弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】シャネルvsファーウェイ事件で思ったこと

2021年04月27日 07時58分25秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日も快晴。仕事しているのがもったいないくらいの快晴、な@湘南地方です。

気が付けばもう4月も終わろうとしている。
今日明日終わればGW突入…まあ、今年も去年同様どこかに行くでもなく淡々と過ごすGWなわけですが。
体力づくりだけはがっつりやろうと思います。ここんとこ運動不足で体調不良だったことを痛感。
日曜日にちょっと多めに運動したら昨日は体調良かったもの。
まあそんなこんなで身体のメンテナンスを中心に過ごしたいと思っております。

さて、今日はこんな記事

(BIGLOBEニュースより引用)
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シャネルがロゴ巡る訴訟でファーウェイに敗訴=中国ネット「全然違う」「むしろあれに似てる…」

2021年4月22日、藍鯨財経は、仏高級ブランド・シャネルと中国IT大手、華為技術(ファーウェイ)とのロゴの商標権を巡る訴訟で、シャネルが敗訴したと報じた。
記事は、2017年9月に華為がEU知的財産庁(EUIPO)に登録申請したコンピューターハードウエアのロゴについて、シャネルが同年11月、同ブランドのロゴ(ココマーク)と酷似しているとEUIPOに異議申し立てを行ったと紹介。華為のロゴは「U」字形と「U」を縦にひっくり返した形を上下に連結させた形状で、EUIPOは19年11月に両者のロゴは類似していないとの判断を下し、申し立てを却下したと伝えた。
そして、この判断を不服としたシャネルはその後も商標権侵害を主張してきたものの、ルクセンブルクの一般裁判所が今月21日に「類似部分はあるものの、視覚的な違いは大きい」として、シャネルの主張を退ける裁決を下したと紹介している。
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(引用終わり)

双方のロゴについては引用元のリンクをご参照。
ま、これで類似と言われてしまうとしたら、世の中の会社がロゴ選択するにあたっての自由の幅が狭くなりすぎ。
とはいえシャネルとしては“この距離感だったら噛みつくよ”というポーズは示しておきたかったのかも。

問題となるのは飽くまでロゴ全体の、標識としての誤認混同の可能性の有無であって、
例えばロゴを作成/特定する際に参考にしたとか、要素に分解したときに共通点があるとか、そういったことは直接的には類否には影響しない。

記事中には中国ネット民の
「むしろアンダーアーマーのロゴに似てない?」という声も掲載されていた。
…いや、もう無理矢理共通点を括りだせば括りだせるけど、の距離感。

今回の件は、大規模な企業同士のやり合いなのでここまで争いが先鋭化しているけれど、
これが一方が財務基盤的にもおぼつかない規模の企業だったら、係争費用を負担できずにギブアップ、ということにもなりかねない。
「リスク負担可能性」の差、という意味で、どのようなマークを選択するかの自由というのは、実は平等ではないなぁ、と思っている。
終局的に勝つと思われる事案でも、そこに至る過程で生じる事務コスト、実際の金銭面での負担を考えてもそのマークでいきたい、
という信念と、それを支える基盤がないと、結局志半ばで終わってしまう。

言い方を変えれば、どのマークを選択するかによって、実は所要コスト(潜在的なものも含めて)は違う
こういう言い方だと「地獄の沙汰もなんとやら」のような響きに聞こえてしまう。が、実際そういう面があることは否めない。
日常の商標出願のご相談においても、中間手続が発生する蓋然性が高い事案は、極力事前にそのようにお伝えする。
「そこは先生のチカラでなんとかしてくださいよー」と言われても、チカラでなんとかできるのはファーストアクションへの対応以降の場面であって、審査官の一次判断に対してできることは殆どない。
むしろ“クリエイティブのチカラ”でローコストで顧客に響くマークを発案選択して欲しい、と思うこともある。

たぶん、リテラシー向上の観点からお伝えしておくべきことって例えばこういうことなんだよなぁ、と思う。
同じ「商標登録出願」という手続でも、選んだポイントによってコストは一律ではない、ということ。
弁理士を活用する利点は、それを大まか予見可能である、ということ。

…動画のネタが一本決まったかな。

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