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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

私のツール・ド・フランスと川柳もどき

2009-07-19 17:57:52 | ポエムのようなもの
 かんかん照りでしたが、ここんところ運動不足でしたので、自転車で母の病院へ出かけました。帽子を目深にかぶった怪しい自転車爺さんの出動です。

 ゆっくりで20分、慌てても15分ぐらいかかります。
 途中から、怪しげで生ぬるい風が吹き始めました。
 病院へ着いた頃にはあれほど日が照っていたのに、どんよりとし始めました。
 おまけに遠くからですが雷鳴が聞こえます。
 怪しい風もどんどん強くなってきます。

 これはまずい、夕立の襲来の予兆が完全に揃ったのです。
 帰りのずぶ濡れもありますが、より心配なのは二階の窓という窓をあけっぱなしにしてきたことです。
 家人も出かけていません。
 実は先般も同じ失敗をし、その折りは家人が在宅だったため、二階の廊下を少し濡らすという最小限の被害で助かったのでした。

  
 
 母の病室に駆け上がりました。おかげで小康状態です。
 たぶん分かってはいない母に、それでも言い訳をしました。
 「雷が来そうだから来たばかりで悪いけど帰るね」
 「ううう・・・」
 「ゴメンね」
 今までこんなに短時間で帰ったことはありません。

 病院を出ると西の空が真っ黒です。
 怪しげな風もいっそう強くなっていました。
 ツール・ド・フランスもかくやとばかり必死でペダルを漕ぎます。
 なんか面白いものがあったらカメラに収めてなどと思って出かけたのですがそれどころではありません。

 とりあえず帰宅まではセーフでした。
 雨にではなく汗にぬれたゴールでした。
 風は強まり、近くの田圃では稲が波打って揺れています。
 しかしもう余裕です。さあ来い、と身構えていました。

  

 来ました!
 しかしなんと、ほんのお義理ほどにパラパラとしたのみでした。
 これは第一陣でこれからだと思いました。
 しかし、「これっきり、これっきり、これっきり~ですよ~」でまた空が明るくなりました。
 ようするに、この辺にも少し撒いておこうかといったぐらいの気まぐれな雨なのでした。
 なんたるチア!惨たるチア!

 先ほどまでは「降るな、降るな」と祈っていたのに、今は「なぜ降らないんだ、このペテン師が」と空を見上げて罵っているのですから勝手なものですね。

 と、ここまで書いていたら、雷雨ほど激しくはないのですがパラパラと雨が落ち始めました。
 少し溜飲を下げた私なのでした。


【引く】
 引くものがない引き算をなおも引く
 地平線水平線を引き直す
 身を引いた分だけ潮が満ちてくる
 猫を引く皿引くそして吾も引く
*
  (*正しくは「猫を追うより皿を引け」)

<番外>
 また一人アドレスブックに線を引く

【昼】
 真っ昼間私の影が逃げまどう
 常識がピリオドを打つ白昼夢
 真昼にヤー ニーチェの髭の密なこと
 けらけらとやたら笑って捨てる昼


【鍵】
 鍵穴を抜けた光の粒子たち
 その昔もってた世界を開く鍵
 歪んでる鍵だからあく部屋に住む
 鍵穴がない鍵だけど捨てられぬ
  


コメント (2)
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