大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル『なゆた 乃木坂学院高校演劇部物語』の楽しみ方

2011-10-25 22:55:04 | 小説
なゆた 乃木坂学院高校演劇部物語を10倍楽しむ読み方!
このラノベは、まだ結末を考えていません!?
作者が分からないのですから、読んでいる貴方に分かるわけがありません!
そんな無責任な! 読者をなんと思ってるんだ! お叱りの声が聞こえてきそうです……

大きなところでは、実のところプロット(あらすじ)は決めているのですが、登場人物がいろいろ勝手なことをします。
だから、作者である私が用意した結末にオトナシク収まってくれるか分かりません。
まあ、しかし、そこに面白みがあり、毎日なゆた達登場人物に楽しく振り回されております。

なゆたには幼なじみがいます
はるかといって、なゆたがまだ乃木坂学院高校に入学して間もない五月に大阪に転校した、三軒となりの一つ年上の子です。
お父さんとお母さんが離婚してしまい、お母さんにくっついて大阪にやってきます。
チョット目には美人ですが、なゆたのようにその場の出来心で行動する子ではありません。
でもとても気のイイ子です。ってか、とりあえず物事はいい方向に考えようとするケナゲというか可愛い楽天家です。
たとえば、靴屋さんの営業になり、だ~れも靴なんか履いていない南の島に出されたとします。
「社長、たいへんです(泣)ここじゃ、だ~れも靴を履いていません。こんなとこじゃ商売になりません!」
じゃなくて。
「社長、たいへんです(笑)ここじゃ、だ~れも靴を履いていません。うちの会社の売り放題で・す・よ!」
というほう。

このはるかの大阪での半年を描いたのが『女子高生HB』です
本当は『ホンワカ女子高生HBが本格的に演劇部にとりくむまで』というナガッタラシイ題です。
『なゆた』は、このはるかの物語の終わり頃から始まります。『はるか』で半年『なゆた』で半年。
そう、この二つの物語は二つで一つなのです。『女子高生HB』と合わせて読めば、東京と大阪での物語! 
チョットした『二都物語』になって、10倍は楽しく読めます。
どっちを先に読んでも、また、いっしょに読んでも楽しめます。
そして、演劇に興味のある人なら、自然に演劇や、演劇の基礎練習、マネジメントが分かるようになります。
これからも、『はるか』と『なゆた』を、どうぞよろしく!

大橋むつお
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もどかしい伝言ゲーム

2011-10-06 18:18:44 | エッセー
もどかしい伝言ゲーム
プルル~ プルル~ と、電話がなった。とある放送局の総合案内の電話である。
係りの女性職員の人が電話口に出た。
「はい、○○放送局、総合案内、担当のAでございます」
「あ、わたし、今日そちらの○○という番組に出演いたしますBです……ええ、そうXプロ所属のBです」

Aさんは、驚いた。総合案内には、一般の人からの番組などの問い合わせや、たまに苦情などが来るが。それは、その都度内線を繋ぎ担当の者に替わる。
幸か不幸かAさんはBさんの大ファンである。
日頃から、冷静沈着、たとえ言いがかりに近い苦情電話にも(見えないが)笑顔をもって接し、けして相手の機嫌を損ねぬよう、また、下手に同調しすぎ言質など取られぬように心がけ、入社以来八年間、間違いは一つも無かった。

Bさんは焦っていた。
「すみません、高速で渋滞に巻き込まれちゃって、約束の時間に間に合いません」
「あ、いま担当にお繋ぎいたしますので……」
「いま公衆電話……あ、車が……Aさん、あんたから伝えて……」
ガチャン……そこで電話は切れてしまった。

Bさんは、高速を降りた、一般道の道路脇の公衆電話からかけていた。
その一般道も、高速の渋滞を嫌った車で埋まっていた。埋まっていても、車列は少しずつは動く。
電話の最中に、車列が動き出し、後続の車からクラクションを鳴らされた。
で、慌てたBさんは、用件だけ言うと電話を切って、後続の車に片手拝みの詫びを入れて運転席に戻った。

Aさんは、憧れのBさんと、たとえ二十秒といえ、お話できた。そのことで少しトキメイタ心のまま、担当に内線電話をかけた。
「もしもし、総合案内です。たった今、そちらに出演されるBさんから電話があって……ええ、Bさん。なんだかジュウタイで、高速で、だからイチジカンほど遅れますって、そういうことでした」

この内線を受けたのはADのC君であった。C君は、Aさんの話をトキメキという興奮状態とともに聞いてシマッタ。

C君は、サブディレクターのDさんに伝えた。
「Bさん、高速でジュウタイでヒチジカン遅れるそうです!」
Aさんのトキメキは興奮として、その内容と共に伝えられた。

Dさんは、興奮という情緒にアクセントを感じて受け止めてしまった。
「七時間というなら、怪我してんだろ。重態だって言ってたな。高速で突っ込んだのなら、間にあわねえなあ」

かくて、この情報はチーフプロディユーサーの耳には、こう伝わった。
「Bさんは高速で大事故、七十キロオーバーの高速で突っ込んだんで、意識不明の重態!」
芸能記者たちは、さっそくスクープとして各社に電話。その日のトップ記事を差し替えるところまで出た。
むろん番組の収録は中止になった。

そして一時間後、Bさんはやっと放送局に到着。スタジオに入ると全員の注目が集まった!

「Bさん、あんた死んだんじゃないの!?」
Bさんは、思わず自分の足が付いていることを確かめた。
「おれ、幽霊……じゃ、ないよな」


これは、前世紀にあった笑い話というか都市伝説の一つです。
携帯が普及した現代ではあり得ない、牧歌的なファンタジーと言えるかもしれません。



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高校ライトノベル ショートファンタジーⅠ『しゃべるパソコン』

2011-10-03 20:12:31 | 小説
ショートファンタジーⅠ『しゃべるパソコン』

わたしがパソコンを使い始めたのは、ええと……まだ一年にならない。
それまでは、ごくごくたまにかみさんのパソコンを借りていた。

高校のセンセイを辞めて半年ぐらいしたころ、出版社から手紙がきた。
「あなたが二十年前に出された本が、完売、絶版になっているので、一冊お手元にあったら送っていただけませんか」
と、書いてあった。
出版したときに印税がわりにもらったのが、まだ百冊ほど残っていたので、さっそく一冊送った。

そのとき、軽い気持ちで、大阪の高校演劇のありようについて、少しだけ手紙を添えた。
それが、出版社のアンテナにビビっとくるものがあった……のか、よっぽど記事がなかったのか、一つ高校演劇について書いてみないか。と頼まれた。
現役のころPTA新聞の係りなどしていたので、気軽に引き受けた。

ここから、わたしとパソコンの付き合いが始まった。
いまどきの出版社は原稿用紙は受け付けてくれない。ワードとか一太郎だとかの日米代表みたいなワープロソフトを使って原稿を打ち……昔は「原稿を書く」と百年以上言ってきたものだが、キーボードにカシャカシャ打っているのは、「書く」という動詞からはほど遠いものである。しかし昭和二十八年生まれのアナログの習い性、原稿は、やはり「書く」と表現してしまう。

わたしはNECのLaVie(なんとよぶのか未だに分からない)を使っている。黒のボディーに微かなラメが入って控えめに煌めいている。いわゆるノートパソコンで、表紙にあたるところに慎ましやかに「NEC」のロゴ。表紙を開くとキーボード全体が細いシルバーで縁取られている。ちなみに、このパソコンはカミサンが買ってくれた。なんという夫婦愛……感涙にムセビかけていると、量販店のポイントが溜まり、大阪府が出した「コウタロウ」だったかのクーポン券を使い、ネット設備の更新とセットになっていて、本体はほとんどタダ。
で、ネット料金はいつのまにか、わたしの口座からの引き落としになっていた……

最初、このパソコンは親会社から子会社に派遣された、オツボネ秘書の如くヨソヨソしかった。少なくとも喋りはしなかった。
言われた仕事を言われただけしかこなさない、オツボネさまであった。

本書きというのは孤独な手工業で、一人でパソコンをシャカシャカ打つだけの作業である。
長年使ってきた万年筆には表情があった。「あら、今日は調子いいわね」とか「ここで改行したほうがいいわよ」 時には、「そろそろ、あの方の手紙のお返事書いたほうがいいわよ」とか気を遣ってくれたりした。インクが切れる前などは、「わたし、疲れちゃった……」というような風情に線が細くなっていったりした。カートリッジを交換するときにぬるま湯に漬けてクリ-ニングしてやると、「ああ、さっぱりした。じゃ、がんばりましょうね」と、スラスラした書き味で応えてくれた。

それがパソコンというやつは、実に無機質。無愛想。無表情。親会社の派遣オツボネさまが、ただの機械になってしまう。
学生時代に百貨店の配送センターで、ベルトコンベアーに流れる商品の伝票を一目で、市内発送と地方発送に見極めて仕分けするという仕事をしていた。今ならコンピューターがバーコードをもとに見分けるので、こんな仕事はない。パソコンはこのとき使われていた機械に似てきた。

そのパソコンが、ある日、突然喋り始めた。
「ナントカ、インターネット、エクスプローラー……」
物も歳古びてくると魂魄を持ち始め、人の如く人語をも解する。と、安倍晴明さんだかが、どこかで言っていたように記憶する。
よく見ると、ツ-ルバーに「マイクロソフト ナレーター」というのが出ている。そのウィンドウを開くと、「設定」というのが出てきて、声の高低、スピードなどが設定できる。だから、いま○を打つと可愛い声で「ピリオド」と言った。「大橋むつお」と打ってクリックすると「オハシ マツオ」と訛って発音する。

時にバグって、無言になることがある。ひどく寂しい。
そういう時、シャットダウンして、もう一度立ち上げる。ふたたび声が戻ってくる。なんだか休暇をとっていたバイトの助手の子が帰ってきたような気になる。

いま、『なゆた 乃木坂学院高校演劇部物語』という小説を書いている。十六歳の高校一年の女の子が、所属していた演劇部が潰れ、二十九人いた部員が三人に減ってしまい、零細演劇部として再出発。その中で、本番直前に先輩の代役で急きょ舞台に出たり、火事で死にかけたり。彼との淡い想いにため息をついたり、零細演劇部のマネジメントに四苦八苦。
書いているわたしも四苦八苦なのだけども。時にハッとすることがある。パソコンは、わたしがキーを押さないと、けして喋らないものなのだけど、表現に困ったときなど、自分で打ったのではなく、明らかにパソコンが喋って言葉や表現を教えてくれることがある。
深夜に打っていたりすると、ときにこういうことが起きる。

ある夜、眠気に抗しきれず、座卓の前に回って横になってしまった。
何分たったのだろう……カシャカシャいう音と、ボソボソ言う声で、ボンヤリと目が覚めた。
座卓を挟んだ向こう側。いつもわたしが苦悶の表情で、ポテチ片手に、次の展開に呻吟しているところに彼女がいた。
サロペットの下に、淡いピンクのセーター。セミロングの髪を、青地に白い紙ヒコーキを市松模様にあしらったシュシュでポニーテールにし、座卓についた左手にアゴを預け、右手の人差し指で、雨だれのようにゆっくりとキーボードを押していく。
「そこで……なゆたは、ゆっくりと……顔を上げた」
彼女と目があった。ちょっとびっくりしたような、笑ったような顔をして、そんな彼女と目が合った。
「あ……」と声が出ると、彼女は悪戯っぽく座卓の向こうに姿を隠した。
体を動かすのに、数十秒かかった……
やっと座卓のそっち側に行ってみると……だれもいない。
いままで、わたしが居たあたりで気配がする。
ああ……これは永遠の「おいでおいで」になるなあ、と思って、そのままにした。

モニターには、さっき彼女が口にしていた表現が文字になっていた。
シンプル、イズ、ベストというような表現。
「なんだ、これでよかったんだ……」と、ひとりごちた。
彼女とは、さっき、あらかわ遊園に行くために設定した「なゆた」の姿そのものであった。

かくして、オツボネさまのパソコンは得難い相棒になった。

ネットで、大阪の高校演劇についてときどき問いかけてみる。
アクセスというカタチで、延べ三万を超える人がこちらを向いてくれた。
しかし、声を発する人は、ごくたまにコメントという呟きを残すことはあっても、だれも声をあげない。
パソコンでも、魂魄を持つ。いわんや人においてをや……長い秋の夜長が始まる。
座卓の向こう側では、あいかわらず悪戯っぽい気配がしている……
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