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【知財記事(商標)】校名騒動

2020年08月24日 08時15分29秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
通り雨の後の青空が眩しい@湘南地方です。

さて、今日は標記の通り、学校の名称に関する記事2件。

【1】京都
 昨年こちらで取り上げた、「京都芸大」騒動。
 係争に発展しているようです。

(livedoorNEWSより引用)
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「京都芸術大」は商標権の侵害に 校名変更巡り差し止め申し立て

京都市左京区の京都造形芸術大が校名を京都芸術大に変更したため、大きな混乱が生じているとして、京都市立芸術大(同市西京区)は21日、京都芸術大を運営する学校法人「瓜生山学園」に名称の使用差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申し立てた。

申立書によると、京都芸術大は2021年に開学30周年を迎えるのに合わせ、今年4月に名称を変更。市立芸術大は昨年7月、校名を特許庁に商標登録申請。今年8月に登録されたことから「京都芸術大」の名称は商標権の侵害に当たるとしている。
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(引用終わり)

校名」としているのが、上の記事の「商標3」=「京都市立芸術大学」のことと思われる。
2020年8月12日に登録されている。



一方で、「学校法人瓜生山学園」「公立大学法人京都市立芸術大学」の双方が出願した商標「京都芸術大学」については、
どちらにも審査中止の通知書が出されている。通知書の内容は
“この商標登録出願(以下「本願」といいます。)は、大阪地方裁判所令和元年(ワ)第7786号の結果を考慮し、本願の拒絶の理由を判断する必要があると
認められることから、手続を中止します。
 なお、上記事件の判決が確定したときは、中止の解消の手続を行いますので、その旨お知らせください。”
というもの。

上記の「令和元年(ワ)第7786号」は昨年9月2日に京都市立芸術大学が瓜生山学園を相手取って行った「京都芸術大学」の名称使用の差止請求訴訟。
原告である京都市立芸術大学側は、その後も自己のHPの「お知らせ」でしばしばコメントをアップしている。
被告である瓜生山学園の側は、提訴されたことへのコメント以降は沈黙を保っている様子。
なおこちらによれば既に審理終結し、8月27日が判決言渡しとのこと。

今般の仮処分の申立ては、登録された商標「京都市立芸術大学」の商標権に基づくもの。
(上記本訴はおそらく不正競争防止法?)

いずれの結論が出るとしても学校運営にとっての影響は小さくない。学校名にしろ会社名にしろ、
法的な担保がされてない状態で決定することはこんなに不安定な状況になる、という実例。

【2】大阪


こちらは、大阪大学と大阪公立大学の争い…ん?「大阪公立大学」ってどこ?
と思ったら、合併新設校なのね、市立大と府立大の。

で、こちらは英文名称の方の問題。

(NHK NEWS WEBより引用)
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公立大の英語名商標 阪大が異議



大阪公立大学は、大阪市立大学と大阪府立大学を統合して再来年に開設される予定で、英語名を「University of Osaka」にするとして特許庁に英語名の商標登録を申請しています。
これについて大阪大学は、自身の「OSAKA UNIVERSITY」と似ているなどとして再考を求めていて、21日、特許庁に対して、海外を中心に混同されるおそれがあり、登録を認めるべきではないとする意見を提出しました。
(以下略)
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(引用終わり)

問題となっている出願がこちら。



経過情報にはまだ反映されてないけど、ステータス的には「刊行物等提出書」の提出と思われる(「異議」と表現するのはミスリーディングだなぁ)。
大阪公立大学のWebサイト、URLも「upc-osaka」なんだし、ちゃんと「PUBLIC」を入れればよいのに、とも思ってしまうけど。。


京都の件も大阪の件も、名称に対して「思い入れがあるわりに無頓着」、という少し奇妙な状況に映る。
やっぱり識別標識なので、ある程度の“距離感”というのは大事だと思う。新興勢力にとっては名称選択の自由の幅が相対的に狭いという面は同情の余地もあるけど、だからといって見切り発車は仮にうまくいかなかったときにダメージがでかいと思う。

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