弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【本日も】改正著作権法 part5【改正!】

2012年10月05日 01時59分09秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
おはようございます、というか、これ書いたら寝ます。

今日は、「検討の過程における利用」

条文は、こちら。

(検討の過程における利用)
第三十条の三
著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは
第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用に
ついての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用
に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、当該著作物を利
用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし
著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。




ま、たとえば自社のイメージキャラクターとして巷の既存のアニメキャラを採用するかどうか、
社内役員会議で検討するときに、その資料に当該アニメキャラが載ってないと
検討の使用もないもんねぇ。

でもまあ、度を越して、たとえばアニメとかその原作の漫画とかを
まるまるコピーして会議参加者に配布する、とかなると、
「必要と認められる限度」を超え、あるいは「著作権者の利益を不当に害することとなる」
ために侵害となる、ということだな。


…昨日もおんなじことを書いた気もするが、
わざわざこんなこと規定しないといけない現行の著作権法って。。。
なんか、「保護」と「利用」の調和が全く取れてない気がするなぁ。

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【明日って】改正著作権法 part4【言っちゃったもんなぁ…】

2012年10月04日 09時52分16秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
さてさて、

今回の著作権法改正について、もっとも信頼できる情報ソースとして、
文化庁のHPにリンクをしておきます。

一応ここの記載は、一般の人向けに書かれているので、
まだ多少読みやすいんじゃないかなぁ、と。

それでまあ、ここに書いてあるように、
今回の法改正のポイントは以下の5つ。

(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
(2)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備
(3)公文書等の管理に関する法律等に基づく利用に係る規定の整備
(4)著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備
(5)違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の整備


昨日まで話題にしていたのが、(5)。
施行日がそれぞれちょっと違って、
(3)~(5)は平成24年10月1日、つまりすでに施行されている。
(※(5)のうちの国民への啓蒙関係はさらに前に施行されている。)
一方、(1)・(2)は、平成25年1月1日から施行となっている。

今日からは、
(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
について、ちょっと覗いてみたい。

新しい条文は、こちら。

(付随対象著作物の利用)
第三十条の二
写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)
の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において
「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離すること
が困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物
における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、
当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。
ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし
著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物
の利用に伴つて利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに
当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。


【いわゆる「写り込み」って?どこまでが該当するの??】
この条文、難しい。
Q&Aの具体的事例としては

・ 写真を撮影したところ,本来意図した撮影対象だけでなく,背景に小さく絵画が写り込む場合
・ 街角の風景をビデオ収録したところ,本来意図した収録対象だけではなく,看板やポスター等に描かれている絵画等や流れていた音楽がたまたま録り込まれる場合


が挙げられている。
だから、
某テーマパークでキャラクターと一緒に撮った写真をブログに載せる とか
街角の風景として特定の看板のアップから出演者にフレームを動かすような演出 とか
は、「軽微な構成部分」ではなく、「本来意図した収録対象」になってしまうから
この例外規定にはあたらない、ということになるわけだ。



…こういうのを、成文化して規定しなきゃいけない状況に
いまの著作権法のいびつさを感じてしまう、といったら暴論だろうか?



ともあれ、
既存の権利制限規定では「目的」に応じて規定されていたのに対して、
「結果として」写ってしまった、といったようなものも権利制限する、という構成は
確かにこれまでよりは改善されているのかなぁ。

蛇足だけど、
文化庁が作成している「概要」の挿絵は、あまりにミスリーディングな気がする。
これじゃ到底「軽微な構成部分」ではないような。
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【今日も】改正著作権法 part3【懲りずに】

2012年10月03日 09時02分42秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
続き、です。



ここまで書いたことだけ読むと、

“やっぱりなんかこわいから、もう何もダウンロードできないよー。”
というふうに考えてしまう人もいると思う。

でも、以下の二つの点を確認しておきたい。


(1)一つは、「故意犯」のみが処罰の対象である、ということ。
 これは昨日も書いた通り、
 「有償著作物等」であること、 そして
 「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であること
 の2点を認識していることが必要。

 だから、ダウンロードする前に、
 著作権者(映像のクレジット等から確認)とアップロードした者
 との関係を確認しておけば、回避することができる。

(2)もう一つは、「親告罪」である、ということ。

 条文上は、下記の通り。

第百二十三条  第百十九条…(中略)…の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

 だから、現実問題として
 違法ダウンロードした者を権利者が直ちに特定して告訴、
 という状況は、実質考えにくい。
 現状でも普通は動画サイト運営者に対して削除申立てが行われているし、
 “元から絶つ”方が効率的。
 特定のダウンロード者を狙い撃ちする動機に乏しい。

そんなわけで、ある日突然著作権侵害で逮捕勾留される、なんてことは
まだ今のところなさそう。


但し、これが「非親告罪化」するとなると、とたんに話の意味合いが変わる。
なんたって、誰でも告発できるし、警察も自発的に動ける。

「非親告罪化」は、今回の法改正には含まれていない。
が、今後の展開次第では、全くありえない状況ではない。
TPP、というと、関税廃止による国内農業従事者のダメージ、という話ばかりに
目がいきがちだが、実は「著作権侵害の非親告罪化」が交渉テーマに含まれている、
といわれる。
(この点、一次ソースを確認していないので間接情報レベルですが、
 「著作権」「非親告罪化」で検索すると、この話題に触れたページが
 たくさんヒットします。)

こんな感じで、色々とややこしい制度ではあるけれど、
生活にはとても関わりの深いことなので、
興味をもって監視するようにしたいものです。

明日からは、「違法ダウンロード」以外の改正項目について、ちょっとずつ言及してみたい。
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【意外と】改正著作権法 part2【好評なので…】

2012年10月02日 08時51分45秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
昨日のエントリのせいか、pvが跳ね上がっていた。意外。

今日は、続き。
今日は、ちょっととっつきにくいところで、

「そもそも、改正条文にはどう書いてるの?」という点について。


世間的には「違法ダウンロードの刑罰化」なんて略して言われているけど、
条文の上ではもう少しややこしくて、

“著作権侵害にはもともと刑事罰があるんだけど、
 『私的使用のための複製』であれば著作権の制限がかかり「例外的に」侵害にならなかったんだけど、
 今回その「例外」に「例外」が設けられて、
 『私的使用の目的』であっても、所定の要件を満たす著作物について複製したらやっぱり刑罰の対象になる”

ということになっている。



……まだ、この段階でくじけないでくださいね(笑)



関係ある条文を拾い上げると、以下の通り。

(複製権)
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。


これから説明することの基礎。
「専有する」とは、要は“勝手に複製されない権利”ということ。
著作権って、この“勝手に○○されない権利”というのが束になってある、というイメージ。
これが28条までつらつらと並んでいる。

とはいえ、いつ何時も著作権の効力が及ぶとすると、
極論すればコピー機も使えない、鼻歌も歌えない、
とても堅苦しい世の中になってしまう。
なので、場面場面に応じた効力の制限規定がある。
今回関係するのは、下記の「私的使用のための複製」。

(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。


→この規定により、“個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内”での「複製」は権利侵害にはあたらない、
 ことになっていた。


第八章 罰則

第百十九条  著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


→こちらはもともとある「刑事罰」の規定。
 著作権侵害をすると、強制わいせつとか誘拐とか詐欺とかと同様の量刑が待っていることになる
 (と書くとちょっとミスリーディング?)。

 ☆☆今回新設☆☆
3 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。



→こちらが、今回改正でくわえられた項。
 正直、一読で理解できる人は少ないと思う。

 要件は、以下の通り。
 ① 「私的使用の目的」であること
  =その定義が30条に書かれている。
 ② 著作物は「有償著作物等」であること
  =だから、例えば“テレビ番組の録画”は、原則としてあたらない。
   スカパーとかだと、解釈によるのだろうか?
 ③ 「著作権等を侵害する自動公衆送信」を受信して行う録音又は録画であること
  =平たく言えば“違法アップロード”されたコンテンツをダウンロードすること。
   「録音又は録画」なので、単なる視聴はあたらない(昨日のエントリの通り)。
 ④ 「デジタル方式」の録音又は録画であること
  =だから、例えば“ディスプレイで再生している様子をVTRで撮影する行為”は
   あたらない。
 ⑤ 「自らその事実(=侵害にあたること)を知りながら」の録音又は録画であること
  =当然ながら法の不知は救われない。ここでいう「その事実」とは
   上記②、③について事実を認識していること(という理解で良いと思う)。


所感。

 我々のような商売は、こういう条文を読むのが仕事の前提なので特に違和感もないのだけれど、
 一般の人にひろーくかかわりがある法規制であるにもかかわらず、
 こんな判りにくい規定にしていることって、あまり問題視されないのだろうか??

 昨日、街角でインタビューされている若い人の様子がニュースで流れていたけれど、
 知らないうちに「前科者」になってしまうかもしれないリスクが生じた、という認識は
 残念ながらかけらもない、という印象だったなぁ。


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【たまには】改正著作権法施行 part1【仕事の話でも…】

2012年10月01日 17時50分49秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
巷を騒がせている標記の件。

まったく個人的な見解として、
今の著作権法を改正で“一億総クリエーター”な時代に活かそうとすること自体、
かなり無理をしているというほかはない。
「送信可能化権」とか、「自動公衆送信」とか、フツーの人が聞いたら意味不明でしょ?

あと、「違法かどうか」と「刑事罰があるか」とかで、さらに話がややこしくなっている。

客体として、デジタルデータ(主にオンラインなもの)と絵画や文学(オフラインなもの)とを
いっしょくたにすること自体が、乱暴な議論だと思ったりしている。

もうちょっといえば、創作者の死後50年(映画の著作物の場合公表後70年)という保護期間って、
むしろ文化の発展を阻害する方向にしか働いていないように思われる。



ま、そこにケチをつけたって法律が変わるわけではないし
日々の生き方に何の足しにもならない。



そんなわけでまあ、自らの理解のためも兼ねつつ、
日常生活で遭遇する、
「本当は怖い著作権法」の話を少しずつ書いてみたいと思う。


今日は、「YouTube」(←登録商標)の視聴の話。

【問題の所在】
(1)今回の改正で、「違法ダウンロードが刑事罰化」された。
  ※ポイントは、「ダウンロード」が処罰の対象であって、
   違法アップロードされた著作物の「視聴」は処罰の対象ではない(そもそも「違法」でもない)。
(2)ところで、誤解されがちだが、YouTubeは“ストリーミング”ではなく
   “プログレッシブダウンロード”という方式。
   詳細はたとえばこことかこことかにあるが、
   要は一時的とはいえデジタルデータがクライアント側に「複製」される、ということ。
(3)そうすると、YouTubeでの視聴は、それが違法にアップロードされたものである場合、
   刑事罰の対象となってしまう、ということ???

【処方箋】
 この点、条文上は解決がなされている。

 (電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第四十七条の八  電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。


 →要は、複製してその後いろいろ加工だ固定化だしない、フツーに見るだけなら
  著作権法の適用除外にあたる、ということ。
  この点は、文化庁のHPのQ&Aでも説明がされている。

 けどまあ、この点一つとっても、世間では虚実入り乱れていろいろな言説があったりするので、
 まずは取り上げてみた。

【今日の結論】
 YouTubeを視聴することで刑事罰に問われることは(今のところ)ないから、安心してよいよ!



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スマホの「通知」

2012年10月01日 09時04分06秒 | 趣味・その他諸々の雑記
スマホの画面表示なので写真がないのが残念ですが…


いわゆるプッシュ配信系の情報(メール着信とか、スケジュールとか)がメッセージとして表示されるのですが、
アラームの通知があって、こんな一言。

アラームは10分間鳴って止まりました

…なんというか、

“わたし10分も起こしたんだからねっ! 起きやしないんだから、もぉー!”

と言われているような気になるのは、私だけ?



ハイ、そんなわけで、早起きしてやろうと思っていたことが
そのまま残っている、陽射しは爽やかなのに気持ちはチキチキしている朝です。
今日から10月。張り切っていきましょー!

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