アキラの懸念。
和輝の記憶するスピードの遅さ。
昨夜は中3の徳大と日清戦争と日露戦争の俺が打ったプリントを解説。
その後に30分してから試験・・・設問は50問。
下関条約の内容を4点、ポーツマス条約の内容を5点書くという高校入試レベルを凌ぐ詳細さではある。
しかし、たかだか50問。
それが中3の徳大に大きく差をつけられる。
「記憶ってやっているうちに速くなるんでしょうか」とアキラ。
「なる! ・・・そう思ってなくっちゃこの商売はできんけどな」
「しかし、あまりにも遅すぎる」
スラム街のベッドで起きる。
人の気配・・・朝から勉強していたのは良幸。
どうやら昨夜の鈴鹿高専の数学が解けなかったことが原因か・・・。
ともあれ少しは本気になってくれないとおもしろくない。
三重県統一がいかに簡単なテストなのかはこの数日間でよく分かったはず。
高専は数学ができて当然。
勝負は英語と国語に尽きる。
亜里が今日も欠席。
そろそろ出張授業を考えてみようか。
中3の夜は鈴鹿高専の社会と英語がメイン。
社会は簡単・・・平均点は70点を軽く越えるだろう。
そして英語も徐々に解きやすくなってきている。
鈴鹿高専シリーズの1日目が4年前、2日目が3年前、そして今夜が2年前の試験だ。
ほぼ全員の点数が上がってきている。
内容も読みやすくなっている。
そして生徒の実力もついてきている。
ただ、皮肉なことは鈴鹿高専を受ける生徒の出席率が悪いこと。
春華(宇治山田高3年)を久居駅まで送る。
春華は昨日と今日、最後の駿台模試。
出来は今まで出一番といっていいほどに悪かった。
「落ち込んでる暇なんかないんだよ」と俺。
「それは分かっている」と春華。
「それならいい。・・・精神は太いほうがいい」
「うん」
「そして、身体は細いほうがいい」
「・・・だってさ、うち、お父さんより骨が太いんやもん」
「ははは、気にしてるんや」
「当たり前やん」
「今のセリフを昔、やはり家まで送る車の中で愛に言ったんさ」
「愛先輩って東京大学の先輩?」
「そうそう、身体は細いほうがいい・・・そう俺が言ったらさ、愛のやつ、”先生、その口なんとかなりませんか!”てさ」
「ギャハハハ・・・」
まあ、こんなギャグでしのぐしかない。
ついてないことはあるのだ。