昨夜10:00頃、高齢家族からいきなり「“なんとかオガク”って俳優知っているか」と、彼らのトレードマークともなっている“雲を掴むようなクェスチョン”が久しぶりに飛び出しました。
情報を総合すると、「9:00過ぎ、片平なぎさのドラマを見ていたら、ニュース速報で“俳優○尾△”が麻薬で逮捕という字幕が入ったが、字が小さくて読めないうちに消えた」「速報テロップが入るくらいなら相当な大物の大ニュースではないかと思い、CMになってからNHKに変えてみたら何も詳報がない」「○尾△で俳優なら中尾彬ではないかと思うが、△は“学ぶ”という字に似ていたような気もする」とのこと。
…麻薬?“オガク”で“○尾△”で学ぶという字が付く俳優なら、月河がピンとくる人はひとりしかいません。PCを起こしてネットにつないでみたら、ホームページに一報が載っていました。
押尾学さん。失礼ながら何代目かの薬用ビューネくんのイメージで脳内止まっています。TVドラマ俳優でも、特撮か昼帯に出ててくれればもうちょっとシンパシーあったんですけどね。2時間ドラマなら高齢家族のシマでやはり引っかかったはず。01~02年頃になるのか、ブレイクほやほやな頃でもビューネくんの他はあまりメジャーどころのCMで拝見した記憶がないので、人気ほどは広告代理店的好感度のない人だったのかもしれない。
ここずっとアメリカを拠点にして日本での出演もなかった様子。冷たいようですが押尾さんの芸能生活の今後にはさしたる興味もありません。
若干気になるのは嫁の矢田亜希子さんのほう。女優としてこれからが熟れ頃というときに結婚、妊娠休業されてしまい、惜しむ人は多かったのではないでしょうか。今年春季の連続ドラマでTVに復帰という噂も聞きましたが、目視確認しないうちに放送が終わっていました。あまり話題にならない程度の出番だったのかな。いろんな意味で“無難”な出来だったのでしょう。
今般の夫君の逮捕で復帰立ち消えになってしまうとしたらかなり個人的に残念です。『白い巨塔』では凛としたお嬢さまイメージで、ストーリー的にはあまり好感持てないポジションでしたが、その後夕方の再放送枠で見たデビュー間もない頃の『愛していると言ってくれ』、豊川悦司さんの血縁のない妹役の、お転婆で鼻っ柱も強い、でもどこか律義で情のこわい感じが大好きでした。あの栞ちゃんが成長したような役で、昼帯に出てほしいんですがねえ。“より華のある高橋かおりさん”“カッ飛んでない小沢真珠さん”て感じで。
その前に一度ぐらい、夜枠で汚れ役を演っておく必要があるかな。昼帯のキャスティングって、夜の“高価な”枠に比べると全然イージーだと思われやすいのですが、実は非常にデリケートで、主婦を主客層とする洗剤やバストイレタリー会社がスポンサーになっているため、劇中で不倫しても、暴行されても、“女性、とりわけ主婦から拒否されない、嫌悪感を持たれない”女優さんじゃないとヒロインに起用されにくいのです。
しかも、月~金毎日アップで見る顔になるわけだから、土台がある程度美しくないとこれまた受け入れられない。
結婚出産後のビジュアル、復帰作を観ていなかったので未確認ですが、矢田さんの場合土台にはまったく問題ないと思う。再放送で1~2話観ただけで言うのもなんだけど、『やまとなでしこ』や『スウィートシーズン』など、むしろヒロインより女性視聴者の共感を掬い上げられる役をこなされていたと思うし、問題は押尾さんとの結婚(と言うより、結婚相手が押尾さんだったということ)によるプラスマイナスだけです。
女優さんが出産して子持ちになったということは当節、直球でプラス要素です。ただ、“父親押尾”“しかも麻薬で逮捕”はどうだろう。同情票でプラスと出るか。キズもの感がついてネガくなるかしら。
…“若干気になる”程度だったはずなのに、こんなに矢田亜希子さんについて考える夜が訪れるとは思わなかった。別に、何が何でも矢田さんヒロインの昼帯を実現させたいわけじゃないんですけど。特撮でケガレシア様(@ゴーオンジャー)とかオーキッドアンデッド(@仮面ライダー剣)のポジションで顔出しでもいいのですが。
すべては速報テロップを横目で見た高齢家族の雲掴みクェスチョンのせいです。しかし“俳優○尾△”で中尾彬に行くか。ご本人は知るよしもないでしょうけれど、トバッチリとはまさにこのことでしょうな。
『夏の秘密』第47話。増員した工場に立ち寄って「マンゴープリン食べない?奮発したんだからねー、食べましょー皆さん」と差し入れ広げるセリ(田野アサミさん)は、父親の死後工場が姉フキ(小橋めぐみさん)に託され自分の居場所がなくなったことを愚痴っていましたが、姉の温情で分割でも遺産は受け取れることになったし、「家を守るのは姉の役回り、自分は巣立って行くべき存在」とそれなりに折り合いをつけた模様。
恐るべきはやはり、新加入の工員諸君が寮代わりにしている夕顔荘に「お夕飯終わった?暑いときこそ熱いもの食べて元気つけなきゃねー」と揚げたてコロッケひとかかえ持ってくるフキですよ。伊織(瀬川亮さん)との結婚も軌道に乗せ“勝ち犬”までもう一歩のところまで漕ぎつけたいま、たまにしか帰ってこない妹を仮想敵に、従業員諸君の歓心を張り合う必要なんかまるでないのですが、“女としての自分の優秀さを自己確認するツールとして‘手料理’を繰り出す”のはまさにフキのアイデンティティそのもの。
ドラマ初盤、紀保(山田麻衣子さん)の潜入直後も、伊織の朝食にと焼き魚の切り身を差し入れたり、鬼のように納豆を掻き混ぜたりしていましたね。今話は褒められたいターゲットの伊織への攻撃ついでに、伊織をリスペクトする新入工員諸君も巻き込んで「できた奥さんだ」と思わせ味方につけようという魂胆、その魂胆が考え抜いた末の計算でなく、思いつきでも本能で射抜いてしまうのがフキ。
「こういう女性なら、こういう状況で、こういう局面で、こういう行動をとるだろうな」と思うその通りを、すがすがしいくらい劇中でやり切ってくれちゃう。なんかこのドラマ、最近“メインディッシュがフキウォッチング”化しつつありますな。
まずいまずい。紀保(山田麻衣子さん)がヒロインなんだから。でも41話の一線越え翌朝も、朝食に食べる食材は伊織が買いに出て、その間に紀保、去っているしね。心で結ばれるためには、甘いもの苦手な伊織にフレンチトーストってわけにもいかないだろうから、納豆のひとつも混ぜて…って、でも“料理作りの食べさせの”が男女の絆になるような表現は無性にイヤだなぁ。方法論としてはアリなんだけど、このドラマに限っては、それ使うと“安くなる”気がするんですよ。
凡庸な昼帯ドラマなら、“ヒロインへの嫉妬に狂った恋敵のトンデモ料理”が定石になるところ。対ヒロインで“女”戦線において劣勢になると“料理”で巻き返しアピール&男への釘刺しをはかる方向へ、フキがいまだ行かないだけ、ドラマとして節度とプライドがあると申し上げておきましょう。