大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・アンドロイド アン・28『ヒットサーン!』

2018-10-23 14:51:25 | ノベル

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アンドロイド アン・28

『ヒットサーン!』

 

 

 メイド喫茶ヒットサンは大好評だ!

 

 ヒットサンというのは1と3ということで、言うまでもなく一組・三組合同の取り組みなんで、その1と3をくっ付けてヒトサンと読ませる。だけど、客寄せにメガホン持って呼び込みをするにはヒトサンでは力が入らない。

 で、ヒトを促音化させてヒット! むろん文化祭の取り組みとしてヒットさせてやるんだ! という意味もある。

 ヒットサン! よろしくお願いしま~す(^^♪!

 ヒットサーン! 本館二階のプレゼンテーションルームでやってまーす!

 てな具合で、五分も呼び込みしていると、ヒットサーン! とサの後ろを伸ばすようになり、一段と調子が良くなった。

 

 一組も三組も女子可愛いなあ~🎵

 

 一時間後には評判がたった!

 一組も三組も、とりたてて美人や可愛い子が揃っているわけじゃない。

 日ごろのランキングは三年の早乙女采女と俺も一押しの小金沢灯里だ。 むろん、委員長の徳永さんや玲奈も十人並み以上だし、アンだって、町田夫人に言わせれば明日からでもアイドルになれるほどなんだそうだ。

 でも、ヒットサーンの女子が可愛いのはイキイキしてるからなんだ。

 五十席の客席は満杯で、廊下には常に五十人ほどの列ができている。

 食堂のオッチャンルートで仕入れたレトルトも好評だ。一食売れれば百円の儲けなんだけど、百円のドリンクと一緒に五百円のワンコインでの注文が多くて、客単価二百五十円の儲けになっている。

 それに三組の仕立て屋の男子。本人の希望で匿名なんだけど、さすがは本職!

 女子全員のサイズを計ってピッタリのを作りやがった。

 それも、女史の個性に合わせて微妙にデザインを変えている。

「いやあ、同じのばかりだと飽きるしなあ」

 本人は謙遜しているが、なかなかだ。

 胸元が寂しい女子には胸元の花やリボンを多くしてボリューム感を出す。なで肩には肩パット。体育系でたくましい女子のは、スカートの切り返しを高くして胸から下のたくましさを隠す。足に自信のない女子のはトラッドなスカート丈にして気にならないように……などなどの工夫で、本人たちにもお客さんにも評判がいい。

 

 教訓だと思った。

 

 大げさに言うと、遣り甲斐とか自信を持つと、女の子と言うのはキレイになるんだ。

「若さの特権ね」

 見回りに来た女の先生が言った。

「自信とかやる気が出れば、ティーンってのは、こうなるんだね。男子もがんばれ!」

 言わずもがな、小中高と、いろんな学校行事を経験してきて、その大半がイヤイヤとまで言わなくともルーチンワーク。

 それが、みんな楽し気にやっている。むろん男子は裏方で、本番の今日は調理とお客の整理。

 調理とは名ばかりで、沸かしたお湯の中にレトルトのパックを放り込むだけ。

 食器も検便回避のために紙とプラスチックの使い捨て。

 嬉しさのあまりにいちびった粗忽者が軽いやけどをしただけだ。

 

 そして、二クラス合同の余力を生かした舞台でのダンス発表だ!

 

「本番は、じっくり見ていいからね(^^♪」

 かたくなに練習を見せなかったアンがニコニコ顔で肩を叩く。

「新一、変態に間違われたらいけないから、これ持ってなさい」

 ビデをカメラを押し付けてきやがった。

「これも付けとくといいわ」

 玲奈は『報道』と書かれた腕章をくれる。

 うまく使われた感じがしないでもないが、たしかに、堂々と鑑賞できる。

 

 ヒットサーンは大人数なので舞台袖に収まりきらず、待機するのは体育館外の通路だ。

 

 俺は、集合待機しているところから撮影を開始した……。

 

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・27『いい雰囲気そう』

2018-10-20 14:34:00 | ノベル

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アンドロイド アン・27

『いい雰囲気そう』

 

 手を上げたくせに、自分は出ようとはしないんだよね。

 

 パックジュースを半分飲んだところで玲奈が言う。

 放課後のグラウンドを緩く見下ろす大階段。

 うちのグラウンドは校舎の敷地よりも二メートルほど低く、高低差の繋ぎがコンクリートの大階段になっている。十メートルおきに植え込みがあって、ボンヤリ日向ぼっこをしたり、緩い距離で喋ったりするのにうってつけなんだ。

 掃除当番のゴミ捨てをかって出た。ほんとは徳永さんなんだけど、ダンスの練習が控えているので引き受けたんだ。

 ゴミ捨て場まで来ると、三組の玲奈と一緒になったんで、パックジュースを奢って大階段に腰を下ろしている。

「アンのやつ、部屋に籠って振り付けを考えてるみたいなんだけど、ぜったい見るなって。見るなと言われると気になってな」

「ハハ、ダンスって、時にあられもない格好になるからね。男って、そういうの見たがるんだ」

「ち、ちが……音だけは聞こえるじゃん。曲だけじゃなくて、体動かしてるとドシンバタンとさ。それが、なんか一生懸命っぽくって、その……気になるんだよな従兄としてもさ」

 ほんとうは少し違う。

 アンはアンドロイドだから、見本を見たりすればいっぺんにマスターできる。それが三日もたっているのに、いまだにドシンバタンとやってるんだ。従兄ってのもウソだけど、玲奈に言うわけにはいかないしな。

「アンはさ、だれが踊ってもサマになるように工夫してるよ。大人数だから難しいのはダメだし、かと言ってショ-もないもんじゃダメじゃん。福田君(自分で立候補して縫子やってる仕立て屋の息子)が入ってコスも良くなってきたし、ベストなものにしよって一生懸命なんだよ」

「そっか」

「アンがさ、最前列立ってさ、見本兼て踊ってくれりゃ、もっと楽なんだろうけど、振り付けに徹するって」

「そうなんだ」

「で、だいたいのとこ、どんなフリなんだ?」

 アンが一生懸命なのはいいんだが、あいつの性格っちゅーか、これまでのことを振り返ると、なんか心配になる。

「一昨日のフリだけど見てみる?」

 スマホを出して動画を見せてくれる。

「……なんか、よう分からんなあ」

 最前列から撮ったらしい動画は、部分的にしか見えなくて、一生懸命さや恥ずかしがってる様子しか分からない。使っている音楽は楽し気で、どこかで聞いたことがある感じだ。

「えーとね、こんな感じ」

 玲奈はちょっと踊って見せてくれた。人前で踊ったりする玲奈じゃないんだけど、アンの頑張りを認めてくれていることが分かって微笑ましい。

「んーーーよう分からんが、イカシテはいるようだな」

「アハハ、わたし調理係だしね(^_^;)」

 

 まあ、いい雰囲気そうなんで、アハハと笑ってお仕舞にした。

 本番見ればいいわけだしな。

 

 

☆主な登場人物 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

 徳永さん   クラスの委員長

 

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・26『問題は振り付け』

2018-10-17 13:44:42 | ノベル

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アンドロイド アン・26

 

『問題は振り付け』

 

 

 

 コラボと二クラス合同というところまでは良かった。

 

 コラボってのは、メイド喫茶風の模擬店と、そのメイド衣装を生かしての舞台パフォーマンス。

 合同ってのは、わが一組と三組がいっしょになって取り組むっちゅうこと。

 

 おかげで、体育館を除いては最大の屋内スペースであるプレゼンテーションルームの使用が認められた。

 プレゼンの収容人員は八十名。むろん、教室式に机を並べての人数だけど、メイド喫茶として緩く席を配置しても五十人はいける。

 五十人のお客を収容してもメイドは二クラスの女子、三十六人も居る。三交代としても十二人がフロアに入れば素人のメイドでも十分さばけるだろう。

 メニューもレトルトのカレーとオムライスと焼きそば。四種類で1200食分もある。食堂のオッチャンの口利きで、仕入れ値は一食100円、これを200円で売って儲けを衣装やら内装やらの費用に充てる。他にもパックジュースもあったりで、完売すれば経費を除いてもけっこうな儲けになる。

 わが一組の徳永さんと三組の玲奈のコンビも上手くいって、発案から一週間もすると目に見える成果が現れる。

 

「じゃ、メニューの試食会兼て、コスの発表と発会式をやりまーす!」

 

 徳永さんが音頭を取って、二クラス七十人の試食会が始まった。

「ちょっと物足りねえかなあ」

「ほかの模擬店にもいくだろうから、こんくらいでいい」

「お、レトルトとは思えない味だ」

「400円出して二つ食うのもありだなあ」

「じゃ、ドリンク付けてワンコイン! これは売りになるかも!」

 賑やかで発展的な試食会になってきた。

「メイド服も試作品が出来たから、見てちょうだーい!」

 徳永さんが手を上げるとポップな曲が流れ、控室から田中さんと渡辺さんがフリフリしながら現れた。

「メイド服ってのは女子力倍増だなあ」

 赤沢が正直なため息をもらす。

「縫子が増えれば、もうちょっとフリフリのゴージャスになるの、やってみたい人いる?」

 現物を見せるというのは効果的で、三組の男子が手を上げた。

「あ、あいつ、家が仕立て屋なんだ」

「ほう、プロなんだ」

「でもさ、最初に手を上げてたら、ちょっちキショイと思われたかも」

 そりゃそうだろ。上から着るものだとは言っても女の子のメイド服だ、変態と思われる恐れ濃厚だ。

「ここのイセ込みを工夫すると、ほら、前身ごろの合わせ目に皴がよらない」

 さっそくプロの目でチェックすると女子から「おーーーー」と歓声があがる。

 俺は、ハナから野次馬なんだけど、文化祭の取り組みがうまく転がっているのは気持ちがいいもんだ。

 

「で、コラボしてる舞台パフォーマンスのダンスなんだけど、ちょっと、やってもらうわね」

 

 BGのボリュームが上がると、田中さんと渡辺さんは素人ばなれれしたダンスを披露し始めた。

 オーーーーーーー!!

 主に男子から歓声があがったが、意外にも女子たちからは声が上がらない。

「なんでだ?」

「二人ともダンス部……見てる分にはともかく、いっしょに踊る女子にはなあ……」

 たしかに、あれをやれと言われたら腰が引けるかもしれない。

「う~ん、新しい振り付けってなると、わたしらも部活の方があるしねえ……」

 そうだろ、ダンス部は文化祭でも花形だ。

「だれか、振り付けやってみようって人いない?」

 徳永さんが手をメガホンにして呼びかける。

 なんせ、文化祭まで十日あまりしかないのだ……いちばんクリエィティブなところで頓挫しかけている。

 

「よかったら、わたしがやる!」

 

 沈黙を破って手を上げたのはアンだった。

 

☆主な登場人物 

 

  新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

 徳永さん   クラスの委員長

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・25『ノリと勢いのアンツィオの如く』

2018-10-12 15:33:23 | ノベル

 

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アンドロイド アン・25

『ノリと勢いのアンツィオの如く』

 

 

 模擬店と舞台パフォーマンスのコラボに決まった。

 

 三組も同じ取り組みなので、女子たちが話をまとめて二クラス合同の取り組みとなった。

 合同でやれば使える予算も人員も倍になる。文殊の知恵の例えもあって、数が増えれば考えも浮かぶだろうし、運営主体である生徒会と折衝するにしても合同クラスは発言力が違う。

 言い出したのは委員長の徳永さんで、俺の幼なじみにして三組のお調子者の玲奈がまとめ上げた。

 

「新一、プレゼンテーションルームが使えることになったぜ!」

 

 食堂でブタまんとオーレで放課後の開放感に浸っていると、これまた、授業中では見せたことのない目の輝きで玲奈が報告しに来た。

「プレゼンてば、教室二つ分の広さじゃね?」

「だけじゃないわよ、準備室の方にはキッチンとかもあってさ、大規模模擬店にはうってつけよ!」

 そう言うと、楽しみに残しておいたカレーマンをパクつきながらコクコクと頷きやがる。

 幼いころから、いろいろ分け合って飲み食いした仲なんで、半分取り返してもいいんだけども、食堂のオーディエンスのみなさんに間接キスと思われたくもない。

「でさ、市販品の転売って模擬店でしょ。やれることは調理じゃなくて加熱までなのよ、加熱でも、このブタまんみたく美味しかったりするんだけどね……」

 カレーマン食われた恨みの一言も言ってやろうかと思ったら、カウンターの方で女子の歓声。

 ありがとうオジサン! やったね! バッチグー! ヤリー!

 カウンターの向こうでは、食堂のオジサンがしきりに頭を掻いている。

「玲奈ちゃん、業務用のレトルトが格安で手に入るわよ!」

 徳永さんが親指を立てた。なるほど、蛇の道は蛇で、食堂に渡りをつけてラクチンレトルト模擬店に決めたようだ。

 これならプレゼンの準備室で湯を沸かしてレトルトのパックをぶち込むだけで済む。

 レトルトならば、定番のカレーはもとより、牛丼、チャーハン、パスタとかの麺類一式、スイーツにだってパックものがあったはずだ。

「みんな、これ見て!」

 顔は知ってるけど名前は思い出せない、つまり、日ごろはモブキャラに過ぎない女子が喜色満面に布切れを振り回している。

「なに?」

「あ、メイド服じゃん!」

「演劇部にあったの! 型紙とかもあるから、家庭科室で大量生産できるわよ!」

「「「「「「オーーーー!」」」」」」

 

 女子というのはガルパンのアンツィオ高校みたいなもんで、いちど空気が出来あがってしまうとノリと勢いはすさまじいものがある。

 しかし、わが同居人のアンの姿が見えない……。

 

「目立っちゃうと、どこかでアンドロイドだってことがバレちゃうんじゃないかって……ちょっと自粛」

 

 家に帰ると、リビングでネットサーフィンをやりながら背中で応えやがった。

 たしかに、この春以来、いろんな局面で人間離れした力を見せてきたので、ヤベーと思ったこともしばしばだった。

 アンは未来からやって来たアンドロイドなんで、正体を知られるわけにはいかない。

 小さな背中が、ちょっと可哀そうに思えてきた。

 

 その背中が小刻みに震えている……え、泣いてんのか?

 

 グフ グフフフ…………

 

 違った、忍び笑いしてやがる!

 ノーパソの画面には、早回しのアニメのように古今の春画が流れていたのだった。

 

☆主な登場人物 

 

  新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・24『アン おとなしくする』

2018-10-08 14:11:59 | ノベル

アンドロイド アン・24

『アン おとなしくする』

 

 

 杞憂であったらしい。

 

 日本史の質問から春画の魅力に囚われて、あれだけキチンとしていた料理をオートでやってしまうほどのめり込んだのがピタリと止んだ。

 うちの近所には町田夫人という、人柄はいいんだけど、おもしろい噂は天下国家に広めなければ止まれないご仁が居る。

 案の定、通りすがりに見えてしまうキッチンを目撃されてしまったけど「あら、新一君もお料理するのね?」と、回覧板のついでに言われてしまった。

 鍋やらフライパンやらのキッチン用品がオートで動いているのは、さすがにまずいだろうと思った俺は、台所に立って、遠目では俺が料理しているように見せかけたんだ(^_^;)

「いや、お恥ずかしいところを見せてしまいました(^_^;)」

 アンも通りで出会った町田夫人にごまかして事なきを得た。

 

 それからは、いつものように町内でも学校でも普通に過ごすアン。

 

 学校は来月に迫った文化祭モード。

 ホームルームは、その取り組みを何にするかで沸き立った。

 数的にも多いので、いきおい女子が主導権を握る。

「いろいろ意見が出たけどさ、屋台とか喫茶店とか焼きそばとかさ、あ、それとステージでダンスとか。ちょっとまとめてみたいと思うの」

 委員長の徳永さんが黒板に整理して書いた。

「それって、飲食店でくくれるかも~」

「あたし調理とかしたい🎵」

「おソロのエプロンとかいいよね~」

「ケーキとかもいいかも~🎵」

 女子を中心にかまびすしくなる。

 

「ひとつ言っとくけど……」

 

 ハッチャケそうな空気を読んで担任が水を注す。

「飲食店は、保健所の指示で調理に関わるものは検便だからな~」

 

 けんべん!?

 

 驚愕と笑いがミルフィーユのように重なって起こる。

「ああ、そうだ。厳密にはクラス全員なんだけど、最低でも調理員は必須だぞ」

「検便って、どういう風なんですかあ?」

「決まってんだろ、出したウ○コをケースとかに入れてえ~」

 こういう話題になると、男子が活気づく。

「「「「「「「「「ヤダーーーーーー」」」」」」」」」

 女子から非難半分、笑い半分の声が上がる。

「先生、どんなのですかあ?」

 収拾させようと赤沢が担任に振る。

「大昔はマッチ箱とかに入れたけどな、今はな……」

 担任は教壇に椅子を上げて実演し始めた。

「便器に前後逆に座ってだな、一ちぎり出した奴に……」

「出しかけたのを途中で止めるんっすか?」

「全部出してもいいけど、大変だろ」

 たしかに。

「で、そのヒトちぎりに検査用のスティック……爪楊枝くらいなんだけど、それをぶっ差して、スティックを付属の密閉容器に入れて提出するんだ……こんな具合だな」

 実演した後、黒板にダンドリのイラストを描いた。

 シ~ンと見つめる俺たち。

「それって、下半身完全に脱がないとできねえ」

「うっかりドア開けられたら人生終わっちまうぜ」

 

 ピンときた。

 担任は飲食店をやらせたくないんだ。万が一食中毒になったら責任ものだし、準備や当日のシフト管理とかのもめ事、飲食店ならではの後始末のあれこれ、おそらく教師としていやな思い出があるんだろうなあ。

「それなら……市販のものを温めたりとかのことで凌げるかもしれません。ほら、コンビニとか、店内で食べさせたりするの、あれは保健所の管轄にはならないはずです」

 さすがは徳永さん!

「でも、それだとイージーな分だけ面白みに欠けるから、どうだろ、メイド喫茶とか執事喫茶とかの触れ込みにしといて、余力で舞台パフォーマンスしてみたら! お店と舞台の両方で、互いに宣伝しまくってさ、うん、いいんじゃないかな!」

 徳永委員長が上手にまとめ上げた。

 さすがだと思ったが、似たアイデアはあるもんで、アンの三組でも店と舞台のコラボに決まった。

 

 そして、特筆すべきは、目立ちたがりのアンが一言も意見を言わなかったことだった……。

 

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・23『アンの感動』

2018-10-05 15:48:26 | ノベル

アンドロイド アン・23

『アンの感動』

 

 春画に興味を持ちやがった

 

 日本史の先生に『浮世絵が盛んにんったのは春画が売れたからだ』と教えてもらいやがった。

 教科書と言うのはタブーがあるようで、春画などは教えてないけないことになっている。

 教えてはいけないということすら教えない。

 だから、江戸の人間と言うのは、役者絵とか東海道五十三次みたいなインスタ栄えしそうな風景画を買いまくって、百万の江戸市民が芸術的使命にかられて浮世絵師を育んだという、日本は世界一のアート国家だったという理解だ。

 いや、理解さえしていない。暗記科目の日本史、その中でも場合によっては「教科書読んどけ」の指示だけですっ飛ばされる江戸文化に興味を持つやつなんていねえよ。

 ちょっと変わったアンドロイドだとは思っていたけど、再認識したかっこうだ。

 

 ウ~~~~~~~~~~~~~ン

 

 リビングのソファーで腕組みしたままアンが唸る。目は虚空を睨み据えている。

「ちょ、ちょっとキモいぞ」

「喋りかけないで」

「だって、コンロの……」

 虚空を見つめたまま、組んだままの右手の指をチョイと動かす。

 すると、ガスが弱火になっただけでなく、シンクの上の調味料各種が勝手に動いて料理を仕上げていくではないか!

 人が見たら幽霊のお手伝いさんか何かがいると思ってしまうに違いない。同居して四カ月目の俺も、アンの、こういうズボラテクニックを目にするのは初めてだ。

「お、おい、こんなの町田夫人にでも見られたら……」

 俺は慌ててキッチンに向かい、人間が料理しているようなポーズをとる。

「え……なんだ?」

 目の前にインタフェイスが現れて、右から左へと文字が流れる。

 

――弱火のまま二分かき回し、終わったらお皿を並べて……――

 

 なんと、目の前に夕食準備のダンドリが流れていく。オートでやってはまずいと思って俺にやらせようと瞬時に変更しやがった。

「……という具合にね、一見デッサンの崩れた稚拙な絵に見えるんだけどね。読者が見たいところを一枚の絵に凝縮するって、現代の3D効果と同じ狙いのテクニックで」

「飯食いながら春画の説明するんじゃねー!」

「だって、これが浮世絵の優れた表現でさ。いっそ、バーチャルモニター出して見せればいいんだけどね、なんせ18禁だしね……そうだ、ポーズだけでも見せたら……」

 箸をおいて何をするのかと思ったら、テーブルの上に載って、なんともアクロバット的なポーズをとりやがる。

「な、なんだ!? 首が、そんな具合に曲がるワケないだろが!」

「だって、こうやると女の表情と○○してるとこが同時に見られるって二次元的な工夫。ピカソだって同じテク使ってるんだよ」

「お、俺は、まだ食ってるんだ!」

「ごめん。でもね、このエロ表現のあくなき追及は感動ものなんだよ、やっぱ、こういう感動をこそ授業で伝えなくっちゃね」

「い、いい加減にしろ!」

「ごめん……」

 

 いっぱつ怒鳴って、やっとエロの伝道師であることを止めた。

 でも、まるで戦国時代にやって来たイエズス会の宣教師のように、自分の感動を伝えたくて仕方がないアンだ。

 夕食後は普通にしてくれたんだけど……ちょっと悪い予感がした。

 

☆主な登場人物 

  新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・22『アンの質問』

2018-09-30 14:28:29 | ノベル

アンドロイド アン・22

『アンの質問』

 

 

 アンの質問には困ったもんだ

 

 職員室に用事で行ったら、そんなことが聞こえてきた。

 学年の先生たちが、一仕事終えたのを潮にティータイム。ちょっと盛り上がって、生徒の棚卸を始めたようだ。

 むろん気楽な世間話で、ほんとうに困り果てているわけでもなく、アンの指導方針を真剣に議論しているわけでもない。

 たぶん、俺が同居している従兄という設定になっていることも知らないだろう。

 知っていれば、たとえ世間話でも、俺の聞こえるところでするはずもない。

 

 質問しまくってるんだって?

 

 食堂の食器返却口で一緒になったので、冷やかし半分に振ってみる。

「それだけ真面目に勉強してるってことよ。文句ある?」

 アンと並んでいる玲奈がクスクス笑う。

「さ、いこいこ、日本史の質問あるんだから🎵」

 

 玲奈と連れ立って行ってしまう。

 

 分かっているんだ。

 アンはアンドロイドだから、その気になれば世界中のコンピューターから情報が得られる。

 高校の授業内容なんて屁でもない。

 緊急事態以外では、標準的な高校生に相応しくないCPの領域を遮断している。遮断して、あたりまえの高校生らしくやっていこうとしているんだ。

 あたりまえのアンは気のいい奴で、こないだも、早乙女采女が新型のスマホを見せびらかしながら手下どもの欠点や苦手を面白おかしく指摘していたのを見かけて、意外にいい奴なんだと思って、スマホのアプリの力をデフォルトの何倍にもしてやった。ま、結果は前回の『采女のスマホアプリ』を読んでもらえれば分かる。

 そういう善意の失敗もあり、悪目立ちすることも避けたいので、普通の女生徒を目指しているんだ。

 そう思うと、俺も面白くなってきて、アンと先生とのやり取りを覗いてみたい気になった。

 やっぱりここだ。

 日本史の先生は、昼飯を食べた後は中庭東側の目立たないベンチで昼寝をしている。

 アンは、ちょうどミスター日本史を起こしたところだ。

 

「役者絵とか美人画だけじゃ、浮世絵は売れません」

「いや、そういうもんなんだよ」

「でも、先生。江戸の人工は百万で、地方の政令指定都市程度です。人口比から言って、浮世絵を買うのは……」

 なんと、浮世絵の売り上げを人口や、町人の購買力、江戸の浮世絵の絵師の数から類推している。

「これだと、絵師の平均年収は五両前後で、絵の具代とか差っ引いたら、食べていくのがやっとです」

「いやあ、だからね……」

 先生もタジタジだ。

 いま習ってるのは江戸時代の化政文化のあたり。その中でも花形の浮世絵に目を付けたというかこだわってしまった様子だ。

 考えたらそうだよな。百万くらいの都市でさ、俳優とかアイドルの似顔絵やブロマイドを製作販売する業者がいるとして、それが百人ほどの(俺も授業で習った)絵師を食わせることができるか? 版元や、そこで食ってる職人のことまで考えると、そこまでの需要は無いだろう。

 しかし、こういう興味の持ち方は、実に高校生らしくない。くっついている玲奈が感心したような呆れたような顔をしている。

 

 俺は、ミスター日本史が、どう答えるか、がぜん興味が湧いてきた。

 

「いやあ……実は、春画で稼いでいたんだよ」

 ボソリと、すごいことを言う。

「「しゅんが?」」

「こ、声が大きいよ💦」

「つまり、R18というか、アダルト指定というか……」

「つ、つまりHなソフトみたいなもんですか!(n*´ω`*n)?」

 玲奈のテンションまで上がって来た。

 

☆主な登場人物 

  新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・21『采女のスマホアプリ』

2018-09-27 14:45:07 | ノベル

アンドロイド アン・21

『采女のスマホアプリ』 

 

 

 放課後の食堂は憩いの場だ。

 

 パックジュースの一つも買えば、いつまでも喋ったり、昼寝を決め込んだり。

 第二次ベビーブームが高校生になるころに作られた食堂なので、座席に余裕がある。

 校舎の中では行儀にうるさい先生たちも、食堂では、あまりやかましいことを言わない。

 

 ウワーー、インスタ映えっすね!

 

 早乙女采女を取り巻いて、手下どもが采女の写メやら動画を絶賛している。

 どうも采女はスマホを新調し、珍しいアプリを入れて手下どもに見せびらかしている様子だ。

「これで驚いてちゃダメよ……こうやると……ほら!」

「「「「「「「オーーーーーー!!」」」」」」

 

 隣の島からでも良く分かった。

 

 スマホに取り込んだ画像が、どういう仕掛けか、スマホの画面の上で3Dと言うか、立体になって見えるのだ。

 テーブルに置かれたスマホの画面の上には、この秋流行のファッションに身を包んだ采女がフィギュアのように浮かんでいる。

「ホログラムの応用技術みたいね」

「スターウォーズとかであったわよね、レイア姫がアナキンに3Dレターを送ったりするの」

 玲奈が、お仲間と興味津々で見ている。

 普段だと、采女たちを眺めたりすると、逆に眼を飛ばされたりするんだけど、今日の采女は見せびらかしたいので、文句は言わない。

「ヨッチ、あんた撮ったげるわよ」

「え、わたしっすか?」

「遠慮しなくていいから、そこ立ってみ」

「え、あ、はい」

 ヨッチと呼ばれた手下は、写真写りに自信がないのか、ちょっと気まずそうに通路に立った。

「いくよ!」

 パシャリと撮って、数秒、ヨッチの3Dが浮き上がる。

「あ、いや、見ないでください」

 ヨッチはフルフルと両手を振るが、采女は遠慮なく操作して3D画像を倍ほどに拡大した。

「ほら、見てみ、ヨッチはスタイルいいのに、姿勢で損してるのよ。横から見たら猫背でしょ」

「あー、なるほど」

「次、トモエ!」

「は、はい」

「あんたは顔色、ほら、補整かけると、こんなに健康的」

「ユキは表情、ほら、目元と口元変えると……ね!」

 

 采女は、次々と手下を立たせてはホログラム映像にして批評している。

 

「ありかもしれない……」

 密やかにアンが感心した。

 はた目には、嫌がる手下たちを無理やり撮影して晒し者にしているようだが、一人一人改善すべき点を指摘してやって励ましているようにも見える。玲奈は眉をひそめているが、アンは分かっているようだ。

「いやあ、あたしたちに比べると、采女ねえさんなんか完璧っすね!」

「そんなことないわよ、服とかで誤魔化してるだけよ」

「「「「そんなことないです」」」」

「体つきがね、まだまだ子どもっぽくって、大人の魅力というにはね……夜になるとね、ほどよくむくみが出て、ちょっとだけマシにはなるんだけどね」

 残念ながら、そういう機能は付いては無いようだ。

 

 ブタまん半額! タイムサービスだよ!

 

 食堂のオバサンが、賞味期限の迫ったブタまんのタイムサービスを呼ばわる。

「ラッキー、わたし買って来る」

「自分が行きますよ」

「いいわよ、みんなで遊んでて」

 そう言うと、采女は、ブタまんの列に加わっていった。

「なかなかいい人なんだ……」

 アンは、さらに感心した。

「そうだ」

 アンは、チョイチョイと指を動かしてテーブルの上に仮想のインタフェイスを出した。

 俺は仕草で分かるんだけど、玲奈には、アンが暗算みたいなことをしているように見えている。

 

 え、あ、ちょ、ちょっ、ちょ、ヤバイ!

 

 手下たちが声をあげる。采女もブタまん一杯のトレーを持ったまま跳び上がる。

「ちょ、やめてえーーーーーー!」

 

 3Dの采女は、服を脱ぎだして、風呂に入る仕草をしている。

 あっという間にスッポンポンになると、鏡の前でポーズをつくりはじめる。

 慌てた手下が弄ると、3Dの采女はテーブルの上で等身大に拡大してしまった!

 

「み、見るなあーーーーー!!」

 

 電源を落とすまでの数秒間だったが、食堂に居るみんなが見てしまった。

 

「わ、悪いことをしてしまった……」

 今度はアンが落ち込んだ。

 アンは、アプリに時間経過の概念を与えたのが、状態ではなく、もろに時間を経過させてしまうため、入浴するときの采女を映し出してしまったのだ。

  

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・20『アンとお彼岸・2』

2018-09-24 14:02:08 | ノベル

アンドロイド アン・20

『アンとお彼岸・2』  「彼岸花」の画像検索結果

 

 

 冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して振り返る。

 

 連休三日目、二度寝から目覚めると昼に近いので、朝飯をジュースだけど済まそうと思ったのだ。

 で、振り返ると、リビングのテーブルの上に仏壇が存在している。

 え、ええ?

 不信心な我が家には仏壇が無い。

 アンが珍しがるので、いっしょに行ったスーパーで仏さんのお花を買った。

 まあ、珍しい花束くらいに思って、アンは花瓶に生けて喜んでいた。

 その仏さんのお花が、テーブルの上の仏壇の中で本来の位置を占めて役割を果たしている。

 

「ね、その方がいいでしょ」

 

 不思議がっていると、いつのまのかアンが立っていて、自慢げに鼻の穴を膨らませている。

「でも、どうしたんだよ、この仏壇?」

「納戸にあったカラーボックスに黒い紙やら貼っつけたの」

「そーなのか……お釈迦さんの掛け軸とかは?」

「ダウンロードしてカラーコピー。他のパーツもカラーコピーのペーパークラフトだよ」

 

 そう言われてみると、鶴の形の蝋燭立てや香炉はCGのポリゴンみたくカクカクしている。ペーパークラフトじゃ丸みは出しにくいもんな。

 チーーーン

 手前の鈴を叩いてみると、しっかり金属音だ。これは?

「町田さんの奥さんにいただいたの」

「町田さんに?」

「うん、宗派とか分からないでしょ。それで、お仏壇見せていただくついでに聞いたら『うち浄土真宗だから真似するといいわよ。そうだ、仏壇屋さんにもらった鈴があるから、これあげる』って、いただいたの」

 町田夫人と聞いて、悪い予感がした。

 

「うわーー、すごい。まるで本物のお仏壇じゃないの!」

 

 開け放したサッシに町田夫人の姿。直で庭の方からやってきたんだ。

 町田夫人とは適当な距離を置いておきたかったんだけど、アンは無頓着なようだ。

「専光寺さん、こっちこっち!」

 専光寺? え? ええ?

 

 なんと、町田夫人に誘われて本物の坊主が現れた。

 

「うちにお参りに来てもらったついでにお願いしたのよ🎵」

「は、はあ」

 オタオタしているうちに、町田夫人も坊主もリビングに上がり込んで、仏壇の前で、にわかの彼岸法要になってしまった。

「過去帳は?」

「とりあえず、お祖母ちゃんのを用意しました」

 アンは、半紙を半分にしたのに『釋明恵』と書いたのを鈴の横に置いた。

「しゃくあきえ?」

「しゃくみょうえと読みます。お祖母さんは門徒だったんですか?」

「はい、両親の代でやめてしまったみたいで」

 坊主の問いに、アンはしっかり答える。

「それなら、正式の法名ですなあ……できたら、お写真とかあったら、拝みやすいですが」

 お祖母ちゃんの写真なんかはお爺ちゃんちだ。うちには無いぞ。

「パソコンで検索したんで、こんなのしかないんですけど……」

 アンが差し出したのは……若すぎる。

 お祖母ちゃんは、セーラー服のお下げ髪だ。

 

「出身高校の集合写真から拾ってきたんです。いいですか?」

「ハハ、宜しいでしょ。それでは……」

 町田夫人も加わって、我が家のお彼岸法要が始まった。

 

 アンは行き届いていて、ちゃんとお布施まで用意していて「あっちゃん、若いのに行き届いてるわねえ」と町田夫人に感激された。

 お寺さんのお参りなど初めてで、粗相があってはいけないと思い、俺とアンは玄関を出て前の道路まで見送った。

「なんだか、とっても良いことしたような気になったわねえ」

「ああ、そうだなあ」

 アンには振り回されてばかりだけど、今日のことは素直に喜んでやれる。

 

 リビングに戻ってビックリした。

 

「ほんとうに、どうもありがとうね」

 

 ソファーに座ってお礼を言ったのは、集合写真の姿のまんまのお祖母ちゃんだ!?

「あ、え、えと、えと……」

「実は、昭雄くんフッて浩一くんと付き合おうと思ってたんだけど、こんな素敵な孫ができるんならって……決心できたの。本当にありがとう」

 そう言うと、若き日のお祖母ちゃんは、アイドルみたいにニッコリ笑って消えて行った。

「よかったね! 浩一くんてのと付き合っていたら新ちゃん、存在しなくなるとこだったわよ!」

 

 こいつ、計りやがった?

 

 

☆主な登場人物 

  新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

 

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・19『アンとお彼岸・1』

2018-09-21 14:32:13 | ノベル

アンドロイド アン・19

『アンとお彼岸・1』

 

 

 あの花は何ていうの?    「彼岸花」の画像検索結果

 

 路傍の花に目を止めて、アンが聞く。

 揃ってスーパーへの買い物の途中、交差点を曲がったところの空き地にホワっと咲いた赤い花を見つけたんだ。

「彼岸花」

「え、花がひがんでるの?」

「ちがうよ、お彼岸の頃に咲く花で、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)ともいう。あれが咲くと秋なんだなあって思うわけよ」

「へえ、新一って詳しいんだ、これからは博士ってよぼうか!」

「ハハ、たまたまだよたまたま」

 

 そう言って、思い出した。

 

 柄にもなく彼岸花を曼殊沙華と言う別名込みで覚えていたのはお祖母ちゃんが教えてくれたからだ。

――新ちゃん、あのお花、知ってる?――

 祖母ちゃんが指差した花を見て、ドキッとしたのは保育所のころだ。

「ううん、知らない」

 正直に答えた。名前どころか、赤い触手がホワっと開いて獲物を待っているような様子に、子ども心にもビビったもんだ。

――お彼岸の頃に咲く花でね、あの花が咲くのはご先祖様が戻って来るってお知らせなんだよ――

 そう教えてくれた祖母ちゃんは、その年の暮れに逝ってしまった。

 俺一人置いて海外で仕事ばっかやってる両親は、いたって不信心で、伯父さんがやった法事にも顔を出さない。

 だから、彼岸花の記憶は祖母ちゃんの思い出もろとも記憶の底に沈んでいた。

 

「わあ、お花が増えてる」

 

 スーパーの入り口付近が小さなフラワーコーナーになっていて、言われてみれば陳列されている花が豊富になっている。

「地味な花束がある」

「ああ」

 それは菊を中心にコンパクトにアレンジされた花束で、親譲りの不信心者にも分かる。

 仏壇にお供えする仏花、いわゆる『仏壇のお花』だ。花束ではあるんだが、どうにも陰気臭い。

 その奥の花のアレンジメントが目に入った。

 バスケットに青や紫、ピンクの花がアレンジしてあって――お水に気をつければ三週間もちます――と書いてある。

 

 そして買ってしまった。

 

 まあ、バアチャンのことを思い出したのも縁だろう。

 仏壇もないことだし、仏花よりは、これだろうと思ったわけだ。

 

 レジを済ませて思った。

 アンのやつ、俺にお彼岸とか祖母ちゃんの思い出させるために、わざと花の名前を聞いた?

 だよな、アンのCPUはネットにリンクしているし、独自のアーカイブを持っているフシもある。

 彼岸花を知らないわけはない。

 そっか、そうやって、俺のことフォローしてくれてるんだ……ちょっとだけ胸が熱くなる。

 

「ね、あの花は何ていうの?」

 

 また、空き地の花を指さしやがる。

「彼岸花、さっきも言ったろーが」

「え、そうだっけ?」

 

 キッチンで感電してから、ときどき具合が悪い。

 アンドロイドの認知症か?

「失礼ね!」

 こういうことは口にしなくても反応しやがる。

「アハハハ……」

 

 二人して笑ったが、俺たちのお彼岸はこれからだったのだ……。

 

☆主な登場人物 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

 町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

 町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

 玲奈    アンと同じ三組の女生徒

 小金沢灯里 新一憧れの女生徒

 赤沢    新一の遅刻仲間

 早乙女采女 学校一の美少女

 

 

 

 

 

 

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・18『ちかごろのアン』

2018-09-16 14:34:38 | ノベル

アンドロイド アン・18

『ちかごろのアン』

 

 

 ちかごろアンの様子が変だ

 

 P音事件はアンを弄ろうとした早乙女采女たちが最終的には赤っ恥をかいた事件で、日ごろ采女たちを快く思っていない者たちは溜飲が下がった。

 アンは数ある被害者の一人として、いわば脇役の位置だが、俺はアンの仕業だと思っている。

 学校に置き勉を認めさせたのは、親友の赤沢や俺たち生徒有志の願いが通じたということになっているが、ヒントをくれて方向付けをしたのはアンだ。

 先日の台風では、カーポートで顔の右半分を血まみれにするというアクシデント。それを目にした町田夫人が卒倒してしまったが、ほんの数十秒で顔を直し、庭の八つ手の葉っぱが貼りついて町田夫人が見誤ったということに修正した。

 

 どうにもアンの狙いが分からない。いや、アンのスペックそのものもよく分からない。

 もっと突き詰めれば、なんで俺の家にやって来たか、そもそものところで分かってないんだけど、聞いても答えない、いや、アン自身もよく分かってないんだろう。

「ちょっと、なにわたしのお尻ばっか見てるのよ」

 掃除機のスイッチを止めたかと思うと、振り返って吸い取り口を向けてきやがった。

「そ、そんな、見てねーし」

「わたしの視覚器官は目だけじゃないのよ、どこにあるかは言えないけど、新一の安全を図るために日夜センサーを働かせてるの。あ、見たことを咎めてんじゃないわよ。見たけりゃいくらでも見せてあげるけど、昼間のリビングというのはねえ……ここ、町田夫人の二階の窓から丸見えだし。夜まで待ってくれたら、ベッドの上でいくらでも……」

「バ、バカ、なに言ってんだ」

「ハハハ、照れた新一カッワイイ~!」

「お、俺はだな~!」

「分かってる、わたしのこと心配してくれてたのよね……これはセンサーじゃなくて、その……以心伝心的な、ほら、言うじゃん『忍ぶれど色に出にけり……』だっけ?」

「ちょっと違うと思う」

「ま、だけど、ザックリそういうことだから。あ、いっけな~い、もう、こんな時間!」

「なんかあんのかよ」

「あした敬老の日でしょ、町田夫人に頼まれてるのよ、福寿会のお手伝い……なに、ボサっとしてんのよ、新一も手伝いにいくんだから!」

「え、俺もか?」

 急き立てられるようにして福寿会の過剰であるコミュニテイーセンターに向かう。

 

 この準備で、アンはお皿二枚を割って、花屋の注文書の3と書くところを8と間違えてハラハラさせてくれる。

 目が離せないが、ご町内の明るい働き手というポジションを獲得しつつある。

「いやー、すいませんドジばっかで💦」

「失敗したときが一番かわいいから、始末が悪いわねえ(^_^;)」

 冷や汗をかきながらも、町田夫人はアンといっしょにやることを楽しんでくれているようだ。

 ま、しばらくは見守ることにしようか。

 

☆主な登場人物 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

 町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

 町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・16『アンと俺と台風・3』

2018-09-13 14:12:57 | ノベル

アンドロイド アン・17

『アンと俺と台風・3』

 

 

 ヤバイ!

 

 ひとこと叫ぶと、アンは家の中へ駆け戻った。

 この状況に卒倒しなかった俺は褒められていい。

 たぶん、アンがアンドロイドだということを知っていたから、顔の右半分がパックリ割れて、目玉がドロリと唇の横まで垂れ下がっても、ヤバイと叫んだ口の中に目玉が入っても、入った目玉が耳元まで裂けて、閉じ切らない口と言うか裂けめの中で飴玉のように転がっても、卒倒はしなかった。しなかったどころか、卒倒した町田夫人を抱きとめて「おーい、アン!」と声を張り上げる余裕さえあった。

 むろんスプラッター映画のデモを突然突き付けられたのと同じショックはあったけど、頭の芯の所が覚醒していた。

 

 ウンショ。

 

 見かけよりも重い町田夫人がずり落ちないように揺すりあげた時にドアが開いた。

「ごめんなさい、これでノープロブレムだから」

 戻って来たアンの顔は元に戻っていた。

「その顔……」

「それより……」

 アンは、暴風のためカーポートの隅に吹き寄せられている八つ手の病葉(わくらば)を手に持った。

「起こして」

「う、うん。町田さん、町田さん」

 声を掛けながら揺すると「う~~ん」と二度ほど唸って気が付いた。

「あ、あたし……アンちゃん……」

「大丈夫ですか、町田さん?」

「え、ええ……アンちゃんの顔?」

「風で八つ手の葉っぱが飛んできて貼りついたんです、突然で、わたしもビックリして」

 そう言いながら、右手の病葉をクルクル回して見せた。

「あ、あーなんだ。アハハ、わたしったら見っともない。ごめんなさいね、こんなオバサン介抱させちゃって」

「いえ、お怪我とかなくってよかったです」

「あ、それじゃ、くれぐれも気を付けてね」

 そう言い残すと、メガホンをギュっと握りなおし、ヘルメットのストラップをキリリと締めて町内の見回りに戻っていった。

 

「新一が卒倒してれば……」

「ん?」

「あ、なんでもない」

 

 ピークに差し掛かった台風の為に、アンの呟きを聞き逃した俺だった……。

 

 

☆主な登場人物

 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・16『アンと俺と台風・2』

2018-09-10 12:31:25 | ノベル

アンドロイド アン・16

『アンと俺と台風・2』

 

 

 ビル風というのがある。

 

 道の両側が高いビルとかになっていると、その狭くなった空間を風が吹き抜けるので倍以上の風速になるってやつだ。

 そのビル風の数倍数十倍の威力になったような突発的な暴風が吹く。

 普段は意識しないんだけど、俺んちの前と後ろ。それぞれ通り二つ隔てて三階建てと十階建てのマンションがある。

 けっこう距離が空いていてビル風現象が起こっているとは思わないんだけど、暴風ははっきりとビル風現象を増幅させている。

 ブオーーービュッ!ビュッ! ブオーーービュッ!ビュッ!

 いかにも絶賛増幅中という暴力的な風音。

 ボン!

 キャ!

 特大の風船が破裂するような音が響き、アンがしおらしい悲鳴を上げる。

 破裂音にもビックリしたが、アンの悲鳴にも驚く。アンがうちに来て以来悲鳴を上げるのは初めてだ。

「大丈夫か!?」

 思わず肩を抱いてしまう。アンを気遣いながらも、男らしい庇い方だと自分の行動に胸が、ちょっぴりだけど熱くなる。

「う、うん、ちょっとビックリしただけ」

 寄り添うと、微かに震えている。

 な、なんだ、この小動物みたいな可憐さは?

「ちょっと様子を見てくる」

「あぶないよ!」

「大丈夫、二階の出窓から見るだけだ」

 

 見に行って驚いた。

 

 カーポートのアクリル屋根が一枚割れて、二枚が千切れかけてバタバタしている。

 あれがぶっ千切れたら、ご近所の窓やら壁やらに突き刺さって大変なことになる。

 ちょっとビビったけど、軍手をはめて外す決心をする。

「アンはうちの中に居ろ!」

 そう言ったにもかかわらず、アンは健気にも手伝いに出てきた。

 

 あなたたちーーーーだいじょーーーーーぶーーーーー!?

 

 風下の方から風混じりの声がした。

 町田夫人がヘルメットにメガホンを持って近所の様子を見て回っているのだ。

 日ごろお節介なオバサンだと思っていたが、さすが自治会長の嫁、緊急時には遺憾なく観周りをされているようだ。

「アクリル板を取ったら中に入ります!」

「待ってなさい、手伝うわ!」

「「あ、ありがとうございます!」」

 二人そろって声をあげた時だった……

 

 バン!!

 

 一瞬猛烈な風が吹いて、千切れかけていたアクリル板が吹き飛んだ!

 ウグ!

 くぐもった悲鳴がした。

「大丈夫かアン!?」

「大丈夫だよ……」

 言葉に反して、アンの顔右半分はパックリ割れて生体組織が血まみれで露出し、目玉がドロリと垂れ下がっているではないか!

 

 キャーーーーー!

 

 悲鳴をあげて卒倒したのは、カーポートの傍まで来ていた町田夫人だった……

 

☆主な登場人物

 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・15『アンと俺と台風・1』

2018-09-06 14:10:03 | ノベル

アンドロイド アン・15
『アンと俺と台風・1』

 

 

 久々の大型台風だった。

 

 だったと、テレビとかで言ってるけど、十七年の人生経験しかないので、比較対象になる五十年前の台風を知ってるわけじゃない。

 でも、我が家的には未曽有の被害を被ったので、実感としては『大型台風』そのものだ。

「新一、雨漏りしてる!」

 アンが指摘したのは、警報が出て臨時休校が決まって二度寝を決め込もうと思った時だ。

「雨漏り?」

「どこが漏ってる?」

「さあ……でも漏ってる音がする」

「音があ?」

 耳を澄ますが俺には聞こえない。アンはアンドロイドなんで聴力とかの五感も優れているんだろう。

「場所も分かったりしないのかあ、アンドロイドなんだからさあ」

 そうボヤいたのは、二階の天井を見過ぎて首が痛くなった時だ。

「だって、ナチュラルモードなんだもん」

「え、そんなの初めて聞いたぞ」

「新一を甘やかさないためのプログラム、自分じゃ解除できないの、ごめん」

 可愛く手を合わせやがる。

 これをやられると何も言えなくなってしまう。俺んちに来た頃はやらなかったから、学習したか、俺に合わせたプログラムが起動したか。

 三度目の天井観察をやって発見した。

 雨漏りはクローゼットの中だった。クローゼットの外は外壁で、外壁はそのまま屋根とくっ付いている。どうやら、その接合部分に横殴りの雨が吹きつけたんだろう。幸い雨水は壁を伝っているだけで、床や中の衣服を濡らすには及んでいない。

「とにかく服を出すぞ!」

「は、はい!」

 可愛い声で腕まくりなんかしやがる。

 んしょ んしょ……

 眉をヘタレ八の字にして衣装ケースを運ぶところなんか、まさに非力な女子高生だ。町内運動会での怪力発揮を知っているので――なにをブリッコしやがって――なんだけど、あやうく萌えそうになる自分が情けない。

「天井にどんどん広がってくよ~」

 オフホワイトの天井に年輪のようなシミが広がっていく。いっそ落ちて来れば鍋や洗面器で受け止められるんだけど、為すすべがない。

「屋根上がって直すしかないかなあ」

「だめよ、この暴風雨のさ中に!」

「だよな……あ、滴り始めた」

 水平に見える天井でも僅かに凹凸があるんだろう、そこに集まった雨水が数か所で滴り始めた。

「なんとかしようよ新一」

 けなげに空き缶で漏水を受けるアン。なんとかしてやらねばと腕を組む。

「よ、よし!」

 閃いた俺は、古いバスタオルを出して、いちばんひどいところに吊るした。

「あ……すごいすごい!」

 バスタオルに吸引されて、天井の漏水は一か所に集まり始めた。あとは、バスタオルの限界を超えて落ちてくる雨水を洗面器に受けるだけだ。

 滴る雨水は、やがて洗面器にリズムを刻み始める。

 ピタン ポチャン ピタン ポチャン

 二人で体育座りして、雨だれの音を聞く。

 外は暴風雨のさ中なのに、とても穏やかなひと時になった。

 

 しかし、台風は、これでは収まらなかった……

 

☆主な登場人物

 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

 町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

 町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

 玲奈    アンと同じ三組の女生徒

 小金沢灯里 新一の憧れ女生徒

 赤沢    新一の遅刻仲間

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・14『文科省通達』

2018-09-03 15:46:55 | ノベル

アンドロイド アン・14
『文科省通達』

 

 

 置き勉してもいいんだってよ!

 

 嬉しそうにスマホの画面を示して、赤沢が目をへの字にする。

 遅刻の常習犯で、成績も振るわない親友だが、どことなく人に愛されるのは、こういうところだろう。

 なにか珍しいものや面白いことがあると、率先してみんなに広める。

 時にスカタンもやるが、みんなで面白がることが無上の楽しみである。

 いわばグローバルなイチビリがみんなに愛されている。

 その赤沢の新発見に、教室のみんなが目を向ける。

「この時期に置き弁したら、弁当箱メッチャ臭くなるぞ」

「その置き弁じゃねえ。クソ重たい教科書とか勉強道具を置きっぱにしてもいいという文科省のご通達だ!」

「「「ええ、なに!?」」」

 興味を持った数人が赤沢の画面を見て、それぞれ自分でググり始めた。

 

「……なんだ、小学生対象じゃないの」

 

 玲奈が重要ポイントを指摘してスマホを置いた。

 玲奈もアンも、なんとなく市民権を得て、食堂以外の昼食をうちのクラスでとるようになってきたんだ。

「んなこたねーよ。小学生に認められて高校生に認められないってのはおかしーよ」

「そーよ! いまでも一応黙認はされてるけど、学年とか先生によっては『持って帰れ!』ってうるさくなることあるもんね」

「あ、それ矛盾感じてた! 置きっぱでいいなら矛盾とか思わなくっていいし」

「そもそも、持って帰れって言われなくて済むし!」

「そーよそーよ、通学カバンなんて電車の中で肩身狭いもん!」

「そーそー、部活のジャージとか道具とかもね」

 クラスのみんなが不満を並べ始めた。

 

「「「置き勉してもいいように学校にかけあおう!」」」

 

 赤沢が投げた石は大きく波紋を広げていった。

 

「ちょっと新一」

 アンがオイデオイデをするので後を付いて廊下に出る。

「こっちこっち」

「つぎ、こっち……」

 あちこちの教室を周って勉強道具を集め、かなりの量になったところで保健室に向かった。

「ちょっと体重計借りま~す」

 二人で持った勉強道具を秤に載せる……体重計の針は11キロを指している。

「こんなに重いんだ!」

「それに、すごくかさ高いでしょ」

「これは、赤沢の言う通り、置き勉を認めてもらわなきゃな!」

 俺も赤沢教の信者になりかけた。

「そこじゃないのよ」

「どういうことだよ?」

「見てよ、英語だけでも辞書が二種類、文法と構文の副読本で3.2キロ」

「だから置いといたほうが楽だろうが」

「違うの、こんなに要らないのよ。和英辞典とか文法や構文とか、ほとんど使わないでしょ」

 

 そう言えばそうだ。

 入学時や新学年でいろいろ買わされるけど、使わない者が多い。

 

「教科の先生が、てんでバラバラにあれもこれも必要だって言うからこうなるのよ。販売時期も何度にも分かれるし、こうやって重さとか確認したことが無いのよ」

「それって……」

「根本的に減らさなきゃならないのよ」

「おまえ、アッタマいいじゃん!」

「さ、赤沢くんに言ってやって、わたしから聞いたって言わないでね」

「お、おう」

 

 結果、俺と赤沢の共同提案ということで先生たちに申し入れ、勉強道具というかアイテムの見直しが始まった。

 P音事件と言い置き勉のことといい、アンは、なにか方針転換を始めたような気がするんだけど……。

 

 

☆主な登場人物

 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

 町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

 町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

 玲奈    アンと同じ三組の女生徒

 小金沢灯里 新一の憧れ女生徒

 赤沢    新一の遅刻仲間

 早乙女采女 学校一の美少女

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