放射線の中でもがん周囲の正常細胞への影響が少ないアルファ線を使い、体内のがん細胞を狙い撃ちできる新しいタイプの薬剤を量子科学技術研究開発機構(量研機構、QST)が開発した。マウスの実験でがんの大きさが半分になることを確認したという。研究成果は米国核医学会で日本時間15日発表された。研究グループは臨床応用を目指している。
量研機構高崎量子応用研究所の石岡典子(いしおか のりこ)上席研究員らは、同研究所内にある加速器などを使用し、放射線の一つのアルファ線を放出しヨウ素と似た化学特性を示す元素「アスタチン211」を効率的に製造することに成功した。さらに今回治療研究対象にした褐色細胞腫の周囲に集積する性質がある物質にこの元素を組み込んで新薬剤「アスタチン211-MABG」(211At-MABG)を開発した。 Science Portal.,2016年6月16日