ダチのブログを見るのが日課だ。
シュウちゃんとこでは冬将軍到来とかで30cmの積雪。
これでスキー場は稼動できるようで、これから三ヶ月ほどの冬眠生活が始まるわけだ。
アキラの親父んとこでは降りそうで降らないらしい。
シュウちゃんやアキラの親父が住む日本海側とちがい、こっち側も冬に入った。
昨夜『楊家将』が佳境に入った時刻、午前3時。
足元から冷気が忍び寄るなか、階段を上がってくる足音。
こんな時刻に誰や?・・・中3の真奈が姿を見せる。
「忘れ物か?」
嬉野ツアーから戻ったら真奈の姿はなかった。
「うううん・・・英単語の試験」
「今頃からかい、それも酔っ払いを相手にか」
「だって、お母さんが寝るの待ってたんやもん」
「不良少女やね」
夏休み同様、昨日から英単語の試験が始まった。
鈴鹿高校平成14年度と暁3年制平成19年度の試験で出題された英単語だ。
student counsil やら rob やら injure やらと、勇ましい高校初歩の英単語のオンパレードだ。
大学受験を踏まえて、この時期に私立高校の試験に出題された英単語を拾っていく。
一歩でも前へ、一歩でも大学入試へ、・・・一歩でも近づく。
深夜3時の英単語の試験。
出題数180・・・俺が英単語を発音し、生徒が瞬時に意味を即答していく諮問形式。
1単語2秒で即答すると180単語で計360秒・・・6分。
リミットは10分だ。
こういう地道な作業を厭わない真奈のこと、ミス3の7分で終了。
真奈の試験をしながら、今年もまた冬が始まったことを実感する。
今月から高2が臨戦態勢に入る。
高校受験とは違い、大学センター試験は1月実施だ。
中3進級時の春休みの感覚がこの冬休みだ。
大学入試まで待ったなしの1年。
高2は今週の試験終了後に速やかに英単語の試験に入る。
2年前の冬、この時期に愛(東京大学2年)やら龍神(慶応大学2年)やらの英単語のレベルがどの程度であったのか・・・それを堪能してもらうつもりだ。
今年の冬は、過酷な冬になる。
彩加(津西3年)が言う。
「先生、三重大学医学部看護のセンターボーダーは65%くらいやよ」
「なんで!」
彩加が持ってきた河合塾の資料を見ると、なるほどその通り。
かつて佳子で勝負した頃のイメージ、あの頃は医学部に看護ができてすぐの頃で全国的にも国立大学の医学部看護は難しかった。
この5年程でボーダーが下がってきたんだろう。
「でもな、何があってもセンターは70%以上叩けよ」と俺。
いっぽう、春華(宇治山田高3年)の横浜国立大学。
春華が望む教育人間科学マルチメデァ、ここは当世流行の学部だけあってセンターボーダー80%弱とこの学部では最難関ともいえる。
かたや同じ横浜国立の教育人間科学でも、地球環境なら65%あたりだ。
全てはセンター次第となる。
梨紗がやって来る。
「どやった、国語」
「90点でした]
「となると遂に・・・」
「435点でした」
長い長いため息をつく。
ウチの塾に密航してきた頃は5教科の合計点数も覚えていないような女の子だった。
感慨はある。
ところが感慨に浸ってるときに弦太登場。
「先生、これ試験っす」
「これってアンタ、何点やった?」
「492点です」
あああああ、梨紗の感慨が・・・。
末娘のあいがやって来る。
「何点やった」
「5教科で445点です」
「取れそうで取れない450点でんな」
「でも、国語は良かったですよ」
「何点?」
「94点」
「そりゃ良かった・・・里恵姉ちゃんが喜んでくれるよ」
ここにきてやっと、強張ったあいの表情に笑顔が宿る。
今まであいのテストの点数で怒ったこともなければ、けなしたこともない。
関心がないというよりは、親子ゆえの煩わしさを戦場では避けたいのだ。
子供は親を選べない、・・・その意味ではあいはついてないのかもしれない。