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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

amebaブログに引っ越します

2025-05-12 07:18:52 | 日記
amebaブログに引っ越します


 
 GOOブログの閉鎖のため、昨日(5月11日)amebaブログへの引っ越しの作業を終えました。引っ越しが反映されるまでは三日ほどかかるということですので、その間は更新を停止いたします。

 引き続きamebaブログでお読みいただけたら幸いです。

 URLを貼り付けておきます    https://ameblo.jp/omega1853

 
       令和7年5月11日   大橋 むつお
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千早 零式勧請戦闘姫 2040・35『風の音にも驚かねぬる校外清掃』

2025-05-11 09:47:56 | 不思議の国のアリス
千早 零式勧請戦闘姫 2040  
35『風の音にも驚かねぬる校外清掃』




 今日は学期に一回の校外清掃の日だ。


 今でこそ準進学校として地域からも愛される九尾高校だが、開校した60年前は評判が悪かった。
 かつて市内唯一の市立女子高だった九尾高校を移転させて県立高校になった時、男子の入学を認めて共学校にしたのだ。校名こそ女子高時代のそれを引き継いでいるが、実質は新設校。新設校にありがちな混乱と無秩序に陥り、地元からは顰蹙を買い、女子高時代からの同窓会からは「栄えある九尾高等女学校の面汚し、校名を変えて!」と三下り半を突きつけられたほどだ。

 そこで、当時の生活指導部長の提案で、学期の初めに全校生徒で校外清掃をすることにしたのだ。

 日ごろ顰蹙を買っていた九尾の生徒だが、回を重ねるごとに地域の評判を取り戻して2040年の現在に至っている。

 今朝も、全校生徒がゴミ袋と金バサミを持って、学校の周囲や通学路のゴミ拾いをやっている。

 担当区域は学年の縦割りで、千早の一組は一二年の一組といっしょに学校の南側、三本松の手前までだ。

「太陽光パネル無くなったんだねえ……」

 相棒の重森歌子が金バサミ持つ手を休めて感心する。

「うん、ギラギラしてて鬱陶しかったからね」

 ここの太陽光パネルは妖化して、三月の蔵書点検の朝は数百枚のパネルが千早を襲った。アメノウズメを勧請して激闘の末にやっつけたのだが、今は残りのパネルも撤去されて昔の田んぼに戻りつつある。

「田植えができるといいね」

「そうだねぇ……」

 千早も歌子も岐阜県少女らしく、濃尾平野には田んぼが似合うと圃場整備に入った野原を眺めるのだった。

「あ、二人だとボーっとしてしまうね(^○^;)」

「右と左に分かれてやろうか」

「うんうん(^_^;)」

「じゃ、わたし東側」

 道路を挟んで東西に分かれた。

 用水路沿いにゴミを拾っていると、向こうのあぜ道から視線を感じて顔を上げる……見覚えのある女生徒が千春を睨んでいる。

「あ、黒ウサギ!?」

「…………」

「なんで学校の外に出てんのよ!?」

 黒ウサギは結界のため学校の外には出てこないと思っていた千早だ。勢い言葉が強くなる

「学校の行事だからよ、文句ある?」

 それだけ言うと、金バサミをカチャカチャ言わせながらあぜ道の向こう側に消えてしまった。

 ピシ

「あれ……時間が停まった?」

 三月からこっち、度々時間が停まるのでそれほどには驚かなくなってはいる。しかし、時間が停まると妖や化物が現れるので反射的に警戒する千早だが、今の時間停止の音には害意が無い。

 カチャカチャカチャ……ズチャ

「ご報告に参りました」

 風を切り鎧の音をさせて現れたのは道三の家来の十兵衛だ。

「え、なにか異変でも?」

「お屋形様に命ぜられ、糺の……バブルの森に物見にまいっておりました」

「バブルの森、また化物!?」

「いえ、それが一匹の妖も見えませぬ」

「やっぱり……」

 先日、貞治を連れて調べに行った千早だが、その時はアカリン市長に出会っただけで、土壌が軟弱になっていること以外に森に異変は無かった。

「お屋形様のお言葉に寄りますと、妖共は地脈を通じて美濃の各地に散っておるとのことでございます」

「え、岐阜県の各地に?」

「はい、このあたりの妖の首魁は九尾の狐にございます」

「うん、それは知ってる。玉藻の前でしょ」

「いかにも、本性は九尾丘。その尾は九つ纏めて糺の森に収まっておりましたが、先日の天宇受賣命様との戦い以来、美濃の各地に飛んだとのことにございます」

「えぇ……なんだか面倒そう……」

「お案じなさいますな。戦闘姫さまにはお屋形様初め、ご家老の斎藤利光さま、加えて、我ら家臣の者共が付いております」

「そ、そうね、頼りにしてるわ十兵衛」

「身に余るお言葉、それでは、これにて」

 颯爽と馬にまたがると三本松の道を南にフェードアウトしていく道三子飼の若武者十兵衛であった。

――いま、誰かと会っていた?――

 黒ウサギの思念が飛び込んできた。

「あ、ううん。いや、風よ風」

――風?――

「『夏きぬと目にはさやかに見えねども、風の音にも驚かねぬる』って古文で習うでしょ……あ、あんたまだ一年だったっけ( ´艸`)」

「フン、それは『夏』ではなくて『秋』よ。神社の娘なら、もうちょっと勉強するのね」

「ウ(;'∀')」

「じゃあね、がんばってぇ先輩! アハハハハ……」

 憎々しい笑い声を残して学校に戻っていく黒ウサギ。

 気づくと重森歌子も戻って来て、大慌てでゴミ拾いにかかる千早であった。

 

 
☆・主な登場人物
  • 八乙女千早           浦安八幡神社の侍女
  • 八乙女挿(かざし)         千早の姉
  • 八乙女介麻呂          千早の祖父
  • 神産巣日神          カミムスビノカミ
  • 天宇受賣命           ウズメ 千早に宿る神々のまとめ役
  • 来栖貞治(くるすじょーじ)  千早の幼なじみ 九尾教会牧師の息子
  • 天野明里            日本で最年少の九尾市市長
  • 天野太郎            明里の兄
  • 田中            農協の営業マン
  • 先生たち          宮本(図書館司書)
  • 千早を取り巻く人たち    武内(民俗資料館館長)
  • 神々たち          スクナヒコナ タヂカラオ 巴さん
  • 妖たち           道三と家来(利光、十兵衛)
  • 敵の妖           小鬼 黒ウサギ(ゴリウサギ)
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・207『ナースチャの中間服』

2025-05-09 09:15:48 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
207『ナースチャの中間服』   




 いい感じねぇ……


 そう言いながらスピンするナースチャ。

 場所も階段の踊り場、ナースチャはミュージカルの女優さんのようにイカシてる。ナースチャの後ろには、同じ中間服のわたしとロコが映っている。当然のことながら、ロコもわたしもナースチャほどにはイカしてはいない。

 宮之森の制服、男子は当たり前の学生服なんだけど、女子は二つボタンのスーツ。ボータイが控え目に胸元を引き締めてくれて清楚な美しさがある。

 夏は、ブラウスにプリーツスカート。ボータイもしないから、なんか地味。

 だけど、中間服と呼ばれる合服は無敵だ!

 夏服も冬服も悪くは無いんだけど、よその高校と大差はない。ま、ボータイとの組み合わせはグッドなので、わたし的には十分オキニなんだけどね。

 で、中間服はプリーツスカートにベストをドッキングさせる。

 スカートのウエストの裏に前後二つずつのボタンが付いていて、ベストを下端を留めるようにできている。ベストは比較的体にピッタリに作られていて、少し体の線が出る。それで、冬服や夏服よりもメリハリが付いて、ちょっとミッションスクールのジャンスカ風。清楚でありながら可愛い!

 わたしが昭和の宮之森高校を選んだのは、実に、この制服に憧れたからなんだ。

 一応令和の宮之森を受けたんだけど、その年から制服が改定されて、めちゃくちゃダサくなってしまった。それに気づいたのが合格者説明会だったんで、ベテラン魔法少女のお祖母ちゃんに頼んで昭和の宮之森に通えるようにしてもらったのが二年前の春。

 制服は伊勢半をはじめ三つの業者が請け負っていて、どこで作っても95%同じ。残り5%の違いは、微妙な縫製と裏地のグレードくらい。

 しかし、ナースチャの制服は特別製。「あの子のは防衛省魔法局の特注品だねえ」とお祖母ちゃんは見抜いた。

 防衛省魔法局というのは、お祖母ちゃんが所属していた日本国の秘密組織。

 お祖母ちゃんに言わせると「魔法使いと魔法少女の天下り組織」なんだけれど、潜在的な力は相当なもので、ナースチャの制服はまさにその魔法局の技術の結晶らしい。

「昨日届いたのよ。てっきり夏服と冬服だけだと思ってたから、ちょっと嬉しい(⌒∇⌒)」

 可愛くモノ喜びするのは、このお姫さまの美質だと思う。

「ちょっと失礼」

 ロコがスカートとベストの端っこをチェック。

「見た目は大浜伊勢半製ですけど、微妙に手触りが違いますねえ……」

「え、そうなの?」

「触って比べてみてください。わたしのは伊勢半ですから」

「ええ……そうなのぉ?」

 二人、無邪気にスカートの裾をめくって比較し始める。

「ウ(# ゚Д゚#)」

 ちょうど階段を上がってきた十円男が頬を染めてアタフタと二階へ急ぐ。

「エッチ!」「ウワ(''◇'')!」

 反射的に咎めると、残り一段を踏み外してつんのめる。

 次の時間は体育、男子は柔道のはず、こないだのMITAKAでもあたしたちが引き上げた後も一人残って先輩風を吹かせていた。ラッキースケベを咎めることも無いんだけど、奴にはこれぐらい言ってやってちょうどいい。

 更衣室に向かおうと本館を出たところでバレーボールが飛んでくる。

 一年生がトスバレーをやっていたこぼれ球。

 拾ってあげようとしたら、タイミングが合わないでコロコロ正門のところまで転がって、正門側を歩いていたナースチャが追いかける。

 足で蹴るとかすればいいんだけど、お姫さまのナースチャは健気に追いかけて……ヤバイ!

 魔法少女の第六感!

 追いかけたところにビームが走って、ナースチャの胸を貫いた!

 クソ、十円男を笑ってる場合じゃない!

 臍を噛んで正門を出る。

 尻餅をついたナースチャが「あれ?」っと起き上がる。

 通りの向こう、よその制服を着たユリアが駆け去っていった。

 

☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
  • ユリア               ナースチャを狙う魔法少女
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ  戦艦石見(アリヨール)  藍(アオ、高松塚の采女)    
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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銀河太平記・302『ヤクザに頼まれ大連へ・1』

2025-05-08 15:52:04 | 小説4
・302
『ヤクザに頼まれ大連へ・1』 ツナカン 




 北京の生活になじみ過ぎたのかも知れねえっス(-_-;)。


 中南海の広場で殿下を見かけ、とっさに素に戻って追いかけたら、とたんにセキュリティーに気づかれ、危うくドンパチに成りかけちまって、劉宏大統領はソッコー殿下の居場所を変えたっス。

 てっきり乾鎮の公邸に戻ったのかと向かったら、戻ったのは空のオート車で、公邸には三分しか停車していなくて、また走り去ったっス。

 車は他にも四台が中南海の瀛台から走り去っていて、あちこちに散っていったっス。これは、追跡者を撒くための常とう手段。それを乾鎮の公邸を見るまで気づかなかった……天下の宇宙海賊アルルカンの名を辱める間抜けっぷりっス。船長に合わせる顔が無いっス。

 ビシバシ!

 自分で自分に往復ビンタを食らわせたっス。

 シャキッとヒンメル副長の脳みそに戻して事態を分析、それからセオリー通りに可能性の高いところを二か所回ったっス。

 どこを周ったかは内緒っス。

 周ったところや、その順序で自分の能力が知れてしまうっスからね。

 二カ所とも不発だったっスけど、大事なことが分かったっス。

 この三日、日貨排斥運動は勢いを増して反日運動に拡大してきたっス。武漢の武昌で狼煙が上がったのが『?』っス。武昌蜂起は300年前の辛亥革命の導火線になった歴史的事件で、それに当て込んだようなのに作為を感じたっス。

 起きるなら上海・南京・香港・寧波あたりの日系企業や日本人が多くいるところっス。むろん、そういうところでもドンパチは起こってるっス。だけども武漢の武昌というのは作為を感じる……って、これは余計なことっス。ま、じっさい、武昌のあくる日には上海以下の街でも反日暴動は大きくなってるっス。

 日本人居住地域が封鎖されているのを尻目に空港に向かっているっス。

 シマイルカンパニーにはお世話になったっスけど、ツナカンの任務は殿下の捜索と救出っス。

「ネーチャン、いや、アネサン、ほとうに腕の方は大丈夫なんでしょうねぇ」

 夕べぶちのめしてやったオッサンが胡乱な目で聞くっス。

 こいつは、上海のヤクザで、上海からヤバイブツを運び出すパイロットを探していたっす。

 ブツの中身が相当なものだということは、飲み屋の裏で半殺しにされかけていたモグリのパイロットを助けたことで分かったっス。

 このところの暴動で、空港は軍関係の機体以外は飛行禁止。それで、契約の成立したブツを運び出そうにも動きが取れねえ。それで、パルスレーダーに引っかからねえ超低空で運ぶパイロットが急きょ必要になりやがったんすけど、パイロットがビビっちまって尻込みしやがって、ヤクザが焼きをいれたってわけっス。

 それを、たまたま見かけたツナカンがヤクザをぶちのめして、ナシを聞いたら自分にとっても渡りに船で、そのヤクザは泣いて喜んでツナカンに任せたわけっス。

「相手は日本の同業者です、約束通りにいかなかったら、こっちの身がヤバイんですから( ノД`#)」

 腫れた頬っぺたを押え、尻込みしながらヤクザは頼んできたっス。

「おう、任しとけ」

「頼むよぉ。これ、しくじったら、うちの幇(パン)はおしまいなんだからよ」

 やる前からヘタレテやがんのは親分の息子。オッサンは、この息子の守り役で、こんどの仕事でボンボンに花を持たせてやりたいから。むろん殊勝な忠義心からじゃねえっス、ボンボンを利用して幇の実権を握りたいからっス。

「それなら、付いてこなくてもいいんじゃねえのか」

 だから、意地悪を言ってやるっス。

「んなわけにいかないだろが、腕があるとはいえ、一見(いちげん)の女ヤクザパイロットに全部任せられっかぁ!」

「ビビりながら言うと、男の値打ち下がるぞぉ」

「ビビッてなんかねえ!」

「そうか。じゃあ、行くぞ。時間も押してるんだからな」

「お、おう」

 パシン!

「な、なにすんだヽ(`Д´)ノ!?」

「ここからは、このツナカンがボスだ。口の利き方に注意しやがれ」

「ム!」

「若、ここはご辛抱を。じゃ、アネサン頼みましたぜ」

「ウム、任しとけ」

 目的地は大連。

 そう、三つの候補地は外しちまったっスけど、四つ目の大連は当たりに違いねえと思うツナカンっス。

 飛行機は超低空を大連に飛んだっす!


☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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千早 零式勧請戦闘姫 2040・34『クロックの配達日記』

2025-05-07 08:33:53 | 不思議の国のアリス
千早 零式勧請戦闘姫 2040  
34『クロックの配達日記』




 市庁舎の上にゼロ戦が戻ってきた。


 先月は突如、市庁舎の上空で米軍機との空中戦になってしまった。

 ゼロ戦がバタバタと撃墜され、付近の建物や道路に墜落。リアルなホログラム映像なので一時はパニック状態になったが、九尾市を挙げての『ゼロ戦100周年』、コンピューターがハッキングされたが無事に復旧したということで再開されている。

「こっちは復旧したけど、バブルの森は振出しだなあ……」

 キュービック(最上階の展望レストラン)の窓際席、今日はランチの後、渋茶で粘っているアカリン市長だ。

 先日、自ら調査に入ってバブルの森が異常であることを確認してしまった。

 森の中心部分が熱を持って軟弱になっているのだ。堆積した腐葉土の異常発酵だとされているが、症状は地層の深いところまで及んで、現在は森への立ち入りは禁止されてしまっている。

 このままでは、誘致するはずだったロボット工場は進出を白紙に戻すだろう。

 地上に目を落とすと、宅配便の車が停まって配達の真っ最中。人が付き添っていたはずだったが、いつの間にかロボットが一人で仕事をこなしている。

「おやおや……」

 交差点で、ロボットは一旦停止し、左右を確認してから道を渡った。

 ロボットは衛星や監視カメラとリンクしているので、わざわざ立ち止まって視覚的な確認など必要ないのだが「危なく感じる」「子どもたちが真似をする」という苦情が出て、ギミックとして停止と左右の確認をやっているのだ。

「これからはロボットの時代なんだけどなあ……」

 宅配ロボットは一台で宅配トラック二台分の値段がする。大手のクロクマトヤマだから導入できているが、中小の業者に広がるのにはもう少し時間がかかるだろう。しかし、先進国では税制優遇などの措置が講ぜられて工場や研究施設が作られ始めている。

「なんとしてでも誘致しなくっちゃ……」

 ブゥゥゥゥーーーン

 抑制されたエフェクト音をさせて窓の外をゼロ戦が横切った。

「ゼロ戦は飛び立たせるだけだったけど、ロボットは九尾の基幹産業に育てなくっちゃねえ……」

 配達を終えたロボットが、交差点の向こうで左右を指さし確認。

「え?」

 その指が、自分を差した。

 コンニチハ アカリンシチョウ(^▽^)/

 目の前の窓ガラスにロボットらしい片仮名でメッセージが投影される。

 ロボットが指差し確認した指の先からレーザーで投影している。

 思わずアイドル時代のように笑顔で手を振り返す。


 市長室に戻ると、PCのネットニュースが新着のシグナル。


 クリックすると『配達の途中、市長さんにご挨拶したら笑顔が返ってきました』と、ついさっきのロボット。

 タイトルは『クロックの配達日記』とあって、クロクマのロボット配達開始のキャンペーンの一つだと知れた。



☆・主な登場人物
  • 八乙女千早           浦安八幡神社の侍女
  • 八乙女挿(かざし)         千早の姉
  • 八乙女介麻呂          千早の祖父
  • 神産巣日神          カミムスビノカミ
  • 天宇受賣命           ウズメ 千早に宿る神々のまとめ役
  • 来栖貞治(くるすじょーじ)  千早の幼なじみ 九尾教会牧師の息子
  • 天野明里            日本で最年少の九尾市市長
  • 天野太郎            明里の兄
  • 田中            農協の営業マン
  • 先生たち          宮本(図書館司書)
  • 千早を取り巻く人たち    武内(民俗資料館館長)
  • 神々たち          スクナヒコナ タヂカラオ 巴さん
  • 妖たち           道三と家来(利光、十兵衛)
  • 敵の妖           小鬼 黒ウサギ(ゴリウサギ)
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・206『MITAKAの代替わりと巡の決意』

2025-05-06 09:37:35 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
206『MITAKAの代替わりと巡の決意』   




「それでは、1972年度初めてのMITAKAを始めまーす( ー`дー´)!」

 会議室に関根さんの声が響いた。

 今日、5月6日は振り替え休日。

 なんだけど、昭和47年の宮之森高校は普通に土曜日。昭和の連休は、あくまでカレンダー通り。その連休明けの土曜日、新二年生たちだけで企画運営する最初のMITAKAが始まったんだ。

 関根さんは「先輩方も参加してくださぁい(^〇^;)」と微妙にひきつる笑顔で連休前には仁義を切りに三年の教室を周ってくれた。

「おお、いよいよなんだぁ」「うん、ありがとう」「最初だけ居させてもらおうかな」「健闘を祈るよ」「まあ、お手並み拝見だな<(`^´)>」

 みんな激励の一言を送った。最後のエラソーなのは10円男。

 会議室はテーブルが壁際に寄せられて、正規の椅子とパイプ椅子が二重の円に並べられ、わたしたち三年生は出入り口に近いパイプ椅子。

「ええとぉ、まずは、これを聞いてください」

 関根さんが目配せすると、お仲間の二年生がラジカセのスイッチを押して陽気な音楽、サンバっぽいのが流れる。すると「おお」とか「ああ」とかいう空気になって、微妙に固かった空気が解れてくる。

「あはは、やっぱりみんな聴いてるんですね。そうです、これは深夜ラジオのテーマ曲ですねぇ。なんの番組か分かります? 分かる人!?」

 みんなニコニコ手を挙げて「オールナイトニッポン!」と当てる前から声が上がる。

「そうですねえ、やっぱりみなさん聴いてるんですねえ(^▽^)」

 なかなかの滑り出し。ちなみに、あたしは『オールナイトニッポン』も『深夜ラジオ』も初めて聞く固有名詞だったりする(^_^;)。

「けっこうやるね」「心配無さそう」「うんうん」

 真知子とたみ子が小声で頷き、高峰君もやさしくつぶやく。

「みんなは、何曜日っていうか、どのパーソナリティーが好きですか? ちなみに、わたしは……」

 順調に誘導していって、どうやら大丈夫そう。みんなが「〇〇がいい」「〇△がいちばん」「みんないい」とか口々に言うのを「〇〇さんと言えば、戦後生まれ期待の新人ですがぁ……」と話題と興味を広げていく。

 さ、もう大丈夫。

 そろりとお尻を上げると、すでに真知子たちの姿は無い。

 みんな心得ている。

 ロコは最後まで参加するって言ってたし、10円男に「邪魔するんじゃないわよ」と念を押し、ナースチャといっしょに会議室を後にした。

 ナースチャは、まだ二回目のMITAKAだから「残っていてもよかったのに」と水を向けたんだけど「ううん、いいの(^_^;)」と遠慮がちな笑顔。

「ひょっとして……ユリアのことが心配だったりする?」

「あ、ううん……」

 やっぱり心配なんだ……何度も命を狙われてるしね。

「これからは夏に向かうだろうし、ロシア人は夏に弱いからね。ユリアもそうそう仕掛けてはこないわ」

 遠慮してるんだ……ウウ……心の友にこんな顔をさせちゃダメだ。

「あのね、ナースチャの敵っていうだけじゃなくて、わたし、あいつから取り返さなきゃならないものがあるのよ」

「ひょっとして、高松塚の宝剣?」

「うん、そろそろ本気で取り返さなきゃ青さんに申し訳ないしね」

「グッチ……」

「だいじょうぶだいじょうぶ、ペコさんとかもいるし。それに……こんなのもある」

 シャラン☆彡

 魔法の格納庫から例のものを出す。ほら、スセリヒメからもらったハイポーションみたいな特効薬!

「え、サンドイッチ?」

「ううん、シベリアっていう元気と力の出る魔法のスィーツさ。ちょっと食べてみ」

「ここで?」

 あ、校舎の真ん前だ。

「じゃ、向こうで」

「うん」

 そこは、南館とグラウンドの境目、あのウェディングパラダイスをやった栄光の雛壇。ナースチャと並んでシベリアをパクつくと、空にはジャンボジェットが飛行機雲をひいて、なんとかなるような気がしてきた。



☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
  • ユリア               ナースチャを狙う魔法少女
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ  戦艦石見(アリヨール)  藍(アオ、高松塚の采女)    
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
   
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滅鬼の刃・エッセーラノベ 41『テレビの音』

2025-05-05 15:30:42 | エッセー
 エッセーラノベ    
41『テレビの音』  




 久しぶりに電話をするとテレビの音がしました。


 日がな一日テレビを点けているのは還暦以上の年寄と相場は決まっていますが、年寄ではありません。

 孫の栞に電話をしたのです。

「えぇ、なにぃ……(-_-;)?」

 のっけから不機嫌です。

 まあ、前回は白内障と網膜裂孔の付き添いの面倒をかけたので仕方のない反応です。

「じつは……」

 用件を述べると不承不承納得してくれたのですが、そのことは別に稿を改めたいと思います。


 今回の話題は、点けっぱなしのテレビです。


 栞は引き取った時からテレビを点けっぱなしにしていました。小さいテレビを捨てずに置いていましたので、それを自分の部屋に持ち込んで点けっぱなしにします。

 これについては、冷やかしたり話題にすることはしませんでした。亡くなった武者も知っていましたので、栞にその話題を振ることはしませんでした。雑駁な元教師でしたが、そのあたりの機微は心得ていました。

 栞にとって、テレビの音は自然な環境音なのです。

 栞の両親は、一日リビングのテレビを点けていました。

 どちらかと言うと両親には反抗的な子だったのですが、親への気持ちとテレビは別のようでした。
 学校などで面白くないことがあった時、親がうっとうしい時、そういう時は意識を遮断してテレビを観ます。時には音だけを聞く。そんな感じです。

 狭い家の中で、自分一人の意識に潜り込むには、いいガジェットなのでしょう。

 わたしや武者が若い時はラジオでした。

 ツケッパのFM放送をイヤホンで聞きながら気の乗らない勉強をしていました。『オールナイトニッポン』『セイヤング』、ちょっと渋いところで『ジェットストリーム』。
 ラジカセでしたので、友だちにコピーしてもらったフォークやサントラを繰り返し聞いていたこともありますね。
 テレビの『11PM』の時もありましたが、テレビは、とくに『11PM』などは観てしまうので、主流はやっぱりラジオでした。

 で……そうそう、栞のテレビです。

 栞にとってテレビは――親が自分たちがリラックスするために点けていたもの――で、いわば親たちの団欒のための仕掛けです。

 だったら、気にそまない親たちと同じ団欒の中に居るのは苦痛にはならんのでしょうか?

 点けている番組もバラエティーが多くて、次にニュース、天気予報。同年配の子たちとちがってアニメはあまり見ないのですが『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとり言』はオンタイムで観ていました。たぶん、アニメを除けば親たちが点けていたのと同じか同種の番組です。

 わたしの両親もラジオは聞いていましたが、のど自慢やラジオドラマ、ニュースや天気予報、演芸番組、わたしが生まれる前は配給情報などを聴いていたそうです。

 わたしがラジカセで聞いていたのは、どういうくくりになるか分かりませんが、いわゆる深夜番組。パーソナリティーのトークと視聴者のハガキ、リクエストでかかる流行の音楽。ニュースや天気予報も深夜放送の番組で流れるもので、けして通常のニュースや天気予報などは聴きませんでした。

 ところが、栞は、自分が嫌いだったはずの親たちが観ていたのと同じ、同種の番組にチャンネルを合わせています。

 うまく表現できませんが、感覚が違います。

 そのへんに拘って、電話の顛末と合わせ、もう一度書いてみようと思います。

 

 

 

 
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銀河太平記・301『大連の洋館にはお掃除ロボットも居なくて』

2025-05-05 10:43:56 | 小説4
・301
『大連の洋館にはお掃除ロボットも居なくて』 胡盛媛中尉 




 大連は遼東半島の先っぽにあって、その主要部は、そこから黄海に突き出した大連半島。東を向いた亀が甲羅から首を突き出した感じ。

 その亀の喉首を撫でるように車は走って顎のところの洋館にたどり着く。

『古い洋館だけど、手入れは行き届いてるわ。ただ、ITとパルス関連の機材はいっさい無いから、よろしくね』

「はい、承知しました。閣下との連絡は?」

『そっちからは何もできないわ。なるべく頻繁に連絡するようにするから、そのつもりでいて』

「承知しました」

 日貨排斥から始まった暴動があちこちで起り始めている。大統領はそちらへの手当てもしなくてはならない。というか、そっちの方がはるかに大事だし。

「あ、車が行ってしまう……」

 いま下りたばかりのバンが回れ右して亀の鼻先の方に走り去っていく。

 無人のままあちこちを走って、わたしたちが降りた場所を掴みにくくしているんだ。ほかの車も同じように漢明国内を走っているんだろう。

「あれ、門が開きませんねえ」

「自分で開けるんだと思いますよ……ほら」

 ギイイ

「なんだか新鮮ですねえ(^_^;)」

 敷地に足を踏み入れると、カメラやセキュィティーのガジェットが一つも見当たらない。設備面から見ると、この屋敷は、そのまま20世紀に持って行っても違和感が無い。

「掃除機も居ませんねえ」

 ルンバをご先祖とするロボット掃除機は24世紀の今日では、あいかわらずの丸型とアニマル型ヒューマノイド型に分岐して、昭和の一般家庭に箒やちり取りがあったのと同様の存在になっている。

 むかし、日本の国会が外国製の掃除ロボットを使っていて、議事堂内の配置から議会や委員会の情報と会話、議員や大臣の動向と秘密まで抜かれて大騒ぎになったことがある。その話をすると、殿下も愉快そうにお笑いになって話を継がれた。

「内閣が総辞職に追い込まれて、与党も過半数を割り込んだんですよね『ざまあ見ろ解散』になって、日本の政界再編のきっかけになったんだ(´∀`)。総理大臣まで落選して……そうだ、あれは岸波総理。落選後、新宿の占い師にみてもらいに行って、新宿に占い横丁ができるきっかけになったんですよ」

「え、そうなんですか! 占い横丁は漢明の若い子たちにも人気ですよ(^▽^)!」

「友人がニコライ堂の裏で四柱推命をやってたんですがね、新宿に引っ越すハメになって……あれ?」

「……思い出してきました?」

「ぼくは、やっぱり日本人……だったんですかねえ……いや、外国の人だって東京には住んでいたし……」

「その、ニコライ堂のお友だちは(;'∀')?」

「……えと……思い出せません……たった今は思い出せていたのに……えと……えと……(-_-;)」

「あ、いいですいいです! そ、まずはお屋敷の中、掃除しましょう! 今日はわたしたちがお掃除ロボットですよ!」

「よし、まずは、そのためには屋敷の中を分かってなくてはいけませんからね。屋敷の中を探検です!」

「おお!」

 その日は一日かけて探検と掃除。窓から見える景色は東西南北、いずれも絶景で風光明媚「明日は散歩しよう!」と誓い合った。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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千早 零式勧請戦闘姫 2040・33『バブルの森と浦安の森と』

2025-05-04 14:45:48 | 不思議の国のアリス
千早 零式勧請戦闘姫 2040  
33『バブルの森と浦安の森と』




 ワチャワチャワチャ ワチャワチャワチャ ワチャワチャワチャ


 幽けき音がするたびに、余計な枝や葉っぱが落ちていく。

 ゴールデンウイークのど真ん中、さくらからもらった服の中からサロペットを選んで浦安の森の手入れをやっている千早だ。

 連休前に氏子の有志たちが入ってくれたのだが、年寄りたちばかりで手が回り切れていない。浦安の森と呼ばれる神社の森は小さな小学校ほどの広さがあるのだ。
 江戸時代以前は幕府や大名から社領を認められていて、領民が手入れをやり、終戦までは県社の社格が与えられてなんとか回ってきたが、令和も22年の今日、氏子の減少と高齢化でいささか苦しい。

「まあ、験担ぎの奉仕だから形だけでいいさ」

 祖父の介麻呂は鷹揚に言うが、父の一彦は――これでは秋に人を雇ってやらなきゃならないなあ――と気を落としていた。

「じゃあ、道三たちでやってちょうだいよ」

 居候の斎藤道三に命じたのだ。先日は鳥居を塞いだ大岩を除去できなかった斎藤軍団なので「これで埋め合わせ」と働かされている。千早はこういう点抜け目がないというか、人を使う(斎藤軍団は人ではないが)機微を心得ているところがある。

「急いてはいかんぞ、気取られてはならんからな」

 道三は嫌な顔もしないで家来どもに下知している。

「ああ、悪いわねえ、気を遣わせて(^_^;)」

「なあに、疾きこと風のごとしじゃ」

「殿、それは武田信玄の孫氏の兵法でござります」

 家老がピシリとたしなめる。

「読みが浅いぞ利光。ここで言う風とは自然な早やさと言う意味じゃ。やり過ぎを戒めておる」

「なるほど、あくまで、自然に枝葉が落ちたようにでござりますな」

「そうだ。我らの存在を人に気取らせてはならんからな」

「ハハッ、利光、気が及びませなんだ。家来どもにも念を押してまいりまする」

「うむ、頼んだぞ」

「ハッ」

「あのご家老様、利光さんて言うんだ」

「閃きはござらんが実直な男でござる、平時には頼りになりまする」

「そうなんだ」

「人を使うには気を遣わねばなりませんぞ」

「ああ、気をねえ……(^_^;)」

 勧請戦闘姫になったのかならされたのか、二月がたち――神さまを使っているのか使われているのか――どっちだろうと考えてしまう千早。

「昔は糺の森と申しましてなぁ」

「タダスノモリ?」

「バブルの森でござるよ」

「ああ……って、昔からあったの?」

「いかにも、後年信長が火をかけて野原に戻してしまいましたが、いまの樹相、森の佇まいは糺の森の頃に似ております」

「……なにか因縁のある場所なの?」

「その名の通り、人を糺します」

「人を正す?」

「『糺す』の方でござる。事の是非や真偽を糺すの『糺す』でござる」

「〇かXか、AかBか……的な?」

「左様……強い志と迷いのある者が踏み込むと、その者を糺してしまいます」

「ちょっと怖いわね……でも、こないだ行ったら穢れ的なものは感じなかったけど」

「熱を持っておったでござりましょう?」

「あ、うん……草や苔の下はグジュグジュになってたとこもあったし」

「さよう、そこでござりまするよ……お、戻ってまいりましたな」

 拝殿の向こう、鳥居の前で蹄の音がして、だれか鎧の音をさせてやって来る者がある。

 カチャカチャカチャ、ジャキ。

「調べて参りました」

 兜を背掛けにした若武者が蹲踞した。

「いかがであった十兵衛?」

「邪気は失せておりまするが、霊脈に繋がる熱を持っております」

「やはりな……ご苦労であった、暫時休息をとって、こちらの森を頼む」

「ハ」

 カチャカチャカチャ……

「念のため見届けさせました、土は軟弱にはなってはおりますが、当面の災いは無いようでござる」

「確認してくれたんだ」

「戦闘姫殿の御ため、しいては美濃の国のためでござる」

「あ、ありがとう!」

「信長のように焼き払えれば数百年はもつのでござるが、令和の御代、乱暴なことも出来ませんでなあ……どれ、この斎藤入道も枝払いいたしまするか。誰か枝切ばさみをもて!」

 斎藤道三も加わり、夕刻には浦安の森は夏の装いになった。


☆・主な登場人物
  • 八乙女千早           浦安八幡神社の侍女
  • 八乙女挿(かざし)         千早の姉
  • 八乙女介麻呂          千早の祖父
  • 神産巣日神          カミムスビノカミ
  • 天宇受賣命           ウズメ 千早に宿る神々のまとめ役
  • 来栖貞治(くるすじょーじ)  千早の幼なじみ 九尾教会牧師の息子
  • 天野明里            日本で最年少の九尾市市長
  • 天野太郎            明里の兄
  • 田中            農協の営業マン
  • 先生たち          宮本(図書館司書)
  • 千早を取り巻く人たち    武内(民俗資料館館長)
  • 神々たち          スクナヒコナ タヂカラオ 巴さん
  • 妖たち           道三と家来(利光、十兵衛)
  • 敵の妖           小鬼 黒ウサギ(ゴリウサギ)
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・205『お祖母ちゃんと過ごす連休中日』

2025-05-03 09:06:58 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
205『お祖母ちゃんと過ごす連休中日』   




「う~~ん……ざっと2000人?」

 そう答えると「少しは分かるようになったかな」とお祖母ちゃんは頷いた。

 財務省前のデモの動画を見せて「何人いる?」と質問してきたんだ。増税しか考えていない内閣や財務省に反対して毎週のように財務省解体のデモが行われている。その動画。

 ナカグスクさんの話をしたら、沖縄返還の話からデモの話になった。

「今度は、これだ」

 キーボードをたたくと、すごいのが出て来た。

「うあぁ……」

 それは、何十万という人たちが国会を取り囲んでデモをやっている映像……画面がブルブル震えて、それはヘリコプターの振動なんだろうけど、カメラマンが慄いているように感じる。

「60年安保、主催者発表で33万人、警察の発表で13万人の参加者だった。まあ、実数は25万くらいかねぇ」

「ええぇ……」

 かなり引きの映像で、国会の全周が見えてるんだけど、周囲の道路は全てデモ隊の人たちで埋め尽くされている。財務省の2000人とはグレードが違う。

「え、なんか突入してるよ!」

「ああ、多勢に無勢、警察はデモ隊の百分の一も居ないからね、議事堂の玄関先までデモ隊が押し寄せたさ」

「これ、3Dにならないの?」

「刺激が強いからねぇ……」

 言いながらお祖母ちゃんは別の映像をフル3Dの映像で見せてくれた。

「国会の控室さ」

 丸いテーブルを囲んで、出っ歯で垂れ目のおじさんと、それを少し渋くしたようなおじさんが厳しい表情で腕組みしてる。周囲には、お役人だか議員だかが同じように厳しい顔で立っている。

「岸総理と弟の佐藤栄作大蔵大臣だよ」

「あ、安倍さんのお祖父ちゃん!?」

「まあ、見ておいで……」

 部屋には入りきれないで、廊下や他の部屋でも大臣や役人や議員たちが厳しい顔で立ったり座ったり。外ではデモ隊と警察の怒号が飛び交っている。

 ガッシャーン!

 なにかがぶつかるか壊れるかの音がして、部屋の人たちが一瞬そっちを見る。すると、廊下から駆けこんできて報告するナンチャラ長官。

『総理、このままでは議事堂の中に突入されてしまいます(;゚Д゚)!』

『そうかね』

『もう機動隊だけでは支えられません(-_-;)』

『総理、自衛隊に治安出動を(;゚Д゚)!』『そうだ、自衛隊を出動させよう(''◇'')ゞ!』

 なんかヤバいことを言いだしてる。

『それはダメだ』

『総理!』

『自衛隊を国民にぶつけては絶対ダメだ、百年の禍根を残す』

『兄さん、デモ隊が突入したら、ここで死のう』

 ただでも大きい目を見張って身を乗り出す佐藤大臣。

『ああ、これで安保条約が成立するなら死んでも惜しくない』

『総理……!』『せめて避難を!』『地下室に!』

『いや、ここでいい、ここに居なくちゃ』


「なんで避難しないの?」

 いまの総理大臣だったらぜったい逃げてる、いや、自衛隊とか呼んでガチガチに身辺を固めさせてる。そんでデモ隊に発砲させて「総理のわたしに万一のことがあったらどうするんだ!」とか涙目で吠えてる!

「あれ、壁際に立ってるの、お祖母ちゃん?」

「え、見えてるの?」

「あ、うん……ていうか、他の人は見えてないの?」

「……メグリ、あんたますます力付けて来たねぇ。いちおう、窓のカーテンに化けてるんだけどね」

「え、あ、そうなんだ(^△^;)」

「万一の時は、国会を護れって命令だったからね。でも、こんな何十万人のデモ隊、魔法少女でも対応しきれないよ」

「そうだろうねぇ(^_^;)」

「まあ、沖縄返還のときはこれほどじゃないけど、日本人というのはほんとうに前が見えてないからねぇ……さあ、お茶でも淹れようか」

 連休の中日はお祖母ちゃんとしみじみお茶を飲んで過ごした。
 


☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
  • ユリア               ナースチャを狙う魔法少女
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ  戦艦石見(アリヨール)  藍(アオ、高松塚の采女)    
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
  
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銀河太平記・300『大連へ』

2025-05-02 10:56:55 | 小説4
・300
『大連へ』 胡盛媛中尉 




 乾鎮に向かっているのかと思ったら、日差しの向きが違う。


 乾鎮は北京の西北だから、日差しは左から。それが背中の方から差してくるので車内は微妙に薄暗い。
 前方を見ても、バックミラーに映る後方を見ても僚車の姿は見えない……いつのまにか、このパルス車一台だけで東に向かっているんだ。

『大連に向かっているのよ』

 ヘッドセットから大統領の声。

「大連ですか?」

『うん、乾鎮でも大丈夫なんだろうけど、念のためにね』

「随伴の僚車は?」

『あちこちに分散させたわ。行方を掴ませないためにね。専用車は乾鎮に向かわせた。いちばん順当だし』

「あ、そうですね」


 中南海で騒ぎがあった。


 広場に買い物に出かけた殿下に鋭い視線を向けて接近する美少女。一見露天の売り子だけど、発するオーラが違う。
 広場に忍んでいたセキュリティーたちも一斉に反応。直後、その美少女はあやふやな笑顔で頭を掻きながらゴミ集積場にごみを捨てに行った。

 ひょっとしたら、なにかの勘違いかもしれないけど、大統領は大事をとって、殿下を避難させた。

 いまは、その車中。

 わたしと殿下は瀛台(えんだい)のバンで、たった今告げられた大連に向かっているらしい。

「大連に向かってるんですか?」

 バックミラーの殿下と目が合ってしまう。

「え、ああ、えと……」

「あ、口の動きが大連……あ、申しわけない唇を読んだりして(^_^;)」

「いえいえ、秘密と言うわけじゃないですし、大統領もお忙しい方ですから(^○^;)」

「そうですね……大連はいいところです。遼東半島の先っぽで、いろんな国の文化が混ざって蒸留された街です。満州への玄関口でもあるし、上海と並んで漢明の海の玄関口でもあります」

「あ、そうですね。旅順港や203高地は史跡で、観光開発も進んでいますしね」

「アカシアの並木道とか風光明媚だし、ちょっと楽しみですね(^_^)」

 ご人徳なんだ、何事も好意に捉えて泰然自若。

 まだ、ご自分のことも思い出されない殿下だけれど、身に着いた気配り、お気遣いはとてもゆかしい。

「大統領はごいっしょじゃないんですね」

「お忙しいお方ですから……」

「そうですね、うん……そうですね……」

 笑顔のまま口をつぐまれる殿下。

 振り返った車窓、背後の空は茜に燃え、山々が朱に染まっている。

「火焔山みたいだ……なんだか佳境に入ってきた西遊記だなあ」

「向かっているのは東ですよ」

「じゃあ、ここからは東遊記だ」

 そう宣言すると、耳からなにか取り出す仕草。

「あら、如意棒でも出てくるんですか?」

「こうやると……」

 左胸を撫でるようにして手を開かれるとほんとうに如意棒!?

「え?」

「そして、こうやると……」

 如意棒を載せたまま手を叩かれると、孫悟空のマスコットになった。

「ま、広場で?」

「ええ、騒ぎになる前、これ一つだけ買えました」

 それは変形文具シリーズの一つで、如意棒の状態ではボールペンになる仕掛けになっている。

「フフ、自分が如意棒になってしまうなんて、変な悟空ですね」

「でも、これで戦えば人の痛みが分かりますよ」

 そう言って手をパンパン。その度に悟空になったり如意棒に戻ったり。

「あれ(;'∀')?」

「あ、戻らなくなりました?」

「アハハ、悟空の状態だと字が書けませんからねぇ(^_^;)」

「ちょっと見せてください」

「うん、直るかなあ」

「いちおう情報部の軍人ですからね、こういうガジェットは……」

 引き受けたものの意外に時間がかかって、直ったころには遼東湾の向こうに大連の街が見えてきた。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 

 
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千早 零式勧請戦闘姫 2040・32『バブルの森で市長と出くわす』

2025-05-02 07:43:50 | 不思議の国のアリス
千早 零式勧請戦闘姫 2040  
32『バブルの森で市長と出くわす』




 森の中、逆鱗が現れた宅地に向かう千早と貞治。

「大丈夫かぁ、ズンズン進んでぇ?」

 鬱蒼とした森の中は20メートルも入り込むと方角も定かでなくなって、怖気を振るう牧師の息子だ。

「え、ああ、大丈夫よ。前にも来たし、どうってことないわよ」

「ウワ!」

「ちょ、しっかり歩きなさいよ」

「いや、葉っぱや苔やら……下は地面かと思ったら深くてさ」

 木に掴まって上げた貞治の右足は、ふくらはぎのところまで濡れ苔がまとわりついている。

「もう、わたしの後ろを踏みしめて歩きなさい」

「お、おう……千早、なんで、スルスル歩けるんだ?」

「え、ああ……巫女の勘よ」

「ええ、保育所や遠足じゃよく行方不明になってたくせに」

「もう、古い話を……あれだって、ちゃんと自分で戻ってきたじゃない」

 千早は、小さいころからあれこれ気を取られる性質で、最大で半日行方不明なることもあったが、いつも無事に戻ってきている。

「でもよ……苔の下とか、少し温い感じがするぞ」

「え、腐葉土とかじゃないの」

「おい、湯気が立ってるぞ」

 貞治が踏み抜いた穴からは、仄かに陽炎のような湯気が立っている。

 一瞬、妖かと思う千早だが――怪しの気配は無いぞよ――ポケットの姫鏡は特段の異常はないと呟いた。

「変だなあ……」

 学校にやってきた黒ウサギはフェイントで、バブルの森こそ元凶だとやってきた千早は肩すかしの感じがした。


「あ、あなたたち……」


 前の薮が揺れたかと思うと、九尾市の作業服を着たアカリン市長が役人を引き連れて現れた。

「あ、市長さん!?」

「クラブ活動かなんかなの?」

「あ、そんなとこです。こないだは資料館の方に行ったんで、今度はその周辺をと……市長さんは調査ですか?」

「まあね。近々公聴会があるから、念押しの予備調査って感じ」

「あ、それはご苦労さまです」

「慣れてはいるんでしょうけど、気を付けてね、足もと悪そうだから。あまり奥に入っちゃダメよ」

「ハイ」

「じゃ、助役さん、わたしたちも」

「はい、市長」

「失礼します(^_^;)」

 ペコリとお辞儀する千早だが、助役が手にしていた地図には、いろいろチェックされていて、書き込まれた数字は森の中の気温や土壌の温度なんだろうと見当をつけた。ほかにも地図記号みたいなものも書かれていて、興味津々の千早だ。

 それから少しだけ奥に踏み込み、土壌が異常に暖かいこと、にもかかわらず、妖の気配がしないことを確認して森の外に出た。

 駐車場まで戻ると、ちょうど農協の田中さんが車を出すところ。

 助手席の新人職員が畏まっているのを微笑ましく見送って家に帰る二人だった。



☆・主な登場人物
  • 八乙女千早           浦安八幡神社の侍女
  • 八乙女挿(かざし)         千早の姉
  • 八乙女介麻呂          千早の祖父
  • 神産巣日神          カミムスビノカミ
  • 天宇受賣命           ウズメ 千早に宿る神々のまとめ役
  • 来栖貞治(くるすじょーじ)  千早の幼なじみ 九尾教会牧師の息子
  • 天野明里            日本で最年少の九尾市市長
  • 天野太郎            明里の兄
  • 田中            農協の営業マン
  • 先生たち          宮本(図書館司書)
  • 千早を取り巻く人たち    武内(民俗資料館館長)
  • 神々たち          スクナヒコナ タヂカラオ 巴さん
  • 妖たち           道三(金波)
  • 敵の妖           小鬼 黒ウサギ(ゴリウサギ)
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・204『先勝の結婚式・2』

2025-05-01 09:25:57 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
204『先勝の結婚式・2』   




「あ、ナカグスク様です」

 担当さんに訂正されてしまった。

 
 写真館の仕事は、結婚式、記念写真、披露宴の三つの写真を撮ること。

 お式と披露宴はスナップ写真みたいなもんだから気楽にパシャパシャ。

 記念写真は、新郎新婦のツーショットと親族一同の雛壇写真で、いちばん気を遣う。

 たいてい「新郎様」「新婦様」とお呼びするんだけど、いちおう両家の苗字は確認。字面は見れば分かるけど、読み方は必ず確認する。

 例えば、わたしの苗字は『時司』でトキツカサと読むけど、人によっては「トキジ」とか「トキシ」とか読まれてしまう。おめでたい結婚式で苗字を読み違えるなんて絶対アウトだからね。

「ナカグスク?」

 慣れない読み方なんで、思わず聞き返してしまった。

「新婦様は沖縄の方なの、向こうじゃ多い苗字よ」

「あ、はい(^_^;)」

 高校生というのはミテクレは大人だけど、中身は子どもだからね、知らないことも多くって、時どき注意されたり恥をかいたり。今みたいに「あ、はい(^_^;)」とか「そうなんだ( ゚Д゚)」と明るく返すことを旨としている。
 こういう時に、無表情とかフテった顔はぜったいNG。魔法少女だからというんじゃなくて、まあ、人としての対応のイロハ。

 ちなみに、教えてくれたのはお祖母ちゃんじゃなくて、ボスの直美さん。お祖母ちゃんは何百年も魔法少女やってるからたいていのことは知ってるしね。たまに知らないことがあってもごまかす。

 あ、そうそう。アニメの『葬送のフリーレン』を観ていてため息をついたことがある。お祖母ちゃんね。
 勇者ヒンメルのお葬式、いや、埋葬の時にね、ヒンメルのこと「何も知らなかった、人の寿命は短いの知ってて、なんで知ろうとしなかったんだろう」ってフリーレンが嗚咽するところがある。
 お祖母ちゃん、めずらしく怖い顔して見てた。きっと思い当たるところがあったんだ。

 そうそう、中城さんのこと。

 新郎の苗字は鈴木さんで、日本人の代表みたいな感じなんだけど、ご挨拶に行った時、支度部屋に新郎と新婦がいっしょにいらっしゃった。
 普通は、新郎新婦別々の支度部屋で、式場でいっしょになる。ま、たまにあることなんで、そのままご挨拶して出ようとしたら、おふたりでお薬手帳みたいなのを見ている。

 グレーとエンジっぽい色で、お祖母ちゃんの血圧手帳とお薬手帳に似ている。

「あ、これですか?」

 不躾に見てしまったのに、新婦さんは明るく二冊の手帳を示してくださる。

「渡航証明書、こっちは身分証明書」

 ――あ、ヤバイ――

 外国籍の人かと思った。

 こういう身分や国籍に関わることは見ちゃいけない。

「わたし、沖縄なんで、本土に来るにはこういうのがいるんです」

「え、あ……」

「あ、はい(^_^;)」も「そうなんだ」も出てこなかった。

 直美さんが――行くよ――と目配せするんだけど、新郎さんが明るく説明してくださる。

「5月15日には本土復帰して、こういうの要らなくなるんですけどね。15日は赤口なんで」

 ああ……赤口は仏滅に並ぶ縁起の悪い日。

「先勝って、なんだか先取りしたみたいで、いい感じなんで、この日に。ね(^▽^)」

 見交わすお二人。

「おめでとうございます」

 直美さんが締めくくって、スタジオの準備に。

「そうだ、沖縄が返ってくるんだった……」

 準備をしながら直美さん。

「去年は、甲子園の土捨てさせられてたもんなぁ……」

「甲子園?」

「沖縄は外国の扱いだからね、土は持ち込めないのよ」

「そうなんだ……」

 令和では沖縄は沖縄、東京や大阪に行くのと同じで、飛行機のチケット買ったらふつうに行ける。

 ググってみると、長い時間をかけてアメリカと交渉して返還にこぎつけたみたい。時の佐藤総理は、このことでノーベル平和賞をとっている。

 反対する声も大きい。核抜き本土並みとか、沖縄処分反対とか、返還協定批准反対とか……令和の時代でも辺野古基地反対とかやってるし。

 このあと、佐藤首相はいろいろ言われて総辞職。

 令和では、ウクライナとかで、それこそ領土をめぐって血みどろの戦争をやっている。

 ああ……ムズイことは考えない。

 中城、鈴木両家のお写真をキチンと撮って、わたしは連休のど真ん中に突入した。


☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
  • ユリア               ナースチャを狙う魔法少女
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ  戦艦石見(アリヨール)  藍(アオ、高松塚の采女)    
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
  
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・203『先勝の結婚式・1』

2025-04-30 16:05:35 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
203『先勝の結婚式・1』   




 令和から昭和の高校に通って三年目。

 もう三年生だから慣れたんだけど、曜日の違いにカックンとくることがある。

 4月30日の今日、令和は水曜日で連休の狭間。近所の子どもたちはふつうに学校に行く。

 1972年の昭和は連休中の日曜日で学校はお休み。

 人が働いていたり学校へ行ってる日に休みだと、ちょっと気分がいい。


 だけどね、今日のわたしはアルバイトなんだよ。


 戻り橋を渡って昭和47年の宮之森。

「あ、遅れちゃう!」

 今日は連休の日曜日で、暦は先勝(せんしょう)。

 先勝というのは先んずれば勝ちって日で、大安と同じくらい縁起がいい。特にね、午前中がいい。

 いつもよりも二組も多い。なにがって、結婚式よ!

 わたしのバイトは、公民館の結婚式場で記念写真の助手。

 高校に入った時からやっていて、もう日常の一部になってる。

 でも、先勝だってことを忘れていたんで、バイト先の須之内写真館にダッシュ!

 カックンカックン、川沿いの道を走る!

 カックンカックン カックンカックン

 うう……なにがカックンカックンかというと、歩道だよ!

 昭和の歩道は車いすとかを前提に作られていない。点字ブロックとかも無くて、車道との段差が大きい。令和の交差点では歩道が車道と同じ高さになっていて、自転車や車いすでもスイスイ行けるけど、昭和は折り目正しく段差のまんま。

 大浜とか宮之森とか、自治体がしっかりしていて、昭和にしては道路が整備されていて、ちゃんと歩道がある。
 古い街だから、数十メートルおきに交差点。会社やお店があると、そこだけは斜面なんだけど、車道との際を歩いていると段差になってる。前から人や自転車が来ると、いきおい車道側に寄ってこの段差。 

 普通に歩いてる分には気にならないけど、今朝みたいに急いでいると微妙に煩わしい。いちど数えてみた。百ちょっと数えたところでクラクションを鳴らされて――いくつまで数えたっけ?――になってしまった。

 プップー!

 またクラクション……と思ったら、道の向こう側に直美さんのホンダZ!

「やっぱり、ピッタリだったあ(^▽^)/」

「あ、すみません(;'∀')」

 三年目の以心伝心、写真館からZを走らせて、ドンピシャ拾ってもらって、先勝の公民館に向かった。

 続きは、また報告します。現場はめちゃくちゃ忙しいからね(^_^;)。

 

☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
  • ユリア               ナースチャを狙う魔法少女
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ  戦艦石見(アリヨール)  藍(アオ、高松塚の采女)    
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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銀河太平記・299『ツナカン、様子を窺う』

2025-04-29 14:52:27 | 小説4
・299
『ツナカン、様子を窺う』 ツナカン 






 ゴォォォォォォ…………

 アナライザーで計測しなくても分かる振動が地面から響くっス。瀛台の地下を秘密の警邏車両が走るっス! それも、四方に全速力!

 たぶんフェイント。

 殿下を発見した自分が目の色を変えたんで、殿下の動向を眩ますために、警備責任者、おそらくは劉宏大統領自身が指令、いや、自分で操作してるっス!

 大統領でありながら、その時その時、必要な対応ができるのは、本来が生涯現役軍人の元帥だからっス。見た目は、うちの船長より幼いっスけど、数々の戦争や事変を切り抜けてきた歴戦の将軍っス。油断はならないっス!

 広場のほとんどは、いつもの賑わいに戻ってるっス。二十人余りのセキュリティーたちも、通行人や売り子に化け戻ってるっス。ちょっと動揺した人間も居たっスけど、人は雰囲気に呑まれるもんスッ。

 最初こそは影を忍んで突き進んだっスけど、片付けるふりをして店の空き箱や梱包を集積場所に持って行くっス。小梅ネーサンがアレ?って顔っス。

 たった今――これでお別れ――みたいなことを言っていたんすから、混乱もするっス。集積場所は瀛台の逆方向っスからね。

「ついでに弁当買ってくるっス(^▽^)/」

「あ、ええ?」

 小梅ネーサンを煙に巻いて集積場からダッシュ! 外を周って、今度こそは影を拾って東通用門から中を探るっス。

 瀛台から車が二台出て、中海の脇を通って北門。自転車に乗った職員がゆっくり西の通用門へ。

 さっきの警邏車両といい、おそらく、これもフェイント。殿下の出入りをこのツナカンに掴ませないための欺瞞工作っス。

 こういう時は、欺瞞工作に関わっていない人間を見るっス。

 欺瞞工作に関わって居なくても異変を知ってしまえば人は動揺するっス……庭師のオッサンはいつものように庭木の手入れ、南棟の掃除係りもいつものように、キチンと窓を拭き、東棟の女子職員はテーブルを拭いてクロスを掛けてるっス……すでに殿下は瀛台の外に出てしまった?

 瀛台の落ち着きぶりは、殿下の不在を示している……しかし、ほんの十秒ほどとは言え、自分は目の色を変えて殿下を追って、セキュリティーたちも色めき立ったっス。

 少しは広場の方に気を取られるのが自然。

 しかし……

 さすがは劉宏大統領の側近たち、簡単には掴ませないっス。

 ようし。

 ほんとうに弁当を買って出店に戻るっス。

「え、ちょっとぉ」

「アハハ、まずは弁当っス」

「もう、分からない奴だなあ猫猫は(^_^;)」

「あ、お茶買ってくるっス」

 混乱する小梅ネーサンを振り回して、飲茶の屋台に……陸遜のオッサンにお茶を頼んで「小梅ネーサンに」と言づけて西の通用門へ。

 その間、視野の端に捉えた瀛台は、いつも通り。

 ただ、さっき殿下のそばにいた女士官の姿が見えねえっス。

 ツナカンの勘は、七分の確率で殿下は中南海を出たと言ってるっス。

 
「もう、いったい、何だったのよ!?」


 小梅ネーサンに小言を言われ、広場のセキュリティーたちも煙に巻き、その夜、ツナカンは、もう一つの公邸、乾鎮に向かったっス。

 

☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟


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