三々五々

国公立大学の合格発表も手伝ってか、塾内は夜が更けるにつれて賑やかになる。

竜太（18期生・立命館大学文学部心理２年）がオムライス土産に登場。

オムライス、里恵（７期生）がほおばり、さらにれい（18期生・三重大学教育学部３年）が明日発表の由梨佳（22期生）に食べさせる。

明日は高２の塾生を連れて合格発表見学ツアーで名古屋市立大学へ。

 

瞭（20期生・名古屋大学工学部機械航空２年）の授業が始まり、久しぶりに祥（17期生・４月より高校体育教諭）が、龍神（17期生・慶応大学法学部４年）が、さらに睡眠十分の諒（21期生・三重大学物理工２年）もやって来る。そりゃ、当然にやね・・・

龍神と祥、この４月から社会人だ。こんな機会もぐっと減る・・・。

 

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27期生たち

中２の晶帆（あきほ）がやって来る。三平方がらみの相似を教えようと机の前に座ると一枚の紙がある・・・「なんや、これ？」　「実力試験の範囲です」　「さすがに津市内有数の進学校の橋北、さっそく実力試験の第一回か。やること早いわ。で、いつや」　「13日」　「13日・・・」　カレンダーを見る・・までもなく、公立高校の受験日やん！　おいおいおい。

相似中止・・・第一回実力試験の範囲表を奪い取り、理科の範囲を眺める。中１の１分野全範囲・・・晶帆は将来医者にするつもり。家業の鰻屋を継いでも鰻をさばく、医者になっても人体さばく・・・同じようなもんだ。ゆえに理科の１分野は絶対に落とせない。そして新課程を踏まえて社会の地理の範囲がどうなるか・・・やっぱな、日本地理が各論で来よる。今回は近畿地方と九州だ。となると次回の２回は瀬戸内と中部か・・・。まずは中１の実力テストから入る・・・久居中の去年の問題だ。簡単な圧力とレンズの問題が並んでいる。

しかしやね・・・あとは久居西の学年末だけやと思とったら、再び戦線拡張・・・今度は新中３の実力試験と来たもんだ。

ウチの中２、新中３は鈴鹿や松阪をも含む全10中学からやって来ている。今年も１年じゅう戦争騒ぎだ。

 

中２の淳嵩（あつたか）がやって来る。因数分解はほぼ分かっている。二次方程式の解き方を教える。勘はいい・・・すぐに理解したようだ。しばらく計算をさせてから、三平方は理解してるので三平方の相似に入る。

密航者の真樹が塾を続けてくれるとか・・・ありがたい。内申がそこそこあるのもありがたい。そして今回の学年末、１年１学期以来の400点以上を叩いた嬉しい誤算。その真樹、平方根からさつき（21期生・名城大学人間学科２年）の指導で二次方程式に入る。

昨日試験が終わったばかりの安呂巴（あろは）がやって来る。何はともあれ、まずは平方根。

 

何度も言うが、中３の夏休みから高校数学に入る。・・・私立６年制に負けたくないのだ。

 

 

 

あと５日

昨夜から徹夜の諒（21期生・三重大学工学部物理工２年）は少し寝ると言って家に帰っていった。里恵（７期生）も真ん中の部屋のロフトにもぐりこんだ気配。俺もまたしばし仮眠。

コピー用紙を買って塾に戻る。塾の前の横断歩道を瞭（20期生・名古屋大学工学部機械航空２年）が歩いている。手を振ったが気づかない。バイト料を貰いに来たか・・・もうすぐ韓国へ２泊３日、その後でインド一週間だ。

真ん中の部屋では龍神（18期生・慶応大学法学部４年）がタバコを吸っている。「だめでしたか」　「ああ・・・」　里恵は眠剤を飲んだようで、俺たちが話していても起きないはず。龍神の赴任地が名古屋に決まったとか・・・明日、さっそく名古屋支店へ出向くそうな。「そんなことより、明日が成績発表なんっすよ。いやあ、怖くて怖くて」　「ネットで見られるんだろ？」　「ええ」　「じゃあ、塾でいっしょに見よや」　「勘弁してくださいよ！」　里恵の起きる気配はない。　

諒は夜にでも来ると言ってた。さっき『コメダ』から里恵が竜太（18期生・立命館大学文学部２年）に連絡、竜太も夜に来るって言ってたな。そして瞭、夜に物理の授業だ。そして明日は龍神、自動車学校はない。ゴメンね、友希（22期生・同志社大学経済学部１年）。今夜は面子が集まりそうだ・・・。

 

物理の授業、文哉（久居１年）と健人（松阪１年）と佑弥（日生４年）のグループを再来週から水曜日に移動、それとともに講師を勇太（三重大学工学部機械工２年）にシフトするつもり。

 

大学受験前期の発表が続くなか、新学期への準備が始まっている。そして最大難関の高校入試、・・・塾を始めてから最悪の展開での高校入試が控えている。あと、５日だ。

内申がある生徒はたった２人、それ以外は10％枠の第三次で勝負する生徒たちばかりだ。内申がある晶帆にしても、私立の滑り止めなしで激戦区の津東で勝負する。23年前に父親を落とした津東、運命のいたずらと言うしかない。

例年なら、確実に受かるという生徒が半分はいる。それが今年は一人としていない。全く夜目の利かない状態でほんの少し明るい場所を目指して這い進む。

 

明日は名市大の合格発表だ。裕香（松阪２年）と真央（津２年）が行きたいと言うなら連れて行くつもりだ。・・・２年ぶり、どこで発表するか分からずにうろうろしてたあの時から２年経つ。

 

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三重大学合格発表

娘のあいによれば「お父さんのブログは間違っている。私は反抗期の娘じゃなくて思春期の娘なの」

たまには休戦協定・・・って、これからは娘の履歴が津高３年から三重大学ってなるわけだが、俺はまだ学部を聞いていないんやけどな・・・。

そして三重大学合格発表会場でこなつ（23期生）に遭遇。かつてウチの塾で高校入試を経験、津高進学後にフライトアテンダンスの夢の断念とともに塾を離脱。再び看護師になる夢を抱いて三重大学に臨む。合格おめでとう、こなつ。ちなみにさつき（21期生・名城大学人間学科２年）の妹でもある。

合格発表会場への密航者は俺と諒（21期生・三重大学工学部物理工２年）と里恵（７期生）の３人。会場を後にして『コメダ』でひと休み。そこへ谷（６期生・ユニバーサル造船）がやって来る。賢妻から「行きたいんだったら行ってきたらいいじゃない」と言われて登場。これ幸いに「２年後には日本の建造艦がなくなるかもしれない」とする数日前のニュースについてのレクチャーを受ける。

 

一つ終わった・・・まだ途中だ。

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二人で見た夢

ここ数年の俺の夢、そして塾の夢には届かなかった。

「離婚できる自由を！」をスローガンに掲げ、香保（22期生）と共に歩んできた夢だった。

己の仕事にプライドを持って生きていく・・・そんな女性を一人でも多く育てたい。その想いが尽きること、俺が死ぬまではない。しかし、それでもやはり落とすのはつらい。