大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

全国高校等学校演劇協議会・八戸北高校『手のひらの雪ひとつぶの溶けるまで』を思う

2018-09-18 21:57:10 | 評論

 懐かしの『手のひらの雪ひとつぶの溶けるまで』

 初出:2011-08-10 21:03:11

 

 あれは……1971年の浦和大会か、1972年の東京大会のいずれかでしたが、最優秀賞に、八戸北高校の『手のひらの雪ひとつぶの溶けるまで』が選ばれました。

 今日、全国大会の終了に気づき、ふと40年前のこの作品が思い出されました。全国大会には、つごう10回ほど行ったのですが、記憶力の悪いわたしは、最優秀受賞校というのは、この学校の、この作品しか思い出せません。

 春おそい東北の町に、一組の男女の高校生がいました。

 たしか女の子が、町の外……たぶん県外……東京だったような気がします。そこに女の子は越していくことになり、男の子は、さりげなく(今の言葉では「さりげに」と誤用します)お別れを告げにきます。「好きなんだ」などという直裁な言葉はありません。互いの身の回りの、さりげない話題に終始します。今の感覚では「もどかしく」感じると思います。そして、もどかしい話の中に二人を取り巻く環境や問題、そして、想いが伝わります。二人の間にも、観客にも……そして、手のひらの雪ひとつぶの溶けるまでの僅かな時間に、互いの想いが結晶します。溶ける間に結晶するというとても叙情的な劇でした……

 出会いがあり、たどたどしい、もどかしい、粉雪がふわふわと降るように展開していく物語。「別れ」という結末は、最初から予感されました。しかし、そこにいたる物語の中は、言葉にはならない優しい想いと思いやりに満ちていました。

 信じがたいことですが、純粋な東北弁で全編が語られます。河内(大阪のど真ん中)原人のわたしには半分も意味がわかりません。会場にいた東北の観客の人以外は皆同じだったと思います。でも、ホワホワと想いは伝わってきました。

 クスっとした笑い。ゆったりとした展開。ギャグも、奇抜な展開も、アクロバットのような身体表現もありません。しかし、起承転結の、芝居のチョウツガイになる部分は、言葉が分からなくてもしっかりわかりました。ラストは、ちょっぴり涙と、割れんばかりの拍手の中に幕が降りてきました。

 書いているうちに、「天皇はんのみかん」や「紙一枚」 そして、わが大阪の日比野諦観先生がお書きになった「海の見える離れ」 都島工業高校の「天国どろぼう」などの作品が思い出されてきました。そうそう、町井陽子先生の「山の動く日」……榊原先生の「外向168」なんかも思い出されてきました。いずれもドラマの構造が確かで、登場人物の彫りが深かったですね。

 ロートルのわたしは、昔の作品群が懐かしく思い出されます。

   大橋 むつお

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大橋むつおの劇評・劇評・劇団往来 第47回公演『リサの瞳の中に』 

2017-06-11 18:48:14 | 評論
大橋むつおの劇評
劇団往来 第47回公演『リサの瞳の中に』

 
 第41回大阪春の演劇まつり参加作品
 
 2017年 6月8日~11日

 作:ジェームス・リーチ 訳:小澤僥謳 演出:鈴木健之亮  小屋:大阪ビジネスパーク円形ホール



 乃木さんの漫談というかベシャリ、なんとも心地いですね。

 軽妙なオトボケで、とても暖かく、この人が出てくると、役者が出てきて芝居を始めるよりもお客さんの心を掴んでしまいます。
 往来の芝居を観はじめたン十年前からお歳を召しません。昔からいい味の初老のオッサンです。
 ベシャリの中でお母さんが92歳になられたとかおっしゃっていました。亡くなったオカンと同い年ですので、乃木さんは同世代だと拝察いたしました。一度乃木さんの漫談だけのイベントがあってもいいのではないかと思いました。

 その乃木さん、劇の冒頭でポーターの役で出てきます。心地よく舞台の芝居に入らせてくださいます。

 
 芝居は10人のモブが現れ「わたしは何者?」という問いかけと「わたしは~」というアンサーで始まります。

 モブたちの次に、クレメンス家。クレメント夫人と息子のディヴィッドの会話になります。
 どうやら、ディヴィッドには精神的な疾患があることが分かります。自分のカラの中に閉じこもり、人が自分の身体の接触することをひどく嫌がります。クレメント夫人は、ディヴィッドを全寮制の治療施設にいれようと決心しているのです。
 心身ともに触れられれば破裂しそうな自分をなだめながら母に従い、16歳のディヴィッドは治療施設への旅に出ます。
 旅の第一歩、駅頭で親子の荷物を運ぶポーターが乃木さんであります。

 治療施設には、要冷蔵さんの所長・エンスフィールド以下の医師や先生たち、10人余りのハイティーンの入所者たちがいます。
 入所者たちは冒頭のモブたちです。
 子どもの設定の役もあったのかもしれませんが、役者さんたちが二十歳前後のフレッシュな人たちなので、そう納得しました。

 いろんな精神的な障害を持つ入所者の中で、自閉症で二つの人格を持つリサという女の子が居ました。

 日ごろは満足に言葉を発しない人格が支配していて、立ち居振る舞いはほとんど幼女のごとしです。
 日ごろのコミニケーションは切れ切れの単語とスケッチブックに書く言葉で済ましています。

 初めは溶け込めないディヴィッドですが、悲喜こもごもの事件や葛藤の中、しだいに施設の中で自分の場所を見つけていきます。
 
 両親の無理解で、いったん自宅に連れ戻されますが、自分の意志で脱走して施設に戻ります。
 戻ったことで、施設と施設の仲間たちが自分にとって大事なものであることを自覚します。
 そして、それまでは関わろうとしなかった入所者たちにも進んで関わろうとし、将来は精神科の医者になろうとまで前向きになる。
 しかし、その前向きの中でリサを傷つけてしまい、リサは施設を飛び出してしまう。

 ディヴィッドは強い責任を感じて、施設のみんなと捜索に出る。
 そして暴漢に襲われ危機一髪のリサを助けることができた。
 
 人に触れられるとパニックになるディヴィッドでしたが、ラスト近くでは自分からリサに手を差し延ばせるところまで回復します。
 リサも、言葉を喋れる自分を取り戻し、差し出されたディヴィッドの手をとることが出来ました。

 サルサの明るいリズムの中大団円を迎え、乃木さんの漫談で、その後ディヴィッドは精神科の医者になったことが伝えられます。
 観客は、ほっこり心が温まりニコニコと観劇後のアンケートを書くことになりました。

 さて、この舞台の優れているところはミザンセーヌだと思いました。

 ミザンセーヌとは、舞台に置かれた道具や人物の配置ですが、特に人物の配置です。
 登場人物は総数24人(25だったかもしれません)で、全員が舞台に出ているのはフィナーレぐらいなのですが、施設内のシーンですと、たいがい10人以上舞台に存在しています。
 舞台上の人物が、しっかり自分の位置を占めています。観ていて不自然さや外連味が無く、役者の皆さんも、ちゃんと自分の位置を納得して存在しています。簡単そうですが、役者を自然に舞台に存在させられているのは演出の力量だと思います。
 若い役者さんが多く、まだ伸びしろの大きな方が何人もいらっしゃいますが、まだまだ表現が伸ばせる位置に存在しています。
 このメンバーで、この先上演の機会があるとしたら、さらに伸びていく舞台だと思いました。

 若い役者さんがノビノビ演じ、ベテランが脇を固めているのはいいものですね。
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高校演劇・小規模演劇部のマネジメント21世紀『保存版』

2017-04-13 12:39:01 | 評論


 高校演劇・小規模演劇部のマネジメント21世紀
(保存版)
  初出:2015-02-20 07:24:57       大橋むつお     


☆高校演劇への提言

 古いブログを整理していて、この記事を見つけました。私が、積極的に高校演劇に関わっていたころのものです。
 削除するには惜しい内容ですので、整理して残すことにしました。

 いろいろ書いていましたが、コンクールの審査と、小規模演劇部経営の問題、創作劇に絞って残しました。

 
☆審査基準のない高校演劇

 野球部の三大要素は「走」「攻」「守」です。打って走って守らなければ野球はできません。もっと分かりやすく言うと、ピッチャーがキャッチャーのミットまで球を投げられなくてはなりません。ベースを走って回れなければなりません。三割くらいの確率で打者はヒットを打てなければなりません。

 演劇の三大要素は「俳優」「戯曲」「観客」であります。演じる俳優がいて、演じるための戯曲があって、それを観る観客がいなければならず。野球の走・攻・守と同じく三つとも重要です。
 ですが、伝統校と言われる演劇部でも、観客席にも相手役にも声が届かない俳優が大勢います。戯曲は創作劇がほとんどで、一般的な演劇の感性から見ると大そう見劣りがします。
 そうではないと言われるかもしれませんが、高校演劇が一般化しない(高校演劇の名作というものが一般はおろか、高校演劇世界の中でも認知されていません。観客がひどく少ない)ことを見ればあきらかです。
 高校のダンス部や軽音の名門校をYouTubeなどで検索すると、多いものだと何万件ものアクセスがあります。演劇部で何万件ものアクセスを得ているところは、まずありません。

 日本で二番目に演劇部が多い大阪の演劇部を例にとるとここ十年間の平均で、およそ90。演劇部員数は、約700人です。これはコンクール参加校数からの類推です。同じ自治体の弓道部員は約600名。人口的にはほぼ同じ規模といえるでしょう。

 つまり、あまり隆盛であるとは言えないと思います。

 隆盛にならない最大の原因が、コンクールの審査にあると考えています。


 完全に把握できていませんが、高校演劇のコンクールには審査基準が無く、審査は審査員の『演劇観』に丸投げされています。

 数ある高校の部活の大会やコンクールで審査基準がないのは、知っている限り演劇だけです。
 その弊害は別のブログで述べていますので、簡潔に要諦を記します。

 審査基準が無いと、審査は審査員の主観に任されます。大きな弊害が二点あります。

①主観で観ていると、自分の「演劇の素敵さ」にハマらないとこれはダメと思い、無意識に「落とすポイント」を探します。実際講評を聞いたり合評会のレジメを読んでも、こんなとこにケチつけるかというものを見かけます。
 逆に、自分の「演劇の素敵さ」にハマると、無意識に「挙げるポイント」を探します。実際、こんなところを誉めるかというところにでくわします。

 つまり、同列に観なければならない作品群をダブルスタンダードで見てしまうのです。オリンピックや、アジア大会などで、特定の国に甘い、あるいは辛い審判がなされ、時に観客からブーイングがおこることがあるのをご存じでしょうか。
 ルールや採点基準が厳格になされていてもおこるのです。審査基準が無い危うさを分かっていただけるでしょう。

②事実上審査員は平等ではない……と書いたら驚かれるでしょう。通常コンクールの審査は、一般にその規模に応じ3~7名で行われます。そこには年齢、キャリア、現場にいるかどうかなどで、微妙な差が出ます。一般的にはキャリアのある先生。プロ演劇人の感性に引きずられがちです「あの人が言うんだから、ま、そうかな」になってしまいます。


☆審査基準試案

 今、多くの高校生の演劇コンクールには審査基準がありません。これまでのコンクールでは審査結果に疑問が持たれたところもありました。そこで、出来うる限り単純で、客観性が担保される審査基準を作ってみました。

①作品にドラマ性があるか
 ドラマ性とは、葛藤と読み替えてもいい。いわば、人間の物理的・心理的イザコザ。それが、作品に書けているか。この評価は既成、創作を問わない。作品の種類によってはエモーションと理解してもいい(能や音楽劇の場合、並のドラマツルギーで評価できないことがある)

②観客の共感を得られたか
 劇的な感動(人間が葛藤することや、その変化への観客の感動)を観客に与えられたか。

③表現に対する努力は十分であったか
 演出、演技、道具、音響、衣装、照明、などが作品を表現する上で、効果的になされていたか。

 以上の三点(③については項目別)に10段階評価を行い、最高点と最低点を除外して平均値を出す〈予選では10段階評価のみで、最高点・最低点の除外はやらない〉上位1/3の作品につき、さらに論議し、最優秀以下の受賞作品を決定する。その場合、一定の点数に至らない場合(例えば満点を100点とした場合、80点に満たない)上位コンクールへの出場権は与えるが、最優秀の称号は与えない。

 本選以上では、審査員に顧問審査員・OB審査員なども加え7名程度とし、点数集計において、最高点と最低点は除外し、平均値を出す(予選は審査員が3名なので、これは当てはめない)

※審査の点数化へのこだわり
 審査をしていて「これはだめだ」と思うと、無意識に「落とす理由」を探します。言うならば「減点方式」で、辛い審査になりがちです。実際「そんな理由で落とすか」ということがありませんか?
 逆に「これはいける」と思うと、無意識に「上げる理由」を探します。言うならば「加点方式」で、甘い審査になりがちです。実際「そんな理由で上げるか」ということがありませんか?
 だから、全ての出場校を、最初は0点として、上記の項目について加点していくのです。これで無意識な主観による「加点」「減点」が、かなり防げます。

 点数化しない限り、同じコンクールで「甘い加点」と「辛い減点」のダブルスタンダードに陥る可能性が高くなります。


☆こんなお便りをいただきました

 審査基準 (東京某区審査員)2014-11-09 10:01:04共感いたします。

自分は中学校演劇部の指導員をさせていただいていることから、数年前から区のコンクールの審査もお願いされるようになりました。

長くなるので詳細は省きますが、審査基準は自分で考えねばなりませんでした。

自分の好みが審査に影響しないようにするため、発声・動き・感情表現・演出・衣装と小道具・音響・装置・照明をそれぞれ1~5項目について採点するようにいたしました。

まだまだ改良の余地のある審査基準ですが、真摯に取組んでいる部員たちの思いに応え、皆が納得できる基準を作っていこうと思います。
 

 関東は、わたしの居る地方とは違い、学校ごとのコーチではなく、行政区(市や区)ごと指導員の方がおられ、他よりは相互のフィードバックや指導方針についての意見の交流ができるようになっています。他の地域でも参考にしていい制度と思います。中学や高校の演劇に対する運営の有り方が、連盟に一元化されておらず、いろんなところから声が挙げられる仕組みになっているようです。
 そんな指導員の中にも、審査について同じ意見をお持ちの方がおられるのは嬉しくも、心強くかんじましたので、コメントの扱いではもったいないので、とりあげさせていただきました。


☆これからの小規模演劇部の有り方

 演劇の基本は、役者・観客・戯曲の三つです。

 小規模演劇部というのは、このうち役者が少ないクラブを指します。少ないのなら少ないなりのやり方があります。
 登場人物が少なく、道具があまりなく、音響や照明に変化のない芝居です。世の中探せばそういう本はいくらでもあります。
 たとえ大人数の芝居でも、やりようによっては少人数でやれます。野村萬斎さんが、たった5人ほどでマクベスをやられました。わたしが書いた『ロミオとジュリエット』のオマージュも登場人物は5人です。三谷幸喜さんの『ベッジパードン』は、3人で、11人の登場人物をこなしていました。
 著作権の切れた古典など、上演許可もいりませんし、レジー(脚色)も自由です。扱いとしては創作劇の範疇に入ると思います。そういう工夫をするためには、普段から戯曲を中心に本を読んでおくなどのインプットが必要です。
 たとえば『犬のおまわりさん』という童謡があります。何気なく口ずさんでいるうちに『犬のおまわりさん』という登場人物4人の芝居ができました。ハイジを動画サイトで見ていたら、あのあとクララはどうなったんだろうと思い『クララ ハイジを待ちながら』という2人の芝居が書けました。『にんじん』の著作権が切れたので、これを大橋流に書き直そうとも企んでいます。

 要は、感度のいいアンテナを絶えず張っておくことです。

 TPOにあった芝居をしましょう。文化祭や新入生歓迎会では本格的な長い芝居は不向きです。コントやAKBの『なんとかをやってみました』でいいと思います。観客の状況を考えて演目は決めた方がいいでしょう。

 一定の技術は身に付けましょう。

 野球に例えれば、ボールが投げられること、ボールがキャッチできること。ホームベースから一塁まで普通に走れることぐらいの技術です。この技術は年に数回の講習会などで身に付くものではありません。演技に関しては演劇部は体育会系と思ってください。
 野球部などは年単位のスパンで、練習・調整をやっています。演劇も基本は同じストイックで長い訓練が必要です。その気になれば一年ほどの試行錯誤で、自分たちに合ったメソードが見つかります。本屋さんに行けば基礎練習の本は何冊かあります。
 個人的には、スタニスラフスキーの『俳優修業』 リー・ストラスバーグの『メソード演技』などがお勧めです。

 高校野球、軽音、ダンス部などが隆盛なのは、時代の流れもありますが、一般の観客の鑑賞に堪えるものを見せてくれるからです。狭い高校演劇の中で自足していては未来がありません。

 以上、演劇の三要素に従って、小規模演劇部の有りよう、いたしようについて述べました。


☆連合演劇部の可能性

 生徒の絶対数が減ってきているので、一校単独で部活が維持できないところが出始めています。部活の花形と言われる野球部にも、そういう学校が出始めています。
 管理や監督の問題が生じますが、もう考え初めてもいい時期なのかもしれません。OHPや、コンクールへの参加に、合同演劇部の参加を考えてもいいのではないでしょうか。

 基本は、高校演劇の灯を消すな。で、あります。



☆芝居を観ましょう

 と言うと、仲間の芝居は沢山観ている。という声が聞こえてくるかもしれません。
 わたしが言うのは、一定水準以上のプロの芝居です。高校の部活で、自分がやっているプロの試合や作品をもっとも観ていないのが、演劇部です。プロ野球を観ない高校野球など考えられませんね。
 でも、プロの芝居は高く、また、その多くは東京に一極集中しています。チケットも10000円を超えるものがザラにあります。
 そこでお勧めするのが、DVDで出されているものです。劇団新感線は、物理的にも「すごいなあ」と思って観るしかないほどスケールが大きいですがヒントになるものは、いっぱいあります。三谷幸喜の作品などは、登場人物も比較的少なく、より参考になります。『なにわバタフライ』『桜の園』これは、なんとAKBのヘビーローテーションから始まっています。観客の掴み方が非常にうまいです。『笑いの大学』『ホロヴィッツとの対話』などお勧めです。また、仲代達也の『授業』も秀逸でした。『授業』は、昔、高校生がコンクールで演ったこともある、案外、高校生でもチャレンジ出来る作品です。さあ、100円握ってTSTAYAに行こう!




    2017 4 14   劇作家 大橋むつお 

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劇評『無音のレクイエム』大阪憲法ミュージカル2016

2016-06-04 10:15:16 | 評論
       劇評『無音のレクイエム』
   大阪憲法ミュージカル2016



 主催:大阪憲法ミュージカル プロディーユース:劇団到来 後援:大阪弁護士会 大阪府 大阪府教育委員会
 大阪春の演劇祭り参加作品 演出:鈴木健之亮 会場:大阪ビジネスパーク円形ホール 6月2日~5日


 ☆大成功のモブ芝居

  この芝居の主役はモブです。その他大勢、通行人、エキストラ、仕出し……いろんな言い方がありますが、80人にもなろうかという台詞のない人たちです。

 幕が上がると、数十人のモブたちが、三々五々昭和15年の千日前を行きかいしているところです。

 親子連れ、女学生グループ、女給さん、易者さん、劇場や活動の人たち、春団治と女、春団治のかみさん、リヤカーのおっさん、非番の兵隊さん などなど……。

 その人たちが実に生きています。

 年齢や職業立場に見合った速度で歩いていて、それぞれに目的と興味を持っています。そして、テンポと圧がなんとも大阪なのです。
 大阪の人間は全国で一番歩くのが速く、賑やかです。
 モブなので声量は押えられているのですが、みんな程よいテンションでキョロキョロし、連れの有るモブはペチャクチャ会話をしています。
 東京や地方に行くと実感するのですが、大阪の繁華街はキョロキョロとペチャクチャが一杯です。それが、この芝居では幕開きから活き活きと活写されています。
 宮崎アニメでは、背景になるガヤにも台本があり、そのためにガヤが活き活きしていることに定評があります。同じ……いや、それ以上のことが、この舞台では行われていました。
 演出の鈴木君の腕の確かさもうかがえますが、モブの人たちが、この公演を楽しみ、演出意図を自分たちの感性にまで昇華しているのが分かりました。

 ☆モブの中から浮き出てくる主人公たち

 芝居の中心になるキャラたちは、最初はモブの中に居ます。
 弁士志望の青年、千日前の食堂の娘、常盤座文芸部の青年、モブの中からチラチラと台詞のある役として立ち上がっては、すぐにモブの中に溶け込んでいきます。それが繰り返されるうちに時代は進んでいきます。

 弁士志望の青年は千日前の雑踏の中で存在が明らかになっていきます。思わず白雪姫の一節を弁じ、モブたちの関心を集める。そして常盤座の人たちとの交流、弁士見習いになり、食堂の娘と育む恋、弁士としての初舞台、文芸部の青年との交流、そして戦争、召集され戦地に向かう、戦地での文芸部青年との再会、復員後の食堂の娘との奇跡的な再会という大団円。

 そのドラマが、全てモブたちの日常の中に現れてきます。

 映画館の中のモブたちは秀逸でした。スクリーンに映る映像にキチンと反応しています。年齢や性別性格によって反応はまちまちですが、全体としてはむき出しに反応する戦前の大阪人の圧が良く出ています。弁士志望の青年が初舞台を踏むときの圧が、そのまま舞台のモブたちが表現してくれているので、面白くも素直に共感できました。
 これらの表現は『三丁目の夕日』で、鈴木オートに初めてテレビがきて、町内のみんなで力道山のプロレスに熱狂したシーンに匹敵します。

 ☆あえて苦言を

 モブ芝居というか群集劇として大成功しているので、それ以上は余計なことなのですが。
 主役たちのドラマが希薄です。
 主人公と彼女との出会い、育まれる恋、そして別れと再会。これがドラマとして希薄です。特に主人公が復員して、北陸に戻っていた彼女と再会するところは簡単すぎて、観客の感情や共感がついていきません。オッサン役のモブが「これで終演です」と言っておしまいになるのは、マンボウの尻尾のように唐突です。

 空気としては十分に大阪の雰囲気は出ているのですが、ドラマの部分、そこにもう一歩大阪らしさが欲しいと思いました。

 検閲で、常盤座の台本が全て不許可になり、みんな愁嘆するところがあります。
 ただ嘆くのではなく、検閲の網をあの手この手で潜り抜けてきた事実があるのではないかと思います。当時、吉本の芸人さんたちが中心になって『わらわし隊』という慰問団を結成して実績を挙げた事実があります。隙間を縫うように工夫された大阪の笑いがありました。
 徴兵でとられた大阪のニイチャンたち。配属された部隊の隊長が、なんと幼なじみ。で、戦闘中にテンパり、軍刀を閃かせ「突撃!」と叫んだときに「アホ、いま突っ込んだら死んでまう!」「思いとどまれ、おっちゃんおばちゃんらが悲しむ!」と壕の中に引きずり戻した。そういうマンガみたいなこともありました。
 地方の部隊が進駐して現地の中国人たちと軋轢がおこりますが、大阪の第八連隊が入れ替わると上手くいったこと、
 八連隊は「またも負けたか八連隊、それでは勲章九連隊」と手毬唄に織り込まれたように、日本一弱いとされた部隊ですが軍政には定評がありました。
 大阪大空襲のときは事前に東京の参謀本部から第四師団に情報が伝えられていました。
「大阪市民に警報を出したい」
 師団長以下の幹部は決心しますが「機密情報である」という大本営に押し切られ市民の犠牲が大きくなりました。このとき、師団の幹部と東京から来た高級軍人との間に軋轢があったことは、当時の師団司令部勤務の兵隊たちには知られていたことでした。

 国防婦人会が憎まれ役で出てきますが。

 国防婦人会というのは、それまで夫の階級に寄って序列が決まっていた夫人組織を、大阪のオバチャンたちのアイデアで、かっぽう着さえ着ていれば、みんな平等な組織にしたものです。
 そういう大阪らしさ、たくましさ、元来戦争を好まない気風などが描かれていればと思いました。

 もう一つ例を。

 週番将校は、就寝前に営内放送で軍人勅諭を諳んじることが、全国の陸軍部隊で行われていました。
 地方の部隊で、読み間違えた将校がいました。彼は、その日のうちに自決してしまいました。
 作家の司馬遼太郎さんは軍隊時代、週番になったとき、よく読み間違いしていました。でも、自決もせず、特段のお咎めもなく「福田(司馬さんの本名)はしゃーないやっちゃ」で済んでいました。

 この芝居はよくできていますが、このまま設定を東京にしても他の地方にしても通用してしまいます。

 今少し大阪らしさ、気質、気風というものが出てくればと思いました。
 そして、時代は、そんな大阪らしさも踏み倒し踏みにじって進んでいったというスゴミが出ればと思いました。
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演劇集団ザ・ブロードキャストショウVol・38『温羅の千年』

2015-04-11 11:48:07 | 評論
演劇集団ザ・ブロードキャストショウVol・38
『温羅(うら)の千年 もう一つの桃太郎伝説』



 作:高野暢子 演出:しじみ慶太 監修:鈴木健之亮   一心寺シアター

 むかし私が高校大学のころ、桜橋にサンケイホールというのが産経新聞社の8階だかにありました。労演の常打ち小屋でした。

 エレベーターで昇ると絨毯のエントランスで、なにかとても高尚なものを見せていただくという。いわば神殿のようなところでした。
 ところが一心寺シアターというのは天王寺公園の横の道を入っていった一心寺さんの裏手にあります。十数年前まではカラオケを大音量で流すコスプレのオッチャン、オバチャンたちがいて、なにか界隈そのものが黒テントの世界でした。
 今は、スッキリしたもので天王寺公園の緑を左に感じつつ三百メートルほど歩くと、一心寺シアターが薄暗い幽界に誘うように地下への口を開けています。むろんきれいな近代的な小ホールなのですが、そのたたずまいにオドロの劇的世界に引き込んでくれるような感じになるのは、芝居を観続けて五十年に近い歳のせいかもしれません。

 ブロキャスさんは、今回で四回目でしょうか。いつも観客をオドロシくオモシロイ世界に投げ入れてやろうという意欲的な劇団です。

 芝居の構造はシンプルでした。古い律令の古名で吉備地方(現在の岡山県全域と広島県東部 と香川県島嶼部および兵庫県西部)が舞台です。もっと簡単に言えばジブリの『もののけ姫』の舞台と同じ場所です。
 時代は七世紀ごろ、半島では百済が新羅に滅ぼされ、大量の移民が日本に流れ着き、その高い技術を持ちながら土着し始めたころです。百済や賀茂のつく地名は、たいていこの人たちが土着したことによって開けたところで、高槻には五百住(いおずみ:五百人の移民が住んだ)という分かりやすいところもあります。

 百済から製鉄の技術を持った人々が、吉備地方の北側の山中でタタラ製鉄というのを始め、日本の鉄器生産の能力は飛躍的に高まりますが、この製鉄は、大量の薪を必要とし、数トンの鉄を得るために山一つを丸裸にしてしまうほど薪を使い、鉄穴流し(かんなながし)と言って、岩石を砕き川の水に晒して鉄の原料である砂鉄を得ます。これによって、川は酸化した鉄分で真っ赤に染まります。
 これは川の下流に住んでいる農耕民にはたまったものではありません。これを自然破壊の面からとらえたのが『もののけ姫』です。
 古事記で有名な素戔嗚(スサノオ)と八岐大蛇(ヤマタノロチ)の闘争もこのことが背景にあります。

 で、中身です。

 製鉄の渡来人の集団を温羅(うら)と言います。吉備の農耕民たちを分かりやすく吉備と言います。その対立をあおり大和の大王の利にしようと鎮西府将軍としてタタラを向かわせます。このタタラの悪だくみで、和解しかけた温羅と吉備の人々はとことん戦うハメになっていきます。その中で温羅の姫・五十鈴と吉備の族長の息子タケ留の悲恋物語、恋するもの同士が敵対しなければならない状況に追い込まれ、心ならずも戦いあい、その漁夫の利をタタラたちが得ます。

 五間に三間ほどの舞台を十人以上の役者が入れ替わり立ち代わり、あるいはせめぎ合ってドラマを進行させていく演出の技量は大したものです。見世物としてはスペクタクルで、草創期の劇団新感線を彷彿とさせます。
 演出は、役者に無駄な動きをさせません。だからミザンセーヌも行き届き、観客が観たいものが前に出てくるように工夫がされています。

 よくできた芝居なので、あえて苦言を呈するならば、芝居が、いささか段取りに流れ、縁起が型にはまりかけていることです。まあ、観たのは初日でしたので、その後の舞台では、いい意味で飛躍が期待されます。

 もう一つ、演技の浅さが目立ち、ドラマの世界になかなか入っていけないことです。

 例えば、愛する人が去って行けば、おのずと残心として、しばらく去りゆく相手を見ているはずです。急に刃を向けられれば、まず見るのは、その突きつけられた切っ先です。また、登場人物が登場のために登場……なんだか言葉遊びのようですが、目的をもって舞台に登場できていません。劇的な真実が希薄なため、神経を集中して「ああ、そういうことが言いたかったんだ」と観察しなければ伝わってきません。ほぼ満席の観客席でしたが、終演後の観客の拍手の力が弱く感じられました。

 しかし、芝居に取り組む姿勢は独りよがりにならず「一生懸命演ってます!」という芝居の作り方には大拍手です。

 降りやまぬ雨の中を、傘寿の大先輩と地下鉄の駅まで歩き、いろいろ御託を並べましたが、合わせて141歳のオッサン二人が熱っぽく語らしむる、芝居への姿勢は、サンケイホールが神殿のように見えたころと比べると羨ましくもありました。

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大阪放送劇団『闇に咲く花ー愛嬌稲荷神社物語』

2014-11-15 21:57:03 | 評論
大阪放送劇団第58回公演
『闇に咲く花ー愛嬌稲荷神社物語』



 作:井上ひさし  演出:西山辰夫 会場:A&Hホール


 キャパ100ちょっとの会場は桟敷席や補助席も出て満員の盛況でした。200~300近く入っていたように感じました。慶祝の至りです。
 勘定したわけではありませんが、若いお客さんの率がよそよりも高く、10代から80代(と思われる)多世代のお客さんが、まんべんなく揃っていて、放送劇団の歴史と観客層の厚さを感じました。

 この作品は、井上ひさしの「昭和三部作」の一つで、どうやら連作でおやりになるようです。

 舞台は、昭和22年の東京の愛嬌稲荷という、名前を聞いただけで「井上喜劇そのもの」を感じさせる設定です。
 戦災で半分焼けたような拝殿兼本殿に宮司の牛木公麿が観客に背を向けて昼寝しているところから始まります。
 本ベルと同時に舞台下手に、やけにギターのうまいオジサンが居て、BGをライブで流しています。昔小劇場で流行った生ギターの奏者かと思っていましたが。事実プウ吉さんというプロのギター弾きの方で、芝居の最後に、この人も、深刻な過去と過酷な現実を持った登場人物であることが分かります。

 で、昼寝の最中に米の買い出しに行った、5人のオバサンが大きなおなかを抱えて帰ってきます。若い人には分からないでしょうが、終戦直後のぼてバラと言えば、ヤミ米の買い出しです。この5人の登場から喜劇が始まります。境内の中に小屋を作り玩具のお面づくりに精を出している5人組ですが、みな戦時中にこの愛嬌稲荷から夫を出征させた経験があり、神社、神さま、日本そのものの有り方まで、一家言がありますが、それは芝居の進行に従って、ちっとも悲劇的にではなく分かってきます。

 この神社には、健太郎という一人息子が居て、戦死したことになっています。

 この健太郎が、ひょっこり帰ってくるところから、ドラマは大きく二転三転します。井上ひさしらしいどんでん返しや、ひっかけが随所にあり、観ている者を飽きさせません。
 演出の西山さんはアンサンブルの名手だと思いました。役者の個性と役の個性をよく見極めて、配役されています。また、広くもない舞台に戯曲が要求している道具を全部出し、最大で12人ほどが同時に板についているのを、上手く配置されていました。役者の立ち位置や移動に不自然さや、舞台の狭さを感じさせません。簡単で自然に見える立ち位置や動きを付けるのは、役者にも納得させなければならず、けっこう難しいものです。さすがは放送劇団です。

 ただ、惜しむらくは、爆笑になるところがクスグリで終わってしまっていることです。戦死したはずの健太郎が帰ってきたときなどは、一瞬の間があって、爆笑になっていいシーンです。
 プロの方々を相手に申し訳ないのですが、舞台上の「驚きが」偽物です。驚き(弱いものは発見)は喜怒哀楽の起点になる基礎の感情表現です。きちんと驚けなければ、あとの喜怒哀楽が作り物になってしまって、観客の共感は鈍くなってしまいます。
 細かいところでは、健太郎が復員してきたときの衣装が、70年代のミリタリー風にしか見えないこと。野球のユニホームが当時のダボッとしたものでなく現代的なのが気になりました。

 しかし、難しいことを面白く、面白いものをより深くという井上ひさしの精神は十分に表現されていました。

 ラストなどは、当たり前に状況を見れば悲惨の極みなのですが、井上ひさしの作品で、西山さんの演出にかかると、人間のいじらしさと可愛らしさが十二分に出てきます。人間て、日本人ていいものだと思える二時間半でした。

 私事になりますが、先日友人の劇団の芝居を観に行って、中西武夫さんにお会いしお話ししたうえ握手までしていただきました。むかし演劇雑誌で褒められたりけなされたりしましたが、『部長刑事』の名プロデューサーでもあられました。そして、今日は会場の前で西警部の西山さんのお姿が拝めました。今月はついていると思いつつ、夕やみ迫る北千里を後にしました。



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劇団往来プロデュース公演『うぉーあいにー』

2014-10-11 07:37:34 | 評論
劇団往来プロデュース公演
『うぉーあいにー』


 作:田中守幸  演出:鈴木健之亮  総指揮:森川英雄


 歳をくったもので、コミコミの小屋が苦手なので、10日(金)のマチネーを観にいきました。

 実に18年ぶりの道頓堀でした。分かるのは松竹座とかに道楽ぐらいのもので、目的の食い倒れビルが見つかるか不安でしたが、幸いに食い倒れビルの外観はそのままで、食い倒れ太郎の人形も健在でした。それに、なにより、会場前にはビル地下のお隣の小屋で若手芸人さんたちが、元気に呼び込みをしていたので、すぐに小屋が発見できました。

 往来もお隣の芸人さんたちも頑張っているんだなあと、いかにも見世物小屋に入る期待感で小屋に入ることができました。

 小屋は、地下だけあって天井が低いのですが、100席ちょっとの観客席とあいまって、わたしの気性に合った良き小劇場でありました。
 最初に往来のベテラン役者の乃木さんが出てきて一くさり。開幕前のベシャリをやらせると、この人の右に出る人はいないでしょう。巧みに観客を芝居の世界に連れて行ってくれました。

 この芝居は、書きすぎるとネタバレになりますので、ここからがむつかしいですね。

 ニューヨークのセントラルパークを散策するアメリカ人に「掘った芋いじっでねえ!」と言うと時間を教えてくれます。つまり、アメリカ人には[What time is it naw!?]に聞こえるのです。タイトルは、平仮名、英語、漢字(中国語として)の三つで書かれています。これがヒントであり、この芝居のテーマに繋がっています。

 とあるビルの地下(あるいは一階)に銃撃音の中、兵士たちが駆け込んでくるところから芝居が始まります。厳密にはキリコというメンソレータムのキャラのような看護婦キャラの女の子が手毬歌を手毬をついているところからですが。
 このビルの地下は矢部医院という怪しげな医院で、キリコはそこの看護婦で、鯨という怪しげな先生(キリコは「オッチャン」とよぶ)がいて、兵士たちを法外な治療費を取って直して(治すではない)いきます。全編、落語家の枝雀さんが言ったところの「緊張と緩和」の連続で、一見無駄な台詞……と言うより、コントのようなやり取りで満ちています。役者も新劇畑の役者さんから吉本、松竹、そして米朝事務所の落語家さんまでいるというごった煮です。ごった煮のナンセンスな面白さが、ラストにこの芝居のテーマを際立たせます。

 正直、役者さんの技量はまちまちですが、演出の鈴木君は、よくまとめていました。19年前の初演のときには分からなかった、この芝居の面白いところとテーマが良く分かりました。

 人間は、自分が作り出したものに溺れ、使いこなせず、場合によっては手厳しい反逆を受けます。ここまでは言ってもいいでしょう。兵士たちは戦争のために作られたドール(アンドロイド?)なのです。で、ドールでありながら自身は人間であると思っています。
 芝居の進行の中で「え、あんたもドールやったん?」という心地いい観客への裏切りが随所にあります。心地よく騙されてきました。

 ただ、若い役者さんの戦闘シーンに緊迫感がありません(張りつめた周囲への警戒感、弾着したときに思わず縮める身の縮め方などが)どうにも弱いのが歯がゆく、その緊張の戦闘シーンから、オチャラケたコントの緩和とのコントラストが、ぜいたくを言うと表現しきれません。また、モノローグになると「伝える力」の弱さが出てしまい。聴かなければ台詞として自然に届いてこないのが惜しく思いました。

 しかし、わたしが観たのは12の公演の一つに過ぎません。日によって役者がみんな違います。その日その時の芝居の楽しみが22通りあります。土日は観客席は一杯だと思います。台風が予想される月曜など落ち着いて観られるのではと、思います。



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演劇集団 ザ・ブロードキャスティングショウ Vol.37「想いでのグリーングラス」

2014-09-27 08:44:14 | 評論
演劇集団 ザ・ブロードキャスティングショウ Vol.37
「想いでのグリーングラス」 


 作:桑原裕子(KAKUTA)   演出:要冷蔵(劇団往来)

  
 台風16号と17号の狭間、一杯に張り出した高気圧の下。一心寺シアターに出かけました。

 どうも夜の公演に出かけるのが、いい歳をして帰り道がおっかないので、初日(9/26)のマチネーに出かけました。地下鉄四天王寺夕陽丘から、トロトロと歩きました。左に四天王寺の山門、右手に大阪の語源になった逢坂を見つつ交差点を渡り、次の角を回ると一心寺さんと天王寺公園に挟まれた道路が「へ」の字に曲がり、「へ」の右端に当たるあたりに一心寺シアターがあります。

 うっすらと額に汗を感じましたが、会場にたどり着くまでの道行きは、微かに秋を感じさせます。秋晴れの昼下がり劇場に向かえるのは雨男のわたしには、なかなか良い辻占でありました。

 タイトルから、アメリカの超有名カントリー・ソング『思い出のグリーングラス』(1965年発表)をヒントにした御作であろうとは見当をつけて参りました。
『思い出のグリーングラス』はご存知の方も多いと思うのですが、死刑囚が作った歌です。刑の執行がいつくるか不安な日々の中、死刑囚は夢を見ます。故郷の田舎に帰ると、汽車から降りたところで迎えてくれていたのはパパとママ。庭にそびえる樫木。子供の頃に遊んだことが蘇る。街のみんなもボクを迎えてくれる。でも、そこで夢から覚めた……そんな歌詞であったと記憶しております。未来のない追憶、それが「思い出のグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム」の6回のリフレインの中に見事に結晶した名曲であります。
 案にたがわず場転で、何度も流れ、この作品が『思い出のグリーングラス』のオマージュであることを印象付けてくれます。

 ただ、一筋縄ではいかないオマージュであります。

 舞台の設定は、チラシの通り美しい公園、古ぼけた貸しボート屋の小屋、背景には公園の広い池があるこころ。舞台前は、その池の縁から降りてくるスロープと50センチほどの階段。
 舞台に、幽霊と会話のできるホームレスの老婆が、ベンチに座り、新聞を音読しているところから始まります。一人なのにだれかに話しかけている風情。もうそこからファンタジーと言っていい、桑原さんの世界が広がります。

 これを書いているのは、まだ公演中なので、ストーリーやどんでん返しに関わる解説は控えます。

 ただ11人の人間と幽霊たちの絡み、コミニケーションが大阪的な面白さ、切なさに溢れているとだけ申し上げておきます。
 わたしの勝手な思い入れなのですが、これは、若い現在を生きる若者よりも、一定の人生を送ったオッサン・オバハン世代にしみじみ感じられる芝居だと思いました。むろん若い人が観ても。楽しめるだけの仕掛けや工夫が随所になされています。
 ただ、死別し見かけの歳が親子ほどに離れてしまった恋人同士、三世代家族の窮屈さや軋轢が笑いの中に織り込まれていて、そういう「実体験」のある世代の人ほど、自分に引きつけて「自分のもの」として共感させる不思議な力を持った作品です。

 初日のマチネーであるための緊張感が少し舞台にありました。中日ぐらいのこなれた舞台を観るべきだったのですが、せっかちな上に夜道がきらいなオッサンなので勘弁してください。

 台詞は発せられているのですが、役者相互には届ききっていないところがありました。あらかじめ役として用意しておいたリアクションで終わってしまい、人としての会話が弾けていないところに惜しさを感じました。しかし、この劇団を大好きなお客さんがかなりおられるようで、記号としての演技も自分の中で膨らませ、十分に芝居を楽しんでいました。観客と役者が共に創る劇世界であると思いました。

 違うと思いながら「ほんなら、これがええ」というアイデアまでは浮かばなかったのですが、この劇世界を感じさせるには、少し舞台が狭いように感じました。芝居の展開上、どうしても必要なものばかりなのでしょうが、役者の演技空間が狭く、時に心理的な距離を物理的な距離に反映しきれていないところが気になりました。もう少し大道具置き道具に大胆な省略があってもいいのではと感じました。

 しかし、今時貴重な大人のファンタジーを観せてもらえます。一見の価値ありであります。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ劇評『チンチン電車と女学生』

2014-06-23 10:52:19 | 評論
タキさんの押しつけ劇評
『チンチン電車と女学生』



 これは悪友の映画評論家・滝川浩一が身内に流している劇評ですが、もったいないので転載したものです。


映画ではありません。大阪の劇団・往来の舞台です。

 ベースは戦時下の実話、男達が次々徴兵される中、広島電鉄の車掌(後に運転手)の役目を担うべく、一日の半分を女学校、残り半分を勤労に当てる目的で集められた少女達の物語。
 今日が最終日だったので、しばらく再演は無いと思いますが、もし、今後“劇団往来/チンチン電車~”と見かけたら、絶対観劇にお出かけ下さい。おわかりの通り、反戦芝居ではありますが、一切の政治・イデオロギーを超えて、普遍的な、極自然な人間模様を描いた芝居です。
 私、演出の鈴木氏が「若いキャストが戦時下の様子が解らず、今一、リアルにならない」なんぞとこぼすもんで、うちの店で飲みながらウーダラカーダラ喋っておりましたら「今のそれをみんなの前で喋ってくれ」との無茶振り。「アホか」と言いつつ、結局、ウダウダみんなの前で喋ったのが公演の一週間前、そんな縁で本日ようやく見てまいりました。

 2幕 全19場、途中インターミッションを挟んで3時間弱の音楽芝居(ミュージカルとは違います)
感想一言で見事。私のウダウダ講演なんぞ全く必要なかったと、芝居を見ながら勝手に赤面していました。みんな、戦時下の若い男女として、厳然として舞台上に顕在し……こんなもん、公演一週間前にちょっと話を聞いたから出来るものではありません。
 この芝居の初演は4年前、当時のメンバーが今回どの位残っているかは知りませんが、誠に見事な舞台でした。
 私、今回が初見でしたから、講演するについて脚本を読ませてもらいました。 本読みの段階で、すでにウルウル来る程、良く出来た台本でしたが、舞台はさらに上を行きました。 予め本読みしていましたから耐えられましたが、これがなんの予備知識なしに見ていたら、冒頭一曲目の歌でボロボロに泣いていたはずです。事実、私の周りのお客さんは、その一曲目でハートを鷲掴みにされていました。
 なんのストーリーも始まっていない、まさに冒頭の一曲目です。歌う彼女たちの内実が現れていなければあり得る反応ではありません。これはある種の奇跡であります。
 講演させてもらった縁で打ち上げにも参加、キャスト以外の人達と話しましたが、皆さん同じ感想でした。芝居は“ナマモノ”ですから、一回一回出来は違います。公演最終回とあって、最高の舞台に立ち会ったのかもしれません。それはそれで、得難い経験をしたと思います。戦時下の若者たちの苦悩と、厳しいながらに抱く希望。国の情勢は日増しに落ち込んでいく日常、それでも懸命に前を向いて生きぬこうとする姿は問答無用に感動的です。

 そんな日常、昭和20年8月6日 午前8時15分……セミの声がうるさい、良く晴れた広島の青空に、いきなり、もう一つの太陽が現れるのです。
 人々のいかなる想いも営みも……一発の原爆で蒸発し、吹き飛んでしまう。
 絵空事ではなく、その現実が舞台上に再現されていました。
 私達日本人は、未だに先次大戦を総括していません。総括したからええっちゅうもんでもありませんが、例えばアメリカなんぞは勝った立場で実に都合の良い総括をしています。しかし、今の日本人のように思考停止しているのは論外です。物事を相対化するつもりはありませんが、“絶対的評価”なんぞ有る訳も無く、時代の要請、民族としての要請その他、時と立場で結論は違うでしょう。しかし、この事を考え続ける姿勢は持ち続けるべきだと思います。
 偉そうにブッとりますが、私だって人様に言えた義理ではありません。そんな自分の無様を思い知らされる芝居でも有りました。 本作、中心は広島電鉄の作った女学校に通いながら働く少女たちの日常がメインではありますが、その家族、学校の先生たち、市井の人々、これら総てが世界を形作っています。今回、ヒロインの淡い恋心を向けられる兵士の役を演じる加藤義宗(加藤健一の息子さん)が、オーバーに叫ぶ事なく、かつ、全くブレない演技で好感。父ちゃんに似ず、顔が小さく、足の長い今時の若者。おおよそ戦時下の日本男児にはあるまじきスタイルながら、そんな事は全く感じない。それを言い出せば女の子たちもみんな今時の可愛い女性たちながら、戦時下の少女以外に見えない。
 久方振りに「下手の横好き」の芝居心をくすぐられました。もし、可能なら、戦時下 物資横流しで儲けるオッサン(そんな役は登場しない)の役ででも参加したいものであります。 現実、そんな贅沢な時間の持ち合わせは有馬線が、その前に瞬殺で演出・鈴木氏に拒否されるでしょう。 キャスト70人(ワオ!!!)スタッフ合わせて100人以上の大所帯、スポンサーが付かなければなかなか再演は難しいでしょう。これまで大阪と広島だけでの公演ですが、心から日本中で見て欲しい作品です。どなたかスポンサーに心当たりがおありでしたら、紹介してあげて下さい。



『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』  
 7月発売予定。出版社の都合で、また発売が延びました。もうしわけありません。(税込み799円=本体740円+税)
『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』    
    

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大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
 高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
 60分劇5編入り 定価1404円(本体1300円+税)送料無料。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『X- MEN days of future past』

2014-06-01 07:02:57 | 評論
タキさんの押しつけ映画評
『X- MEN days of future past』



 この映画評は、悪友の映画評論家:滝川浩一が個人的に身内に流しているものですが、もったいないので転載したものです。


久し振りに映画館にやってきました。先週は、奴がれの体調を気遣っていただき、まことに申し訳ないやら有り難いやら。ありがとうございました。

 とはいえ、早起きしての移動は辛い……もとい、眠たいよ~~〓
 では、本編……おっと、その前に、先日の「OLD BOY」、いかにも韓国オリジナルのごとく書いてましたが、なんと! 原作は日本の漫画でありました。なんとも面目無い、全く知らん作品です、これじゃマンガ読みの自称は引っ込めんとあきまへんなぁ。
 さて、本間に本編です。結論:面白いから絶対お薦めです。華五重丸です。但、“タイムパラドックス”は忘れて下さい。特に理系の皆様方、心されよ。 2023年、ミュータントも人間も最悪の未来。巧い設定ですが、ターミネイターとマトリックスの世界観のミックスです。
 まぁ、この二作の設定以外はあり得ませんから致し方なしです。量子理論(と言っても、突っ込みいれないて下さ
いよ、私にだって理解の外ですから)からすると、時間も空間も一定不変ではありません。無限数の未来パターンが存在します。だから、絶望的な現在を過去に戻って訂正出来るかってえと……これはダメなんですね。映画の中にも「川の流れに一石を投じても流れは変わらない」ってぇセリフが有ります。過去の因果を訂正すると、そこから別な時間軸による未来が始まり、新たな世界が築かれる訳で、過去に干渉しようとした現在が変わる訳ではありません。その点「マトリックス」は機械による仮想現実(夢みたいなもんですね)世界だから、何らかの変更は可能。ターミネイターも本作と同じ問題を抱えていますが、こっちはスカイネットとの戦いに決着が付いていないので理論破綻の一歩手前で踏みとどまっています。 それを言うなれば、本作も最終決着寸前のタイミングと言えなくもありませんが、映画が暗示する結論は有り得ない。
 
 ウルヴァリンが過去へと旅立って、無事帰還する訳ですが、本来、そこにはもう一人のウルヴァリンが存在します。……まぁ、そこんとこは巧い設定に成っていて納得出来る作りには成っています。
 てなヤヤコイ話になるので、この件は無視して映画の結論を丸呑みする事にいたしませう。
 ここさえクリアしたら、元々の本編シリーズとファーストジェネレーションのオールスター揃い踏み、言うならX- MEN AVENGERSみたいな話です。ミスティークは当然ジェニファー・ローレンス、今作、H・ジャックマンと彼女が主役ですから、たっぷり演じてます。全身メイクですが、まさしく名演技です。さすがであります。
 新顔にビショップというエネルギーを吸収放射できるミュータントが登場、なんと「最強の二人」のオマールが演じています。スキンヘッドではなくドレッドヘアだったので、パンフを見るまで判りませんでした。 もう一人、ミュータントの強敵センチネルの開発者にピーター・ディンクレイジ……ご存知無いとは思いますが、現在、CSで放映中の「ゲーム・オブ・スローンズ」のティリオン役でゴールデングローブ賞/エミー賞いずれも助演男優賞を取っています。スローンズの中で私の最大贔屓がティリオンです。オリジナルキャストの中にも彼のファンが多数、殊にジェニファーは殆どオタク状態であったとか……。
 ヒュー・ジャックマンは必ずどこかで裸の上半身を曝すが、今回の鍛え方は尋常の域を出ている。後ろ姿だがオールヌードも一カ所、まるでギリシャ彫刻が動いているようでした。撮影前からトレーニングを始め、撮影中も毎日鍛えていたそうで、恐らく最高の出来上がり時点で件のオールヌードを撮ったのでしょう。同性からみても、思わず溜め息が出る肉体美でした。 念のために断言しときますが、私、H◇M×では有馬線!、天地神明に誓って単なる女好きです!(何を強調しとるやら アハハ)
 本作、製作費2億5千万$(この類の最高額と言われてます)先週公開 全米9千万$ですから、まぁ、製作費は国内で賄うでしょう、後の世界興収は純利益決定!さぞかし笑いが止まらんこってしょうね。
 さて、本シリーズ、続編がすでに決定されとりまして、再来年“X-MENアポカリスム”翌年“ウルヴァリン3”さらに翌年、タイトル不明ながらウルヴァリンは絡むらしい。
 さて、H・ジャックマン……どこまで付き合うんでしょうねぇ。X-MENのコミックは、全世界5億$の売上高だそうで“ワンピース”の約2倍……ちょっと想像を絶します。今作には明確な原作があるらしく、次回作の“アポカリスム”と1、2を争うコミックだそうです。さすがに知りません。マンガ読み滝川(さっき称号返上を言うたやろに)のウィークポイントはまさにアメコミ、されど、あんまり読み続ける気にはならんのよね。  例えばですよ、X-MEN3でマグニートーは“キュア”を打たれて能力を失った筈が、何の説明も無く蘇っている。アメコミのご都合主義……日本でいや、“北斗の拳”のケンシローの出自が二転三転しているようなものです。好きだったから単行本27冊分、最後まで付き合いましたが、せめて“羅王”の死で終わった方が良かったと思っている人の方が多い筈です。 その点、アメコミは問答無用……知ってます?アメコミのX-MENシリーズではスパイダーマンは2度程死んでいます。
 ご都合主義……面白かったら付き合いますが、程度を過ぎるとあ~あ〓であります。

 以上、アメコミを追っかけ無い理由の言い訳でありました。まぁ、映画は一本一本が面白けりゃええので、原作なんざ知った事っちゃございません。
 ただ、原作コミックの隅から隅まで知り抜いているオタク連中の深い(????)話題について行けないのには、理屈抜きで……少々、グヤジイ~のであります。

 チャンチャン〓

 全く話変わりますが、これを打ちながら“舞台・真田十勇士”をみとるんですが……これ、新感線でやるか、せめて中島台本ならもっと面白かろうに、マキノノゾミじゃねぇ……しかも、マキノさん、否定するでしょうが中島台本の方法論と井上演出のコピー ムムム 言い過ぎですか? ま、お後がよろしいようで、チャンチャン………アハハハハ〓



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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『相棒Ⅲ/プリズナーズ』

2014-05-05 07:24:39 | 評論
タキさんの押しつけ映画評
『相棒Ⅲ/プリズナーズ』



 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に、身内にながしているものですが、もったいないので転載したものです。


相棒Ⅲ

 在る意味、“シリーズ相棒”の総ての要素を持っている作品と言えます。密度の高いミステリーと政治性、対する杉下右京の緻密さと何者に出会っても揺るがない秩序に対する忠誠心が描かれる。 “相棒”の劇場版として自信を持ってお薦め出来ますが……。

 監督/和泉聖治、脚本/輿水泰弘という、シリーズ生みの親コンビ、相棒の裏も表も知り尽くした二人、さすがにプロットの組み立て、ストーリーの見せ方は見事である。
 が、正直に言わせて貰うなら、“ネタが早く割れ過ぎる”と感じる。これが、シリーズ途中から脚本参加した古沢良太なら、もっと捻ったストーリーテリングを見せてくれたと思える。すなわち、監督/和泉、原案/輿水、脚本/古沢ならもっと面白かったはずだと考える。
 相棒はA・クリスティー的展開(人によってはE・クイーンやクロフツを上げるが、あくまで基本はクリスティーだと考える。クイーンやミルン的な世界観は各脚本家の味付けによる。古沢良太はクイーン的な捻りと衝撃的短絡にこだわりが有ると思っています)の世界です。そこに、極めて日本的な人生観や政治風土、組織論理が絡まるから、リアルな現代日本のドラマとして屹立できる。
 推理ミステリーの常道として、事件の手掛かりは、物語の始めから観客の眼前に提示される。
 しかし、それをその時、観客に“これは証拠だ”とか“伏線だな”と思わせてはならない。敢えてそうするなら、それは、観客を違った方向にミスリードする罠でなければならない。観客は、提示された怪しい情報/状況を“これは真正?罠?”と考えるのが面白い訳なのだが……本作の場合、考えるまでもなく、“これは伏線だ”と断定出来る。しかも、一番初めに出くわす情景がそうなのである。
 これによって、杉下・カイトが抱いている嫌疑が肯定されてしまう。罠だと考えた場合、タイミングが早過ぎて、今これを見せては不利にしか成らないからである。
同じく、杉下達が、この島に乗り込む理由となった事件にしても、ここまでやってしまう意味がない。 わざわざ不利益を呼び寄せる事にしかならず、もっと穏当な手段があるし、やるならやるで、この島で行われている事業(民兵訓練)から考えて、方法は山程存在する。
 これらを納得させる為には、これしか無かったという状況が提示されなければならないが、残念ながら、その点はスルーしてある。 さほど時間のかかる作業ではないが、後日、テレビ公開される時の時間割が過度に意識される結果だと断定できる。元々テレビマンである監督/脚本コンビだからこそのストーリーテリングなのである。この点が惜しまれる。この為、ラストの杉下コンビと主犯との間で交わされる会話も、その一言一句まで予想出来てしまう。
 相棒もテレビ12シーズン、劇場版3本、スピンオフ2本という巨大サーガとなり、いささか予定調和に陥る傾向があるようだ。鉄砲フリークとして疑問……冒頭、島での訓練が映される。川の中から静かに浮き上がる民兵達(最近、傭兵物でお約束のシーン)川から様々な武器を持って出てくるが、数人がショットガンを手にしている。敵中への隠密侵攻、乃至、威力偵察訓練なのだろうが、この水浸しのショットガンが火を吹く……??? 見たところ、軍用銃ではなく狩猟用の銃に見える。こんなもん、ほんまに水に浸けても使える? 雨が降っていてすらカバーが必要なのに? それと、島で指導を勤める隊員達の身体が全く軍人のそれでは無かったのも興醒め。せめてそれらしいガタイの役者を使ってほしかった。こういう細部から、映画のリアルはすべり落ちて行く。


プリズナーズ

 これだけ恐ろしい映画もそうは無いでしょうねぇ。白昼、二人の女の子が姿を消す。犯人らしき人物が早々に捕まるが、これが真犯人なのか否かがトコトン最後まで解らない。見事なストーリーテリングです。 プリズナーズとは、行方不明の子供だけを指すのではなく、主なキャラクター総てが現実に、また、過去の事象に捕らわれている事を指すタイトルです。
 映画の内容から、一切ストーリーには触れられないのですが……今年のハリウッド作品は(本作の全米公開は去年末ですが)聖書題材やキリスト教題材の物が多数作られています(テレビドラマで“ベン・ハー”のリメイクがあったし、秋には“十戒”のリメイクも公開される、現在公開中の作品の中に、臨死体験した幼児が天国を見るっつな物がある)。本作も間違いなく聖書関連スリラーです。
 敬虔な信徒が、ある時点を境にデーモニッシュな存在に変化する。極、普通の人間が、ある一線を越えた途端に暴走する。これだけなら、良くあるハリウッド映画だとも言えるが、本作の中にいきなり蛇が出現する……これは間違いなく宗教絡みの作品である証拠です(エデンの園でイブを誘惑する主体)
 リバタリアニズム、“完全自由主義”位が訳文ですかね。要するに国は最低限の秩序を保証せよ、後は我々が自ら守るって事です。アメリカの銃規制が進まないのも、国民皆保険が実現できないのもこの考え方によります。国家による思想/経済/身体に対する拘束はこれを拒否する。その自分がよって立つのはキリスト教信仰なのです。本作中、あるキャラクターが自ら狂気の行動と意識しつつ、そうせざるを得ない……その時、自らの狂気と正常世界の繋ぎ糸として“主の祈り”を口ずさむ、主の祈りは、本作のそこいら中に出てくる。毎回意味する所が違う。
 毎回言いますが、こんなキリスト教的知識がなくとも理解できる作品ではありますが。これを知っていればより深く本作を理解出来ます。加害者/被害者の苦悩ばかりではなく、刑事/ロキ(J・ギレンホール)の懊悩にも思い至ります。敢えて言います。キリスト教/リバタリアニズムに染められた“アメリカ”がわかっていなければ本作の3/2は理解できません。 およそ2時間30分の本作、これを長いと感じるか短いと感じるか……それはあなたの“アメリカ理解”“キリスト教理解”の度合いによります。不遜な言い方でゴメンナサイ。本作は日本人に対しては観客を選ぶ作品だと言えます。 これを見て「長い」「下らん」「面白くない」と思った方は「アメリカの現状況」が解らない方々です。
 剃刀の刃でも、鉄砲玉でも、気にくわなければ送って下さい。私の結論は変わりません。  H・ジャックマン/J・ギレンホールが素晴らしいのは言うモノがな、二人の子供の母親V・デイビスとM・ベロがリアル、何よりM・レオの存在感が圧倒的! おっとT・ハワードも捨てがたい。 解ってくれる人とだけ、この喜びを分け合いたい。轟々たる非難の声を予想しつつ……やっぱり、そう言い切ります。理解できないと思ったら見ないで下さい。所詮、理解できない人々の悪口など……聞きたくもありません。



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劇団往来番外公演『ドクトル クノック』

2013-12-01 17:39:02 | 評論
劇団往来番外公演
『ドクトル クノック』



 原作:ジュウル・ロマン 翻案・脚本:さかもとがしん 演出:要冷蔵


 一心寺シアターには初めていきました。


 一階は、一心寺千佛堂で、その地下がキャパ300の劇場になっています。最寄りの地下鉄(夕陽丘四天王寺前)から、ちょっと距離があるのが難ですが、この距離は、かつての府立青少年会館と森ノ宮駅ほどで、感覚的には心地よい感じでした。

 ジュウル・ロマンはフランスの作家で、かつて国際ペンクラブの会長をやっていたぐらいの知識しかなく、この『クノック』は未見でした。日本での初演は1927年帝国劇場の演芸場で新劇協会が演ったのが初で、新劇の作品としては古典に分類されるでしょう。

 原作は未見ですが、脚本家は、舞台を昭和初期、大恐慌後の河内に移しています。従って、台詞は河内弁。高安、信貴山、柏原、弓削などの、わたしの地元の地名がバンバン出てきて、とても親近感でした。

 なんとも、人をくった話であります。

 ドクトル・クノックがパルパレェ医師に替わって、この河内にやってくるところから芝居が始まります。
 駅のホームに出迎えるパルパレェ医師夫妻。そこにやってくるクノック。クノック以外が河内弁であることを除けば、典型的な新劇の舞台です。
 ところが、このクノックは、無免許医師なのです。かつて横浜の外国航路の船が船医を募集しているのに医師として乗り込んだのが始まりです。船は体裁、あるいは船舶法により、医師が必要なので、クノックが無免許であることを承知で雇います。
 以来、子どもの頃から頭に入っている医療知識を総動員して、堂々と無免許医師を続けます。

 クノックには、マネジメントの才能があり東西屋(チンドン屋)を雇い、宣伝をやったり無料診療の日を作ったり、心理的な誘導で病人を仕立て上げ、医業の有効需要の喚起をやります。今の感覚では、とんでもないことなのですが、時代を昭和の初頭にしたこと、牧歌的な河内を舞台にしたことで、クノックはとても善人に見え。クノック先生の医業の成功の大団円が、とても落語的な面白さに満ちています。
 一心寺シアターでは、かつて桂枝雀さんなどの落語会が開かれたことを思うと、ますます落語に思えてきます。開幕前に乃木さんが出てきて、「帰りにそこの階段を上ったら忘れてしまうくらいのつもりで見てもろたら、ええんです」といいます。まことに、そのまんまのお気楽な芝居ではありました。
「芸術は場数だ! 演劇はカーニバルだ!」という往来のコンセプトが生きています。

 大阪弁、あるいは河内弁を、こんなに自然に舞台語として使えるのは、松竹新喜劇と往来ぐらいのものでしょう。

 インターミッションの道具の転換を、道具職人の法被を着たスタッフに、かけ声をかけさせ見せ物としてみせたことも、空気を弛緩させない、良い効果がありました。

 子役の使い方と、子役の上手さは、この劇団の得意技になった感があり、東西屋の親子がからむところは、そこだけで、落語の小話のようで素敵でした。

 しかし、この芝居には仕掛けがあります。

 この芝居の原題は『クノック - 医学の勝利』といいます。クノックは医療ではなく、マネジメントとして医業を成功させるのです。なんでも商売になる、してしまうという資本主義のアイロニー(皮肉、あてこすり)があります。「階段を上ったら忘れてしまう」という真逆の言葉で、かえって印象的になります。

「この芝居の中の出来事は、今の世の中に通じるモノがあります」という開演前の言葉は余計であったように感じました。新劇が、よくやる「この道は、いつか来た道」を想起させ、身構えてしまいます。カーニバルに徹したほうが良かったような気がします。

 来年は『チンチン電車と女学生』を再演されるとか、反戦と反核以外に、なにを見せていただけるか楽しみであります。


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劇団息吹 55周年記念公演『夢の裂け目』

2013-11-30 18:55:02 | 評論
劇団息吹 55周年記念公演
『夢の裂け目』


 作:井上ひさし 演出:坂手日登美

 井上ひさしの、まろく、かろく、転がりようの違う球体を歌と共に転がしたような音楽劇でした。

 難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く……井上ひさしの面目躍如たる作品でした。
 お話は、一言で言えます「紙芝居のオッサンが、キリスト教の伝道師になるまで」であります。

 いわゆる東京裁判三部作の第一作で、終戦直後の話であります。
 東京のベテラン紙芝居屋のオッサン田中天声が、自分の名作の狸の紙芝居が、東京裁判のあり方とよく似ている……いや、そっくりであると、仕事仲間とのかかわりで気づき……その前にGHQから検察側の証人として呼ばれ恐々として出かけ、市ヶ谷の東京裁判所で紙芝居の実演まで、やることになります。そのことが新聞に取り上げられ、紙芝居の売り上げも人気も信じられないくらいのものになり、有頂天になります。

 そして、気づくのです。東京裁判は日本とアメリカの馴れ合いで、戦争責任を軍部とA級戦犯たちのせいにして、一般国民や天皇は関わりが無かった。そういう茶番劇であると。
 そして、天声は、大学などに呼ばれ紙芝居を続けます。

 これが、GHQの逆鱗に触れ、天声は逮捕されてしまいます。しかし、仲間の応援や(この仲間の作り方は「十一匹のネコ」を思わせてくれるほど人物の彫りが確かで、面白く書けています)GHQの検察官の女性秘書ミドリの共感などで、懲役を免れます。十年後、元々キリスト教の伝道師であったミドリと結ばれ、仲間達とともに明るく楽しい路上説法をしているところで幕になります。

 息吹さんの、この芝居は、井上ひさしの狙いを、ほぼ正確に再現し、音楽や道具など、独自の工夫をされて、55周年記念公演として、まずまずご成功されたのではないかと思います。ラストの観客の暖かい拍手……それは、時には手拍子にもなりました。耳の不自由な方のための字幕スーパーにも共感できました。

 わたしが観たのは30日のマチネーでした。

 暖房が心地よかったことと、十数曲流れる劇中の音楽、特に歌が上手く、日頃の昼寝の時間と重なったこともあり、瞬間居眠りしてしまいました。気づくと周辺でも船を漕いでいる人が何人か居られました。

 あえて、この芝居の欠点をあげるなら、この歌です。関西二期会のご指導もあり、どの役者さんも上手に歌っておられましたが、いささか多用しすぎ、ドラマの展開軸まで歌にしてしまったのは、どうだろうかと思いました。

 井上ひさしは劇作家として大先輩で『ひょっこりヒョウタン島』のころからのファンでもあります。
 おそらく、戦争を実体験しているか、いないかの差だと思うのですが、井上ひさしの日本に対する思いだけは共感できません。
 あの大東亜戦争が、軍部や一部の戦犯のせいではなく、普通の日本人みんなが背負わなければならない。
 ここまではいいのです。天皇陛下に戦争責任があり、日本という国のナショナルポリティー(流行りの言葉で『国のかたち』)を否定していることには同調できません。
 明治憲法を見ても、天皇は内閣の補弼のもとに政治判断や行動をするのであって、アカラサマに天皇が個人の意志を押し通すことはできません。諸外国の主権者たる国王や皇帝に比べ、決定権は無いのです。
 例外は、ニニ六事件と、ポツダム宣言の受諾だけで、いずれも政府や内閣が統治・決定能力を喪失したときのみです。

 なんだか揮発性の高い話になってしまいましたが。息吹さんの観客席と舞台の暖かさは貴重です。観客席を見てもオールドファンがいっぱいいらっしゃいました。わたしも息吹さんの芝居は30年。途切れはありますが見続けてきました。55周年、おめでとうございました。



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大阪放送劇団第57回公演『煙にまかれて五十年』

2013-10-26 20:45:17 | 評論
大阪放送劇団第57回公演
『煙にまかれて五十年』
    

 作:アンドレ・ルッサン  演出:西山辰夫 


 近鉄高安のホームに急ぐと準急が出たところでした。


 難波で、地下鉄に乗ろうとしたら、目の前で北千里行きのドアが閉まりました。

 汽車は行く行く、煙は残る、残る煙がシャクの種……という活動映画の弁士の名台詞がありました。
 実についていない放送劇団観劇行の始まりではありました。

 今の電車は煙は出ませんが、昔の蒸気機関車は、ホームに煙を残していました。

 その汽車の煙から、この作者は、このストーリーを一瞬で思いついたのではないかと思わせるようなホンワカ喜劇でした。

 舞台は、1960年代のパリ、シテ(中ノ島)に近い書店の経営者のロシア人妻ソフィアの部屋です。
 遠見にエッフェル塔とパリの街。部屋の調度は19世紀から、戦後のモダニズムのものまでありましたが、固定電話、内線電話から50年代~60年代と踏みましたが、当たっていました。
 中央に『プラダを着た悪魔』の映画でメリル・ストリープの編集長が座っていたようなごっついレザーの椅子があり、芝居が始まるとそこにメリル・ストリープを老けさせたような、ガウンのオバアチャン。『プラダ』なら、クルリと、こちらを向いて[Thats all]とカマスところですが、このソフィアバアチャンは、気弱く咳き込んでいます。
 そこに、亭主のエルネストがやってきます。「はいはい、いま来たよ」だったかな……。彼が妻の部屋に入るときの決め台詞があり。この家の住人は、このソフィアに気を遣っていることと、喜劇的な仕掛けが有りそうなことが分かります。
 ソフィアは、亭主の前でも家族の前でも、初恋の元近衛兵ロシア人コンスタンティンとの別れを切々、朗々と繰り返し語ります。
「あの時、汽車が入ってきたの。そしてホームに濛々と立ちこめる煙、ホームにいっぱいの人々……そこで思わず彼の手を放してしまったの。煙が薄れると、もう彼の姿はなかった。途方にくれる二十歳のわたし、懸命に彼の名を呼んでも、二度と彼の姿は見えなかった……」
 まるでシャンソンの間奏に入る美輪明宏の台詞ようで、喜劇的な演出をねらっているなあ、と思いました。
 その後の展開で、たまたまテレビに映っていたソフィアの姿を見つけ、そのコンスタンティン自身がパリにやって来ていることが分かり、ソフィアの様子はコロコロと変わります。

 ネタバレになるので、これ以上のストーリー展開については控えます。

 この芝居、途中の休憩を挟んで二時間ちょっとあります。
 最初は、なかなか芝居が観客席に届かず、反応していたのは、放送劇団のファンと思われる、前列から中央のお客さんだけでした。失礼ではありますが、自己解放や役の肉体化という初歩でつまづいているとさえ感じました。

 ところが、中盤に西山さんのコンスタンティンが出てきてから、観客のほぼ全員が反応するようになりました。
 西山さんは『部長刑事』のころからのお馴染みさんで、ベテランの役者さんです。舞台の西山さんは、実に20年以上見たことがありません。一瞬ヘタになったなあ……と思ったぐらいに動きや感情の変化が乏しいのです。でも、観客は、それ以前よりもよく反応し、役者同士のコミニケーションも実にうまくいくようになりました。

 ああ、芝居を捨てるというのは、こういうことか……と思いました。

 宇野重吉さんという新劇の神さまが、昔おっしゃっていました。
「10個演技をしたくなったら、8は捨てますね。どうかすると10個全部捨てます」
 演出を兼ねておられる西山さんは、まさに捨てることによって、ロシア人コンスタンティンの善良さ、棒状の人の良さ。そして、そうやって人の心に入っていく素朴さを実に良く出しておられました。あんなに力を抜いて人を笑わす役者さんに、久々にお目にかかりました。

 おそらく、演出にあたっても、役者に過剰な演技をすることを戒めてこられたのでしょう。

 フランス人がロシア人を見るときには、日本人が見るときと違った目があります。フランス中華思想というのでしょうか、一般にロシアのことをヨーロッパだとは認めません。フランスの外務省でロシアを扱うのはアジア局です。
 アンドレ・ルッサンという劇作家は、それを逆手にとって、人間を表現したのではないかと感じたぐらいです。
 フランス人の感性は一筋縄ではいきません。
 かつて、東西ドイツが統一されるときに、フランスの大統領は、こう言いました。
「わたしは、ドイツが大好きだ、それが二つある。一つになるのは寂しいね」
 そういうフランスの庶民の感覚となると、さらに分かりません。

 放送劇団は、うまく和訳されたと思いました。

 個人的な趣味ですが、芝居の作りが、パステル画のように淡く感じられました。もうちょっと印象派の油絵のように、単純さと明るさ、思い切りの良さがあればと思いました。

 ソフィアの増田さんは、わたしより若いはずで、すなわち西山さんとは親子ほどに年の差があると思うのですが、見事に西山さんの元恋人役で収まっておられました。


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演劇集団ザ・ブロードキャストショウ Vol.35『Sadittarius』

2013-10-25 20:48:02 | 評論
演劇集団ザ・ブロードキャストショウ
Vol.35『Sadittarius


作:小鉢誠治    演出:鈴木健之亮


 二年ぶりの日本橋は、そぼ降る雨の中でした。


 恵美須町の駅を出ると、会場のインディペンデントシアターはおろか、自分が日本橋のどこにいるかも分からない変貌ぶりでした。時の流れと自分の記憶力の減退に、かすかに恐れを感じました。

 住居表示を目印に、かすかに残る記憶にすがり探していると……見落として五十メートルほど行きすぎてしまいました。戻ってみると幅一間ほどのところに芝居の匂いがしたので、覗いて見るとドンピシャでした。

 五十坪ほどの小屋の中、観客席は九段のヒナ壇に百席を……ちょっと切るかというぐらいのキャパ。
 舞台は間口四間、奥行き二間ほど。そこに複雑な階段状になった装置がありました。

 わたしは、いつも舞台の上手奥から、観客の反応ごと芝居を見るのですが、演出の鈴木君に見つかり「もっと、前で見いや」 で、三列ほど前に移動しました。
 
 芝居は、わたしが忘れた日本橋の風景をゆっくり思い出させてくれた道行きに似ていました。

 高校、大学のころ、スペースファンタジーやSFのスタイルを借りて、自分たちなりに「現代」と「現代を生きる自分」を表現しようとしていたことを思い出しました。

 ネタバレにならない程度に内容に触れます。

 ある国が戦争をしている野戦病院とも言えない洞窟(だと思うのですが)そこで、懸命に負傷兵の手当をするドールと言われるアンドロイドというか人造人間のドクのところに、従軍看護婦メフィスト……怖ろしげな名前ですが、とてもドジでチャーミングな女の子です。濃紺の制服に白いピナフオー(胸当て付きエプロン)ナースキャップに赤十字の腕章。どこかで見たことがある……と思ったら、ほとんどメンソレータムのパッケージの看護婦ちゃんのスタイルであります。

 敵の攻撃は激しく、その洞窟も危険になり、警備兵ルークの指揮でみんな退避することになります。
 そして、十年~二十年の歳月がたち、話は国が敵に負けた時代に移行していきます。
 メフィストは、国の生物科学研究所の、所長に。ルークは、政治の世界を目指し、首相選挙に打って出ます。その中に、互いの希望や裏切り、挫折などがあります。

 この芝居は三部作の二番目で、未見の第一作が、今回の将来の話しらしく、客席で声が上がりました。
「ああ、こう繋がってくんねんなあ……」
 だから、この芝居に関しては三作見ないことには分からない仕掛けになっています。
 そのためか、パンフにポイントカードが付いているのにはニヤッと笑いつつ驚きました。

 ここからは、今回だけの印象です。

 最初は、演技力のばらつき、身に合わない衣装などが気になりました。台詞が音量としてでなく、人の言葉として届いてこない、まるで高校生の芝居を見ているようなもどかしさがありましたが。演出のテンポがよく、また、メフィスト役の瞳さん始め、何人かの役者さんが、ボケとクールの両方の芝居ができます。で「あれ?」と思っているうちに芝居の中に引っ張り込まれます。
 さすがに往来からのゲスト出演や、主軸になる役の人たちのねばり強い演技には拍手です。二時間近い芝居を破綻させることなく持っていったのはさすがだと思いました。

 劇の背景が日本の戦後を思わせるような設定になっていましたが、そうであったとしたら、六十のオッサンとしては、こんな単純じゃないし、大きく抜けているものがあるように感じました。
 日本語で書くと誤解されますので[the national polity]としておきます。
 ドールという概念は、限りなく人間に近いロボットであると解してよいと思います。そのドールが自我を持ち、進化能力を感じさせるところなど、攻殻機動隊の義体やタチコマを彷彿させるものがあります。ただ、SFあるいはラノベ、アニメとしてではなく生身の人間が演ずるためには、今少し、この世界観に共感させる厚みと、表現技術がいると思います。酷なようですが、大昔の実写版『鉄腕アトム』を見たときのような、薄さを感じてしまいます。

 これは趣味の問題かもしれませんが、こんなにシリアスな話として作らず。戯画的な世界観の中で、細部に徹底的にこだわる作り方の方が、舞台のエンタメとしては成功したのではないかと思います。また、それだけのスラプスティックで、かつリアルな芝居を創ることができる人たちではあると思いました。

 年寄りの……オッサンの発想ですが。

『ガールズパンツァー』のような、女子高に戦車部という部活があり、中はカーボンコーティングされ、たとえ実弾が当たっても人死にが出ない設定で、戦車の性能、操縦など、極限までリアルに設定したように、とことんオタエンタメに徹した方が良いのではと思いました。
 どうしても、ドールと人間の相克からドラマを立ち上げようとしたら、生身の人間が演るのですから、今少し、観客が共感出来る設定、細部へのこだわり……一言で言えば練り込みがいったように思います。

 サジタリウスとは、射手座の半人半馬の射手を指し、近くは『ジパング』に出てくるイージス艦のトマホークミサイルを「サジタリウスの矢」と言っていたのを思い出します。
 人間が作ったモンスター。これを第三部でどう表現されるのか。また、この世界観にどういう決着をつけるのか楽しみではあります。


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大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
 高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
 60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。

お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。

青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351

大橋むつお戯曲集『自由の翼』戯曲5本入り 1050円(税込み) 
門土社 横浜市南区宮元町3-44 
℡045-714-1471   

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