ワサビ
近年の和食ブームに乗って「wasabi」は海外でも知られるようになりました。
独特の辛さと風味が料理の味を引き立たせるワサビは、お寿司や肉、魚介類、野菜などのレシピには欠かせない存在です。
今日は世界に誇る日本のワサビについて調べました。
「歴史」
ワサビ(山葵)は、日本原産のアブラナ科ワサビ属の植物で、日本特有の香辛野菜として食生活に深く関わってきました。
奈良県にある飛鳥京遺跡で「委佐俾(わさび)三升」と書かれた木簡が出土したことからも、685年よりも以前から食されていたことが伺われるということです。
この頃は薬草として栽培されていた可能性を示すもののようであり、この木簡はわさびを保管した容器にくくりつけたラベルとみられ、当時は年貢や税として治められるほどの貴重なものだったようです。
ワサビは鎌倉時代には料理本に登場しており、食用にされていたようです。
どの部分をどのように使用したかははっきりしないようですが、「寒汁(ひやじる)」の具にしたと言う記載はあるそうです。
ワサビの栽培は、今から400年前の江戸時代、慶長年間(1596年~1615年)に安倍郡大河内有東木(うとうぎ:現在の静岡県葵区有東木)で始まったとされており、その後、伊豆などの各地に広まっていきました。
そのころ、駿府に隠居していた徳川家康公に有東木の庄屋がワサビを献上したところ、その香りとその独特な辛味を絶賛し、家康公のお声がかりで
有東木のワサビは門外不出のご法度品になったと伝えられています。
江戸後期にはネタとシャリの間にワサビを挟んだ握りずしが流行し、庶民の間に広がりましたが、この事は、当時の人も魚の生臭さを消したり、細菌の増殖を抑えたりする効果があることを知っていたようだと考えられています。
昭和に入り安価で使いやすい加工ワサビが開発されて、より身近になりました。
「語源」
和名は、深山に生え、銭葵(ぜにあおい)の葉に似ていることから山葵(やまあおい)の名が生まれ、のちに和佐比の名前(漢名)がついたといわれています。
また心臓形の葵の葉に似て、沢に生えていることで沢葵(さわあおい)と呼ばれ、これが短縮され「サワヒ」となり、転じて「ワサビ」になったとの説もありますが、語源ははっきりしないようです。
「効能効果」
①がん予防
ベータカロチンや、ツーンとした辛味成分であるアリルイソチオシアネートの強い抗酸化作用で、がんや老化の原因である活性酸素を抑制します。
また、動脈硬化を予防するはたらきもあるようです。
②風邪予防
ベータカロチンのビタミンAが粘膜を強化し、のどや鼻の粘膜にウイルスなどをつきづらくしてくれます。そのため、風邪を予防することができるのだそうです。
③皮膚の健康
ビタミンB1とB2が皮膚の細胞を活性化させて、皮膚を健康に保ちます。また、新陳代謝を促進します。
④骨や歯を丈夫にする
カルシウムの作用で、骨や歯を丈夫にします。
⑤貧血予防
わさびには鉄分も含まれているため、鉄欠乏性貧血の予防にも適しています。
なお、効能効果が期待できるワサビは日本原産の本わさびで、その摂取量は一日3gだそうです。
目安はスーパーの刺身売り場に置かれているパック詰めのワサビが2.5gなので、それより少し多い量だそうです。