戦隊シリーズの全曲集は放送終了後に買うと毎年決めていたのですが、今年は14日発売『炎神戦隊ゴーオンジャーSONG GRAND PRIX』(期間限定で左柱←←にアップ中)をはやばやと入手してしまいました。
実は昨年11月に、CD店に予約だけして、受け取りに行くのは2月第2週以降にしますと伝えておいたものの、なんとお店が入居している商業施設の、3月いっぱいでの閉鎖が急に決まり、予約商品は管理上、入荷次第引き取ってほしいとハガキと電話で連絡があったのです。店長さんさえ年明けまで知らされなかったのだとか。不況の波高し。
ま、リリース発表前から、出たら食いつく勢いで待機していたタイトルで、「毎年クリスマスの頃には出るのに、今年は遅い」なんてヤキモキしていたぐらいだから、予定より早く引き取らされて迷惑なことはひとつもなく、むしろ歓迎ですけど。ちなみにCD店は近くの空き店舗に移転して営業続けるそうです。その気になればいくらでも空きがあるのも不況のいち側面。
そのうち、“その気”も誰も持たなくなるかもしれないけれど。
それはさておき、『ゴーオンジャー』はここまでキャラクターソングだけのアルバムはリリースされていません。これは例年キャラソンファンとしてはちょっと物足りないのですが、週替わりで流れた番組EDテーマ『炎神ラップ』シリーズは、ぜひ全炎神分+ガールズのG3プリンセスラップ、ボーイズのG5プリンスラップもまるごとコンプリートしたいと思っていて、全曲集『SONG GRAND PRIX』を速攻予約したのは半分以上コレのためでした。
言わば、キャラソンの炎神ヴァージョンですな。これらが完録されているので、人間のほうのピンのキャラソンはガールズだけだけどまあいいかな、と思える充実度。
レッドのスピードル、ブルーのバスオン、イエローのベアールV“炎神ファーストラップ Type Normal”
グリーンのバルカ、ブラックのガンパードに、ジャイアン族キャリゲーター“同セカンドラップ Turbo CUSTOM”
ゴールドのトリプター、シルバーのジェットラスに教官ジャン‐ボエールのウイングスチームは“同サードラップ AERO Dynamic CUSTOM”
古代炎神キシャモス、ティライン、ケラインは“同ファイナルラップ Type Evolution”
さらに劇場版のEDテーマ“同エコラップ RECYCLE CUSTOM”と、たぶんTV最終GPのED専用と思われる“炎神ウイニングラン Type Formula”も全曲集には収録されています。
フルでルビつきの歌詞カードがついているのも、当たり前だけどラップ部分の聴取が難しいので有難い。実はガンパードが“シェパード”モチーフだということを今回「♪ワン!ダーポリス GO!」のくだりを字で読んで初めて知ったんですよ。ここに感嘆符入るか。“レパード(豹)”だとばかり思ってた。1年近く勘違いしていたことになるではないか。『デカレンジャー』を思い出すまでもなく、刑事=イヌに決まっているのだった。
男子メンバーのピンソングはない代わりに、年明け一発めのGP‐45のEDに使われた“G5プリンスラップ BONバイエ★Limited”のほか、同GP‐45劇中で披露されたオリジナル曲『君とギュッと♪』がフルで、ラップつきで収録されていますぞ。ゴールド大翔の徳山秀典さんが作詞作曲。たぶん今作のボーイズの中ではいちばん音楽的センスも実績もあるのが徳山さんで、あとの4人はギリギリどうにか絵にしたって感じ。いや、(かりにあったとして)ユニットのライブコンサートのOPとアンコールにでもやったらほどよく席が盛り上がりそうな、いい意味で突き詰めない楽曲と仕上がりになっております。
突き詰めない分、リフレインで聴くと脳内無限ループになる習慣性きわめて大。劇中歌唱時の衣装なんかも想起してもらえば明白な通り、最近の、S恥心に代表される“なんちゃってアイドル”風潮のまるごとパロ企画と捉えられないこともない。徳山さんはそれ含みで詞曲づくりをしたつもりはないでしょうが。
ボーイズがピンやる度胸ない分(徳山さんだけは昨年11月リリースのサウンドグランプリ4&5で、ソロ曲『miss you』を堂々と披露されています)、ガールズは頑張っていて、早輝(逢沢りなさん)の『Smile×Smile』と美羽(杉本有美さん)の『夢の翼』はとことん可愛く、ケガレシア様(及川奈央さん)の『桃源郷』はミステリアスな味。今年は正義の側の女子メンバーが2人とも“妹要素”のキャラなのがおもしろいですね。2人いるとたいてい、どちらかが或る部分お姉さんっぽくなることが多い。ここらは敵側に最強おネエさま・ケガ様がいたことがあずかって力大。
もちろん“G3プリンセスラップ PRETTY LOVE☆Limited”もフル収録。こちらは劇中では9月のGP‐31ロムビアコ撃退回が初お目見えだった。ピンクのオーガンジーのフワフワ衣装、ブリブリ髪型はやはり“80年代アイドル”のまるパロと見えなくもなかったけど、こちらは3人のガールズ(3人のガールズね断固)の「こういうの一度はやってみたかった」気持ちが、野郎たちに比べて前向きな分、素直な出来。
以前にもここでちょっと書きましたが、今年の『ゴーオン』は味方側も敵ガイアーク側も、強固な“組織”をイメージさせる密な空間がほとんど出て来ず、ゴーオン側はギンジロー号だけ、ガイアーク側はヘルガイユ宮殿の一室だけ。ロケ回数や場所のバリエーションもかなり絞っているし、まとまったギャラを要しそうなベテラン大人俳優さんのレギュラーインもなし。近年の戦隊の中でも、身もフタもなく言えばいちばん、TV界を覆う予算不足の影の色濃い戦隊ではあるのです。
でも今般の全曲集を聴いていると、おカネがショートな分アタマとセンスはぎっちり絞ってとことん注入しましたという満腹感があります。戦隊メンバーだけではなく、非・人間のパートナーである“炎神”のキャラがしっかり構築されているし、一体一体カッコよく称揚されているのがわかる。
実は来月8日の最終GPが近づくにつれて、ゴーオンメンバーと同じくらい炎神さんたちが名残惜しくなりつつあるんです。初回を見たとき「CGアニメかよぉ直球で子供だましだなあ」と思った自分にスーパーハイウェイバスター(砕)。
昨日(18日)GP‐47で、総裏(そうり)大臣の正義解散剣を受けアミーゴ(=範人)相棒(=軍平)とともに消されちゃったバルカ、ガンパードも最終GPでは戻ってきて7人&12体の炎神総名乗りが見られますように。
ちなみに、炎神ラップの中では、ラップ部分のバックに3体ごと違う音が潜ませてある“セカンド”が月河の最フェイバリットです。特にキャリゲーター篇に入ってすぐ、和のリズムが入るところが好き。
ゴーオンウイングスのテーマ『テイクオフ!ゴーオンウイングス』は70~80年代に人気のあった男女4人組ユニット・サーカスの、航空会社CM曲『アメリカン・フィーリング』なんかをちょっと思い出させる浮揚感あるコーラスだし、同じく70年代地獄ロックのKISSとか、漫画『デトロイト・メタル・シティ』のクラウザーさんなどを連想せずにおれないガイアークのテーマ『害悪産業革命宣言』もよくぞ作りに作った。
在京キー局各社大幅減益か赤字で、“製作に最もカネのかかるコンテンツ”であるドラマ界はいちばんワリを食う時代が続きそうですが、本来、商品“本体”ではなく脇役にすぎない音楽にまでこれだけ高体温を維持できるところをみると、スーパー戦隊は当面、“製作にのぞむ精神、スピリットの貯金”でじゅうぶん切り抜けて行けそうです。