別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

歌の器(うつわ)

2014-07-13 | 別所沼だより

 

  絃(イト)は張られているが  もう
  誰もがそれから調べを引き出さない
  指を触れると  老いたかなしみが
  しづかに帰つて来た……小さな歌の器(ウツワ)

  或る日  甘い歌がやどつたその思ひ出に
  人はときをりこれを手にとりあげる
  弓が誘ふかろい響 ―― それは奏でた
  (おお  ながいとほいながれるとき)

  ――昔むかし、野ばらが咲いてゐた 
  野鳩が啼いていた……あの頃……
  さうしてその歌が人の心にやすむと

  時あつて  やさしい調べが眼をさます
  指を組みあはす  古びた唄のなかに
  ――水車よ  小川よ  おまへは美しかつた

     立原道造 「優しき歌 Ⅰ」  Ⅴ民謡 ―エリザのために

 


 

 まったく  何気なくつけたラジオは 日曜の きらクラ! (NHK FM)の放送中。 そのいくつかあるコーナーの 『BGM選手権』だった。 きょうのお題は   立原道造 「V民謡 エリザのために」。 
 
 この詩に BGMとしてぴったりのクラシック音楽をえらんでください というもの。 視聴者が選んだ3曲が放送され、 どれも彼のせかいに寄り添い、 詩の内容を増幅していると感じた。 なかでも ラヴェルの曲がもっともBGMにふさわしいとされたが、 詳しい曲名を聞きのがした。 気象の関係かノイズが入り、 聞き取れなかったのだ。 残念でたまらない。
 
 「これであなたも音響効果マンになれる・・・かも 」  とあった。

 

 

コメント (2)
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