日仏トイレットペーパー考http://a7.sphotos.ak.fbcdn.net/hphotos-ak-snc6/s720x720/208831_4210955756646_618158527_n.jpg
フランスのクレルモンに引っ越した友人が、「フランスではすぐにトイレットペーパーが無くなる」と電信をよこしてきた。
わたしはパソコン原始人なので、添付した写真が出ているかどうか分からないが、出ていたら左のチッコイ方がフランス製。純白の堂々たるシロモノが日本製である。
なんと雄々しい日本製ではないか!
ちなみに日本製はJIS規格が厳しく、以下のようである。
〈品質〉衛生的で適度の柔軟性があり、水にほぐれやすく、すきむら、破れ、穴など使用上の欠点がなく、試験によって規定(坪量18g/m2以上、破裂強さ(10枚)78kPa以上、ほぐれやすさ100以内)に適合しなければならない。
〈形状〉巻取りとし、巻きむらがあってはならない。
〈寸法〉紙幅114mm(許容差±)、1巻(ロール)の長さ27.5m,32.5m,55m,65m,75m,100m(許容差±3)、しんの軽(内径)38mm(許容差±1)、巻取りの径120mm以下
その他、試験方法や包装、表示などが規定されている(トイレットペーパー百科事典より)
フランスで、トイレットペーパーの使用料が多いのは、この規格の違いにあると思う。直径で1センチは細く、幅も10ミリは短い。したがって、一度に使用される量も多くなる。フランスの資料がないので憶測であるが、厚みも違うと思う。
そして、何よりも、ウォシュレットの普及率が、トイレットペーパーの使用量に決定的に影響していると思うのだが、どうだろう?
「小よく大を制する」という、一時代前の日本人が好きな言葉があるが、二時代前の日本人なら骨身にしみている戦力の逐次投入のロスがフランス製にはある。JIS規格によって鍛えられた日本製トイレットペーパーは、大戦力のわずかな出撃回数で、敵を撃滅する。
メグ・キャボットの『プリンセスダイアリー』にも、主人公の女子高生ミアが、たびたび「トイレットペーパーを買っておくこと!」と書いているように、アメリカにおいても、その使用量が多い事がしのばれる。
五十代以上の方なら、ご記憶にあると思われるが、かつてのトイレットペーパーは「落とし紙」と呼ばれ、和式便器の左前方のA4程の箱に、古新聞の再生紙であることを隠しもしない無骨な灰色をして収まっていた。
洋式トイレとの劇的な出会いは、中学の修学旅行で、横浜の氷川丸に一泊したときである。
船内のトイレのことごとくが洋式であった。
「どないやって、するんやろ……」
あどけない中学生たちは、このため、多くがイタセなくて、便秘ぎみになってしまった。
それから、半世紀近くたち、我が国のトイレのほとんどが洋式、それも、世界に冠たるウォシュレットに変化した。
このウォシュレットの開発は、涙ぐましい努力と研鑽があった。便水の適切な発射角、位置の設定など、開発した会社は、社員全員がモニターになり決定に至ったそうである。
テレビCMも流された。
「何を隠そう、お尻もキレイ!」のキャッチコピーでお茶の間に流れたとき、視聴者からは「食事時に便器の宣伝をするとは何事か!」と、お叱りを受け、初期商品には故障も多く、クレームが続いた。
「温水が熱水になって○○をヤケドした!」
「水の勢いが強すぎる!」
しかし、このウォシュレットは日本人の合理性とよくあい、前世紀末から急速な普及を見た。
このウォシュレットの開発は、何度かマスコミで取り上げられ、この程度の知識をお持ちの方は、比較的多い。
その中で、トイレットペーパーは地味に、確実に進化を遂げた。薄く丈夫で水に溶けやすいという矛盾した条件を、コツコツとした努力で成し遂げた。
一見話が変わるようであるが、広辞苑である。
広辞苑は、版が変わるたびに収録する言葉が増えている。内容が増えるわりには、本としての厚み、重さは、ほとんど変化がない。これは、岩波書店や、提携の紙屋さんなどが努力をして、紙を薄くすることで対応している。
日本は、かくのごとく、各方面において努力を重ね、その結果、渡仏した我が友人をして、こう言わしめた。
「フランスでは、すぐにトイレットペーパーがなくなる」
わたしは、こう返した。
「そやけど、そっちは、トイレットペーパーはくれるもんとちゃうんか?」
数分たって、友人から返信がきた。
「地球の裏側まで、オヤジギャグとばすな!」
念のため、「くれるもん」は「クレルモン」にひっかけている。
え……しつこい。
では、このへんで。
フランスのクレルモンに引っ越した友人が、「フランスではすぐにトイレットペーパーが無くなる」と電信をよこしてきた。
わたしはパソコン原始人なので、添付した写真が出ているかどうか分からないが、出ていたら左のチッコイ方がフランス製。純白の堂々たるシロモノが日本製である。
なんと雄々しい日本製ではないか!
ちなみに日本製はJIS規格が厳しく、以下のようである。
〈品質〉衛生的で適度の柔軟性があり、水にほぐれやすく、すきむら、破れ、穴など使用上の欠点がなく、試験によって規定(坪量18g/m2以上、破裂強さ(10枚)78kPa以上、ほぐれやすさ100以内)に適合しなければならない。
〈形状〉巻取りとし、巻きむらがあってはならない。
〈寸法〉紙幅114mm(許容差±)、1巻(ロール)の長さ27.5m,32.5m,55m,65m,75m,100m(許容差±3)、しんの軽(内径)38mm(許容差±1)、巻取りの径120mm以下
その他、試験方法や包装、表示などが規定されている(トイレットペーパー百科事典より)
フランスで、トイレットペーパーの使用料が多いのは、この規格の違いにあると思う。直径で1センチは細く、幅も10ミリは短い。したがって、一度に使用される量も多くなる。フランスの資料がないので憶測であるが、厚みも違うと思う。
そして、何よりも、ウォシュレットの普及率が、トイレットペーパーの使用量に決定的に影響していると思うのだが、どうだろう?
「小よく大を制する」という、一時代前の日本人が好きな言葉があるが、二時代前の日本人なら骨身にしみている戦力の逐次投入のロスがフランス製にはある。JIS規格によって鍛えられた日本製トイレットペーパーは、大戦力のわずかな出撃回数で、敵を撃滅する。
メグ・キャボットの『プリンセスダイアリー』にも、主人公の女子高生ミアが、たびたび「トイレットペーパーを買っておくこと!」と書いているように、アメリカにおいても、その使用量が多い事がしのばれる。
五十代以上の方なら、ご記憶にあると思われるが、かつてのトイレットペーパーは「落とし紙」と呼ばれ、和式便器の左前方のA4程の箱に、古新聞の再生紙であることを隠しもしない無骨な灰色をして収まっていた。
洋式トイレとの劇的な出会いは、中学の修学旅行で、横浜の氷川丸に一泊したときである。
船内のトイレのことごとくが洋式であった。
「どないやって、するんやろ……」
あどけない中学生たちは、このため、多くがイタセなくて、便秘ぎみになってしまった。
それから、半世紀近くたち、我が国のトイレのほとんどが洋式、それも、世界に冠たるウォシュレットに変化した。
このウォシュレットの開発は、涙ぐましい努力と研鑽があった。便水の適切な発射角、位置の設定など、開発した会社は、社員全員がモニターになり決定に至ったそうである。
テレビCMも流された。
「何を隠そう、お尻もキレイ!」のキャッチコピーでお茶の間に流れたとき、視聴者からは「食事時に便器の宣伝をするとは何事か!」と、お叱りを受け、初期商品には故障も多く、クレームが続いた。
「温水が熱水になって○○をヤケドした!」
「水の勢いが強すぎる!」
しかし、このウォシュレットは日本人の合理性とよくあい、前世紀末から急速な普及を見た。
このウォシュレットの開発は、何度かマスコミで取り上げられ、この程度の知識をお持ちの方は、比較的多い。
その中で、トイレットペーパーは地味に、確実に進化を遂げた。薄く丈夫で水に溶けやすいという矛盾した条件を、コツコツとした努力で成し遂げた。
一見話が変わるようであるが、広辞苑である。
広辞苑は、版が変わるたびに収録する言葉が増えている。内容が増えるわりには、本としての厚み、重さは、ほとんど変化がない。これは、岩波書店や、提携の紙屋さんなどが努力をして、紙を薄くすることで対応している。
日本は、かくのごとく、各方面において努力を重ね、その結果、渡仏した我が友人をして、こう言わしめた。
「フランスでは、すぐにトイレットペーパーがなくなる」
わたしは、こう返した。
「そやけど、そっちは、トイレットペーパーはくれるもんとちゃうんか?」
数分たって、友人から返信がきた。
「地球の裏側まで、オヤジギャグとばすな!」
念のため、「くれるもん」は「クレルモン」にひっかけている。
え……しつこい。
では、このへんで。