弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(著作権)】コスプレ著作権ルール化へ…?

2021年01月25日 10時40分47秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
なんやかんやで月曜日。なんやかんやでもうすぐお昼。
昨日までとはうってかわって快晴な@湘南地方です。
…なんも週末に雨降らんでも。。。

まあ愚痴はほどほどに。

今日はこんな記事

(東京新聞TOKYO Webより引用)
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コスプレ著作権ルール化へ 政府、海外展開を後押し

アニメやゲームのキャラクターに扮するコスプレに著作権使用料が要るの?―。政府は、海外にも人気が広がるコスプレが著作権トラブルになる事態を防ぐため、ルール整備に乗りだした。利益が出た場合、著作権法との関係が曖昧なためだ。日本文化を海外に売り込むクールジャパン戦略の柱として期待しており、積極展開を後押しする。
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(引用終わり)

この話題、深く言及しだすと「沼」なので、ポイントというかキーワードだけ。

・そもそも何を「著作物」と捉えるか、の問題。「キャラクター」それ自体は「著作物」ではない。
・「著作権」って、色んな「〇〇権」の総称(“権利の束”と呼ばれることもある)。
 なので、コスプレという行為がどの「〇〇権」の侵害に該当し得るのか、の特定をする必要がある。
・この点、「コスプレ」=二次元の表現形式を立体的な表現形式に変更する変形行為。なので、「翻案権」(著27条)の侵害の可能性があり得ると捉えるのが一般的。
 (「複製権」(第21条)とする向きもあるけど、次元の違う表現形式について実質的同一性を認めている判例は、知る限りではなさそう。)
 それ以外にもコスプレを装着して踊ったり演じたりすれば「上演権」(第22条)「展示権」(第25条)の侵害となるケースもあり得る。
・この「あり得る」がポイントで、じゃあ実際のところ侵害が認められるケースがどれだけあるのかというと、
 そこまでクオリティが高いコスプレはごく僅かではないかと思う。
 一般のファンレベルで単に「似てる~!」という状態でも、法律上の類似にはならないケースも多い。
 ヘンな話だが、クオリティの高いコスプレほどコンプライアンス上のリスクを抱えることになる。
・身につける衣服をまねるだけでは、まあ通常著作権侵害にはならないのではないかと思われる。
 メイク、髪型等微細な点まで含めて突き詰めて、やっと侵害の可能性がでる、という。
・あと、コンテンツによっては自主的にガイドラインをオープンにしている例もある。
 (これとか、これとか)

要は何が言いたいかと言うと、
「少なくとも非営利についてはある程度自治が確立している状況なわけで、そのままでいいんじゃない?」
ということ。
仮に何か手を施すとしても、
・コスプレは「複製」→私的使用の範囲内なら第30条(私的使用のための複製)が適用される。趣味でやる分には同条の範疇であることを明確化する

・コスプレは「上演」→非営利無報酬なら第38条(営利を目的としない上演当)に該当することを明確化する
といった道筋をつける、というので十分ではないかと。

コスプレを利用してなんらか有償イベントするのであればそこには補償金を求める仕組みがあってよいが、それこそ「自治」の話なわけで。
このテーマについてはお歴々の先生方が色々言及しているので、多少声を小さめに(笑)コメントしてみました。
コメント
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