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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

梅雨の晴れ間の動植物日記

2012-07-10 15:40:52 | よしなしごと
 暑い!
 冷房嫌いの私は、家中の窓を全開にしてそれをしのいでいる。
 それでも木造の屋根瓦はじんじんと熱を吸収し続ける。
 こんな時は植木に水などをやって涼をとるに限る。

 外ももちろん暑いが、少し風が出てきたのが救いだ。
 梅雨の晴れ間の陽光に水が銀色に輝いて眩しい。
 美しい、そして涼しい。

 昨年行ったあの水のない地方のことがチラと頭に浮かぶ。
 ごめんよと急いで頭から振り払う。
 勝手なものだ。

   

 ふと傍らに何やらふらふらしている。
 一頭のムギワラトンボが草っきれにしがみついているのだ。
 そよ風程度なのにどこか必死で耐えている感じだ。
 上の写真で翅が上がっている方向から風が吹いている。
 まだ羽化したばかりで力がないのだろう。

 毎年この頃になると現れる私のお友だちだ。
 「おう、よくきたな」との挨拶もそこそこに記念撮影だ。

   

 携帯を取りに行って戻ってきたらまだそのままでいた。
 接写をとカメラをうんと近づけても逃げる気配はとんとない。
 しかし、何枚か撮ってみたがどうも満足できない。

 トンボの美しさはやはりその翅脈にあると思う。
 しかし、草むらがバックではそれが鮮明に出ない。
 そっと手を差し伸べて、左上翅を柔らかく捕らえる。
 まったく暴れたりせず私の指におとなしく止まっている。

   

 そのまま2、3枚撮って、そっと放してやる。
 しばらくきょとんとしていて、やがてツイと飛び立つ。
 といってもそれほど離れたところへ逃げる様子もない。

 おいおい、そんなに無警戒でどするんだ。
 これから生きてゆく上で敵も多いのだぞ。
 さあ、飛べっ!と止まっていた枝を少し揺さぶってやった。
 さすがに今度はスイーッと飛び立ち、やがて視界から消えた。

 ところで去年も書いたが、そして去年まで知らなかったのだが
 このトンボ、実はシオカラトンボの幼体、または雌だとのこと。

   
 
 子供の頃からもっともポピュラーで馴染み深かった
 ムギワラトンボとシオカラトンボが同じトンボとは・・・・。
 「知らなかった歴」が六十数年にも及ぶわけだ。
 (シオカラトンボの写真はネットから拝借しました)

   

 花の方は午前中買い物に出かけた農協で撮した。
 ハイビスカスというのは南方の花だから
 どこかドライでスカッとしているのだと思い込んでいたが
 こうして見るとなかなか妖しげでもある。

 齢を重ねると、知らなかったことや気づかなかったことが
 まだまだ多いことに驚かされる。
 ではその分、知見が増える一方かというとそうはゆかない。

   
 
 獲得するよりも忘却の彼方へ消え行くもののほうが
 はるかに、はるかに、はるかに多いからだ。
 まあ、それだからこの脳の容積で耐えられるのだろう。


コメント
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