大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

大阪放送劇団第57回公演『煙にまかれて五十年』

2013-10-26 20:45:17 | 評論
大阪放送劇団第57回公演
『煙にまかれて五十年』
    

 作:アンドレ・ルッサン  演出:西山辰夫 


 近鉄高安のホームに急ぐと準急が出たところでした。


 難波で、地下鉄に乗ろうとしたら、目の前で北千里行きのドアが閉まりました。

 汽車は行く行く、煙は残る、残る煙がシャクの種……という活動映画の弁士の名台詞がありました。
 実についていない放送劇団観劇行の始まりではありました。

 今の電車は煙は出ませんが、昔の蒸気機関車は、ホームに煙を残していました。

 その汽車の煙から、この作者は、このストーリーを一瞬で思いついたのではないかと思わせるようなホンワカ喜劇でした。

 舞台は、1960年代のパリ、シテ(中ノ島)に近い書店の経営者のロシア人妻ソフィアの部屋です。
 遠見にエッフェル塔とパリの街。部屋の調度は19世紀から、戦後のモダニズムのものまでありましたが、固定電話、内線電話から50年代~60年代と踏みましたが、当たっていました。
 中央に『プラダを着た悪魔』の映画でメリル・ストリープの編集長が座っていたようなごっついレザーの椅子があり、芝居が始まるとそこにメリル・ストリープを老けさせたような、ガウンのオバアチャン。『プラダ』なら、クルリと、こちらを向いて[Thats all]とカマスところですが、このソフィアバアチャンは、気弱く咳き込んでいます。
 そこに、亭主のエルネストがやってきます。「はいはい、いま来たよ」だったかな……。彼が妻の部屋に入るときの決め台詞があり。この家の住人は、このソフィアに気を遣っていることと、喜劇的な仕掛けが有りそうなことが分かります。
 ソフィアは、亭主の前でも家族の前でも、初恋の元近衛兵ロシア人コンスタンティンとの別れを切々、朗々と繰り返し語ります。
「あの時、汽車が入ってきたの。そしてホームに濛々と立ちこめる煙、ホームにいっぱいの人々……そこで思わず彼の手を放してしまったの。煙が薄れると、もう彼の姿はなかった。途方にくれる二十歳のわたし、懸命に彼の名を呼んでも、二度と彼の姿は見えなかった……」
 まるでシャンソンの間奏に入る美輪明宏の台詞ようで、喜劇的な演出をねらっているなあ、と思いました。
 その後の展開で、たまたまテレビに映っていたソフィアの姿を見つけ、そのコンスタンティン自身がパリにやって来ていることが分かり、ソフィアの様子はコロコロと変わります。

 ネタバレになるので、これ以上のストーリー展開については控えます。

 この芝居、途中の休憩を挟んで二時間ちょっとあります。
 最初は、なかなか芝居が観客席に届かず、反応していたのは、放送劇団のファンと思われる、前列から中央のお客さんだけでした。失礼ではありますが、自己解放や役の肉体化という初歩でつまづいているとさえ感じました。

 ところが、中盤に西山さんのコンスタンティンが出てきてから、観客のほぼ全員が反応するようになりました。
 西山さんは『部長刑事』のころからのお馴染みさんで、ベテランの役者さんです。舞台の西山さんは、実に20年以上見たことがありません。一瞬ヘタになったなあ……と思ったぐらいに動きや感情の変化が乏しいのです。でも、観客は、それ以前よりもよく反応し、役者同士のコミニケーションも実にうまくいくようになりました。

 ああ、芝居を捨てるというのは、こういうことか……と思いました。

 宇野重吉さんという新劇の神さまが、昔おっしゃっていました。
「10個演技をしたくなったら、8は捨てますね。どうかすると10個全部捨てます」
 演出を兼ねておられる西山さんは、まさに捨てることによって、ロシア人コンスタンティンの善良さ、棒状の人の良さ。そして、そうやって人の心に入っていく素朴さを実に良く出しておられました。あんなに力を抜いて人を笑わす役者さんに、久々にお目にかかりました。

 おそらく、演出にあたっても、役者に過剰な演技をすることを戒めてこられたのでしょう。

 フランス人がロシア人を見るときには、日本人が見るときと違った目があります。フランス中華思想というのでしょうか、一般にロシアのことをヨーロッパだとは認めません。フランスの外務省でロシアを扱うのはアジア局です。
 アンドレ・ルッサンという劇作家は、それを逆手にとって、人間を表現したのではないかと感じたぐらいです。
 フランス人の感性は一筋縄ではいきません。
 かつて、東西ドイツが統一されるときに、フランスの大統領は、こう言いました。
「わたしは、ドイツが大好きだ、それが二つある。一つになるのは寂しいね」
 そういうフランスの庶民の感覚となると、さらに分かりません。

 放送劇団は、うまく和訳されたと思いました。

 個人的な趣味ですが、芝居の作りが、パステル画のように淡く感じられました。もうちょっと印象派の油絵のように、単純さと明るさ、思い切りの良さがあればと思いました。

 ソフィアの増田さんは、わたしより若いはずで、すなわち西山さんとは親子ほどに年の差があると思うのですが、見事に西山さんの元恋人役で収まっておられました。


『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』        

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『グランドイリュージョン』

2013-10-26 07:15:06 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『グランドイリュージョン』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


なんも考えんと、考えるのは客席で見ながら。とにかく、今の仕事が終わり次第 映画館にダッシュ!

 以下、できるだけネタ割らんように気をつけますが、出来れば白紙で見て下さい。
 マジシャンの映画ってのは有りそうで案外少ない。比較的新しい所だと「プレステージ/C・ノーラン監督、H・ジャックマン他」とか「幻影師アイゼンハイム」とか……大体が20世紀初頭が舞台でゴシックファンタジー風でトリックは科学~的な物が多かった(プレステージはお薦め) 第二次大戦で、街のイリュージョンを作ってドイツ軍の夜間空襲を避ける……なんてな実話作品もありました。
 本作にもゴシックな味付けは有りますが、単にマジックにとどまらず、強盗・アクション・カースタント・推理~etc. 極上のアクションサスペンスに仕上がっています。
 主役は4人のストリートマジシャン、謎の人物に集められて“4HORSEMEN”としてデビューする。アメリカのショービズ界の仕組みが垣間見える。どんなマジックかは見てのお楽しみ、総てに多額の現金強奪が絡む。
 4HORSEMEN~てのは「黙示録の四騎士」でしょう、ということは 彼らの犯行は天罰なのか はたまた単なる泥棒なのか。
 マジックのネタは、直後に明かされる、但し、これは映像マジックではなく、実際にマジックネタを作って撮影されたのだという事です。多数のマジシャンが技術指導等で協力しています。キャストは自分の持ちネタマジックの指導を受けているそうであります。マジックシーンが極めてリアルなのは そういう努力の結果なんですねぇ。
 彼らのイリュージョンに絡めた大金強奪には何か裏がありそうです。社会正義なのか私怨なのか……ストーリーは重層化されています。このメールの読者には“耳にたこ”でしょうが、アメリカは自警国家です。「自分の身は自分で守る」の裏にあるのは「自分の恨みは自ら晴らす」という事です。さて、本作のイリュージョンは「社会正義(法秩序に拠らない)」なのか「私怨に
よる報復なのか」…これが見ながら推理する一点。 もう一点、4人を集めた黒幕(?)は一体誰なのか、これは真のターゲットが誰なのかと裏表のテーマです、もう怪しい奴だらけですが、後から思うと二つ目のイリュージョンで二人にまで絞り込めます……さて、貴方には見抜けたでしょうか?

 いやぁ、ドッと疲れました。絶対見抜いてやる積もりで画面の隅々まで凝視しとりました。お陰様で、製作サイドの仕掛けた罠に嵌められる事三度(何気に一瞬 画面上を横切る人物、「こいつや!」とガッツポーズするも……関係なし、やられたぁ) ある種のトリックが自分の考え通りだった、その直後に落とし穴があるので、これは私の思い過ごしではなく製作が意図的に挟んだ罠です。絶対!間違いない!………4人のマジシャンを演じたキャストの素晴らしさは目を見張りますが、中でもJ・アイゼンバーグ(ソーシャル・ネットワーク)W・ハレルソン(ラリー・フリント)に大注目!
日本じゃまだまだ無名ながらFBIディラン/マーク・ラファロ、IPOアルマ/メラニー・ロランにも今後目が離せない。 今作の見所が、M・フリーマンとM・ケインのぶつかり合い、両者一歩も引かずのど突き合い・蹴り合いであります。
 とにかく、冒頭からラストまで瞬きすらする間無し、さて どこまで集中できますやら。
 忘れちゃいけないのが、監督、脚本、編集、撮影の見事さです。久方振りに「これがハリウッドサスペンスじゃい!」と言える一本。隅から隅まで、ご堪能下さいませ~~~〓


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演劇集団ザ・ブロードキャストショウ Vol.35『Sadittarius』

2013-10-25 20:48:02 | 評論
演劇集団ザ・ブロードキャストショウ
Vol.35『Sadittarius


作:小鉢誠治    演出:鈴木健之亮


 二年ぶりの日本橋は、そぼ降る雨の中でした。


 恵美須町の駅を出ると、会場のインディペンデントシアターはおろか、自分が日本橋のどこにいるかも分からない変貌ぶりでした。時の流れと自分の記憶力の減退に、かすかに恐れを感じました。

 住居表示を目印に、かすかに残る記憶にすがり探していると……見落として五十メートルほど行きすぎてしまいました。戻ってみると幅一間ほどのところに芝居の匂いがしたので、覗いて見るとドンピシャでした。

 五十坪ほどの小屋の中、観客席は九段のヒナ壇に百席を……ちょっと切るかというぐらいのキャパ。
 舞台は間口四間、奥行き二間ほど。そこに複雑な階段状になった装置がありました。

 わたしは、いつも舞台の上手奥から、観客の反応ごと芝居を見るのですが、演出の鈴木君に見つかり「もっと、前で見いや」 で、三列ほど前に移動しました。
 
 芝居は、わたしが忘れた日本橋の風景をゆっくり思い出させてくれた道行きに似ていました。

 高校、大学のころ、スペースファンタジーやSFのスタイルを借りて、自分たちなりに「現代」と「現代を生きる自分」を表現しようとしていたことを思い出しました。

 ネタバレにならない程度に内容に触れます。

 ある国が戦争をしている野戦病院とも言えない洞窟(だと思うのですが)そこで、懸命に負傷兵の手当をするドールと言われるアンドロイドというか人造人間のドクのところに、従軍看護婦メフィスト……怖ろしげな名前ですが、とてもドジでチャーミングな女の子です。濃紺の制服に白いピナフオー(胸当て付きエプロン)ナースキャップに赤十字の腕章。どこかで見たことがある……と思ったら、ほとんどメンソレータムのパッケージの看護婦ちゃんのスタイルであります。

 敵の攻撃は激しく、その洞窟も危険になり、警備兵ルークの指揮でみんな退避することになります。
 そして、十年~二十年の歳月がたち、話は国が敵に負けた時代に移行していきます。
 メフィストは、国の生物科学研究所の、所長に。ルークは、政治の世界を目指し、首相選挙に打って出ます。その中に、互いの希望や裏切り、挫折などがあります。

 この芝居は三部作の二番目で、未見の第一作が、今回の将来の話しらしく、客席で声が上がりました。
「ああ、こう繋がってくんねんなあ……」
 だから、この芝居に関しては三作見ないことには分からない仕掛けになっています。
 そのためか、パンフにポイントカードが付いているのにはニヤッと笑いつつ驚きました。

 ここからは、今回だけの印象です。

 最初は、演技力のばらつき、身に合わない衣装などが気になりました。台詞が音量としてでなく、人の言葉として届いてこない、まるで高校生の芝居を見ているようなもどかしさがありましたが。演出のテンポがよく、また、メフィスト役の瞳さん始め、何人かの役者さんが、ボケとクールの両方の芝居ができます。で「あれ?」と思っているうちに芝居の中に引っ張り込まれます。
 さすがに往来からのゲスト出演や、主軸になる役の人たちのねばり強い演技には拍手です。二時間近い芝居を破綻させることなく持っていったのはさすがだと思いました。

 劇の背景が日本の戦後を思わせるような設定になっていましたが、そうであったとしたら、六十のオッサンとしては、こんな単純じゃないし、大きく抜けているものがあるように感じました。
 日本語で書くと誤解されますので[the national polity]としておきます。
 ドールという概念は、限りなく人間に近いロボットであると解してよいと思います。そのドールが自我を持ち、進化能力を感じさせるところなど、攻殻機動隊の義体やタチコマを彷彿させるものがあります。ただ、SFあるいはラノベ、アニメとしてではなく生身の人間が演ずるためには、今少し、この世界観に共感させる厚みと、表現技術がいると思います。酷なようですが、大昔の実写版『鉄腕アトム』を見たときのような、薄さを感じてしまいます。

 これは趣味の問題かもしれませんが、こんなにシリアスな話として作らず。戯画的な世界観の中で、細部に徹底的にこだわる作り方の方が、舞台のエンタメとしては成功したのではないかと思います。また、それだけのスラプスティックで、かつリアルな芝居を創ることができる人たちではあると思いました。

 年寄りの……オッサンの発想ですが。

『ガールズパンツァー』のような、女子高に戦車部という部活があり、中はカーボンコーティングされ、たとえ実弾が当たっても人死にが出ない設定で、戦車の性能、操縦など、極限までリアルに設定したように、とことんオタエンタメに徹した方が良いのではと思いました。
 どうしても、ドールと人間の相克からドラマを立ち上げようとしたら、生身の人間が演るのですから、今少し、観客が共感出来る設定、細部へのこだわり……一言で言えば練り込みがいったように思います。

 サジタリウスとは、射手座の半人半馬の射手を指し、近くは『ジパング』に出てくるイージス艦のトマホークミサイルを「サジタリウスの矢」と言っていたのを思い出します。
 人間が作ったモンスター。これを第三部でどう表現されるのか。また、この世界観にどういう決着をつけるのか楽しみではあります。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『先週末日本公開ランキング』

2013-10-24 07:33:45 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『先週末日本公開ランキング』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画ランキングですが、もったいないので転載しました


10月に入って大作公開が無くランキングは横ばい傾向が続いています。

①陽だまりの彼女
 2W連続1位、今週3作品が新たにランキング入りしているが、実質ライバルは“そして、父になる”“謝罪の王様”の二本。とはいえジャニーズは強い。

②そして、父になる
 4W 目 ながら恐らく動員数10万人以上、“陽だまり~”が1W目21万人、今週15万人だから、次週上下入れ替わる可能性あり。硬派テーマの本作が ここまで高位を維持しているのは、一人福山の人気だけではない。これは作品の持つ力量が並外れている事の証です。

③謝罪の王様
 これも4W目、宮藤官九郎作品は趣味じゃないけど、阿部サダヲと組むと途端に面白くなる。大人計画からの名コンビ、息はピッタリなんですなぁ。しかし、クドカンの確信犯的露悪趣味とギャグセンスには多少辟易する。おそらく、私が、パンク/メタルに耽溺できないのと同じ根っこがあるんだと思います。同じくメタル的芝居の新感線は大好きなんですが、こっちは半分ハードロックですから。

④人類資金
 初登場 260スクリーン 土日8万人。役者は気になる配役ながら…なんせ福井(亡国のイージス)の原作/脚本、先般も“ハーロック”をボロボロにしてくれたので「意地でも見に行くかい!」と無視……なんですが、意外に入ってませんねぇ。“謝罪の王様”くらいには勝ってると思ったんですが。宣伝不足?

⑤怪盗グルー~
 5W目 強いにゃ強いが、アメリカ程の大ヒットにはならなかったですね。国の持っている事情が違うからですが、スーパーマンの不入りと並んで、日本人の映画に求める物に変化が表れているのと、観客層そのものの変化も感じられます。

⑥ダイアナ
初登場 331スクリーン 4万人 悲劇の英王女ダイアナの映画であります。内容からして上映館数が異様に多いのですが「日本人はダイアナが好きだから」程度の思い入れやったんでしょうね。結果、惨敗です。

⑦ゴーストエージェントRIPD
 初登場 348スクリーン 土日4万人弱…まぁ、こんなもんだっしゃろ。殆ど宣伝もしとりまへん。配給に売る気無し~ 嗚呼

⑧おしん
 先週末初登場5位 6万人、来週はおらんかも……なんで今更“おしん”なんですかねぇ。韓流が未だにマダム達に人気だから“おしん”も当たると勘違いしましたかねぇ。韓流ドラマは日本のドラマの3-40年前をトレースしていると言われますが、確かにそれはあるにしても、古い日本ドラマとは決定的に違う顔も持っている。ここを見落とすと大失敗。例えば今“細腕繁盛記”やら“横堀川”なんかをリメイクしても客は来ないですよね。見たい?

⑨ATARU
 強いなぁ~、なんで? 中居の力? テレビドラマの人気? 6W目ですよ!

⑩風立ちぬ
 驚異の14W目、そろそろ終わりそうではありますが。宮崎監督作品でここまで賛否の割れた映画もありませんでした。ただ、否定的意見が余りにも情けないのが多かった……「主人公がタバコ吸いすぎ」 「武器を作っている事に対する懊悩が無い」 「東北地震があったのに関東大震災の映像を流すのは許せない」etc~ ゴメンね……あんたらアホか? 「物語に起伏がない」だの「主人公の声が気になった」だのは 真っ当な感想に聞こえる。こういうのがホンマに多い、こいつばかりは上から目線で言わしてもらいます「少しは勉強しなはれ」。

※今週消えたのが3作品
“エリジウム”“あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない”“R100”
 エリジウム5W目、R100が3W目に対して“あの日見た~”が8W目!単にアニメ人気とは言えない、本作上映館なんと全国でたったの64館、それでこの成績、これは、ワンピ/ヱヴァとは違う奇跡的ヒットです。
 かっこさて、今週のランキングを見ていて、しみじみ想うのは映像観客層が広くなったなぁと言う事です。改めてトップ10と圏外落ち3本のタイトルを見ると、どれ一つ メイン観客層が被っていない。この事が今後の日本映画界(洋画配給も含めて)にマイナスの影響を与えなければええんですが……アメリカなんかはマーケットリサーチで当たりそうな映画ばっかり作って業界が沈みかけましたからねぇ。杞憂であれかしと願うばかりです。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ヘンゼルとグレーテル』

2013-10-21 09:03:22 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ヘンゼルとグレーテル』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので、転載したものです。

公開時、見逃してました、star chでやってたので漸く見れました。

 グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」の15年後、お菓子の家の魔女を焼き殺してから、兄と妹は魔女専門の殺し屋に成りましたとさ…チャンチャン〓
“ブラザーズ・グリム”なんかを見ていても、ここまでやってええんかい? と思ったものですが、本作に至っては もうタガがはずれとります。ブラザーズ・グリムでは一応時代設定や、ドイツの黒い森のイメージなど、細かく気配りしてありましたが、この映画は一切斟酌しとりまへん。

 大体が いつの時代のどこの話なのやら、飛び道具がボウガン(しかも連発)にとどまらずライフルもどきが出てくるわ、弾丸無限に撃てるみたいだし、果てはガトリングガンまで登場、“ウ゛ァン・ヘルシング”でもそこまでやらんかったのに……まぁ、そんなこんな含めて楽しめる映画でしたけど。スピード感があって、こだわってる暇がないってのが主因でしょうね。ヘンゼル役のジェレミー・レナーが、まるっきりスパイアクションのノリで走り回っております。妙にリアルで引き込んでいきます。お見事!
 兄妹の父母の設定にも一捻り、最近流行りの白と黒の対立も盛り込んで、道具建ては仰山であります。
 もう ここまで並んだら、ただただ受け入れて 片っ端から食い散らかす以外にありません。  アメリカじゃ5000万$位の稼ぎで、まぁ スマッシュヒット、最近 ダークファンタジーに当たりがなかったので、この類はあまり作っていなかったのですが、全く無い訳でもなく、久し振りだから当たったという事でもありません。
 実は、本作の製作陣そのものがヒットの理由が解らないと漏らしています。そんな事もあったので是非とも見たいと思うとりました。結論は、ジェレミー・レナーに惹かれて見に行ったら、結構スピード感があって面白かったって事なんだと思います。何より製作者の本気が伝わってきます。
 妥協の無い製作姿勢がヒットを産む…これが総てじゃありませんが、最低必要条件なのですね、改めてそう感じた次第です。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ書評“岳飛伝・六”

2013-10-19 07:31:51 | 読書感想
タキさんの押しつけ書評
“岳飛伝・六”


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している書評ですが、もったいないので転載したものです。

 はいはい、唐突にやってまいりました、岳飛の処刑であります。
 実史を、そう詳しく知っている訳じゃないんですが……確か「対金 主戦論」の岳飛が「対金講和論」の秦檜にとって邪魔だったので毒殺されたってのが史実だったと思います。
 本作ではちょいと事情が違っておりまして、秦檜はあくまで岳飛を南宋軍に取り込みたかったが、南宋を国とは認めず、軍閥の立場に固執する彼をやむなく処断する決意をする。
 処刑は斬首だが、梁山泊が一計を案じ岳飛救出を企てる。果たして岳飛は無事虎口を脱出できるのか? ぶっちゃけ、助からなければ岳飛伝一巻の終わりに成ってしまいますが……読んでいて、こっちの方がリアルなんじゃないの? と思わせられるのは作家の底力、さすがに北方謙三。ハードボイルドを書いていた時に、なんでこのストーリーテリングが出なかったんでしょうねぇ。“楊家抄”の前と以後では、まるっきり別人のようです。
 さて、歴史上 岳飛が死ぬのは1141年、モンゴル帝国の成立が1206年ですから、岳飛が生きて梁山泊に加わるにせよモンゴルと戦う訳ではない。さぁて物語は如何なる展開を迎えますのやら。
 金国内では簫珪材の息子ケン材が商人として梁山泊の自由市場に対抗しようとしている。金帝王ネメガ、宰相ダランには梁山泊を放置出来ないとする思いもある。南宋、金、梁山泊三つ巴の思惑の中に、いよいよモンゴルが顔を出し始める。日本では奥州藤原が瓊英に対して外洋船の調達を打診している。平氏滅亡は1185年だから、今すぐ義経=チンギス・ハン伝説に繋がる訳ではないが……北方謙三の目はどこまでを見つめているのだろうか。今しばらくは三つ巴の歴史が綴られるのだろうが、金軍総帥ウジュに従う 楊令の遺児/胡土児、南方に向かいチャンバーかアンコール朝カンボジアにいる秦容の運命は……。
 梁山泊に集った108人の英雄達もすでに9人にまで減った。宋江の志、楊令の夢は子・孫の世代に受け継がれ、更に先へと繋がって行くのだろうか。
 元帝国とさらに西方に広がった各ハンの国の間にはモンゴル・ネットワークが繋がった。これは梁山泊の目指した交易の路の完成形とも言える。梁山泊は今後百年以上に渡って存在を続け、モンゴル帝国に影響を与えるのだろうか。 そこまで来ると、「デューン」の生態系SFみたいに成ってきます。
 読みたいような、怖いような、北方御大! どこまで描くつもり?


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『R.I.P.D.ゴースト・エージェント』

2013-10-19 07:18:11 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『R.I.P.D.ゴースト・エージェント』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


お薦めって程の映画じゃないけど、そこそこ楽しめる作りにはなっています。
 例によって一切“禁理屈”であります。M・I・Bのゴースト版+ゴースト・バスターズの「魔神降臨呪い」……であります。
 成仏(アメリカだから昇天か)しない死者が年月を経ると怪物化し、それを捕まえるゴースト・ポリスの組織がある。なんせ一度死んでいるから、どんなショックを与えても怪我すらしない、“オダブツ弾”ちゅう弾丸(一回しか名乗らなかったので英語でなんと言ったか聞き漏らしました)で頭を撃たれると消滅する。人間の姿だと、人間並みにしか動けないが、正体を表すと怪力を発揮する……とはいえ、物理的法則には従わざるを得ないetc~てな設定です。
 原作はグラフィックノベル(要するにフルカラー・デラックス・コミック)で、ダークホース・コミックス社の出版、この会社はマーベル/DCに次ぐアメリカ3番手の会社で“300”“シン・
シティ”“ヘル・ボーイ”“マスク”“エイリアンVSプレデター”なんかを出しています。いかにもアメリカンコミック的ご都合ストーリーですが、始めにお断りしたようにそこはグッと飲み込んで楽しみましょう。過去のゴースト・ファンタジーやウェスタンのパロディも山盛り、結構笑わしてくれるサービスもあります。
 前にどこかで書いたかもしれませんが、ジェフ・ブリッジスって割と大男のイメージがあるのですが、さほどじゃないんですねぇ。共演のライアン・レーノルズ(デンジヤラス・ラン)がデカいのかと思いきや、ケウ゛ィン・ベーコンと同じ位なので……拠って、ジェフ・ブリッジスもそんなに大男じゃないとなる。 若い頃は、ジョン・ウェイン張りに見えたんですけどねぇ、共演が小さい人ばっかりやったんですかねぇ。
 まぁ、そらええとして、本作キャストはコミック映画に慣れたメンバーが揃っていて、演技の勘所をキチンと押さえています。この演技が大ご都合主義ストーリーにリアリズムを与えています。なんと言われようが「ご都合主義ストーリー」は駄目だって方以外、案外楽しめると思いますゾ〓


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『モック・バスター……?』

2013-10-12 07:50:55 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『モック・バスター……?』


今週は映画無しデス。

 それで“モック・バスター……一体何の事だとお思いでしょうか(ウ゛ァイオリン弾きの森繁風に…)
 MOCK(模倣する)+BLOCK BUSTER(超大作映画)=MOCK BUSTER……要するにパクリ映画の事です。
 レンタルビデオ屋で、こんな経験ありませんか?「アバター」の隣に「アバター オブ マーズ」、「トランスフォーマー」の隣に「トランスモーファー」、続編は無いはずなのに「タイタニックⅡ」~~なぁんてな限りなく怪しいタイトルを発見した事はありませんか? これらは総て“ASYLUM”(精神科病院)という会社の作った低予算SF作品、どこかで闇製作してるのかと思いきや、立派にハリウッドのディズニースタジオの北東に鎮座しています。
 MOCK BUSTERはASYLUMの専売特許ではなく、インディーズ系には、この類いの映画を作っている所が幾つか有ります(ツインヘッドジョーズとか砂浜を移動するジョーズやら)

 昔から、B・C・D・F級映画ってのは沢山有りました。「デスペラード」なんてな映画も、元はR・ロドリゲスが7000$で作った「エル・マリアッチ」のハリウッド・リメークです。B級の帝王 R・コーマンは確信犯的低予算、早撮り、二番煎じ。エド・ウッドなんてな怪人監督もいました。
 インディーズに限らず、パクリはメジャー系でも花盛り、企画の盗り合いなんてな日常チャメシです。 「アルマゲドン」の企画を先取りして低予算、早撮りで作ったのが「ディープインパクト」なぁんてな有名な例もございます。 アメリカは知的財産権にうるさい国ですから、企画のパクリには厳しいんじゃないか…と思っていたのですが、ところが意外や、殆ど笑ってスルーするみたいです。過去には訴訟もあったようですが、立証が難しく、必ずしも勝訴出来ない事例が多くて、訴訟するよりは逆手にとってCMに使ってしまえ……位の感覚のようです。
 ASYLUMの設立メンバーも、元はインディーズでアート作品を撮っていたようですが、大手ビデオチェーンとの出会いから、徹底的マーケティングによる「売れる企画」の低予算(スタートは一本3万$、大体10-20万$、メジャーは1000万$)早撮り(2-3週間撮影、月1本製作、95年設立後15年で100本製作、メジャーは年2-3本)企画から製作から配給まで自社内で完結させる…というスタイルに変更、会社経営維持の不安定なハリウッドにあって低レベルではありながら(年間売上高600万$)安定した経営をしているようです。
 パチモンと知りながら、怖いモノ見たさで、ついつい手に取る……結構こういう人が多いようで、こんな人間心理にもはまるようです。バカにしつつも、ツボにはまると、つい見込んでしまう作品もたま~にあったりして、こういうのがカルトムービーに成ってしまったりするのです。
 ASYLUMの成功(?)で、インディーズに同様の会社が増えたのは事実ですが、映画界のニッチ産業という立場と共に、映画人の初期養成所としての役割も果たしているようです、全社一丸で早撮り、スピード製作のタフな現場ですから、VFXなんてな専門職以外はなんでもやらされる、ものの2-3ヵ月もしたら一丁前の職人に見える(?)ようにはなるらしい。思えばR・コーマンの足下からコッポラやキャメロンなんてな監督や、J・ニコルソン、P・フォンダなんかが育っている。メガ・シャーク vs ジャイアントオクトパス(ゴールデンゲートブリッジを噛み砕くほどデカいサメ)なんてな映画のネット予告編は、かの「アバター」の予告編に次ぐ再生回数だそうです。安っぽい作品ながら勢いで見せきる! チープ作品の系譜は決して無くならず、今後も映画界に居座り続ける事でしょう。中には、あまりにも馬鹿馬鹿しく、時間の無駄に思える作品も有るでしょう(その方が多いやろね) でもまぁ、そうと知りつつ、怖いモノ見たさで選んだのなら「馬鹿だね~、こんなん作ってええんかい?」てな、おおらかなる気持ちで笑い飛ばしてやって下さい。
 世の中には、Aクラスを名乗りながら、見ていて怒りに震える作品もあります。本物の詐欺作品(?)ってのはそういう映画です。そういう映画に当たったら、それこそ大声で「金返せ~!!」と叫びましょう。
 誰しも過去に1-2本はB級カルトがあるでしょう。あなたのカルトは何ですか。まさか…ディバイン(アメリカのデラックスマツコ的オカマ、徹底的グロ・ゲロ)などと答えるあなた……B級ファンと言うより、変態でっせ!!〓


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 ラノベとして読んでアハハと笑い、ホロリと泣いて、気が付けば演劇部のマネジメントが身に付く! 著者、大橋むつおの高校演劇45年の経験からうまれた、分類不可能な新型小説、高校演劇入門書!

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 高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
 60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。

お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・『ゲキ×シネシレンとラギ』

2013-10-06 06:53:22 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ゲキ×シネシレンとラギ』


 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している評ですが、もったいないので転載したものです。

さすがに、本公演30回以上経てからの録画、ギャグのキレは良くなっています。
 去年私が見た公演は5回目位、ギャグはまだまだ未完成で、意図は判るがそこら中で滑ってました。
 ゲキ×シネも10周年だそうで、確かに手慣れて見やすく、聞きやすく工夫されています。今回、音入れはハリウッドに外注したとか。原音の録音があまり良くないので、わざわざ外注にするのは勿体なく感じましたが、しかし、さすがにハリウッド、音像はクリアで芝居の頭から間違いなく正確にセリフが聞こえて来ます。効果音とのバランスも良くなっていて、これならDVD再生時いちいちボリューム調整しないでもよさそうです。まぁ、テープのときよりディスクの方が音バランスは良くなってはいるのですが、所々不具合が有ります。何でなんですかねぇ? ハリウッドのサウンドスタジオちた所で、機材は殆ど日本製なんですけどねぇ。この差はどこでついちゃうんでしょう。  

 まぁ、そらええとして、今回に限った事じゃないんですが(いや、今回はヤッパリ多かったかな)アップが多くて、全景があまり映らなかった。
 スクリーン化された作品は、役者の表情がハッキリ見えるのと引き換えに、劇場公演を見て受け取る、劇全体から受ける感動を伝えきれないきらいがあります。無い物ねだりだとも思うのですが、何らかのバランスが有るんじゃないかと、毎回考えてしまいます。
 通常、劇場中継なんかは5-6台のカメラで作るのですがゲキ×シネは18台のカメラで撮っています、それなりにベストショットが多過ぎて、アップの連続になるんですかねぇ。去年、劇場公演を見たのはセンター右寄り、前から5列目だったので、役者の表情もハッキリ見えていました。だから、アップの映像に接しても、そう落差はなかったのですが……劇場で受けた印象とは少々違っていました。  ゲキ×シネ形式から来る印象なのか、収録日の雰囲気なのかは計りかねます、なんつっても芝居は生モノですからねぇ。
 本作は、ギリシャ悲劇「オイディプス王」の翻案です。そうとは知らず、実の父を殺し、母を抱いてしまうというドロドロ悲劇、第一幕幕切れに原作とは逆の順番でラギ(藤原竜也)の悲劇が明かされる。この時のラギの表情が凄すぎて、もうここで芝居が終わってしまった印象がありました。 劇場公演の時も、このシーンは異様な迫力だったのですが、芝居をぶった斬るまでではなかった。
 だから本公演時、後半ラスト、シレン(永作博美)とラギの“血の因縁”と意外な(??)力を知り、自ら滅びるより生きる決意をする。示唆するシレンに、ラギは「今の言葉は、女としてか、母としてか」と問う。
 シレンから返される言葉は「人として」……この芝居の決定的なオイディプスとの違いが現れる最重要のセリフなのだが……舞台を見た時には、はっきり、そう受け取ったのだが、今日のスクリーンからは“浮いた印象”を受けた。やはり第一幕幕切れで終わっている。 ゲキ×シネだけを見たならここまでの破綻はなかったかもしれないが、舞台から受けた印象とのギャップは大きかった。

 新感線は、97年版髑髏城の七人、続く阿修羅城の瞳を最後にした初期のうえ歌舞伎から一歩踏み出した作品を目指している。
 中嶋(劇作家)にせよ、演出いのうえにせよ、試したい事は沢山あるんでしょうねぇ。はっきり言わしてもらって結構失敗もある。
 新路線以降、「朧の森に棲む鬼」「蛮幽鬼」からは目指す方向が見えたように思えたが、宮藤官九郎の起用と「蜻蛉峠」は失敗としか思えない。新感線生え抜き役者の奮闘で、なんとか見られる出来にはなっている。しかし、正直しんどかった、早く突き抜けていただきたい。私の周りの新感線ファンは大体同意見であります。
 そんなこんなを別にしまして、高橋克美の悪役振り、存在感は舞台/ゲキ×シネを比較して、いずれも遜色ありません。小劇場の頃から、のほほんとしたキャラクターで出て来た人ですが、実は暴れん坊なのかも知れません。
 橋本じゅんさん、毎度の持ち味で、ファンを安心させてくれるのですが……今回は少々やり過ぎの感有り。古田がもっとしっかり受け止めていたら違って見えただろうが、途中で明らかに突き放している。アドリブ部分なので、演出意図なのか古田の感覚なのかは解らない。古田演じるキョウゴクの造形が今一ハッキリしない事が影響しているのかもしれない。
 シレンとラギ、ゴダイ大師(高橋克美)三者の因縁が大黒柱とすれば、キョウゴクの歪みは梁なのだが、ちょっと弱い。旧いのうえ歌舞伎には、こういう取りこぼしは有り得ない。
 中嶋・いのうえが未だ苦闘半ばなのだろうと愚考する由縁であります。
 意外な所が河野まさとの扱い(密偵/ヒトイヌオ)です。この所、あまり役に恵まれず、この人の持ち味も間違いなく新感線臭の一つですから、勿体なく思っていました。今回久々ハマりキャラで暴れております。この迷路を抜けて、新いのうえ歌舞伎がどのような顔を見せるのかわかりませんが、ドキドキってか、イライラってかファンはみんなまっています。

 頑張ってや!ほんまに!


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