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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

見ている少女

2009-07-24 17:38:38 | ポエムのようなもの
   

           見ている少女

         私 ほんとうは見ている側なのに
         見られてしまうこともあるみたい
         でも たしかに見たの
         私が私を見ているのを

         私と私の視線はいつも微妙にずれて
         火花を散らしたりはしないみたいね

         こうして逸れてしまった視線は
         いったい どこへ行くのかしら
         緩やかに飛翔する放物線の先に
         視線を集めた墓場があるそうよ

         そこには見えなかったものや
         不本意に見えてしまったもの
         それらがごちゃ混ぜになって
         崩れ落ちる予兆に支配された
         不透明な塔がそびえているの

         闇がやってくるみたい
         私には見えるんだもの
         その闇の端正な輪郭が

         その闇の端っこの方で
         やはり私は見ているの
         私を見ている私の視線のおぞましい暗紅色の 
         すこし捻れた 古びた洗面器のような輝きを

         だから私は見ると見られるの
         引っ張りっこの真ん中にいて
         なるべく公正に叫んでいるの
         赤勝て! 白勝て!
 
         え? 私はどっちの側かですって?
         そんなの始めから決まっているわ。
         引っ張りっこに勝った方じゃない。
 
 





コメント
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