大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

劇団息吹 55周年記念公演『夢の裂け目』

2013-11-30 18:55:02 | 評論
劇団息吹 55周年記念公演
『夢の裂け目』


 作:井上ひさし 演出:坂手日登美

 井上ひさしの、まろく、かろく、転がりようの違う球体を歌と共に転がしたような音楽劇でした。

 難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く……井上ひさしの面目躍如たる作品でした。
 お話は、一言で言えます「紙芝居のオッサンが、キリスト教の伝道師になるまで」であります。

 いわゆる東京裁判三部作の第一作で、終戦直後の話であります。
 東京のベテラン紙芝居屋のオッサン田中天声が、自分の名作の狸の紙芝居が、東京裁判のあり方とよく似ている……いや、そっくりであると、仕事仲間とのかかわりで気づき……その前にGHQから検察側の証人として呼ばれ恐々として出かけ、市ヶ谷の東京裁判所で紙芝居の実演まで、やることになります。そのことが新聞に取り上げられ、紙芝居の売り上げも人気も信じられないくらいのものになり、有頂天になります。

 そして、気づくのです。東京裁判は日本とアメリカの馴れ合いで、戦争責任を軍部とA級戦犯たちのせいにして、一般国民や天皇は関わりが無かった。そういう茶番劇であると。
 そして、天声は、大学などに呼ばれ紙芝居を続けます。

 これが、GHQの逆鱗に触れ、天声は逮捕されてしまいます。しかし、仲間の応援や(この仲間の作り方は「十一匹のネコ」を思わせてくれるほど人物の彫りが確かで、面白く書けています)GHQの検察官の女性秘書ミドリの共感などで、懲役を免れます。十年後、元々キリスト教の伝道師であったミドリと結ばれ、仲間達とともに明るく楽しい路上説法をしているところで幕になります。

 息吹さんの、この芝居は、井上ひさしの狙いを、ほぼ正確に再現し、音楽や道具など、独自の工夫をされて、55周年記念公演として、まずまずご成功されたのではないかと思います。ラストの観客の暖かい拍手……それは、時には手拍子にもなりました。耳の不自由な方のための字幕スーパーにも共感できました。

 わたしが観たのは30日のマチネーでした。

 暖房が心地よかったことと、十数曲流れる劇中の音楽、特に歌が上手く、日頃の昼寝の時間と重なったこともあり、瞬間居眠りしてしまいました。気づくと周辺でも船を漕いでいる人が何人か居られました。

 あえて、この芝居の欠点をあげるなら、この歌です。関西二期会のご指導もあり、どの役者さんも上手に歌っておられましたが、いささか多用しすぎ、ドラマの展開軸まで歌にしてしまったのは、どうだろうかと思いました。

 井上ひさしは劇作家として大先輩で『ひょっこりヒョウタン島』のころからのファンでもあります。
 おそらく、戦争を実体験しているか、いないかの差だと思うのですが、井上ひさしの日本に対する思いだけは共感できません。
 あの大東亜戦争が、軍部や一部の戦犯のせいではなく、普通の日本人みんなが背負わなければならない。
 ここまではいいのです。天皇陛下に戦争責任があり、日本という国のナショナルポリティー(流行りの言葉で『国のかたち』)を否定していることには同調できません。
 明治憲法を見ても、天皇は内閣の補弼のもとに政治判断や行動をするのであって、アカラサマに天皇が個人の意志を押し通すことはできません。諸外国の主権者たる国王や皇帝に比べ、決定権は無いのです。
 例外は、ニニ六事件と、ポツダム宣言の受諾だけで、いずれも政府や内閣が統治・決定能力を喪失したときのみです。

 なんだか揮発性の高い話になってしまいましたが。息吹さんの観客席と舞台の暖かさは貴重です。観客席を見てもオールドファンがいっぱいいらっしゃいました。わたしも息吹さんの芝居は30年。途切れはありますが見続けてきました。55周年、おめでとうございました。



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℡045-714-1471   
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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『はなとゆめ』

2013-11-29 07:56:35 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『はなとゆめ』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです。


と言うて白泉社の漫画雑誌ではありません。沖方丁の小説です。

 清少納言と その主人、藤原定子中宮の心の触れ合いを描いたお話しです。清少納言と言えば“枕草子”の作者、彼女がいかにしてこの“枕草子”を執筆に至ったのか……それを詳しく小説にしてあります。  前に告白したように、私、日本の古典は苦手であります。古語ですらヤバイのに ここに詩歌がからんでどこが“いとおかしいのか”なんざ サッパリです。ところが当代随一のストーリーテラー沖方丁にかかると解ったような気分になれることこそ“いと おかしけれ”ってなもんです。
 最近、「天地明察」以前の沖方原作アニメをWOWOWでやっとります。一発目はフランス革命前夜、そらサンジェルマン伯爵が出てきたり、ロベスピエールが魔術師まがいだったり……随分自由な発想なのですが、見る者を物語世界に引っ張り込んでいきます。
 本作も同じく、平安時代の宮廷物語、当時の文化の最先端にいた人々が何を面白いと感じたのか。正直、読み始めは戸惑いましたが、定子中宮に侍り始めた清少納言が徐々に慣れていったように、読者たる私も少しずつ慣れて行きました。と、言うよりは、日本人の文化が他人に対する思いやりの文化であってみれば、最低限その事に同意できれば この物語に入り込めるのは日本人であれば当たり前なのです。  清少納言が唯一の主人、最愛の主人と思い定めた中宮に捧げる想いが理解できるならば、それは間違いなく日本人である証拠であります。

 清少納言はこの時代の女性としては、有り得ないハッチャケタお姉さん風に描かれる事が多いのですが、例え“ハッチャケ姐御”に見えたにせよ、その内面には様々な想いがあったのだよ各々方というお話しであります
 えらく現世離れした王朝絵巻な小説ではありますが、通して感じるのは人に対する思いやり。清少納言の定子中宮に捧げる思いやりは全人生をかけたもの、これは今の日本人から消えかけている想いかもしれません。
しかし、この物語からそれが読み取れるならば、我々の深層に同じ想いが有るからだとおもいます。読まれた方は何を感じられるのでしょうか?


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高校ライトノベル・まどか 乃木坂学院高校演劇部物語第二章全公開!

2013-11-28 07:25:12 | 小説
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語
第二章全公開!『第二章 アンダースタディー』
     
           

 この第二章は、部分公開でしたが、昨年アップロ-ドしてから、好評で、たくさんの方々にアクセスしていただきました。そこで、出版した第二章を全部公開いたしました。この二章には、この物語のエッセンスが詰まっています。もし、全編を読んでやろうという方がいらっしゃいましたら、お近くの書店でお取り寄せいただくか、AMAZONなどをご利用ください。または最後に示しました版元の青雲書房に直接お申し付けください。
 
  読者のみなさまへ    大橋むつお



その夜、わたしは寝床でスマホを手に悶々としていた。
悶々って「もだえ苦しむ」って意味だけど、もだえてはいなっかった。じっと仰向けになってスマホとにらめっこ。でも心はもだえていた……でもって、ラノベくらいしか読まないわたしのボキャブラリーでは、この表現が精一杯。


 なにを悶々としていたかというと、「観客動員」なのよね。
コンクールの観客って、手の空いた出場校や、出演者の友達、家族程度。まちがってもコンビニでチケ買ったり、ネットで予約してくるお客さんなんかいないのよね。
 だいたい、入場料そのものとらないんだもん。とったら、それこそ誰も来なくなる。甲子園の「高校野球大会」はアルプス自由席でも五百円の入場料をとっている。高校生のお芝居だって、三百円くらいはとってもいいんじゃないかと、乃木坂で演劇部やってると思うんだけど(それだけ、プライドと自信はあるのよね)
でも、他の学校は、どうかすると学芸会。とても、お金とって他人様にお見せできません。
 で、マリ先生のご命令で、一ヶ月も前から各自観客動員に力を入れている。
 わたしも主だった友達なんかにはメールを送りまくった。

 でも、リハの夜になってもメールを送りかねているヤツが一人……。

 わたしの元カレ、大久保忠友……。
 アイツとは、去年の秋、あらかわ遊園でデートして以来会っていない……。
受験をひかえた去年の秋、久々に「デートしようぜ」ってことになり、互いにガキンチョのころからお馴染みのあらかわ遊園。
 都電「荒川区役所前」から、九つ目があらかわ遊園前。お互い小学校の遠足で来て以来。ガキンチョに戻ったようにはしゃいでいた。都電の中でも、遊園地の中でも。
 互いに意識していたんだ、このデートが特別なものになる予感……それが嬉しくって、怖くって、はしゃいでいた。

 彼とは、中二のときに同じクラスになり、いっしょに学級委員をやったのが縁。二人ともお祭り騒ぎが大好き。で、クラスのイベントは二人で企画して意気投合。意識したのは、文化祭の取り組みで一等賞をとったとき。実行副委員長をやっていたはるかちゃんが表彰状を読み上げてくれた。実行委員長の先輩が、閉会式の直前に足をくじき、はるかちゃんが代読。
「……よって、これを表します。南千中学文化祭実行委員長 山本純一。代読五代はるか。おめでとう……」
 幼なじみの顔になって、はるかちゃんが表彰状を渡そうとしたとき、突然いたずらな風が吹いてきて、表彰状が朝礼台の前で舞い上がった。
「あ、ああ……」
 慌てた忠クンとわたしは、表彰状を追いかけてキャッチ……そして、お互いもキャッチ……つまりね偶然のハグ……ってか、モロ抱き合っちゃいました。それも、なんという運命のいたずら。互いのクチビルが重なってしまった!
 わたしにとって……多分アイツにとっても、ファーストキスは何百人という生徒と先生たちの公衆の面前で行われたのよね(アセアセ……)

 で、その時も、二人の顔は至近距離にありました。
 観覧車の、わたしたちのゴンドラがテッペンにきて、なんとなくスカイツリーの絶景に目が奪われた時だったのよね……。
「……オレ達、恋人にならないか!?」
「え……あ、あの……」
 この突然には予感があったんだけど、イザとなったら言葉が出ない。
「オレは青山の修学院、まどかは乃木坂だろ、別れ別れになっちまうしさ……」
「う、うん……」
「だから、この際はっきりと……」
 わたしは「恋人」という言葉で、文化祭のときの、あの感覚がクチビルに蘇ってきてとまどった。
 わたしは、せいぜい「卒業しても、いっしょにいよう。つき合っていこう」ぐらいの言葉しか予感していなかった。
 忠クンの告白は、スカイツリーの絶景と共に、わたしの心に突き刺さった。
うつむいて、言葉を探しているうちにゴンドラは地上に着いた。これが他の、もっと大きい大観覧車だったら、わたしも、それなりのリアクションできたんだけどね……。
 観覧車を降りると、なんだかみんなが二人のことを見ているような錯覚がした。順番待ちをしていたクソガキが「あ、アベック! アベック!」なんて言うもんだから、わたしは大急ぎで、気の利いたつもりで、こう言ってしまった。
「キミの名前と同じくらいでいようよ」
 彼は、わたしから「キミ」などという二人称で呼ばれたことないもんだから、コワバッて聞き返してきた。
「キ、キミの名前って……」
「自分の名前忘れたの?」
「え、ええ……?」
「大久保忠友クン」

 あらためて言っとくね、ヤツの名前は「大久保忠友」ここで、ピンときた人はかなりの歴史大好きさんです。
 そう、ヤツは大久保彦左衛門の子孫。彦左衛門の名前は正確には「忠教」で、代々の大久保家では、男の子の名前に「忠」の字がつく。そいでヤツは「忠友」ってわけ。
偉い人の子孫に織田信成ってフィギュアースケートの選手がいるのは知ってるわよね?
 彼はオチャメな人で、ご先祖の織田信長さんが「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」って言ったのをうけて、「鳴かぬなら、それでいいじゃんホトトギス」と言ったとか。ヤツには、そんなウィットがないもんだから「え、ええ……」になっちゃうわけよ。だから、わたしも言わずもがなの解説しちゃったわけ。
「大久保クンは忠友でしょ、タダトモ!」
 これ、なんか携帯のコマーシャルにあったなあと、そのとき頭に……ヤツの頭にも浮かんだみたい。
「ただの友達か、おれたちって……」
「……うん」
「そうか……」
 わたしたちは、意味もなく黙って園内を歩いた。
――そんなシビアな反応しないでよ。わたしはヤツの背中をにらんだ。

「あ、コスモス……」
 植え込みに、遅咲きのコスモスが一輪。わたしは機転を利かして、そのコスモスを手折った(われながら、ミヤビヤカだと思ったのよね)
「これ……」
「植え込みの花とっちゃダメだろ」
「いいじゃん、一つぐらい」
「で、なんだよ。この花?」
「コスモス。家帰って、ネットか辞書で調べなよ!」この唐変木!
 わたしは一輪のコスモスを不器用に持てあましているヤツを置いて、さっさとゲートをくぐり、一人で都電に乗って家に帰った
 コスモスの花言葉はね、「乙女の愛情」なんだぞ……。
 結局「日付、時間、芝居のタイトル、フェリペの場所」だけをメールで、ヤツに打った。


 ドーン! と、晴れ渡った秋空に花火は上がらなかったけど、城中地区の予選が始まった。全てが順調だった、その時までは……。
 私たちの乃木坂学院は、抽選で、出番は二日目の大ラスになっていた。部長の峯岸先輩だけは初日から全ての芝居を観ていた。峯岸先輩は三年がみんな引退した中ただ一人、現場に残ってくれた。特別推薦で進学が確定していたからでもあるけど、次期部長に決まっている舞台監督の山埼先輩に、部長としての有りようを示すため。
 初日の朝、わたし達は乃木坂の講堂で、最後のリハをやった。午後は実行委員の仕事として割り当てられていた舞台係と、受付をやった。潤香先輩は、カワユク受付……と、思いきや、がち袋を腰に、ペットボトルを太ももにガムテープで留め(バラシのときに出る釘や、木っ端なんか、要するに舞台上に残った危ない小物を拾うため)長い髪をヒッツメにして働いていた。バラシの最中、K高校のスタッフが声をかけないで、三六の平台を片づけようとして、二人で担架のように担いでいた。木っ端を拾っていた先輩がちょうど立ち上がり、その平台の横面に頭をしたたかに打ちつけた。
「アイテー! だめでしょ、もの動かす時は声かける!」
「すみません」
「でかいタンコブができちゃった……気をつけてよね!」
 他校の生徒でも、エラーには手厳しい。K高校のスタッフは、二人揃って頭を下げ、そのあと上目づかいにこう聞いた。
「すみません……あのう、乃木坂の芹沢……潤香さんですか?」
「え、ええ、そうだけど……」
「ウ、ウワアー! ホンモノだ!」ポニーテールが叫んだ。
「わたしたち、去年の『レジスト』観て、感動したんです!」カチューシャも叫んだ。
「あ、それは、ドモ……」潤香先輩は戸惑った。
 K高の二人のテンションは高く、ミニ握手会。で、写メを撮って、メアドの交換までやった……ところで、マリ先生の声が飛んできた。
「そこ、なに遊んでんの!?」


 二日目、昼一番の芝居が終わると、部員全員楽屋に招集された。予定より二時間も早い。
「先生、なにが……」
「全員が揃ってから……」
 山埼先輩がつぶやいた。

「潤香が倒れた」

 全員が揃うと、マリ先生は組んだ腕をほどきもせずに冷静に告げた。
「今朝、家を出ようと、玄関で靴を履こうとして……今は、意識不明で病院」
「え……」
 あとは声も出ない、遠く彼方を飛ぶ飛行機の無機質な音が耳についた。
「わたしは、これから病院にいく。で、本番のことなんだけど……」
 そうだ、三時間先には本番……でも、主役の潤香先輩がいなっくちゃ……。
「選択肢一、残念だけど今年は棄権する」
 そりゃそうでしょうね。みんなうつむいた……そして、先生の次の言葉に驚いた。
「選択肢二、誰かが潤香の代役をやる」
 みんなは息を呑んだ……わたしはカッと体が熱くなった。
「ハハ、無理よね。ごめん、変なこと言っちゃって。ヤマちゃん、地区代表の福井先生に棄権するって、言っといて。トラックは定刻に来るから、段取り通り。戻れたら戻ってくるけど、柚木先生、あとをお願いします」
「はい、分かりました」
 副顧問の柚木先生の言葉でスイッチが入ったように、山埼先輩とマリ先生が動き出し、ほかのみんなは肩を落とした……で。

「わたし、やります!」クチバシッテしまった……。

 みんながフリーズし、山埼先輩はつんのめり、マリ先生は怒ったような顔で振り返った。
「まどか、本気……?」
 柚木先生が、暴言を吐いた生徒をとがめるように言った。
「…………」
 マリ先生は地殻変動を観察する地質学者のように沈黙して、わたしの目を見つめている。
「わたし、潤香先輩に憧れて、演劇部に……いいえ、乃木坂に入ったんです。コロスだけど、稽古中はずっと潤香先輩の演技見てました。台詞だって覚えています。動きも、こっそりトレースしてました。潤香先輩のそっくりショーやったら優勝まちがいなしです!」一気にまくしたてた。
「上等じゃないのよさ……その目、入部したころの潤香そっくり。小生意気で、挑戦的で、向こう見ず。心の底じゃビビッテるんだけど、もう一人の自分が、その尻を叩いている……やってみなアンダースタディー(この意味はあとで言います)」
「ほんとですか!?」
「まどかは、潤香よりタッパで三センチ、バストは四センチ、ヒップは二センチちっこい。ウエストはまんまで衣装補正。本番までに一回、台詞だけでいいから通しておくこと!」
マリ先生は、わたしの肉体的コンプレックスを遠慮無く指摘。
「バーックション!」
 気合いを入れたときのクセというか、発作というか、トレードマークのクシャミ一つして、楽屋を去っていった。

 スカートの丈を少し補正しただけで、衣装の問題は解決……させた。
 衣装係の、今時めずらしいお下げの、かわゆげな一年のイトチャンは、こう言った。
「バストの補正って大変。なんだったら『寄せて上げるブラ』買ってこよっか?」
「これで問題なし!」
「だって……」
「先生の指摘は、目分量。そんなに違いはないのよサ!」
 と、胸と見栄を張って、おしまい。

――ただ今より、乃木坂学院高校演劇部による、作・貴崎マリ『イカス 嵐のかなたより』を上演いたします。ロビーにおいでのお客様はお席にお着きください。また、上演の妨げになりますので、携帯電話は、スイッチをお切り頂くようお願いいたします。なお上演中の撮影は上演校、および、あらかじめ届け出のあった方のみとさせていただきます。それでは……あ、神崎真由役は芹沢潤香さん急病のため、仲まどかさんに変更……。

 客席に静かなどよめきがおこった。張り切った見栄がしぼんでいく……。
 本ベルが鳴って、嵐の音フェードイン。緞帳が十二秒かけて上がっていく……。
 サスが当たって、わたしの神崎真由の登場。
「わたし、あなたのことなんか心配してないから」
 最初の台詞。自分でしゃべっている気がしなかった……潤香先輩が降りてきて、わたしの口を借りてしゃべっている。
 中盤まではよかった、そういう錯覚の中で芝居は順調に流れていった。
 でも、パソコンの文字入力をワンポイント間違えたように、微妙に芝居がずれてきた。
 勝呂先輩演ずる男の子を張り倒すシーンで、間尺とタイミングが合わなくなった。
 パシーン! という派手な音がして、勝呂先輩はバランスを崩し、倒れた。ゴロゴロ、ザーって感じでヌリカベの八百屋飾りの坂を舞台鼻まで転げ落ちた。
一瞬間が空いて、立ち上がった先輩の唇は切れて、血が滲んでいた。
あとは覚えていない。気がついたら、満場の拍手の中、幕が降りてきた。
 習慣でバラシにかかろうとすると、舞台監督の山埼先輩に肩を叩かれた。
「なにしてんだ、主役だぞ。勝呂といっしょに幕間交流!」

客電が点いた客席は、意外に狭く感じられた。みんなの観客動員の成果だろう、観客席は九分の入り(後で、マリ先生から七分の入りだと告げられた。そういう観察は鋭い。だれよ、スリーサイズの観察も正確だったって!?)
 観客の人たちは好意的だった。「代役なのにすごかった!」「やっぱ乃木坂、迫力ありました!」なんて上々の反応。中には専門的な用語を知ってる人もいて「正規のアンダースタディーとしていらっしゃったんですか?」てな質問も。わたしも一学期に演劇の基礎やら専門用語は教えてもらっていたので、意味は分かった。
 日本のお芝居ではほとんどいないけど、欧米の大きなお芝居のときは、あらかじめ主役級の役者に故障が出たとき、いつでも代役に立てる役者さんがいる。本番では別の端役をやっているか、楽屋やソデでひかえている。
「……いえ、わたし、潤香……芹沢先輩には憧れていたんで、稽古中ずっと芹沢先輩見ていて、そいで身の程知らずにも手を上げちゃって」
 そのとき、客席の後ろにいた人が拍手した……あ、あいつ……!?
そのあと、スタンディングオベーションになって、ヤツの姿はその陰に隠れた。その刹那、赤いジャケットを着たマリ先生が客席の入り口から入ってくるのが分かった。
 その姿は遠目にも思い詰めたようにこわばっているのが分かった。

 いったい何が起こったんだろう……。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『かぐや姫の物語』

2013-11-25 07:33:11 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『かぐや姫の物語』



信じられないアニメ世界です。

 絵柄が素朴だとか言うような範疇ではありません。デッサン画にそのまま色を付けたような絵です……なんぞと書くとイージーな仕事だとお思いでしょうが さにあらず。
 静止画なら別に気にしないのですが、これが動画として動くとなると話が別です。炭で描かれたように見える画の外縁が全くブレていません! 一体どんなテクニックなのでしょうか? 背景は男鹿さんの久方振りの見事な仕事、キャラクターは その背景に溶け込み一切違和感がありません。CGの細密画像に慣れた目にはホッとさせられる解放感があります。と言って昔のアニメタッチではありません、これは全く新しい世界です。
「かぐや姫」の映像化作品はたくさん有りそうで これが殆ど有りません。市川崑/沢口靖子の物が有るだけです。
 日本最古のファンタジーで、日本人には超馴染みのお話し、物語に変更メスは入れにくい。結果、超豪華セット、絢爛豪華な衣装、絶世の美女(個人的には沢口靖子を美人とは……)的映画にしかならない。
 今作では「何故かぐや姫が日本にやって来なければならなかったのか」という根源的にこの物語が持っている謎に一定の答を与え、かぐや姫の幼年期を膨らませてあります。これが後のかぐや姫の悲しみに深く繋がっていきます。
 サブタイトルにある「姫の犯した罪と罰」……どんな罪に如何なる罰なのか? 小さい時から絵本で親しんではいましたがこの物語に感動した事はありません、今回初めてかぐや姫の内実に触れました(当然 高畑勲解釈ですが) ラスト泣いている方も大勢いらしたようです。
 もう一つ、見ていて思ったのが「こいつは“アルプスの少女ハイジ”の日本古典バージョンやなぁ」って事で、言うなれば高畑勲の「ジブリ史」が詰まっている作品だという事です。
 ただ……私、どうも高畑勲さんとは感性がズレとりますようで、理解も感情移入も出来るんですが、感動がストレートに入って来ない、ストーリーテリングにしつこいものを感じてしまうんですわ。
本作はアフレコ(画が先にあって声をいれる)ではなくブレスコ(先にセリフを録音して画像を合わせる)を採用しています。世界的にはブレスコが主流(役者の拘束が短く、ギャラの節約になる)ですが、日本ではまだアフレコの方が多い。作画がとても困難だったらしく(声合わせを別にしてです)、それならアフレコにした方が良かったんじゃないんだろうか。ここにズレの原因が有りそうです。
 いや、言い訳ですわ。まぁ、おかげで亡くなった地井武男さんの声が聞けるんですから文句つけたら怒られます。 黙ります、このブツブツは忘れて下さい。

 映像は“芸術品”と断定いたします。必見作品でありますゾ!


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『エンダーのゲーム』

2013-11-17 08:25:24 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『エンダーのゲーム』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです。


エンダーを読み終えた今、WOWOWで「バンビ」を見ています。70年前のアニメにここまで感動するなんて……思ってもいませんでした。
“エンダー~”は30年前、オースン・スコット・カードによって書かれたSFで、いまだに続編が続いています。これを原作にした映画(ヒューゴのエイザ・バターフィールド主演、小型のジェレミー・レナーに見えます)が全米公開中、日本では来年公開です。
 この話、日本のゲームや漫画(恐らく進撃の巨人を指しているんでしょう)に影響を及ぼしたとか言われとりますが、発表が70年代初頭ならいざ知らず、85年発表の本作に日本のSFが影響を受けたなど有り得ません。
 未来、地球は「バガー」という未知生命体から攻撃を受ける。第一次攻撃は偵察程度、後にやって来た第二次攻撃は本格的植民を狙っていた。ギリギリの土壇場で地球人類はバガーを撃退するが、来るべき第三次攻撃を邀撃出来るかは絶望的だった。
 人類は先制攻撃するべく次々宇宙戦艦を建造、順次発進させている。趙空間航法は未だに実現していない、初めの攻撃隊は70年前に発進している。
 バガー(“バグ=虫 蟻が進化した思えば良い……ハインラインの「スペース・トゥルーパー」モ虫形宇宙人が敵、発表はハインラインが先)はテレパシー能力があり、一個体の記憶も経験も瞬時に全個体に平均化される。テレパシー能力に距離の影響は無く、例え銀河の両端にいようとも瞬時に意志疎通できる。人類はバガーの研究から機械を使ってテレパシーと同様の通信が可能になっている。 地球艦隊はバガーの繁殖本星まで後5年の距離にまで到達しているが、戦闘の総指揮を取る指揮官がいなかった。10年以上前から養成されてはいるが、絶対間違いないと確信出来る人材は見つからない。5年前、エンダー・ウィッギンという“6歳の少年”に白羽の矢が立った。エンダーは天才であり、通常の6歳ではないが本質は子供である。そして、その子供を11歳になるまでに非情な艦隊指揮官に仕上げなければならない。
 ここからエンダーのあまりに過酷な演習がスタートする。物語はエンダーの養成学校入校からバガー母星破壊までを描く。
 バガーに勝つにはバガーの心理を理解しなければならず、その為にはバガーとの精神的同化が必要であると言うことと、指揮官はバガー母星宙域に居らずとも通信で指揮できるというのが重大設定。
 ここまで言うと、慣れたSF読者には本作のストーリーはバレルでしょう。物語の底に、異形に対する無理解、問答無用の排他性が流れています。
 人類が虫形宇宙人に出会って、まず理解しあおうという精神状態になるか? まぁ、あきまへんやろね。肌の色が違う、宗教が違うだけで殺し合うのですよ、我々は……バガー達にしてみれば、この宇宙に思考力を持つ生物は自分達だけだと考えていた。文明らしき物を持っている人類にせよ、テレパシーを持たない醜い生き物に過ぎなかった。
 エンダー・ウィッギンは艦隊指揮官であると共に、人類唯一のバガー理解者となり、それが彼を絶望の淵に追いやる事となる。
 さて、なんで冒頭に「バンビ」の話をしたのか?
 森で育ったバンビが母に初めて草原に連れられた時、そこは危険な場所だと教えられる。 そこには人間という秩序破壊者がいて、森のように身を隠すすべがないからです。バンビに人間の姿は登場しませんが、銃声が追ってくる、火の不始末で山火事になる。人間てのはろくな存在じゃない。70年前から人間の存在はそのように描かれて来ました。エンダーは その頭脳と進化から人類以上の存在になっている、宿敵バガーですら“種の存続”をエンダーに託す。コーマック・マッカーシーが人間の本質が“悪”だと告発するなら、SFは人類の種からも“善”の芽はでるのだと主張する。ただ、絶対的力を持ち得なければ、その善は無力だとも……その意味では本作の結末もコーマック・マッカーシーの結論も一致しているのかもしれません。
 子供が主人公ですから、ジュビナイル的な印象を受けますが、ネビュラ/ヒューゴ両賞をとった立派なハードSFです。人間がこの世界で最高位の捕食者(プレデター)であるのは、捕食する身体的実力を持つからではなく(実力からみれば人間は依然として獲物に過ぎない)歪んだ思考力と精神性によるのです。数あるプレデターの中で共食いするのはチンパンジーと人間だけなのですから。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『悪の法則』

2013-11-16 06:26:08 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『悪の法則』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。

原題“THE COUNSELER” 弁護士っちゅう意味です。
サブタイトルに“SIN IS A CHOICE”なぁんて意味ありげに付いています。脚本はコーマック・マッカーシー、例によって「人間の本性は悪だ」とさけんどります。
 毎度思いますが、ようまぁこんだけ“救い”の無い話ばっかり書けますねぇ、この人の過去に何が有ったのでしょうか。兎に角、余りの凄まじさに背筋が凍りつきそうであります。「ノーカントリー」に登場した悪魔の如き殺し屋(ハビエル・バルデム……今回も出演してますが、可愛い?役所)に比肩出来る、まさしく悪魔の如き存在もいます。
 コーマック・マッカーシーの解りにくさとテーマ性が嫌われるのでしょう、アメリカでも2週間でランクから消えそうです。本作のラストの意味は解釈のしようで3つに別れます。誰と誰がどの様に組んだのか一切明かしてありません、物語は大きな謎を残したまま終了してしまいます。考えようによっては続編ができそうですが……コーマック・マッカーシーの過去作品がそうであったように、本作もこれで完結していると見るべきでしょう。
 本作から教訓を得るならば、それは具体的な暴力を持たぬ者が“悪”に手を染めるなって事でしょう。裏をかえせば、力さえあれば何をやってもいいんだと成ります。この人の本は何冊か読んでいますが、そうとしか解釈できません。“人間存在は基本的に残忍で邪悪”という世界観に貫かれています。
 まぁ“悪”を賛美してはいないのですが、“悪”の本質を見誤った者は、自らも また 最愛の者までも悲劇に巻き込むという真実を語っている(最大善意に解釈して)という事です。
 この恐ろしい物語をスクリーンに乗せるのにマイケル・ファスベンダー/ペネロペ・クルス/キャメロン・ディアス/ハビエル・バルデム/ブラッド・ピット…もの凄い顔ぶれが集まっています。キャラクターを書くとストーリーに触れてしまうのでやめますが、本作 キャメロン・ディアスが断然ピカイチです。彼女を見るだけで本作を見たかいがありました。一人の女優が、全く新しい可能性を見いだした現場に立ち会えます。 毎度の事で、コーマック・マッカーシー作品(またリドリー・スコットが余すところなく映像化しています)は観客を選びますが、役者が全力でぶつかり合う作品です。何をくみとるかは人それぞれでしょうから、その点及び作品に描かれたアメリカの姿について押し付けはいたしませんが、この映画は是非ご覧下さいと敢えて申し上げます。多分にサディスティックな企みを含みながら……。


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高校ライトノベル・魔法科高校の優等生・5『銀行強盗』

2013-11-12 14:38:39 | 小説
魔法科高校の優等生・5
『銀行強盗』
        


 ノドチンコが見えそうなマスターの大あくびが閃きだった。

「マスター、MS銀行に強盗が入る」
「なんか感じたんかい?」
「うん、ちょっと行ってくる」
「五時半までには片づけてきてなあ」
「十分、楽勝よ」

 そう言って麗奈は、バイト先の志忠屋を後にした。
 店を出て八秒ほどで、大通りに出る。角を曲がると交番がある。その隣が地下鉄の出入り口、その隣がMS銀行である。

 店の自動ドアを入った瞬間に銀行の案内係の制服になった。首からは行員のIDカード、髪は緩いヒッツメ。
 案内係で立っていた女子行員に声を掛ける。
「ご苦労様、交代よ」
「あ、よろしく」
 これで、この銀行の行員全員に魔法がかかった。全員が麗奈を仲間だと認識した。

 閉店間際の二時五十五分にそいつらは現れた。全部で四人。服装は量販店で買った作業着、ヘルメットの下にはグラサンにデカマスク。ゴルフバックから本格的な小銃を取りだした。米軍のM1カービンだ。旧式だが、小型で操作がしやすく、いかにも強盗向きだ。ご丁寧に銃剣まで付けている。

「全員、手を頭の後ろで組んで、窓口係、デスクの者は机から五十センチ以上離れろ!」
 リーダーらしき男が、マスクをずらして叫んだ。ノドチンコが見える。
――ああ、これが閃きだったんだ――
 強盗達は慣れていた。リーダーの叫びの直後、天井に向かって五発連射した。天井パネルやら照明器具の破片やらが落ちてきた。行内に悲鳴が響いた。
 銃を入れてきたゴルフバックをカウンターに放り込み、命令した。
「このゴルフバッグいっぱいに金を詰めろ。変な真似をしたら、天井と同じ目に遭うぜ」
 主任らしき男が、カウンターに札束を積んだ。
「なめんじゃねえ、こんなはした金じゃなくて、金庫から出せ。一分以内にやらなきゃ、一人死ぬことになるぜ」

 ここまでやらせれば十分だろう。

「お客様、まずお客様カードをお引きになってお待ち下さい。順番がまいりましたら、担当の窓口の者が声をかけさせていただきますので」
「言われた通りにしろ!」
「はい、上司から言われた通りにいたしております」
 麗奈は、あくまでも銀行スマイルで応対した。
「この女(あま)舐めやがって!」
「舐めるだなんて、そんな……不衛生なことはいたしかねます」
「くそ!」
 そいつは、銃剣で麗奈の胸を深々と刺した……ように見えた。
 銃剣はゴムになってしまい、麗奈の胸元でグニャリと曲がった。
「な、なんだこれは!?」
 麗奈は、銃口に指を突っこんだ。
「次は銃を撃つんでございましょ。どうぞご遠慮なく」
「舐めんな!」
 男が引き金に指を掛けると、銃本体が弾けて一杯の花びらが散った。
「な、なんだこりゃ」
「なかなか見事なお手並みでした」
 麗奈は拍手してやった。
「オンナ、ふざけてねえで、手を頭の後ろで組め!」
 ボスが叫んだ。
「それはマニュアルにございませんので、見本をお見せ願えますか?」
「こ、こういう風にだな……」
 もう一人が、銃を置いて見本を示した。
「あ、あれ……」
 手が後頭部にくっついて動かなくなった。
「どうも形がもう一つでございますね。リーダーの方もご一緒に」
 すると、リーダーも銃を手放して、頭の後ろで手を組んだ。
「さすが、リーダー。小笠原流でございますね。では、お三方、跪いていただけますか」

 三人は、捕虜のようになった。

 銀行の前で車が急停車した。迎えの仲間の車である。ドアがロックされて開かない。アクセルを踏んでもビクともしない。

 仕上げに麗奈は、監視カメラのメモリーから、自分の姿を消去した。

「あ~あ、もうちょっと派手にしてもよかったなあ。犯人さんを花だらけにしてあげるとか」
「仕事は、地道にコツコツと……」

 マスターの呟きで、志忠屋のディナータイムが始まった……。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『清須会議』

2013-11-10 09:06:17 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『清須会議』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


また三谷幸喜にやられました。
 本作はコメディではありません。まぁ確かに、コメディとは言うて無かったですわな。しかし、最近のテレビ宣伝出演時、それとなくコメディっぽい臭わせをしていたし、出演者横一列にならばせてのインタビューを聞いていれば 間違いなくこいつはコメディだと思っても仕方ないですよね!〓 原作にしてもそうです。あれは小説として書かれたのではなく、明らかに映画脚本第一稿のト書きをモノローグに換えて出版された物です。書評を送った方には「大したこと無い」と送ったはずです。そらそうですわなぁ、しかしなんか腹たちまんなぁ。これで映画の出来が悪かったら今頃大荒れなんですがぁ……悔しい事に(?)よう出来た映画でありました。
 傷が有るとすれば、多少クドく感じる部分がある事……か? 脚本と監督が同一人物であり、尚且つ編集も三谷であってみれば これは仕方ないんでしょう。映画監督の仕事としては、前作「ステキな金縛り」で開眼したのだと思います。 ただ、作家・監督・編集のバランスが作家寄りなんだと思います。作家としたら総てを盛り込みたい欲求が強いでしょうからね。
 三谷映画の常で、キャストは豪華の一言、今回 秀吉/大泉洋、勝家/役所広司、丹羽長秀/小日向文世がただただ見事の一言。
 前田玄以/でんでん、三法師の母 松姫/剛力彩芽も印象的……他の役者さんにもクレームはありません。大体、皆さん楽しそうに演じとられとりまして、そりゃもう見ていてビンビン伝わって来ます。
 コメディではないと言いつつ多少のくすぐり……ちゅか、ある種 コメディを名乗ってもいいんじゃないかと思える位 笑いの要素は含んでいます。しかし、それ以上に清須に集った織田家関係者の人間模様、神経戦の描写が丁寧に作り込まれており、集中はそちらに向かう。物語は史実に添って進む、史実を知っていても それを生きた人間が再現(演じると言うより、再現という方がシックリくる)するので歴史に血が通う。なかなか
にスリリングな映像になっています。
 勿論、登場人物の心理は作家三谷の虚構ですが、圧倒的にリアリズムを持っています。

 兎に角、今回二重三重に三谷幸喜にしてやられました。見事な一本でした。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『キャリー』

2013-11-09 06:41:34 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『キャリー』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内にながしているものですが、もったいないので転載したものです。


スティーブン・キングの処女作のリメイクです。
 前作はブライアン・デ・パルマ監督 シシー・スペイセク主演でした。物語の底には、キャリーが母によって押し込まれる階段下の小部屋=祈祷室=安全な場所(母にとって)=子宮。豚と血とカーニバルのシンボライズが流れているが、これは止めておきます。ちょっと嫌悪感剥き出しの解説になってしまいますから。
 S・キング原作の映画化作品は既に40本を越えています、その中で 今 何故キャリーなのか?
 製作者サイドはキャリーに込められたテーマの普遍性を語っており、前作から37年後 現在のキャリーを作りたかったと述べています。結果、ハッキリ言って焦点のぼやけた映画になっていました。
 シシー・スペイセクのキャリーはブス(女性方 ごめんなさい)で引っ込み思案の典型的な苛められっ子。その周囲に有るのは陰湿な悪意のみ。逃げ込むべき我が家は狂的宗教原理主義者の母が支配している。
 キャリーには自分の殻を打ち破る意志も力も無い。そのギリギリまで押し込められた状況の中、プロムナイトで受けた仕打ちによって 彼女は異形の怪物へと生まれ変わる、その破壊は相手かまわず、無慈悲に襲いかかる。
 対して本作は、S.N.S.でイジメが横行する現在の話である、クロエ・グレース・モレッツのキャリーは母の支配から抜けようと反抗する今の時代のハイティーンである。
 どうやら、この設定からボタンが掛け違っている。クロエが悪い訳ではない。彼女は実に見事に脚本と演出の要求を満たしている。未だ16歳だなどと信じがたい演技力です。母を演じたジュリアン・ムーアも演技派の実力を遺憾なく発揮している。
 となると、製作者の表現方法に誤りが有ったと言うことになります。前作に有った、アメリカのスモールタウンのいやらしさ・閉鎖性。渦を巻くような悪意。血まみれの残虐と転倒したカタルシス……これらが後退しています。前作が、アメリカンゴシック(18世紀末)の流れを引くスプラッタホラーであったなら、本作は思春期ホラーとでも言えそうです。 幾分おどおどしながらも普通の高校生であろうと努力するキャリーには、ちゃんと見ていて評価・理解する視線が周りに有る。
 だから、惨劇の場においても自分にとっての敵・味方を識別する。制御不能の怪物ではない。 青春の悲劇ストーリーにしたいがために、肝心のキャリーの悲しみ・怒りの深淵を埋めてしまっている。 この物語の最重要シーンはプロムナイトに有るのではなく、家に戻ったキャリーと母の対峙にあります。その前段でキャリーが異形の怪物に成りきっていなければ、ラストの悲しみが観客の胸に届きません。監督は「ボーイズ・ドント・クライ」のキンバリー・ピアース、女性監督ならではの目線を至るところに感じますが、ホラーの作法より 自らのこだわりを優先しすぎたのだ
と思われます。このテーマで撮るならキャリーのリメイクではなく、オリジナルにするべきでしたね。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『WOWOWで新撰組』

2013-11-06 07:25:59 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『WOWOWで新撰組』


 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


58年の東映「新撰組」を見ました。
 意外に歴史、政治史に忠実に描かれています。確かに、鞍馬天狗は出てくるし、近藤勇の視野は後の歴史を見越して、リベラルではありますが、それらを飲み込んだ上で男の生き様を様式美にのっとって描いてあります。必ずしも史実に忠実に、リアルにという要請には背を向けています。
 池田屋襲撃、史実として近藤は一番に斬り込んではいませんが、片岡知恵蔵演じる近藤は真っ先かけて斬り込むのです。近藤が斬り倒す勤皇の志士十名、当時池田屋に集った志士は三十数名、内1/3を近藤が叩っ斬る! それでええんです。この時、池田屋に集まった志士達は、京に放火せんとした馬鹿野郎共、新撰組が犯した間違いは、この時殺しすぎた事、1/3も生け捕れば違う局面も出たかもしれない。しかし、それは後の歴史を知る者の傲慢な見方です。
 いわゆる大御所芝居(片岡知恵蔵/大友柳太郎/東千代の介)で各キャストの見せ場を重ねてあるのですが、その周囲の歴史的経緯は正確です。現在作られるいかなる時代劇よりも現実の歴史に敬意が払われています。
 思うに、ロードショー当時の日本人の教養は幕末の状況を知悉していて、その上で映画の虚構を楽しんでいたのでしょう。そういう観客に向かって余りに荒唐無稽な作品は作れなかったのだと思います。
「仁義なき戦い」が空前絶後のヒットだったのも本当の話だったからです(作中の人物に存命中……例えば、門広組長や羽谷組長など……さわりが大きすぎるため描け無かった部分もありますが) 本当の話に勝るものはないのです。
 この「新撰組」は、薄い記憶の中では、史実ぐちゃぐちゃな作品という印象だったのですが、ほぼ50年振りに見返してみると、なんともリアルな作品で有りました。片岡知恵蔵さんが色っぽいのは毎度の事として、山形勲の土方や大友柳太郎の月形半平太も見応え有り……なんつっても判ってはいただけないですかね〓 旧作邦画の歴史エンタメ作品は見直す必要ありですね、私のような そろそ
ろ老年にさしかかる者は、無理としりつつも若い世代に、こういった作品の意味を伝える義務があるのかも知れませんねぇ〓


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高校ライトノベル・『タキさんの押しつけ時事放談』

2013-11-04 06:33:34 | エッセー
 『タキさんの押しつけ時事放談』

これは悪友の映画評論家・滝川浩一が身内に流している時事放談ですが、もったいないので転載したっものです。


4チヤンネル NEWS23で近い将来880ミリバール(ヘクトパスカルとか最近言う)の台風が日本を襲うとか、風速80-90メートルだそうですわ、地球温暖化のせいだそうです。
 毎年、この時期になると(国際気候変動会議が年末に開催される)4チャンネルト6チャンネル辺りで繰り返し報道される。ほんとに地球的気候変動危機なら、なぜ、一年中警鐘を鳴らさないのか 一年の内、年末に近づいた今、思い出したようにこういう報道が繰り返されるのか。もういちいち反証するのも面倒くさいのだけど、こんなもん異常気象だと言い募れば儲かる輩の世迷い言である。880ミリバールも、風速80メートルも90メートルもあり得るでしょう。よっぽど悪条件が整えばこんな前代未聞な台風が日本に上陸する事だってあり得るでしょう。しかし、それは彼らが言うように地球温暖化のせいではありません。
 未だに騙されている人が多いので、再度言わせてもらいますが、地球は現在間違いなく寒冷化のルートに乗っています。
 たしかに、人類が産み出した炭酸ガスのせいで、ここ100年ほどは温暖化状態にありますが、千年スパンで見れば間違いなく間氷期の中間を過ぎて寒冷化の坂道を滑り落ちているのです。アメリカの大統領なり損ないのアル・ゴアが言い出して(不都合な真実)から世界的大騒ぎになっていますが、事実無根なのは、ほぼ証明されています。
 中国の大気汚染は問題ではありますが、全地球的には何の問題もありません(隣の韓国や日本にとっては影響大ですけどね) その昔、ロンドンが霧(要するにスモッグ)の都だった当時、フランスは風向きから影響なかったのですが、スエーデン/ノルウェーには影響が有ったと言います。今ほど大気汚染の意識が強くなかったので国際問題にはなりませんでした。

 もういい加減こんな馬鹿げた嘘話しにのるのは辞めましょう。

 ゴミの分別収集で意味があるのは新聞紙(段ボールは内装用/外装用を分別しないと意味がない)とアルミ缶だけ。ペットボトルを始めとするプラ系ゴミを分ける事に意味は全くない。 話もどりますが、空前絶後の台風が日本に上陸するなんぞといいだすのは、決まって今頃からです。11月ともなれば台風が日本に来ることはありません。つい最近まで台風報道に一喜一憂していたから、その延長上で真に受けてしまうのです。毎日/朝日のメディア全てではないだろうが、どうもこの二つには胡散臭さが漂う。社内に左翼の生き残りがまだまだ相当いるのでしょう。左翼が全て悪だとは言いませんが、自らの言い分を通すためにはデマも辞さずと言うのが昔からの体質なので、左翼言辞と言うだけで聞く気が無くなります。まぁ私の偏見もありますから、全面的に押し付けはしませんが、新聞やテレビのニュースを無批判に受け入れるのは絶対に辞めたほうがいいと思います。メディアの流している情報の8割はデタラメかミスリードするための広告です。昨今 大問題になったオスプレイにしても、旧式ヘリコプターに比べれば、よほど安全な機体です。 オスプレイが飛んだら2機に1機は墜落するくらいに思わされていますが、そんなことは全くありません。反戦平和を唱える気持ちを否定はしません。だからと言って嘘八百を並べても良い事にはなりません。
 話が逸れましたが、地球温暖化は近年のトレンドではありますが、新聞がいうほど深刻な問題ではありません。どうか、自ら調べて真実を知っていただきたい……と切に願っています。

 先日、河野談話の元になった政府聞き取り調査(旧朝鮮人慰安婦聞き取り)が、まるっきりデタラメだと資料が明かされました。 朝日新聞は北朝鮮帰還運動時の「北朝鮮は労働者の天国」報道を誤報と認めていないし、中国文化大革命を「中国で歴史的偉業が進行中」と書いた反省も書いていない。ほんとに判っていただきたい。私は「反動」と呼ばれようと「右翼」といわれようと一向にかまわない。ただ、私を「嘘つき」というならば、朝日新聞の確信的誤報はどういうのか、朝日新聞の報道が正しいと主張するなら……腹の底からそう確信するなら……そんな救いがたい馬鹿とは話にもならない。腹がたつならどっからなりとかかって来なはれ。いつでも相手になります。命の取り合いでもかまわんよ。そのかわり、きっちり名乗ってかかってきなさい。今時の左翼にそんな根性があるとは思えませんがね、闇討ち以外ようしまへんわな。さて、どないする 卑怯者の左翼諸君。現行政権を庇護する気も全くありませんが、左翼のデマゴギーは我慢の限界を超えています。左翼の中でも心有る人々、そのイデオロギーを一度降ろして、冷静に考えて下さい。お願いします。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『2GUNS』

2013-11-03 06:44:27 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『2GUNS』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


本来 昨日、これと“42”を見る予定でしたが、朝っぱらから大頭痛、今日に延ばして“42”は堪忍してもらいました。
 体調万全とは行かないものの、これ以上ワガママ(本来、この2本プラス“パーシー・ジャクソン2”“SPEC”をオファーされとりましたが、どちらも蹴ってますもんで)は、なんぼなんでも言えません〓

 重い頭を支えながら映画館に入ったのですが……ゲンキンなもんです、映画が面白かったので重い頭も軽くなって、現状 頭痛の再発も無し……いやはや、我ながら……〓
 さて、今作 ド派手なクライム・アクションです。原作小説があるかと思っていたのですが、またもやグラフィック・ノベル(漫画)が原作でした。
 アメコミと言えば派手なコスチュームヒーロー物しか無いイメージが強いのですが、現在 極少数ながら純然たる犯罪スリラーも存在するようです。
 元々、20世紀初頭から50年代に猖獗を極めたパルプフィクション(安物の探偵小説やSF、ポルノ)の影響下で誕生していますから、かつては様々なジャンルの作品が有りました。第二次大戦後 一気に広がったのですが、60年代に入る直前、「子供に悪影響を与える」ってんで焚書され、以降 勧善懲悪以外のコミックは一掃されてしまいました。
 これは、当のアメリカ人も認めていますが、アメリカンの単純お馬鹿の証明です。なんせ、中世ヨーロッパで焼かれた魔女容疑者よりも近代から現在に至るアメリカで魔女狩りに会った犠牲者の方が圧倒的に多いのですから、何をか言わんやであります。
 それはさておき、現在のアメコミに復活し始めたサスペンス/スリラー物は、かなり上質な作品が多いらしく(全く読んでません、なんせ1冊 高いっすから)同種の小説に引けを取らないそうであります。本作も小学館から2千円ほどで発刊されてるそうですから、興味のある向きはお手にしてみて下さい……尚、購入されたら是非ご一報を、貸してね〓

 漸く映画です。本作の目玉は、入り組んだ人間/組織関係の クンズホズレツストーリーですが、デンゼル・ワシントンがこの所定期的に取り組む悪役(トレーニングデイ/デンジャラスラン)と マーク・ウォールバークが取り組むコメディタッチ(アザーガイズ/テッド)が組み合わさっているってのが最大目玉です。面白い映画ってのは、脚本の出来、編集の巧みさなんかと同じように 何らかの“化学変化”が起きています。本作の化学変化は、まさに主役の二人が引き起こしているのです。  フリーランスの悪党ボビー(ワシントン)とスティグ(ウォールバーク)は最近コンビを組んだ。メキシコの麻薬ディーラー/パピ(E・J・オルモス/ブレードランナーでデッカードを連れにくる刑事……あの時はスリムだったのに)に偽造パスポートと引き換えにコークを貰う予定が現金を渡される、しかも もう一人組んでいた悪党は殺されて首に成っている。腹いせに(?)パピの貸金庫の300万$を狙って銀行強盗、犯行は見事に成功するが、金庫にあったのはなんと4300万$!! この金を巡ってDEA/CIA/NAVY/マフィアが絡んで二転三転、一体誰の金なのか、信じられるのは誰? 元々ボビーもスティグも何者? 謎は少しずつ明かされていくが、誰が信頼出来るのか、全貌を知る者は誰なのか、こいつが全く解らない。解らなきゃ全部集めてガラガラポンてなもんで大乱闘になる訳ですが、はて 誰が生き残って大金を手にするのか。
 ラスト、さすがの大迫力なのですが……これって、どこかで見たような……と思ったら「マチェーテ/R・ロドリゲス監督、来年2がある)」のラストにムードがそっくり。まぁ、本作の方がスマートですがね。
 他の共演者も多彩で、P・パットン(Mi:I)B・パクストン(楽しそうに悪役やってます)分かりにくいのがジェームス・マースデン、この人「Xメン」でサイクロップスをやっていた俳優さん、準主役なのにサングラスをしているか目をつぶっているか、さもなきゃ目から光線を発しているかで素顔が判らなかった、漸くメジャー作品で素顔オープン、なかなかのハンドサムであります。
 なかなか容赦の無い殺人シーンの連続で 「カタルシス」ってのとはちがいますが、これもアメリカ映画の一つのスタイル、子供に悪影響……なんぞと思うなら、大人だけで見に行って、くれぐれもスクリーンに放火などなさいませんように。お願い申し上げます。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『村上海賊の娘』

2013-11-02 07:22:13 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『村上海賊の娘』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が、個人的に身内に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです。


「のぼうの城」作者、和田竜最新刊です。

 織田信長が大坂(石山とも……後の大坂城になる場所)本願寺に退去を求めていた天正四年(1576年)、信長は天王寺などに砦を築き上げ兵糧攻めの体制にあった。陸路の兵站は切られ、本願寺に籠もった2万人弱の門徒達は飢餓に瀕していた。海路参戦する門徒達の運び込んでくるわずかな米だけが彼らの命を繋いでいた。門主・顕如は、上杉謙信に援助を請うと共に、西国 毛利に十万石の米を請うた。
 この時代背景を舞台に、伊予から本願寺に向け 瀬戸内海を行く門徒百姓衆、瀬戸内を支配する村上海賊、信長についた泉州武士と淡輪の海賊眞壁一族達の攻防を描く。
 
 毎度ながら、この人の描く小説はビジュアライズを意識して描かれており、読んでいて映像がまざまざと浮かび上がる。
 村上水軍には三家あり、能島・因島・来島の内 最大勢力の能島村上の娘/景姫(キョウヒメ…キョウサンと呼ばれる女性に強い人が多いと思うのは私だけ?)が主人公であり彼女の成長を追うのがメインストーリー。
 これも毎度の事ながら、和田さんの本の登場人物は主人公以外にも実に魅力的なキャラクターが配されている。名前の出てくる人物は総て主役かと思わせられる。私なんかは眞壁海賊の七五三兵衛(シメノヒョウエ)にゾッコンであります。巨漢の怪物、柄は悪い、がさつながら、何ともいえぬユーモアを持ち、生き方に芯を持っている。
 女性は景姫以外にもう一人登場するだけで、後は全員男ばっかり、景姫にしても男顔負けの女海賊だから……本作に女はいない……っつな事には成らんのであります。景姫ほど女の中の女はいない。男の読者は絶対彼女に恋してしまう。
 戦国エンタメとして文句なしの一作。歴史書として、海賊活劇として、戦国を生き抜く人々の物語として、様々な角度から楽しめる。決して読者を飽きさせず、巻を開くや一気に読まずにはいられない。
 笑いもふんだんに盛り込まれ、殊に大阪人には爆笑間違いなし。泉州武者の一挙手一投足、一言一句……こら笑わずにはおれません。底抜けのアホ、小狡い裏切り者~いろいろ出て来ますが、みんな魅力的で憎めない。
 泉州弁が見事に文字化されていますが、この表記が正しいとすれば当時の泉州弁は今より和歌山の方言に近かったようです、泉州武士と言うよりは“和歌山のおいやん”が大挙出演しているように感じます。
 知り合いに岸和田のアンチャンか和歌山のおいやんがいたなら、彼らの叫び声は無茶苦茶リアルで、下手な漫才裸足ですゾ。


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