別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

2007-07-27 | 別所沼だより

 
    久々にやってきた ここ 
   夏の陽は容赦なく  煮立ち泡だつような水面
    沼は  あえいでいた 
     油を流すように とろんとして  
               … 夢じゃなかろうか  


   琵琶湖の 残像をぬぐいながら
    なんと小さく  かくも濁って  澱んでいた沼
     ずいぶん痛んでいる   水質浄化も しばらく続く

    故郷をみて  悲しくなった  悲鳴が聞こえたもの
     淵をただようビニールよ 
       投げつけられし空き缶よ


    満々とたたえ 澄んでいる… 
            あれは  幻だったのか  

    

   

 
   禊萩 ミソハギ?  ここにあるなんて 初めて知った
   夏休みだ。  ミンミンゼミやアブラゼミの盛んな声。  網をもつ少年、  赤いTシャツ 青い籠。 
  これまで、 おじさんばかりだったが、 母子で釣るひとや  女性ひとりも多くなった。 
  クチボソ、 タナゴ、 ヌマエビ、 鯉、 亀まで釣れると… 
 なかに たぶん鷭バンだと思う、 くちばしが赤い。 すばしこくて元気がいい。  よく潜った。 カメラを避けて、 とんでもないところから ひょっこり顔を出す。  これこれ、 人をからかったりして。  冬鳥じゃなかったの? 
  
  身軽なアメンボウがすいすい泳ぐ。 というより、 スケーターだ。 鋼鉄ハガネでできた針のような足、 その屈伸に見とれる。  沼に住むたくさんの生き物たち。
  「山椒魚は悲しかった… 」 (井伏鱒二)。  閉じこめられた蛙も思い出すのだ。  

   2005年8月から 浮島による 水質浄化試験 が行われています。 期待します

 
                   -☆-


     海よ
     日はかがやいて波はにほふ
     まぶしい海の たよりをおくれ
     ガラスとエメラルドの砕け散る朝の風を 
     帆前船ホマヘブネを走らせる おまへの風を

     さうして 僕はここ 高原の叢クサムラで
     パンパス草の潮に溺れ とほい魚の匂を
     嗅がう
     貝殻を 砂の香を 人の膚にきらめく虹を

     海よ 小さな泡の呟きよ
     空よりもなほ青く

     空よりもなほ高く
     まぶしい海の たよりをおくれ    
                          立原道造  「海よ」   

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