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色々あったのは事実ですが、やはりサボり癖が治らないんだなぁ。
反省しきりでございます。
さて、先週2年ぶりに草津へ行ってきました。
目的は、もちろん草津温泉と音楽祭。
2年前は、タマーシュ・ヴァルガの素晴らしいチェロを堪能したが、何よりも天皇皇后両陛下ご列席のコンサートだったことが印象に残っている。
さて、今年音楽祭で聴いたのはケフェレックのピアノ。
何度も書いているように、現役のピアニストで私が最も敬愛するピアニストの一人だ。
5月に東京のラ・フォル・ジュルネで、珍しいロシア物を聴いたばかりだが、今回はお得意のレパートリーで妙技を披露してくれた。
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絶好の晴天に恵まれたこともあって、庭の芝の緑が目にも鮮やかだ。
夏の音楽祭の素晴らしさを、開演前から満喫させてくれる。
そんな中、開演時間になった。
演奏に先立って、音楽プロデューサーの井阪紘さんが、ケフェレックの録音を担当し始めたころのエピソードを紹介してくれた。
面白かったのは、デビュー間もない頃の彼女の録音をリリースするにあたり、ジャケットが気に入らなかったとかで、新たにケフェレック嬢の写真を撮ってジャケットに使ったという話。
そのときのLPレコード(シューベルトのアンプロンプチュほか)がロビーにも展示されていたが、その姿の何と可憐なこと。
私たちがすぐに思い浮かべる「清楚なマドモアゼル」のイメージそのものだ。
しかし、その後○十年経過した現在のケフェレックさんも、本当にチャーミング。
人間、こんな風に齢をとりたいものだとつくづく思う。
話が横にそれてしまったが、井阪さんの話が終わると、大きな拍手に迎えられながらケフェレックがステージに登場。
前半は、モーツァルトのピアノソナタとベートーヴェンの「月光」。
ケフェレックのモーツァルトというと、6年前にラ・フォル・ジュルネで聴いたソナタ集が忘れられない。
どちらかというと地味なK.311のアンダンテを聴いて、私は涙が止まらなかった。
こんな素晴らしいモーツァルトを生で聴かせてくれるピアニストが、この時代にいてくれるることに、私は大きな喜びと幸せを感じた。
それ以来、彼女が来日したときのコンサートには、時間が許すかぎり聴いている。
さて、この日のモーツァルトは変ロ長調のソナタ。
細かな装飾音符が珍しく団子になる場面が散見されたが、あの魔法のような多彩なタッチは健在。
しかし、前半の白眉は、次の「月光」だった。
これは本当に素晴らしかった。
暗めの音色で、静かに静かに弾き進める。
この静寂は、まるで夜明け前の街のようだった。
そして、そこに一つまた一つという風に、あの絶妙のタッチで灯りがともされていく。
灯りがともされるのは、絶対電灯ではなく、ガス灯だ。
こんなイマジネーションを感じさせてくれるほど、彼女の演奏は詩的で美しかった。
静けさから俄かに動きが出てきた第二楽章を経て、フィナーレは文字通り情念が迸るような演奏。
今まで私が実演で聴いた月光の中でも、最高の演奏だと断言できる。
後半は、ラヴェルとドビュッシー。
どちらも、眩いばかりに輝く演奏で魅了してくれたが、とくにラヴェルが絶品。
有楽町の東京国際フォーラムで聴いたときも凄いと感じたけど、この日の演奏はそれを凌ぐ素晴らしさ。
この多彩な音色と、しなやかな感性で彩られた「鏡」を聴いたら、きっとラヴェルもスタンディングオベーションで称賛しただろう。
ところで、この日の私の席は、ケフェレックのタッチがよく見える席だったので、「あっ、こんな風に弾いているんだ」と秘密の一端を垣間見れたような気がして、何だか嬉しかった。
そして、最後に弾いてくれた2曲のアンコールが、これまた素晴らしい。
ケフェレックの弾くアンコールは、いつも感心するのだけど、この日の2曲も聴衆の心をつかんで離さない演奏だった。
ヘンデルの高貴な美しさ、少しアンニュイな雰囲気を漂わせたサティ、ともにこの日のコンサートを一層忘れられないものにしてくれた。
こんな素晴らしいコンサートを聴かせてくれたんだから、絶対サインをしてもらおうとロビーで待っていたが、旅館の送迎バスが来てしまい、残念ながら果たせなかった。
12月に王子ホールで再びケフェレックの演奏を聴くことができるので、今回の忘れものは、そのときまでお預けと言うことにしよう。
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<日時>2012年8月24日(金)16時開演
<会場>草津音楽の森国際コンサートホール(使用ピアノ:ヤマハ)
<曲目>
■モーツァルト:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K.333(315c)
■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 嬰ハ短調 作品27-2「月光」
■ラヴェル:鏡
■ドビュッシー:喜びの島
(アンコール)
■ヘンデル:メヌエット (組曲 HWV434 ト短調より)
■サティ:グノシェンヌ 第1番
草津音楽祭、今や群馬県人(住民票はまだ東京都民だけど)となった KiKi も「いつかは行きたい、行きたい!」と考えている音楽祭なんですけど、近くの割には未だにそれを果たせていません(涙) まあ、今年は夏にちょっとバタバタする事件が発生したので仕方ないんですけどね。
いずれ又草津音楽祭に起しになる際には是非ご一報ください。 できればご一緒させていただきたいものです。
ご無沙汰しています。
嬉しいコメントありがとうございました。
草津は、ほんといいですね。
今回で3回目ですが、出来ることなら、ずっとここで生活したいと思うくらい気に入っています。
>今や群馬県人(住民票はまだ東京都民だけど)となった・・・
そうか、kikiさん、いま群馬にお住まいでしたよね。
是非、草津音楽祭行きましょう。
今度行く時は、お声がけしますね。
それにしても、音楽祭のスタートが16時なので、アーティストたちのノリは半端じゃないです。コンサートが終わったら、飲んで食って、そして温泉とフルコースが待っているわけですから、無理もないですね(笑)
また、お目にかかれるのを楽しみにしています。
息を詰めるように読ませていただきました。
「月光」のご感想・・
ケフェレックさんの演奏が、
目から聴こえる?ような気がしました。
きっと彼女も日本が、日本のフアンが大好きなのでしょうね。
私も きょうずっとケェフレックさんのCDを聴いて過ごしましょう。
温かいコメントありがとうございます。
ケフェレックのビアノは本当に素晴らしいです。幸い日本にもよく来てくれるので、私達はもっと感謝しないといけないですね。
今度、是非一緒に聴きに行きましょう。
CDもいいけど、実演はさらに素晴らしいですよ。
楽しみにしています。
草津にコンサートと温泉!それもお好みの演奏家とは、まるで極楽ですね。
アルペンホルンの開始しらせはその地ならではで、いよいよっと、心ときめきますでしょう。
又記事を楽しみにしてま~す
いつもありがとうございます。
1年おきくらいに草津へ行っていますが、本当に魅力的な街です。
1拍2日でしたが、大袈裟ではなく、命の洗濯ができたように思います。
ブログ、なかなか更新できなくて本当に申し訳ありません。
書きたいことはいっぱいあるのですが・・・(汗)
頑張りますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。