二匹の兄弟の犬がいました。
二匹とも、頭から尾の先まで真っ白でした。
(「尾も白い」などというつもりはありません)
兄の方の名前は「しろ」でした。
弟の方の名前は「シロ」でした。
こうして字にすると違いが分かりますが、音では区別が付きません。ですから、時折、困ったことがおこります。
「しろ!こっちへ来い」と人間が呼ぶので、シロがそちらへ行くと、「おまえじゃない!」といわれたりします。
「僕のスニーカーをシロがくわえてっちゃった」という子供の訴えに、「コラッ!しろ!いたずらをするんじゃないっ!」と叱られたりします。
そこで兄弟は相談しました。
その結果、これからは、名前を「白」とすることにしました。
今度は、字で書くと一緒ですが、音が違います。
兄の方は、今までどおり「しろ」にしました。
弟の方は、音読みにして「はく」にしました。
兄弟は、関係する人間を集めて、それを宣言しました。
人間たちは、「お前たちがそうしたければしそうしろ」といいました。
兄は、「ああ、よかった」と胸をなで下ろしましたが、弟の方は、最後の人間の言葉、「そうしろ」が、「しろ」や「シロ」、そして「白」とは聞こえたのですが、決して「はく」とは聞こえなかったので、少し淋しい思いをしました。
空を見上げると、白い雲がぽっかり浮かんでいました。
弟はそっと思いました。
「あれは、しらくもではなくはくうんというんだ」と。
二匹とも、頭から尾の先まで真っ白でした。
(「尾も白い」などというつもりはありません)
兄の方の名前は「しろ」でした。
弟の方の名前は「シロ」でした。
こうして字にすると違いが分かりますが、音では区別が付きません。ですから、時折、困ったことがおこります。
「しろ!こっちへ来い」と人間が呼ぶので、シロがそちらへ行くと、「おまえじゃない!」といわれたりします。
「僕のスニーカーをシロがくわえてっちゃった」という子供の訴えに、「コラッ!しろ!いたずらをするんじゃないっ!」と叱られたりします。
そこで兄弟は相談しました。
その結果、これからは、名前を「白」とすることにしました。
今度は、字で書くと一緒ですが、音が違います。
兄の方は、今までどおり「しろ」にしました。
弟の方は、音読みにして「はく」にしました。
兄弟は、関係する人間を集めて、それを宣言しました。
人間たちは、「お前たちがそうしたければしそうしろ」といいました。
兄は、「ああ、よかった」と胸をなで下ろしましたが、弟の方は、最後の人間の言葉、「そうしろ」が、「しろ」や「シロ」、そして「白」とは聞こえたのですが、決して「はく」とは聞こえなかったので、少し淋しい思いをしました。
空を見上げると、白い雲がぽっかり浮かんでいました。
弟はそっと思いました。
「あれは、しらくもではなくはくうんというんだ」と。