弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【明日って】改正著作権法 part4【言っちゃったもんなぁ…】

2012年10月04日 09時52分16秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
さてさて、

今回の著作権法改正について、もっとも信頼できる情報ソースとして、
文化庁のHPにリンクをしておきます。

一応ここの記載は、一般の人向けに書かれているので、
まだ多少読みやすいんじゃないかなぁ、と。

それでまあ、ここに書いてあるように、
今回の法改正のポイントは以下の5つ。

(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
(2)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備
(3)公文書等の管理に関する法律等に基づく利用に係る規定の整備
(4)著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備
(5)違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の整備


昨日まで話題にしていたのが、(5)。
施行日がそれぞれちょっと違って、
(3)~(5)は平成24年10月1日、つまりすでに施行されている。
(※(5)のうちの国民への啓蒙関係はさらに前に施行されている。)
一方、(1)・(2)は、平成25年1月1日から施行となっている。

今日からは、
(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
について、ちょっと覗いてみたい。

新しい条文は、こちら。

(付随対象著作物の利用)
第三十条の二
写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)
の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において
「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離すること
が困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物
における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、
当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。
ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし
著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物
の利用に伴つて利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに
当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。


【いわゆる「写り込み」って?どこまでが該当するの??】
この条文、難しい。
Q&Aの具体的事例としては

・ 写真を撮影したところ,本来意図した撮影対象だけでなく,背景に小さく絵画が写り込む場合
・ 街角の風景をビデオ収録したところ,本来意図した収録対象だけではなく,看板やポスター等に描かれている絵画等や流れていた音楽がたまたま録り込まれる場合


が挙げられている。
だから、
某テーマパークでキャラクターと一緒に撮った写真をブログに載せる とか
街角の風景として特定の看板のアップから出演者にフレームを動かすような演出 とか
は、「軽微な構成部分」ではなく、「本来意図した収録対象」になってしまうから
この例外規定にはあたらない、ということになるわけだ。



…こういうのを、成文化して規定しなきゃいけない状況に
いまの著作権法のいびつさを感じてしまう、といったら暴論だろうか?



ともあれ、
既存の権利制限規定では「目的」に応じて規定されていたのに対して、
「結果として」写ってしまった、といったようなものも権利制限する、という構成は
確かにこれまでよりは改善されているのかなぁ。

蛇足だけど、
文化庁が作成している「概要」の挿絵は、あまりにミスリーディングな気がする。
これじゃ到底「軽微な構成部分」ではないような。
コメント
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