大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・ツン読書感想 平田オリザの『幕が上がる』を読む

2015-06-18 08:21:27 | 読書感想
ツン読書感想 
平田オリザの『幕が上がる』を読む



 わたしは平田オリザもももクロも好きじゃない。この好きなものじゃないものがドッキングした。

 幕が上がる……という。

 わたしは平田オリザが嫌いなため劇作家協会も辞めた。それほど嫌いである。
 ただ嫌いだけでは話にならないので図書館から本を借りてきた。
 普通映画の原作本は、数か月待たなければ読めないことが多いが、予約すると、直後に「確保できました」のメールが図書館からくる。

 講談社、四六判、305ぺ-ジもある。2012年の初版第一刷。3年もたつのに、ほとんど読まれた形跡がない。

①とりあえず32ぺ-ジまで

 主役(たぶん、さおり)のモノローグの形ではじまる。状況説明のようなことばかりで25ページ。一度投げ出す。
 主人公の演劇部がコンクールに落ちるという「事件」から始まるが、想像力を総動員して、自分の過去の高校演劇の経験と照らし合わせながら読む。事件なのではあるがドラマ(人間の葛藤やイザコザ)が希薄なため、野坂ほどではないけど、詰め詰めの活字。ボンヤリ読んでいると、筋の流れも掴めない。

 コンクールで負けたあとの日常が淡々と進んでいく。台本を書いた先輩が主人公にコクったのかどうかもわからないまま、唐突に『大学演劇の女王』であった吉岡先生が登場。その描写が「美人の美術新任の先生」
 わたしなら、美人であるなどとは書かない。人物の所作や行動、物事への反応などで人物を表現する。映画の最初がほとんどモノローグであったことが合点される。

②41ペ-ジまで、プロローグを読み終える

 8人いた演劇部は三年生が引退、1・2年生の5人だけの演劇部になるが、新学年になって新入部員が7人五月雨式に入ってきて、一気に12人の演劇部になる。その間新入生歓迎会がちょこっとよかったり、吉岡先生が「みんなが、それぞれ両親のことを語る」ことから芝居を創っていく方法を伝授。しだいに自然な表現ができるようになる。6月に校内公演で、それを演って必ず親に観てもらうことになる。

 相変わらず淡々としたさおりのモノローグ。前半で出てきた先輩の姿が消える。さおりとなにか起こりそうな伏線が張ってあったので期待する。

 コンクールで予選落ちした演劇部が5人に減ることはリアリティーがあるが、新入生歓迎会でやったことがよくて、7人も新入生……まず入らない。ま、そこは目をつぶるにしても、新採の先生が演劇部の指導をする動機が分からない。元学生演劇で女王と呼ばれていても、作品の中で書かれているように、完全に別物。どうやら美術部の正顧問で、演劇部は副顧問。
 新採の副顧問がのめりこんでいく心理的な条件が無い。
 吉岡先生と言うのは平田オリザ氏自身の分身のように思える。高校生といっしょに芝居作りの感動を疑似体験したい……先を読んでみないと分からないが、この段階で人間的な情緒表現がないと、登場人物、特に吉岡先生に感情移入できない。


③57ページまで

 視聴覚教室での特別公演。美人の副顧問吉岡先生が教えてくれた「家族を語る」を6月の上旬にやる。これはリーストラスバーグのメソード演技の中にある「記憶の再現」に似ている……ように思える。
 生徒に自由に語らせる……ところまでは同じ。だがメソード演技の場合「記憶の際限」のためには、演者と講師との間でやりとりがある。なぜなら、心理的、情緒的な記憶は物理的な記憶の再現(思い出し)の果てにやってくるものだからである。人間は「考えている」ように見えても、何かしら聞いて見て、匂いを感じたり、姿勢や肌の感覚、熱い寒いといった五感の感覚が働いている。その再現ができないと、俳優は「感情の解放」ができず、説明的な、あるいは見世物として誇張したパントマイムに陥る。
 この難しくも大事なプロセスが書かれておらず、生徒たちはいきなり成功してしまう。また、全員の家族が観に来ることは、それなりの親子の葛藤の末でなければ観に来ない。事実コンクールでも家族が観に来ているのは、ごく一部の熱心な保護者である。
 実際プロローグの予選では、さおりの両親が観に来た説明があるだけで、他の生徒の保護者は来ていない。コンクールでこれである、校内公演を全員の親が観に来るのは、いささかご都合主義ではないだろうか。
 S高校だったかの中西さん(3年生)が転校してくる。予選で優秀賞を獲り県大会に進んだ学校で、主役ではないが一番芝居の上手かった子である。どうなるかは、このあとに出てくるだろう。吉岡先生は、あいかわらず人間性なしの演劇機械。

④94ページまで

 中西の転校の理由がさっぱり出てこない。高校三年生での転校は非常に珍しいことで、かなりの理由がなければあり得ない。小説として納得できない。中西は卒業後プロの俳優をめざしているが、さおりの学校に来て演劇部に(吉岡先生の指導)接して、演劇部と劇団志望を両立させることを決心する。中西の人間的な背景がないので、ただ演劇部のために作者の都合で転校させたようにしか見えない。
 吉岡先生が、本気で演劇部の指導を(全国大会に行く)決心するところで、生徒たちと相談し、決心するところに、やっと人間としての心の揺れが見えたような気がするが。吉岡は教師としては失格。
 教師の初年度というのは、授業と研修、指導教官とのやりとりと校務で潰れる。なんで平田さんは吉岡を新任の教師の設定にしたんだろう。わたしが同じ職場にいたら「あんたクラブにのめりこみすぎ」と注意する。ラノベと開き直るにしては、文章が大人しく、リアリズムのような文体を持ってしまっているので、違和感が拭えない。
 コンクールにむけては「ロミジュリ」を下敷きにした創作と決まり、さおりが書くことになる。この展開は、ありえる話で抵抗はない。ただ、わたしの演劇観では演りたい本、演らせたい本の二つや三つは持っていなければ演劇人とは言えない。演劇集団として演劇部を育てるには、既成の脚本をしっかりやらせるべきだ。
 作中、吉岡先生が、全国大会過去十年間の台本を全部読んだと言う。大したものはなかった……これは共感できますが、どこにいったら過去十年分の上演台本が見られるのだろう。全国高校演劇協会は、そんなサービスやってないし、個人的に交渉し個人的に持っている先生から借りるしかないんだけど。まあ、そこは小説と割り切る。
 1/3近くまで、読んだ。まだ人間が出てこない。説明された人間の輪郭だけ。もしドラよりは、いい作品であることを祈る。

➄118ぺ-ジまで

 さおりと中西が、山梨の全国大会を観に行く話し。
 やっと会話が多く、小説らしくなるが、もう一つ食い足らない。ここまでで登場人物が高校演劇に没入するのが、吉岡マジックで流しているため、急に熱心になられても、人物の背景が書かれていないので入り込めない。ただ互いを「悦子」「さおり」とファーストネームで呼び合うことで象徴。ちょっと強引な感じ。
 一つ共感「コンクールは審査員の好みで結果が左右される」と審査の現状をきちんと書いている。で、平田さん、あなたの審査はどうだったんですか? と聞いてみたくなる。
 さおりが、創作劇を「銀河鉄道の夜」を下敷きにすることに変更。よくあることなので、これも共感。
 ただ個人的には、この時期に、まだプロットも出来上がっていないのは遅いと思う。
 もう一度、強調。平田オリザ氏も高校演劇の審査は偏向していると思っている! 

⑥165ページまで 県の研修会と自分たちの合宿

 作者には悪いですが、読むのが辛くなってきました。延々とさおりのモノロ-グ。時々会話は入るけど、研修やら合宿があったらさもありなんという日常ばっか。これが平田さんのいう「静かな演劇」に通じる空気なんだろうか。劇団新感線が好きなわたしには、耐えがたいモノローグです。
 さおりの『銀河鉄道の夜』を下敷きにした戯曲は、ほとんど苦悩することなく書けた様子。どうやらプロット程度のものでも、そこから稽古で中身を膨らませていけばいいという平田さんの作劇術が影響しているような気がする。
 吉岡先生が合宿中の夜中に外出、タバコの臭いを身にまとって宿舎に帰ってくる。これは吉岡先生の身に重大な変化が、この後にあるという伏線だろう。先を楽しみにする。
 高校演劇の現場に居た者としての違和感がいくつか。
 夏のこの時期まで、誰も退部者、幽霊部員になる者がいない演劇部は、ちょっとありえない。
 毎日の稽古の描写があるわけではないが、稽古を休んだり、乗り気でない部員が一人もいない。ちょっとご都合主義の感。
 新採教師の夏は研修と仕事だらけ。吉岡先生は美術部の顧問もやっているはず、そのへんのジレンマがないのは、審査員諸氏が大好きな「等身大」がない。プロローグでさおりにコクッタのかコクってないのかよく分からなかった孝史先輩がちょろっとでてくる。大学生になって、演劇からは遠のいている様子。さて、後半、どうなりますか。

⑦170ぺ-ジまで

 ここにきて「全員が揃わない日がある」と出てくる。もっと早くこういう状況は出てくるはずだ。それまで全員が部活に揃っていたことになる。やっぱりあり得ない。
 ユッコが推薦入試と、地区大会が重なって苦悩の末に、推薦入試を諦める。ちょっと考えにくい。コンクールはたいがい二日にまたがり、入試と重なった場合は出場の日を優先的に変えられることになっているはず。ために作った特殊な状況です。

⑧201ページまで 文化祭

 文化祭をコンクールの試演会のようにやる。よくあることで同感同感。
 ここにきて正顧問の溝口が「コンクールは入試と重なった学校は考慮される」と後出しジャンケン。でも、そんな学校は沢山あるだろうからと作者は逃げる。経験的にも10校コンクールに参加して、そんな事情のある学校は、せいぜい二校ぐらいしかない。やっぱり現場を知って作者は書いていない。

 最後に書こうと思ったのだけど。創作劇を演ることに違和感というか、厳しい言葉ですが嫌悪感を感じます。

 演劇の三大要素は、俳優、観客、戯曲です。にた部活に吹部があります。三大要素は、演奏者(指揮者も含む) 観客、演奏曲の三つです。吹部はコンクールなどで創作曲をもってくることは絶対と言っていいほどありません。わたしも昔は吹部にいたし、知恵袋で関係者からの答えを見ても「あり得ない」でした。二十年以上前に顧問の先生が作曲してコンクールに出てきたのが神話のように語り継がれているらしいです。
 わたしが吉岡先生なら、部員たちの身に合った戯曲の候補を示します。そして、その中から選びなさい。これが順当です。高校生が数か月で作曲家になれないように、戯曲も同様だと思います。
 ただ、吹部は適当に音符を並べただけでは、素人が聞いてもヘタクソなのが一発で分かってしまいますが、演劇の場合、子どもの絵のように一見アブストラクトで上手く見えてしまうこと。創作する学校が多すぎるので、当たり前に思っていることが障害です。
 戦後二十年以上は既成の脚本が大半でした。余裕があれば、最後に、また触れたいと思います。

 しかし、このモノローグ、なんとかならないだろうか。

⑨304ページ こんなん有りかい!?

 吉岡先生がときどきフケて、居なくなることが何かの伏線だとは分かっていた「まさか役者には戻らんやろ」と半分祈るような気持ちで読んでいると、なんと11月の地区大会を辛くも通過したところで、吉岡先生、いや吉岡は教師を辞める。
 こんな迷惑な演劇お姉ちゃんは学校にはいらない。本当に居たとしたら大ヒンシュクです。
 教科、分掌、授業に全て穴が開きます。全編を通じて吉岡の教師としての描写はまるでなし。これがコーチだとかOGだったら問題ないんだけど、採用試験を受けて(ということは、他に教師になりたかった人を蹴落としてなったはず。特に芸術科の教師は、大阪のように大きな街でも年間の採用は一人とか二人しかいない)あっさり辞めるか!?
 プロローグでも書かれていたと思いますが、高校演劇と言うのは顧問次第という要素が大きいクラブです。経験的・常識的に言って、こういう顧問が抜けたクラブは翌春にガタガタになるところがほとんどです。これは平田さんのファンタジーですな。

 生徒同士のトラブルや脱落者がゼロ。ありえません。平田氏にアドバイスしたと言われる先生たちは、何を平田氏に吹き込んだんでしょう!?
 百歩譲ってラノベだとしたら、エンタメ性がひどく乏しい。
 肝心のさおり達が作った芝居がちっとも分からない。銀河鉄道と、この演劇部の子たちの心情が、どこでリンクしたのか分からない。
「膨らみ続ける宇宙の中で、僕たちは限りなく離れていくし、いしょでもあるんだ」という禅問答のような台詞で暗示されるだけです。

 一つの演劇部が全国大会まで進むのは、こんな簡単なものではありません。もっとドロドロした人間模様があります。

 少なくとも5人ほどで細々とやっている大方の演劇部にとっては、なんの参考にも、共感も呼ばない読み物です。
 映画は観て居ませんが、この小説や映画で演劇部に入った人がいるとしたら、そのギャップに驚いたことでしょう。
 この春は、この映画のせいか、演劇部に入部した新入生は多いようです。ギャップを乗り越えて演劇部を続けていることを期待します。

 そして、吉岡という新任教師は許せません。



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高校ライトノベル・ムッチャンのイレギュラーマガジン・42『どっちが悪いんだろう?』

2015-06-08 17:04:09 | イレギュラーマガジン
ムッチャンのイレギュラーマガジン・42
『どっちが悪いんだろう?』



①ビギナーズラック

 ヤフオクで、ある品物を落札した。初めての落札にしては上手くいった。時間切れギリギリまで5000円台の攻防。最初は三人で競っていたが、一人が脱落。二人で250円刻みのせめぎ合い。
 ただ、裏でこの競い合いを見て居て、時間切れギリギリでちょいと1000円ほどの高値を付けてさらっていくやつがいるに違いないと見通す。

 それで、上限を1万円。するとヤフオクのパソコンは、あいあかわらず250円から500円刻みで自動落札。

 そして、岡目八目の御仁は、案の定終了3分前に9000円。でわたしが9250円で自動落札。
 初心者にしては、なかなかの読みと自画自賛のビギナーズラック!


②紛らわしいったら、ありゃしない

 そして出品者とメールのやり取り。代引きあたりだとありがたいが、カード決済か銀行振り込み。
 カードは持たない主義なので、指定された銀行に振り込む。で、ここからが問題。

 指定銀行は、三菱東京UFJ銀行と日本一長ったらしい名前の大手銀行。

 7:00に開くのをまってATMへ。現職の頃から、この扱いには慣れていたはずなので、パッと目についた三菱東京UFJの画面にタッチ。ところが指定された支店が出てこない。指定はT支店なのだが、TS支店……ああ、これは出品者殿のミスと一人合点。
 で、出品者殿の名前が……出てこない。かわりに振込先を打ち込めと五十音図。ピコピコと打つと、あっさり入金完了。

 で、家に帰ってパソコンで出品者殿のメールを確認。三菱東京UFJ……までは合っているが、支店はTS。そこで三菱東京UFJ銀行にTS支店の有りや無しやの確認……なんとTS支店は存在していた。
 そこで入金伝票じっくり見ると、以下のように記されていた。

 三菱東京UFJ信託銀行……。

 しまった、間違えた! すぐにATMにとって返し、画面にタッチ。
 なんと、一番上に一際大きく三菱東京UFJ銀行の文字、その真下に三菱東京UFJ信託銀行……。

 わたしは、紛らわしい表記であると腹を立てるが、カミさん曰く。

「あんたも、歳とったなあ……」

 数時間後の今も、どちらが悪いか判然としない。


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高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・315『あしの名はあし!』

2015-06-06 18:18:29 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト・315
『あしの名前はあし!』



 あしは一人称が「あし」 自分では「あたし」て言うてるつもりやったけど、正月に啓介に指摘されて愕然。

 で、気いつけて「あたし」て言うねんけど、すぐに「あし」に戻ってしまう。
 啓介はバカにするつもりで言うたんやない。ちょっとあしの……あたしの面白いクセとして喜んでるだけ……やと思う。
 そやかて、受験で忙しい時に映画に誘うてくれた。

『幕が上がる』を見に行った。

 知ってる人おおいと思うねんけど、ももクロが本気になって演技に取り組んだ初めての映画。あしは、あれを見て、高校行ったら演劇部に入ろと決心した。
 あとで分かったことやけど、啓介は大のももクロファン。よう思うたらダシにされただけかも……せやけどええねん。ダシにするんやったら、他にもいてる。他にもいてるその中からあしを選んでくれたんやから、中三としては、それでよかった……。

 あしはO高校に入った。偶然やったけど、O高校は大阪でもトップクラスの演劇部。あしは一も二も無く演劇部の門をたたいた。

 凛々しい発声練習、気合いの入ったストレッチ、外からでも聞こえる稽古場の声。あしも、その一員になれた!

 五月に総会と兼ねた講習会がK高校であった。これにも感激! なんちゅうことやろ、いつもやったら五百人くらいのとこに七百人も集まった!

 九十分ほどのワークショップはあっと言う間に終わってしもた。脱力と集中、発声方にエチュードの大事さと、コツを教えてもろた。

 クラブの基礎練習も良かったけど、講習会で習うたことも試したかった。
「うちは、うちのやり方やさかいにね」
 先輩は、そない言うて、相変わらずの発声練習。気いついたら、先輩ら、みんな同じ声や。すごいねんけど個性が無い……思うてても口には出されへん。「あのう……」て言いかけただけでシカトされてしもた。あしの幕は、なかなか上がれへん。

 夏休みにOHPに出るための稽古。既成の本やけど、言うたら、学校やらあしのこと分かってしまうんで堪忍してください。

 期末テストを境に1/3ほどが辞めていった。あしとこは親が寛容ちゅうか無関心言うか、欠点二三個とっても、家に帰るのが十一時になっても何にも言わへん。
 馬力にまかせて、まるで突貫工事でビル建てるような勢いで稽古した。

 OHPは大盛況やった。観客席も舞台も一体になって、ごっつい熱気やった!

 せやけど「幕が上がる」とは微妙に違う。違う思いながら季節は巡って、コンクールが近くなってきた。新入部員は半分にまで減った。
 コンクールは顧問のY先生が……あ、一応生徒が書いたことになってるをする。あしのクラブは創作脚本賞をようさんとってる……わりには、よそでやってくれたことがないのに気いついた。

 同期のチイちゃんが辞めたときはショックやったけど、先生はすぐに本を書き直して、チイちゃんの役を無くしてしもた。
 このころ、ちょっと疑問が湧いた。うちの顧問はもう四十代の後半や。そやけど独身。
「オレは高校演劇と結婚したんや!」と先生は言う。

 そやけど、先輩からこっそり教えてもろた。

 実は、先生は昔の部員と恋仲になったらしいけど、実らへんかったらしい。こういう話には耳がダンボになる。なるけど、先輩はそれ以上は教えてくれへんかった。先輩らは尊敬してるらしいて、一定以上の先生の話はしてくれへん。

 コンクールになった。

 びっくり……がっかりした、ちょっとだけ。客席が寂しい……。ももクロの映画やったら、家族やら友だちやら一杯来てくれて、ハラハラドキドキ。ほんで幕が上がる。
 不思議とあがれへんかった。自然に役の中に入っていけて、クライマックスでは、ほんまに役として泣くこともできた。

 映画ほどやなかったけど、達成感はあった。正直先輩らみたいなステレオタイプの役者にはなりたなかったから、こっそり『メソード演技』の本買うて練習してた。稽古が進んでいくにしたがって、台本やら台詞の無理やら飛躍に気いついたけど、なんにも言わへんっかった。舞台ではすんなり渡す道具があったけど、本番ではあしは渡さへんかった。相手役は先輩やったけど、切実に「渡して欲しい」気持ちになってへんかったから、渡さへん。
 先輩はマジで「渡して!」と叫んで渡したげた。客席からまばらな笑いが起こった。

 六十点ぐらいの出来やったけど、よその学校がひどい出来やったから最優秀間違いなしやと思うた。

 それが、信じられへんことにS高校が最優秀持っていきよった。
――伝わらないもどかしさが、よく現代社会をあらわしてました!――
 なにそれ? みんな思うた。S高校は、ただヘタクソなだけやのに。
――O高校は安心して観てられました。破綻もありませんでした。ただ作品に血が通ってない。思考回路、行動原理が高校生と違います――
 ワケ分からへん。先生も同じ気持ちらしい、血管が浮いてた。
「あいつ、むかしT高校落としたときと同じこと言うとる!」
 そやけど、審査は絶対。

 なんで映画みたいにいかへんねやろ。

 アホくそなって、うちは演劇部を辞めた。

「な、あし、ちゃんと『あたし』て言うてるやろ?」
 明くる年の初詣で啓介に聞いた。
「ハハ、やっぱり『あし』やな。半年演劇部におってなにしててん」
「そやかて、ちゃんと!」
「あしはあしでええ。無理して変えたら自分らしないわ」

 気持ちが籠ってた。演劇部……無駄やったんか、成果に繋がったんか、まだ整理はできてません。

 せやけど、もうええ……そんな気持ちのこのごろです。あしの名前は……あしです。


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高校ライトノベル・ライトノベルベスト『ハンドルネーム 大橋むつお』リターンズ

2015-06-01 20:07:17 | ライトノベルベスト
ライトノベルベスト
『ハンドルネーム 大橋むつお』リターンズ
  


 あたしは、大橋むつおが大嫌いだ!

 どこが嫌いって、〇阪の高校演劇に、こんなに悪意を持ってブログを書いている奴はいないからだ。
 やれ連盟のささいなことが問題だの、今に高校演劇は消えてなくなるだのと連日のように書いている。それが癪に障ることにアクセスが多い。こんなブログ無視すればいい。とにかく悪口なのだから、悪口しか書かないのだから放っておけばいいんだ!
 ネットの世界から駆逐しようと思うと、アクセスしない、無視するが一番なのに。みんななんでアクセスするんだ!

 このオッサンの一番気に入らないのは、いちいちコンクールの審査にケチをつけることだ。
――あり得ない審査だと思った――という書き出しで始まる。あとはレトリックの限りを尽くして審査にケチをつける。
 気に入らない! 大橋むつおというだけで気に入らない。

 ああ、忌々しい! なんて分析的な文章なんだ! コンクールの審査なんて、審査員に預けたんだから、結果にケチをつけることが、そもそも間違っている。全国の高校演劇、どこにも審査基準なんてありはしない。むかし沖縄の連盟や、東京の一部などでは、そういう動きがあるとか言ってるけど、ほんの特殊な例を持ち出して、普遍化しようとしている。あの全共闘世代のやり口だ。

 大橋が書いているように、高校生のコンクールで審査基準がないのは演劇だけだわよ!

 でも、それがなんだってのよ!? 戦争放棄を謳って軍備を持たないって平和憲法持っているのは日本だけだけど、S新聞とか以外で非難なんか誰もしてないわよ。日本の平和憲法はノーベル平和賞の候補にだって挙がったのよ。なんだと思ってんのよ!

 大橋の嫌なとこは、しつこいこと。未だに何年も前の審査のこと持ち出すなんてパラノイアだわさ!
 もういいじゃん。終わってしまったことなんだからさ!
 許せないのは、自分で書いている小説だとかに実名をつかっていること! どこが実名かって!? あんたバカじゃない?
 そんなの書いたら思う壺じゃないの。あたしの実名が分かってしまうじゃない。あたしはネットのコメントで実名晒すようなバカはやらない。
 時々、変なハンドルネームでコメント投稿してる人いるけど、大橋は、わざわざそれを取り上げて「こんなコメントをいただきました」なんて出している。ハンドルネームは、ほんの思い付きから、いつも使っているようなものまで一杯あって、ハンドルネームによっちゃ、「あ、あいつが書いてるんだ」なんて分かっちゃう。こんなコメントの出し方する奴もバカだと思う。

 それに、大橋の小説(あたしは小説だなんて、ゼッタイ、ゼッタイ認めないけどね!)時々自分を登場させている。なんちゅうナルシストやと軽蔑の対象でしかない!
 ある小説だかラノベとか称するものに、またあたしの名前が出てきた。もう相手にする気は無かったんだけど、頭に来た!

 大橋むつおは本名大橋睦夫という。この名前で検索したら『ダウンロード・アップグレード』って芝居で名前が使われ、それがとてもバカな役だったんで溜飲が下がる思いだったんだけど、こんどは、あたしの名前。それも可愛い女子高生! バカにするにも程がある。あたしは高校生のころは美人でもなかったけど、キリリとして生きてきた。アイドルグループみたいに可愛いだけのオチャラケた子じゃなかった。それを、可愛く、最後にはアイドルになっちゃうような設定に使うなんて許せない! カレがイケメンでかっこいいのも許せない!!

 え、で、名前は何かって? その手にはかからないわよ。そのうちポロっと言うんじゃないかって? その手には乗らないったら乗らないわよさ!

 だから考えてコメント書いてやった。中身? そんなの、ここじゃ書かないわよ。あたしを特定できるものなんて何も書かないから!
 ただ、ハンドルネームに「大橋むつお」って書いてやった。アイデア賞だと思わない!?
 短い言葉だけど「寸鉄人を殺す」よ! 案の定、大橋は「こんなブログをいただきました」にはしなかった。ハンドルネームが自分の名前じゃ天に唾するようなものだものね。

 でも、数日後、職場に行くと異変があった……。

「大橋さん」
 人が、そう呼ぶようになった。最初は、すぐに思い出して本名で言いなおしてくれたけど、日を追うにしたがって言いなおされなくなった。
 昨日は、とうとう学校のあたし関係の書類なんかが、全部「大橋」になってしまっていた。
「キャー!」
 家に帰って表札を見ると「大橋」になっている!

 で、一晩寝ると、自分のことを「大橋むつお」以外の名前では思い出せなくなってしまった……!


 ※:これはアクセスが多かったので再編集しての再アップロードです 

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 ラノベとして読んでアハハと笑い、ホロリと泣いて、気が付けば演劇部のマネジメントが身に付く! 著者、大橋むつおの高校演劇45年の経験からうまれた、分類不可能な新型高校演劇入門ノベルシリーズと戯曲!

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高校ライトノベル・Mのイレギュラーマガジン・41『オビツ150の安い首の替え方』

2015-06-01 09:03:17 | イレギュラーマガジン

Mのイレギュラーマガジン・41
『オビツ150の安い首の替え方』



                     
     


 オビツ150はオビツ社の実物大汎用素体で、身長144重さ10キロ価格約20万という優れものです。

 53か所も関節があり、かなり自由なポージングができ、汚損や破損してもパーツ交換で修復ができます。
 

 このオビツ150の数少ない欠陥は、首が二種類しかないことです。簡単な鼻の隆起しかないノッペラボーと、アニメ調の目と口が描いてあるもので、いわゆるリアルな顔はありません。
 シリコンドールの会社で、なんとか工夫すれば、替えられないこともありませんが、かなり高価なもので、しかもシリコンなので扱いがかなり難しいものです。
 そこで、わたしが目を付けたのが、美容師さんたちが稽古用に使っているカットウィッグです。まず下の写真を見てください。

    

 左がノッペラボーに、わたしが顔を書いたものです。アナ雪のアナがモデルで、アナの衣装を着せれば、ある程度似合ってはいます。

    

 しかし、キャラクターもの(左の写真はノラガミのひよりのコス)はガックリきます。また、リアル追及派は、なんとも物足りません。右の写真はカットウィッグの髪なしのものですが(普通は髪が付いています)この首だけを切り落とします。素材は高密度発泡スチロールに厚さ5ミリ程度のゴムの表皮を付けただけのものなので、あっけないほど簡単にノコギリなどで切れます。
 あとは、首の中の発泡スチロールを本体の首のジョイントが入るように穴を開ければできあがりです。ジョイントはデフォルトのコネクターの上にボール紙を巻き付けたもので十分です。直に巻き付けて木工用ボンドで接着します、これがオスのジョイントになります。乾いたら、この上からもう一巻してサイズをとりメスのジョイントを作り、これを首の中の穴に入れて接着します。乾いてから接合すればできあがりです。メスのジョイントは緩くては安定しませんし、きついと回らないばかりか、取り外しが困難になりますので、いくつか試してみればいいでしょう。

            

 ただ、両者には少し首の幅の違いがあります。

 オビツ150の方は、約7センチ。カットウィッグの方は8・5センチから9センチあります。1センチほどの隙間は、少し下から見ると、少し目立ちます。
 そこでアイロンを低温設定にし、首の外皮を内側に押し込むようにあてていきます。布と違うので、同一箇所に20秒ほどあてなければなりません。ただあてすぎるとゴムが溶けはじめますので要注意。仕上げは手で抑え込み冷えるのを待ちます。アイロンをあてただけでは、すぐに元の形にもどってしまいます。

   

 左が、首を挿げ替えた全身像。右がアップです。

 カットウィッグは、あくまで美容師さんの稽古台なので、メイクは薄く描いてあります。プラカラーでメイクを足し、ツケマを付ければ、かなりリアルなものになります。アップのは挿げ替えたことが良く分かるように、写メの色彩調節をやっています。
 カットウィッグは安いものなら3000円もしません。

 メイクと、アイロンの当て方に少し熟練がいりますが、メイクは失敗すればプラカラー用のシンナーで消せます。アイロンは、レンジのチンの要領で少しずつかけていけば、なんとかなるでしょう。なおボディー本体は改造で、身長を153センチにしてあります。

 刃物とアイロンを使いますので火傷や怪我には注意してください。個人的な改造なので自己責任でおねがいします。

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