである。それが女優志望ではなかったとおっしゃる。
 女学校を出てしばらく、この人は、芝居がおもしろそうなんで、移動劇団について回り、雑用をやっていた。で、しばらくすると、劇団員から声がかかり、正式な劇団員になった。しかし入ったところは……。

 演出部……であった。

「わたし、そんな美人てわけじゃないし、スタイルもね……人前にでるのも恥ずかしかったし」
 と、意外な答えがかえってきた。
 この人の舞台での存在感は圧倒的である……このことは説明がいる。個性が強く華があるという意味ではない。
 この人が、舞台に立つと、役が舞台に立つのである。現役の役者の多くは、自分の個性で舞台に立ち、スクリーンに出てしまう。このことは善し悪しである。役者個人が魅力的であって、観客もそれを望んでいるのであれば、それで十分である。
 マリリンモンローが、そうであった。何をやってもモンローで、アメリカのセックスシンボルと言われ、そう言う意味での女優としては成功した。しかし、モンローは、そういう自分に限界を感じ、いろんなことが演れる女優になりたいと思い、リー・ストラスバーグのアクターズスタジオに通い、他の駆け出しの俳優たちといっしょに演技の勉強を始めた。残念ながら、その成果が現れる前にモンローは、亡くなってしまった。

 わたしが会った、この大女優さんは、モンローのようなタレント性が自分に無いことを十分知っていたので、演出部に入ったのである。
「演出の勉強なんかしてなかったわよ」
 平然と、この大女優はおっしゃった。煙に巻かれたようなので、つっこむと、こう答える。
「見よう見まね」
 で、終戦直後の劇団は、どこでも人と金がなかった。そこで、演出部に籍をを置いたまま、片手間で女優も演るようになった。
 で、わたしは、この人の片手間を観て大感激したのである。

 素人のわたしが観ても、この人の芝居は、スタニスラフスキーの演技術。そしてリー・ストラスバーグのアクターズスタジオのメソードを使っていた。それを指摘すると、答はこうだ。
「いやいや、とんでもない。そんなの少しは知ってたけど、わたしは見よう見まね」
 並の俳優が言うと、嫌みな謙遜にしか聞こえない。しかし、この人は本当に「見よう見まね」と思っている。
 かつて、先輩の俳優に、こう言われた。
「君らの一生懸命はこんなもん(指を五センチほど広げた) 僕らの一生懸命はこれくらい(両手を一杯に広げて見せた)」
 この人は分かり易かった。本番の舞台を観にいっても努力の跡がわかるのである。
「ああ、この見せ場の、この間の取り方やなあ」という具合。

 しかし、この大女優さんは、舞台での存在感が自然なのである。サリバンさんのときは、その女優ではなくサリバンさんとして、そこに存在している。テレビで脇役を演っておられるときなど「え、どこに出てはったん?」である。エンドロールを見ると、確かに名前が出てくる。で「え、あのオバハンが……」と分かる。
 で、わたしは圧倒されてしまう。
 この感動はメリル・ストリープで感じた。『プラダを着た悪魔』『マンマ・ミーア』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』『マディソン郡の橋』の主役・主役級の役が全てメリル・ストリープであったと気がついたときの感動と同質である。

 で、その秘訣と、その人の歴史が知りたくて、四時間あまり話をうかがったが、結局は、幼稚園児がいきなり巨大な船のドテッパラを見せられたようなもので、とてもその全体を形容することができない。
 あわよくば、この人をモデルに小説を書いてみたかったのであるが、こんな小文を書くのに半年もかかってしまった。

 関西芸術座のサイトを開いてみると、個々の役者さんの写真と共に、その役者さんの肉声が聞くことが出来る。おけいさんの言葉は、一音一音、そっと確実に置かれていくようで耳に心地よい。悪くとられると困るのだが、女性であることを超えて人間の声としての確かさと潤いがある。ラーメンのコマーシャルではないが、「嘘だと思ったら聞いて下さい」である。

 タイトルは忘れたが、おけいさんの別役の芝居を観た。別役=難解という人。また難解に演出したり、演技してしまう人がいるが、おけいさんの(たぶん)お母さん役は、ちゃんとお母さんだった。一家でリヤカーを曳いて旅をするような芝居だった。「ああ、これは一家の歴史を描いた芝居なんだな」と思って、ロビーでお会いした本人に「この芝居は人生ですね」 そういうと「あたりまえやんか」という表情を、まるで、女学生のように弾んだ表情でされた。当時は○十代であられたであろうか。反応は、まるで日頃相手にしている女子高生のようであった。


 この稿は、また続編があるかもしれません………♪

※写真は『日本タレント名鑑』からお借りしましたが、著作権上の問題で使えません。サイトの画像でごらんください。 
 

 
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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『リンカーン』

2013-04-20 12:53:01 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『リンカーン』


この映画評は、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載しました



 いやはや、まず言うべきはD・D・リュイスの凄まじいまでのリンカーン像ですね。

 S・フィールドの妻役も迫力がありました。 自分も かつて下手ながら芝居をしていたので感覚的に判るのですが、役者は演じているキャラクターに引っ張られる傾向があります。D・D・リュイスはこれが極端に出る人で、一旦仕事に入ると24時間役柄のまんまに成る事で有名。奥さん……大変ですねぇ 耐えてますねぇ だって嫌でしょう 家にリンカーンが帰って来るんですよ! うっとおしいじゃありませんか ねぇ!
 さて、映画ですが 今年見た作品の中で一番難しい映画でした。ただの一瞬のシーンを見落としても、一言の台詞を聞き逃してもいけない、だからといって決して辛くはない 2時間半心地よい緊張が続く。  ただ、全編 「修正憲法13条」を巡る政治的駆け引きの1ヶ月のクローズアップ、ゲティスバーグ決戦もアトランタ炎上も有名な演説も一切出て来ない。政治の裏側に興味が無ければ全く面白くない……かも……。
 ただ、ここに一つの現実がある、本作は硬派テーマの作品ながら昨年11月全米公開以来、今年の2月まで13週間に渡ってボックス・オフィス10位以内に留まり(途中2週圏外)1億7千万$の興行収入を叩き出している。何より本作に対して「難解だ」という評価を聞いた事がない。あの「クラウド・アトラス」程度の映画を難解だとして敬遠するほどアメリカの観客の質は劣化してしまっている。そんな観客に本作の意味が浸透するのだろうか。詳しく書くとメモリーオーバーになるので ふ~ん位に読んでいただきたいが、まずリンカーンが攻撃したのは“南部の奴隷制”であって 当時北部にも黒人奴隷は存在していて、有名な奴隷解放宣言に彼らは含まれていない。つまり北部に奴隷は存在するが“奴隷制”すなわち奴隷は家畜と同じく所有者の財産である。つまり同じ人間ではないとする考え方は無かったものの、当時 女性に選挙権が無かったのと同じ偏見は有った。人間とは認めても対等の存在とは認めていなかったという事をまず知らなければならない。
 修正憲法13条が上院を通過し、下院の2/3の賛成を得れば成立するのだが、この段階では全米ではなく あくまで北部だけの決定である事。成立しても この後、南部を降伏させ この憲法を認めさせなければならない。アメリカが真っ二つに割れていた訳だが、北部も一枚岩だったのではない。民主党は13条成立によって黒人奴隷の人権が無制限に広がるとみて断固反対の立場(何故か 日本人はリンカーンが民主党大統領だと思っている人が多いが 彼は共和党、北部で黒人の人権を制限したがったのはリベラル民主党である) 共和党が優位ではあるが民主党を切り崩さないと必要票数に届かない。再度確認するが、黒人の人権を白人と同等に認める考えはない(リンカーン本人も)、この事に関しては政党間に亀裂が有り、同政党内にも温度差がある。
 もう一つに、当時 長引く南北戦争に嫌気しており、停戦交渉は別個に始まっていた。13条決議前に停戦してしまうと 南部の意向も考慮しなければならず、そうなると反対票が一気に増えて成立は絶望的になる……そういうギリギリのタイムラインに乗っていたと言うことも大きい。
 こういう捻れに捻れた状況下、強力なスタッフ 議員はいるものの心理的にリンカーンは殆ど孤軍奮闘しており、次男の従軍、妻との葛藤……バックアップするべき家族も彼の上に重くのしかかっている。  相対化するつもりは全く無いが、リンカーンにだって“光と闇”は当然有る。と しても、アメリカ最高のカリスマ英雄である、神聖とさえ言える。その絶対的英雄を崇拝すること無く、一定の距離を置いて その人生を深く掴もうとしたスピルバーグの姿勢はもっと絶賛されてよい。
 この繊細微妙かつ迫力有る作品がヒットした背景には、主人公がアメリカ最大の英雄である事と 大人の観客が戻ってきたという事実がある。
 とは言っても、この1ヶ月の政治駆け引き物語は極めて複雑である、相当に難しいと言える。これがアメリカ人に当然のごとく受け入れられるのは かれらが大部分を既に知っている以外に有り得ない。この事実を知っているだけで アメリカ人は日本人の百倍 政治的人間である。かつて フロリダに行った事があるが、その時痛感したのは「よくもこんな途轍もない国と戦争したなぁ~ 勝てる訳ゃぁ有り得へん!」という事。本作を見て思ったのが「こんな政治的人間と政策駆け引きなんかしても勝ち目は限り無く“0”じゃんかいさ」って事です。
 てな訳で、言いたい事は山程あるんですが 私がゴチャゴチャ書くほどに観客の足を引っ張るような気がしてきました。すべての人に とは言い切れませんが一人でも多くに見ていただきたい映画です。
 アメリカの黒人が 当たり前の人権を得るには リンカーンからさらに百年、公民権運動の成功を待たねば成りません。そして それが社会に根付くのにさらに数十年…ベトナムで死傷した兵士は圧倒的に黒人が多かった、歴史は這うようにしか進まない。しかし、進むべき方向を定めるべく社会構造を変革するイベントは急激に起こる。その起点がリンカーンである事に違いはなく、そのインサイドストーリーに触れるのは貴重な体験であります。
 ドキュメンタリー色が強い作品ですが、間違いなくドラマ。有名なシーンは一切ありませんが、リンカーンが通信士に語る ユークリッド幾何学に例えた人間存在の意味、議会で飛ばすヤジに籠められたユーモアとウィットにとんだ切り返し……一瞬の台詞も揺るがせに出来ないのは 解らなくなると言う以上に“勿体無い”からです。リンカーン家に勤める黒人女性の「私には自由の意味(アメリカに住む黒人が自由である事)など解りません。私達は自由になるため戦って来ました。そしてこれからも戦いは続きます」……この台詞が一番重く響いた。
 ご存知の通り、リンカーンは暗殺されて二期目早々に亡くなる。諸説あるが、誰がどのような意図で暗殺したのか未だに不明です。彼の運動は敵を新たに産む運動であり、殆ど自殺を目指したのと同じだというのは本人にも自覚が有った筈、命懸けで無ければ何事も成し得ない……見事な映画でした。
 本作が アカデミー作品賞を穫れなかったのは、アカデミー協会内で優勢とはいえ ジワジワ保守勢力の台頭を許しているリベラルの最後の抵抗だったと実感しました。作品賞は“アルゴ”への配慮から仕方が無いにせよ、本作を見た後では 監督賞はアン・リー(ライフ オブ パイ)ではなくスピルバーグでしょう。この決定に至る論評を知りたいものですが 英語力“0”の私には1年たたないと解らんのやと思います。 自分の不勉強を責めるしかございません……阿呆!


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ読書評『愛と憎しみの豚』

2013-04-19 17:30:46 | 読書感想
タキさんの押しつけ映画評
『愛と憎しみの豚』


 これは悪友の映画評論家・滝川浩一の個人的読書感想ですが、もったいないので転載しました。

         

 長らく ユダヤ、イスラムの人々が何故「豚肉」を食べないのかについて興味があった。
 勿論、それが宗教的忌避である事は知っている。旧約聖書には ハッキリ「豚は食べるな」と記されており、ユダヤ教から別れたイスラムが豚肉を忌避するのも解る。なら、同じくユダヤ教から出たキリスト教が 取り立てて豚肉を嫌わないのは何故なのか、新約聖書にも豚を忌避するごとくの表記がある。旧約聖書程 明確には表現されてはいないが 感覚的にあまり好ましくなさげな書き方がされている。この点に関しては「内閣法制局憲法解釈的」な弁明しか聞いた事がない。 人間だって 究極の飢餓状況下では共食いする、それに比べれば たとえ宗教的禁忌であろうとも豚を食べる事などなんでもない。
 イスラエルにロシア/ソ連邦から難民が大量流入した時(大きく二回ある)、 豚の飼育が始まった記録が有り(流入してきたのはユダヤを名乗る人々であるにも関わらす) それは現在においても「キブツ」やキリスト教徒の居住区に受け継がれている。要するに、時の政治的要請やら社会状況に応じて食物禁忌はいとも簡単に変化するのであって、狂的なまでの宗教指導のもとにない限り 平和で食物が充分に有る状態においてのみ守られる掟なのだといえる。
 ならばこそ、未だに強固な宗教的禁忌たりうるのか…う~ん、面白い。さっぱり解らない。

 前置きが長くなりました。以上のような興味で“それらしき”本を見つけると読んでみるのですが、未だかつて答えてくれる本に出会った事はありません。この本は 何かの雑誌に書評が載っていて、その書評からすると私の疑問に答えてくれそうな気がした。 わざわざ取り寄せて購入したのだが……結果、止めときゃよかった。まるっきり期待外れ。まぁ、女性一人旅の徒然の記としては 楽しめる読者もおられるでしょうが……早い話が こんなもん、旅行記ブログを本にしただけです。一応 漠とした“豚”というテーマはある物の何を追いかけたいのやら不明。こんなので 北アフリカからイスラエル、東欧諸国から果てはシベリアまで出かけて行くのだから……いやはや大した度胸と行動力ではあるが、あまりにも準備不足、無謀の極み……シベリアに着いた所では 旅程の終わりが近づいているにも関わらず「まだ一頭も豚を見ていない」と嘆いている。極寒のシベリアにおいて、彼女の旅は破綻する。
 自己の問題提起が曖昧だから事前に何を調べるべきかも判然としなかったのだろう。旅行ライターでもあるようなので ある種の海外事情には通じているようだが 途中で信じがたい無知を露呈している。
 出先での偶然の出逢いに期待するか インターネット情報によるかの旅行で、おおよそ“ルポ”をおっての旅ではない。序章を読んだ段階でこんな事は全部判ったが、取り寄せた手前「いらん!」 とも言えず 購読した次第。全くの金と時間の無駄でした。

 誰が書いたんやあの書評!


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『舟を編む』

2013-04-13 17:30:04 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『舟を編む』


この映画評は、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですがもったいないので、本人の承諾を得て転載したものです。


 とっても優しく 素敵な映画でした。 と共に安易に言葉を選んで喋ったり書いたりするのが ちょっと怖く成りました。

 原作は長めの中篇位の作品で、「まほろ~」なんかでもそうですが 三浦しをんの小説は「もうちょっと書き込めばいいのになぁ」と思わせながら 読後に一種独特な満足感を与えてくれます。  映画は、この小説の「もうちょっと」を埋めています。原作と映画が互いに補完しあうのは誠に幸せな現象です、めったにお目にはかかれません。
 ですから、どちらが先でもいいので 是非とも映画と小説 どっちにも接する事をお薦めします。私の感覚からすると、本作は原作を忠実に画像化していますが テイストが違っています。小説では“辞書編集室には外界とは異質な時間が流れており、人をして ゆっくりと「たゆたう存在」に変化させる病原菌に満たされている”主人公/馬締(松田龍平)は、元々保菌者だった感はあるが 配属即感染……以後 強烈な宿主となり 触れる者総てに影響を及ぼして行く。と言うように読める。
 映画は もっと1対1の人間同士が互いに影響しあう作り方に成っており、原作とは少し違ったテイストを持っている。 結果、編集室独特の時間はあまり感じられなくなったが 映画のエンタメ性はぐんと上がった。監督の石井裕也は まだ30歳、これまでの作品は ハッキリ言って嫌いだったが……これも出会いの結果なのだろうか 同じ人の作った映画とは思えない。
 映画では 馬締が主人公である事は変わらないが、登場人物があるがままに 適材適所 居るべき場所に嵌っていて キチンと自分の役割を果たしている。これはキャスティングの妙でもあって、各キャラクターが「この人以外考えられない」と思える。キャラクターが「老人と若者」に二分されるので、各人の色をハッキリさせる手法を採ったのだろう、その意味で脚本が素晴らしい。
 小説では「年代」が提示されていないが 本作はスタートを1995年とし15年後をラストとしている。すなわち、原作の普遍性をある程度犠牲にして現代に接続してある。これも映画のエンタメ性に貢献している。
 これは監督の手腕なのか、俳優の力量なのか微妙な所だが 老優と若手の演技バランスが これまた非常に心地よい。松田の演技は彼独特のギリギリ感(判っていただけますよね)で演じられるが これをベテラン勢が包み込むようにして受け止めている。まず渡辺美佐子の 下宿のバァチャンが抜群……誤解のないように、松田をくさしているのではない。龍平は本作でハッキリ 父・優作を凌駕したと見た。存在感ではまだまだオヤジの壁を越えられないにせよ 優作が悩んで悩んで……結果、大勘違いした役柄を ヒョイと簡単につかんでしまった。(簡単ってのは龍平に失礼?)
 助演の若手も それぞれに妙味を発揮している。池脇千鶴はいつも通りの巧さ、出番の少ないのが勿体無い。宮崎あおいは毎度の形、オダギリジョーは恐らく男性サラリーマンの共感を一手にさらう役柄で 演じきったと言うよりは ごく自然に見える所がさすが。ベテラン陣では、小林薫が渋い もはやアングラ出身の匂いなどどこにもない(アングラをくさしているのではない……しつこい?)加藤剛と八千草薫のカップリングは絵に描いたように嵌っているし、加藤と伊佐山ひろ子が同じスクリーンに並んでいるのは 昔なら信じられない。
 これらの要素が絶妙に混ざり合って本作を構成している、見ていて心地悪かろう筈がない。小説もベストセラーだし、映画もなかなかのエンターテイメントである。辞書編纂ってのは 地味なようでエキサイティングな作業なのかもしれない。 当然 愛の物語ではあるが、見る者が 己の仕事を見つめ直すキッカケになる作品でもある。例によって ウダウダ言うとりますが、ムッチヤ面白い映画です!華丸推薦。


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ヒッチコック』

2013-04-05 20:01:57 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ヒッチコック』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に、身内に流しているものですが、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです。


 こりゃあ、マニアってかフリークってか……すこぶるつきヒッチコックファン(殆どヒッチオタク)でないと楽しめないかもしれませんねぇ。

 私だって 映画オタクの端くれ ヒッチに関する本の1~2冊は読んではいましたが、彼の妻 アルマがここまで深くヒッチを支えていたとは…本作を見るまで知りませんでした。アカデミー功労賞受賞に際して“私には4人の協力者がいた。そして、その4人の名前は 皆 “アルマ”といいます!”とスピーチしたのは繰り返し映画雑誌に掲載されたので覚えてはいましたけど……てか、そこそこのファン程度だと余りご存知無いみたいです。
 本作はヒッチが“サイコ”撮影中の裏話を縦糸に、ヒッチとアルマの私生活を横糸に書かれた原作(ドキュメンタリー)をドラマ化してあります。
 60歳になったヒッチコックに「もう歳だし 引退するのか?」なんぞと、無礼かつ間抜けな記者やら、ヒッチに画一的な作品を量産させようとするお馬鹿なプロモーターの存在やら、彼が何故アカデミーを穫れないか等、知ってはいましたけど……それでも もう少し この時代背景(映画表現の限界)やら、ヒッチコックのおかれた状況やら 詳しく説明しないと解りにくいですねぇ。
 脚本の欠陥?監督の手腕? 制作のドジ(尺を確保出来ない)のいずれかでしょうか、「この程度は知ってて見に来い」的な仕上がりに成っています。
 そう言われましてもねぇ~ キャストは全く問題ない、まぁ A・ホプキンス/H・ミレンの演技にダメ出しするほど自惚れちゃおりません。ただ、どうも繋がりが宜しくおまへん、なんだか無理に編集しているように思える。根拠は二つ、“サイコ”の中で最も有名なバスルームでの殺人シーンの演出シークエンスの迫力、漸く公開にこぎ着け 劇場のドアの横で観客の悲鳴にしてやったりと爆発しているヒッチの喜び! この2シーンが飛び抜けて良く出来ているので、これからすると 他のシーンの繋がりの悪さが目立ちすぎます。
 とは言っても、もう出来上がっている作品…なら仕方ないんで最低限の下知識をお持ちになって下さい。

1) この時代、アメリカでも女性の裸、露骨な殺人シーンは映せなかった。

2)“めまい”は公開時不評“北北西に進路をとれ”も賛否があった。

3)“ヒッチブロンド”と 揶揄される程ブロンドの女優を使い、彼女たちとの浮気を取り沙汰されたが、この頃は監督と女優の関係以外の何物でもない

4)アルマはずっとヒッチの影に徹しており、たまたまこの時期久しぶりに独自の脚色依頼があり、彼女としてはどうしてもやりたかった以上、これだけ仕込んで見て下さい。これで繋がる筈です。ご存知だった向きには……出過ぎたマネをいたしましたぁ、ごめんなさい。 とにかく、もっと面白く かつ 感動的な映画になっていた筈です、せっかくの名優の名演技を……なんとも勿体無い一本でありました。


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