弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【今日も】改正著作権法 part3【懲りずに】

2012年10月03日 09時02分42秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
続き、です。



ここまで書いたことだけ読むと、

“やっぱりなんかこわいから、もう何もダウンロードできないよー。”
というふうに考えてしまう人もいると思う。

でも、以下の二つの点を確認しておきたい。


(1)一つは、「故意犯」のみが処罰の対象である、ということ。
 これは昨日も書いた通り、
 「有償著作物等」であること、 そして
 「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であること
 の2点を認識していることが必要。

 だから、ダウンロードする前に、
 著作権者(映像のクレジット等から確認)とアップロードした者
 との関係を確認しておけば、回避することができる。

(2)もう一つは、「親告罪」である、ということ。

 条文上は、下記の通り。

第百二十三条  第百十九条…(中略)…の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

 だから、現実問題として
 違法ダウンロードした者を権利者が直ちに特定して告訴、
 という状況は、実質考えにくい。
 現状でも普通は動画サイト運営者に対して削除申立てが行われているし、
 “元から絶つ”方が効率的。
 特定のダウンロード者を狙い撃ちする動機に乏しい。

そんなわけで、ある日突然著作権侵害で逮捕勾留される、なんてことは
まだ今のところなさそう。


但し、これが「非親告罪化」するとなると、とたんに話の意味合いが変わる。
なんたって、誰でも告発できるし、警察も自発的に動ける。

「非親告罪化」は、今回の法改正には含まれていない。
が、今後の展開次第では、全くありえない状況ではない。
TPP、というと、関税廃止による国内農業従事者のダメージ、という話ばかりに
目がいきがちだが、実は「著作権侵害の非親告罪化」が交渉テーマに含まれている、
といわれる。
(この点、一次ソースを確認していないので間接情報レベルですが、
 「著作権」「非親告罪化」で検索すると、この話題に触れたページが
 たくさんヒットします。)

こんな感じで、色々とややこしい制度ではあるけれど、
生活にはとても関わりの深いことなので、
興味をもって監視するようにしたいものです。

明日からは、「違法ダウンロード」以外の改正項目について、ちょっとずつ言及してみたい。
コメント
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