弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2022(第3回)

2022年11月10日 08時57分28秒 | 名作シリーズ(笑)
おはようございます!
窓越しに見える空には雲一つない@湘南地方です。

さて、「流行語大賞で学ぶ商標2022」今日は第3回。
今日のお題はこちら。

(3)「知らんけど」 ~方言は意外と登録になりやすい…?~

確かに、本来的な意味での「流行語」というと、この「知らんけど」は2022年によく耳にした。
ああでも流行語、というよりは、一地域で当たり前に使われていた語が全国(というか首都圏?)に波及した、というのが正解か。

ノミネートの説明はこちら。
文末に付けて、断定を避け、責任も回避する言い方。関西の人のロぐせでもあり数年前から使われていたようだが、ここへきて関東でも目立つようになった。責任逃れというだけでなく、すべてをひっくり返すような面白さを若い世代が感じて話題になっているようだ。

使われてたの「数年前」よりは前じゃないかと思う。知らんけど。

さて、流行りに乗っかる出願が多い商標の世界。
実際こんな出願があったが、「独占性がないよ」ということで拒絶されている。
この出願には情報提供がされており、そちらを踏まえた拒絶理由の要旨は以下のとおり。
(「知らんけど」の語は)主に関西地方の方言で、「他の人は知らないけど」、「確証はないけど」といった意味合いで自分の発言の信憑性について責任を回避する際などに用
いられる語として広く認識、使用されているものであり、また、被服をはじめとした商品について地域への愛着を喚起させるデザインとして一般に使用されてい
る実情がうかがえるものです。
 そうしますと、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者は、上記ありふれたデザインと認識するにとどまり、自他商品の識
別標識としての機能を果たし得ないといえ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と判断するのが相当です。


…むむむ、反論したら覆る余地があったんじゃないかなぁ、とも思わせるところもあるけど、ひとまず拒絶になっている。

ちなみに、こういう綴りにすると登録になっているし、権利者さんは実際に使用をしているようだ(各自でググってね)。

ちなみに、「知らんけど」に類したワンフレーズ関西弁、結構登録になっている。
第4691596号「なんでやねん」(日清食品ホールディングス㈱:第30類)
第6279844号「どないやねん」(㈱藤商事:第28類)
第2230453号「好きやねん」(ハウス食品グループ本社㈱:第9,28類)
ちなみに「もうかりまっか」は以前酒類で登録があったけど今は消滅、「ぼちぼちでんな」はヒットしない。

まあ方言に限った話ではないんだけど、
人口に膾炙する状態になったフレーズってなかなか登録になりにくい。
特に最近は3条1項6号(=その他識別力が認められないもの)の適用がゆるゆるハードルが低いと思われる審査プラクティスなので尚更。

ということで、週末金曜日。もうひと踏ん張りしていこうと思います。




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