魔法少女マヂカ・106
えと……なんだったんだろう?
ポアポアと沈んでいた疑問が浮き上がって来る。
基地に戻って、北斗の終業作業を終わらせると、調理研のわたしたちは素に戻ってしまった。
太田道灌さんが双子玉川の竜神討伐を手伝って欲しいと駆けつけてきた時はビックリだったけど、大塚台公園の秘密基地に転送されて、それまで自覚したことのない北斗のクルーの意識と闘志が湧いてきて、VRゲームをやるようなノリと高揚で竜神征伐をやってしまった。
征伐の大半は、先に駆けつけていたブリンダさんがやっていて、わたしらは、トドメの量子パルス砲をぶっ放しただけ。
なんだけども、オンラインRPGのギルドメンバーみたく活躍した記憶と高揚感は火照りと共に残っている。
「ま、そういうことだから、これからもよろしくな」
「安倍先生が隊長だったんだあ……(ー_ー)!!」
「ノンコ、変態教師を見るような目でみないでくれる」
「え、あ、いや、そんなつもりは」
「先生は、驚かないんですか?」
「あたしは、司令にリクルートされたときから自覚があるからな」
「先生は、リクルートされたんですか!?」
清美が目を丸くする。
「あたしは講師とかで掛け持ちばかりやってるでしょ、授業も教えてるし、あんたらの担任のお鉢が回ってきたころに、ここの司令にスカウトされたってわけさ。ま、これで、隠し立てしなくてよくなったから、ま、頑張ってくれ」
『本来の敵はカオスの異世界軍団だが、現在それは休戦状態だ。当面は、うち続く自然災害で覚醒し始めた妖やクリーチャーどもだ』
ブルーの待機画面だったモニターに来栖司令が現れた。
「司令は来ないんですか?」
『すまん、竜神戦の後始末だ。台風災害が原因で現れたんでな、国交省や関係機関との調整や情報分析などで忙しい、あとは頼むよ安倍隊長』
それだけ言うと、モニターは、元の待機画面に戻った。
「先生に丸投げしちゃったんだ」
文句を言ったのは、ノンコ一人だけど、戸惑ったり文句言いたそうなのは、みんなの顔にも現れている。
「司令も大変だな、秘密を守ったままで、ここを維持するのに走り回っておられるんだ。さ、オンとオフの区別が無くなったんだ、ここ一番聞いておきたいことがあったら聞いてくれ」
「ここでの活動は成績に影響するんですか?」
清美が優等生らしいことを聞く。
ドンと胸を叩いて安倍先生は答えた。
「もちろんだとも! ここで培った忍耐力や集中力は、学校でも、きっと役に立つだろう!」
「あの……平常点に加算とか?」
「特務師団て教科があればな」
「調査書に書いてもらえるとか、生徒会とかボランティアとか書いてもらえるじゃないですか」
「こんな非合法なこと書けるわけないだろ。そういうことではなく、高校生活を送る上での根性とかに効き目がある!」
「「「……根性ねえ(;^_^」」」
アハハハ………………
笑うしかない。