暑い!
冷房嫌いの私は、家中の窓を全開にしてそれをしのいでいる。
それでも木造の屋根瓦はじんじんと熱を吸収し続ける。
こんな時は植木に水などをやって涼をとるに限る。
外ももちろん暑いが、少し風が出てきたのが救いだ。
梅雨の晴れ間の陽光に水が銀色に輝いて眩しい。
美しい、そして涼しい。
昨年行ったあの水のない地方のことがチラと頭に浮かぶ。
ごめんよと急いで頭から振り払う。
勝手なものだ。
ふと傍らに何やらふらふらしている。
一頭のムギワラトンボが草っきれにしがみついているのだ。
そよ風程度なのにどこか必死で耐えている感じだ。
上の写真で翅が上がっている方向から風が吹いている。
まだ羽化したばかりで力がないのだろう。
毎年この頃になると現れる私のお友だちだ。
「おう、よくきたな」との挨拶もそこそこに記念撮影だ。
携帯を取りに行って戻ってきたらまだそのままでいた。
接写をとカメラをうんと近づけても逃げる気配はとんとない。
しかし、何枚か撮ってみたがどうも満足できない。
トンボの美しさはやはりその翅脈にあると思う。
しかし、草むらがバックではそれが鮮明に出ない。
そっと手を差し伸べて、左上翅を柔らかく捕らえる。
まったく暴れたりせず私の指におとなしく止まっている。
そのまま2、3枚撮って、そっと放してやる。
しばらくきょとんとしていて、やがてツイと飛び立つ。
といってもそれほど離れたところへ逃げる様子もない。
おいおい、そんなに無警戒でどするんだ。
これから生きてゆく上で敵も多いのだぞ。
さあ、飛べっ!と止まっていた枝を少し揺さぶってやった。
さすがに今度はスイーッと飛び立ち、やがて視界から消えた。
ところで去年も書いたが、そして去年まで知らなかったのだが
このトンボ、実はシオカラトンボの幼体、または雌だとのこと。
子供の頃からもっともポピュラーで馴染み深かった
ムギワラトンボとシオカラトンボが同じトンボとは・・・・。
「知らなかった歴」が六十数年にも及ぶわけだ。
(シオカラトンボの写真はネットから拝借しました)
花の方は午前中買い物に出かけた農協で撮した。
ハイビスカスというのは南方の花だから
どこかドライでスカッとしているのだと思い込んでいたが
こうして見るとなかなか妖しげでもある。
齢を重ねると、知らなかったことや気づかなかったことが
まだまだ多いことに驚かされる。
ではその分、知見が増える一方かというとそうはゆかない。
獲得するよりも忘却の彼方へ消え行くもののほうが
はるかに、はるかに、はるかに多いからだ。
まあ、それだからこの脳の容積で耐えられるのだろう。