昨夜は午前1時に奈々子を送った。
少し前に森下(立命館大学院声明倫理)が京都から戻ってはビールを飲んでいる。
送ることもあり、また疲れもたまっていたようでおとなしくしている。
里恵が俺の顔を見てつぶやく・・・ひどい顔色やねえ。
奈々子と話しながらクルマを走らせる往路はともかく、復路は中勢バイパスがすいているだけに睡魔が襲う。
なんとか塾に戻り、森下と残りわずかな『佐藤』をいとおしむように飲み始める。
いつしか底をつき、ならばと『鏡月』に手を出すが味はかわらない。
「あんまりかわらん味やな」と俺。
「全然違うやろ!」と森下。
師走である。
自分のことを師とはこそばゆいが、とにかく走る一日となった。
「お忙しいのに、わざわざ来ていただいて」と挨拶されるものの、それが仕事だ。
生徒のためならどこまででも走る。
去年の暁3年制の数学と社会・・・軽い。
これから夜にかけて理科と英語と国語だ。
今日は全国統一センター模試。
絵梨香は受けているが、れいは受けていない。
一日中座っているのがきついからだ。
各高校で実施する場合は、センター試験と同じ時間割で昨日と今日の2日に分けて実施している。
一般生や浪人の場合、一日で一挙にしちまう。
各クラスに担当官を置く以上、人件費との兼ね合いだろうが、なんとかならんかね。
それにしても絵梨香の国語と英語だ。
塾でやるときと実際の模試との乖離が甚だしい。
志望大学を名工大にアップした以上、とりこぼしがきかない。
確かに志望をあげたことで日常の生活スタイルに変化は見られる。
以前の重役出勤から比べると早く姿を見せるようになった。
その気持ちが模試に反映すればいいのだが・・・。
英作文の授業が終わった森下が佳央理(津東3年)と少しばかり話したとか。
佳央理の調子は悪い。
現代文の点数が伸びないこともある。
まあ、英語のほうもなかなか動かないのだが・・・。
落ち込む気持ちは理解できなくもない。
やけになりたいのも分かる。
すねるのだけは勘弁してほしいが・・・。
森下だけでなく、昨夜は里恵も話してくれたはず。
自分は心配されている・・・先輩達に感謝することだ。
今この一瞬をどのように過ごしても受験日は変わらない。
朝起きたら試験までのカウントは一日減っている。
当たり前のことなのだ。
苦しい状況でクサッちまうとそれが癖になる。
その癖は大学生になってからも社会人になってからもヒョイと顔を出すはず。
つまらない人生だ。
ここは感情に流されることなく全てを受け入れるべきだ。
かつてウチの塾の広告に富永(7期生)が書いた一行作文を謹んで進呈する。
『苦しいときが上り坂』