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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

銀河太平記・302『ヤクザに頼まれ大連へ・1』

2025-05-08 15:52:04 | 小説4
・302
『ヤクザに頼まれ大連へ・1』 ツナカン 




 北京の生活になじみ過ぎたのかも知れねえっス(-_-;)。


 中南海の広場で殿下を見かけ、とっさに素に戻って追いかけたら、とたんにセキュリティーに気づかれ、危うくドンパチに成りかけちまって、劉宏大統領はソッコー殿下の居場所を変えたっス。

 てっきり乾鎮の公邸に戻ったのかと向かったら、戻ったのは空のオート車で、公邸には三分しか停車していなくて、また走り去ったっス。

 車は他にも四台が中南海の瀛台から走り去っていて、あちこちに散っていったっス。これは、追跡者を撒くための常とう手段。それを乾鎮の公邸を見るまで気づかなかった……天下の宇宙海賊アルルカンの名を辱める間抜けっぷりっス。船長に合わせる顔が無いっス。

 ビシバシ!

 自分で自分に往復ビンタを食らわせたっス。

 シャキッとヒンメル副長の脳みそに戻して事態を分析、それからセオリー通りに可能性の高いところを二か所回ったっス。

 どこを周ったかは内緒っス。

 周ったところや、その順序で自分の能力が知れてしまうっスからね。

 二カ所とも不発だったっスけど、大事なことが分かったっス。

 この三日、日貨排斥運動は勢いを増して反日運動に拡大してきたっス。武漢の武昌で狼煙が上がったのが『?』っス。武昌蜂起は300年前の辛亥革命の導火線になった歴史的事件で、それに当て込んだようなのに作為を感じたっス。

 起きるなら上海・南京・香港・寧波あたりの日系企業や日本人が多くいるところっス。むろん、そういうところでもドンパチは起こってるっス。だけども武漢の武昌というのは作為を感じる……って、これは余計なことっス。ま、じっさい、武昌のあくる日には上海以下の街でも反日暴動は大きくなってるっス。

 日本人居住地域が封鎖されているのを尻目に空港に向かっているっス。

 シマイルカンパニーにはお世話になったっスけど、ツナカンの任務は殿下の捜索と救出っス。

「ネーチャン、いや、アネサン、ほとうに腕の方は大丈夫なんでしょうねぇ」

 夕べぶちのめしてやったオッサンが胡乱な目で聞くっス。

 こいつは、上海のヤクザで、上海からヤバイブツを運び出すパイロットを探していたっす。

 ブツの中身が相当なものだということは、飲み屋の裏で半殺しにされかけていたモグリのパイロットを助けたことで分かったっス。

 このところの暴動で、空港は軍関係の機体以外は飛行禁止。それで、契約の成立したブツを運び出そうにも動きが取れねえ。それで、パルスレーダーに引っかからねえ超低空で運ぶパイロットが急きょ必要になりやがったんすけど、パイロットがビビっちまって尻込みしやがって、ヤクザが焼きをいれたってわけっス。

 それを、たまたま見かけたツナカンがヤクザをぶちのめして、ナシを聞いたら自分にとっても渡りに船で、そのヤクザは泣いて喜んでツナカンに任せたわけっス。

「相手は日本の同業者です、約束通りにいかなかったら、こっちの身がヤバイんですから( ノД`#)」

 腫れた頬っぺたを押え、尻込みしながらヤクザは頼んできたっス。

「おう、任しとけ」

「頼むよぉ。これ、しくじったら、うちの幇(パン)はおしまいなんだからよ」

 やる前からヘタレテやがんのは親分の息子。オッサンは、この息子の守り役で、こんどの仕事でボンボンに花を持たせてやりたいから。むろん殊勝な忠義心からじゃねえっス、ボンボンを利用して幇の実権を握りたいからっス。

「それなら、付いてこなくてもいいんじゃねえのか」

 だから、意地悪を言ってやるっス。

「んなわけにいかないだろが、腕があるとはいえ、一見(いちげん)の女ヤクザパイロットに全部任せられっかぁ!」

「ビビりながら言うと、男の値打ち下がるぞぉ」

「ビビッてなんかねえ!」

「そうか。じゃあ、行くぞ。時間も押してるんだからな」

「お、おう」

 パシン!

「な、なにすんだヽ(`Д´)ノ!?」

「ここからは、このツナカンがボスだ。口の利き方に注意しやがれ」

「ム!」

「若、ここはご辛抱を。じゃ、アネサン頼みましたぜ」

「ウム、任しとけ」

 目的地は大連。

 そう、三つの候補地は外しちまったっスけど、四つ目の大連は当たりに違いねえと思うツナカンっス。

 飛行機は超低空を大連に飛んだっす!


☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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銀河太平記・301『大連の洋館にはお掃除ロボットも居なくて』

2025-05-05 10:43:56 | 小説4
・301
『大連の洋館にはお掃除ロボットも居なくて』 胡盛媛中尉 




 大連は遼東半島の先っぽにあって、その主要部は、そこから黄海に突き出した大連半島。東を向いた亀が甲羅から首を突き出した感じ。

 その亀の喉首を撫でるように車は走って顎のところの洋館にたどり着く。

『古い洋館だけど、手入れは行き届いてるわ。ただ、ITとパルス関連の機材はいっさい無いから、よろしくね』

「はい、承知しました。閣下との連絡は?」

『そっちからは何もできないわ。なるべく頻繁に連絡するようにするから、そのつもりでいて』

「承知しました」

 日貨排斥から始まった暴動があちこちで起り始めている。大統領はそちらへの手当てもしなくてはならない。というか、そっちの方がはるかに大事だし。

「あ、車が行ってしまう……」

 いま下りたばかりのバンが回れ右して亀の鼻先の方に走り去っていく。

 無人のままあちこちを走って、わたしたちが降りた場所を掴みにくくしているんだ。ほかの車も同じように漢明国内を走っているんだろう。

「あれ、門が開きませんねえ」

「自分で開けるんだと思いますよ……ほら」

 ギイイ

「なんだか新鮮ですねえ(^_^;)」

 敷地に足を踏み入れると、カメラやセキュィティーのガジェットが一つも見当たらない。設備面から見ると、この屋敷は、そのまま20世紀に持って行っても違和感が無い。

「掃除機も居ませんねえ」

 ルンバをご先祖とするロボット掃除機は24世紀の今日では、あいかわらずの丸型とアニマル型ヒューマノイド型に分岐して、昭和の一般家庭に箒やちり取りがあったのと同様の存在になっている。

 むかし、日本の国会が外国製の掃除ロボットを使っていて、議事堂内の配置から議会や委員会の情報と会話、議員や大臣の動向と秘密まで抜かれて大騒ぎになったことがある。その話をすると、殿下も愉快そうにお笑いになって話を継がれた。

「内閣が総辞職に追い込まれて、与党も過半数を割り込んだんですよね『ざまあ見ろ解散』になって、日本の政界再編のきっかけになったんだ(´∀`)。総理大臣まで落選して……そうだ、あれは岸波総理。落選後、新宿の占い師にみてもらいに行って、新宿に占い横丁ができるきっかけになったんですよ」

「え、そうなんですか! 占い横丁は漢明の若い子たちにも人気ですよ(^▽^)!」

「友人がニコライ堂の裏で四柱推命をやってたんですがね、新宿に引っ越すハメになって……あれ?」

「……思い出してきました?」

「ぼくは、やっぱり日本人……だったんですかねえ……いや、外国の人だって東京には住んでいたし……」

「その、ニコライ堂のお友だちは(;'∀')?」

「……えと……思い出せません……たった今は思い出せていたのに……えと……えと……(-_-;)」

「あ、いいですいいです! そ、まずはお屋敷の中、掃除しましょう! 今日はわたしたちがお掃除ロボットですよ!」

「よし、まずは、そのためには屋敷の中を分かってなくてはいけませんからね。屋敷の中を探検です!」

「おお!」

 その日は一日かけて探検と掃除。窓から見える景色は東西南北、いずれも絶景で風光明媚「明日は散歩しよう!」と誓い合った。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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銀河太平記・300『大連へ』

2025-05-02 10:56:55 | 小説4
・300
『大連へ』 胡盛媛中尉 




 乾鎮に向かっているのかと思ったら、日差しの向きが違う。


 乾鎮は北京の西北だから、日差しは左から。それが背中の方から差してくるので車内は微妙に薄暗い。
 前方を見ても、バックミラーに映る後方を見ても僚車の姿は見えない……いつのまにか、このパルス車一台だけで東に向かっているんだ。

『大連に向かっているのよ』

 ヘッドセットから大統領の声。

「大連ですか?」

『うん、乾鎮でも大丈夫なんだろうけど、念のためにね』

「随伴の僚車は?」

『あちこちに分散させたわ。行方を掴ませないためにね。専用車は乾鎮に向かわせた。いちばん順当だし』

「あ、そうですね」


 中南海で騒ぎがあった。


 広場に買い物に出かけた殿下に鋭い視線を向けて接近する美少女。一見露天の売り子だけど、発するオーラが違う。
 広場に忍んでいたセキュリティーたちも一斉に反応。直後、その美少女はあやふやな笑顔で頭を掻きながらゴミ集積場にごみを捨てに行った。

 ひょっとしたら、なにかの勘違いかもしれないけど、大統領は大事をとって、殿下を避難させた。

 いまは、その車中。

 わたしと殿下は瀛台(えんだい)のバンで、たった今告げられた大連に向かっているらしい。

「大連に向かってるんですか?」

 バックミラーの殿下と目が合ってしまう。

「え、ああ、えと……」

「あ、口の動きが大連……あ、申しわけない唇を読んだりして(^_^;)」

「いえいえ、秘密と言うわけじゃないですし、大統領もお忙しい方ですから(^○^;)」

「そうですね……大連はいいところです。遼東半島の先っぽで、いろんな国の文化が混ざって蒸留された街です。満州への玄関口でもあるし、上海と並んで漢明の海の玄関口でもあります」

「あ、そうですね。旅順港や203高地は史跡で、観光開発も進んでいますしね」

「アカシアの並木道とか風光明媚だし、ちょっと楽しみですね(^_^)」

 ご人徳なんだ、何事も好意に捉えて泰然自若。

 まだ、ご自分のことも思い出されない殿下だけれど、身に着いた気配り、お気遣いはとてもゆかしい。

「大統領はごいっしょじゃないんですね」

「お忙しいお方ですから……」

「そうですね、うん……そうですね……」

 笑顔のまま口をつぐまれる殿下。

 振り返った車窓、背後の空は茜に燃え、山々が朱に染まっている。

「火焔山みたいだ……なんだか佳境に入ってきた西遊記だなあ」

「向かっているのは東ですよ」

「じゃあ、ここからは東遊記だ」

 そう宣言すると、耳からなにか取り出す仕草。

「あら、如意棒でも出てくるんですか?」

「こうやると……」

 左胸を撫でるようにして手を開かれるとほんとうに如意棒!?

「え?」

「そして、こうやると……」

 如意棒を載せたまま手を叩かれると、孫悟空のマスコットになった。

「ま、広場で?」

「ええ、騒ぎになる前、これ一つだけ買えました」

 それは変形文具シリーズの一つで、如意棒の状態ではボールペンになる仕掛けになっている。

「フフ、自分が如意棒になってしまうなんて、変な悟空ですね」

「でも、これで戦えば人の痛みが分かりますよ」

 そう言って手をパンパン。その度に悟空になったり如意棒に戻ったり。

「あれ(;'∀')?」

「あ、戻らなくなりました?」

「アハハ、悟空の状態だと字が書けませんからねぇ(^_^;)」

「ちょっと見せてください」

「うん、直るかなあ」

「いちおう情報部の軍人ですからね、こういうガジェットは……」

 引き受けたものの意外に時間がかかって、直ったころには遼東湾の向こうに大連の街が見えてきた。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 

 
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銀河太平記・299『ツナカン、様子を窺う』

2025-04-29 14:52:27 | 小説4
・299
『ツナカン、様子を窺う』 ツナカン 






 ゴォォォォォォ…………

 アナライザーで計測しなくても分かる振動が地面から響くっス。瀛台の地下を秘密の警邏車両が走るっス! それも、四方に全速力!

 たぶんフェイント。

 殿下を発見した自分が目の色を変えたんで、殿下の動向を眩ますために、警備責任者、おそらくは劉宏大統領自身が指令、いや、自分で操作してるっス!

 大統領でありながら、その時その時、必要な対応ができるのは、本来が生涯現役軍人の元帥だからっス。見た目は、うちの船長より幼いっスけど、数々の戦争や事変を切り抜けてきた歴戦の将軍っス。油断はならないっス!

 広場のほとんどは、いつもの賑わいに戻ってるっス。二十人余りのセキュリティーたちも、通行人や売り子に化け戻ってるっス。ちょっと動揺した人間も居たっスけど、人は雰囲気に呑まれるもんスッ。

 最初こそは影を忍んで突き進んだっスけど、片付けるふりをして店の空き箱や梱包を集積場所に持って行くっス。小梅ネーサンがアレ?って顔っス。

 たった今――これでお別れ――みたいなことを言っていたんすから、混乱もするっス。集積場所は瀛台の逆方向っスからね。

「ついでに弁当買ってくるっス(^▽^)/」

「あ、ええ?」

 小梅ネーサンを煙に巻いて集積場からダッシュ! 外を周って、今度こそは影を拾って東通用門から中を探るっス。

 瀛台から車が二台出て、中海の脇を通って北門。自転車に乗った職員がゆっくり西の通用門へ。

 さっきの警邏車両といい、おそらく、これもフェイント。殿下の出入りをこのツナカンに掴ませないための欺瞞工作っス。

 こういう時は、欺瞞工作に関わっていない人間を見るっス。

 欺瞞工作に関わって居なくても異変を知ってしまえば人は動揺するっス……庭師のオッサンはいつものように庭木の手入れ、南棟の掃除係りもいつものように、キチンと窓を拭き、東棟の女子職員はテーブルを拭いてクロスを掛けてるっス……すでに殿下は瀛台の外に出てしまった?

 瀛台の落ち着きぶりは、殿下の不在を示している……しかし、ほんの十秒ほどとは言え、自分は目の色を変えて殿下を追って、セキュリティーたちも色めき立ったっス。

 少しは広場の方に気を取られるのが自然。

 しかし……

 さすがは劉宏大統領の側近たち、簡単には掴ませないっス。

 ようし。

 ほんとうに弁当を買って出店に戻るっス。

「え、ちょっとぉ」

「アハハ、まずは弁当っス」

「もう、分からない奴だなあ猫猫は(^_^;)」

「あ、お茶買ってくるっス」

 混乱する小梅ネーサンを振り回して、飲茶の屋台に……陸遜のオッサンにお茶を頼んで「小梅ネーサンに」と言づけて西の通用門へ。

 その間、視野の端に捉えた瀛台は、いつも通り。

 ただ、さっき殿下のそばにいた女士官の姿が見えねえっス。

 ツナカンの勘は、七分の確率で殿下は中南海を出たと言ってるっス。

 
「もう、いったい、何だったのよ!?」


 小梅ネーサンに小言を言われ、広場のセキュリティーたちも煙に巻き、その夜、ツナカンは、もう一つの公邸、乾鎮に向かったっス。

 

☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟


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銀河太平記・298『ツナカン、殿下を発見する!』

2025-04-18 15:44:59 | 小説4
・298
『ツナカン、殿下を発見する!』 ツナカン 




 見つけたっス!!


 月餅屋の方から飲茶の店に歩いてくる二人連れ。一人は小柄な女性士官。その横をゆったり歩いてくる中肉中背、一見モブキャラだけど、その悠然とした歩きっぷりは毎日ヒンメルのプロムナードデッキで見かけた殿下そのものっス!

 距離150 方位角315 速度毎時4キロで我が方に接近しつつあり!

「小梅ネーサン、店を頼むっす!」

「え、あ、ちょ!」

 陳列棚を一跨ぎ、人混みの中を全力疾走……した時には、女性士官が殿下の腕を引いて、向こうも背中を向けて全力疾走っス!

 くそ、ここで逃すわけにはいかねえっス! ツナカン、一世一代の追跡劇!

 チ!

 どこから湧いたか、SPやら大統領警護隊やらのモブどもが立ちふさがるっス!

 SPとか警護隊とか言っても私服っス。さすがに中南海、あちこちに私服で忍んでやがったっス! 
 二三人そういうのが混じってるのは気づいて居たっス。なんせ中南海、大統領以下、政府要人の家やら官舎やらがいっぱいあるっスからね。ところが立ちふさがったのは、店の客やら店番の婆さん、それに冷やかしのJKまでがSPっス。

 そうか、中南海は漢明政府の中枢、そこを一部とはいえ広場を解放してるのは、そう言うことだったっス。

 諜報やセキュリティーを配置して、警備の充実を図りながらの世情観察、情報収集。街中に諜報を放つよりも、街を身近に引き寄せた方が早い。いうなればリトマス試験紙、炭鉱のカナリア。むろん世情の全てが分かるはずもないっスけど、オープンマインドな大統領の姿勢をアピールすることにもなるっちゅう一石二鳥っス!

 さすがは劉宏大統領、ちょっと舌を巻くっス。

 ウウ、ざっと20人のセキュリティー……普通の通行人に出店仲間もいっぱいいるし、『姉妹公司』の看板張ってるし、荒事はNGっス!

 グヌヌヌ…… 

 けっきょく追いきれなかったっス(-_-;)。

 しかし、中南海、それも瀛台(えんだい)に殿下が居ることは確定っス!

 このツナカンのスキルなら、目標が確定なら、侵入することは難しくないっス。

 問題は侵入した後、殿下を連れ出さなきゃならないことっス。 


 ツナカンの勘……殿下は、高い確率で記憶を失っておられるっぽいっス。


 あの悠然として歩まれる姿は、いかにも成治天皇の五世孫。ヒンメルのプロムナードデッキを散歩されていた時のまんまっス。
 ココちゃん、いや、心子内親王殿下をお救いするために1号艇をブッ飛ばした時の殿下はヒンメルのベテラン顔負けの敏捷さだったっス。殿下の瞬発力は、このツナカン、いやうちの船長(アルルカン)に並ぶかもっス。

 しかし、

 女性士官がこっちに気づいて手を引っぱった時、殿下は狼狽えておられたっス。腰が引けていたっス。たしかに、このツナカンの顔も姿も目に入っていたはずなのに、なんか街中でゴリラを見るような目だったっス(-_-;)。

「猫猫……あんた、何者なのよ(ಠ△ಠ)?」

 店に戻ると小梅ネーサンがウロンな目で自分を見るっス。

「え、あ……」

 ごまかそうと思ったっスけど、小梅ネーサンの人柄の良さに付け込むのは、もう限界と感じたっス。

「実は、人を探しに北京に来たっス。自分のミスで、ある人を行方不明にしちまって、その人が大統領が保護されてるって情報知って、探っていたっス」

「ええ( ゚Д゚)!?」

 小梅ネーサンが後ずさったっス。

「あ、絶対悪いことじゃないっス。自分は、ある人の部下で、その人は、そのある人の大事な客人だったっス。そのぉ……」

 これ以上喋っては、小梅ネーサンを巻き込んでしまうかもっス。

「しばらく店を見ていてもらえないっスか。あ、いや、小梅ネーサンが迷惑なら畳んでもらってもいいっスけど」

「う~~~ん……」

 眉根を寄せ、唇をΣにして腕組みの小梅ネーサン。

「まぁ、いいわ。そう長くは無いけど、商売通じてあんたの人柄も分かってるし、もうしばらくはやってあげる。でも、ここが狙われたり203(アルバイサン)に迷惑かかるようなことがあったら、すぐに畳んで、警察にでも公安にでも垂れ込んじゃうからね」

「あ、それでいいっス。ぜったい、このままにはしないっスから!」

「とにかく気を付けてね、猫猫……ていうのも偽名なんだろうけど」

「ごめん、ネーサン。ことが済んだら必ず挨拶に来るっスから」

 小梅ネーサンの返事も待たずに出店を離れたっス。

 このあと、中南海の警備が厳しくなるのは目に見えてるっス。その前に勝負っス。自分は、戦災孤児だったガキの頃みたいに物陰を忍びながら突き進んだっす!



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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銀河太平記・297『尻くらえ人形と飲茶の出店』

2025-04-15 11:11:54 | 小説4
・297
『尻くらえ人形と飲茶の出店』 胡盛媛中尉 




「え、准将がいたんですか!?」


 地下トンネルの見回りから戻ってきた大統領は「元気にしていたわよ(^_^)」と付け加えて准将とのツーショット写真を見せてくださる。

「立派な軍人さんですねぇ」

 人への感想は褒めるところから始める殿下。

「わたしの上司だった方です。退役なさってからは連絡も取れなかったんですけど、お元気な様子でなによりです」

 もう縁の切れた方なので、わたしも当たり障りのない感想を言う。退役された時に「家まで送ってくれ」と言われたらどうしようかと思ったんだけど、さすがにモンゴルでのしくじりを気にされて、そういうことは無かった。

 准将の奥様は先々代の大統領の外孫で、父が生きていたころ二三度お目にかかったけど、父に対しても格下の人間を見るようで、ちょっと苦手だった。

「ちょっとお友だち感出すぎかなあ(^_^;)」

 画面の大統領はとびきりの笑顔で准将の方に首を傾げ、接触はしていないけど、距離は二センチほどしか離れていない。准将は職業的なポーカーフェイスを決める寸前の微妙なアタフタ感が出ている。もし、何も知らない高校生なんかに見せたら「年甲斐も無く好きな女の子とツーショットになって、心臓バックンバックンのクソ親父。キモイ!」と答えが返ってきそう。

 写真のことしかおっしゃらないけど、大統領の狙いはよく分かる。

 准将は北京のあちこちで起っている日貨排斥運動の中心的人物だったんだ。

 それがまんまと大統領自身に居所を掴まれて、年甲斐感もなく感丸出しのツーショットを撮られた。もう北京で事を構えることはできないでしょうねえ。准将が日貨排斥運動の中心的人物だったのにも驚いたけど、それを見抜いて手を打っていく大統領もなかなかのものだと殿下と顔を見合わせた。

 自分の素性を思い出せない殿下だけど、こういう政治的な機微や分析は十分回復されているように思える。

 その日は、午後から北京管区の警察やら軍警の司令官たちが瀛台(えんだい)に顔を出した。

「いやあ、瀛台の地下になにやらあるとは思っていましたが、それを利用して市内を警邏されるとは思いませんでした(^_^;)」

 そう言って軍警司令は『脱帽人形』を出した。南海広場の露店で売っているマスコット。台座に付いているポンプを握ると右手で帽子を取って頭を下げる。なんだか「まいった!」とか「申しわけありません!」とお詫びしているように見える。

「うん、なかなか可愛いわね。じゃ、お返しにこれをあげるわ」

 大統領が取り出したのは『尻くらえ人形』。脱帽人形と同じシリーズで、ポンプを握るとオジサン人形が尻まくりするという人を食った人形。

「アハハハ、それは大統領の勝ちでしたねえ(´∀`)」

 五人こなしたところで休憩にした大統領がお話になって、殿下は面白そうにお笑いになった。

「軍警司令がくれたのは、ちょっと手を加えてみたの」

 大統領がポンプを押すと帽子を脱いだ頭に面従腹背の四文字が現れた。

「僕たちも行ってみましょう」

「え、警邏にですか!?」

「ハハ、まさか。南海の露天ですよ」

 殿下は心得ておられる。記憶を取り戻すことに無理はしない、焦りもしない。だけど、何もしないわけではない。時間をかけ、ほんの半歩、ほんの一歩前に出る努力を怠らない。
 乾鎮の公邸に居る時も、尊宅さんの蜜柑の実からマーマレードを作ったし、巻雲が出たと言っては「それじゃあ、いっそ北京で秋の空を見ましょう(^▽^)」と言い出したのは大統領だったけど、それに気軽に答えて瀛台にやってきたのは殿下に賛成のお気持ちがあったからだ。ここに来てからも、広場で月餅を買って話題を提供してくださる。

 月餅をお買いになったのは、広場のほんの端っこの出店だったけれど、今度は奥にまで踏み込んでみようとされている。

 
「年末には、まとまったオモチャを施設にプレゼントしに行くとおっしゃってましたからね。そのお手伝いになれば……というのは言いわけで、僕もずいぶんと関心があります」

「フフ、わたしも、いくらでもお付き合いしますからね」

 入り口近くの月餅屋さんには目礼でご挨拶。店先には、北京第一高校の生徒さんたちが群れている。たぶん中間テストが終わったところなんだ、みんなで月餅パクつきながら南海のほとりを散歩するんだ。その邪魔になってはと気配りされている。

「飲茶の露店が出てますよぉ」

「ああ、いいですね。月餅もそうですが飲茶も種類が多いです、突撃しましょう!」

 速足で飲茶の露天へ、大股でノシノシ歩かれる。これは、本気で飲茶とかがお好きなんだ(^_^;)。

「おお、露天だけど、メニューは多彩ですねえ、いやいや、お腹にはキャパシティーがありますからねぇ……ムムム、フーちゃん、いっしょに悩みましょう!」

「はい!」

 わたしも飲茶と点心の3Dサンプルに目をやる。

 小籠包 焼き小籠包 餃子 海老餃子 肉まん 海老肉まん チャーシューパイ 大根餅炒め 金魚ハーカオ ポテトフライ ゴマ団子 黒ゴマ団子……

「アハハ、フーちゃん睨み過ぎです」

「アハ、お昼ご飯も食べなきゃいけませんからね、注文できるのはお茶の他は四五品です!」

「え、五つも食べられるんですか!?」

「え、あ……(#'∀'#)」

 まずい、お岩食堂で大食いの習慣がついてしまってるんだ。こっちに来てからは自粛してるけど、抜けるような秋の空と殿下のご回復が嬉しくて、つい本性が出てしまった!


 え!!?


 その時、殺気のこもった視線を感じた!


 軍人の本能で振り返ると、奥の方の出店からこちらを睨んでいる、睨まなければ相当の美少女。その突き刺さるような視線が飛んできた!

「退避します!」

「え、なんで?」

 殿下の疑問に答える余裕も無く、殿下の手を引っぱって瀛台にとって返した!

 

☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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銀河太平記・296『朱元尚マグナムを撃つ』

2025-04-12 10:37:18 | 小説4
・296
『朱元尚マグナムを撃つ』 朱元尚 




 故に兵は拙速を聞く、未だ功の久しきを覩みざるなり!


 少々作戦は拙くとも、軍事行動は早い方がいい……孫氏の兵法だ。

 長らく軍政畑にいたが、これでも士官学校では優秀な成績だったんだ。部隊指揮の要諦は分かっている。

 だが、こいつらの逃げ足の速さはムカつく!

「准将、まだまだ挽回の余地はある、ここで元帥と戦うのはマズイ」

 指揮を任せた予備役中佐は苦り切った顔で、それでも、わたしの目を直視して提言する。

「そうです、動いているのは兵ではありません、金で雇ったゴロツキと扇動された失業者どもです。崩れたらあっと言う間です、 武漢まで後退しましょう」

「え、北京を捨てるのか?」

「いきなり北京というのは無理なんだ。政府の心胆を寒からしめただけで十分だ」

「いや、引くにしても南京や上海だろ」

「そうだ、天津でもいいぞ、不満を持ってるやつはどこにでもいるしな」

「暴れられるならどこでもいいぞ!」

「これは軍事行動だ、民間人は黙ってろ」

「なに言いやがる! 動いてる人数の九割は街の人間だぞ!」

「「「「「そうだそうだ!」」」」」

「なにを、ゴロツキどもめ!」

「なんだとぉ!」

 バーーーン!!


 さすがはマグナム、一発撃っただけで、みんなこっちを向いた。


「半日の猶予をくれ。この朱元尚自らが街の様子、元帥の出方を見極めて決定する。北京を撤退するにも夜中の方がいいだろう……返事をしろ!」

「おお」「了解」「承知」「ま、いいか」「頼んだぜ」「ああ」「よし」「……」

 無言の奴らも含め、積極的な反対もない。分かっている。だれも責任を取りたくないんだ。まあいい、予備役で退役させられたとはいえ、漢明軍准将のポテンシャルはある。この程度の統率の真似事は示さなくてはな。

 見ているか頼香、これが成功すれば、この予備役准将にだって運は向いてくる。

 漢明のあちこちで不満は燻っている。戦前と比べれば、漢明は良くなった。GDPも所得も数倍に伸びて、国民の生活水準も上がった。しかし、あいかわらず富の偏在は大きい。軍閥や資本家、それに結びついている上流階級の蓄財には目に余るものもある。まあ、中産階級も育ってきてはいるが、上がひどすぎるんで、自然と文句も出てくる。

「広報部准将で退役してどうすんのよ!」

 頼香は詰った。

 モンゴル平原でしくじったために退役させられた。退職一時金も軍人年金も無事に給付されたんだから女房ごときに詰られる謂れは無いんだが。頼香は先々代大統領の外孫だ。プライドは貢嘎山(コンカ山)よりも高い。

 ここは乾坤一擲、国内の不満分子を焚きつけて一旗揚げるにしくはない。

 満州戦争から西之島戦争にいたるまで、日本には七分三分、ひいき目に見ても六分四分で後塵を拝している。劉宏大統領は日本と事を構える気はない。ゆっくりと国力を高め民主化を進め、結果として日本を追い抜き合衆国と肩を並べ、世界に覇を唱える国になればいいと思っている。

 奴なら、時間はかかるが成し遂げてしまうだろう。

 しかし、そうやって成し遂げられた国に俺の居場所はない。単なる退役准将ではな……幸い、俺と同様に不満を持っている軍人や高級官僚、地方財閥は多い。そういう奴らを焚きつけるのは難しいことではない。

 なに、軍人としての能力は……それなりだが、こういう方面には自信がある。待っていろ頼香、五年も経てば、この朱元尚、奴に替わって大統領の椅子に座ってやるからな。

 ピピピ ピピピ

 アナライザーが鳴る。また瀛台から走るものがある。

 おそらく軍事用シャトル、一両でも完全武装の一個小隊は載せられる。三両編成なら一個中隊。西北、南東にもシャトルを走らせているから、下手をすれば一個大隊に取り囲まれる恐れもある。

 ポト

 アナライザーを落としてしまう。震えている? この朱元尚が? いやいや、さっきマグナムを撃ったせいだ。単なるハッタリなんだが効果はあった。

 くそ、たかが拳銃を一発撃ったぐらいで……少しは鍛えるか。

 ん……通りの向こうにパルス自転車の人影、小柄な女子、打ちこわしがあったばかりだ、ちょっと危なくはないか……高校生かぁ?

 双眼鏡を覗く……ア( ゚Д゚)!

 劉宏元帥!?

 目が合ってしまった……いや、距離500はあった、あそこから認識できるはずがはい。

 くそ、くそ、なんで震えがくるんだ。

 え、いま俺は元帥と呼んだか? いまの奴は大統領だ……なんで恐れる時は元帥と呼んでしまうんだ。

 落ちつけ朱元尚……そうだ、中佐が言っていた武漢も悪くはないぞ。武漢は、その昔、辛亥革命の火種になった武昌蜂起が起こった地だ。

 そうだ、この手で行けばいい!

「准将、お元気なご様子でなによりです」

 顔を上げると、不気味な笑顔を浮かべた元帥の顔があった……。
 


☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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銀河太平記・295『口をきかなきゃ美少女っス』

2025-04-09 15:26:28 | 小説4
・295
『口をきかなきゃ美少女っス』 ツナカン 




 モノゴトにはファジーってことがあるっス。


 いちおう決まりや法律では禁止されてるけど、なんとなく放っておかれてることとかあるっしょ。

 女子高生のスカートの丈とか、自転車のヘルメットの着用とか、公園や駐車場をショートカットに使うとか。

 そのファジーが中南海にもあるっス。

 中南海はディズニーランドにディズニーシーを足したぐらいに広くって、周囲を高い塀に囲まれてるっス。公の出入り口は新華門なんすけど、関係者の出入のための勝手口みたいなのがあるっス。
 むろん中枢部には入れねえっスけど、北西の駐車場や、この南東の広場は、比較的に自由っス。まあ、うちらみたいに出店を出すってのは審査きついっスけどね。

 さっき言ったファジーが目の前を通って行くっス。

 スカート丈の微妙なJK、ヘルメット被ってるのやら被ってないやらの自転車、故宮からのショートカットに通ってるのやら(^_^;)。

「劉宏大統領になってかららしいよぉ、まいどありがとう(^▽^)」

 小梅ネーサンが、お客にお釣り渡しながら教えてくれるっス。

 中南海に出店を出すのは手続きやライセンスとか大変なんすけど、出しちまえば、そういうファジーな人たち相手にそこそこの売り上げになるっス。まあ、三里屯でガンガンやってたほどじゃないっスけどね。

 だいいち、このツナカンの目的は森ノ宮殿下を見つけることっスからね。

「あんたの目当てってのは、なかなか現れないねえ……」

 素性までは言ってねえっスけど、自分が人探しの為に北京に来てるのは、やっぱり分かっちまうっス。まあ、小梅ネーサンの人柄っスね。頭もいい人なんで、なにげな会話の断片を覚えてくれていて、それをいつのまにかパッチワークみたいに組み上げて、お得意さんやら取引相手の心をゲットするンすねぇ。自分が男なら、こういう人を嫁さんにするっスねぇ。

「フフ、開店の挨拶に周ったらさあ、あちこちの出店で『こんどは、相棒にも来て欲しいなあ』ってゆってたよぉ(*´艸`*) 」

「え、それって自分のことっスか?」

「そうよ、ツナカン、黙ってりゃとびきりの美少女だし」

「え、いやあ、あんまり言われたこと無いっスよ」

「ツナカン、こっちが気づく前に喋っちゃうでしょ。大きな口開けて『マイドッ! シマイルカンパニーのツナカンッス!』とかさ」

「あ、人間、まずは挨拶っスからね!」

「うちの店長なんか『いっそ口が利けない設定にすりゃいいのに』とか言ってたわよ」

「あ、ああ……(;'∀')」

 思い出したっす。203に営業掛けに行ったとき、思いっきり『チワーッス! シマイルカンパニーッス!』ってかましたっス。

「さいしょに、そのベシャリ聞いちゃった後でさ、その美少女マスク見せられたら男はムカつくのよ」

「ええぇ……さすがに落ち込むっすよ」

「まあ、その後で、その人の良さに接しちゃうと、みんな仲良しになるんだけどね。それには時間がかかるのよ」

「あぁ、そうっスね」

「だからね、とりあえずは、あたしが挨拶に周っといた。でも、みんな興味持ってくれてるから……ほら、月餅屋のおじさん来るよ!」

 あ、なんか意識しちまうっス!

「やあ、小梅、昨日はわざわざの挨拶ありがとうな。商売モノだけど、挨拶代わりの月餅だ、おやつにでも食べてくれ」

「ああ、すみませんねえ。おかげでボチボチ売れてます、ありがとうございます(^▽^)」

「そっちのネエチャンもよろしくな」

「あ、はい、目を掛けていた、いた、いただいてありがとうございます(;゜∀゜)」

「おお、声はちょっとハスキーだけど、めちゃくちゃ可愛い! あ、俺、月餅屋の陸遜って言うんだ、同じ広場の露天商同士。な、仲良くやろうぜ!」

「は、はひ、こちらこそぉ……」

「三里屯ほどの賑わいはないけど、ここは中南海だ。よその商業地区じゃ日貨排斥とかで、ちょっと物騒だけどさ、北京で一番安全だしな」

「そ、そうでですわね(^_^;)」

 なんか舌噛みそうっス。

「それに、どうやら大統領が直に動き出されたとか……一昨日から瀛台(えんだい)に来てるって噂だ」

「え、そうなんですか!?」

 小梅ネーサンの反応は早いっス。

「ああ、昨日も大統領の随員らしい人が月餅買いに来てくれたよ」

「庭師みたいだったっス……だったでしょうか?」

 ヤバイ、素が出かかったっス(^_^;)。

「え、あ、いや。それよりもよ、瀛台の地下には北京のあちこちに抜けるシャトルみたいなのがあってよ、それが頻繁に動いてるって噂だ」

「「ええ?」」

「なんでも、あそこは、二十世紀から政治の中枢で、地下にいろいろ仕掛けがあるって、役人たちの間じゃ常識らしいぞ。あ、これ見てくれ」

「アナライザーっス……ですか」

「ああ、空気から地べたの振動まで知らせてくれる。国や役所の情報はアテにならないけど、こういう環境の変化は正直だからな……ほら、地下で何かが動いてる……」

「ほんとうだ……」「…………」

「ま、劉宏さんは将軍やらせても大統領やらせても立派にこなしてきたからな、めったなことにはならねえと思うけどな……おっといけねえ、店あけたまんまだ」

 おかみさんみたいな人が怖い顔をしていて、月餅屋のオヤジはすっ飛んで行ったっス。

 月餅屋のアナライザーじゃないっスけど、ツナカンの第六感も微妙にざわつくっス!

 


☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
 




 
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銀河太平記・294『瀛台(えんだい)の秘密・2』

2025-04-06 07:46:40 | 小説4
・294
『瀛台(えんだい)の秘密・2』 胡盛媛中尉 




 除了有关人员以外禁止入内(関係者以外立ち入り禁止)


 どこにでもある注意書きのドアを開けると階段で、下りた先が40坪ほどの機械室。普通に空調や給水給湯の機械に緊急時のパルス発電機が並んでいて、いずれも瀛台(えんだい)の規模や機能に相応しい能力のものに見える。特にわざわざ見に来るほどのものではないような気がする。

「ああ……あちこちに日本製の機械や部品がありますねえ、これが秘密なのかもしれませんねえ?」

 殿下が指摘されるけど、耐久性と信頼性に優れている日本製はよく使われる。よく見るとドイツ製のバルブや漢明製の制御卓も見えて、統一が無いというのが情報局将校としてのわたしの感想。

「これは歴史の反映ですね。世界各国と不穏になって、和解した時に機器を入れ替えたり更新したりするんです。大統領公邸のインフラ設備に外国製を使えば信頼の証しになりますからね」

「「あ、ああ……」」

 尊宅さんは軍人でも諜報関係の人間でもないけど、見る目が的確。大統領が尊宅さんを手元に置いておくのは、単に殿下を救助した船長だとか昔の知り合いだとかだけでは無いのかもしれない。

「じつは、こっちなんです」

 ゴゴゴゴ……

 尊宅さんが制御卓の下を触ると鈍い動作音とともに制御卓が動いて、さらにもう一つ下への階段が現れた。

「「オオオオオオ( ゚Д゚)( ゚Д゚)!」」

 殿下と並んで驚いてしまった!

 そこは小さな地下鉄の駅ほどの広さと設備になっていて、じっさいにホームがある。ホームの左側は車両の格納庫で数両のパルス車両がこっちを向いて待機している。反対側を見ると、先の方がいくつも分岐していてどこやらに繋がっている様子。

「百年ほど前から整備されて、先々代の大統領が完成させたと言われています。ここからシャトルが走って北京各地に繋がっているらしいです。非常時の大統領の移動手段だといわれています」

「なるほどぉ……でも、その先の出入り口を発見されたら、逆に侵入される手段に成りませんか?」

 殿下は的確な質問をされる。

「もっともです。まあ、現状では知られている形跡は無いと閣下はおっしゃっています」

「でも、知ってしまいましたよ」

 自分の顔を指さす。

「それに、地下とは言え、パルス車両が動けば検知されてしまいますよね」

 殿下は腕を組んだ。

 百年前ならいざしらず、24世紀の今日、少々深い地下でも車両が移動すれば、わずかな振動やパルス反応で知られてしまう。

「じつは、そこがミソなんだそうです」

 尊宅さんが柱のボタンを押すと格納庫の方で小型モーターが回るような起動音がして、車両が次々に動き出し、前のホームを通過して反対側のトンネルの方に向かっていく。

 シューーー シューーー シューーー シューーー シューーー

 静かなパルス車両だけど、微弱な動力音と風を切る音はしてしまう。

 これでは軍事用の探査機でなくとも、民生用のアナライザーでも動きが知れてしまう。北京は地下鉄が発達して、各種のインフラも地下に潜っているので、設置された時は、それらに紛れて分からないだろうと思われたんだろうけど、今の技術では、そう時間もかけずに読み取られてしまう。

「そう、そこがミソなのよ」

 声に驚いて振り返ると、大統領が折り畳み自転車を曳きながら現れた。

 
 
☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 少将           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・293『瀛台(えんだい)の秘密・1』

2025-04-03 16:52:36 | 小説4
・293
『瀛台(えんだい)の秘密・1』 胡盛媛中尉 




 中南海というのは大きなかまぼこ板のような形で、その中いっぱいいっぱい元気よく『!』を書いたように海がある。

 縦棒が中海、下の丸が南海。

 あ、見覚えがある!

 そう思ったのは、この元気のいい『!』なんです。

 西之島のお岩食堂の中に従業員寮があるんですけど、友だちのハナちゃんの部屋の表札はかまぼこ板に墨で『ハナ』と書いてあるだけなんです。

「その表札に似ています!」

 そう言ってハンベの写真を見せると、殿下は愉快そうにお笑いになりました。殿下と二人で、南の亭(ちん)で寛いでいるところです。

 広場で日本風の月餅を買って来られて、それをお茶うけのティータイム。「いろいろ面白いものがあったんですが、まずは寛いでティータイム。いい匂いもしていましたし月餅にしました。月餅に抹茶と小豆餡があったんで嬉しくなりましてね(^_^;)」と、とりあえず月餅だけを買ってこられたわけですよ。

 美味しいものや楽しいことはみんなで共有しようというのは、お育ちもあるうでしょうけど、持って生まれたご性格でもあるんでしょうね。それで、わたしも中南海の『!』にちなんでハナちゃんの写真を見せたんです。

「アハハハ、感じのいい写真ですね。表札もいいけど、このハナちゃんのドヤ顔もいい。フーちゃんとは真逆のキャラに見えるけど、これくらい離れたキャラの方が親密度が増すのかもしれませんねえ」

「ご飯もおいしいんですよ。漢明の連絡所の近くなんで、所員は、みんなここで三食お世話になってます。ほら、みんなで撮った記念写真」

「おお、日本人も漢明人もいい笑顔ですねえ(^▢^)」

「でしょでしょ」

「あの西之島戦争の後でも、こんな付き合い方ができるんですねえ……」

「国と国は戦っても、ひとりひとりは恨みなんかないですからね」

「僕は、南海がドラえもんの口に見えました」

「え、ドラえもんですか?」

「はい、南海全体が口で、瀛台がノドチンコ」

「あ、アハハハハハ(ᵔᗜᵔ*) 」

「光緒帝のように幽閉されるのはかないませんが、休暇に来るには良いところです。周囲は海で、出入りはノドチンコをぶら下げている橋一本ですからね」

「公邸ですから、大統領は半分お仕事でしょうけど」

「そうですねえ、今度も北京の雲行きを見るのが目的でしょうから」

「あ、ゲストさんも、そう思いました?」

「はい、自分のことはカイモクですが、人のことはよく分かります」

「あ……ですね」

 殿下の素性はご本人の記憶が戻るまでは触れないようにしている。

 大統領がそうおっしゃるし、むろん、わたしもそう思う。

「あ、ここにいらっしゃったんですか」

「あ、尊宅さん」

「閣下に頼まれて地下の機械室に行くんですが、いっしょに来られませんか」

「え、わたしたちもですか?」

「はい、なにか面白いものが見られるんだそうですよ」

「面白いものですか」

 殿下の方を向くと、もう腰を上げていらっしゃる。

「フフ、じゃあ、参りましょうか」

「はい」

「どうぞ、こちらです……」

 亭から主殿にもどり、三人で地下の機械室に向かった……。

 

 
☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・292『中南海の秋』

2025-03-31 16:22:19 | 小説4
・292
『中南海の秋』 胡盛媛中尉 





「秋の空は北京が良いと思いますよ」


 サンルームでお茶をしながら見上げた空はいつの間にかひつじ雲。

 そこへ尊宅さん(牽牛の元船長の庭師)が季節の花を活けにきて、空を見上げてるわたしたちに教えてくれる。

「梅原龍三郎ね……」

 空を見上げたまま大統領が方笑窪。

「ああ、それって巻雲(けんうん)ですね」

 殿下は真っ直ぐ尊宅さんに顔を向けて笑顔で応える。記憶は戻らなくても、お行儀の良さは、さすがに皇族。

 わたしは、ウメハラリュウザブロウもケンウンも分からなくて「ハテ(^_^;)?」と間抜けな笑顔。

「巻雲は巻き毛のようになってる雲で……そう、神さまが空の雲にブラシをかけて、フーっと息を吹きかけてなびいたような感じです」

「あ、ああ……あのひつじ雲にブラシをかけたら、そんな感じですね」

「どっちも秋めいて好きですが、北京の空はどうでしょう……そう離れているわけじゃないから、多分ひつじ雲でしょうねえ」

「わたしは、意識して見たこと無いから、そのペキンシュウテンの空が見てみたいですかねえ……」

「それじゃあ、いっそ北京で秋の空を見ましょう(^▽^)」


 大統領の一声で、北京の大統領公邸に移動することになった。


 大統領の公邸は二つある。

 北京郊外の乾鎮と北京の中南海。

 中南海は北京のシンボル紫禁城の西隣。歴代皇帝や皇族の別邸があった壮大な離宮。むろん辛亥革命以来皇帝もその一族も歴史の彼方で、辛亥革命以来、政府要人の居住地区になっている。

 大統領公邸は大海の孤島に見立てた瀛台(えんだい)にあって、普通は中南海の正門である新華門から入るんだけど、今回は「北京の秋空を見る」という私的な遊びという立てつけなので、新華門とは真反対の北側の通用門から入る。

 中南海に行ってみようというのは、単に秋の空を愛でたいというだけではないことは分かっている。これでも情報局広報部の所属だからね。

 北京が不穏なんだ。

 日貨排斥運動が起こり始めていて、つい先日も三里屯で日系の店や企業が打ちこわしに遭った。政府の対応は出遅れてグズグズしている。それに業を煮やしての移動なんだ。

 だけど、大統領は正面だっては言わない。

 あくまでも「北京の秋の空が見たくなった」とスカしている。


「あ、スジ雲のことだったんですねぇ……」


 北門の駐車場で下りると、乾鎮から20キロちょっとしか離れていないのに北京の空は羊雲ではなくて、爽快なスジ雲が走っている。戦死した父は生粋の軍人で、雲や天気のことは単純にしか呼ばなかった。巻き毛になっていようがストレートだろうがスジ雲――スジ雲が出ていると、空気は冴えて冷たく戦闘には適しているけど敵にも発見されやすい――そういう理解だった。

「あ、うん、そうですね。スジ雲の方がいいですね。穏やかでいいです。巻雲は剣呑に音が似ていますからね」

 殿下は鷹揚にユーモアにしてしまわれ、大統領がクルっとこっちを向いた。

「アハハ、この勝負、フーちゃんの勝ちだね」

「え、あ、そんな勝負だなんて(;'∀')」

「あはは、ゲストさん、フーちゃんになにか奢らなきゃね」

「あ、尊宅さんまで(;'∀')」

「中南海にお店とかあるんですか?」

「ああ、南海の広場にちょっとした出店が出てますよ」

「あ、じゃあ、そこに出かけましょう!」

「いい考えですが、明日にしてはいかがですか。今からだと、護衛官の人たちも付き添わなければいけませんからね」

 尊宅さんの言葉に振り返ると、乾鎮からの護衛官に加えて中南海の衛兵たちが不動の姿勢で立ち並んでいる。

「あ、そうですね( ー`дー´)」

 わたしも軍人の端くれ、護衛や警衛のスケジュールが延びるのは困る。大統領と殿下の先に立って南海の瀛台を目指した。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 



 
 

 

 

 

 
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銀河太平記・291『中南海の出店』

2025-03-28 10:34:56 | 小説4
・291
『中南海の出店』 ツナカン 




 牽牛の船長は殿下らしい人物を保護したあと急に引退、その後は大統領の庭師になったってところまで突き止めたっス。

 その大統領の住まいの一つが中南海にあるっス。

 中南海ってのは紫禁城の西隣に高さ6メートルの壁で囲われた特別な地域で、漢明政府のエライサンたちの官舎があるところっス。日本で言うと永田町、イギリスのホワイトホール、火星なら扶桑城の丸の内ってところっス。

「「うわぁ~~~~~~( ゚Д゚)」」

 小梅ネーサンとふたり、盛大にため息をついたっス。

「いやあ、地図でしか知らなかったからねえ、現場で見るとブッタマゲるねえ~」

 八尾さんから譲り受けた営業パスで中南海の正門である新華門を潜ったところっス。

 二百三(アルバイサン)のマスターが「うちもイッチョカミさせろ」ってのを条件に小梅ネーサンを貸してくれたっス。

 ファンシーグッズっていうのは昔の百均と似たようなところがあって、なんでも扱えるっス。

 政府のお役人たちは大小さまざま、ピンからキリまで賄賂を使うっス。

 劉宏大統領は就任にあたって賄賂を禁止したっス。でも、完全に禁止にすると『袖の下』って言葉通りに隠れてコソコソになるっス。

 そこで、上限20元として挨拶代わりにグッズをやりとりすることを勧めたっス。政府施設に社会見学に来る子供たちに配るアメチャンやカード、役人同士や出入りの業者なんかが挨拶代わりに使うっス。

 半期に一回コンテストがあって、そこで金賞を取ると一般からの注文も増えて商売繁盛ってわけっス。

 うちも……って、営業所が打ちこわしに遭うまでは、三国志カードとかアイデア文具とかで食い込んで居たっス。ついこないだは、中南海でもシマイルサイダーを置いてもらえるようになって順調だったっス。

 で、まあ、中南海に乗り込んで、ボチボチと殿下の消息……とりあえずは引退した牽牛の船長と渡りをつけることを目標に乗り込んだっス。

「ふわぁ~……なんかのシャレかと思ったけど、ほんとに、これは海だねえ……」

 乗ってきた軽から下りて、小梅ネーサンはもう一発溜息っス。

「これが南海だろぉ……ここだけで、うちの町が収まっちゃうよ……この向こうに中海、そのまた向こうに北海……途方もないねえ」

「故宮よりも広いっスからねぇ、ざっとディズニーランド二個分っス」

「あの島は?」

「ああ、瀛台(えいだい) っス。昔々は皇帝の休憩所だったっスけど、涼しいのは見かけだけなんで、後にはエライサンたちが罪を得て幽閉されたところっス。この三つの海はドデカイっスけど、みんな人工の水溜まりっス。ここを掘った土は紫禁城の北の方に積まれて今の景山になったっス」

「そうなんだぁ……景山は子どもの頃遊びに行ったけど知らなかったよ……てか、猫猫、漢明人より詳しいじゃん」

「え、あ、北京で営業やるんで、いろいろ勉強したっス(^_^;)」

「そうなんだぁ、猫猫って一見パープリンだけど、すごいんだねえ!」

「アハハ、シマイルカンパニーの北京営業所長っスからね、たった一人だけど」

「ほんと、偉いよ、支社長さんもみんな撤退していったのにねぇ……さ、じゃあ店開きしようか!」

「はい、お願いするっス!」

 軽を南海横の広場にまわし、ほかの移動ショップに混じって営業開始。『姉妹公司』の看板を揚げて営業を開始したっス。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
 
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銀河太平記・290『大使館炎上!』

2025-03-25 09:42:08 | 小説4
・290
『大使館炎上!』 ツナカン 




 朝陽公園で、もう一度明細書を見るっス。

 よく見るとツナカンの名前は薄いシールになっていて、剥がすとちゃんと猫猫っス。

 明細書から足が付かないための配慮っスね(^_^;)。

 自分はオッチョコチョイっスからね、ちゃんとかけるさん分かってるっス。

 シンミリしてると、ハンベが『いまの気分』てロゴを映したっス。


 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも 


 なんじゃこれは?

 不思議に思ってると説明が続くっス。

――むかしむかし唐の時代、阿倍仲麻呂という日本人が留学に来ていましたが、大変優秀な人物で時の玄宗皇帝にたいへん可愛がられ、重く用いられて帰国を許されませんでした。それで月を見て「春日の三笠山の上に出る月もこんなだったなあ」と故郷を偲んだとさ――

 そ、そうか! ツナカンも優秀だから、ここで奮起してがんばれってことなんだ! がんばるしか無いっス!

 朝陽公園の林を山に見立てて振り仰ぐとおあつらえむきの早出のお月さまが出てるっス。

 ……なんか半日ボンヤリしてしまったみたいっス。

 あれぇ?

 月が微妙にかげってる……と思ったら、煙が立ち上ってるっス!

 あの方角は……三里屯の北側で大使館がいっぱいあるところっス!

――日本大使館で火災発生、炎上中!――

 ハンベが緊急速報を流して、自分は日本大使館に走ったっス!

 タタタタタタタタタタタタタ

 久々の全力疾走っス!

 胸の奥なのか腹の底なのか、このツナカンを急き立てるものが付き上げてきて、全力で走ってしまうっス!

 自分はヒンメルの副長っスから、常に冷静っス。そういう風に船長が鍛えてくれたからっス。

『おまえのガッツは人並外れてるが、八割に抑えておけ。残り二割の冷静さを失わなければ、このアルルカンの有能な副官が務まる』

 そう言われて奮起もし自重もしてきたっス。

 でも、北京に来てからは、ちょっとタガが外れてるっぽいっス。

 北京は取り澄ました外見をしてるっスけど、ファジーってのか横着ってのか融通きかしてるってのか、その時その時のノリとツッコミってところがあるっス。

 なんか、戦災孤児だったころ手下のガキを引き連れて走り回ってたころの呼吸になってるっス。

 そのころの感覚が――走れ!――って自分に言うっス!

 
 大使館は別館ぽいところから出火して、それがちょうど燃え盛ってるところで、大使館の自動消火システムが盛大に水のカーテンを張って類焼を防いでいるところっス! 北京市の消防車も何十台も来ていて、これも精いっぱい放水してるっス。

 続々と野次馬が集まって興奮してるっス。

 ここんとこ続いてる日貨排斥と不景気で日本への憎しみが溢れてるやつ。気の毒そうに眉をひそめてるやつ。そのどちらでもなく、本能的に恐れおののいてるやつ。

 そんな有象無象の中に一人オーラを放ってる少女が見えたっス。

 ほかの野次馬とちがって動物的な情念やら怖れは感じないっス。ひどく冷静なんすけど、目の前の事態をしっかり目に焼き付けて――なんとかしなくちゃ――と思ってる顔っス。
 時どき、傍の男たちに呟いて、そのつど男たちは畏まってよそに行き、また戻って来ては少女に囁いてるっス。

 え……劉宏大統領?

 そうっス! 現物は見たこと無いっスけど、あれはPIをやって以来、可憐な少女の義体に収まってる劉宏っス!

 ええぇぇぇ…………

 野次馬たちから盛大なため息があがったっス。劉宏に目を奪われてた自分はすぐに燃える大使館に目を戻したっス。

 ええ( ゚Д゚)!?

 今度は自分で声をあげたっス!

 なんと、別館からの火を防いでいた水のカーテンが無くなってるっス!

 火は勢いを増して、あっという間に本館に燃え移り、隣接するアメリカ大使館は自動的に防火システムが働いて、その国力を示すように盛大な類焼防止の水のカーテンが噴き上がったっス。

 その数秒後には反対側や裏側の大使館からも水のカーテンが立ち上がって、なんだか、日本が世界中から見放されたみたいな感じになってしまったっス。

 

☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 

 

 
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銀河太平記・289『営業所襲われる!』

2025-03-22 15:37:04 | 小説4
・289
『営業所襲われる!』 ツナカン 




 アッチャ~~~~~(''▭'')ゞ


 間抜けな声が出てしまったっす。

 出勤すると、営業所がボコボコっス!

「ああ、いよいようちに来よったかぁ……」

「これだけやられたら手の付けようがにゃーなあ……」

 八尾さんも吉野さんも悲惨な状況なのに、どこかノンビリしてるっス。

 漢明のあちこちで吹き荒れてる日貨排斥が、とうとうシマイルカンパニーにまで及んできたっす。

「火ぃ点けられんかっただけ、まだましかぁ……と……」

 呟きながら瓦礫の中をガサゴソかき回す八尾さんっス。

「気を付けなぁけがするに」

 ガサゴソ ゴソゴソ

「お、あったあったぁ……」

 なにやら見つけて出てきたっス。

「商品はあらかた盗られてたけど、事務所の冷蔵庫は無事やった。電源は抜けてるけど、まだ中は冷たいままやったさかい……ほれ」

 瓦礫の山から放ってきたのはシマイルサイダーっス。

 グシャグシャになった営業所の前で社員三人がグビグビ美味そうにサイダーを飲んでるのも、なんかシュールっス。

 飲みながら周りを見回すと、他の社員や近所の野次馬たちもチラホラ。

 嘆く者やら、膝をつく者やら、それを見て気の毒そうにしてる近所の人たち。中には――ざまあみろ――的なのも居るっスけど、シマイルカンパニーは人付き合いや近所づきあいはキチンとしてたんで、おおむね同情的な空気っス。

 パンパン!

 陽気な音に振り返ると、瓦礫の上にかけるさんが現れたっス。手には商品の猫の手をハメてるっス。拍手すると増幅されて雰囲気を盛り上げる宴会グッズの一種っス。頭にはウサ耳、手には宴会メガホンを構えて、きれいな宝塚ボイスで演説するっス。

「ご近所のみなさま、どうもお騒がせいたしました。そろそろヤバイかと思っていたら、やっぱりやられてしまいました。もし、みなさま方に被害が及んでいるようでしたらお知らせください。緊急にはわが社の方で、お待ちいただけるようなら北京市にかけあって補償していただけるように交渉いたします」

 ご近所のみなさんからは「だいじょうぶ」「うちも」「こっちも」「たいしたことないから」「加油!」「がんばれ!」と励ましの声が上がるっス。
 支社長以下社員全員、地元に溶け込んでよくやっている証拠で、ちょっと胸が熱くなるっス。

「長年にわたり、この三里屯でお世話になってまいりましたシマイルカンパニー北京営業所も、近ごろの社会情勢の影響を受けてこのようなあり様になってしまいました。ことここにいたっては、しばらくの間営業所を畳まねばならなりません。いずれまた、情勢が落ち着きましたら、今に倍する規模と情熱をもって、この街に営業所を再開する所存でございます。それまで、しばしのお別れでございます。これまで、ご近所、またご愛顧いただいた北京のみなさまに御礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました!」

 瓦礫の上から深々と頭を下げるかけるさんに合わせて、営業所員全員で頭を下げると、あちこちからご近所のみなさんの拍手が沸いたっス。

 それから、かけるさんは八尾さんと吉野さんに話をして、みんなに向かって拳をあげてガッツポーズっス!

 そして、かけるさんは自分のそばに来て囁いたっス。

「営業所の人間は香港に引き上げる。猫猫は現地採用だから、これで雇止めなんだけど……」

「ああ、それは仕方ないっスね(^_^;)」

 当面のねぐらと収入が欲しかっただけの仕事だったんで雇止めは仕方ないっっス。仕事も面白いし小梅ネーサンみたいな友だちも出来て未練もあるっスけど、少しは金もたまったし、本腰入れて本務に力注ぐっス!

「これまでがんばってくれたから、少しだけど報奨金。口座に入れといたから、これからの足しにして」

「あ、あざっす!」

「それから、これ……」

「え、営業パスじゃないっスか!?」

「八尾さんは香港に戻るから、有効期限は年度末までしか残ってないけど、いちおう嘱託の駐在員にしておいたわ」

「あ、あざっす!!」

「じゃあね、がんばってね、猫猫!」

「あざっす!!!」

 手を振ると無事だった営業車に乗って去っていくかけるさん。気が付くと、いつの間にかほかの社員も居なくなっていたっス。もらった報奨金の明細を見ると、思っていたより一桁多かったっス。

 あざっす……あざっす……しみじみと明細を見ると自分の名前がツナカンになってるっス!?

 ええ、正体バレてたあ!?



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
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銀河太平記・288『サイダーの染み』

2025-03-19 10:18:03 | 小説4
・288
『サイダーの染み』 ツナカン 




「ちょっと不穏だから気を付けてね」

 上海から戻ってきたばかりのかけるさんが営業部に来て注意したっス。

「そこまで悪いとは思わないんだけど、不景気を利用して権力闘争になりそうな空気がある。弾ける時は瞬間だから、巻き込まれないようにね。なにか変なことがあったら、すぐに連絡してちょうだい」

「「了解」」

 ベテランの八尾さんと吉野さんが返事して、みんな営業に出かけたのが今朝の9時っス。

 三里屯はいつも通り……と思ったら、街角に私服の警察がチラホラ。元々が戦災孤児で、そういうのにはビクついて生きて来たんで、そういうのには敏感っス。

 ……大丈夫、まだ私服たちにはそこまでの緊張は無いっス。

 日系の店がひとつクローズになっていたぐらいで、まだ仕事は出来るっス。二軒まわって二百三に向かったっス。まだ五月というのに、今日の北京は30度、朝から汗ビチャで営業するのも憚られるんで、日陰を拾っていくっス。

「お早う猫猫、注文書できてるけど、ちょっと休んでいきなよ」

「すみませんねえ、小梅ネーサン(^_^;)」

「いちおうマスターに目ぇ通してもらわなきゃだからね。はい、シマイルサイダー」

「すいません。置いてくれてたんスねぇ(^○^)」

「いやあ、おたくの八尾さんてのが来てね『猫猫がお世話になってますって』挨拶されてさ、マスターと仲良くなって扱うことになったんよ」

「え、そうなんスか!?」

「いやぁ、いい上司に恵まれたねえ(^▽^)」

 さすがは八尾さん、ちょっと感動したっス。

 プシューーーー!!

「ワ、アワワワワ(''◇'')」

 うっかり開けた缶から勢いよく泡が噴き出して狼狽えるっス!

「あ、ごめん、ちょっと落っことしちゃったから(^_^;)」

「アハハ、そういう時は……失礼、こうやって、回転させて炭酸を吸収させてから開けるっス」

「アハハ、そうなんだあ(^○^;)」

 ドライクリーナーでザっとサイダーの染みを抜いてから次に回ったっス。


 三軒周ったところで、例によって朝陽公園で一休みっス。


「ああ、八尾さんも吉野さんも休憩っスか」

 いつものベンチに向かうと、ベテラン二人がご休憩中。八尾さんは例によって靴脱いでネクタイ緩めまくり。吉野さんは、上着こそ脱いでるけど、ピシッとしてるっス。

「いやあ、猫猫も言うてやってちょ。営業はどこで人に見られてるか分からんで、ちゃんとしろってぇ」

「わしは緩めとっても愛嬌を忘れへんぞ。人間可愛かったら、少々緩んでも、かえって人間らしいとアドバンテージになるっちゅうもんや」

「僕も、仲間内の時は、ちゃんと名古屋弁でくだけとろーが」

「せやけど、仕事中は標準語やろが」

「僕は、公私の区別は付ける。というたらかっこええけど、八尾みてゃーな砕けようしても似合わんでなぁ」

 アハハ、性格は真逆なんすけど、二人とも営業成績はトップで、漢明での経営戦略でも一目置かれてるっス。かけるさんも人の使い方は上手いっス。

「なあ猫猫、吉野はなあ、こう見えても南朝53代目の皇位継承者やねんぞ」

「え、ナンチョー53代目?」

「ああ、止めてちょ(;'∀')」

 あたふた手を振る吉野さんを押えて話を続けるっス。

「はるか900年の昔、日本は足利尊氏が推す後醍醐天皇の南朝と、新田義貞が推す光厳天皇の北朝に分かれた。最後は北朝が勝ったさかいに、いまの天皇さんは北朝の裔やけど、世が世なら、この吉野尊治こそが百何十代目かの天皇さんちゅうわけや」

「いや、ほんとに止めてちょ」

「いや、日本の歴史なんてよく分かんねえっスけど、すごいんスねえ!」

「あ、猫猫、ジュースこぼしたやろ……うちのサイダーかぁ?」

「あ、ドライクリーナーかけたっスけど、分かります?」

「うん、袖のとこまだ残ったままやし」

「あ、お得意先でうちのサイダーいただいたもんでぇ(^_^;)」

 小梅ネーサンのことを話すと二人とも喜んで聞いてくれるっス。

 いやあ、なんか、この仕事も楽しくなってきたっス(^▽^)。

「あれぇ、あの煙、三里屯のあたりじゃにゃーきゃー?」

「「ええ?」」

 朝陽公園の森の向こう、ついさっきまで居た三里屯の方角に一筋の煙、見る間にもう一筋……そんで、爆発やら喧騒が、ここまで聞こえてきたっス!



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
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