別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

神保光太郎の詩

2006-09-20 | 別所沼だより


     牧場にて     神保光太郎 
       
      ひかりと草の香りと若い馬のひとみ
    遠く望む碧アオい山脈ヤマナミ
    ひとすじの白い道
    牧童はとっとっと馳けて行った
 
         群れをはなれた一頭の白馬
    馬は立ちどまって空を見あげている
    馬よ 話したまえ
    あの雲の孤独について

         
考えている馬 いななく馬
    風がでてきた ゆらめくたてがみ
    そのあいまにかがようこの朝の思想よ

    にくしみを大いなる愛へとはぐくみ
    さあ 今日も
    颯爽と生きよう
                    『埼玉詩集』第一集  昭和41年刊

 
 
 「詩を読むサロン」第4回 神保光太郎の詩  講師  詩人 弓削緋紗子氏 

 詩の背後にある時代、作者の境遇、時流、詩壇の状況、政治。 詩の流れ、詩への風当たり… それらを踏まえたうえで読むと、味わいも全く違う。見えなかったものが見える。 作者のこころの叫びに近づく。

 別所沼ちかく、当時存在した牧場の風景。 彼は早くから神童と呼ばれ、常に先端を走ってきた。
 このころ、精魂込めた詩集の読売文学賞を目指すも受け入れられず、詩壇の状況を嘆く。初めての挫折感に気分も沈み勝ちであった。広く知られることなく逝ったが 神保の抒情詩を 味わいたい。 彼の詩を、沼のほとりから世に贈りたい、知って頂きたいと結ばれた。
 立原道造が兄のように慕った神保光太郎、 昭和57年11月、沼のほとりに詩碑も建てられた。

 講師のことばは分かりやすく、 大変吟味された内容だ。 こうして 詩というもの、 ことばを使い感情を表現する。 人間にしかない、文学や 絵画 芸術、 音楽、さまざまを鑑賞できる今の幸せを熱く思った。 いままで字面を追うだけで、読んだ気になっていた。分かったつもりであった。

 
  つよい陽ざしは確実に秋を告げている。 からりと晴れて気持ちのいい日、 長い桜並木を抜けると会場の南区役所会議室についた。詩人や同人誌の方が21名。 追分にご一緒した方たちも揃い、素人もすんなり仲間に入る。 絵を描くもの同士のなれ合い、少々乱暴な付き合いはあるが。 文学者、詩人の仲間のそれは幾分ちがう。 心のひだも細かくて、 柔らかい。 何と表現して良いか分からないが はにかむようなまなざし、温かい。 

 智恵子抄の一節が読めなくて詩集を持ってやってきた。十年の重みにどんより澱んで光りを葆み… このなかの「葆み」がわからない。 それを、講座の合間に、会場を何往復もして、乏しい資料から見つけてくださいました。初対面の登 芳久氏(詩人 次回は絵と重なりますので、後ろ髪ひかれつつ、おやすみいたします。)に、 こころよりお礼申しあげます。…光りを葆み― 葆み 葆は「つつむ」 
 みなさまほんとうにやさしくて、 初めてでもひとりでも全く大丈夫なのでした。 来て良かった。  
  
 
聞き逃したところもたくさんあって、 まちがいも少しあるかもしれませんが これで精いっぱいです。 このままUPします。

    

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4 コメント

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お邪魔します (sora)
2006-09-22 07:59:04
葆み…つつみ…わぁ!またひとつ利口になりました。

あまり見かけない字は、今の(旧仮名使いを常用していない)人にはルビをふって欲しいです。

どうも…!

反応があれば孤独なことではないと思っていました。

コメントのコメントがあるから、私は楽しがっていました……。
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かくさず (ラグタイム)
2006-09-22 15:10:20
葆…つつむ or かくす などの意味らしい。 読めない字がたくさんあります。 わかればイメージも膨らんでふかく味わえる。この字でなきゃだめと思えます。

 soraさん 勝手な悩みと反省しています。いつもありがとうございます。おこころ身に沁みました。 
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優しい心です (sora)
2006-09-23 10:54:43
葆…(音)ホ(ハ)ウ①カクす。包みかくす「-光」 ②草木が茂る ③宝

 三省堂漢和辞典(第三版)より

手元にあった小さな漢和辞典からの抜粋でした。



葆は本当に優しい心の文字なんですね。

「つつむ」としたのは送り仮名があったからそのように読むんですね。

草で大事に覆って包んだり、それを宝のように隠したり…常用とかなら、孫の名前に使いたいくらいですね。

でも、もう孫は増えないかも知れないし…?ひとつの文字で夢は膨らんでいくのです。

私の一人遊びとなりました。自分では暗いとは思わないけれど、他人さまから見たら暗い…かな?

まあ、いいじゃない!暗くたって明るくたって極楽トンボだって…自分が楽しければそれでいいのと、そっと葆んでいる気分です。  
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つつみさん (らぐ)
2006-09-24 16:16:43
 やさしい良い名前、夢をかなえてくださいね。soraさんのおかげで こちらまで大きくなります。ありがとう!

 
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