イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

面倒カフェ

2009-08-09 22:55:21 | お笑い

『爆笑トライアウト』(72455~)、『オンエアバトル』の二軍的性格でスタートしたこの番組も、ようやくこの番組単体として楽しめる地合いができつつあるように思います。『オンバト』未オンエア組限定という顔触れのフレッシュさと、オンバト本戦より2分短い3分以内という制限がもたらすネタ個々のテンポ感と密度も相俟って、レベルが低いとか玉石混淆といった意味での“二軍戦”にとどまらない、本戦とはひと味違ったライブ感の、新鮮なネタ番組になってきた。

 今週は特に、TV視聴での印象がわりと直球で会場審査の玉入り具合と一致したほうではないでしょうか。観ていて「これはキタでしょう」と思った組に、そのまま玉が入った。

井下好井(いのしたよしい)は529kbの数字通り出色の安定感。ちょっと前回のあきげんと似た肌合いの芸ですね。大爆笑はないんだけど、演じがこなれていてボケの間隔にリズムがあり、結果的に隙間なく笑える。色白のボケ好井の女役喋りの、異常なまでの手慣れっぷりも目を惹きました。

ただどれくらいのキャリアのある組かわかりませんが、ますだおかだ・品川庄司・イシバシハザマ式に本名を並べたコンビ名が、字ヅラは簡単なようで、スッと読みにくいですな。その分、覚えてもらうと忘れられにくいかもしれないけど。

今回唯一のピンエントリーということだけでも目立った我人祥太(がじんしょうた)が2497kbを叩き出し井下好井とともに本戦挑戦権獲得。こいつチョットずるいよね。「その後 彼の姿を見た者は無い…」で退場されたら、意地でももう一回出させたくなるじゃないかと。2ネタめの「手ブレ」でかなりツカんだものの、1ネタごとのオルゴール音でテンションがいちいち途切れるし、あからさまにかつてのヒロシを思い出す一発屋臭芬々な芸風ですが、一度くらい『オンバト』で反応を見てみたいとは思う。芸名の“祥太”は本名かな。“臥薪嘗胆(がしんしょうたん)”からの造語かしら。

3位以下は、今回、ボケ役の“リキみ系ヘン顔”が目立ちました。445kb3位と、惜しいっちゃ惜しかったしゃもじは、2人揃って冒頭、ツッコミに関してはネタ中ずっと、声が通らなかった。中盤からオチまでアンパンマンネタというのもどうなのか。ドラゴンボールなど、老舗どころのアニメやコミックはよく若手の諸君がネタにするけれど、読んでない、知らない人も大勢いるわけだし、プロのネタ作りとして志が低過ぎやしないか。

ヘン顔はしなかったけどグーとパーももろにアニメネタでしたが、設定がバカバカしすぎて逆に志の低さは感じませんでしたね。ドラえもんとゲゲゲの鬼太郎、どっちも“言われないとわからない”コスプレの微妙さ、おまけに揃って関西弁というのが妙に脱力で笑えましたが、293kbと低評価。

ガルウイングはボケの「思い出したぁー!」が、ヘン顔つきでチカラ入ってるにもかかわらず、いちいち、わざわざネタの流れを断ち切ってしまう。「スイカじゃなくて気のセイカ」「郵政民営化の波」など、ボケ単体ではそこそこキレはあるので、ボケがリフレインされるたびにちゃんと笑いを増幅していくような構成を考えたほうがいい。やはりこうして考えると、『オンバト』本戦ベテラン常連のパンクブーブーギャロップは一枚も二枚も上だということがわかりますね。

ビートルホークも同様。ボケ2発めの「DVDレコーダー」でかなりツカんだと思ったのに、3発め以降エスカレートしていかず、逆に汎用性を欠きショボくなってしまった。「普通に帰ったからな……ビビッたじゃねーか!」は結構キテたのに、そこまでのレールが上昇曲線を描いていないので大爆笑にならない。ピーク3分以内と言えども、3分以内だからこそ、やはりクライマックス→オチの流れを作れないと弱い。

ヘン顔系の中では、さらば青春の光が頭ひとつ抜け出ていたと思いますが、やはり視聴者投票1位を獲得して本戦出場権。いちいちズレてる教師役のボケがクチがっぱーん開けて激昂する可笑しさよりも何よりも、生徒役のツッコミの、淡々としつつも要所でキレのいい機能ぶりが、アタマひとつの勝因だと思います。今回、“ボケのヘン顔押し”で敗退した組は、軒並みツッコミが精彩を欠いた。

 ビーフケーキガリベンズ劇団イワサキマキオは、それぞれちょっとずつ長所はあるんだけど、ひと言で言って“自分らの世界に入り過ぎ”。しかもなおかつ、その世界に観客を引き込む握力や牽引力が弱い。

最近、オンバト本戦でもこのトライアウトでも、漫才に比べてコント勢にいまひとつ強力な新顔が出ない傾向が続いていますが、お芝居やドラマが、脚本さえ良ければ必ずおもしろくなるわけではないように、コントは漫才にはないハードルがある。まずいきなり着想の斬新さ大胆さが要求されるし、“地”のキャラに頼らない演技力、装置やコスチュームのセンスも必要。歴代のオンバトチャンピオンを振り返っても、コント押しで上り詰めたのはアンジャッシュだけでした。

いまオンバト本戦の常連上位に生き残っているコント勢と言えば、ラバーガールななめ45°フラミンゴノンスモーキン辺りかな。東京03は卒業しちゃったし。そろそろフレッシュなコント職人の登場も待たれるところです。

コメント (2)
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