バイオの故里から

バイオ塾主宰・Dr.Kawanoの日々、収集している情報(DB原稿)をバイオ塾メンバー向けて公開しています。

“難産”の大型新薬、救世主はウエアラブル?

2015年07月23日 | 創薬 生化学 薬理学

大下 淳一=日経デジタルヘルス

 「新薬の承認数は年々減少しており、大型新薬が出てこない状況にある。今後はより小さな市場を対象とした、患者個々人に合わせた治療薬が求められる。そこでは、画期的な新薬を低コストで開発できる手法が必要だ」――。日経デジタルヘルス 2015/07/23

DNAナノテクノロジー: グラフ理論が切り開くナノスケールの3Dプリンティングへの道

2015年07月23日 | 医療 医薬 健康

ブックマーク Nature 523, 7561


DNAを組み立てる方法は、DNA固有の特性に起因する制約によって大きく制限される。このため、DNA折り紙のような方法で複雑なDNA構造体を実現しようとする場合、かなりの部分を手作業で調節する必要がある。今回E Bensonたちは、既存の手法では非常に実現しにくかったと思われる複雑なDNA構造体の設計と作製を可能にする一般的な方法を提示している。この方法では、高度に折りたたまれたらせん鎖の束ではなく1本のらせん鎖を構成要素として用いている。得られたナノ構造体は、バイオアッセイに用いる一般的な条件下で、従来のDNA折り紙よりも安定である。また、設計過程全体の高度な自動化が容易であるため、実用的なナノスケール3Dプリティングの可能性に一歩近づいた。Natureハイライト 2015年7月23日


寄生虫学: 薬剤スクリーニング用の改変型Cryptosporidiumブックマーク

2015年07月23日 | 医療 医薬 健康

Nature 523, 7561

消化管寄生性原虫であるCryptosporidiumは若齢小児の下痢症の主要な原因だが、これまで研究が難しかったために、感染対策に使えるワクチンは現在のところ無く、感染に対する治療薬もニタゾキサニドの1つしか存在しない。今回B Striepenたちは、クリプトスポリジウム症を引き起こすロバストな遺伝系について報告している。彼らはCRISPR/Cas9系を使って、スポロゾイトへのトランスフェクションを最適化し、それによってCryptosporidium parvumの遺伝学的修飾を行い、in vitroおよびin vivoでの薬剤スクリーニングに適した安定なトランスジェニック系列を作出した。この系を用いて、チミジンキナーゼをコードする遺伝子をノックアウトしてやると、Cryptosporidium野生株が抵抗性を示す抗マラリア薬であるトリメトプリムに対する感受性が上昇した。Natureハイライト 2015年7月23日

嗅内皮質のスピード細胞ブックマーク

2015年07月23日 | 神経 脳 リューマチ 疼痛

Nature 523, 7561

動物が環境中で移動するとき、大脳嗅内皮質でグリッド細胞が周期的な空間発火受容野を正しく符号化するには、動物の走行速度の情報を必要とすると以前から考えられてきた。しかし、速度情報を伝達するそうした信号の源は、これまで見つかっていなかった。今回、E Moserたちは、内側嗅内皮質(MEC)内の特定のニューロン群が、走行速度についての情報を発火頻度に基づいて線形に符号化していることを見いだした。この「スピード細胞」は、機能的に特化した他のMECニューロンとは異なるもので、移動速度を、状況とは独立に符号化する。Natureハイライト 2015年7月23日

移植への青信号:ゼブラフィッシュモデルで見られた幹細胞生着の増進ブックマーク

2015年07月23日 | 医療 医薬 健康

Nature 523, 7561

表紙は、新しい競合的骨髄移植系として働くように改変を施した成体ゼブラフィッシュである。造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)の移植は骨髄あるいは末梢血の前駆細胞の注入によって行われ、一部のがんや、血液あるいは免疫系の疾患の治療法として臨床的に用いられているが、HSPCが宿主に生着する仕組みは、まだほとんど解明されていない。L Zonたちは今回、成体ゼブラフィッシュで競合的骨髄移植系を開発した。この系では、成体の造血部位である腎臓をin vivo蛍光画像化することで、生着を計測する。このモデルを用いて生着促進活性のスクリーニングを行い、11,12-エポキシエイコサトリエン酸(EET)や14,15-EETなどのEET群が、転写因子Runx1が関わる発現プログラム活性化を介して生着やHSPCの細胞運命指定を促進できる薬剤であることが突き止められた。EETのこのような活性はマウスでも保存されており、EETを臨床で骨髄移植の促進などに使える可能性が示された。Natureハイライト 2015年7月23日